(1) 会社経営の基本方針
当社は「Hard+Soft+Heart」を経営理念に掲げ、顧客に満足いただける製品を生み出すためのハードウエア(Hard)と、それに付加されるサービスやアフターサポート、ソリューション提案などのソフトウエア(Soft)に加え、全ての活動に心を込めて顧客に感動やよろこびをお届けしようというハート(Heart)を、何より大切にしております。
(2)目標とする経営指標
当社は長期ビジョンとして、「顧客の圧倒的支持を得るワンストップソリューションを提供し、ロイヤルカスタマー比率を高め続ける」を掲げ、顧客にとっての価値を創出あるいは増大させることにより、顧客との長期的な信頼関係を築き、厳しい市場環境にあっても売上・利益を確保できる企業グループになることを目指しております。顧客価値を高め、その価値に見合った代金をいただくことで利益率を改善し、またそのようなソリューションビジネスの比率を高めることにより、グループ全体の営業利益率を高めることを目標としております。
(3)中長期的な会社の経営戦略
当社グループは、前述致しましたように営業利益率の向上を経営指標としておりますが、それを可能にするための中長期的な経営戦略は、1)顧客にとっての価値の最大化、2)その価値の低コストでの実現、そしてその両方の前提となる、3)社員が健康で高いモチベーションを持って、困難な課題にも取り組む状況を作り出すこと、の3点です。これらは当社グループ各社が従事するすべての事業に共通するものであり、当社グループはこれらにフォーカスして経営を行ってまいります。
(4)会社の対処すべき課題
印刷物(紙媒体)の需要が縮小を続け、価格も低下あるいは低位で推移する状況が長期化し、反転することが考えにくい市場環境において、前述の経営戦略を実行するための課題は、以下のとおりです。
①顧客の置かれている状況とビジネスモデルを深く理解すること
これが「顧客にとっての価値の最大化」のために最も大切であると考えております。当社は印刷業であり、幅広い業界・業種に顧客を持っておりますため、大変大きな課題ですが、これを高い次元で実現することが最優先課題であり、顧客満足度向上のベースとなります。顧客との接触面積を増やし、顧客の立場で考えます。
②価格競争力の向上
顧客にとっての価値を創造出来ても、価格競争力がなければビジネスにつながりません。市場での厳しい競争の中で売上と利益を確保するには、低コスト実現のため、生産性の向上や仕入価格の低減、経費節減、及び業務効率の向上が必要ですが、そのために社員の持つ情報・知恵を総動員し、かつITを最大限活用して、価格競争力の向上に取り組んでまいります。
③生産設備(その種類・能力と配置)の最適化
紙媒体縮小への対応の結果としてビジネス領域が拡大する状況で、社内に持つべき生産設備の種類や能力及び配置を最適化することは、当社にとっての大きな経営課題です。いかに社外の設備を有効活用するかと合わせて検討してまいります。
④半導体関連マスク事業の強化
半導体関連マスク事業関連では、平成28年11月に子会社化した東京プロセスサービス株式会社と、株式会社プロセス・ラボ・ミクロン、当社の3社によるシナジー創出に取り組んでおりますが、それを最大化していくことが課題です。
⑤拡印刷事業の強化
顧客のニーズ(顕在・潜在)を把握した上で、単なる印刷物の提供に留まらない、顧客にソリューションを提供するビジネスモデルの強化が当社の業績拡大には必須です。具体的には、物流・システム開発・データ収集分析・事務局運営・イベント請負、などのサービスをワンストップで提供し、顧客の持つ複数の課題を解決することで顧客価値を創出・増大させ、当社もその価値に見合った代金をいただくことで利益率を改善することを意図しています。
⑥人材育成
経営戦略の3)で述べました、「社員が健康で高いモチベーションを持って、困難な課題にも取り組む状況を作り出す」ために必要な、大変重要な課題です。社員総活躍のための取組みとして、女性活躍のための制度の充実と社員の意識改革、生産性を高めるスマートワーク、実労働時間の短縮、階層別教育訓練制度の充実、などに取り組んでいます。
⑦企業の社会的責任(CSR)への取り組み
当社グループは、社会から信頼され顧客から期待される企業を目指し、内部統制システムの構築、環境配慮活動の推進、コンプライアンスの徹底、情報セキュリティの強化、顧客満足度向上への取り組み、協力会社との関係強化、地域社会への貢献活動、など様々な取り組みを進めてまいりました。今後とも社会的責任を果たすことの重要性を認識し、CSR活動の一層の充実を図ってまいります。
当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクにつきましては、以下のようなものが挙げられます。なお、文中における将来に関する事項につきましては、当連結会計年度末において当社グループが判断しているものです。
① 印刷関連市場(紙媒体)の縮小
当社グループの事業は、印刷事業、及び印刷機械・印刷資材の販売など、国内向け印刷関連市場が中心です。デジタル技術の進展やメディアの多様化が進む中で、印刷関連市場(紙媒体)は長期に渡り縮小し続けており、今後もその傾向が継続することが想定されます。当社グループは、半導体関連マスク事業や、顧客の販売促進支援事業などの拡印刷事業を積極的に展開していますが、印刷関連市場(紙媒体)の縮小が想定を超えて急激に進んだ場合には、業績に大きな影響を与える可能性があります。
② 事業の繁閑
当社グループの事業は、上述の如く国内向け印刷関連市場が中心で、かつカタログ等の商業印刷を主力としていることから、顧客の事業年度に合わせた仕事(4月、1月のタイミングで更新される印刷物や期末の予算消化案件)が多く、特に第4四半期に売上・利益が集中する傾向があります。連結ベースで、第4四半期が年間に占める割合は、過去10会計年度の平均で、売上で28%、営業利益で48%となっており、同時期に何らかのビジネス阻害要因が発生した場合は、業績に大きな影響を与える可能性があります。
③ 受注単価の低下
印刷業界においては、長期に渡り縮小し続けている紙媒体需要に対して供給能力過剰の状態が続いており、それに伴い受注単価は下落または低位安定の状態が続いております。今後印刷関連市場(紙媒体)の縮小が想定を超えて急激に進んだ場合には、価格の下落がさらに進む可能性があります。
④ 原材料等の価格高騰
印刷用紙、インク、印刷用の版など、当社グループが使用する原材料等は、市況やエネルギー価格、為替レートなどにより変動します。原材料等の高騰に対しては、生産性の向上などのコスト低減や経費削減で吸収すべく対応しますが、対応しきれない場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 大口顧客の動向
当社グループには、依存度の高い大口顧客がいくつかあります。継続的な取引関係は当社グループの強みである一方、それら大口顧客の属する業界の好不調、ビジネスモデルや取引方針の変更、企業統合等により取引額が大きく変動する可能性があります。
⑥ 新規事業に関わるリスク
印刷物(紙媒体)の需要の縮小と、価格の低下・低位での推移が今後も継続することが想定される中、半導体関連マスク事業や、顧客の販売促進支援事業などの拡印刷事業を、M&Aを含め積極的に展開しています。しかし、市場環境の悪化や競争の想定以上の激化、M&Aの失敗などにより、印刷・物販事業に次いで柱となるべき事業が思うように育たない場合、会社業績が伸び悩む可能性があります。
⑦ 売掛債権の未回収
当社グループでは、与信管理と債権の回収管理を重視し貸倒れの極少化に努めておりますが、景況や産業構造の変化に伴い、取引先の倒産などによる貸倒れが生じるリスクは常にあるものと認識しております。貸倒れが一定規模以上で発生した場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑧ 災害の発生
当社グループでは、生産拠点の分散化と、製造設備など主要設備に防火・耐震対策を施すとともに、事業継続計画を策定するなどしています。しかし大規模な災害が発生した際には、電力の供給停止や物流網の寸断など、社会的インフラに重大な被害が及ぶ可能性があります。原材料の仕入先や協力工場を含めた生産・流通体制が維持できない場合には、当社グループの活動に大きな影響を与える可能性があります。
⑨ 情報及び情報システムセキュリティ
当社グループでは、多くの顧客情報及び顧客からの受注案件にかかる顧客の機密情報を取り扱っております。その管理には万全を期していますが、予期せぬ事情により情報の流出、不正使用など情報セキュリティにかかるインシデントが発生する恐れがあります。また標的型攻撃メール等によるウイルス感染のリスクが高まっており、情報シス
テムが一定期間機能不全に陥る事態も想定する必要があります。これらインシデントや情報セキュリティ対応のために多額の費用が発生し、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。
① 財政状態および経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、堅調な米国と中国の経済等に支えられ、全体としては期間を通してゆるやかな拡大基調が続きました。また第3四半期まで円安・株高で推移したこともあり企業業績も好調で、業種により差はあるものの人手不足の状態が継続しております。一方海外に目を向けますと、世界経済の成長率は上昇傾向にあるものの、保護主義の台頭懸念、東アジアにおける政治的緊張の高まりや、今後の米中関係、中東情勢、また欧州でポピュリスト政党の勢いが強まっていることなどの不確定要素により、先行きは引き続き不透明な状況です。
印刷業界は、デジタル化の進展により紙媒体需要が縮小し、縮小する市場を取り合う構図により価格が低下するという、大変厳しい状況に長期に渡り置かれております。平成29年(暦年)の日本の広告費を見てみますと、前年比101.6%と小幅ながらも6年連続のプラス成長となりましたが、前年同様インターネット広告が同115.2%と全体をけん引しており、広告費においても紙媒体は減少の一途をたどっている状況です。
そのような印刷業界において生き残るためには、WEBや動画などのデジタル対応はもちろんのこと、印刷業の特性から幅広い産業に分布している顧客基盤を活用して、その業界や顧客のことを深く理解した上で、顕在化しているあるいは潜在的な顧客の困りごと・ニーズにフォーカスして、販売促進のためのワンストップソリューションを提供することが必要であると、当社では考えております。当平成30年3月期は、この顧客価値を増大させるワンストップソリューションを提供するビジネスモデルへの転換準備に注力する1年となりました。
こうした取り組みの結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a. 財政状態
当連結会計年度末の資産の部は、その他資産(うち未収入金)やリース資産の増加などにより、前連結会計年度末に比べ21億83百万円増加し、321億29百万円となりました。
負債の部は、支払手形及び買掛金、リース債務の増加などにより、前連結会計年度末に比べ14億43百万円増加し、164億41百万円となりました。
純資産の部は、利益剰余金の増加などにより前連結会計年度末に比べ7億39百万円増の156億87百万円となり、自己資本比率は48.4%となりました。
b. 経営成績
当社グループの当連結会計年度における売上高は369億13百万円(前期比6.2%増)となりました。利益面では、営業利益7億67百万円(前期比3.1%増)、経常利益7億93百万円(前期比2.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益5億71百万円(前期比6.3%増)となりました。
セグメント別の状況は以下の通りです。
<印刷セグメント 印刷事業>
ITの進展に伴う紙媒体の量的減少、及びそれによりもたらされた競争の激化による価格の低下、という市場の構造は既に長期に渡って存在していますが、当連結会計年度においてはさらにその傾向が強まり、紙媒体の減少がさらに進んだのではないかと見ております。そのような状況を受け、顧客価値を増大させるワンストップソリューションを提供するビジネスモデルへの転換のための活動、具体的にはシステム構築、データ収集・分析、ロジスティクスサービス、事務局運営、各種BPO、販促イベント支援などのサービスレベルをさらに向上させるとともに、それらを複合的に組み合わせたソリューション提案を精力的に行いましたものの、特に、カタログ・チラシなどの商業印刷を主力とする当社の印刷事業の不振が、年間を通して続きました。
<印刷セグメント 半導体関連マスク事業>
当連結会計年度は、世界的に好調な電子部品業界に支えられ、業績は堅調に推移致しました。それに加え、当社、株式会社プロセス・ラボ・ミクロン、東京プロセスサービス株式会社の3社で進めてきたシナジー創出活動である、顧客基盤の補完や、生産・検査キャパシティの相互融通、調達におけるスケールメリットの享受などの効果が少しずつ顕在化してきたことが挙げられます。なお、平成28年11月に子会社化した東京プロセスサービス株式会社の業績が、当連結会計年度には通期にわたって計上され(前年度は第4四半期のみ)、その分業績が上積みされました。
上記の結果、印刷セグメントの売上高は238億24百万円(前期比4.4%増)、営業利益は3億76百万円(前期比11.9%減)となりました。
<物販セグメント 物販事業>
紙媒体の縮小の影響を受け、インクや版などの印刷資材の販売は苦戦致しましたが、品質・環境・効率面での優位性を備えた機械類の販売、及び自社ブランド機械の販売強化に精力的に取り組むと共に、新規開拓に注力致しました。
その結果、物販セグメントの売上高は141億67百万円(前期比10.9%増)、営業利益は3億83百万円(前期比26.4%増)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ3億65百万円増加し、45億55百万円となりました。当連結会計年度末におけるキャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、売上債権の増加3億97百万円に対し、税金等調整前当期純利益8億41百万円、減価償却費8億51百万円や仕入債務の増加6億72百万円などがあったため18億42百万円の収入(前期は13億22百万円の収入)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、固定資産の取得による支出10億31百万円などに対し、固定資産の売却による収入2億56百万円などがあったため、8億18百万円の支出(前期は4億86百万円の支出)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の減少(純減額)3億38百万円、リース債務の返済による支出2億26百万円などがあったため、6億58百万円の支出(前期は7億98百万円の支出)となりました。
③ 生産、受注及び販売の実績
(1)生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
|
セグメントの名称 |
生産高(千円) |
前年同期比(%) |
|
印刷 |
24,453,480 |
5.1 |
|
物販 |
- |
- |
|
合計 |
24,453,480 |
5.1 |
(注)1.生産実績は、販売価額により表示しております。
2.金額は、消費税等抜きの金額で表示しております。
(2)受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
|
セグメントの名称 |
受注高(千円) |
前年同期比 (%) |
受注残高(千円) |
前年同期比 (%) |
|
印刷 |
23,539,972 |
2.6 |
2,044,374 |
△12.2 |
|
物販 |
13,899,894 |
7.9 |
122,149 |
△68.7 |
|
合計 |
37,439,867 |
4.5 |
2,166,524 |
△20.3 |
(注) 金額は、消費税等抜きの金額で表示しております。
(3)販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
|
セグメントの名称 |
販売高(千円) |
前年同期比(%) |
|
印刷 |
23,824,412 |
4.4 |
|
物販 |
14,167,853 |
10.9 |
|
消去 |
△1,078,345 |
28.5 |
|
合計 |
36,913,920 |
6.2 |
(注)1.販売実績は、販売価額により表示しております。
2.金額は、消費税等抜きの金額で表示しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
① 重要な会計方針および見積もり
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成しております。その作成に当たっては、決算日における資産・負債及び当連結会計年度における収益・費用の報告金額、並びに開示に影響を与える見積りを必要としております。
これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会社方針は、第5[経理の状況]の連結財務諸表の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a. 経営成績
当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度(以下「前期」)に比べ21億62百万円増加し、369億13百万円(前期比6.2%増)となりました。印刷セグメントの売上高は前期と比べ10億8百万円増加し238億24百万円(前期比4.4%増)、物販セグメントでは前期比13億93百万円増加し141億67百万円(前期比10.9%増)となりました。
売上原価は、前期に比べ18億45百万円増加し300億74百万円(前期比6.5%増)となり、売上原価率は、前期の81.2%から81.5%へとわずかに悪化致しました。販売費及び一般管理費は、前期に比べ2億93百万円増加し60億72百万円(前期比5.1%増)となりました。この結果営業利益は、前期と比べ23百万円増加し7億67百万円(前期比3.1%増)となりました。
営業外収益は、前期と比べ11百万円減少し1億14百万円(前期比9.3%減)となり、営業外費用は、前期と比べ10百万円減少し87百万円(前期比10.7%減)となりました。この結果経常利益は、前期と比べ22百万円増加し7億93百万円(前期比2.9%増)となりました。
特別利益は、前期と比べ40百万円増加し1億35百万円(前期比41.8%増)となり、特別損失は、前期と比べ56百万円増加し87百万円(前期比180.6%増)となりました。法人税、事業税及び住民税が前期と比べ68百万円減少し2億49百万円(前期比21.5%減)となりました。さらに法人税等調整額が、前期が△24百万円であったのに対して、当連結会計年度は15百万円となりました。この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、前期と比べ34百万円増加し5億71百万円(前期比6.3%増)となりました。
b. 経営成績等に重要な影響を与えた要因
当連結会計年度の経営成績等に重要な影響を与えた要因としては、まず、前述致しましたように、紙媒体需要の縮小がさらに進んだと推測される環境の中、当社の印刷事業が年間を通じて業績が振るわず、売上・営業利益共予定を大きく下回ったことが挙げられます。次に、そのような状況の中、物販セグメント(物販事業)が好調であったことと、半導体関連マスク事業が堅調であったことなどから、公表した業績予想に対して、売上は達成率97.1%と未達であったものの、営業利益は同102.3%、経常利益は同101.8%、親会社株主に帰属する当期純利益は同114.4%と、利益面では予想を上回ったことが挙げられます。なお、平成28年11月に子会社化した東京プロセスサービス株式会社(印刷セグメント半導体関連マスク事業)の業績が、当連結会計年度には通期にわたって計上され(前年度は第4四半期のみ)、その分業績が上積みされました。
セグメントごとの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりです。
<印刷セグメント 印刷事業>
経営成績等の状況の概要で述べましたように、当連結会計年度(平成30年3月期)には紙媒体需要の縮小が、市場全体においてさらに進んだのではないかと見ております。もしそのとおりであれば、平成31年3月期以降も同様の厳しい状況が続くことになります。その場合、前述の「顧客価値を増大させるワンストップソリューションを提供するビジネスモデルへの転換」スピードをさらに早める必要があると考えております。一方で、競合他社も同様の取り組みを行っておりますので、ワンストップソリューションの質をいかに競合他社と差別化するか、具体的には各サービス(システム構築、ロジスティクス、データ収集・分析、事務局運営、販促イベント受託など)の質の向上、サービスメニューの豊富さと、顧客ニーズへの合わせ込みの部分が勝負になると考えております。
<印刷セグメント 半導体関連マスク事業>
好調な電子部品業界に支えられ、当連結会計年度は堅調な業績となりましたが、竹田印刷株式会社、株式会社プロセス・ラボ・ミクロン、東京プロセスサービス株式会社の3社で進めてきた、顧客基盤の補完や、生産・検査キャパシティの相互融通、調達におけるスケールメリットの追求の効果が出始め、業績に貢献しました。今後それらの活動をさらに進め、さらなる売上拡大とコスト低減を実現し、特定の電子機器の需要・販売動向に左右されない、安定したビジネス基盤を作っていきたいと考えております。
<物販セグメント 物販事業>
紙媒体の縮小の影響を直接受ける、インクや印刷用の版などの印刷用資材を取り巻く環境が厳しい中で、全国の顧客に対するきめ細かなサービスと、品質・環境・効率面での付加価値を持った機械類の販売や新規開拓に注力した結果、前期比10.9%の増収、26.4%の増益という好調な成績を残すことが出来ました。平成31年3月期以降も厳しい状況に変わりはありませんが、顧客価値にフォーカスした活動を通してシェアーアップを図り、売上・利益の確保を図ってまいります。
c. 中長期的な目標に照らした経営成績の分析・評価
「目標とする経営指標」で述べましたように、当社グループの目指すところは、顧客にとっての価値を創出あるいは増大させることにより、顧客との長期的な信頼関係を築くとともに、営業利益率を高めて行くことです。当連結会計年度の営業利益率は2.1%となりました。前述致しましたように、当連結会計年度は公表した業績予想に対し、売上が未達で利益は予想を上回りましたので、営業利益率は予想の2.0%をわずかながら上回りました。
当連結会計年度を含む過去6期の営業利益率の推移は、1.5%→1.6%→1.4%→2.1%→2.1%→2.1%という状況です。直前3期の平均は、その前の3期の平均と比べて0.6ポイント改善しており、改善傾向が定着していると言うことはできますが、そのレベルはまだまだ満足できるレベルではありません。将来的には、安定的に5%レベルの営業利益を計上できる状況を目指してまいります。そのためには前述致しましたように、印刷事業において、「顧客価値を増大させるワンストップソリューション」を提供するビジネスモデルへの転換が必須で、さらにはそのスピードを早めることが重要であると考えております。
d. 資本の財源及び資金の流動性
当連結会計年度におけるフリー・キャッシュフローは10億23百万円となり、同年度末の現金及び現金同等物は45億55百万円となりました。この金額は、運転資金、設備投資に必要な資金、及び印刷事業・物販事業が身を置く印刷業界を取り巻く環境が厳しい中、M&Aを通じた、将来の柱となる事業の強化あるいは取得に必要な資金、として適正な水準であると考えておりますが、必要に応じて躊躇なく借入などのアクションを取り、タイミングを逃すことなくM&A他の必要な投資に積極的に取り組んでいきたいと考えております。
e. 次期の見通し
印刷事業のところで述べましたように、当連結会計年度においては、紙媒体の減少がさらに進んだのではないかと見ておりますので、次期(平成31年3月期)以降も同様の厳しい状況が続くことを想定しております。従いまして、印刷事業については、前述の「顧客価値を増大させるワンストップソリューションを提供するビジネスモデルへの転換」スピードをさらに早めることに注力致します。
半導体関連マスク事業については、当社、株式会社プロセス・ラボ・ミクロン、東京プロセスサービス株式会社の3社で進めてきたシナジーの顕在化をさらに進めて参ります。
物販事業については、引き続き厳しい印刷事業を取り巻く経営環境のもと、顧客価値にフォーカスし、全国の顧客1軒1軒に対するきめ細かなフォローをこれまで以上に徹底し、売上・利益の確保を図ってまいります。
以上より、次期の業績につきましては、連結売上高380億円、連結営業利益8億50百万円、経常利益9億円、親会社株主に帰属する当期純利益6億50百万円を見込んでおります。
業務委託契約
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契約会社名 |
相手方の名称 |
契約 |
契約の内容 |
契約期間 |
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東海プリントメディア株式会社 (連結子会社) |
株式会社読売新聞東京本社 |
業務委託契約 |
新聞印刷等業務の受託 |
平成29年4月1日から1年間 |
(注)上記業務委託契約は、平成30年4月1日から1年間更新されております。
当連結会計年度におけるセグメント別の研究開発活動は次のとおりです。同期間において、当社グループが支出した研究開発費は2億41百万円です。
(印刷)
印刷事業においては、印刷機械を使って顧客のニーズに合った製品を作りますので、印刷技術そのものではなく、生産技術に関する研究開発が中心です。具体的には、カラーマネジメントシステムの構築、製造工程の改良、デジタル技術への対応等に取り組みました。半導体関連マスク事業では、歩留まり向上・原価低減に向けた工程改善、高い印刷性と耐久性を備えた高性能なスクリーンマスクの開発等に取り組みました。
当連結会計年度の印刷セグメントにおける研究開発費は1億89百万円です。
(物販)
デジタル化の普及に伴い構造改革が求められる印刷業界において、変化し続ける顧客ニーズに応える製品の研究開発を行い、提供することを基本方針としております。具体的には以下の領域で、研究開発を行いました。
①品質向上に貢献する製品の開発
②生産性向上に貢献する製品の開発
③様々なニーズ、用途に対応するデジタルサイネージ製品等の開発
当連結会計年度の物販セグメントにおける研究開発費は52百万円です。