文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループが提供する本質的な価値は、「お客様にとって専門性が高すぎるため対応が難しい『お客様にとってのノンコア業務=お客様のニッチな業務』を『当社のコア業務』として置き換え、当社の専門性をもって遂行し、お客様が本来行うべきコア業務に集中頂ける時間を創出して差し上げること」と考えております。
このような考えのもと、当社はこれまで事業会社並びに金融商品のディスクロージャー・IR実務支援を主たる事業とし、お客様企業から投資家への適正かつ迅速な情報開示を支援するため、高い専門性を基盤としたコンサルティングサービスと、開示実務の精度と効率を高める独自のシステムサービスを中核に、印刷、物流等を含めトータルなサービスを提供してまいりました。
2020年12月に創業90周年を迎え、様々な分野で専門性を磨き、他の追随を許さないところまで高めていくこと、そして、新たなビジネス領域へチャレンジすることが、当社グループのさらなる発展に繋がることから、事業ドメインがディスクロージャー・IR領域に限定されていた経営理念を見直し、「情報コミュニケーション」、「ドキュメンテーション」の領域で、「世界で類のない、専門性に特化したニッチトップ企業グループ」を目指す新たな経営理念に刷新いたしました。
<<プロネクサスグループ 新・経営理念>>
< MISSION >当社の社会的使命と存在意義
私たちプロネクサスグループは、情報コミュニケーションとドキュメンテーションを支えるプロフェッショナルとして社会・経済の永続的発展に貢献いたします。
< VALUE > MISSION実現のために追求し発揮すべき価値
① PROfessional(専門性) 専門性でお客様の実務を支える
② PROper(適正性) 正確かつ適正なサービスを提供する
③ PROmpt(迅速性) お客様のニーズにいち早く応える
④ PROgress(革新性) 革新的なサービスを創造する
⑤ PROsocial(社会性) 社会と共生する視点をもつ
< VISION > 当社の本質的価値と目指すべき姿
世界で類のない、専門性に特化したニッチトップ企業グループへ
当社グループは、上記の経営理念に加えて、企業市民としての社会・環境面における行動基準、事業会社としてのビジネスにおける行動基準を定め、当社グループ内への経営方針の浸透を図るとともに、今後も社会・経済の永続的な発展に貢献してまいります。
(当社グループのビジネスモデル:事業を通じた社会的価値・経済的価値の創造プロセス)
(2)経営環境とそれに対応する経営戦略
当社グループの事業と関連性の強い資本市場においては、市況の好不調や関連法制度の改正等、当社グループに影響を与える環境変化が常に起こります。これに対して、市況の影響を受けにくいサービスの強化や新たな制度に対応するサービスの開発を通して、事業領域の拡大を続けてまいりました。
近年においては、ディスクロージャーの電子化が大きく進みました。金融庁の電子開示システム「EDINET」は一定期間ごとにバージョンアップを実施しており、同システムにおける開示書類専用データ「XBRL」も順次高度化や適用範囲の拡大が行われています。これらに対応したお客様の開示実務をインフラとして支えるシステムサービス・コンサルティングサービスが、当社事業の大きな柱となっています。
今後もディスクロージャーの電子化は、一層進んでいくことが想定されます。2019年12月に改正会社法が公布され、2023年3月開催の株主総会から当社の主力製品のひとつである株主総会招集通知が電子化されました。またこれ以外にも、金融商品ディスクロージャー分野における開示書類等、当社が取り扱う製品の電子化は今後も拡大していくものと考えております。これらの電子化により、当社の印刷製品の需要が今後減少する可能性があります。
一方、2015年6月に上場会社に適用されたコーポレートガバナンス・コードに基づき、株主・投資家と企業の対話の充実が求められております。加えて、2021年6月のコーポレートガバナンス・コード改訂においては、東京証券取引所の市場再編と関連して、特にプライム市場の上場会社は英文開示や非財務情報開示の充実等、さらなる対話の充実が求められております。
また、「働き方改革」が推進される中、コロナ禍により当社のお客様の実務の効率化及びアウトソーシングニーズはより一層高まっております。当社グループでは、システムインフラやコンサルティングサービスの提供に加えて、BPOサービス、Webを通じた情報提供の拡充や英文での情報開示等、電子化時代に対応した「非印刷」サービスを引き続き拡張し、お客様ニーズに応えるサービスを提供してまいります。このように、今後も想定される経営環境の変化に対応して、事業の変革を続けることが当社グループの最重要の経営課題と認識しております。
(3)新中期経営計画の基本方針と数値目標
当社は、上記(2)に記載した経営環境の変化に対応するため、「新中期経営計画2024」(以下、本計画)を2022年5月に発表し、推進しております。
創業当初の株券専業からの脱却、決算開示の電子化に伴うシステムサービスプロバイダーへの転換、そして2022年3月期において連結売上収益の55%を占めるに至った「非印刷事業」の拡大等、当社は常に環境変化に対応した事業変革を実現してきました。これは当社が創業以来保持し続けている企業文化です。
当社は2020年の創業90周年を機に、「ディスクロージャー・IR」領域に限定されていた経営理念を見直し、「情報コミュニケーション」、「ドキュメンテーション」を事業ドメインとして再定義しました。本計画は、創業100周年に向け、これらの領域の拡大にチャレンジするものです。
これまでも当社は株券の電子化や有価証券報告書における電子開示の導入等、環境変化に対応した事業の変革と成長を実現してまいりました。前述の招集通知の電子化・投資信託分野のペーパーレス化は、当社中核事業における大きな変化です。この変化に伴うお客様ニーズに的確に対応し、新たなサービスを提供して機会に変えていくことでさらなる成長につなげていきます。一方、印刷売上の一定の減少は不可避であることから、事業環境の変化に対応したWeb・英文翻訳・BPO等の「非印刷分野」のさらなる拡大と収益力向上により利益確保を目指します。
また、サステナビリティ情報をはじめとした「非財務情報開示」の充実に対応し、システム・コンサルティング機能を強化します。これによって開示周辺のドキュメント支援等、新たなビジネス領域に挑戦することで、中長期的な成長を実現してまいります。
なお、本計画の2~3年目にあたる2024年3月期・2025年3月期の業績目標については、本計画発表時点において、株主総会招集通知の電子提供制度の導入や四半期開示の一本化等による業績影響の算出が困難であることから未定としておりました。株主総会招集通知の電子提供制度が導入され、四半期開示の一本化についても制度の概略が公表されたことにより、これらの業績影響が一定の仮説のもとに算出可能となりましたので、2023年5月に当該業績目標を公表しております。
(4)会社の対処すべき課題
事業環境が大きく変化するなかで、事業領域の拡張、競争力・収益力・顧客満足の向上に努めてまいります。
① 株主総会プロセスの電子化・開示制度の変化に対応した中核ビジネスの強化と拡張
② 制作・製造プロセスの電子化対応と生産性向上・収益性改善
③ DX・働き方改革に対応したシステム・コンサルティング・BPOサービス強化
④ 非財務情報開示の充実に対応したコンサルティング・英文開示・Webサービスの拡大と体制強化
⑤ グループ事業の強化と新たなビジネス領域の拡大
⑥ ESG・サステナビリティ経営への取り組み
(5)中長期的な会社の経営戦略
当社は経営の基本方針に基づき、当社が果たすべき基本的使命の確実な遂行によりお客様の高い信頼を得るとともに、事業環境の変化に対応して持続的な成長を実現するために、以下の戦略を実行いたします。
① コンプライアンスの徹底と情報セキュリティ体制のさらなる整備
② 開示制度の変化に対応した、新たな実務支援サービスの開発
③ システムサービスの強化による顧客支援領域の拡張
④ M&A、資本・業務提携を含めた外部リソースの活用による事業領域の拡張
⑤ 生産性の向上と競争力の強化による収益力の拡大
⑥ 資本効率の向上と高い水準の株主還元策の遂行
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)ガバナンス
当社グループは、経営理念に当社が発揮すべき価値のひとつとして「PROsocial(社会性)社会と共生する視点をもつ」を掲げており、その具体的な行動基準として、以下のとおりプロネクサスグループ「社会・環境行動基準」を定めております。本行動基準は、社会的な要請が高まっているESGの各課題と、継続的な情報開示にそれぞれ対応しています。当社グループはこれらの経営理念・行動基準に基づいた事業活動を推進することで、当社グループの成長力とともに、事業の持続可能性を高めてまいります。
<<プロネクサスグループ「社会・環境行動基準」>>
① 法令遵守と機密保持(事業の基盤に係る最重要基準)
② フェア&オープン(公平な開示、対反社会勢力)
③ 人権と人財の尊重(グループ内外の人権・人財尊重と安全衛生)
④ 環境配慮と社会貢献(環境対策と災害援助・社会文化貢献)
⑤ コーポレートガバナンスの追求(企業価値を高める最適なコーポレートガバナンスを追求)
また、当社グループは今後事業を拡大していくにあたり、サステナビリティの視点に立った当社の社会的責任もより大きくなっていくと考えています。経営環境や社会課題の変化に対し、当社の事業特性を踏まえた重点課題を特定して確実に取り組み、中長期的な成長力と持続可能性を高めていくこと、また当社グループの事業を通じて持続可能な社会の実現に貢献することを目的に、2022年4月に「サステナビリティ委員会」を設置いたしました。
本委員会は当社取締役会・経営会議の下に設置され、当社グループの気候変動を含むサステナビリティをめぐる課題や方針の決定・各部門における取り組みの横断的な検討・検証、必要に応じて取締役会への報告を行います。本委員会は代表取締役社長を委員長とし、委員は各担当部門の執行役員により構成されています。
当連結会計年度におけるサステナビリティ課題に対する取り組みにつきましては、「サステナビリティ委員会」を中心に、国際的枠組みへの対応や情報開示の強化を行っております。まず、国際的枠組みへの対応としては、2022年4月国際連合が提唱するサステナビリティに関するイニシアチブ「国連グローバル・コンパクト」に署名しました。また、2022年7月には企業の環境活動に関する情報を評価し、投資家に開示するCDP(Carbon Disclosure Project)による気候変動関連の調査への回答も行っております。
次に、サステナビリティ情報開示の主な取り組みとしては、当社のWebサイト内にサステナビリティに関する情報をコンパクトにまとめた「サステナビリティサイト」を2022年4月に開設いたしました。なお、「サステナビリティサイト」は以下のURLからアクセスすることができます。
(2)戦略
当社グループは、上場企業や金融商品のディスクロージャー・IR支援を主たる事業とし、システムとコンサルティングをサービスの柱としております。当社のディスクロージャー支援事業は会社法・金融商品取引法等に基づく法定開示を支援するもので、気候変動の影響によって、顧客ニーズが大きく左右されるものではありません。また、任意開示であるIRについては、国内外の投資家の関心の高まりを受け、気候変動に関する情報を含めた非財務情報の充実が求められております。このように、当社事業の特性上、現時点において、気候変動の影響を直接的に受けにくく、当該リスクは総じて低いと認識しております。
一方、気候変動情報に関するIRニーズの高まりは間接的な収益機会として捉えており、「新中期経営計画2024」においてサステナビリティ情報をはじめとした非財務情報開示の充実に対応し、システム・コンサルティング機能を強化しております。また、お客様向けコンサルティングサービスを当社自身でも導入し、ノウハウを蓄積することで、お客様向けサービスの改善も図っています。
今後も当社グループでは、サステナビリティ委員会において気候変動に関する直接・間接的な影響や対応について、引き続き検討を行ってまいります。
また、当社グループにおける、人財の多様性確保を含む人財の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針として、前述の行動基準の一つである「人権と人財の尊重(グループ内外の人権・人財尊重と安全衛生)」を掲げております。
グループ内外の人権と社員一人ひとりの個性を尊重し、会社の財産である社員(人財)の成長を支援し、社員が
安全に健康的にいきいきと働ける職場環境の整備に努めます。また、事業領域の拡大やビジネスモデルが大きく変化している中、多様な人財がその意欲、能力を最大限発揮することで当社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上につなげるという考えのもと、多様な個性、経験、能力を持つ社員一人ひとりの「多様な個の力」を活かす企業文化、職場づくりに向け、人財及び働き方や雇用におけるダイバーシティを推進しております。
取り組みの詳細については、以下「サステナビリティサイト(社会)」にて開示しております。
(3)リスク管理
当社は、代表取締役社長を委員長とする「リスク・コンプライアンス委員会」を設置し、気候変動を含む全社リスクの識別及び評価ならびに対策の立案を行っております。気候変動に係るリスクについては、TCFD提言に定める「移行リスク」、「物理的リスク」の両面から想定されるリスクを特定、評価を行いましたが、前述のとおり、その影響は少ないと認識しております。
一方、気候変動に係る機会については、サステナビリティをテーマとした非財務情報開示の充実等によって、プラスの財務的影響が期待でき、結果としてリスクよりも機会による影響が大きくなると見込んでおります。
(4)指標及び目標
当社グループでは、現時点において気候変動のリスクが総じて低いと認識しておりますが、サステナビリティ・ESGに関する取り組みを重要な経営課題として認識しております。印刷工場での環境マネジメントシステムの推進やゼロエミッション、オフィスでの電力・エネルギー使用量の削減等を推進するとともに、当社事業が資本市場のインフラ的な役割を果たしているという認識のもと、安定したサービスを持続的に提供するための環境整備を進めております。
また、当社は上記「(2)戦略」において記載した、人財の多様性の確保を含む人財の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いております。当該指標に関する実績及び概要は、次のとおりであります。
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指標 |
実績 (2022年度) |
概要 |
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管理職に占める女性労働者の割合 |
3.2% |
現在の全社員に占める女性の割合は27%程度ですが、新卒の入社者は近年男女ほぼ同数であり、管理職候補となる人財層も厚くなってきているため、優秀な人財を性別問わず管理職へ登用をすすめます。 また次期管理職候補となる役職に積極的に登用した結果、女性の次期管理職候補となる役職者が13名在籍しており、今後女性の管理職者の増加を見込んでいます。 |
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男性労働者の育児休業取得率 |
42.9% |
育児介護休業法に対応し社内に育休相談窓口を設置し、過去取得事例の収集と取得事例を社内へ公表し、育休取得啓発を行った結果、配偶者が出産した男性労働者のうち、約半数が育児休業を取得する結果となりました。 今後も同運用を継続することで男性労働者の育児休業取得率向上に努めます。 |
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労働者の男女の賃金の差異 (男性の賃金に対する女性の賃金の割合) |
74.3% |
労働者の男女の賃金の差異は、下記の計算式に基づき算出しています。 女性の平均年間賃金/男性の平均年間賃金×100% ※賃金とは、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず労働の対象として使用者が労働者に支払うすべてのものを対象とする。 当社では、男女において賃金規程等の制度上、昇進・昇給等の運用上及び採用基準上の差を設けておりません。 賃金差異の主な要因としては上位役職者が少ないことと、近年女性社員の採用を積極的に行った結果、平均勤続年数が男性より約5年少なく相対的に賃金水準の低い労働者が多いことが挙げられます。 (平均勤続年数 男性労働者:13.9年 女性労働者:8.5年) |
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従業員エンゲージメントスコア |
58.5 |
㈱リンクアンドモチベーションの提供する「モチベーションクラウド」を用いたエンゲージメントサーベイを実施し、その結果分析から求められる課題の共有、課題解決のためのアクションプランの実施、課題にフォーカスしたサーベイ実施による定点観測というPDCAサイクルを回すことで、全社的な職場環境改善を推進しています。 課題を「洗い出す・解決する・評価する」ことに継続して取り組み、よりよい環境づくりを実現した結果がスコアにも表れはじめています。 ※別表をご参照ください。 |
(注)エンゲージメントスコア=従業員の企業に対する愛着や相互理解、相思相愛度合いを数値化した偏差値です。
「50」が全参加企業・組織の平均となります。
当社グループの経営成績、財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスク及び変動要因と、その他重要と考えられる事項は以下のとおりであります。
当社グループでは、これらリスクの発生を十分に認識した上で、発生を極力回避し、また発生した場合に的確な対応を行うための努力を継続してまいります。
(1)インサイダー情報等機密情報の取り扱いに関わるリスク
当社グループはインサイダー情報を始めとした顧客企業の開示前機密データを取り扱うため、「機密保持」は最重要課題であります。万一これらの情報漏洩や情報流出が発生した場合は、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。当社グループでは、こうした事態の発生を抑止するため、別項の「情報セキュリティと事業継続に関わるリスク」への対応を推進するとともに、インサイダー情報の全社的管理体制を構築し推進しています。誓約書の提出、定期的な教育とテストの実施、厳格なルールの制定と運用監視、取り扱いスペースの隔離、関与者の制限、トレーサビリティ体制の整備、定期的な情報セキュリティ委員会の開催と啓発活動等様々な防止策を行っています。
(2)情報セキュリティと事業継続に関わるリスク
当社グループが提供するシステムサービスにおいては、その安定稼働の維持及び重要システムの冗長化に努め、不測の事態に備えたコンティンジェンシープランを策定しております。しかしながら、人的過失、事故、サイバー攻撃、災害や停電等の要因によりシステムサービスに重大な障害が発生する可能性があります。
特に、近年のサイバー攻撃手法の巧妙化により、コンピュータウイルスへの感染等による情報漏洩やサービス妨害のリスクが高まっています。当社グループではサイバーセキュリティ対策を経営の重要課題として、経営主導のもと、情報セキュリティ基本方針及び経済産業省の「サイバーセキュリティ経営ガイドライン」に従い、多層防御及びCSIRT(Computer Security Incident Response Team)を中心とした設備面、組織面の施策を実行し、定期的な第三者機関によるリスクアセスメントにて実効性を評価しています。
(3)関連する法律・制度の変化による受注影響リスク
当社グループは、企業のディスクロージャーに係わる法定書類の作成を支援するための諸サービスとデータ作成、印刷を主業務としておりますが、それらの開示書類の多くは会社法と金融商品取引法に規定されております。したがって、法律や関連する諸制度の改正によって、提供する製品とサービスの需要・仕様・内容が変化することがあります。2019年12月に公布された改正会社法に基づき、2023年3月開催の株主総会から導入された株主総会書類の電子化や、2024年4月施行予定の金融商品取引法に基づく四半期開示制度の変更はその一例であります。制度改正の結果として法定書類のページ数増や新サービスの導入などのプラスの影響もありますが、反面では、印刷物の一部または全部の電子化による印刷需要の減少、ページ数の減少や特定製品の受注量減少等、当社グループの売上にマイナス影響を与えるケースもあります。こうしたリスクを軽減するために、法制度の影響を受けにくいサービス・ソリューション、新たな事業領域の開拓を中期経営戦略の重要課題として掲げ、重点的な投資・開発を行っています。
(4)証券市場の変動による受注影響リスク
当社グループが受注する製品・サービスのうち、株式の新規上場(IPO)やファイナンス、投資信託に付随する目論見書・販売用資料等の売上は、証券市場の好不況によって受注量が変動するため、証券市場の変動は業績に影響を与える可能性があります。当社グループはこうしたリスクを軽減するため、株主総会招集通知、有価証券報告書、四半期報告書等の継続開示書類や、お客様の業務効率化や正確性の向上に資するシステムサービス・コンサルティングサービス、IR関連製品・サービス等、証券市況の影響を受けにくい製品の受注拡大に取り組んでいます。
(5)事業の季節変動リスク
当社グループ売上の約3分の2を占める事業会社向け製品・サービスの顧客のうち、約65%が3月決算会社であるため、決算及び株主総会関連製品の受注が集中する第1四半期の売上収益が、以下の表のとおり最も多くなっております。このため、第1四半期の受注動向は通期業績への影響が大きく、対応する生産キャパシティの確保は重要な課題です。また、その他の四半期においては受注量が第1四半期よりも少ないことから、過剰な生産キャパシティの保有は収益を悪化させるリスクがあります。当社ではこうした受注量の変動に対して、自社製造ラインの生産効率を高めて内製率を向上させるとともに、最繁忙期に有力な業務委託先を活用することで、キャパシティの確保とコスト低減のバランスをとった生産体制を構築しています。加えて、金融商品関連、開示支援システム、BPO、データベース等、比較的季節変動が少なく、通年の需要が見込まれるサービス領域の拡大にも注力しています。
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(2023年3月期) |
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第1四半期 (4-6月期) |
第2四半期 (7-9月期) |
第3四半期 (10-12月期) |
第4四半期 (1-3月期) |
年度計 |
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売上収益 (百万円) |
10,976 |
5,042 |
5,213 |
5,572 |
26,804 |
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構成比 (%) |
40.9 |
18.8 |
19.5 |
20.8 |
100.0 |
(6)他社との競合による収益影響リスク
当社の中核事業である上場会社ディスクロージャー・IRや金融商品ディスクロージャー分野においては、それぞれ競合会社が存在します。当社の提供する製品・サービスに対して競合会社も対抗する製品・サービスを提供しているため、新たなお客様の受注といった場面において、ソリューションの差別性、品質の優位性、サポートの充実度、価格の優位性といった面で競争が日々行われています。その結果シェアの変動や受注単価の低下等の変化が起き、当社の売上や利益の変動につながる可能性があります。こうした不可避の状況を踏まえ、当社は提供サービスの品質・機能の向上を図るとともに、お客様の業務をより幅広い視点から支援する新たなソリューションの開発、BPOサービスの提供、競合が少なく当社の強みが生かせる新たな事業領域の開発等によって、競合リスクからの回避と成長・収益機会の拡大を図っています。
(7)自然災害やパンデミックによる事業継続リスク
大規模地震及び風水害等の自然災害や、新型コロナウイルス感染症を始めとしたパンデミックが発生した場合、当社事業の中核である開示書類作成支援業務の停止・中断の発生リスクがあります。株主総会招集通知や有価証券報告書等の法律で定められた書類作成の停止は、お客様企業の重要な意思決定や資金調達等に影響し、ひいては資本市場の機能にも影響する可能性があります。
当社グループではこうしたリスクに対し、事業継続に係る各種規程に基づいた物的・人的両面での対策を講じております。物的対策としては、上記(2)に記載のとおり、システムの冗長化等を通じて、不測の事態においても情報システムの中断・停止を最小限に留めるための体制を構築しております。また、人的対策としては、社員の安全確保を図りつつ、リモートワークの推進や他拠点への業務移管等により、リスク分散を行い、お客様の開示を確実に遂行いただくための支援体制を構築しております。
当社の書類作成プロセスの多くはデジタル化・ペーパーレス化されていますが、印刷工程等社員の出勤が不可欠なプロセスもあります。当社グループでは、今般の新型コロナウイルス感染症への対策として、前述の施策のほか、時差出勤や交代制勤務・オフィスの分散等の感染防止施策を立案・推進することで、開示支援業務の継続と社員の安全確保の両立を図っております。
(8)M&A及び資本業務提携等に関するリスク
当社グループは事業領域の拡張及び外部リソースの活用等を目的として、他企業の買収、他企業への出資、他企業との提携及び協力体制構築等を行うことが考えられます。M&A等を実施する場合には、事前の精査等によって、対象企業又は事業等のリスク及び収益性、投資回収の可能性等を検討しておりますが、特にIT分野では需給の関係により売主の希望額が高騰することがあります。そうした要因等によってM&A等が実施された場合、一時費用の増加などが見込まれ、一時的に業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、何らかの理由により、当初見込んだとおりの収益や投資回収が進まなかった場合、のれんの減損等によって当社の業績に影響を与える可能性があります。
(9)人財の確保・育成に関するリスク
当社グループは、受注量の増大や事業領域の拡大に対応するため、人財の確保や育成が今後の成長において重要であると考えております。特に「非印刷分野」を中心とした成長領域においては専門的な知識・経験を持ったプロフェッショナル人財の確保が急務となっており、これに対応した人事制度の見直しや社内での教育制度の整備等に注力しておりますが、優秀な人財の獲得や育成が計画通りに進まなかった場合、長期的視点から、当社グループの事業展開、業績及び成長見通しに影響を及ぼす可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
① 経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルスに対応する行動制限や経済活動の制限が緩和されたことで、個人消費に持ち直しの動きがみられました。その結果、企業業績については総じて改善傾向がみられました。一方、ロシアのウクライナ侵攻に伴う資源価格の高騰に加え、欧米中央銀行の利上げによる円相場の急落や物価の急速な上昇等、景気の先行きは依然不透明な状況が続いています。当社事業と関連性が強い国内証券市場においては、急速な円安進行を背景に、日経平均株価が27,000円台前半を中心に推移しました。前年同期の日経平均株価は28,000円台前半を中心に推移しており、当連結会計年度は同株価水準を下回る結果となりました。
このような状況の中、当連結会計年度は、期初の2022年4月に東京証券取引所の新市場区分がスタートしました。新市場区分のうちプライム市場では、改訂コーポレートガバナンス・コードについて、より高水準のガバナンスを求める原則が適用されました。そのため、特にプライム市場の上場会社による株主・投資家への情報提供をさらに強化する動きが高まり、関連製品である株主総会招集通知や英文翻訳サービス等の増収につながりました。一方で、欧米中央銀行の利上げや、それに伴う円相場の急落を背景に、J-REIT市場や外国債券が前年同期に比べて軟調であったこと等から、関連製品の受注が減少しました。これらの結果、当連結会計年度の連結売上収益は、前年同期比662百万円増(同2.5%増)の26,804百万円となりました。
売上原価は、受注増に対応するため労務費や外注費が増加したほか、開示書類作成支援システムのバージョンアップ費用や資源価格の高騰に伴う印刷用紙代の値上げ等により、1,057百万円増加しました。これにより売上原価率は、前年同期比2.4ポイント増の63.8%となりました。この結果、売上総利益は前年同期比394百万円減(同3.9%減)の9,692百万円となりました。また、販売費及び一般管理費は、業務効率化・経費削減に努めたことや新型コロナウイルス拡大に伴うDX投資等スポット費用の反動減により、前年同期比123百万円減(同1.6%減)の7,451百万円となり、販売費及び一般管理費率は前年同期比1.2ポイント減の27.8%となりました。これらの結果、営業利益は前年同期比271百万円減(同10.9%減)の2,212百万円となりました。
また、金融収益を90百万円、金融費用を6百万円、持分法による投資利益を96百万円それぞれ計上し、税引前利益は前年同期比233百万円減(同8.9%減)の2,391百万円となりました。これらの結果、親会社の所有者に帰属する当期利益は前年同期比145百万円減(同8.2%減)の1,618百万円となりました。
当社グループの事業セグメントは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 6.セグメント情報」に記載のとおり、ディスクロージャー関連事業の単一セグメントでありますが、取扱製品を区分した売上収益の概況は、次のとおりであります。
<上場会社ディスクロージャー関連>
主力製品である株主総会招集通知については、改訂コーポレートガバナンス・コードへの対応がさらに拡大し、カラー化・情報拡充が進展しました。また、株主総会資料の電子提供措置に対応するため、多くの上場会社が定款変更を実施したことによるページ数増加や、個人株主数の増加により受注単価が上昇しました。加えて、働き方改革による業務効率化ニーズが根強く、開示書類作成アウトソーシングサービスの受注が増加しました。これらの結果、上場会社ディスクロージャー関連の売上収益は、前年同期比465百万円増(同4.1%増)の11,733百万円となりました。
<上場会社IR関連等>
昨年4月に東京証券取引所の新市場区分がスタートし、英文開示や非財務情報開示の拡充等を求めるプライム市場向けのコーポレートガバナンス・コードが適用されました。それに伴って、決算短信や株主総会招集通知等の英文翻訳サービスが順調に拡大したほか、非財務情報関連のコンサルティングの受注も増加しました。加えて、株主との対話促進のため、株主総会のビジュアル化サービス・バーチャル株主総会支援サービスの増収も寄与しました。これらの結果、上場会社IR関連等の売上収益は、前年同期比499百万円増(同7.2%増)の7,413百万円となりました。
<金融商品ディスクロージャー関連>
国内の投資信託市場は、一部ファンドの新規設定が減速したものの、定期製品である運用報告書の受注が増加しました。一方、欧米中央銀行の利上げや、それに伴う円相場の急落を背景に、J-REIT市場は海外投資家の買い手控え等により軟調だったほか、外国債券の発行が前年同期に比べて減少したことから、関連製品の受注が減少しました。これらの結果、金融商品ディスクロージャー関連の売上収益は、前年同期比263百万円減(同3.8%減)の6,627百万円となりました。
<データベース関連>
データベース関連では新規顧客の受注に努めたものの、既存顧客との契約更改に際し、一部解約や単価ダウンがありました。その結果、データベース関連の売上収益は、前年同期比39百万円減(同3.7%減)の1,031百万円となりました。
(製品区分別売上収益)
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区分 |
前連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
増減 (△印減) |
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金額 (千円) |
構成比 (%) |
金額 (千円) |
構成比 (%) |
金額 (千円) |
増減率 (%) |
|
|
上場会社ディスクロージャー 関連 |
11,267,332 |
43.1 |
11,732,711 |
43.8 |
465,379 |
4.1 |
|
上場会社IR関連等 |
6,913,985 |
26.4 |
7,413,206 |
27.7 |
499,221 |
7.2 |
|
金融商品ディスクロージャー 関連 |
6,889,936 |
26.4 |
6,626,635 |
24.7 |
△263,301 |
△3.8 |
|
データベース関連 |
1,070,596 |
4.1 |
1,031,487 |
3.8 |
△39,109 |
△3.7 |
|
合計 |
26,141,848 |
100.0 |
26,804,039 |
100.0 |
662,191 |
2.5 |
(注)金額は販売価格によっております。
② 資産、負債及び資本の状況
当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べ1,358百万円増加し、36,918百万円となりました。
流動資産は3,995百万円減少し、13,534百万円となりました。主な要因は、現金及び現金同等物の減少4,634百万円と、営業債権及びその他の債権の増加550百万円等であります。非流動資産は5,353百万円増加し、23,384百万円となりました。主な要因は、のれんの増加4,668百万円と、その他の金融資産の増加402百万円等であります。
当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べ376百万円増加し、12,482百万円となりました。
流動負債は330百万円増加し、6,622百万円となりました。主な要因は、営業債務及びその他の債務の増加103百万円と、その他の流動負債の増加124百万円等であります。非流動負債は46百万円増加し、5,860百万円となりました。主な要因は、リース負債の減少249百万円と、退職給付に係る負債の増加116百万円と、その他の非流動負債の増加85百万円等であります。
当連結会計年度末における資本合計は、前連結会計年度末に比べ983百万円増加し、24,436百万円となりました。主な要因は、親会社の所有者に帰属する当期利益1,618百万円の計上による増加と剰余金の配当944百万円による減少等であります。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ4,634百万円減少(前年同期比38.0%減)し、当連結会計年度末には7,574百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は3,600百万円(前年同期は3,843百万円の獲得)となりました。収入の主な内訳は、税引前利益2,391百万円に対し、非資金損益項目等の調整を加減した営業取引による収入4,379百万円、利息及び配当金の受取額59百万円であり、支出の主な内訳は、法人所得税の支払額832百万円等であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は6,478百万円(前年同期は1,609百万円の使用)となりました。支出の主な内訳は、無形資産の取得による支出1,306百万円、子会社の支配獲得による支出4,809百万円等であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は1,762百万円(前年同期は2,894百万円の使用)となりました。支出の主な内訳は、リース負債の返済による支出811百万円、配当金の支払額945百万円等であります。
④ 生産、受注及び販売の実績
当社グループ(当社及び連結子会社9社)の事業セグメントは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 6.セグメント情報」に記載のとおり、ディスクロージャー関連事業の単一セグメントでありますが、生産、受注及び販売の実績については、上場会社ディスクロージャー関連、上場会社IR関連等、金融商品ディスクロージャー関連、データベース関連の4製品区分で示しております。
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績を製品区分別に示すと、次のとおりであります。
|
製品区分別の名称 |
当連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
|
上場会社ディスクロージャー関連 |
(千円) |
11,732,711 |
104.1 |
|
上場会社IR関連等 |
(千円) |
7,413,206 |
107.2 |
|
金融商品ディスクロージャー関連 |
(千円) |
6,626,635 |
96.2 |
|
データベース関連 |
(千円) |
1,031,487 |
96.3 |
|
合計 |
(千円) |
26,804,039 |
102.5 |
(注)金額は販売価格によっております。
b.受注実績
当連結会計年度の受注実績を製品区分別に示すと、次のとおりであります。
|
製品区分別の名称 |
受注高 (千円) |
前年同期比 (%) |
受注残高 (千円) |
前年同期比 (%) |
|
上場会社ディスクロージャー関連 |
11,577,401 |
100.1 |
2,506,537 |
94.2 |
|
上場会社IR関連等 |
7,694,857 |
104.3 |
1,843,771 |
118.0 |
|
金融商品ディスクロージャー関連 |
6,666,646 |
94.4 |
1,678,903 |
102.4 |
|
データベース関連 |
1,037,658 |
92.5 |
190,676 |
103.3 |
|
合計 |
26,976,562 |
99.5 |
6,219,887 |
102.9 |
(注)金額は販売価格によっております。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績を製品区分別に示すと、次のとおりであります。
|
製品区分別の名称 |
当連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
|
上場会社ディスクロージャー関連 |
(千円) |
11,732,711 |
104.1 |
|
上場会社IR関連等 |
(千円) |
7,413,206 |
107.2 |
|
金融商品ディスクロージャー関連 |
(千円) |
6,626,635 |
96.2 |
|
データベース関連 |
(千円) |
1,031,487 |
96.3 |
|
合計 |
(千円) |
26,804,039 |
102.5 |
(注)主要な販売顧客については、該当するものはありません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 経営成績等の分析
当社グループの当連結会計年度の売上収益は前年同期比662百万円増(同2.5%増)の26,804百万円となりました。その要因や市場背景を含めた各製品分野の特記事項についてご説明いたします。
<上場会社ディスクロージャー関連>
当分野の売上収益は、前年同期比465百万円増(同4.1%増)の11,733百万円となりました。主な増収要因は、当社主要製品である株主総会招集通知の受注単価が上昇したことによるものです。その背景の一つとして、コーポレートガバナンス・コードが改訂され、上場会社による情報開示の充実の動きがさらに高まったことが挙げられます。そのため、株主総会招集通知の情報量の拡大やカラー化が進展しました。また、株主総会招集通知の電子提供制度に対応するため、多くの上場会社が定款変更議案を付議し、印刷ページ数が増加したことや、個人株主数の増加により印刷部数が増加したことで受注単価が上昇いたしました。加えて、働き方改革の推進やコロナ禍を契機とした業務効率化やアウトソースニーズが根強く、開示書類作成アウトソーシングサービスが拡大しました。
一方、国内証券市場が前年同期の株価水準に比べて低調であったことから、IPO・ファイナンス関連製品は減収となっております。
なお、株主総会招集通知の電子提供制度は本年3月に導入されましたが、導入初年度においては、全体の約70%の会社が従来どおり株主総会招集通知の全ページを印刷(フルセットデリバリー)する状況にあります。残り30%の会社で生じた印刷ページ数の減少は、電子化に対応したドキュメント作成やWebでの保管・掲載をサポートする「招集通知電子化対応サービス」の導入でカバーすることができました。
当社は今後も制度変更やお客様ニーズに対応するサービスの提供に取り組むことで、顧客数の増加と1社当たり売上収益の増加による成長力の向上を図ってまいります。
<上場会社IR関連等>
当分野の売上収益は、前年同期比499百万円増(同7.2%増)の7,413百万円となりました。主な増収要因は、英文翻訳サービスや非財務情報関連コンサルティングの受注が増加したことによるものです。これは、2022年4月にプライム市場向けコーポレートガバナンス・コードが適用され、英文開示の促進や気候変動等のサステナビリティ情報開示の充実がさらに求められたことが背景にあります。特に英文翻訳サービスについては、株主総会招集通知の翻訳受注社が前年同期比約170社増の約750社となり、決算短信の翻訳受注件数は前年同期比約600件増の約2,000件と順調に拡大いたしました。
また、株主との対話促進のため、株主総会のビジュアル化やバーチャル株主総会支援等の株主総会支援サービスの増収も寄与しました。株主総会支援サービスについては、今後のさらなる体制強化等を図ることを目的とし、2023年3月に株式会社シネ・ホールディングス及びその傘下の株式会社シネ・フォーカスを連結子会社化いたしました。同社の業績は、2024年3月期から当製品区分において寄与いたします。
一方、株主総会招集通知のカラー化に伴い、株主通信の受注量の減少傾向が続いております。
上場会社が投資家との対話充実や非財務情報開示の充実を図る傾向は、今後も継続すると想定されることから、当社では今後も対応するサービスの提供体制の強化に取り組んでまいります。
<金融商品ディスクロージャー関連>
当分野の売上収益は、前年同期比263百万円減(同3.8%減)の6,627百万円となりました。主たる減収要因は、欧米中央銀行の利上げや、それに伴う円相場の急落等を背景に、外国債券の発行が前年同期に比べて減少し、関連製品の受注が減少したことにあります。加えて、J-REIT市場においても、海外投資家の買い手控え等により軟調であったこともその要因の一つであります。
国内の投資信託市場においては、主に個人投資家を対象とした公募投資信託への資金流入が続いており、当該純資産額も増加傾向にあります。このような状況の下、一部ファンドの新規設定は減速したことで、関連製品である目論見書の受注は減少したものの、定期製品である運用報告書の受注が増加しております。
今後、投資信託分野の目論見書や運用報告書等については、ペーパーレス化がさらに進むことが想定されます。このような中、金融商品の開示実務を効率化するシステムサービスの導入促進・機能拡張を進めるとともに、Webサービス等のデジタルサービスの拡大等、新領域への拡張に引き続き取り組んでまいります。
<データベース関連>
当分野の売上収益は、前年同期比39百万円減(同3.7%減)の1,031百万円となりました。これは、企業情報データベース「eol」及び経済統計・ファイナンスデータベース「INDB」ともに、ターゲットである大学・シンクタンク・金融機関等の新規顧客の受注獲得に努めたものの、既存顧客との契約更改に際し、一部解約や単価ダウンが発生したことが要因となります。
当連結会計年度が前年同期比662百万円の増収となったことに対し、営業利益が前年同期比271百万円の減益になった主な要因についてご説明いたします。
利益面につきましては、売上原価が前年同期比1,057百万円増加し、増収分を上回ったことで減益となりました。売上原価の増加要因は、主に労務費・外注費であります。まず労務費については、受注増に伴って増加したほか、上場会社向け開示書類作成支援システムのバージョンアップに伴い、旧システムからのデータ移行等の費用が発生しました。また、プライム市場向けコーポレートガバナンス・コード適用により英文開示の需要が拡大し、受注が急激に増加したことで、英文翻訳サービスに関連する外注費が増加しました。
一方、販売費及び一般管理費は、新型コロナウイルス拡大に伴うDX投資等の反動減等により、前年同期比123百万円減となったものの、営業利益は2,212百万円(前年同期比10.9%減)となり、営業利益率は前年同期比1.2ポイント減の8.3%となりました。
② 資本の財源及び資金の流動性
当社グループの当連結会計年度の営業キャッシュ・フローは3,600百万円であり、当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、7,574百万円保有しております。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、資金調達は自己資金を基本とし、必要に応じて金融機関からの借入を行っております。強固な財務基盤を維持しつつ営業キャッシュ・フローにより得られた資金を、開示実務支援システム等の開発投資や配当等の株主還元へと配分しております。
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、主に設備投資等によるものであります。
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。
なお、当連結会計年度末における有利子負債の残高は借入金及びリース負債を含む3,336百万円となっております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(以下「連結財務諸表規則」という。)第93条の規定によりIFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成に当たって、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針 4.重要な会計上の見積り及び判断」に記載しております。
該当事項はありません。
該当事項はありません。