当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社経営の基本方針
当社は「Hard+Soft+Heart」を経営理念に掲げ、顧客に満足いただける製品を生み出すためのハードウエア(Hard)と、それに付加されるサービスやアフターサポート、ソリューション提案などのソフトウエア(Soft)に加え、全ての活動に心を込めて顧客に感動やよろこびをお届けしようというハート(Heart)を、何より大切にしております。また、2021年10月に「竹田印刷グループ サステナビリティに関する方針」を策定いたしました。優先的に取り組む11項目のマテリアリティ(重要課題)を選定し、その活動を具体化し、実行しております。
これらの活動を通じ、「顧客の課題解決を通じて広く社会に貢献すること」が当社の使命と認識しており、持続可能な社会の実現と当社グループの持続的成長をめざすサステナビリティ経営を推進してまいります。
(2)経営環境
当社グループが身を置く印刷業界は、デジタル化の進展による紙媒体の縮小、競争の激化、価格の低迷という構図が長期にわたり継続していることに加えまして、原材料価格の高騰も重なり、市場全体として大変厳しい状況が続いております。日本国内における印刷製品出荷額は、1991年の8兆9,287億円をピークとして減少傾向にあり、2008年のリーマンショックや2011年の東日本大震災以降その傾向が一段と加速し、2020年での出荷額は4兆5,756億円まで落ち込んでおります。(出典:「日本印刷技術協会発行 印刷白書2022」)
また、新型コロナウイルス感染症の影響により急激に減少した社内報、カタログ、チラシなどの商業印刷物の回復が緩やかである一方、DX(デジタルトランスフォーメーション)の拡大や断続的に実施されている印刷用紙の値上げが広告宣伝媒体のデジタル化(紙離れ)を一層加速させており、以前の水準に回復することは困難な状況です。
印刷事業では、市場回復は望みにくいため、単なる印刷物の提供に留まらず、顧客の課題に対して様々なソリューションをワンストップで提供する「ワンストップソリューション」のビジネスモデルへの転換を急いでおります。
半導体関連マスク事業では、世界的な半導体不足や顧客の在庫調整が継続しておりましたが、当社グループの業績は近年堅調に推移しておりました。しかしながら、昨年末から米中貿易摩擦による影響が顕在化し、世界半導体市場が急速に冷え込んだため、減速を余儀なくされました。現在の半導体不況は、当面続く見通しであります。
物販事業では、印刷市場の縮小による影響はございますが、社会経済活動の正常化による設備投資需要の回復が見込まれます。この状況に対しまして、当社グループでは日本全国に展開する販売網や豊富な商品ラインナップを駆使し、高付加価値化や品質・環境性能を向上させた商品の提案、利益率の高い自社ブランド機械の販売強化、新規顧客獲得活動などにより対応してまいります。
(3)目標とする経営指標
当社は長期ビジョンとして、「顧客の圧倒的支持を得るワンストップソリューションを提供し、ロイヤルカスタマー比率を高め続ける」を掲げ、顧客にとっての価値を創造あるいは増大させることにより、顧客との長期的な信頼関係を築き、厳しい市場環境にあっても売上・利益を確保できる企業グループになることを目指しております。
顧客価値を高め、その価値に見合った収益に結びつけることで利益率を改善し、またそのようなソリューションビジネスの比率を高めることにより、グループ全体の営業利益率を高めることを目標としております。
(4)中長期的な会社の経営戦略
当社はめざすビジネスモデルである「ワンストップソリューションの提供により、顧客の課題解決を実現するビジネスパートナー」の実現に向けて、コア事業における競争力の強化、新事業開発の強化、事業活動を支える経営基盤の強化という3つの改革を掲げ、事業構造改革を進めております。そして、長期ビジョンとして「顧客の圧倒的支持を得るワンストップソリューションを提供し、ロイヤルカスタマー比率を高め続ける」の実現をめざしております。
(5)優先的に対処すべき事業上および財務上の課題
上記の経営方針、経営環境などを踏まえまして、当社グループが優先的に対処すべき課題は以下のとおりです。
① ビジネスモデルの転換
顧客にとっての価値(顧客価値)を創造する、または増大させる課題解決(ソリューション)提案を強化することにより、その価値に見合った収益に結びつけることが当社グループの業績拡大には必須であり、最重要課題です。
印刷事業においては、印刷物の提供により、顧客の広告宣伝活動を支援する従来型のビジネスモデルから領域を広げ、印刷物に限らない多種多様なソリューションを複合的且つ効果的に組み合わせたワンストップソリューションの提供により、顧客の課題解決を総合的に支援するビジネスパートナーへ、ビジネスモデルの転換を急ぎます。
また、これらの取り組みを通じまして、年間を通して継続受注できるベース案件を増やすことにより、事業の閑散リスクを低減し、安定した収益構造に改革してまいります。
② 顧客の置かれている状況とビジネスモデルを深く理解すること
顧客にとっての価値を創造するためには、顧客の置かれている状況やビジネスモデルを深く理解することが最も大切であると考えております。当社グループは幅広い業界・業種に顧客を持っておりますが、顧客との接触機会を増やし、常に顧客の立場に立って考えます。これを高い次元で実現することが何よりも重要であり、顧客満足度向上のベースとなります。この取り組みを通じまして、長期ビジョンである「顧客の圧倒的支持を得るワンストップソリューションを提供し、ロイヤルカスタマー比率を高め続ける」の実現をめざしてまいります。
③ 低コスト生産体制の構築
顧客にとっての価値が創造できても、価格競争力がなければビジネスにはつながりません。紙媒体の縮小という社会の変化に対応し、生産性向上による適正利益を確保するためには、全体最適での設備集約は避けて通れません。
また、原材料やエネルギー価格の高騰には販売価格への転嫁に頼るだけではなく、仕入価格の低減や経費削減のほか、品質を維持しつつコスト削減を実現するVA提案を積極的に行う必要があります。そのためには社員の持つ知恵やノウハウを用いてデジタルトランスフォーメーション(DX)に取り組むほか、外部とのネットワークも最大限に活用し、価格競争力の向上に取り組みます。
④ 半導体関連マスク事業の強化
デジタル化の進展は印刷事業には逆風となりますが、半導体関連マスク事業においては追風となります。印刷事業の業績悪化を補完できる事業ポートフォリオを実現するため、半導体関連マスク事業においては、国内での事業強化は勿論のこと、海外事業を速やかに軌道に乗せ、当社グループを牽引できるレベルまで高めることが課題です。
その実現に向けて、当社、㈱プロセス・ラボ・ミクロン、東京プロセスサービス㈱の国内3社、そして中国と東南アジアに展開する海外3社が連携し、グループ全体最適とシナジーの最大化をめざします。会社の垣根を越えた人事交流や情報共有による課題解決、新製品開発を組織的に取り組みます。
⑤ 新事業の開発
印刷市場の縮小は今後も続くことが予想されており、印刷事業、半導体関連マスク事業、物販事業に続く、新事業の開発が課題です。現在進めております不動産事業開発のほか、既存事業との関連性が高く、実現性が高い新たな事業領域への拡大に向けまして、M&Aを含め積極的に挑戦をしてまいります。
⑥ 情報セキュリティの強化
当社グループでは、顧客から機密情報や個人情報をお預かりし、さまざまな製品やサービスをご提供しております。情報管理を徹底し、顧客からの信頼にお応えするためには、情報セキュリティの強化は継続的に追求する課題です。
⑦ 人材育成
人材育成は、社員が健康で高いモチベーションを持って、困難な課題にも取り組む状況を作り出すために必要な、大変重要な課題です。全社員総活躍のための取り組みとして、女性活躍のための制度の充実と社員の意識改革、実労働時間の短縮、スマートワーク(生産性を高め場所や時間に縛られない柔軟な働き方)、ワーク・ライフ・インテグレーション(仕事とプライベートの両立と質的向上の確立)などの働き方改革を推進しています。
⑧ 社会的価値創造企業への進化
持続可能な社会の実現に向けて基盤となるコーポレート・ガバナンスの強化、コンプライアンスの徹底、内部統制システムの構築、顧客の価値を創造するワンストップソリューションの提供、カーボンニュートラルの実現を含む環境配慮活動の推進などのSDGsへと繋がるゴール(課題)に積極的に取り組み、これまで以上に社会から信頼され、期待される社会的価値創造企業への進化をめざしてまいります。「顧客の課題解決を通じて広く社会に貢献すること」が当社グループの使命であり、持続可能な社会の実現と当社グループの持続的成長をめざすサステナビリティ経営を推進します。また、コロナ禍での経験を踏まえ、BCP(事業継続計画)の強化を図るとともに、当社グループ独自のニューノーマル(新常態)の創造に取り組みます。収束後も過去の姿に戻すのではなく、より良いガバナンスを形成し、環境・社会の形成に向けて貢献してまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)サステナビリティ全般に関するガバナンス及びリスク管理
リスク及び機会を監視し管理するため、当社グループでは、経営統括本部長を委員長とするリスク管理委員会を設置し、リスク管理規程等に基づき、サステナビリティ関連を含むリスクを特定し、責任部署を定めグループ全体のリスクを網羅的・統括的に管理する体制を確保しています。リスク管理委員会で協議・検討された事項は、必要に応じ取締役会に附議または報告されます。取締役会は、リスク管理委員会の協議・検討プロセスを監督し、必要に応じて具体的な対応を求めています。また、当社グループの取組みを活性化させるために、11個のマテリアリティ(重要課題)を決定しています。
2023年4月1日付にて代表取締役社長直轄のサステナビリティ推進室を新設いたしました。さらに当社グループのサステナビリティ推進に向けた体制の整備を進めて参ります。
(2)重要なサステナビリティ項目
サステナビリティ経営を実践する上で、「気候変動リスク」、「人的資本の確保」は優先的に取り組むべき課題と認識しております。重要なサステナビリティ項目に関する考え方及び取組は以下の通りです。
①気候変動リスク
中長期的な課題として、カーボンプライシングの導入による操業コストの増加や温室効果ガス(GHG)排出規制の強化による対応コストの増加などの移行リスクが生じる可能性が見込まれます。また、異常気象の激甚化による操業停止や気候変動による材料調達コストの増加などの物理的リスクが生じる可能性も見込まれます。
当社国内連結グループ合計の温室効果ガス(GHG)排出量(Scope1、Scope2)は以下の通りであります。これまでも生産設備の統合等を通じて、温室効果ガス(GHG)排出量の削減に取り組んで参りましたが、今後はサステナビリティ推進に向けた体制の整備を進めるとともに、定量的な削減目標も検討して取り組んで参ります。
|
|
単位 |
2020年度 |
2021年度 |
2022年度 (当期) |
|
Scope1、Scope2排出量合計 |
t-CO₂ |
13,008 |
10,491 |
10,425 |
|
削減量(前年度比) |
- |
2,517 |
66 |
|
|
削減率(前年度比) |
% |
- |
△19.3 |
△0.6 |
②人的資本の確保
中長期的な課題として、日本国内においては少子高齢化が進み、労働力人口が減少することが見込まれることから、将来的に生産活動に必要な人材の確保が困難になる可能性が見込まれます。他方で、当社人員構成のボリュームゾーンである団塊ジュニア世代の高齢化に対応するため、中堅層や若年層の育成や人材の確保が課題となります。また、企業の競争力を高めるため、多様性を確保する必要があります。
このような課題に対応するため、当社グループでは社内に「全社員総活躍プロジェクト」チームを設置し、性別・年齢・国籍等を問わず多様な社員が働きやすい環境整備を進めるとともに、社員の意識改革やキャリア開発支援に努めて参りました。その成果として女性が活躍できる企業の証である「くるみん」「えるぼし」などの各種の認定を受けています。また、リモートワーク実施に向けた環境整備や、「ノー残業デー」を設けるなど、ワーク・ライフ・バランス実現に向けた取り組みを実施しています。
また、これらの取組みに必要な「人材や人事制度に関する方針」を定めています。
(https://www.takeda-prn.co.jp/sustainability/takeup/)
当社は社員一人ひとりが「仲良く朗らかに元気よく」働ける環境を整備し、企業の持続的な成長に繋げて参ります。
これらの中長期的な課題については、さらにグループ横断的に取組みを検討・推進して参ります。
当社グループでは、上記において記載した、「人材や人事制度に関する方針」について、次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりであります。
|
指標 |
目標 |
実績(当事業年度) |
|
1.管理職に占める女性従業員の割合 |
2025年度末までに 10.0%以上 |
7.9 % |
|
2.男性従業員の育児休業取得率 (注)1 |
2025年度末までに 70.0%以上 |
33.3 % |
|
3.年次有給休暇の取得率 |
2025年度末までに 75.0%以上 |
69.7 % |
|
4.労働者の月ごとの平均残業時間 |
2025年度末までに 17時間以下 |
19.6 時間 |
(注)1.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の
規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」
(平成3年労働省令第25号)第71条の4第2号における育児休業等及び育児目的休暇の取得割合
(1)当社グループにおけるリスク管理体制について
当社グループでは、グループ全体における事業リスクを管理するため、各部署やグループ各社の担当責任者を構成員とするリスク管理委員会を設置しております。リスク管理規程に基づき、個々のリスク(コンプライアンス、経営戦略、業務運営、環境、災害など)に対処する責任部署を定めるとともに、グループ全体のリスクを網羅的・統括的に管理する体制としております。各部署やグループ各社は担当業務に関するリスクの抽出を行い、優先的に対応すべきリスクと対応策を検討し、内部統制推進部署(同委員会事務局)へ報告しております。内部統制推進部署は報告されたリスクを総括し、同委員会へ報告しております。なお、経営上の重大なリスクへの対応方針その他リスク管理の観点から重要な事項については、取締役会へ報告しております。
(2)主要なリスクについて
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローに重要な影響を与える可能性があると認識しているリスクは、以下のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項につきましては、当連結会計年度末において当社グループが判断しているものです。
① 印刷関連市場(紙媒体)の縮小
当社グループの事業は、印刷事業および印刷機械・印刷資材の販売など、国内向け印刷関連市場が中心です。デジタル化の進展やメディアの多様化が進む中で、印刷関連市場(紙媒体)は長期にわたり縮小し続けており、今後もその傾向が継続することが想定されます。印刷関連市場(紙媒体)の縮小が想定を超えて急激に進んだ場合には、操業度の低下により労務費や減価償却費などの固定費負担が高まるなど、業績に大きな影響を与える可能性があります。
印刷関連市場(紙媒体)の縮小は長期にわたり継続的に続いており、かつ近年ではDX(デジタルトランスフォーメーション)の拡大や断続的に実施されている印刷用紙の値上げによりその動きがさらに加速しているため、最優先で解消するべきリスクとして認識しております。
当社グループとしては、半導体関連マスク事業の強化や新事業開発の強化により、紙媒体への依存度が高い従来型ビジネスモデルからの転換を急ぐとともに、生産設備(その種類・能力と配置)の最適化により、市場縮小による受注減少に柔軟に対応できる低コスト生産体制の整備を進めております。
② 事業の繁閑
当社グループの事業は、国内向け印刷関連市場が中心で、かつカタログ等の商業印刷を主力としていることから、顧客の事業年度に合わせた仕事(4月、1月のタイミングで更新される印刷物や期末の予算消化案件)が多く、特に第4四半期に売上・利益が集中する傾向があります。連結ベースで、第4四半期が年間に占める割合は、過去10会計年度の平均で、売上高で28%、営業利益で44%となっており、同時期に何らかのビジネス阻害要因が発生した場合は、業績に大きな影響を与える可能性があります。2011年3月に発生した東日本大震災、そして2020年3月期末の新型コロナウイルス感染拡大による広告宣伝活動の自粛は、業績に相当程度影響を与えました。
当社グループとしては、顧客にワンストップソリューションを提供するビジネスモデルを確立し、年間を通して安定的に継続受注できるベース案件を増やすことで事業の閑散リスクを低減してまいります。
③ 受注単価の低下
印刷業界においては、長期にわたり縮小し続けている紙媒体需要に対して供給能力過剰の状態が続いており、それに伴い受注単価は下落または低位安定の状態が続いております。今後印刷関連市場(紙媒体)の縮小が想定を超えて急激に進んだ場合には、価格の下落がさらに進む可能性があります。
当社グループとしては、生産性の向上や仕入コストの削減を図るほか、社員が持つ知識・ノウハウ、そしてITの活用による価格競争力の向上、生産設備(その種類・能力と配置)の最適化による低コスト生産体制の構築、新事業開発の強化などの各種対策を行うことにより対応しております。
④ 原材料等の価格高騰
印刷用紙、インク、印刷用の版など、当社グループが使用する原材料等は、世界情勢の変化、市況やエネルギー価格、為替レート、物流経費などにより変動します。特に主要材料である印刷用紙は原材料全体に占める割合は大きく、価格変動による影響が最も大きくなります。また、製紙メーカーの減産による市場流通量の減少も価格高騰に影響を与えます。印刷用紙や資材以外にも、電気・ガスなどのエネルギー価格の高騰も生産活動に影響を与えます。
原材料等の高騰に対しては、販売価格への転嫁や生産性向上などのコスト低減や経費削減で吸収すべく対応しますが、対応しきれない場合は、上記のとおり業績に影響を及ぼす可能性があります。販売価格への転嫁につきましては顧客との交渉を行っておりますが、顧客における広告宣伝予算には限りがあり、交渉結果次第では印刷部数や頁数の減少による売上減少、ひいては紙媒体以外の広告宣伝媒体へのシフト(紙離れ)を助長する可能性があります。当社グループとしては、①印刷関連市場(紙媒体)の縮小に記載のとおり、紙媒体への依存度が高い従来型ビジネスモデルからの転換を急ぐことで、その影響を低減することをめざしております。
⑤ 大口顧客の動向
当社グループには、依存度の高い大口顧客がいくつかあります。継続的な取引関係は当社グループの強みである一方、それら大口顧客の属する業界の好不調、ビジネスモデルや取引方針の変更、企業統合等により取引額が大きく変動する可能性があります。
当社グループのコア事業である印刷事業はその特性として、幅広い業界・業種に顧客を持っており、新規顧客開拓先においても同様に業界・業種を問いません。また、デジタルマーケティングを活用して、当社グループが拠点を構えていない遠隔地の顧客とも商談機会を得ることが可能となりました。これらの特性やデジタル技術を活かした新規顧客開拓活動を行いまして、将来のロイヤルカスタマーを継続して獲得することにより、特定顧客の動向に左右されない事業基盤の確立をめざしております。
⑥ 人材の確保・育成
当社グループが持続的に事業を発展させるためには、営業、製造、開発、管理等、それぞれの分野に精通したプロフェッショナル人材や管理能力に優れたマネジメント人材を継続的に確保、育成していくことが必要となります。また、今後拡大が期待される海外事業をより一層強化するためには、優秀な現地人材を採用するとともに、事業戦略に沿ったグローバル人材の確保も必要となります。しかしながら、優秀な人材の獲得は競争が厳しく、特に国内においては少子高齢化に伴う労働人口の減少もあり、優秀な人材の獲得や育成が計画通りに進まない場合や優秀な人材が流出した場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
その対策として、新卒採用や中途採用を積極的に進めるとともに、人事・教育制度を充実させ、多様な社員が活躍できる職場環境の整備を進めております。また、グローバル人材の確保におきましては、外国人留学生を採用し、日本と海外を結ぶ現地管理者として育成するほか、現地人材の採用を積極的に進めてまいります。
⑦ 新規事業に関わるリスク
印刷物(紙媒体)の需要の縮小と、価格の低下・低位での推移が今後も継続することが想定されております。市場環境の悪化や競争の想定以上の激化、M&Aの失敗などにより、印刷・物販事業に次いで柱となるべき事業が思うように育たない場合、会社業績が伸び悩む可能性があります。
当社グループとしては、半導体関連マスク事業の強化や新事業開発の強化により、紙媒体への依存度が高い従来型ビジネスモデルからの転換を急いでおります。
その取り組みにより、半導体関連マスク事業では2013年の株式会社プロセス・ラボ・ミクロン、2016年の東京プロセスサービス株式会社の子会社化を実現し、近年では両社の海外事業進出をサポートしております。新事業開発の強化につきましては、代表取締役直轄の成長戦略本部を設置し、不動産事業開発やM&Aなどの成長戦略について、スピード感をもって進め、新たなビジネスモデルの早期構築をめざしております。
今後もコア事業である印刷事業との関連性が高く、実現性が高いこれらの事業の拡大について、M&Aの検討を含め積極的に進めてまいります。
⑧ 売掛債権の未回収
当社グループでは、与信管理と債権の回収管理を重視し貸倒れの極少化に努めておりますが、景況や産業構造の変化に伴い、顧客の倒産などによる貸倒れが生じるリスクは常にあるものと認識しております。貸倒れが一定規模以上で発生した場合には、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、新規顧客とは取引開始時にて信用調査を行い、さらにその後も定期的に信用調査を行い、与信限度額の設定・見直しを行っております。また、既存顧客との取引状況を毎月確認しており、信用状況に変化が生じた場合は、ファクタリングなどの債権保証サービスの活用や取引停止などの対策を速やかに講じております。
⑨ 情報セキュリティ
当社グループでは、多くの顧客情報および顧客からの受注案件にかかる顧客の機密情報を取り扱っております。予期せぬ事情により情報の流出、不正使用など情報セキュリティにかかるインシデントが発生する恐れがあります。また標的型攻撃メール等によるウイルス感染のリスクが高まっており、情報システムが一定期間機能不全に陥る事態も想定する必要があります。これらインシデントや情報セキュリティ対応のために多額の費用が発生し、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼすほか、社会的信用を失う可能性があります。
その対策として、プライバシーマークやISO27001の認証取得を通じた諸規程の整備と運用、メール誤配信防止のチェックシステムの活用、専用ルームの設置や警備会社との提携、専用のデータセンターの利用、入退室のセキュリティシステムの導入、自社制作のガイドライン「ITセキュリティハンドブック」を活用した社員教育を行うほか、インシデント費用の発生に備えてサイバー保険に加入するなど、万全を期しています。
⑩ 気候変動のリスク
気候変動による影響が深刻化しており、世界が低炭素社会に移行する際の「移行リスク」として、温室効果ガス排出規制などの法規制への対応にて、設備投資や技術開発に関する追加費用が発生する可能性があります。さらに、これらの法規制に対応した製品・サービスへの顧客ニーズの高まりに対応する必要が生じ、要求水準を満たさない場合は販売機会の損失につながる恐れがあります。また、気候変動に伴う自然災害の発生による「物理的リスク」として、工場における生産停止やサプライチェーンの寸断による製品供給が停滞する可能性があります。これらのリスクが顕在化した場合には、当社グループの活動や経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
気候変動リスクへの対応としては、当社グループでは「竹田印刷グループ サステナビリティに関する方針」にて今後の取り組む課題として「カーボンニュートラルの実現に向けた取り組み」を明文化するとともに、長期的な視点でリスクや課題を分析し、対策を進めてまいります。
⑪ 災害の発生
地震や水害などの大規模な災害が発生した際には、電力の供給停止や物流網の寸断など、社会的インフラに重大な被害が及ぶ可能性があります。原材料の仕入先や協力工場を含めた生産・流通体制が維持できない場合には、当社グループの活動に大きな影響を与える可能性があります。
当社グループでは、発生時期が予測できないこれらの災害リスクに対しては、生産拠点の分散化と、製造設備など主要設備に防火・耐震対策を施すとともに、BCP(事業継続計画)を策定するなどの対策を講じております。
⑫ 感染症の世界的蔓延(パンデミック)
新型インフルエンザなど、人類が免疫を持っておらず、治療薬やワクチンが存在しないような感染症の世界的蔓延(パンデミック)が発生した場合は、当社グループ従業員の感染による操業停止および出荷遅延が生じる可能性があります。また、顧客における操業停止や販売促進活動の自粛による受注減少、仕入先や協力工場からの供給が停滞するなど、当社グループの活動や経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
新型コロナウイルス感染症につきましては、足下では落ち着きつつあるものの、収束の見通しは依然不透明であり、業績への影響を予測することは困難な状況であります。今後の状況次第では、上記のとおり、当社グループの活動や経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。
① 財政状態および経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症による社会経済活動への制限が緩和され、持ち直しの兆しが見られました。しかしながら、ウクライナ情勢の長期化等によるエネルギー価格や原材料価格の高騰、為替市場での急激な円安が進行するなど、景気の先行きは不透明な状況となっております。
新型コロナウイルス感染症に対しては、当社グループでは社員および家族の健康と安全に配慮しつつ、顧客への製品やサービスの提供に影響を及ぼすことがないよう、感染予防と事業継続に取り組んでまいりました。
当社グループが事業活動を展開する国内の印刷市場におきましては、デジタル化の進展による紙媒体の縮小、競争の激化、価格の低迷という構図が長期にわたり継続していることに加えまして、エネルギー価格や原材料価格の高騰も重なり、大変厳しい状況が続いております。社会経済活動の正常化が進み、顧客における社内広報活動および販売促進活動は回復傾向にありますが、断続的に実施されている印刷用紙の値上げが広告宣伝媒体のデジタル化(紙離れ)を一層加速させ、社内報、カタログ、チラシ等の商業印刷物が減少を続けており、以前の水準に回復することは困難な状況です。
このような状況において、当社はコア事業における競争力の強化、新事業開発の強化、事業活動を支える経営基盤の強化という3つの改革を掲げ、事業構造改革を進めております。
その実現に向けて、顧客第一の基本方針のもと健全な危機感を持ち、印刷物の提供により、顧客の広告宣伝活動を支援する従来型のビジネスモデルから領域を広げ、印刷物に限らない多種多様なソリューションを複合的且つ効果的に組み合わせたワンストップソリューションの提供により、顧客の課題解決を総合的に支援するビジネスパートナーへ、ビジネスモデルの転換を図っております。
この取り組みを強力に推進し、顧客にとっての価値(顧客価値)を創造し、その価値に見合った収益に結びつけることで業績向上に努めております。同時に、半導体関連マスク事業の充実を図り、国内印刷市場の縮小に耐え得る収益構造の構築を進めております。なお、エネルギー価格や原材料価格の高騰には、代替品の購入、生産性向上、経費削減等を行うとともに、顧客には販売価格への転嫁だけではなく、品質を維持しつつコスト削減を実現するVA提案を積極的に行っております。
こうした取り組みの結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a. 財政状態
当連結会計年度末の資産の部は、受取手形及び売掛金、建物、土地などが減少いたしましたが、現金及び預金、建設仮勘定、投資有価証券などの増加により、前連結会計年度末に比べ9億21百万円増加し、298億92百万円となりました。
負債の部は、1年内返済予定の長期借入金、リース債務などが減少いたしましたが、電子記録債務、長期借入金などの増加により、前連結会計年度末に比べ32百万円増加し、140億70百万円となりました。
純資産の部は、利益剰余金などの増加により前連結会計年度末に比べ8億89百万円増の158億21百万円となり、自己資本比率は52.5%となりました。
b. 経営成績
当社グループの当連結会計年度における売上高は328億63百万円(前期比7.4%増)となりました。利益面では、営業利益9億39百万円(前期比15.5%増)、経常利益10億61百万円(前期比15.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益8億40百万円(前期比10.8%増)となりました。
セグメント別の状況は、以下のとおりです。
<印刷セグメント 印刷事業>
印刷事業では大変厳しい市場環境の下、品質管理と情報セキュリティ管理を徹底した上で、紙媒体需要を着実に取り込むとともに、全体最適での生産設備の見直しによる低コスト生産体制の実現、ビジネスモデルにマッチした社内体制の再構築などの事業構造改革を進めております。
前述のビジネスモデルの転換を図るため、全社横断の事業強化プロジェクトを推進し、ワンストップソリューション提案を強化しております。具体的な取り組みとしては、ロジスティクスサービス、各種BPOやイベント等の受託、通販サイトの運営、システム構築など、紙媒体に限らない多種多様なソリューションをワンストップで提供し、社会経済活動の正常化に伴い回復する広告宣伝需要を取り込みました。
また、顧客におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進をビジネスチャンスとして捉え、物流の課題をワンストップで解決する受発注管理システムのプラットフォーム「TS-BASE」の販売を強化するとともに、紙媒体の社内報のデザイン性をそのままに「見せる社内報」をコンセプトとするWeb社内報パッケージシステム「Yomikatsu!」の販売を開始するなど、デジタル関連サービスを強化しました。
<印刷セグメント 半導体関連マスク事業>
半導体関連マスク事業では、当社、㈱プロセス・ラボ・ミクロン、東京プロセスサービス㈱の3社によるグループ全体最適とシナジーの最大化を図るとともに、海外事業を強化いたしました。なお、当社の半導体関連マスク事業は、2023年4月1日付けで東京プロセスサービス㈱(同日付で竹田東京プロセスサービス㈱に商号変更)に承継いたしております。
世界的な半導体不足や顧客の在庫調整が継続するなか、第3四半期連結累計期間までは、スマートフォン向け等の一部製品にて出荷減少がありましたが、車載向け製品が回復基調に入るとともに、第5世代移動通信システム(5G)やサーバー向け等の製品が堅調に推移いたしました。海外事業では、当社グループが拠点を構えるベトナムやタイにおいて、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による営業活動の制限や顧客工場の稼働停止がございましたが、それも解消し業況は回復に向かいました。
しかしながら、懸念しておりました米中貿易摩擦による影響が昨年末から顕在化し、世界半導体市場が急速に減速したため、当社グループにおける半導体関連マスク事業も減速を余儀なくされました。
上記の結果、印刷セグメントの売上高は218億86百万円(前期比4.0%増)、営業利益は6億16百万円(前期比5.5%減)となりました。
<物販セグメント 物販事業>
物販事業では、印刷事業と同様に厳しい市場環境にありますが、印刷関連総合商社のリーディングカンパニーとして、日本全国に展開する拠点を活用し、顧客ニーズの発掘ときめ細かなフォローの徹底によるシェア拡大を図っております。
社会経済活動の正常化に伴う設備投資需要の回復が続いており、新規顧客の開拓やものづくり補助金制度を活用した取り込みを強化いたしました。また、2023年1月に印刷機材の総合展示会「Print Doors 2023(第59回光文堂 新春機材展)」を開催するほか、全国各地でのイベント出展による広告宣伝活動を積極的に行いました結果、資材販売と機械販売の両面で増収となりました。
利益面では、増収効果や利益率の高い自社ブランド製品の販売が好調であったことに加えて、仕入価格の高騰には顧客への丁寧な交渉により販売価格への転嫁を行うとともに経費削減を徹底した結果、増益となりました。
上記の結果、物販セグメントの売上高は113億61百万円(前期比12.8%増)、営業利益は3億8百万円(前期比107.5%増)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ5億75百万円増加し、59億21百万円となりました。当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、法人税等の支払額3億2百万円などに対し、税金等調整前当期純利益11億26百万円、減価償却費8億52百万円、仕入債務の増加4億77百万円などがあったため、22億35百万円の収入(前期は16億15百万円の収入)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の売却による収入2億51百万円、投資有価証券の売却及び償還による収入1億50百万円などに対し、有形固定資産の取得による支出8億26百万円、無形固定資産の取得による支出1億50百万円、投資有価証券の取得による支出1億46百万円などがあったため、7億72百万円の支出(前期は6億51百万円の収入)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金による収入6億円などに対し、長期借入金の返済による支出10億3百万円、リース債務の返済による支出3億24百万円、配当金の支払額1億47百万円などがあったため、9億円の支出(前期は16億35百万円の支出)となりました。
③ 生産、受注及び販売の実績
(1)生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
|
セグメントの名称 |
生産高(百万円) |
前期比(%) |
|
印刷 |
22,751 |
3.7 |
|
物販 |
- |
- |
|
合計 |
22,751 |
3.7 |
(注)生産実績は、販売価額により表示しております。
(2)受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
|
セグメントの名称 |
受注高(百万円) |
前期比 (%) |
受注残高(百万円) |
前期比 (%) |
|
印刷 |
23,208 |
8.1 |
4,496 |
41.6 |
|
物販 |
11,540 |
14.2 |
283 |
172.6 |
|
合計 |
34,749 |
10.0 |
4,780 |
45.8 |
(3)販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
|
セグメントの名称 |
販売高(百万円) |
前期比(%) |
|
印刷 |
21,886 |
4.0 |
|
物販 |
11,361 |
12.8 |
|
消去 |
△384 |
△25.4 |
|
合計 |
32,863 |
7.4 |
(注)販売実績は、販売価額により表示しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a. 経営成績
当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度(以下「前期」)に比べ22億63百万円増加し、328億63百万円(前期比7.4%増)となりました。印刷事業と物販事業が回復した一方で、半導体関連マスク事業では、昨年末より半導体市況が急速に冷え込んだ影響により、第4四半期は減速を余儀なくされ、前期並みとなりました。売上原価は、エネルギー価格や原材料価格の高騰などの影響もあり、前期に比べ20億51百万円増加し262億47百万円(前期比8.5%増)となり、売上原価率は前期の79.1%から79.9%へ悪化しました。販売費及び一般管理費は、前期に比べ85百万円増加し56億77百万円(前期比1.5%増)となりました。この結果、営業利益は前期と比べ1億26百万円増加し、9億39百万円(前期比15.5%増)となりました。
営業外収益は、前期と比べ28百万円減少し2億20百万円(前期比11.3%減)となり、営業外費用は、前期と比べ41百万円減少し98百万円(前期比29.9%減)となりました。この結果、経常利益は前期と比べ1億39百万円増加し10億61百万円(前期比15.2%増)となりました。
特別利益は、前期に当社関東地区の拠点売却等による固定資産売却益3億46百万円を計上したため、前期と比べ3億11百万円減少し75百万円(前期比80.5%減)となりました。特別損失は、前期に減損損失1億24百万円と工場建替関連費用99百万円を計上したため、前期に比べ2億77百万円減少し、10百万円(前期比96.4%減)となりました。
法人税等合計は、前期と比べ25百万円増加し、2億84百万円(前期比9.8%増)となりました。この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、前期と比べ82百万円増加し8億40百万円(前期比10.8%増)となりました。
b. 経営成績等に重要な影響を与えた要因
印刷事業および物販事業では、デジタル化の進展による紙媒体の縮小、競争の激化、価格の低迷という構図が長期にわたり継続していることに加えまして、エネルギー価格や原材料価格の高騰などの影響を受けました。特に、断続的に実施されている印刷用紙の値上げは、広告宣伝媒体のデジタル化(紙離れ)を一層加速させており、主力製品であります社内報、カタログ、チラシ等の商業印刷物が減少を続けており、以前の水準に回復することは困難な状況となっております。
このような大変厳しい状況下において、上記のとおり業績が回復した要因としましては、当社がめざすビジネスモデルである「ワンストップソリューションの提供により、顧客の課題解決を実現するビジネスパートナー」の実現に向けて、コア事業における競争力の強化、新事業開発の強化、事業活動を支える経営基盤の強化という3つの改革を掲げる事業構造改革の成果と認識しております。
第4四半期に減速しましたが半導体関連マスク事業が堅調であったことに加えまして、社会経済活動の正常化も進み、印刷事業における社内広報活動および販売促進活動や物販事業における設備投資需要の回復も寄与しました。エネルギー価格や原材料価格の高騰には代替品の購入、生産性向上、経費削減とともに、顧客には販売価格への転嫁に頼るのではなく、品質を維持しつつコスト削減を実現するVA提案を行い、顧客満足度の維持向上に努めました。
セグメントごとの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりです。
<印刷セグメント 印刷事業>
印刷事業では、印刷物の提供により、顧客の広告宣伝活動を支援する従来型のビジネスモデルから領域を広げ、印刷物に限らない多種多様なソリューションを複合的且つ効果的に組み合わせたワンストップソリューションの提供により、顧客の課題解決を総合的に支援するビジネスパートナーへ、ビジネスモデルの転換を進めています。多様化している製品やサービスの収益性や成長性を見極め、更なる事業強化と成長分野への積極投資を行っております。また、全体最適での生産設備の見直しによる低コスト生産体制の構築、ビジネスモデルにマッチした製造体制の再構築、子会社との連携などを進めております。
今後も紙媒体需要の取り込みを継続してまいりますが、当社が持つ制作体制、情報セキュリティ体制、システム構築力を駆使し、ロジスティクスや各種BPO受託、WEB・システムや動画などのデジタル媒体の制作を強化いたします。厳しい状況が続いておりましたイベントプロモーション受託におきましても、新型コロナウイルス感染症が収束に向かいつつあり、これまでの自粛の反動により需要は確実に回復するものと予想しております。
また、企業の働き方改革は今後も進むことが予想され、顧客におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進をビジネスチャンスとして捉えております。物流の課題をワンストップで解決する受発注管理システムのプラットフォーム「TS-BASE」には多くの引き合いをいただいており、サービスメニューの充実を継続しております。また、社内報制作やデジタルマーケティングのノウハウを活用したWeb社内報パッケージシステム「Yomikatsu!」を開発するなど、今後もデジタル関連サービスを強化し、顧客の課題解決をご支援してまいります。
<印刷セグメント 半導体関連マスク事業>
半導体関連マスク事業では、世界的な半導体不足や在庫調整が継続しておりましたが、コロナ禍における巣ごもり需要の高まりもあり、第5世代移動通信システム(5G)やサーバー向け等の製品が堅調に推移してまいりました。しかしながら、米中貿易摩擦による影響が昨年末から顕在化し、世界半導体市場が冷え込んだため、当社グループにおける半導体関連マスク事業も減速を余儀なくされました。
車載向け製品などが回復基調に入るとともに、当社グループが拠点を構えるベトナムやタイにおいて、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による営業活動の制限や顧客工場の稼働停止も解消し業況が回復に向かうなど、明るい材料もございますが、今回の世界半導体不況は当面続くものと予想しております。その間は、当社グループの強みである技術開発力、製品の安定供給力、グローバル展開力の総合力に磨きをかけ、市場が再び成長サイクルに入る機会に備えてまいります。また、子会社の㈱プロセス・ラボ・ミクロンでは、本社工場新棟建設と設備投資を行い、生産体制を強化いたします。
印刷事業ではマイナス要因となる「デジタル化の進展」が、本事業では逆に追い風となります。リスク分散の意味合いにおきましても、グループ全体最適とシナジーの最大化を図り、半導体関連マスク事業を強化してまいります。
<物販セグメント 物販事業>
物販セグメント(物販事業)は、顧客ニーズの発掘ときめ細かなフォローの徹底によるシェア向上のほか、異業種を含めた新規顧客の開拓、利益率の高い自社ブランド製品の販売強化、それを支える人材育成などによる総合力で他社との差別化を図り、売上・利益の確保をめざしてまいります。
印刷事業同様に厳しい環境下ではありますが、当連結会計年度においてはコロナ禍で停滞しておりました顧客の設備投資需要に回復が見られました。全国各地でのイベント出展による広告宣伝活動を積極的に行い、新規顧客の開拓やものづくり補助金制度を活用した取り込みを強化しました。一方、印刷関連市場の停滞により、顧客における経営環境の悪化に加えて、新型コロナウイルス感染症の影響による関連倒産が世界的にも不安視されており、今後も与信管理面でも慎重な取引が求められる状況は続いております。
顧客のビジネススタイルや市場環境の変化に対応し、営業スタイルも変革してまいります。従来からの訪問による売り込み型の営業だけではなく、顧客の事業内容を熟知し、最適な製品やサービスを提案する、顧客にとってのナンバーワンのビジネスパートナーをめざしております。今後も常に良質な情報発信を行い、顧客に選ばれ、頼りにされるサプライヤーとしての地位を確立してまいります。
c. 中長期的な目標に照らした経営成績の分析・評価
「目標とする経営指標」で述べましたように、当社グループのめざすところは、顧客にとっての価値を創造あるいは増大させることにより、顧客との長期的な信頼関係を築くとともに、営業利益率を高めて行くことです。当連結会計年度の営業利益率は2.9%となりました。
当連結会計年度を含む直近5期の営業利益率の推移は、1.6%→1.4%→1.2%→2.7%→2.9%という状況です。2期連続で改善を続けております。将来的には、安定的に5%レベルの営業利益を計上できる状況をめざしてまいります。そのためには、前述いたしました、印刷事業におけるビジネスモデルへの転換が必須であり、そのスピードを速めることが重要であると考えております。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容ならびに資本の財源および資金の流動性に係る情報
当連結会計年度におけるフリー・キャッシュ・フローは14億63百万円となり、当年度末の現金及び現金同等物は59億21百万円となりました。この金額は、運転資金、設備投資に必要な資金、将来の柱となる事業の開発あるいは取得に必要な資金として適正な水準であると考えておりますが、必要に応じて躊躇なく借入などのアクションを取り、タイミングを逃すことなくM&A等の必要な投資に積極的に取り組んでいきたいと考えております。
その施策の一つとして、今後の積極的な事業展開に必要な資金需要に対し、機動的且つ安定的な資金調達手段を確保することで財政基盤の強化並びに安定性向上を図ることを目的として、株式会社三菱UFJ銀行及び株式会社三井住友銀行との間でコミットメントライン契約を締結しております。株式会社三菱UFJ銀行とは契約極度額15億円、株式会社三井住友銀行とは同10億円を個別相対方式、無担保・無保証にて各々締結しております。なお、当連結会計年度末における借入実行残高はございません。
③ 重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成しております。その作成に当たっては、決算日における資産・負債及び当連結会計年度における収益・費用の報告金額、並びに開示に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会社方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」をご参照ください。
(1)業務委託契約
|
契約会社名 |
相手方の名称 |
契約 |
契約の内容 |
契約期間 |
|
東海プリントメディア株式会社 (連結子会社) |
株式会社読売新聞東京本社 |
業務委託契約 |
新聞印刷等業務の受託 |
2022年4月1日から1年間 |
(注)上記業務委託契約は、2023年4月1日から1年間更新されております。
(2)持株会社体制への移行に伴う吸収分割契約
当社は、2022年5月20日開催の取締役会において、当社を分割会社とする会社分割により、印刷事業を当社の100%子会社である竹田印刷分割準備株式会社(2022年4月1日設立。2023年4月1日付で「竹田印刷株式会社」に商号変更)に承継させること、及び半導体関連マスク事業を当社の100%子会社である東京プロセスサービス株式会社(2023年4月1日付で「竹田東京プロセスサービス株式会社」に商号変更)に承継させることを決議し、同日、承継会社との間で吸収分割契約を締結いたしました。なお、本吸収分割契約は、2022年6月24日開催の当社第84回定時株主総会において承認可決されております。
詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な後発事象)」に記載のとおりであります。
当連結会計年度におけるセグメント別の研究開発活動は次のとおりです。同期間において、当社グループが支出した研究開発費は
(印刷)
印刷事業においては、印刷機械を使って顧客のニーズに合った製品を作りますので、印刷技術そのものではなく、生産技術に関する研究開発が中心です。具体的には、カラーマネジメントシステムの精度向上、製造工程の改良、抗菌印刷の用途開発等に取り組みました。また、デジタルマーケティング手法の確立等において、デジタル技術への対応に取り組みました。
半導体関連マスク事業では、歩留まり向上・原価低減に向けた工程改善、顧客の製造工程の改善支援、薄膜コート開発、次世代商材開発に向けた新素材の評価・解析等に取り組みました。
当連結会計年度の印刷セグメントにおける研究開発費は
(物販)
デジタル化の進展に伴い構造改革が求められる印刷業界において、変化し続ける顧客ニーズに応える製品の研究開発を行い、提供することを基本方針としております。具体的には、品質向上に貢献する製品の開発、生産性向上に貢献する製品の開発、環境に配慮した製品の開発、様々なニーズや用途に対応し付加価値を高める加工機の開発等に取り組みました。
当連結会計年度の物販セグメントにおける研究開発費は