文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループが提供する本質的な価値は、「お客様にとって専門性が高すぎるため対応が難しい『お客様にとってのノンコア業務=お客様のニッチな業務』を『当社のコア業務』として置き換え、当社の専門性をもって遂行し、お客様が本来行うべきコア業務に集中頂ける時間を創出して差し上げること」と考えております。
このような考えのもと、当社はこれまで事業会社並びに金融商品のディスクロージャー・IR実務支援を主たる事業とし、お客様企業から投資家への適正かつ迅速な情報開示を支援するため、高い専門性を基盤としたコンサルティングサービスと、開示実務の精度と効率を高める独自のシステムサービスを中核に、印刷、物流等を含めトータルなサービスを提供してまいりました。
2020年12月に創業90周年を迎え、様々な分野で専門性を磨き、他の追随を許さないところまで高めていくこと、そして、新たなビジネス領域へチャレンジすることが、当社グループのさらなる発展に繋がることから、事業ドメインがディスクロージャー・IR領域に限定されていた経営理念を見直し、「情報コミュニケーション」、「ドキュメンテーション」の領域で、「世界で類のない、専門性に特化したニッチトップ企業グループ」を目指す新たな経営理念に刷新いたしました。
<<プロネクサスグループ 新・経営理念>>
< MISSION >当社の社会的使命と存在意義
私たちプロネクサスグループは、情報コミュニケーションとドキュメンテーションを支えるプロフェッショナルとして社会・経済の永続的発展に貢献いたします。
< VALUE > MISSION実現のために追求し発揮すべき価値
① PROfessional(専門性) 専門性でお客様の実務を支える
② PROper(適正性) 正確かつ適正なサービスを提供する
③ PROmpt(迅速性) お客様のニーズにいち早く応える
④ PROgress(革新性) 革新的なサービスを創造する
⑤ PROsocial(社会性) 社会と共生する視点をもつ
< VISION > 当社の本質的価値と目指すべき姿
世界で類のない、専門性に特化したニッチトップ企業グループへ
当社グループは、上記の経営理念に加えて、企業市民としての社会・環境面における行動基準、事業会社としてのビジネスにおける行動基準を定め、当社グループ内への経営方針の浸透を図るとともに、今後も社会・経済の永続的な発展に貢献してまいります。
(当社グループのビジネスモデル:事業を通じた社会的価値・経済的価値の創造プロセス)
(2)経営環境とそれに対応する経営戦略
当社グループの事業と関連性の強い資本市場においては、市況の好不調や関連法制度の改正等、当社グループに影響を与える環境変化が常に起こります。これに対して、市況の影響を受けにくいサービスの強化や新たな制度に対応するサービスの開発を通して、事業領域の拡大を続けてまいりました。
近年においては、ディスクロージャー分野の電子化が大きく進みました。金融庁の電子開示システム「EDINET」は一定期間ごとにバージョンアップを実施しており、同システムにおける開示書類専用データ「XBRL」も順次高度化や適用範囲の拡大が行われています。これらに対応したお客様の開示実務をインフラとして支えるシステムサービス・コンサルティングサービスが、当社事業の大きな柱となっています。
また、直近では上場会社を中心に開示書類の電子化やコーポレートガバナンス・コードへの対応、非財務情報開示の充実等が求められています。これらに対応するWeb・英文翻訳・非財務情報開示支援・BPO等、非印刷分野のサービスが当社の成長ドライバーとなっています。
今後も引き続き情報開示の拡充と株主・投資家との対話充実が求められる中、東証プライム上場会社への適時開示情報等の日英同時開示が義務化され、英文翻訳ニーズの増加を見込んでいます。また、少子高齢化が進み、国内企業においては労働力の確保がますます困難になっていきます。加えて、多様で柔軟な働き方が求められ、人財採用支援や業務効率化ニーズも継続すると予想しています。
一方、2023年3月開催の株主総会から当社の主力製品の一つである株主総会招集通知が電子化されました。加えて、金融商品ディスクロージャー分野における投資信託目論見書及び運用報告書の電子交付制度が2025年4月に本格導入され、これらの電子化・ペーパーレス化により当社の印刷製品の需要が今後減少することを想定しています。また、東京証券取引所の市場改革等により当社の主要顧客である上場会社数は、今後緩やかに減少することを見込んでいます。
このような事業環境を踏まえ、既存ディスクロージャー・IR領域では優良な顧客資産を有効活用することに加え、当社グループのさらなる成長のため、「中期経営計画2024」(以下、前中計)で取り組んだ新たなビジネス領域を本格的に展開することが最重要課題であると認識し、下記(4)に記載の「新中期経営計画2027」を推進していきます。
(3)会社の対処すべき課題
事業環境が大きく変化する中で、事業領域の拡張、競争力・収益力・顧客満足の向上に努めてまいります。
① ディスクロージャー分野の電子化・ペーパーレス化、開示制度の変化に対応した既存ビジネスの強化と拡張
② 企業イベント・人財採用支援・BPO領域等の新たなビジネス領域の拡大
③ 積極的なDX投資によるシステムサービスの機能開発やAIを活用した商品開発
④ 新領域の専門人財の確保育成とM&A・アライアンス推進による外部リソースの活用
⑤ ESG・サステナビリティ戦略の推進
⑥ 制作・製造プロセスの電子化対応と生産性向上・収益性改善
(4)「新中期経営計画2027」(以下、新中計)について
① 新中計立案の背景と当社グループの方向性
当社は、上記(3)に記載した課題に対応するため、2025年4月から2028年3月までの3か年にわたる新中計を2025年5月に策定いたしました。
前述の通り、当社は2020年に“ディスクロージャー・IR”領域に限定されていた経営理念を見直しました。新たに「情報コミュニケーション」、「ドキュメンテーション」を事業ドメインとし、2030年の創業100周年に向け「世界で類のない、専門性に特化したニッチトップ企業グループへ」を目指すビジョンを設定しました。
② 2030年時点の当社グループの方向性・事業イメージ
新中計は2030年ビジョン達成に向けたマイルストーンとして位置付け、その実現性の確度を高めるため、具体的な当社グループの方向性と事業イメージを以下の通り立案することといたしました。
事業環境の不確実性が増す中、上場会社を中心にサステナビリティ情報や人的資本などの非財務情報開示の拡充と各ステークホルダーとの対話の充実が今後益々求められます。当社はこれまで培ったノウハウを活かし、株主・投資家に限らず求職者や社員、クライアント等、各ステークホルダーと上場会社をワンストップでつなぐ「コーポレートコミュニケーション支援」会社へ進化することを目指します。
また、2030年時点(2031年3月期)において、既存ディスクロージャー・IR領域は過去の安定的な業績トレンドを前提とし、前中計での新たなビジネス領域での取り組みを一定規模にスケールさせるほか、重要な成長ドライバーとしてM&Aによる事業領域拡大を加えることを条件に連結売上収益のイメージとして400億円を設定しました。
③ 新中計の重点戦略・主な施策
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重点戦略 |
主な施策 |
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a |
既存ディスクロージャー・IR 事業の強化戦略 ~優良な顧客資産の有効活用~ |
・ 主要製品(株主総会招集通知・有価証券報告書)のシェア向上 ・ 日英同時開示に対応した翻訳サービスの拡充 ・ 投資信託目論見書のペーパーレス化に伴う新サービス導入と |
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b |
新たなビジネス領域の成長戦略 ~前中計の取り組みを本格展開~ |
・ 株主総会・IRイベントの受注拡大と社内企業イベントの販促 ・ アライアンスも活用した人財採用支援ビジネスの拡大 ・ 開示BPOサービスの継続強化と連結決算支援業務等の |
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c |
ESG・サステナビリティ戦略 |
・ サステナビリティ情報開示支援サービスの拡充とゼロカーボン ・ 新規事業に対応する人財育成と働きやすい職場環境の整備 ・ グループマネジメントと情報セキュリティの強化 |
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d |
キャッシュアロケーション |
・ システムサービスを中心とした積極的なDX投資 ・ 既存事業・新規事業両面でのM&A実施 ・ 株主還元の重視(配当性向50%以上、機動的な自己株式取得の |
④ 新中計の業績目標
上記③の重点戦略・主な施策により、以下の数値を達成することを新中計の目標といたします。
前提条件として、主に投資信託目論見書のペーパーレス化や招集通知電子化進展による印刷売上減少のマイナス影響を織り込んでおります。また、英文翻訳サービスの受注増や新たなビジネス領域と位置付けるイベント関連事業、人財採用支援サービス等の拡大に伴う増収を織り込み策定しています。
なお、当連結会計年度において連結子会社ののれんに係る減損損失や関係会社株式売却益の計上がありましたが、利益目標においては特殊な増減要因を現段階で想定しておりません。一方、前述の通り当社は新中計においてM&Aを重要な成長ドライバーと位置付けており、今後も積極的に検討してまいります。新中計の推進にあたり本業の営業利益を明確にするため、M&Aに起因する減損損失等の非経常的な損益を除く“コア営業利益”を次の通り開示いたします。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次の通りであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)ガバナンス
当社グループは、経営理念に当社が発揮すべき価値のひとつとして「PROsocial(社会性)社会と共生する視点をもつ」を掲げており、その具体的な行動基準として、以下のとおりプロネクサスグループ「社会・環境行動基準」を定めております。本行動基準は、社会的な要請が高まっているESGの各課題と、継続的な情報開示にそれぞれ対応しています。当社グループはこれらの経営理念・行動基準に基づいた事業活動を推進することで、当社グループの成長力とともに、事業の持続可能性を高めてまいります。
<<プロネクサスグループ「社会・環境行動基準」>>
① 法令遵守と機密保持(事業の基盤に係る最重要基準)
② フェア&オープン(公平な開示、対反社会的勢力)
③ 人権と人財の尊重(グループ内外の人権・人財尊重と安全衛生)
④ 環境配慮と社会貢献(環境対策と災害援助・社会文化貢献)
⑤ コーポレートガバナンスの追求(企業価値を高める最適なコーポレートガバナンスを追求)
また、当社グループは今後事業を拡大していくにあたり、サステナビリティの視点に立った当社の社会的責任もより大きくなっていくと考えています。経営環境や社会課題の変化に対し、当社の事業特性を踏まえた重点課題を特定して確実に取り組み、中長期的な成長力と持続可能性を高めていくこと、また当社グループの事業を通じて持続可能な社会の実現に貢献することを目的に、2022年4月に「サステナビリティ委員会」を設置いたしました。
本委員会は当社取締役会・経営会議の下に設置され、当社グループの気候変動を含むサステナビリティをめぐる課題や方針の決定・各部門における取り組みの横断的な検討・検証、必要に応じて取締役会への報告を行っております。本委員会は代表取締役社長を委員長とし、委員は各担当部門の執行役員により構成されています。
当連結会計年度においては、主に気候変動問題への対応を行いました。当社は「環境方針」において2050年にカーボンニュートラルを実現することを目標としていますが、その取り組みをさらに推進するため、2030年までに温室効果ガス排出量(連結スコープ1・2)を2024年3月期に比べて46%削減する目標を新たに設定しました。また、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言に基づくシナリオ分析を行い、リスク・機会の分析及び予測を行いました。
なお、CDP(Carbon Disclosure Project)など国際的なESG評価機関への対応を含め、サステナビリティ情報の開示を継続的に行っており、当社Webサイトにて確認することができます。これまで当社単体のスコープ1・2の温室効果ガス(GHG)排出量について算定・開示を行っておりましたが、当連結会計年度は連結スコープ1・2及び単体スコープ3へ算定・開示対象を拡充しております。
(2)戦略
当社グループはTCFDが提唱するフレームワークに基づくシナリオ分析の手法を用いて、将来の気候変動が当社事業にもたらす影響について分析・予測を行っております。シナリオ分析では、国際エネルギー機関(IEA)や気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が公表する複数の既存シナリオを参照しています。
当該シナリオを基に当社グループで試算したビジネス面及び財務面における影響についての分析結果は、以下の表の通りです。

当社グループにおける、人財の多様性確保を含む人財の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針として、「人権と人財の尊重(グループ内外の人権・人財尊重と安全衛生)」を掲げております。
グループ内外の人権と社員一人ひとりの個性を尊重し、会社の財産である社員(人財)の成長を支援し、社員が安全に健康的にいきいきと働ける職場環境の整備に努めます。また、事業領域の拡大やビジネスモデルが大きく変化している中、多様な人財がその意欲、能力を最大限発揮することで当社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上につなげるという考えのもと、多様な個性、経験、能力を持つ社員一人ひとりの「多様な個の力」を活かす企業文化、職場づくりに向け、人財及び働き方や雇用におけるダイバーシティを推進しております。
取り組みの詳細については、以下当社Webサイトに開示しております。
〇当社Webサイト「サステナビリティページ(社会)」URL
https://www.pronexus.co.jp/sustainability/social/
(3)リスク管理
当社は代表取締役社長を委員長とする「リスク・コンプライアンス委員会」を設置し、気候変動を含む全社リスクの識別及び評価ならびに対策の立案を行っております。気候変動に係るリスク及び機会については、前述の通り、シナリオ分析を用いながら当社グループの事業面及び財務面に影響を及ぼすものを特定し「発生確率」や「影響度」等を指標として、総合的な評価を決定しています。
(4)指標及び目標
当社グループでは、サステナビリティ・ESGに関する取り組みを重要な経営課題として認識しております。2050年にカーボンニュートラルを実現することを目標とし、2030年までに温室効果ガス排出量(連結スコープ1・2)を2024年3月期に比べて46%削減する目標を当連結会計年度において新たに設定しました。そのため、印刷工場での環境マネジメントシステムの推進やゼロエミッション、オフィスでの電力・エネルギー使用量の削減、再生可能エネルギーへの移行等を推進するとともに、当社事業が資本市場のインフラ的な役割を果たしているという認識のもと、安定したサービスを持続的に提供するための環境整備を進めております。当社グループの温室効果ガス排出量に関する指標及び目標は以下の通りです。
目標
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項目 |
2030年 |
2050年 |
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スコープ1+2 |
46%削減(2024年3月期比) |
カーボンニュートラル |
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スコープ3 |
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カーボンニュートラル |
指標
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項目 |
単位 |
2022年3月期 |
2023年3月期 |
2024年3月期 |
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スコープ1 |
t-CO2 |
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スコープ2(ロケーション) |
t-CO2 |
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スコープ2(マーケット) |
t-CO2 |
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スコープ3 |
t-CO2 |
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算定中 |
算定中 |
また、当社は上記「(2)戦略」において記載した、人財の多様性の確保を含む人財の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いております。当該指標に関する実績及び概要は、次の通りであります。
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指標 |
実績 (2024年度) |
概要 |
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現在の全社員に占める女性の割合は30%程度ですが、新卒の入社者は近年男女ほぼ同数であり、管理職候補となる人財層も厚くなってきているため、優秀な人財は性別を問わず管理職へ登用をすすめます。 また次期管理職候補となる役職に積極的に登用した結果、女性の次期管理職候補となる役職者が12名在籍しており、今後女性の管理職者の増加を見込んでいます。 |
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育児介護休業法に対応し社内に育休相談窓口を設置し、過去取得事例の収集と取得事例を相談者へ提供することで育休取得啓発を行った結果、配偶者が出産した男性労働者のうち、4割程度が育児休業を取得する結果となりました。 今後も同運用を継続することで男性労働者の育児休業取得率向上に努めます。 |
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労働者の男女の賃金の差異 (男性の賃金に対する女性の賃金の割合) |
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労働者の男女の賃金の差異は、下記の計算式に基づき算出しています。 女性の平均年間賃金/男性の平均年間賃金×100% ※賃金とは、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず労働の対象として使用者が労働者に支払うすべてのものを対象とする。 当社では、男女において賃金規程等の制度上、昇進・昇給等の運用上及び採用基準上の差を設けておりません。 賃金差異の主な要因としては上位役職者が少ないことと、近年女性社員の採用数が増加した結果、平均勤続年数が男性より約6年少なく相対的に賃金単価の低い労働者が多いことが挙げられます。 (平均勤続年数 男性労働者:14.6年 女性労働者:8.3年) |
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株式会社リンクアンドモチベーションの提供する「モチベーションクラウド」を用いたエンゲージメントサーベイを実施し、その結果分析から求められる課題の共有、課題解決のためのアクションプランの実施、課題にフォーカスしたサーベイ実施による定点観測というPDCAサイクルを回すことで、全社的な職場環境改善を推進しています。 なお、直近数年間のスコアについては標準偏差値50を超えて推移していることから、今後も引き続き課題を「洗い出す・解決する・評価する」ことに継続して取り組み、よりよい環境づくりを実現してまいります。 ※具体的なエンゲージメントスコアについては別表をご参照ください。 |
(注)エンゲージメントスコア=従業員の企業に対する愛着や相互理解、相思相愛度合いを数値化した偏差値です。
「50」が全参加企業・組織の平均となります。
当社グループの経営成績、財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスク及び変動要因と、その他重要と考えられる事項は以下の通りであります。
当社グループでは、これらリスクの発生を十分に認識した上で、発生を極力回避し、また発生した場合に的確な対応を行うための努力を継続してまいります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)インサイダー情報等機密情報の取り扱いに関わるリスク
当社グループはインサイダー情報を始めとした顧客企業の開示前機密データを取り扱うため、「機密保持」は最重要課題であります。万一これらの情報漏洩や情報流出が発生した場合は、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。当社グループでは、こうした事態の発生を抑止するため、別項の「情報セキュリティと事業継続に関わるリスク」への対応を推進するとともに、インサイダー情報の全社的管理体制を構築し推進しています。誓約書の提出、定期的な教育とテストの実施、厳格なルールの制定と運用監視、取り扱いスペースの隔離、関与者の制限、トレーサビリティ体制の整備、定期的な情報セキュリティ委員会の開催と啓発活動等様々な防止策を行っています。
(2)情報セキュリティと事業継続に関わるリスク
当社グループが提供するシステムサービスにおいては、その安定稼働の維持及び重要システムの冗長化に努め、不測の事態に備えたコンティンジェンシープラン(緊急時対応計画)を策定しております。しかしながら、人的過失、事故、サイバー攻撃、災害や停電等の要因によりシステムサービスに重大な障害が発生する可能性があります。
特に、近年のサイバー攻撃手法の巧妙化により、コンピュータウイルスへの感染等による情報漏洩やサービス妨害のリスクが高まっています。当社グループではサイバーセキュリティ対策を経営の重要課題として、経営主導のもと、情報セキュリティ基本方針及び経済産業省の「サイバーセキュリティ経営ガイドライン」に従い、多層防御及びCSIRT(Computer Security Incident Response Team)を中心とした設備面、組織面の施策を実行し、定期的な第三者機関によるリスクアセスメントにて実効性を評価しています。
(3)関連する法律・制度の変化による受注影響リスク
当社グループは、企業のディスクロージャーに係わる法定書類の作成を支援するためのシステムサービス・コンサルティングサービスと周辺の各種サポートを主業務としておりますが、それらの開示書類の多くは会社法と金融商品取引法に規定されております。したがって、法律や関連する諸制度の改正によって、提供する製品とサービスの需要・仕様・内容が変化することがあります。2019年12月に公布された改正会社法に基づき、2023年3月開催の株主総会から導入された株主総会書類の電子化や、2024年4月施行の金融商品取引法に基づく四半期開示制度の変更、改正金商法に基づく投資信託の目論見書や運用報告書等のペーパーレス化はその一例であります。制度改正の結果として法定書類のページ数増や新サービスの導入などのプラスの影響もありますが、反面では、印刷物の一部または全部の電子化による印刷需要の減少、ページ数の減少や特定製品の受注量減少等、当社グループの売上にマイナス影響を与えるケースもあります。こうしたリスクを軽減するために、法制度の影響を受けにくいサービス・ソリューション、新たな事業領域の開拓を中期経営戦略の重要課題として掲げ、重点的な投資・開発を行っています。
(4)証券市場の変動による受注影響リスク
当社グループが受注する製品・サービスのうち、株式の新規上場(IPO)やファイナンス、投資信託に付随する目論見書・販売用資料等の売上は、証券市場の好不況によって受注量が変動するため、証券市場の変動は業績に影響を与える可能性があります。当社グループはこうしたリスクを軽減するため、株主総会招集通知、有価証券報告書、四半期決算短信等の継続開示書類や、お客様の業務効率化や正確性の向上に資するシステムサービス・コンサルティングサービス、IR関連製品・サービス等、証券市況の影響を受けにくい製品の受注拡大に取り組んでいます。
(5)証券取引所の市場ルールの改正による受注影響リスク
当社グループが受注する製品・サービスのうち、ディスクロージャー・IRを中心とした上場会社向けビジネスにおいては、上場会社数の増減が顧客数の増減に直結します。上場会社数は証券市場の好不況に加えて、証券取引所の上場基準など市場ルールの改正によっても変動します。上場基準の厳格化等の改正が行われた場合、上場会社数が減少して当社の上場会社向けビジネスの売上に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループはこうしたリスクを軽減するため、中期経営計画においてディスクロージャー・IRに限定されない「コーポレートコミュニケーション支援」会社に進化する経営戦略を掲げ、企業イベントや人財採用支援等、上場会社数の増減に左右されない新たな事業領域の開拓を推進しています。
(6)事業の季節変動リスク
当社グループ売上収益の約75%を占める事業会社向け製品・サービスの顧客のうち、約60%が3月決算会社であるため、決算及び株主総会関連製品の受注が集中する第1四半期の売上収益が、以下の表の通り最も多くなっております。このため、第1四半期の受注動向は通期業績への影響が大きく、対応する生産キャパシティの確保は重要な課題です。また、その他の四半期においては受注量が第1四半期よりも少ないことから、過剰な生産キャパシティの保有は収益を悪化させるリスクがあります。当社ではこうした受注量の変動に対して、自社製造ラインの生産効率を高めて内製率を向上させるとともに、最繁忙期に有力な業務委託先を活用することで、キャパシティの確保とコスト低減のバランスをとった生産体制を構築しています。加えて、金融商品関連、開示支援システム、BPO、データベース等、比較的季節変動が少なく、通年の需要が見込まれるサービス領域の拡大にも注力しています。
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(2025年3月期) |
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4-6月 |
7-9月 |
10-12月 |
1-3月 |
年度計 |
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売上収益 (百万円) |
11,794 |
6,094 |
6,703 |
6,406 |
30,996 |
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構成比 (%) |
38.0 |
19.7 |
21.6 |
20.7 |
100.0 |
(7)他社との競合による収益影響リスク
当社の中核事業である上場会社ディスクロージャー・IRや金融商品ディスクロージャー分野においては、それぞれ競合会社が存在します。当社の提供する製品・サービスに対して競合会社も対抗する製品・サービスを提供しているため、新たなお客様の受注といった場面において、ソリューションの差別性、品質の優位性、サポートの充実度、価格の優位性といった面で競争が日々行われています。その結果シェアの変動や受注単価の低下等の変化が起き、当社の売上や利益の変動につながる可能性があります。こうした不可避の状況を踏まえ、当社は提供サービスの品質・機能の向上を図るとともに、お客様の業務をより幅広い視点から支援する新たなソリューションの開発、BPOサービスの提供、競合が少なく当社の強みが生かせる新たな事業領域の開発等によって、競合リスクからの回避と成長・収益機会の拡大を図っています。
(8)自然災害やパンデミックによる事業継続リスク・収益影響リスク
大規模地震及び風水害等の自然災害や、新型コロナウイルス感染症のようなパンデミックが発生した場合、当社事業の中核である開示書類作成支援業務の停止・中断の発生リスクがあります。株主総会招集通知や有価証券報告書等の法律で定められた書類作成の停止は、お客様企業の重要な意思決定や資金調達等に影響し、ひいては資本市場の機能にも影響する可能性があります。
当社グループではこうしたリスクに対し、事業継続に係る各種規程に基づいた物的・人的両面での対策を講じております。物的対策としては、上記(2)に記載の通り、システムの冗長化等を通じて、不測の事態においても情報システムの中断・停止を最小限に留めるための体制を構築しております。また、人的対策としては、社員の安全確保を図りつつ、リモートワークの推進や他拠点への業務移管等によりリスク分散を行い、お客様の開示を確実に遂行いただくための支援体制を構築しております。
当社の書類作成プロセスの多くはデジタル化・ペーパーレス化されていますが、印刷工程等社員の出勤が不可欠なプロセスもあります。当社グループではパンデミック対策として、前述の施策のほか、時差出勤や交代制勤務・オフィスの分散等の感染防止施策を立案・推進することで、開示書類作成支援業務の継続と社員の安全確保の両立を図っております。
また、大規模な自然災害やパンデミックが発生した場合、株式会社シネ・フォーカスを中心としたイベント事業において、イベントが中止になるなど事業機会を失う可能性があります。当社グループではこうしたリスクに対し、上述の開示書類作成支援同様に従業員の安全確保を図りつつ、株主総会等の継続性の高いイベントの受注拡大や、オンラインイベントに対応できる設備・インフラの強化に努めております。
(9)M&A及び資本業務提携等に関するリスク
当社グループは事業領域の拡張及び外部リソースの活用等を目的として、他企業の買収、他企業への出資、他企業との提携及び協力体制構築等を行うことが考えられます。M&A等を実施する場合には、事前の精査等によって、対象企業又は事業等のリスク及び収益性、投資回収の可能性等を検討しておりますが、特にIT分野では需給の関係により売主の希望額が高騰することがあります。そうした要因等によってM&A等が実施された場合、一時費用の増加などが見込まれ、一時的に業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、何らかの理由により当初見込んだ通りの収益や投資回収が進まなかった場合や、長期金利の上昇によりのれんの評価に係る割引率が上昇した場合、のれんの減損等によって当社の業績に影響を与える可能性があります。
(10)人財の確保・育成に関するリスク
当社グループは受注量の増大や事業領域の拡大に対応するため、人財の確保や育成が今後の成長において重要であると考えております。特に「非印刷分野」を中心とした成長領域においては専門的な知識・経験を持ったプロフェッショナル人財の確保が急務となっており、これに対応した人事制度の見直しや社内での教育制度の整備等に注力しておりますが、優秀な人財の獲得や育成が計画通りに進まなかった場合、長期的視点から、当社グループの事業展開、業績及び成長見通しに影響を及ぼす可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
① 経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善等を背景に、緩やかな回復基調で推移しました。一方、米国の政策動向による影響や物価上昇、為替相場の変動等、景気の先行きは極めて不透明な状況にあります。また、当社事業と関連性が強い国内証券市場において、当連結会計年度の日経平均株価は米国の景気減速懸念や急速な円高等から一時31,000円台まで下落したものの、国内の景気回復への期待等により概ね38,000円台(前年同期は33,000円台)を中心に推移しました。
このような状況のもと、株主・投資家との対話促進ニーズの高まりや、本年4月からのプライム上場会社における適時開示情報等の日英同時開示の義務化等を背景に、Webサービスや英文翻訳等のIR関連サービスの受注が拡大したほか、上場会社のファイナンス関連製品や投資信託関連における販売会社向けのWebサイト等の販促ツールの受注が拡大しました。当社主力製品である株主総会招集通知は、電子提供制度の導入により印刷ページ数が減少したものの、電子化の進展が想定よりも緩やかであったことに加え、個人株主数の増加に伴う印刷部数の増加や、電子化に対応するサービスの提供によりほぼ前年同期並みの売上となりました。これらの結果、当連結会計年度の連結売上収益は、前年同期比879百万円増(同2.9%増)の30,996百万円となりました。
売上原価は株主総会招集通知電子化の進展による印刷コスト減少の一方、非印刷製品を中心とした受注拡大による外注費の増加、制作体制強化のための人財投資により前年同期比740百万円増(同3.9%増)の19,814百万円となりました。また、招集通知電子化に対応する初期コストは解消されたものの、前述のコスト増により売上原価率は前年同期比0.6ポイント増の63.9%となりました。この結果、売上総利益は前年同期比139百万円増(同1.3%増)の11,182百万円となりました。
販売費及び一般管理費は、主に販売促進費の減少により前年同期比57百万円減(同0.7%減)の8,542百万円となり、販売費及び一般管理費率は前年同期比1.0ポイント減の27.6%となりました。一方、2025年4月21日付公表の「減損損失の計上および通期連結業績予想の修正に関するお知らせ」のとおり、連結子会社ののれんにかかる減損損失2,503百万円をその他の費用に計上したことから、営業利益は前年同期比2,226百万円減(同91.4%減)の209百万円となりました。
また、金融収益を75百万円、金融費用を14百万円、持分法適用関連会社の全株式譲渡に伴う持分法で会計処理されている投資の売却益1,411百万円を計上した結果、税引前利益は前年同期比847百万円減(同33.5%減)の1,682百万円となりました。これらの結果、親会社の所有者に帰属する当期利益は前年同期比1,329百万円減(同74.7%減)の451百万円となりました。
当連結会計年度は大きく減益となりましたが、前述の減損損失の計上が主な要因であり、当社の各製品区分における事業活動は概ね堅調に推移いたしました。
当社グループの事業セグメントは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 6.セグメント情報」に記載のとおり、ディスクロージャー関連事業の単一セグメントでありますが、取扱製品を区分した売上収益の概況は、次のとおりであります。
<上場会社ディスクロージャー関連>
2023年3月開催の株主総会から導入された招集通知の電子提供制度の進展に伴い、当社主力製品である株主総会招集通知の印刷ページ数が減少しました。しかしながら電子化の進展が想定よりも緩やかであったことに加え、個人株主数の増加による印刷部数の増加や、制度変更に対応した新サービスの受注促進によりマイナス影響を補い、期初の計画を上回る結果となっております。
また、堅調な株式市場を背景にファイナンス関連製品の受注が増加したことに加えて、根強い業務効率化ニーズにより開示書類作成アウトソーシングサービスが増収となりました。これらの結果、上場会社ディスクロージャー関連の売上収益は前年同期比348百万円増(同2.9%増)の12,446百万円となりました。
<上場会社IR・イベント関連等>
株主・投資家との対話促進ニーズや社会的要請の高まりを背景に、Webサービスや非財務情報関連ツール作成支援サービスの受注が拡大しました。また、本年4月からのプライム上場会社の日英同時開示の義務化を見据えた英文翻訳サービスが増収となりました。一方、株主通信は作成企業の減少に伴い減収したものの、増収要因がこれらを上回った結果、上場会社IR・イベント関連等の売上収益は前年同期比430百万円増(同4.2%増)の10,657百万円となりました。
<金融商品ディスクロージャー関連>
投資信託関連においては、新NISAの導入に伴う個人投資家の増加を背景に、販売会社向けのWebサイト等の販促ツールの受注が拡大しました。一方、不動産証券関連において前年同期に比べて資金調達が減少したこと等に伴い関連製品の受注が減少したものの、増収要因がこれを上回った結果、金融商品ディスクロージャー関連の売上収益は前年同期比96百万円増(同1.4%増)の6,851百万円となりました。
<データベース関連>
データベース関連では、既存顧客との契約更改に際し一部単価ダウンがあったものの、主要顧客である大学を中心に単価アップや新規顧客の受注に努めた結果、データベース関連の売上収益は前年同期比4百万円増(同0.4%増)の1,042百万円となりました。
(製品区分別売上収益)
|
区分 |
前連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
増減 (△印減) |
|||
|
金額 (千円) |
構成比 (%) |
金額 (千円) |
構成比 (%) |
金額 (千円) |
増減率 (%) |
|
|
上場会社ディスクロージャー関連 |
12,097,670 |
40.2 |
12,446,162 |
40.1 |
348,492 |
2.9 |
|
上場会社IR・イベント関連等 |
10,226,243 |
34.0 |
10,656,528 |
34.4 |
430,285 |
4.2 |
|
金融商品ディスクロージャー関連 |
6,755,447 |
22.4 |
6,851,310 |
22.1 |
95,863 |
1.4 |
|
データベース関連 |
1,037,896 |
3.4 |
1,041,936 |
3.4 |
4,040 |
0.4 |
|
合計 |
30,117,256 |
100.0 |
30,995,936 |
100.0 |
878,680 |
2.9 |
(注)金額は販売価格によっております。
② 資産、負債及び資本の状況
当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べ76百万円増加し、38,660百万円となりました。
流動資産は2,998百万円増加し、18,341百万円となりました。主な要因は、現金及び現金同等物の増加2,857百万円であります。非流動資産は2,922百万円減少し、20,319百万円となりました。主な要因は、のれんの減少2,506百万円等であります。
当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べ639百万円増加し、13,640百万円となりました。
流動負債は1,645百万円増加し、9,127百万円となりました。主な要因は、営業債務及びその他の債務の増加668百万円と、未払法人所得税等の増加445百万円等であります。非流動負債は1,006百万円減少し、4,513百万円となりました。主な要因は、リース負債の減少356百万円と、退職給付に係る負債の減少204百万円等であります。
当連結会計年度末における資本合計は、前連結会計年度末に比べ563百万円減少し、25,020百万円となりました。主な要因は、親会社の所有者に帰属する当期利益451百万円の計上による増加と剰余金の配当1,122百万円による減少等であります。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ2,857百万円増加(前年同期比30.2%増)し、当連結会計年度末には12,309百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は4,286百万円(前年同期は5,325百万円の獲得)となりました。収入の主な内訳は、税引前利益1,682百万円に対し、非資金損益項目等の調整を加減した営業取引による収入5,378百万円、利息及び配当金の受取額67百万円であり、支出の主な内訳は、法人所得税の支払額1,146百万円等であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果得られた資金は597百万円(前年同期は1,713百万円の使用)となりました。収入の主な内訳は、持分法で会計処理されている投資の売却による収入2,385百万円等であり、支出の主な内訳は、無形資産の取得による支出1,284百万円等であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は2,014百万円(前年同期は1,750百万円の使用)となりました。支出の主な内訳は、リース負債の返済による支出809百万円、配当金の支払額1,121百万円等であります。
④ 生産、受注及び販売の実績
当社グループ(当社及び連結子会社7社)の事業セグメントは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 6.セグメント情報」に記載のとおり、ディスクロージャー関連事業の単一セグメントでありますが、生産、受注及び販売の実績については、上場会社ディスクロージャー関連、上場会社IR・イベント関連等、金融商品ディスクロージャー関連、データベース関連の4製品区分で示しております。
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績を製品区分別に示すと、次のとおりであります。
|
製品区分別の名称 |
当連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
|
上場会社ディスクロージャー関連 |
(千円) |
12,446,162 |
102.9 |
|
上場会社IR・イベント関連等 |
(千円) |
10,656,528 |
104.2 |
|
金融商品ディスクロージャー関連 |
(千円) |
6,851,310 |
101.4 |
|
データベース関連 |
(千円) |
1,041,936 |
100.4 |
|
合計 |
(千円) |
30,995,936 |
102.9 |
(注)金額は販売価格によっております。
b.受注実績
当連結会計年度の受注実績を製品区分別に示すと、次のとおりであります。
|
製品区分別の名称 |
受注高 (千円) |
前年同期比 (%) |
受注残高 (千円) |
前年同期比 (%) |
|
上場会社ディスクロージャー関連 |
12,442,313 |
101.7 |
2,637,826 |
99.9 |
|
上場会社IR・イベント関連等 |
10,641,907 |
100.7 |
2,169,177 |
99.3 |
|
金融商品ディスクロージャー関連 |
6,858,966 |
96.8 |
2,019,163 |
100.4 |
|
データベース関連 |
1,045,876 |
101.2 |
190,145 |
102.1 |
|
合計 |
30,989,061 |
100.2 |
7,016,311 |
99.9 |
(注)金額は販売価格によっております。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績を製品区分別に示すと、次のとおりであります。
|
製品区分別の名称 |
当連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
|
上場会社ディスクロージャー関連 |
(千円) |
12,446,162 |
102.9 |
|
上場会社IR・イベント関連等 |
(千円) |
10,656,528 |
104.2 |
|
金融商品ディスクロージャー関連 |
(千円) |
6,851,310 |
101.4 |
|
データベース関連 |
(千円) |
1,041,936 |
100.4 |
|
合計 |
(千円) |
30,995,936 |
102.9 |
(注)主要な販売顧客については、該当するものはありません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 経営成績等の分析
当社グループの当連結会計年度の売上収益は前年同期比879百万円増(同2.9%増)の30,996百万円となりました。その要因や市場背景を含めた各製品分野の特記事項についてご説明いたします。
<上場会社ディスクロージャー関連>
当分野の売上収益は、前年同期比348百万円増(同2.9%増)の12,446百万円となりました。これは堅調な株式市場を背景にファイナンス関連製品の受注増加、開示書類作成アウトソーシングサービスの受注拡大によるものです。
当社の主たる事業領域であるディスクロージャー・IR分野において、非財務情報開示の一層の拡充が求められ、上場会社の開示実務負荷が増加しており、業務効率化を目的としたアウトソーシングサービスの受注件数が増加しております。
また、主力製品である株主総会招集通知関連では、2023年3月開催の株主総会から株主総会招集通知の電子提供制度が導入され印刷ページ数が減少したものの、制度変更に対応した「招集電子化対応サービス」の受注推進や個人株主数の増加による印刷部数の増加等により、前年同期並みの売上収益で推移しました。
当社は今後も制度変更やお客様ニーズに対応するサービスの提供に取り組むことで、顧客数の増加と1社当たり売上収益の増加による成長力の向上を図ってまいります。
<上場会社IR・イベント関連等>
当分野の売上収益は、前年同期比430百万円増(同4.2%増)の10,657百万円となりました。主な増収要因は、Webや英文翻訳、非財務情報関連ツール作成支援サービス等の受注拡大によるものです。これは2022年4月にプライム市場向けコーポレートガバナンス・コードが適用され、気候変動等のサステナビリティ情報開示の充実が求められたことや本年4月からプライム上場会社において適時開示情報等の日英同時開示が義務化されたこと等が背景にあります。
一方株主通信は、株主総会招集通知の情報内容の充実やカラー化の進展により、受注量が減少したことから減収となっております。
上場会社による投資家との対話促進を目的とした非財務情報開示やIR活動の充実は今後も継続することを想定しております。
<金融商品ディスクロージャー関連>
当分野の売上収益は、前年同期比96百万円増(同1.4%増)の6,851百万円となりました。これは主に国内投資信託関連製品の増収によるものです。国内投資信託関連製品においては、新NISAの導入に伴う個人投資家の増加を背景に、販売会社向けのWebサイト等の販促ツールの受注が拡大しました。
一方、不動産証券関連において前年同期に比べて資金調達が減少したこと等に伴い減収となっております。
今後、投資信託分野の目論見書や運用報告書等については、ペーパーレス化がさらに進むことが想定されます。このような中、金融商品の開示実務を効率化するシステムサービスの導入促進・機能拡張を進めるとともに、Webサービス等のデジタルサービスの拡大等、新領域への拡張に引き続き取り組んでまいります。
<データベース関連>
当分野の売上収益は、前年同期比4百万円増(同0.4%増)の1,042百万円となりました。これは、企業情報データベース「eol」及び経済統計・ファイナンスデータベース「INDB」ともに、既存顧客との契約更改に際し、一部解約や単価ダウンがあったものの、ターゲットである大学・金融機関等の新規顧客の受注獲得に努めたことが要因となります。
当連結会計年度が前年同期比879百万円の増収となったことに対し、営業利益が前年同期比2,226百万円の減益になった主な要因についてご説明いたします。
コスト面につきましては、売上原価が前年同期比740百万円増加となりました。売上原価の主な増加要因は、受注拡大による外注費の増加、制作体制強化のための人財投資によるものです。また、販売費及び一般管理費は主に販売促進費の減少により前年同期比57百万円減少となりました。一方、2025年4月21日付公表の「減損損失の計上および通期連結業績予想の修正に関するお知らせ」の通り、連結子会社ののれんに係る減損損失2,503百万円をその他の費用に計上したことから、営業利益は前年同期比91.4%減の209百万円となりました。
② 資本の財源及び資金の流動性
当社グループの当連結会計年度の営業キャッシュ・フローは4,286百万円であり、当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、12,309百万円保有しております。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、資金調達は自己資金を基本とし、必要に応じて金融機関からの借入を行っております。強固な財務基盤を維持しつつ営業キャッシュ・フローにより得られた資金を、開示実務支援システム及びM&A等の成長投資や配当等の株主還元へと配分しております。
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、主に設備投資等によるものであります。
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。
なお、当連結会計年度末における有利子負債の残高は借入金及びリース負債を含む2,710百万円となっております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」第312条の規定によりIFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成に当たって、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要性がある会計方針、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要性がある会計方針 4.重要な会計上の見積り及び判断」に記載しております。
当社は、2024年4月15日開催の取締役会において、持分法適用関連会社である株式会社ミツエーリンクスの全保有株式を譲渡することを決議し、同日、同社代表取締役である髙橋仁氏と株式譲渡契約を締結いたしました。
この譲渡取引は2024年4月26日に完了し、当連結会計期間において当社は株式会社ミツエーリンクスを持分法適用関連会社から除外し、持分法で会計処理されている投資の売却益1,411百万円を計上しております。
該当事項はありません。