第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中における将来に関する事項については、当連結会計年度末において当社グループが判断しているものです。

(1)会社経営の基本方針

当社は「Hard+Soft+Heart」を経営理念に掲げ、顧客に満足いただける製品を生み出すためのハードウエア(Hard)と、それに付加されるサービスやアフターサポート、ソリューション提案などのソフトウエア(Soft)に加え、全ての活動に心を込めて顧客に感動やよろこびをお届けしようというハート(Heart)を、何より大切にしております。また、2021年10月に「竹田印刷グループ サステナビリティに関する方針」を策定いたしました。優先的に取り組む11項目のマテリアリティ(重要課題)を選定し、その活動を具体化し、実行しております。

これらの活動を通じ、「顧客の課題解決を通じて広く社会に貢献すること」が当社の使命と認識しており、持続可能な社会の実現と当社グループの持続的成長をめざすサステナビリティ経営を推進してまいります。

 

(2)経営環境

当社グループが身を置く印刷業界は、デジタル化の進展による紙媒体の縮小、競争の激化、価格の低迷という構図が長期にわたり継続していることに加えまして、原材料価格の高騰も重なり、市場全体として大変厳しい状況が続いております。日本国内における印刷製品出荷額は、1991年の8兆9,287億円をピークとして減少傾向にありましたが、2008年のリーマンショックや2011年の東日本大震災以降その傾向が一段と加速し、2019年での出荷額は4兆9,981億円まで落ち込んでおります。(出典:「日本印刷技術協会発行 印刷白書2021」)

また、新型コロナウイルス感染症の影響もあり、顧客における社内広報活動および販売促進活動の中止・延期による社内報、カタログ、チラシなどの商業印刷物が減少しております。顧客における社内広報活動および販売促進活動は回復傾向にありますが、広告宣伝媒体のデジタル化(紙離れ)は今後も進むことが予想されており、以前の水準に回復することは困難な状況です。

印刷事業では、市場回復は望みにくいため、単なる印刷物の提供に留まらず、顧客の課題に対して様々なソリューションをワンストップで提供する「ワンストップソリューション」のビジネスモデルへの転換を急いでおります。

半導体関連マスク事業では、デジタル化の進展により電子部品業界の市場拡大が続いており、今後も第5世代移動通信システム(5G)や企業でのテレワークの浸透、巣ごもり需要の高まりによるスマートフォンやパソコンなどのデジタル情報端末や周辺機器の需要が見込まれます。世界的な半導体不足や新型コロナウイルス感染症の感染拡大などの不安要素はありますが、市場環境は今後も順調に推移していくものと見込んでおります。

物販事業では、印刷市場の縮小と新型コロナウイルス感染症の影響は当面続きますが、日本全国に展開する販売網や豊富な商品ラインナップを駆使し、高付加価値化や品質・環境性能を向上させた商品の提案、利益率の高い自社ブランド機械の販売強化、新規顧客獲得活動などを行う余地は十分に残っていると見ております。

 

(3)目標とする経営指標

当社は長期ビジョンとして、「顧客の圧倒的支持を得るワンストップソリューションを提供し、ロイヤルカスタマー比率を高め続ける」を掲げ、顧客にとっての価値を創造あるいは増大させることにより、顧客との長期的な信頼関係を築き、厳しい市場環境にあっても売上・利益を確保できる企業グループになることを目指しております。

顧客価値を高め、その価値に見合った収益に結びつけることで利益率を改善し、またそのようなソリューションビジネスの比率を高めることにより、グループ全体の営業利益率を高めることを目標としております。

 

(4)中長期的な会社の経営戦略

当社はめざすビジネスモデルである「ワンストップソリューションの提供により、顧客の課題解決を実現するビジネスパートナー」の実現に向けて、コア事業における競争力の強化、新事業開発の強化、事業活動を支える経営基盤の強化という3つの改革を掲げ、事業構造改革を進めております。そして、長期ビジョンとして「顧客の圧倒的支持を得るワンストップソリューションを提供し、ロイヤルカスタマー比率を高め続ける」の実現をめざしております。

 

(5)優先的に対処すべき事業上および財務上の課題

上記の経営方針、経営環境などを踏まえまして、当社グループが優先的に対処すべき課題は以下のとおりです。

 

① ビジネスモデルの転換

顧客にとっての価値(顧客価値)を創造する、または増大させる課題解決(ソリューション)提案を強化することにより、その価値に見合った収益に結びつけることが当社の業績拡大には必須であり、最重要課題です。

印刷物の提供により、顧客の広告宣伝活動を支援する従来型のビジネスモデルから領域を広げ、印刷物に限らない多種多様なソリューションを複合的且つ効果的に組み合わせたワンストップソリューションの提供により、顧客の課題解決を総合的に支援するビジネスパートナーへ、ビジネスモデルの転換を急ぎます。

また、これらの取り組みを通じまして、年間を通して継続受注できるベース案件を増やすことにより、事業の閑散リスクを低減し、安定した収益構造に改革してまいります。

 

② 顧客の置かれている状況とビジネスモデルを深く理解すること

顧客にとっての価値を創造するためには、顧客の置かれている状況やビジネスモデルを深く理解することが最も大切であると考えております。当社は印刷業であり、幅広い業界・業種に顧客を持っておりますが、顧客との接触機会を増やし、常に顧客の立場に立って考えます。これを高い次元で実現することが何よりも重要であり、顧客満足度向上のベースとなります。

この取り組みを通じまして、長期ビジョンである「顧客の圧倒的支持を得るワンストップソリューションを提供し、ロイヤルカスタマー比率を高め続ける」の実現をめざしてまいります。

 

③ 低コスト生産体制の構築

顧客にとっての価値が創造できても、価格競争力がなければビジネスにはつながりません。紙媒体の縮小という社会の変化に対応し、生産性向上による適正利益を確保するためには、全体最適での設備集約は避けて通れません。

また、仕入価格の低減や経費削減などが併せて必要ですが、そのためには社員の持つ知恵やノウハウについてデジタルトランスフォーメーション(DX)を用いて総動員するほか、外部とのネットワークも最大限に活用し、価格競争力の向上に取り組みます。

 

④ 半導体関連マスク事業の強化

デジタル化の進展は印刷事業には逆風となりますが、半導体関連マスク事業においては追風となります。印刷事業の業績悪化を補完できる事業ポートフォリオを実現するため、半導体関連マスク事業においては、国内での事業強化は勿論のこと、海外事業を速やかに軌道に乗せ、当社グループを牽引できるレベルまで高めることが課題です。

その実現に向けて、当社、㈱プロセス・ラボ・ミクロン、東京プロセスサービス㈱の3社によるグループ全体最適とシナジーの最大化をめざします。会社の垣根を越えた人事交流や情報共有による課題解決、新製品開発を組織的に取り組みます。

 

⑤ 新事業の開発

印刷市場の縮小は今後も続くことが予想されており、印刷事業、半導体関連マスク事業、物販事業に続く、新事業の開発が課題です。現在進めております不動産事業開発のほか、既存事業との関連性が高く、実現性が高い新たな事業領域への拡大に向けまして、M&Aを含め積極的に挑戦をしてまいります。

 

⑥ 情報セキュリティの強化

当社グループでは、顧客から機密情報や個人情報をお預かりし、さまざまな製品やサービスをご提供しております。情報管理を徹底し、顧客からの信頼にお応えするためには、情報セキュリティの強化は継続的に追求する課題です。

 

⑦ 人材育成

人材育成は、社員が健康で高いモチベーションを持って、困難な課題にも取り組む状況を作り出すために必要な、大変重要な課題です。全社員総活躍のための取り組みとして、女性活躍のための制度の充実と社員の意識改革、実労働時間の短縮、スマートワーク(生産性を高め場所や時間に縛られない柔軟な働き方)、ワーク・ライフ・インテグレーション(仕事とプライベートの両立と質的向上の確立)などの働き方改革を推進しています。

 

⑧ 社会的価値創造企業への進化

持続可能な社会の実現に向けて基盤となるコーポレート・ガバナンスの強化、コンプライアンスの徹底、内部統制システムの構築、顧客の価値を創造するワンストップソリューションの提供、環境配慮活動の推進などのSDGsへと繋がるゴール(課題)に積極的に取り組み、これまで以上に社会から信頼され、期待される社会的価値創造企業への進化をめざしてまいります。「顧客の課題解決を通じて広く社会に貢献すること」が当社の使命であり、持続可能な社会の実現と当社グループの持続的成長をめざすサステナビリティ経営を推進します。

また、長期化するコロナ禍を踏まえ、BCP(事業継続計画)の強化を図るとともに、当社独自のニューノーマル(新常態)の創造に取り組みます。収束後も過去の姿に戻すのではなく、より良いガバナンスを形成し、環境・社会の形成に向けて貢献してまいります。

 

2【事業等のリスク】

(1)当社グループにおけるリスク管理体制について

当社グループでは、グループ全体における事業リスクを管理するため、各部署やグループ各社の担当責任者を構成員とするリスク管理委員会を設置しております。リスク管理規程に基づき、個々のリスク(コンプライアンス、経営戦略、業務運営、環境、災害など)に対処する責任部署を定めるとともに、グループ全体のリスクを網羅的・統括的に管理する体制としております。各部署やグループ各社は担当業務に関するリスクの抽出を行い、優先的に対応すべきリスクと対応策を検討し、内部統制推進部署(同委員会事務局)へ報告しております。内部統制推進部署は報告されたリスクを総括し、同委員会へ報告しております。なお、経営上の重大なリスクへの対応方針その他リスク管理の観点から重要な事項については、取締役会へ報告しております。

 

(2)主要なリスクについて

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローに重要な影響を与える可能性があると認識しているリスクは、以下のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項につきましては、当連結会計年度末において当社グループが判断しているものです。

 

① 印刷関連市場(紙媒体)の縮小

当社グループの事業は、印刷事業および印刷機械・印刷資材の販売など、国内向け印刷関連市場が中心です。デジタル化の進展やメディアの多様化が進む中で、印刷関連市場(紙媒体)は長期にわたり縮小し続けており、今後もその傾向が継続することが想定されます。印刷関連市場(紙媒体)の縮小が想定を超えて急激に進んだ場合には、操業度の低下により労務費や減価償却費などの固定費負担が高まるなど、業績に大きな影響を与える可能性があります。

印刷関連市場(紙媒体)の縮小は長期にわたり継続的に続いており、かつ近年はその動きが加速しているため、最優先で解消するべきリスクとして認識しております。

当社グループとしては、半導体関連マスク事業の強化や拡印刷事業の強化により、紙媒体への依存度が高い従来型ビジネスモデルからの転換を急ぐとともに、生産設備(その種類・能力と配置)の最適化により、市場縮小による受注減少に柔軟に対応できる低コスト生産体制の整備を進めております。

 

② 事業の繁閑

当社グループの事業は、上述の如く国内向け印刷関連市場が中心で、かつカタログ等の商業印刷を主力としていることから、顧客の事業年度に合わせた仕事(4月、1月のタイミングで更新される印刷物や期末の予算消化案件)が多く、特に第4四半期に売上・利益が集中する傾向があります。連結ベースで、第4四半期が年間に占める割合は、過去10会計年度の平均で、売上高で28%、営業利益で47%となっており、同時期に何らかのビジネス阻害要因が発生した場合は、業績に大きな影響を与える可能性があります。近年では2011年3月に発生した東日本大震災、そして2020年3月期末の新型コロナウイルス感染拡大による広告宣伝活動の自粛は、業績に相当程度影響を与えました。

当社グループとしては、顧客にワンストップソリューションを提供するビジネスモデルを確立し、年間を通して安定的に継続受注できるベース案件を増やすことで事業の閑散リスクを低減してまいります。

 

③ 受注単価の低下

印刷業界においては、長期にわたり縮小し続けている紙媒体需要に対して供給能力過剰の状態が続いており、それに伴い受注単価は下落または低位安定の状態が続いております。今後印刷関連市場(紙媒体)の縮小が想定を超えて急激に進んだ場合には、価格の下落がさらに進む可能性があります。

当社グループとしては、生産性の向上や仕入コストの削減を図るほか、社員が持つ知識・ノウハウ、そしてITの活用による価格競争力の向上、生産設備(その種類・能力と配置)の最適化による低コスト生産体制の構築、拡印刷事業の強化などの各種対策を行うことにより対応しております。

 

④ 原材料等の価格高騰

印刷用紙、インク、印刷用の版など、当社グループが使用する原材料等は、世界情勢の変化、市況やエネルギー価格、為替レート、物流経費などにより変動します。特に主要材料である印刷用紙は原材料全体に占める割合は大きく、価格変動による影響が最も大きくなります。また、製紙メーカーの減産による市場流通量の減少も価格高騰に影響を与えます。実際に、2019年1月から実施されました製紙メーカー各社による減産に伴う印刷用紙の一斉値上げにより、商業印刷を主力とする当社(単体・全事業)の2020年3月期における売上原価率は、値上げ対象期間が3カ月でありました2019年3月期との比較にて、81.7%→82.0%、同じく材料費率においても15.9%→16.2%と各々0.3ポイント上昇しており、収益性が悪化しました。

原材料等の高騰に対しては、販売価格への転嫁や生産性の向上などのコスト低減や経費削減で吸収すべく対応しますが、対応しきれない場合は、上記のとおり業績に影響を及ぼす可能性があります。また、販売価格への転嫁につきましては顧客との交渉を行っておりますが、顧客における広告宣伝予算には限りがあり、交渉結果次第では印刷部数や頁数の減少による売上減少、ひいては紙媒体以外の広告宣伝媒体へのシフト(紙離れ)を助長する可能性があります。当社グループとしては、上記①印刷関連市場(紙媒体)の縮小に記載のとおり、紙媒体への依存度が高い従来型ビジネスモデルからの転換を急ぐことで、その影響を低減することをめざしております。

 

⑤ 大口顧客の動向

当社グループには、依存度の高い大口顧客がいくつかあります。継続的な取引関係は当社グループの強みである一方、それら大口顧客の属する業界の好不調、ビジネスモデルや取引方針の変更、企業統合等により取引額が大きく変動する可能性があります。

当社グループのコア事業である印刷事業はその特性として、幅広い業界・業種に顧客を持っており、新規顧客開拓先においても同様に業界・業種を問いません。この特性を活かし、「顧客にとっての価値の最大化」を実現するワンストップソリューションを基本とする新規顧客開拓活動を通じて、将来のロイヤルカスタマーを継続して獲得することにより、特定顧客の動向に左右されない事業基盤の確立をめざしております。

 

⑥ 新規事業に関わるリスク

印刷物(紙媒体)の需要の縮小と、価格の低下・低位での推移が今後も継続することが想定されております。市場環境の悪化や競争の想定以上の激化、M&Aの失敗などにより、印刷・物販事業に次いで柱となるべき事業が思うように育たない場合、会社業績が伸び悩む可能性があります。

当社グループとしては、半導体関連マスク事業の強化や拡印刷事業の強化により、紙媒体への依存度が高い従来型ビジネスモデルからの転換を急いでおります。

その取り組みにより、半導体関連マスク事業では2013年の株式会社プロセス・ラボ・ミクロン、2016年の東京プロセスサービス株式会社の子会社化を実現し、近年では両社の海外事業進出をサポートしております。

新事業開発の強化につきましては、代表取締役直轄の成長戦略本部を設置し、不動産事業開発やM&Aなどの成長戦略について、スピード感をもって進め、新たなビジネスモデルの早期構築をめざしております。

今後もコア事業である印刷事業との関連性が高く、実現性が高いこれらの事業の拡大について、M&Aの検討を含め積極的に進めてまいります。

 

⑦ 売掛債権の未回収

当社グループでは、与信管理と債権の回収管理を重視し貸倒れの極少化に努めておりますが、景況や産業構造の変化に伴い、顧客の倒産などによる貸倒れが生じるリスクは常にあるものと認識しております。貸倒れが一定規模以上で発生した場合には、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、新規顧客とは取引開始時にて信用調査を行い、さらにその後も定期的に信用調査を行い、与信限度額の設定・見直しを行っております。また、既存顧客との取引状況を毎月確認しており、信用状況に変化が生じた場合は、ファクタリングなどの債権保証サービスの活用や取引停止などの対策を速やかに講じております。

 

⑧ 災害の発生

地震や水害などの大規模な災害が発生した際には、電力の供給停止や物流網の寸断など、社会的インフラに重大な被害が及ぶ可能性があります。原材料の仕入先や協力工場を含めた生産・流通体制が維持できない場合には、当社グループの活動に大きな影響を与える可能性があります。

当社グループでは、発生時期が予測できないこれらの災害リスクに対しては、生産拠点の分散化と、製造設備など主要設備に防火・耐震対策を施すとともに、事業継続計画を策定するなどの対策を講じております。

 

⑨ 情報セキュリティ

当社グループでは、多くの顧客情報および顧客からの受注案件にかかる顧客の機密情報を取り扱っております。予期せぬ事情により情報の流出、不正使用など情報セキュリティにかかるインシデントが発生する恐れがあります。また標的型攻撃メール等によるウイルス感染のリスクが高まっており、情報システムが一定期間機能不全に陥る事態も想定する必要があります。これらインシデントや情報セキュリティ対応のために多額の費用が発生し、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼすほか、社会的信用を失う可能性があります。

その対策として、プライバシーマークやISO27001の認証取得を通じた諸規程の整備と運用、メール誤配信防止のチェックシステムの活用、専用ルームの設置や警備会社との提携、専用のデータセンターの利用、入退室のセキュリティシステムの導入、自社制作のガイドライン「ITセキュリティハンドブック」を活用した社員教育を行うほか、インシデント費用の発生に備えてサイバー保険に加入するなど、万全を期しています。

 

⑩ 感染症の世界的蔓延(パンデミック)

新型インフルエンザ等、人類が免疫を持っておらず、治療薬やワクチンが存在しないような感染症の世界的蔓延(パンデミック)が発生した場合は、当社従業員の感染による操業停止および出荷遅延が生じる可能性があります。また、顧客における操業停止や販売促進活動の自粛による受注減少、仕入先や協力工場からの供給が停滞するなど、当社グループの活動や経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

新型コロナウイルス感染症につきましては、社会経済活動は回復しつつありますが、現時点において収束の見通しは依然不透明であり、業績への影響を予測することは困難な状況であります。今後の状況次第では、上記のとおり、当社グループの活動や経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

なお、新型コロナウイルス感染症による事業への影響、当社グループにおける対応策などの詳細につきましては、3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析にて記載しております。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当社グループは、当連結会計年度の期首より「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しております。そのため、経営成績に関する説明においては、売上高について前期比増減率を記載せず、前期実績を記載して説明しております。なお、収益認識会計基準等の適用に関する詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」をご参照ください。

 

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。

 

① 財政状態および経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響による社会経済活動の制限により、厳しい状況で推移しました。ワクチン接種が進み、持ち直しの動きも見られましたが、依然として収束の目途が立たない状況が続いております。

当社グループでは社員および家族の健康と安全に配慮しつつ、顧客への製品やサービスの提供に影響を及ぼすことがないよう、新型コロナウイルス感染予防と事業継続に取り組んでおります。

 

当社グループが事業活動を展開する国内の印刷市場におきましては、デジタル化の進展による紙媒体の縮小、競争の激化、価格の低迷という構図が長期にわたり継続していることに加えまして、原材料価格の高騰も重なり、大変厳しい状況が続いております。また、新型コロナウイルス感染症の影響により、顧客における社内広報活動および販売促進活動の中止・延期による社内報、カタログ、チラシなどの商業印刷物が減少しております。

顧客における社内広報活動および販売促進活動は回復傾向にありますが、広告宣伝媒体のデジタル化(紙離れ)は今後も進むことが予想されており、以前の水準に回復することは困難な状況です。

 

このような状況において、当社はめざすビジネスモデルである「ワンストップソリューションの提供により、顧客の課題解決を実現するビジネスパートナー」の実現に向けて、コア事業における競争力の強化、新事業開発の強化、事業活動を支える経営基盤の強化という3つの改革を掲げ、事業構造改革を進めております。

顧客第一の基本方針のもと健全な危機感を持ち、売上高の確保、コスト・経費の削減はもちろんのこと、顧客にとっての価値(顧客価値)を創造する、または増大させる課題解決(ソリューション)提案を強化しております。そして、印刷物の提供により、顧客の広告宣伝活動を支援する従来型のビジネスモデルから領域を広げ、印刷物に限らない多種多様なソリューションを複合的且つ効果的に組み合わせたワンストップソリューションの提供により、顧客の課題解決を総合的に支援するビジネスパートナーへ、ビジネスモデルの転換に取り組んでおります。

今後も当社ウェブサイトに掲げる「Design Your Business. お客さまに合わせた最適解を」を体現するワンストップソリューション提案を強化し、印刷業という業種の壁を破り、印刷会社のイメージをくつがえし、顧客の課題解決を通じて広く社会に貢献してまいります。

 

こうした取り組みの結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

 

a. 財政状態

当連結会計年度末の資産の部は、現金及び預金、原材料及び貯蔵品などが増加いたしましたが、受取手形及び売掛金、土地、建設仮勘定、投資有価証券などの減少により、前連結会計年度末に比べ6億35百万円減少し、289億70百万円となりました。

負債の部は、電子記録債務、1年内返済予定の長期借入金、未払法人税等などが増加いたしましたが、支払手形及び買掛金、短期借入金、長期借入金などの減少により、前連結会計年度末に比べ15億19百万円減少し、140億38百万円となりました。

純資産の部は、利益剰余金などの増加により前連結会計年度末に比べ8億84百万円増の149億32百万円となり、自己資本比率は51.1%となりました。

 

b. 経営成績

当社グループの当連結会計年度における売上高は306億円(前期は311億8百万円)となりました。利益面では、営業利益8億13百万円(前期比125.3%増)、経常利益9億21百万円(前期比92.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益7億58百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純損失13億42百万円)となりました。

 

セグメント別の状況は、以下のとおりです。

 

<印刷セグメント 印刷事業>

印刷事業では大変厳しい市場環境の下、品質管理と情報セキュリティ管理を徹底した上で、紙媒体需要を着実に取り込むとともに、全体最適での生産設備の見直しによる低コスト生産体制の実現、ビジネスモデルにマッチした社内体制の再構築などの事業構造改革を進めております。

多様化している製品やサービスについて事業区分を再定義し、全社横断の事業強化プロジェクトの推進により、ワンストップソリューション提案を強化しております。その具体的な取り組みとしましては、各種BPOの受託、顧客へのDX支援による業務効率化とコスト削減を実現する受発注管理システムのプラットフォーム「TS-BASE」や動画制作などのデジタル関連の販売を強化しました。また、自社ウェブサイトによるデジタルマーケティングを駆使して、新規顧客開拓を積極的に行いました。

年間を通じて苦戦を強いられておりましたが、新型コロナウイルス感染症による社会経済活動の制限が年度末にかけて徐々に緩和されたこともあり、業績は回復に向かいました。

 

<印刷セグメント 半導体関連マスク事業>

半導体関連マスク事業では、世界的な半導体不足により車載向け製品などで出荷減少がありましたが、新型コロナウイルス感染症の影響は総じて限定的でありました。第5世代移動通信システム(5G)や企業でのテレワークの浸透、巣ごもり需要の高まりによるスマートフォンやパソコンなどのデジタル情報端末や周辺機器の需要を取り込んだため、年間を通じて好調に推移しました。

同事業におきましては、グループ全体最適とシナジーの最大化をめざしております。当社、㈱プロセス・ラボ・ミクロン、東京プロセスサービス㈱の3社における人材交流や情報共有による課題解決を図るほか、共同研究による新技術および新製品の開発を組織的に進めております。

海外事業では、当社グループが進出しておりますベトナムやタイでは、新型コロナウイルス感染症の感染拡大が続いており、営業活動の制限や顧客工場の稼働停止により、業績に若干の影響がございました。なお、前連結会計年度において非連結子会社でありました富来宝米可龍(蘇州)精密科技有限公司は重要性が増したため、当連結会計年度より連結範囲に加わっております。

今後も国内のみならず、中国および東南アジア地域における新型コロナウイルス感染症の感染状況や影響を注視しつつ、速やかな事業拡大をめざしてまいります。

 

上記の結果、印刷セグメントの売上高は210億48百万円(前期は200億14百万円)、営業利益は6億52百万円(前期比160.5%増)となりました。

 

<物販セグメント 物販事業>

物販事業では、印刷事業と同様に厳しい市場環境にありますが、印刷関連総合商社のリーディングカンパニーとして、日本全国に展開する拠点を活用し、顧客ニーズの発掘ときめ細かなフォローの徹底によるシェア向上を図っております。また、異業種を含めた新規顧客の開拓、利益率の高い自社ブランド製品の販売強化、それを支える人材の育成による総合力で他社との差別化を図り、売上高および利益の確保に努めております。

しかしながら、市場の縮小と新型コロナウイルス感染症の影響により、顧客である印刷会社からの受注が減少し、売上高が伸び悩みました。資材販売では増収に転じましたが、機械販売は減収となりました。利益面では、機械販売の利益率改善を図るほか、旅費交通費などの販売費を確保しつつ固定費の削減を徹底し、利益確保を図りました。

 

上記の結果、物販セグメントの売上高は100億68百万円(前期は117億35百万円)、営業利益は1億48百万円(前期比49.6%増)となりました。

なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等の適用に伴い、代理人として関与した取引について売上高を純額とした影響で売上高が7億57百万円減少しております。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ7億70百万円増加し、53億46百万円となりました。当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。

なお、上記内容には新規連結に伴う現金及び現金同等物の増加1億1百万円を含んでおります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、固定資産除売却損益3億25百万円、仕入債務の減少5億45百万円などに対し、税金等調整前当期純利益10億20百万円や減価償却費9億11百万円、売上債権の減少5億38百万円などがあったため、16億15百万円の収入(前期は68百万円の収入)となりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出7億21百万円、無形固定資産の取得による支出1億32百万円などに対し、有形固定資産の売却による収入15億27百万円などがあったため、6億51百万円の収入(前期は12億47百万円の支出)となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の減少(純減額)9億円や長期借入金の返済による支出6億72百万円などがあったため、16億35百万円の支出(前期は6億72百万円の収入)となりました。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

(1)生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

生産高(百万円)

前期比(%)

印刷

21,933

5.5

物販

-

-

合計

21,933

5.5

(注)生産実績は、販売価額により表示しております。

 

(2)受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前期比

(%)

受注残高(百万円)

前期比

(%)

印刷

21,478

5.6

3,175

15.7

物販

10,101

△12.0

103

47.1

合計

31,580

△0.8

3,279

16.5

 

(3)販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前期比(%)

印刷

21,048

5.2

物販

10,068

△14.2

消去

△516

△19.5

合計

30,600

△1.6

(注)販売実績は、販売価額により表示しております。

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。

 

① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a. 経営成績

当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度(以下「前期」)に比べ5億8百万円減少し、306億円(前期は311億8百万円)となりました。なお、当連結会計年度の期首より「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しており、売上高が7億57百万円減少しております。適用前の基準にて比較しますと、実質的には増収となりました。売上原価は、前期に比べ10億14百万円減少し241億96百万円(前期比4.0%減)となり、売上原価率は、前期の81.0%から79.1%へ改善しました。販売費及び一般管理費は、前期に比べ53百万円増加し55億91百万円(前期比1.0%増)となりました。この結果、営業利益は前期と比べ4億52百万円増加し8億13百万円(前期比125.3%増)となりました。

営業外収益は、前期と比べ26百万円増加し2億48百万円(前期比11.9%増)となり、営業外費用は、前期と比べ35百万円増加し1億40百万円(前期比33.6%増)となりました。この結果、経常利益は前期と比べ4億43百万円増加し9億21百万円(前期比92.7%増)となりました。

特別利益は、当社関東地区の拠点売却等による固定資産売却益3億46百万円を計上したため、前期と比べ3億45百万円増加し3億86百万円(前期は41百万円)となりました。特別損失は、特別退職金5億94百万円を計上しました前期に比べ7億38百万円減少し、2億87百万円(前期比71.9%減)となりました。法人税等合計は、繰延税金資産の取り崩しなどにより法人税等調整額を7億22百万円計上した前期と比べ5億73百万円減少し、2億58百万円(前期比68.9%減)となりました。この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、7億58百万円(前期は13億42百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。

 

以上のように業績が回復した要因としましては、前期に実施した希望退職者の募集、生産設備の見直しなどによる固定費削減により、売上減少にも耐えうる組織体制が整備されたことが挙げられます。その上で、当社がめざすビジネスモデルである「ワンストップソリューションの提供により、顧客の課題解決を実現するビジネスパートナー」の実現に向けて、コア事業における競争力の強化、新事業開発の強化、事業活動を支える経営基盤の強化という3つの改革を掲げる事業構造改革の成果が、表れ始めている結果であると認識しております。

 

b. 経営成績等に重要な影響を与えた要因

当連結会計年度の経営成績等に重要な影響を与えた要因としては、印刷事業および物販事業では、デジタル化の進展による紙媒体の縮小、競争の激化、価格の低迷という構図が長期にわたり継続していることおよび原材料価格の高騰に加えまして、コロナ禍における社会経済活動の制限による影響を大きく受けました。

印刷事業および物販事業における、新型コロナウイルス感染症による業績への影響額につきましては、イベントプロモーション受託や顧客における販売促進活動および社内広報活動の中止・延期による商業印刷物の減少などの直接的影響のみならず、従来から継続しておりますデジタル化の進展による印刷市場の縮小(紙離れ)を同感染症が一層加速させるといった間接的影響がありますので合理的な算定ができません。しかしながら、後述の半導体関連マスク事業が好調に推移するも、全体として売上高が伸び悩んでいる現状を踏まえますと、これらの直接的もしくは間接的な影響が主要因であると認識しております。

半導体関連マスク事業におきましては、新型コロナウイルス感染症による業績への影響は軽微でありました。世界的な半導体不足により車載向け製品などで出荷減少がありましたが、第5世代移動通信システム(5G)や企業でのテレワークの浸透、巣ごもり需要の高まりによるスマートフォンやパソコンなどのデジタル情報端末や周辺機器の需要を取り込んだため、年間を通じて好調に推移しました。

次期につきましては、ウクライナ情勢による世界経済への影響等により、エネルギー価格や原材料価格の高騰などが懸念されているため、全事業において影響が生じる見通しです。

 

セグメントごとの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりです。

 

<印刷セグメント 印刷事業>

顧客における社内広報活動および販売促進活動は回復傾向にありますが、広告宣伝媒体を紙媒体からデジタル媒体への変更がなされるなど、デジタル化の進展(紙離れ)に歯止めがかからない状況が続いております。そのため、以前のような水準に回復することは期待できず、今後もさらに厳しい状況が続くものと予想しております。

現在、印刷事業では「ビジネスモデルへの転換」を急いでおり、現在はその過渡期にあります。具体的には、印刷物の提供により、顧客の広告宣伝活動を支援する従来型のビジネスモデルから領域を広げ、印刷物に限らない多種多様なソリューションを複合的且つ効果的に組み合わせたワンストップソリューションの提供により、顧客の課題解決を総合的に支援するビジネスパートナーへ、ビジネスモデルの転換を進めています。

社内体制において、デジタル化の進展による紙媒体の縮小(紙離れ)による受注内容の変化に対応するため、多様化している当社の製品やサービスについて事業区分を再定義し、各々の収益性や成長性を見極め、更なる事業強化と成長分野への積極投資が必要と認識しております。また、全体最適での生産設備の見直しによる低コスト生産体制の追求、ビジネスモデルにマッチした製造体制の再構築、子会社との連携などを進めております。

今後も紙媒体需要の取り込みを継続しますが、当社が持つ制作体制、情報セキュリティ体制、システム構築力を駆使し、WEB・システムや動画などのデジタル媒体の制作を強化してまいります。

また、テレワークの浸透・定着により、今後も企業における働き方改革が進むことが予想されます。顧客における業務効率の改善やコスト削減に貢献するロジスティクス事業や各種BPO受託をビジネスチャンスとして認識しており、積極的に挑戦を続けております。そのなかでも、デジタルトランスフォーメーション(DX)支援による業務効率化とコスト削減を実現する受発注管理システムのプラットフォーム「TS-BASE」は、多くの引き合いをいただいており、今後も新機能の追加などサービスメニューの拡大を図ってまいります。

コロナ禍の長期化により厳しい状況が続いておりましたイベントプロモーション受託においては、ワクチン接種が進むとともにコロナ禍も徐々に収束に向かいつつあり、回復傾向に入ったと認識しております。長期化した自粛への反動により、顧客における需要は確実に回復するものと予想しております。

 

<印刷セグメント 半導体関連マスク事業>

半導体関連マスク事業では、新型コロナウイルス感染症による業績への影響は軽微でありました。なお、前期まで非連結子会社でありました富来宝米可龍(蘇州)精密科技有限公司が連結範囲に加わったため、売上高および利益の拡大に寄与しました。世界的な半導体不足により車載向け製品などで出荷減少がありましたが、第5世代移動通信システム(5G)や企業でのテレワークの浸透、巣ごもり需要の高まりによるスマートフォンやパソコンなどのデジタル情報端末や周辺機器の需要を取り込んだため、年間を通じて好調に推移しました。世界的な半導体不足や新型コロナウイルス感染症の感染拡大などの不安要素もございますが、市場は引き続き拡大が続くものと予想しております。

同事業では、グループ全体最適とシナジーの最大化をめざし、人材交流や情報共有による課題解決を図るほか、共同研究による新技術および新製品の開発を組織的に進めております。また、㈱プロセス・ラボ・ミクロンの生産体制を強化するため、本社工場新棟建設のほか、九州工場の改築と生産設備の導入等を計画的に実施してまいります。これらの活動を通じて、さらなる売上拡大とコスト低減を実現し、特定の電子機器の需要・販売動向に左右されない、安定したビジネス基盤の構築をめざします。

海外では依然として新型コロナウイルス感染症の感染拡大が続いており、当社グループが事業を展開するベトナムやタイでは営業活動の制限や顧客工場の稼働停止により、業績に若干の影響がございました。今後も中国および東南アジア地域における新型コロナウイルス感染症の状況には注視が必要と認識しております。

印刷事業ではマイナス要因となる「デジタル化の進展」が、本事業においては逆に追い風となる部分があり、リスク分散の意味合いにおきましても、当社グループにおける半導体関連マスク事業の充実を進めてまいります。

 

<物販セグメント 物販事業>

物販セグメント(物販事業)は、印刷事業同様に厳しい環境下ではありますが、顧客ニーズの発掘ときめ細かなフォローの徹底によるシェア向上のほか、異業種を含めた新規顧客の開拓、利益率の高い自社ブランド製品の販売強化、それを支える人材育成などによる総合力で他社との差別化を図り、売上・利益の確保をめざしてまいります。

しかしながら、印刷事業同様に、今後も厳しい状況が続くものと予想しております。また、長年にわたる印刷関連市場の停滞により、取引先における経営環境の悪化が懸案となっておりますが、新型コロナウイルス感染症の影響による関連倒産が世界的にも不安視されており、与信管理面でも慎重な取引が今後も求められます。

新型コロナウイルス感染症の影響による顧客のビジネススタイルの変化に対応し、当社グループも変革してまいります。従来からの訪問による売り込み型の営業だけではなく、顧客の事業内容を熟知し、顧客ごとに最適な製品やサービスを提案できる、顧客にとってのナンバーワンのビジネスパートナーをめざしております。今後も常に良質な情報発信を行い、顧客に選ばれ、頼りにされるサプライヤーとしての地位を確立してまいります。

 

c. 中長期的な目標に照らした経営成績の分析・評価

「目標とする経営指標」で述べましたように、当社グループの目指すところは、顧客にとっての価値を創出あるいは増大させることにより、顧客との長期的な信頼関係を築くとともに、営業利益率を高めて行くことです。当連結会計年度の営業利益率は2.7%となりました。

当連結会計年度を含む直近5期の営業利益率の推移は、2.1%→1.6%→1.4%→1.2%→2.7%という状況です。3期連続で低下を続けておりましたが、当期は前期に比べ1.5ポイント改善いたしました。将来的には、安定的に5%レベルの営業利益を計上できる状況を目指してまいります。そのためには、前述いたしました、印刷事業におけるビジネスモデルへの転換が必須であり、そのスピードを速めることが重要であると考えております。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容ならびに資本の財源および資金の流動性に係る情報

当連結会計年度におけるフリー・キャッシュ・フローは22億66百万円となり、当年度末の現金及び現金同等物は53億46百万円となりました。この金額は、運転資金、設備投資に必要な資金、将来の柱となる事業の開発あるいは取得に必要な資金として適正な水準であると考えておりますが、必要に応じて躊躇なく借入などのアクションを取り、タイミングを逃すことなくM&A等の必要な投資に積極的に取り組んでいきたいと考えております。

その施策の一つとして、今後の積極的な事業展開に必要な資金需要に対し、機動的かつ安定的な資金調達手段を確保することで財政基盤の強化並びに安定性向上を図ることを目的として、2020年5月に株式会社三菱UFJ銀行及び株式会社三井住友銀行との間でコミットメントライン契約を締結しております。株式会社三菱UFJ銀行とは契約極度額15億円、株式会社三井住友銀行とは同10億円を個別相対方式、無担保・無保証にて各々締結しております。なお、当連結会計年度末における借入実行残高はございません。

新型コロナウイルス感染症の影響による資金繰りへの影響は、現時点ではさほど大きなものではないと考えておりますが、万が一の場合には上記のコミットメントライン契約にて充分に対応可能と考えております。

 

③ 重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成しております。その作成に当たっては、決算日における資産・負債及び当連結会計年度における収益・費用の報告金額、並びに開示に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会社方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」をご参照ください。

なお、新型コロナウイルス感染症の影響に関連する重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」をご参照ください。

 

④ 当社グループにおける新型コロナウイルス感染症拡大への対策、経営方針および事業への影響と今後の取り組み

a.当社グループにおける感染予防対策

当社グループは、社員および家族の健康、人命を最優先させるとともに、顧客へのサービス停止の最小化を目指し、本社および各拠点が一体となって新型コロナウイルス感染予防に取り組んでおります。当社グループの社員と家族に感染者が確認されておりますが、当社グループにおける国内拠点においては事業を継続しており、出荷遅延も発生しておりません。また、仕入先や協力会社とのサプライチェーンにも支障は出ておりません。

新型コロナウイルス感染拡大が長期化するなか、BCP(事業継続計画)新型コロナウイルス編に従い、拠点を構える関東、中部、関西における各地域の状況に即した対策を実行してまいりました。当社グループにて行っております具体的な感染予防対策は、以下のとおりです。

 

<社員への対応>

・在宅勤務、時差出勤の実施

・オフィスにおける飛散防止パネルの設置

・社内における常時マスクの着用、手洗いとうがいの徹底、消毒液の配置、定期的な室内換気

・毎朝の検温(37.5度以上の発熱時や体調不良時は出勤停止)と行動記録簿の作成

・出張(国内・海外)の禁止

・25人以上の会議の禁止およびリモート会議の奨励

・不要不急の外出、特に人が密集するセミナー・イベント・観光・飲食を伴う場所への外出の自粛

・ワクチン接種における特別休暇制度の実施 など

 

<顧客への対応>

・来社自粛の要請

・来社時における検温のご協力

・リモート会議による商談・打合せの実施

・当社ネット販売サイトを通じた感染予防用備品の提供

 

b.経営方針および各事業への影響と今後の見通し

当社としましては、新型コロナウイルス感染症による影響は収束時期等の見通しが立っておらず、2022年度(2023年3月期)におきましても一定程度継続するものと考えております。また、このたびのコロナ禍に伴う印刷物の減少につきましては、収束後においても旧来の水準に戻ることは困難であると分析しております。

当社グループにおける経営方針において目指すべき方向性自体に変更はありませんが、半導体関連マスク事業の強化や印刷事業における「紙媒体への依存度が高い従来型ビジネスモデルからの転換」について、これまで以上にスピード感を高めて進める必要性に直面していると判断しております。

この状況下にて我々が今為すべきことは、自らの感染予防を継続しつつ、顧客における事業活動や社内広報活動および広告宣伝活動が回復した際に、真っ先にお声がけをいただける「ファーストコールカンパニー」であり続けることです。現在受注しております業務を全社員が懇切丁寧に行うこと、どんな状況においても顧客とのコミュニケーションを絶えず取り続けること、顧客の事業内容に対する理解を深めるとともに、ご提案できる製品やサービスの研究を続けることなどの準備を行いまして、来るべき時に備えております。同時に、生産設備(その種類・能力と配置)の最適化や固定費の削減などにより、市場縮小による受注減少に柔軟に対応できる低コスト生産体制の整備を引き続き進めてまいります。

 

4【経営上の重要な契約等】

(1)業務委託契約

契約会社名

相手方の名称

契約

契約の内容

契約期間

東海プリントメディア株式会社

(連結子会社)

株式会社読売新聞東京本社

業務委託契約

新聞印刷等業務の受託

2021年4月1日から1年間

(注)上記業務委託契約は、2022年4月1日から1年間更新されております。

 

(2)持株会社体制への移行に伴う吸収分割契約

当社は、2022年5月20日開催の取締役会において、当社を分割会社とする会社分割により、印刷事業を当社の100%子会社である竹田印刷分割準備株式会社(2022年4月1日設立。2023年4月1日付で「竹田印刷株式会社」に商号変更予定)に承継させること、及び半導体関連マスク事業を当社の100%子会社である東京プロセスサービス株式会社(2023年4月1日付で「竹田東京プロセスサービス株式会社」に商号変更予定)に承継させることを決議し、同日、承継会社との間で吸収分割契約を締結いたしました。なお、詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な後発事象)」に記載のとおりであります。

 

 

5【研究開発活動】

当連結会計年度におけるセグメント別の研究開発活動は次のとおりです。同期間において、当社グループが支出した研究開発費は221百万円です。

 

(印刷)

印刷事業においては、印刷機械を使って顧客のニーズに合った製品を作りますので、印刷技術そのものではなく、生産技術に関する研究開発が中心です。具体的には、カラーマネジメントシステムの精度向上、製造工程の改良、抗菌印刷の用途開発等に取り組みました。また、デジタルマーケティング手法の確立等において、デジタル技術への対応に取り組みました。

半導体関連マスク事業では、歩留まり向上・原価低減に向けた工程改善、顧客の製造工程の改善支援、薄膜コート開発、次世代商材開発に向けた新素材の評価・解析等に取り組みました。

当連結会計年度の印刷セグメントにおける研究開発費は194百万円です。

 

(物販)

デジタル化の進展に伴い構造改革が求められる印刷業界において、変化し続ける顧客ニーズに応える製品の研究開発を行い、提供することを基本方針としております。具体的には、品質向上に貢献する製品の開発、生産性向上に貢献する製品の開発、様々なニーズや用途に対応し付加価値を高める加工機の開発等に取り組みました。

当連結会計年度の物販セグメントにおける研究開発費は27百万円です。