当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社経営の基本方針
当社の企業理念は、「溢れるほどの情熱をもって、革新しつづける」です。竹田iPホールディングスの社名には、長きにわたりご愛顧いただいております「竹田ブランド」を冠し、iPには「持続可能な社会に貢献すべく、溢れるほどの情熱(passion)をもって革新(innovation)しつづける」という決意を込めました。
iはイノベーション、Pはパッションの頭文字です。また、iPは小文字と大文字の組み合わせとしており、多様性が求められる現代において、「異なる立場の者が共に新たな価値を創造する、コ・クリエーション(共創)の実現」を表現しています。また、「竹田iPグループ サステナビリティに関する方針」を策定しており、優先的に取り組む11項目のマテリアリティ(重要課題)を選定し、その活動を具体化し、実行しております。
「顧客の課題解決を通じて広く社会に貢献すること」が当社の使命であり、持続可能な社会の実現と当社グループの持続的成長をめざすサステナビリティ経営を推進してまいります。
(2)経営環境
当社グループが身を置く印刷業界は、デジタル化の進展による紙媒体の縮小、競争の激化、価格の低迷という構図が長期にわたり継続していることに加えまして、原材料価格の高騰も重なり、市場全体として大変厳しい状況が続いております。日本国内における印刷製品出荷額は、1991年の8兆9,287億円をピークとして減少傾向にあり、2008年のリーマンショックや2011年の東日本大震災以降その傾向が一段と加速し、2021年の出荷額は4兆8,555億円まで落ち込んでおります。(出典:「日本印刷技術協会発行 印刷白書2023」)
また、新型コロナウイルス感染症の影響により急激に減少した社内報、カタログ、チラシなどの商業印刷物の回復が緩やかである一方、DX(デジタルトランスフォーメーション)の拡大や断続的に実施されている印刷用紙の値上げが広告宣伝媒体のデジタル化(紙離れ)を一層加速させており、以前の水準に回復することは困難な状況です。
一方、半導体分野に対する成長期待が世界的に高まっており、半導体関連マスク事業を国内外で展開する当社にとりましてはビジネス機会の拡大が期待されます。世界情勢の変化や中国経済の減速等の影響もあり、当連結会計年度では世界半導体市場は本格的な回復には至りませんでしたが、徐々に回復の兆しが見受けられるようになりました。
なお、全事業に共通する課題であります原材料価格の上昇や賃上げによる人件費の高騰に対しましては、販売価格への転嫁や生産性向上、経費削減による対応が求められております。
(3)中長期的な会社の経営戦略
当社は創業100周年(2024年1月)の節目となりました2023年度にホールディングス体制へ移行するとともに、事業ポートフォリオ改革を柔軟に行うための組織変更や各セグメントのミッションを明確化するためのセグメント区分の見直しなどを行いました。そして迎えた2024年度を「守りの経営から攻めの経営へ転換する第二の創業年」と位置づけ、既存事業の収益力強化は当然のこと、大胆な事業ポートフォリオの変革、成長分野への積極果敢な投資、攻めの経営を可能とするガバナンス体制への変革などを実行し、PBR1倍超の早期実現など、さらなる企業価値の向上を目指して、2024年度から2026年度までの3年間を対象とする中期経営計画を策定いたしました。
中長期に目指す姿
社会の課題解決を総合的に支援するパートナー
経 営 ビ ジ ョ ン
「社会から信頼され、必要とされる存在」になること
中期経営計画で目指すこと
1.顧客の課題解決を通じ、広く社会に貢献する
2.事業ポートフォリオを変革することにより既存事業の収益力を強化し、持続的成長を目指す
3.情報コミュニケーション・ソリューションセールス・半導体関連マスクに続く第4の柱を確立する(※)
4.経営基盤を継続的に強化する
(※)中期経営計画の公表に伴いまして、これまでの印刷セグメントを「情報コミュニケーションセグメント」、
物販セグメントを「ソリューションセールスセグメント」へ名称を変更いたします。
中期経営計画では、財務戦略として①既存事業の収益力強化、②成長事業の育成、③株主還元の強化、非財務戦略として④気候変動対策、⑤経営基盤強化の5項目を基本方針として定め、各種施策を実行してまいります。
①既存事業の収益力強化
当社の祖業である印刷事業につきましては、ペーパーレスの進展、少子高齢化による内需の縮小により厳しい事業環境が継続し、かつ、縮小を避けられません。中期経営計画においては、M&Aも選択肢の一つとしつつ、事業ポートフォリオの大胆な見直しを断行し、収益力強化に努めます。
一方で、半導体分野に対する成長期待が高まってきております。当社グループの半導体関連マスク事業には積極的な投資を行います。
②成長事業の育成
本中期経営計画期間においては、情報コミュニケーションセグメントにおけるグローバルパッケージ事業をその候補とし、約8億円の投資を行って、タイに新会社を設立します。
既に国内および中国に展開している事業会社とも連携して当社グループの中核となる事業に育成するとともに、海外展開を強化します。その他、成長事業と判断される領域には迅速な経営判断による積極果敢な投資を実行します。
③株主還元の強化
安定配当を継続しつつ、配当実施金額には下限を設け、中期経営計画の期間に渡り下限設定額を逓増させてまいります。さらに、今後の事業展開に要する内部留保を十分に確保できたと判断される場合は、自己株式の取得等も含めて、より積極的に株主還元を強化してまいります。
④気候変動対策
気候変動対策は企業の重要課題と認識し、その取り組みを考慮した事業活動を行います。2050年度でのカーボンニュートラルの実現を目指し、2030年度までに2020年度比でGHG排出量(Scope1および2)を30%削減します。
⑤経営基盤強化
人的資本経営を具現化するため、多様な人財活躍促進(ダイバーシティ)、人材育成、働きやすい職場環境の整備、組織風土改革を推進し、社員エンゲージメントの向上により、企業価値の向上、持続的成長の実現につなげてまいります。多様な人財活躍促進の一環として、女性管理職比率10%以上を目指します。取締役会においては、その実効性を強化していくとともに、株主との価値共有を強化するため報酬制度の改革を行います。
事業ポートフォリオ改革及び事業戦略については、以下のとおりです。
(事業ポートフォリオ改革)
情報コミュニケーションセグメントでは印刷市場の縮小に対して、グローバルパッケージ事業、ロジスティクス(BPOサポート)事業、システム関連事業やプロモーション支援事業(イベント関連、動画・サイネージなど)を育成し、ワンストップで顧客のニーズを満たすべく事業を展開しております。中期経営計画期間においては、この取り組みを一層加速させ、セグメント内のポートフォリオを変革します。ロジスティクス(BPOサポート)事業、システム関連事業への積極的な投資配分やグローバルパッケージ事業の強化などにより、情報コミュニケーションセグメント全体に占める印刷事業(グローバルパッケージ事業を除く)の売上高のシェアは、中期経営計画期間中に9.6ポイント低下(2023年度58.3%→2026年度48.7%)する計画としています。
また、半導体関連マスク事業への投資を強化することにより、連結全体の売上高に占める印刷事業(グローバルパッケージ事業を除く)のシェアは2023年度の28.0%から、中期経営計画最終年度の2026年度では22.8%程度、そして2029年度には13.0%程度になる計画としております。
(事業戦略:情報コミュニケーションセグメント)
情報コミュニケーションセグメントでは、「印刷物の提供により、顧客の広告宣伝活動を支援するパートナー」から「ワンストップソリューションの提供により、顧客の課題解決を総合的に支援するパートナー」へビジネスモデルの転換を急ぎます。長期ビジョンとして「顧客の圧倒的支持を得るワンストップソリューションを提供し、ロイヤルカスタマー比率を高め続ける」を掲げ、顧客にとっての価値を創造あるいは増大させることにより、顧客との長期的な信頼関係を築き、顧客にとっての価値(顧客価値)を創造し、その価値に見合った収益に結びつけることで業績向上に努めております。
印刷事業では設備の最適化を図りつつ、よりセキュアな環境を構築して付加価値の高い印刷物を提供します。グローバルパッケージ事業では、タイに新会社を設立し、グループ横断的な取り組みにより事業拡大を行います。ロジスティクス(BPOサポート)事業、システム関連事業を成長事業として位置づけ、人的資本・製造資本両面から、これまで以上に積極的な投資を行います。人への投資を強化し、より自由な発想による事業展開を推進し、次の事業の柱ともなり得る成長事業のシーズを育成します。
(事業戦略:ソリューションセールスセグメント)
ソリューションセールスセグメントでは、印刷関連総合商社のリーディングカンパニーとして、国内25か所に拠点を有し、国内全域をカバーできる体制となっています。印刷業界は厳しい状況ですが、光文堂は独立系ではシェアトップクラスであり、さらに市場シェアを拡大させる余地は大きいと考えています。
既存事業においては、高品質な自社ブランドの資材や機械設備を開発し、顧客の生産性向上に寄与することで、当社の企業価値向上を目指してまいります。また、新事業の開発も積極的に検討を進め、M&Aによるさらなる商圏や新事業の発掘も視野に入れ、中期経営計画の業績目標を達成いたします。
(事業戦略:半導体関連マスクセグメント)
半導体関連マスクセグメントでは、「進化する先駆者」として「ものづくりへの挑戦」を実践し、当社グループの成長ドライバーを担います。竹田東京プロセスサービスが国内およびタイに、プロセス・ラボ・ミクロンは国内、中国、ベトナムに事業展開をしており、東アジア~東南アジアをカバーする商圏を確立しています。この商圏を活かすため、グループシナジーの最大化を追求しています。プロセス・ラボ・ミクロンにおいては、2023年度までに本社工場の建替えおよび設備増強、九州工場のリニューアルなどで総額約20億円の投資を実行、生産力の強化を図っており、本中期経営計画期間にフル稼働いたします。
中期経営計画期間においては20億円の研究開発投資を実行し、当社グループの技術力を半導体分野・情報通信分野・自動車分野・医療分野といった成長分野へ注力してまいります。
(4)目標とする経営指標
中期経営計画における経営指標として、財務指標としては連結売上高350億円以上、営業利益16億円以上、営業利益率4.5%以上、ROE7.0%以上、海外売上比率12%以上といたしました。PBRは、将来的な1倍以上の実現を目指しつつ、現在の水準を踏まえ、0.7倍以上といたしました。
また、株主還元の強化を重点施策の一つと位置づけており、これまでの安定的な株主還元を堅持しつつ、より高水準の配当を目指し、配当実施金額に下限を設けるとともに、中期経営計画の期間に渡り下限設定額を逓増(2024年度 30円、2025年度 33円、2026年度 37円)させる方針といたしました。目標指標として連結配当性向30%以上を定め、1株当たりの配当予想は2024年度 33円、2025年度 37円、2026年度 47円の計画といたしました。また、十分な内部留保を確保できた場合は、自己株式の取得なども含め、株主コストを意識した株主還元を一層強化してまいります。
非財務指標としては、GHG排出量を2030年度までに2020年度比で30%以上の削減、女性管理職比率10%以上、女性取締役を2名以上としております。
中期経営計画(2024年度~2026年度)における経営指標(目標)
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項目 |
目標 |
(ご参考)2023年度 実績 |
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財 務 |
連結売上高 |
350億円以上 |
316億69百万円 |
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連結営業利益(率) |
16億円以上(4.5%以上) |
8億20百万円(2.6%) |
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ROE |
7.0%以上 |
5.2% |
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PBR |
0.7倍以上 |
0.42倍 |
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海外売上比率 |
12%以上 |
9.2% |
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連結配当性向 |
30%以上 (安定配当を継続しつつ、下限を設定) |
25.2% 年間配当金26円 (特別配当2円、記念配当2円含む) |
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非財務 |
GHG排出量 |
2030年度までに2020年度比30%以上削減 |
2020年度比で27.8%削減 |
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女性管理職比率 |
10%以上 |
8.1% |
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女性取締役 |
2名以上 |
1名 |
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なお、中期経営計画の初年度となります2024年度(2025年3月期)の連結業績につきましては、売上高330億円、営業利益11億円、経常利益12億円、親会社株主に帰属する当期純利益9億円を計画しております。
中期経営計画の詳細につきましては、当社ホームページをご参照ください。
(https://www.takedaip-hd.co.jp/ir/library/management_plan/)
(5)優先的に対処すべき事業上および財務上の課題
上記の経営方針、経営環境、中期経営計画などを踏まえまして、当社グループが優先的に対処すべき課題は以下のとおりです。
① ビジネスモデルの転換
顧客にとっての価値(顧客価値)を創造する、または増大させる課題解決(ソリューション)提案を強化することにより、その価値に見合った収益に結びつけることが当社グループの業績拡大には必須であり、最重要課題です。
印刷事業においては、印刷物の提供により、顧客の広告宣伝活動を支援する従来型のビジネスモデルから領域を広げ、印刷物に限らない多種多様なソリューションを複合的且つ効果的に組み合わせたワンストップソリューションの提供により、顧客の課題解決を総合的に支援するパートナーへ、ビジネスモデルの転換を急ぎます。
また、これらの取り組みを通じまして、年間を通して継続受注できるベース案件を増やすことにより、事業の閑散リスクを低減し、安定した収益構造に改革してまいります。
② 顧客の置かれている状況とビジネスモデルを深く理解すること
顧客にとっての価値を創造するためには、顧客の置かれている状況やビジネスモデルを深く理解することが最も大切であると考えております。当社グループは幅広い業界・業種に顧客を持っておりますが、顧客との接触機会を増やし、常に顧客の立場に立って考えます。これを高い次元で実現することが何よりも重要であり、顧客満足度向上のベースとなります。この取り組みを通じまして、長期ビジョンである「顧客の圧倒的支持を得るワンストップソリューションを提供し、ロイヤルカスタマー比率を高め続ける」の実現をめざしてまいります。
③ 低コスト生産体制の構築
顧客にとっての価値が創造できても、価格競争力がなければビジネスにはつながりません。紙媒体の縮小という社会の変化に対応し、生産性向上による適正利益を確保するためには、全体最適での設備集約は避けて通れません。
また、原材料やエネルギー価格の高騰には販売価格への転嫁に頼るだけではなく、仕入価格の低減や経費削減のほか、品質を維持しつつコスト削減を実現するVA提案を積極的に行う必要があります。そのためには社員の持つ知恵やノウハウを用いてデジタルトランスフォーメーション(DX)に取り組むほか、外部とのネットワークも最大限に活用し、価格競争力の向上に取り組みます。
④ 半導体関連マスク事業の強化
デジタル化の進展は印刷事業には逆風となりますが、半導体関連マスク事業においては追風となります。印刷事業の業績悪化を補完できる事業ポートフォリオを実現するため、半導体関連マスク事業においては、国内での事業強化は勿論のこと、海外事業を速やかに軌道に乗せ、当社グループを牽引できるレベルまで高めることが課題です。
その実現に向けて、㈱プロセス・ラボ・ミクロン、竹田東京プロセスサービス㈱の国内2社、そして中国と東南アジアに展開する海外3社が連携し、グループ全体最適とシナジーの最大化をめざします。会社の垣根を越えた人事交流や情報共有による課題解決、新製品開発を組織的に取り組みます。
⑤ 事業ポートフォリオの改革
印刷事業の依存度低減、半導体関連マスク事業と海外事業の拡大により、事業ポートフォリオの抜本改革を行います。当社の祖業である印刷事業では、ペーパーレスの進展、少子高齢化による内需の縮小により厳しい事業環境が継続し、縮小が避けられません。M&Aも選択肢の一つとしつつ、事業ポートフォリオの大胆な見直しを断行し、収益力強化に努めます。一方で、半導体分野に対する成長期待が高まっており、半導体関連マスク事業には積極的な投資を行います。
また、紙器・パッケージを国内外に供給するグローバルパッケージ事業を成長事業として位置づけ、タイに新会社を設立します。すでに国内および中国に展開している事業会社とも連携して中核事業に育成するとともに、海外展開を強化します。その他、成長事業と判断される領域には迅速な経営判断による積極果敢な投資を実行します。
⑥ 新事業の開発
印刷市場の縮小は今後も続くことが予想されており、印刷事業、物販事業、半導体関連マスク事業に続く、新事業の開発が課題です。現在進めております不動産事業開発のほか、既存事業との関連性が高く、実現性が高い新たな事業領域への拡大に向けまして、M&Aを含め積極的に挑戦をしてまいります。
⑦ 気候変動対策
当社グループでは気候変動対策は企業の重要課題と認識し、生産設備の統廃合、省エネルギー活動の促進、太陽光発電システムの導入、事業活動プロセスの革新、再生可能エネルギー・グリーン電力の活用などを推進し、2050年度でのカーボンニュートラルの実現を目指し、2030年度までに2020年度比でGHG排出量(Scope1および2)を30%削減します。
⑧ 人的資本経営の推進
当社グループは「企業価値向上」と「社員の幸せ」の両立を目指し、「人的資本への投資を強化し、人財の多様性確保と育成を推進。働きがいのある職場環境の整備を組織的・戦略的に進め、持続的成長を実現する強固な組織文化を築く」とする人的資本経営の基本方針を定めております。
多様な人財活躍促進(ダイバーシティ)、人材育成、働きやすい職場環境の整備、組織風土改革を推進し、社員エンゲージメントの向上を図り、従業員満足度を向上させることでモチベーションやパフォーマンスを高め、顧客満足度向上と企業価値向上につなげる人的資本経営を推進します。また、多様な人財活躍促進の一環として、女性管理職比率10%以上を目指します。
⑨ コーポレート・ガバナンスの強化
取締役会の監督機能の強化と取締役の減員を継続し、積極果敢な経営判断をスピーディーに行える体制を構築してまいります。具体的な取り組みとして、取締役会における社外取締役の割合を過半数とすること、女性取締役を2名以上にすることを目指します。女性取締役の任用により多様性を確保し、取締役会を企業価値向上に資する、より深度ある議論の場として醸成してまいります。更に取締役会の機能を継続的に向上させていくため、実効性評価の仕組みを導入します。役員報酬については、投資家とのより一層の価値共有を推進するため、業績連動型の色彩を強めた報酬制度へ移行してまいります。
⑩ 株主還元の強化
安定的な株主還元を堅持しつつ、より高水準の配当を目指し、資本コストを意識した株主還元政策を実行してまいります。2024年度~2026年度を対象期間とする中期経営計画におきましては、安定配当を継続しつつ、配当実施金額には下限を設け、下限設定額を逓増させてまいります。さらに、今後の事業展開に要する内部留保を十分に確保できたと判断される場合は、自己株式の取得等も含めて、より積極的に株主還元を強化してまいります。
⑪ 情報セキュリティの強化
当社グループでは、顧客から機密情報や個人情報をお預かりし、さまざまな製品やサービスをご提供しております。情報管理を徹底し、顧客からの信頼にお応えするためには、情報セキュリティの強化は継続的に追求する課題です。
⑫ DXの推進
当社グループは、社会課題・顧客課題の解決を目的としてDX戦略を推進します。目的達成のため、社員一人ひとりが輝けるためのDX」 、「人材の育成」、「生み出す価値の変革」を推進してまいります。社員一人ひとりが輝けるためのDX推進では、デジタルツールの導入やレガシーシステムの見直しにより、業務効率の向上や場所や時間にとらわれない働き方を実現するDXを推進し、ウェルビーイングの実現を目指します。人材の育成では、EラーニングなどによるIT基礎教育、情報セキュリティ教育などで、全社員のデジタルリテラシーを向上していきます。生み出す価値の変革では、DX推進により、顧客に新たな価値を提供します。
⑬ 社会的価値創造企業への進化
コロナ禍での経験を踏まえ、BCP(事業継続計画)の強化を図るとともに、当社グループ独自のニューノーマル(新常態)の創造に取り組みます。収束後も過去の姿に戻すのではなく、持続可能な社会の実現に向けて、SDGsへと繋がるゴール(課題)に積極的に取り組み、これまで以上に社会から信頼され、期待される社会的価値創造企業への進化をめざしてまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)サステナビリティ全般に関するガバナンス及びリスク管理
リスク及び機会を監視し管理するため、当社グループでは、経営管理担当役員を委員長とするリスク管理委員会を設置し、リスク管理規程等に基づき、サステナビリティ関連を含むリスクを特定し、責任部署を定めグループ全体の
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リスクを網羅的・統括的に管理する体制を確保しています。リスク管理委員会で協議・検討された事項は、必要に応じ取締役会に附議または報告されます。取締役会は、リスク管理委員会の協議・検討プロセスを監督し、必要に応じて具体的な対応を求めています。また、当社グループの取り組みを活性化させるために、11個のマテリアリティ(重要課題)を決定しています。 また、代表取締役社長直轄のサステナビリティ推進室は、取締役会にサステナビリティ関連の報告・提言を行い、取締役会は、サステナビリティ推進室に対し、指示・監督を行います。サステナビリティ推進室は、各部門やリスク管理委員会と連携し、当社グループのサステナビリティ推進に向けた体制の整備、取り組みを進めております。 |
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(2)重要なサステナビリティ項目
サステナビリティ経営を実践する上で、「気候変動リスク」、「人的資本に関する取組」は優先的に取り組むべき課題と認識しております。重要なサステナビリティ項目に関する考え方及び取組は以下の通りです。
①気候変動リスク
中長期的な課題として、カーボンプライシングの導入による操業コストの増加や温室効果ガス(GHG)排出規制の強化による対応コストの増加などの移行リスクが生じる可能性が見込まれます。また、異常気象の激甚化による操業停止や気候変動による材料調達コストの増加などの物理的リスクが生じる可能性も見込まれます。
当社はGHG排出量の削減に向けて、2023年6月16日開催の取締役会にて竹田iPグループGHG排出量削減中長期目標を決議し、2030年度までに2020年度比30%以上の削減、2050年度までに排出量実質ゼロを目指すこととし、国内主要グループ会社各社のGHG排出量削減目標を定めました。GHG排出量の実績につきましては、四半期毎にサステナビリティ推進室が当社取締役会に報告するとともに、リスク管理委員会を通じてグループ各社に展開し、排出量の可視化に努め、目標達成に取り組んでおります。
当連結会計年度におきましては、東海プリントメディア(株)において、オンサイトPPAモデルにより太陽光発電設備を導入し2023年9月26日より稼働を開始、日栄印刷紙工(株)においては照明器具の全面LED化を実施しました。日常の省エネ活動と併せたこれらの取り組みにより、消費電力の抑制を図っております。
当社国内連結グループ合計の温室効果ガス(GHG)排出量の実績および削減量(Scope1、Scope2)は以下の通りであります。
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単位 |
2020年度 |
2021年度 |
2022年度 |
2023年度 (当期) |
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Scope1、Scope2 排出量合計 |
t-CO₂ |
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削減量(前年度比) |
- |
2,517 |
66 |
1,030 |
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削減率(前年度比) |
% |
- |
△19.3 |
△0.6 |
△9.9 |
②人的資本に関する取組
a.基本方針
当社グループは、「企業価値向上」と「社員の幸せ」の両立を目指し、「竹田iPグループ人的資本に関する方針」を定め、人的資本への投資を強化し人材の多様性確保と育成を推進するとともに、働きがいのある職場環境の整備を組織的・戦略的に進め、持続的成長を実現する強固な組織づくりを推進しています。
(https://www.takedaip-hd.co.jp/sustainability/human_capital_policy/)
b.課題と取組
日本国内においては少子高齢化が進み、労働力人口が減少することが見込まれることから、将来的に生産活動に必要な人材の確保が困難になる可能性が見込まれます。他方で、当社グループ人員構成のボリュームゾーンである団塊ジュニア世代の高齢化に対応するため、中堅層や若年層の育成や人材の確保が課題となります。また、企業の競争力を高めるため、多様性を確保する必要があります。
このような課題に対応するため、当社グループでは社内に「全社員総活躍プロジェクト」チームを設置し、性別・年齢・国籍等を問わず多様な社員が働きやすい環境整備を進めるとともに、社員の意識改革やキャリア開発支援に努めてまいりました。その成果として女性が活躍できる企業の証である「くるみん」「えるぼし」などの各種の認定を受けております。また、柔軟な勤務制度の導入、「ノー残業デー」の実施、「メンタルヘルス相談窓口」の設置など、ヘルス・ケアとワーク・ライフ・バランス実現に向けた取り組みを強化し、その成果として竹田iPホールディングス(株)ならびに竹田印刷(株)において、2024年3月に健康優良法人の認定を取得いたしました。さらに、竹田印刷(株)においては、2023年10月より障がい者アーティストの雇用を開始し、障がい者の活躍の場の拡大と多様な働き方の実現も進めております。
また、社員の福利厚生増進の一環として、2023年10月に当社グループの社員に対して、従業員持株会を通じて譲渡制限付株式を付与する制度を導入いたしました。この取り組みにより、従業員持株会への加入率は24.9%から41.5%となりました(対象主要国内グループ8社)。
当社グループは今後も、社員一人ひとりの経営参画意識を高め、中長期的な企業価値の向上につなげてまいります。
(https://www.takeda-prn.co.jp/sustainability/takeup/)
c.指標及び目標
当社グループでは、人的資本に関する取組について、次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりであります。
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指標 |
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2022年度実績 |
2023年度実績 (当連結会計年度) |
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7.9% |
(前事業年度比 0.2%増加) |
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33.3% |
(前事業年度比 66.7%増加) |
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69.7% |
(前事業年度比 6.3%増加) |
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19.6時間 |
(前事業年度比 3.9時間減少) |
(注)1.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の
規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」
(平成3年労働省令第25号)第71条の4第2号における育児休業等及び育児目的休暇の取得割合
なお、当連結会計年度において、2.男性従業員の育児休業取得率、3.年次有給休暇の取得率、4.労働者の月ごとの平均残業時間の指標における実績はいずれも改善し目標を達成しました。今後も同水準の維持・向上に努め、社員の能力開発と自立的成長・挑戦を支援するとともに、社員一人ひとりが、お互いの価値観や多様性を尊重しながら「仲良く朗らかに元気よく」働ける環境を整備し、企業の持続的な成長につなげてまいります。
(1)当社グループにおけるリスク管理体制について
当社グループでは、グループ全体における事業リスクを管理するため、各部署やグループ各社の担当責任者を構成員とするリスク管理委員会を設置しております。リスク管理規程に基づき、個々のリスク(コンプライアンス、経営戦略、業務運営、環境、災害、人的資本、情報セキュリティなど)に対処する責任部署を定めるとともに、グループ全体のリスクを網羅的・統括的に管理する体制としております。各部署やグループ各社は担当業務に関するリスクの抽出を行い、優先的に対応すべきリスクと対応策を検討し、内部統制推進部署(同委員会事務局)へ報告しております。内部統制推進部署は報告されたリスクを総括し、同委員会へ報告しております。なお、経営上の重大なリスクへの対応方針その他リスク管理の観点から重要な事項については、取締役会へ報告しております。
(2)主要なリスクについて
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローに重要な影響を与える可能性があると認識しているリスクは、以下のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項につきましては、当連結会計年度末において当社グループが判断しているものです。
① 印刷関連市場(紙媒体)の縮小
当社グループの事業は、印刷事業および印刷機械・印刷資材の販売など、国内向け印刷関連市場が中心です。デジタル化の進展やメディアの多様化が進む中で、印刷関連市場(紙媒体)は長期にわたり縮小し続けており、今後もその傾向が継続することが想定されます。印刷関連市場(紙媒体)の縮小が想定を超えて急激に進んだ場合には、操業度の低下により労務費や減価償却費などの固定費負担が高まるなど、業績に大きな影響を与える可能性があります。
印刷関連市場(紙媒体)の縮小は長期にわたり継続的に続いており、かつ近年ではDX(デジタルトランスフォーメーション)の拡大や断続的に実施されている印刷用紙の値上げによりその動きがさらに加速しているため、最優先で解消するべきリスクとして認識しております。
当社グループとしては、半導体関連マスク事業の強化や新事業開発の強化により、紙媒体への依存度が高い従来型ビジネスモデルからの転換を急ぐとともに、生産設備(その種類・能力と配置)の最適化により、市場縮小による受注減少に柔軟に対応できる低コスト生産体制の整備を進めております。
② 事業の繁閑
当社グループの事業は、国内向け印刷関連市場が中心で、かつカタログ等の商業印刷を主力としていることから、顧客の事業年度に合わせた仕事(4月、1月のタイミングで更新される印刷物や期末の予算消化案件)が多く、特に第4四半期に売上・利益が集中する傾向があります。連結ベースで、第4四半期が年間に占める割合は、過去10会計年度の平均で、売上高で28%、営業利益で43%となっており、同時期に何らかのビジネス阻害要因が発生した場合は、業績に大きな影響を与える可能性があります。2011年3月に発生した東日本大震災、そして2020年3月期末の新型コロナウイルス感染拡大による広告宣伝活動の自粛は、業績に相当程度影響を与えました。
当社グループとしては、顧客にワンストップソリューションを提供するビジネスモデルを確立し、年間を通して安定的に継続受注できるベース案件を増やすことで事業の閑散リスクを低減してまいります。
③ 受注単価の低下
印刷業界においては、長期にわたり縮小し続けている紙媒体需要に対して供給能力過剰の状態が続いており、それに伴い受注単価は下落または低位安定の状態が続いております。今後印刷関連市場(紙媒体)の縮小が想定を超えて急激に進んだ場合には、価格の下落がさらに進む可能性があります。
当社グループとしては、生産性の向上や仕入コストの削減を図るほか、社員が持つ知識・ノウハウ、そしてITの活用による価格競争力の向上、生産設備(その種類・能力と配置)の最適化による低コスト生産体制の構築、新事業開発の強化などの各種対策を行うことにより対応しております。
④ 原材料等の価格高騰
印刷用紙、インク、印刷用の版など、当社グループが使用する原材料等は、世界情勢の変化、市況やエネルギー価格、為替レート、物流経費などにより変動します。特に主要材料である印刷用紙は原材料全体に占める割合は大きく、価格変動による影響が最も大きくなります。また、製紙メーカーの減産による市場流通量の減少も価格高騰に影響を与えます。印刷用紙や資材以外にも、電気・ガスなどのエネルギー価格の高騰も生産活動に影響を与えます。
原材料等の高騰に対しては、販売価格への転嫁や生産性向上などのコスト低減や経費削減で吸収すべく対応しますが、対応しきれない場合は、上記のとおり業績に影響を及ぼす可能性があります。販売価格への転嫁につきましては顧客との交渉を行っておりますが、顧客における広告宣伝予算には限りがあり、交渉結果次第では印刷部数や頁数の減少による売上減少、ひいては紙媒体以外の広告宣伝媒体へのシフト(紙離れ)を助長する可能性があります。当社グループとしては、①印刷関連市場(紙媒体)の縮小に記載のとおり、紙媒体への依存度が高い従来型ビジネスモデルからの転換を急ぐことで、その影響を低減することをめざしております。
⑤ 大口顧客の動向
当社グループには、依存度の高い大口顧客がいくつかあります。継続的な取引関係は当社グループの強みである一方、それら大口顧客の属する業界の好不調、ビジネスモデルや取引方針の変更、企業統合等により取引額が大きく変動する可能性があります。
当社グループのコア事業である印刷事業はその特性として、幅広い業界・業種に顧客を持っており、新規顧客開拓先においても同様に業界・業種を問いません。また、デジタルマーケティングを活用して、当社グループが拠点を構えていない遠隔地の顧客とも商談機会を得ることが可能となりました。これらの特性やデジタル技術を活かした新規顧客開拓活動を行いまして、将来のロイヤルカスタマーを継続して獲得することにより、特定顧客の動向に左右されない事業基盤の確立をめざしております。
⑥ 人材の確保・育成
当社グループが持続的に事業を発展させるためには、営業、製造、開発、管理等、それぞれの分野に精通したプロフェッショナル人材や管理能力に優れたマネジメント人材を継続的に確保、育成していくことが必要となります。また、今後拡大が期待される海外事業をより一層強化するためには、優秀な現地人材を採用するとともに、事業戦略に沿ったグローバル人材の確保も必要となります。しかしながら、優秀な人材の獲得は競争が厳しく、特に国内においては少子高齢化に伴う労働人口の減少もあり、優秀な人材の獲得や育成が計画通りに進まない場合や優秀な人材が流出した場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
その対策として、新卒採用や中途採用を積極的に進めるとともに、「竹田iPグループ 人権方針」および「竹田iPグループ 人的資本に関する方針」を制定し、人材育成の充実を図るほか、多様な社員が活躍できる職場環境の整備を進めております。また、グローバル人材の確保におきましては、外国人留学生を採用し、日本と海外を結ぶ現地管理者として育成するほか、現地人材の採用を積極的に進めてまいります。
⑦ 新規事業に関わるリスク
印刷物(紙媒体)の需要の縮小と、価格の低下・低位での推移が今後も継続することが想定されております。市場環境の悪化や競争の想定以上の激化、M&Aの失敗などにより、印刷・物販事業に次いで柱となるべき事業が思うように育たない場合、会社業績が伸び悩む可能性があります。
当社グループとしては、半導体関連マスク事業の強化や新事業開発の強化により、紙媒体への依存度が高い従来型ビジネスモデルからの転換を急いでおります。
その取り組みにより、半導体関連マスク事業では2013年の株式会社プロセス・ラボ・ミクロン、2016年の東京プロセスサービス株式会社の子会社化を実現し、近年では両社の海外事業進出をサポートしております。
今後もコア事業である印刷事業との関連性が高く、実現性が高いこれらの事業の拡大について、M&Aの検討を含め積極的に進めてまいります。
⑧ 売掛債権の未回収
当社グループでは、与信管理と債権の回収管理を重視し貸倒れの極少化に努めておりますが、景況や産業構造の変化に伴い、顧客の倒産などによる貸倒れが生じるリスクは常にあるものと認識しております。貸倒れが一定規模以上で発生した場合には、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、新規顧客とは取引開始時にて信用調査を行い、さらにその後も定期的に信用調査を行い、与信限度額の設定・見直しを行っております。また、既存顧客との取引状況を毎月確認しており、信用状況に変化が生じた場合は、ファクタリングなどの債権保証サービスの活用や取引停止などの対策を速やかに講じております。
⑨ 情報セキュリティ
当社グループでは、多くの顧客情報および顧客からの受注案件にかかる顧客の機密情報を取り扱っております。予期せぬ事情により情報の流出、不正使用など情報セキュリティにかかるインシデントが発生する恐れがあります。また標的型攻撃メール等によるウイルス感染のリスクが高まっており、情報システムが一定期間機能不全に陥る事態も想定する必要があります。これらインシデントや情報セキュリティ対応のために多額の費用が発生し、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼすほか、社会的信用を失う可能性があります。
その対策として、プライバシーマークやISO27001の認証取得を通じた諸規程の整備と運用、メール誤配信防止のチェックシステムの活用、専用ルームの設置や警備会社との提携、専用のデータセンターの利用、入退室のセキュリティシステムの導入、自社制作のガイドライン「ITセキュリティハンドブック」を活用した社員教育を行うほか、インシデント費用の発生に備えてサイバー保険に加入するなど、万全を期しています。
⑩ 気候変動のリスク
気候変動による影響が深刻化しており、世界が低炭素社会に移行する際の「移行リスク」として、温室効果ガス排出規制などの法規制への対応にて、設備投資や技術開発に関する追加費用が発生する可能性があります。さらに、これらの法規制に対応した製品・サービスへの顧客ニーズの高まりに対応する必要が生じ、要求水準を満たさない場合は販売機会の損失につながる恐れがあります。また、気候変動に伴う自然災害の発生による「物理的リスク」として、工場における生産停止やサプライチェーンの寸断による製品供給が停滞する可能性があります。これらのリスクが顕在化した場合には、当社グループの活動や経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
気候変動リスクへの対応としては、当社グループでは「竹田iPグループ サステナビリティに関する方針」および「竹田iPグループ 環境方針」にて今後の取り組む課題として「カーボンニュートラルの実現に向けた取り組み」を明文化するとともに、長期的な視点でリスクや課題を分析し、対策を進めてまいります。
⑪ 災害の発生
地震や水害などの大規模な災害が発生した際には、電力の供給停止や物流網の寸断など、社会的インフラに重大な被害が及ぶ可能性があります。原材料の仕入先や協力工場を含めた生産・流通体制が維持できない場合には、当社グループの活動に大きな影響を与える可能性があります。
当社グループでは、発生時期が予測できないこれらの災害リスクに対しては、生産拠点の分散化と、製造設備など主要設備に防火・耐震対策を施すとともに、BCP(事業継続計画)を策定するなどの対策を講じております。
⑫ 感染症の世界的蔓延(パンデミック)
新型インフルエンザなど、人類が免疫を持っておらず、治療薬やワクチンが存在しないような感染症の世界的蔓延(パンデミック)が発生した場合は、当社グループ従業員の感染による操業停止および出荷遅延が生じる可能性があります。また、顧客における操業停止や販売促進活動の自粛による受注減少、仕入先や協力工場からの供給が停滞するなど、当社グループの活動や経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは社員および家族の健康と安全に配慮しつつ、顧客への製品やサービスの提供に影響を及ぼすことがないよう、感染予防と事業継続に取り組んでいます。具体的には、緊急対応計画書を策定し、定期的な検温や消毒の徹底による感染防止に努めるほか、時差出勤やテレワークなどの柔軟な勤務形態やTV会議の推進、ITを活用した非接触型の営業活動の確立などによりリスクを最小化します。
今後は、今回のコロナ禍で得られた経験や知見も活用して感染防止対策のレベルアップを図るとともに、新たな生活様式や市場の変化に対して柔軟に対応することにより、経営成績等への影響を極小化するよう努めてまいります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。
① 財政状態および経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけが5類に移行したことに伴い、社会経済活動の正常化が進んだほか、インバウンド需要の回復などもあり、緩やかな回復基調で推移しました。しかしながら、ウクライナ情勢や円安傾向の長期化による原材料価格の高騰、中国の景気減速、世界的な金融引締めによる影響が懸念されるなど、依然として景気の先行きは不透明な状況となっております。
当社グループが事業活動を展開する国内の印刷市場におきましては、デジタル化の進展による紙媒体の縮小、競争の激化、価格の低迷という構図が長期にわたり継続していることに加えまして、原材料価格の高騰も重なり、大変厳しい状況が続いております。社会経済活動の正常化により、顧客における社内広報活動および販売促進活動は回復いたしましたが、断続的に実施されている印刷用紙の値上げが広告宣伝媒体のデジタル化(紙離れ)を一層加速させ、社内報、カタログ、チラシ等の商業印刷物が減少を続けており、以前の水準に回復することは困難な状況です。
このような状況において、当社グループではコア事業における競争力の強化、新事業開発の強化、事業活動を支える経営基盤の強化という3つの改革を掲げ、事業構造改革を進めてまいりました。
中核事業である印刷事業では、顧客第一の基本方針のもと健全な危機感を持ち、印刷物の提供により、顧客の広告宣伝活動を支援する従来型のビジネスモデルから領域を広げ、印刷物に限らない様々なソリューションを複合的且つ効果的に組み合わせたワンストップソリューションの提供により、顧客の課題解決を総合的に支援するパートナーへ、ビジネスモデルの転換を図っております。この取り組みを強力に推進し、顧客にとっての価値(顧客価値)を創造し、その価値に見合った収益に結びつけることで業績向上に努めております。同時に、国内外にて半導体関連マスク事業の充実を図り、国内印刷市場の縮小に耐え得る収益構造の構築を進めております。
これらの改革スピードをより一層高めることでグループ全体最適とシナジーの最大化を図り、さらなる成長加速と事業拡大による強固な収益基盤の構築を目指して、当社は2023年4月1日に「竹田iPホールディングス株式会社」に商号を変更し、持株会社体制に移行いたしました。
こうした取り組みの結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a. 財政状態
当連結会計年度末の資産の部は、受取手形及び売掛金、建設仮勘定などが減少いたしましたが、現金及び預金、建物及び構築物、リース資産、投資有価証券などの増加により、前連結会計年度末に比べ15億96百万円増加し、314億88百万円となりました。
負債の部は、電子記録債務、長期借入金などが減少いたしましたが、その他の流動負債、リース債務、繰延税金負債などの増加により、前連結会計年度末に比べ30百万円増加し、141億1百万円となりました。
純資産の部は、利益剰余金やその他有価証券評価差額金などの増加により、前連結会計年度末に比べ15億65百万円増の173億87百万円となり、自己資本比率は54.8%となりました。
b. 経営成績
当連結会計年度より、表示方法を変更しております。このため、以下の前期比較につきましては、前連結会計年度の数値を組み替えて記載しております。
表示方法の変更についての詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 (表示方法の変更)」に記載のとおりであります。
当社グループの当連結会計年度における売上高は316億69百万円(前期比3.9%減)となりました。利益面では、営業利益8億20百万円(前期比16.2%減)、経常利益9億32百万円(前期比12.2%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は8億51百万円(前期比1.3%増)となりました。
セグメント別の状況は、以下のとおりです。
なお、当連結会計年度より、報告セグメントを変更しております。前連結会計年度まで、印刷セグメントに含めておりました「半導体関連マスク」を独立させるとともに、「不動産賃貸」を新設しております。このため、以下の前期比較につきましては、前連結会計年度の数値をセグメント変更後の数値に組み替えて記載しております。
報告セグメントの変更についての詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 (セグメント情報等)」に記載のとおりであります。
また、以下の前期比較につきましては、前期は持株会社移行前であり、セグメントごとの利益の算出が困難なことから、売上高のみ変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。
(印刷)
印刷事業では品質管理と情報セキュリティ管理を徹底した上で、紙媒体需要を着実に取り込むとともに、全体最適での生産設備の見直しによる低コスト生産体制の実現、ビジネスモデルにマッチした社内体制の再構築などの事業構造改革を進めております。
前述のビジネスモデルの転換を図るため、地域横断の事業強化プロジェクトを推進し、ロジスティクス、各種BPO受託、WEB・システムや動画などのデジタル媒体の制作を強化いたしました。具体的には、物流の課題をワンストップで解決する受発注管理システムのプラットフォーム「TS-BASE」、見せる社内報をコンセプトとするWeb社内報パッケージシステム「Yomikatsu!」など、顧客におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)を支援するサービスの提供に加えまして、顧客の抱える課題を整理し、資料化する無料サービス「タケダできく」、顧客におけるマーケティング戦略の立案から施策の実行までをワンストップでサポートする「BtoBマーケティング伴走支援サービス」など、顧客の課題解決を支援するサービスの提供を開始いたしました。また、イベント受託では顧客企業からの受託に加えまして、産官学連携のまちづくりプロジェクト「池袋ミステリータウン」に協賛するなど、社会経済活動の正常化に伴い回復するイベント需要を取り込みました。
上記の結果、印刷セグメントの売上高は158億92百万円(前期比0.3%増)、営業利益は3億49百万円となりました。
(物販)
物販事業では、印刷事業と同様に厳しい市場環境にありますが、印刷関連総合商社のリーディングカンパニーとして、日本全国に展開する拠点を活用し、顧客ニーズの発掘ときめ細かなフォローの徹底によるシェア拡大を図っております。また、2024年3月に徳島営業所を開設し、四国地方における事業活動を開始いたしました。
2024年1月に印刷機材の総合展示会「Print Doors 2024(第60回光文堂 新春機材展)」を開催したほか、全国各地でのイベント出展による広告宣伝活動を積極的に行うとともに、新規顧客の開拓やものづくり補助金制度を活用した取り込みを強化しました。しかしながら、資材販売は堅調に推移しましたが、機械販売において大型の機械販売が次年度へずれ込むなど苦戦を強いられ、減収となりました。
利益面では、広告宣伝費や旅費交通費などの販売費を確保しつつ、固定費削減を行い利益確保に努めましたが、機械販売において利益率の高い自社ブランド製品の販売が伸び悩んだため、減益となりました。
上記の結果、物販セグメントの売上高は105億65百万円(前期比7.0%減)、営業利益は1億66百万円となりました。
(半導体関連マスク)
半導体関連マスク事業では、竹田東京プロセスサービス㈱と㈱プロセス・ラボ・ミクロンの国内2社、そして中国と東南アジアに展開する海外3社が連携し、会社の垣根を越えた人事交流や情報共有による課題解決、新製品開発を組織的に取り組み、グループ全体最適とシナジーの最大化を目指しております。
世界半導体市場は徐々に回復の兆しが見受けられるようになりましたが、世界情勢の変化や中国経済の減速等の影響もあり、本格的な回復には至りませんでした。その影響を受け、当社グループでは車載向け製品等の一部製品は回復傾向となりましたが、パソコンやスマートフォン向け製品等が低迷しました。
この厳しい環境下におきまして、当社グループでは強みである技術開発力、製品の安定供給力、グローバル展開力の総合力に磨きをかけ、市場が再び成長サイクルに入る機会に備えて生産体制を強化しました。電子部品実装用メタルマスクの製造販売を担う㈱プロセス・ラボ・ミクロンにおいては、本社工場の竣工とともに生産設備を更新し、高精細化に対応した微細開口メタルマスクの製造を開始しました。
上記の結果、半導体関連マスクセグメントの売上高は55億14百万円(前期比8.6%減)、営業利益は1億93百万円となりました。
(不動産賃貸)
当社グループが保有する土地・建物などの有効活用を目的として、連結子会社や外部顧客に対する不動産賃貸事業を行っております。当連結会計年度の売上高は8億8百万円(前期比125.6%増)、営業利益は4億75百万円となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ94百万円増加し、60億16百万円となりました。当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
なお、上記内容には新規連結に伴う現金及び現金同等物の増加額49百万円を含んでおります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、仕入債務の減少6億90百万円、法人税等の支払額2億65百万円などに対し、税金等調整前当期純利益10億53百万円、減価償却費8億13百万円、売上債権の減少4億47百万円などがあったため、12億49百万円の収入(前期は22億35百万円の収入)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の売却による収入5億94百万円などに対し、有形固定資産の取得による支出10億26百万円、投資有価証券の取得による支出1億42百万円などがあったため、6億27百万円の支出(前期は7億72百万円の支出)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の増加による収入90百万円、長期借入金による収入1億円などに対し、長期借入金の返済による支出3億8百万円、リース債務の返済による支出2億75百万円、配当金の支払額1億97百万円などがあったため、6億円の支出(前期は9億円の支出)となりました。
③ 生産、受注及び販売の実績
(1)生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
|
セグメントの名称 |
生産高(百万円) |
前期比(%) |
|
印刷 |
16,248 |
0.8 |
|
物販 |
- |
- |
|
半導体関連マスク |
5,965 |
△10.0 |
|
不動産賃貸 |
- |
- |
|
合計 |
22,213 |
△2.4 |
(注)生産実績は、販売価額により表示しております。
(2)受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
|
セグメントの名称 |
受注高(百万円) |
前期比 (%) |
受注残高(百万円) |
前期比 (%) |
|
印刷 |
13,648 |
△27.2 |
2,096 |
△51.7 |
|
物販 |
11,238 |
△2.6 |
956 |
237.5 |
|
半導体関連マスク |
5,503 |
23.4 |
144 |
△7.4 |
|
不動産賃貸 |
- |
- |
- |
- |
|
合計 |
30,390 |
△12.5 |
3,198 |
△33.1 |
(3)販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
|
セグメントの名称 |
販売高(百万円) |
前期比(%) |
|
印刷 |
15,892 |
0.3 |
|
物販 |
10,565 |
△7.0 |
|
半導体関連マスク |
5,514 |
△8.6 |
|
不動産賃貸 |
808 |
125.6 |
|
消去 |
△1,111 |
△67.9 |
|
合計 |
31,669 |
△3.9 |
(注)販売実績は、販売価額により表示しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a. 経営成績
当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度(以下「前期」)に比べ12億74百万円減少し、316億69百万円(前期比3.9%減)となりました。印刷事業が回復した一方で、物販事業と半導体関連マスク事業が伸び悩んだ影響により、減収となりました。売上原価は減収による影響もあり、前期に比べ11億89百万円減少し250億99百万円(前期比4.5%減)となりましたが、売上原価率は前期の79.8%から79.3%へ改善しました。販売費及び一般管理費は、前期に比べ72百万円増加し57億50百万円(前期比1.3%増)となり、販管比率は前期の17.2%から18.2%へ悪化しました。この結果、営業利益は前期と比べ1億58百万円減少し、8億20百万円(前期比16.2%減)となりました。
営業外収益は、受取配当金の増加などにより、前期と比べ21百万円増加し1億61百万円(前期比15.5%増)となりました。営業外費用は、前期と比べ7百万円減少し49百万円(前期比14.0%減)となりました。この結果、経常利益は前期と比べ1億29百万円減少し9億32百万円(前期比12.2%減)となりました。
特別利益は、賃貸設備の売却等による固定資産売却益2億2百万円や補助金収入85百万円を計上したため、前期と比べ2億24百万円増加し3億円(前期比297.8%増)となりました。特別損失は、固定資産圧縮損85百万円、海外子会社のPROCESS LAB.MICRON VIETNAM CO.,LTD.(所在国:ベトナム社会主義共和国)にて減損損失41百万円と貸倒引当金繰入額49百万円を計上したため、前期に比べ1億68百万円増加し、1億78百万円(前期は10百万円)となりました。法人税等合計は、繰延税金資産の増加等により前期と比べ87百万円減少し、1億96百万円(前期比30.8%減)となりました。この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、前期と比べ10百万円増加し8億51百万円(前期比1.3%増)となりました。
b. 経営成績等に重要な影響を与えた要因
国内印刷市場では、デジタル化の進展による紙媒体の縮小、競争の激化、価格の低迷という構図が長期にわたり継続していることに加えまして、原材料価格の高騰などの影響を受けました。特に、断続的に実施されている印刷用紙の値上げは、広告宣伝媒体のデジタル化(紙離れ)を一層加速させており、主力製品であります社内報、カタログ、チラシ等の商業印刷物が減少を続けており、以前の水準に回復することは困難な状況となっております。
このような大変厳しい状況下において、印刷事業において業績が回復した要因は、社会経済活動の正常化が進んだことに加えまして、当社がめざすビジネスモデルである「ワンストップソリューションの提供により、顧客の課題解決を実現するパートナー」の実現に向けて、コア事業における競争力の強化、新事業開発の強化、事業活動を支える経営基盤の強化という3つの改革を掲げる事業構造改革の成果と認識しております。
物販事業では顧客における設備投資に一服感が見受けられたほか、原材料価格の高騰や円安傾向の長期化等により機械販売において受注から販売までのリードタイムが長期化しており、当連結会計年度に予定していた大型の機械販売が次期にずれ込んだことも業績に影響いたしました。
半導体関連マスク事業では、世界半導体市場の回復が想定よりも遅れており、顧客である電子部品メーカーでの在庫調整が長期化した影響により、一部製品を除きまして受注が低調に推移いたしました。徐々に回復傾向となりつつありますが、本格回復は2024年度の下期になる見通しであります。
不動産賃貸事業では、当連結会計年度において静岡における賃貸用マンションの売却を行いましたが、引き続き安定した収益を確保しており、特筆すべき影響等はございません。引き続き、当社の保有する土地・建物を有効活用し、安定的な収益確保に繋げてまいります。
セグメントごとの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりです。
(印刷)
印刷事業では、印刷物の提供により顧客の広告宣伝活動を支援する従来型のビジネスモデルから領域を広げ、印刷物に限らない多種多様なソリューションを複合的且つ効果的に組み合わせたワンストップソリューションの提供により、顧客の課題解決を総合的に支援するパートナーへ、ビジネスモデルの転換を進めています。多様化する製品やサービスの収益性や成長性を見極め、更なる事業強化と成長分野への積極投資を行っております。また、全体最適での生産設備の見直しによる低コスト生産体制の構築、ビジネスモデルにマッチした製造体制の再構築を進めています。
今後も紙媒体需要の取り込みを継続してまいりますが、当社が持つ制作体制、情報セキュリティ体制、システム構築力を駆使し、ロジスティクスや各種BPO受託、WEB・システムや動画などのデジタル媒体を強化いたします。コロナ禍において厳しい状況が続いておりましたイベントプロモーション受託は、これまでの自粛の反動もあり受注が回復しており、今後も好調を維持するものと認識しております。また、顧客におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進をビジネスチャンスとして捉えております。物流の課題をワンストップで解決する受発注管理システムのプラットフォーム「TS-BASE」には多くの引き合いをいただいており、サービスメニューの充実を継続しております。他にも、「顧客の抱える課題を整理して資料化する「タケダできく」、顧客のマーケティング戦略をサポートする「BtoBマーケティング伴走支援サービス」など、顧客の課題解決を支援するサービスの提供を開始いたしました。今後も顧客の課題解決をご支援してまいります。
また、国内外で紙器・パッケージを製造販売するグローバルパッケージ事業を成長事業として位置づけ、約8億円の投資を行いタイに新会社(TAKEDA PACKAGING(Thailand) CO., LTD.)を設立します。当社グループの顧客では、東南アジア地域への事業拡大が進められており、顧客のグローバル生産体制に対応し、顧客ニーズに応えるための供給体制を整え、パッケージ事業の拡大を図ってまいります。他の事業会社とも連携して中核事業に育成するとともに、海外事業を強化します。
(物販)
物販事業は、顧客ニーズの発掘ときめ細かなフォローの徹底によるシェア向上のほか、異業種を含めた新規顧客の開拓、利益率の高い自社ブランド製品の販売強化、それを支える人材育成などによる総合力で他社との差別化を図り、売上・利益の確保をめざしてまいります。
印刷事業同様に厳しい環境下ではありますが、全国各地でのイベント出展による広告宣伝活動を積極的に行い、新規顧客の開拓やものづくり補助金制度を活用した取り込みを強化しました。また、2024年3月には新たに徳島営業所を開設し、四国地方における事業活動を開始いたしました。
一方、印刷関連市場の停滞による顧客における経営環境の悪化に加えて、新型コロナウイルス感染症の影響による関連倒産が世界的にも不安視されており、今後も与信管理面でも慎重な取引が求められる状況は続いております。
顧客のビジネススタイルや市場環境の変化に対応し、営業スタイルも変革してまいります。従来からの訪問による売り込み型の営業だけではなく、顧客の事業内容を熟知し、最適な製品やサービスを提案する、顧客にとってのナンバーワンのビジネスパートナーをめざしております。今後も常に良質な情報発信を行い、顧客に選ばれ、頼りにされるサプライヤーとしての地位を確立してまいります。
(半導体関連マスク)
半導体関連マスク事業では、世界半導体市場に回復の兆しが見受けられるようになりましたが、本格回復には至っておりません。車載向け製品などが回復基調に入るとともに、当社グループが拠点を構えるベトナムやタイにおいて、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による営業活動の制限や顧客工場の稼働停止も解消し、業況が回復に向かうなど明るい材料もございますが、世界半導体市場の本格回復にはもう暫く時間を要するものと予想しております。
この環境下にて、当連結会計年度では当社の持株会社体制への移行に伴い、当社の半導体関連マスク事業を2023年4月1日付けで東京プロセスサービス㈱(同日付で竹田東京プロセスサービス㈱に商号変更)に承継いたしました。また、㈱プロセス・ラボ・ミクロンでは、本社工場の竣工と生産設備の更新を行い、高精細化に対応した微細開口メタルマスクの製造を開始するなど、市場が再び成長サイクルに入る機会に備えて生産体制を強化しました。
印刷事業ではマイナス要因となる「デジタル化の進展」が、本事業では逆に追い風となります。リスク分散の意味合いにおきましても、半導体関連マスク事業ではグループ全体最適とシナジーの最大化を図るとともに、海外事業を強化してまいります。
c. 中長期的な目標に照らした経営成績の分析・評価
「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(3)中長期的な会社の経営戦略」にて、2024年5月14日に公表いたしました、2024 年度から2026 年度までの3年間を対象とする中期経営計画の概要、「(4)目標とする経営指標」にて目標とする経営指標を直前期の2023年度(2024年3月期)の実績値とともに記載しております。今後は、今回公表いたしました中期経営計画の進捗状況について、評価・分析を行いご報告してまいります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容ならびに資本の財源および資金の流動性に係る情報
当連結会計年度におけるフリー・キャッシュ・フローは6億22百万円となり、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は60億16百万円となりました。この金額は、運転資金、設備投資に必要な資金、将来の柱となる事業の開発あるいは取得に必要な資金として適正な水準であると考えておりますが、必要に応じて躊躇なく借入などのアクションを取り、タイミングを逃すことなく成長分野やM&A等への事業投資、人的資本やDX戦略への投資にも積極的に取り組んでまいります。
その施策の一つとして、今後の積極的な事業展開に必要な資金需要に対し、機動的且つ安定的な資金調達手段を確保することで財政基盤の強化並びに安定性向上を図ることを目的として、株式会社三菱UFJ銀行との間でコミットメントライン契約を締結しております。株式会社三菱UFJ銀行とは契約極度額15億円を個別相対方式、無担保・無保証にて締結しております。なお、当連結会計年度末における借入実行残高はございません。
③ 重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成しております。その作成に当たっては、決算日における資産・負債及び当連結会計年度における収益・費用の報告金額、並びに開示に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会社方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」をご参照ください。
(1)業務委託契約
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契約会社名 |
相手方の名称 |
契約 |
契約の内容 |
契約期間 |
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東海プリントメディア株式会社 (連結子会社) |
株式会社読売新聞東京本社 |
業務委託契約 |
新聞印刷等業務の受託 |
2023年4月1日から1年間 |
(注)上記業務委託契約は、2024年4月1日から1年間更新されております。
(2)不動産売買契約
当社は、2024年3月18日開催の取締役会において、竹田iPグループ本社移転を目的とする固定資産の取得を決議し、2024年5月27日に当該固定資産の取得に関する不動産売買契約を締結いたしました。なお、詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な後発事象)」に記載のとおりであります。
当連結会計年度におけるセグメント別の研究開発活動は次のとおりです。同期間において、当社グループが支出した研究開発費は
(印刷)
印刷事業においては、印刷機械を使って顧客のニーズに合った製品を作りますので、印刷技術そのものではなく、生産技術に関する研究開発が中心です。具体的には、カラーマネジメントシステムの精度向上、製造工程の改良、抗菌印刷の用途開発等に取り組みました。また、デジタルマーケティング手法の確立等において、デジタル技術への対応に取り組みました。
当連結会計年度の印刷セグメントにおける研究開発費は
(物販)
デジタル化の進展に伴い構造改革が求められる印刷業界において、変化し続ける顧客ニーズに応える製品の研究開発を行い、提供することを基本方針としております。具体的には、品質向上に貢献する製品の開発、生産性向上に貢献する製品の開発、環境に配慮した製品の開発、様々なニーズや用途に対応し付加価値を高める加工機の開発等に取り組みました。
当連結会計年度の物販セグメントにおける研究開発費は
(半導体関連マスク)
半導体関連マスク事業では、歩留まり向上・原価低減に向けた工程改善、顧客の製造工程の改善支援、薄膜コート開発、次世代商材開発に向けた新素材の評価・解析等に取り組みました。
当連結会計年度の半導体関連マスクセグメントにおける研究開発費は
(不動産賃貸)
不動産賃貸事業では、当社グループの事業構造改革を推進するため、戦略的な不動産ビジネスの開発に向けた調査及び情報収集等に取り組みました。
当連結会計年度の不動産賃貸セグメントにおける研究開発費は