第2 【事業の状況】

 

1 【業績等の概要】

(1) 業績

 当連結会計年度におけるわが国経済は、企業収益は改善しているものの、個人消費の回復ペースは緩慢に推移しており、本格的回復までには至っておりません。当社グループの事業領域であります出版業界は、出版科学研究所によりますと、出版物の推定販売金額は、200万部を超えるヒット作があったにもかかわらず、今年も書籍、雑誌とも前年を下回り、合計で前年比マイナス4.8%と、依然として有効な対策を見出せない状況にあります。
 このような状況の中、当社グループは、新しい顧客層の開拓に挑戦し、顧客ニーズを満たすコンテンツ開発、返品減少対策を主要なテーマに活動を行いました。
 以上により、当連結会計年度の業績は、売上高3,108百万円(前年同期比0.4%減)、営業利益90百万円(前年同期比40.8%増)、経常利益113百万円(前年同期比21.6%増)、当期純利益55百万円(前年同期比63.4%増)となりました。
 事業別の概況は次のとおりです。

(出版事業)

 会計分野では、任意適用企業が増えつつあるIFRSに関しては、わが国唯一の公式翻訳書『国際財務報告基準(IFRS)2014』をはじめとして、市場動向を踏まえて『IFRS企業結合会計の実務』、『実務Q&A IFRSの一般ヘッジ会計』など、関連する実務書の開発を行ってきました。さらに、良質な研究書として『戦後企業会計史』や『会計規制の研究』、『会計制度の経済分析』、『入門財務会計』なども刊行しました。また、決算書を手っ取り早く読み解きたいというニーズに応えるため『これならわかる決算書キホン50!』を刊行し、幅広い読者に受け入れられました。
 経営・経済分野では、わが国の重点政策に対応した『地域創生のデザイン』や、これからの経営のあり方を模索した『スウェーデン流グローバル成長戦略』、『社員の潜在能力を引き出す経営』などをタイムリーに刊行し、いずれも好評を得ることができました。また、これからの大学教育に求められる能動的学修(アクティブラーニング)に資するテキストを目指し、新たに「ベーシック+(プラス)」シリーズを創刊しました。これまでに『経営学入門』など5点を刊行し、今後もラインアップの充実を図っていきます。
 税務分野では、制度が大きく動いた相続・贈与税とBEPS対応で俄然注目された国際税務にターゲットを絞った結果、前期から当期にかけて成就させた「税理士のための相続税の実務シリーズ」6巻が好評を博す一方、『顧問税理士も知っておきたい相続手続・書類収集の実務マニュアル』や『税理士なら知っておきたい事業承継対策の法務・税務Q&A』などが部数を伸ばしました。また、もう1つのキーである国際税務では、『申告書の書き方から学ぶ国際税務に強い税理士になる本』や、この分野の定本である『国際税務ハンドブック<第3版>』を刊行しました。さらに、税務調査を題材にした『税務調査官の着眼力』も見逃せない1冊となりました。
 法律分野では、会社法改正に対応した書籍として、「新・会社法実務問題シリーズ」全10巻中6巻を刊行するとともに、『監査等委員会設置会社の実務』、『独立取締役の教科書』など新制度へ対応した書籍を、また民法改正法案に対応した書籍として、『民法改正の要点と企業法務への影響』、『「民法改正」法案』、『民法改正でくらし・ビジネスはこう変わる』を早期に刊行し好評を得ました。さらに、法務部員向けの実務書として、『契約書作成のプロセスを学ぶ』、『契約書作成に役立つ税務知識Q&A』や『訴訟の心得』が版を重ねました。また、長期的に大型の採用が継続される「共通教材」として『ビジネス法入門』、『日本国憲法を学ぶ』を刊行いたしました。
 企業実務分野では、M&A関連の実務書として『すらすら図解M&Aのしくみ』や『スクイーズ・アウトの法務と税務』を、海外進出に関するテーマとして『図解&ケース 国際タックスプランニング入門』、『国際税務戦略の考え方・取り組み方』を刊行しました。また、経営トレンドに対応した書籍として『NRI流 変革実現力』や『ROE革命の財務戦略』が読者の支持を得ました。さらに、国民の関心を集めているマイナンバー制度に関連して『マイナンバー対応はこれだけやれば大丈夫!』が、個人資産家向けに『図解 相続対策で信託・一般社団法人を使いこなす』、『日経平均トレーディング入門』が部数を伸ばしました。
 資格試験分野では、東京商工会議所が新たに立ち上げた検定試験用『ビジネスマネジャー検定試験公式テキスト』が好調に売上げを伸ばしたほか、『司法試験予備試験一発突破ナビ』や『中小企業診断士1次試験7科目速習テキスト』がヒットしました。また、『経営学検定試験公式テキスト(全5巻)』の全面改訂や、無料で動画講義が視聴できることで好評な「試験攻略入門塾 速習!」シリーズも拡充しました。
 高水準の研究成果の書籍開発として、『実験制度会計論-未来の会計をデザインする-』が日経・経済図書文化賞を、『病院管理会計』が日本公認会計士協会から学術賞-MCS賞を、『体系監査論』が日本内部監査協会から青木賞を、『実践から学ぶ女将のおもてなし経営』が商工総合研究所から中小企業研究奨励賞経営部門本賞を、『買収ファイナンスの法務』がM&AフォーラムからRECOF奨励賞を、『国際的な課税権の確保と税源浸食への対応』が租税資料館から租税資料館賞を、さらに『大学発ベンチャーの組織化と出口戦略』が日本ベンチャー学会清成忠男賞を受賞するなど、多くの書籍が表彰されました。
 また、新しい商流の開発としてコンビニ向けのPB商品を3点刊行いたしました。
 その結果、株式会社中央経済社の業績は旺盛な出版活動により増収・増益となりました。また、雑誌、書籍及びムックの編集制作を行う株式会社シーオーツーでは若干の減収・減益となり、出版事業のセグメントでは売上高2,956百万円(前年同期比0.8%減)、営業利益86百万円(前年同期比130.5%増)となりました。

(出版付帯事業)

 当社グループの専門雑誌を中心とする広告宣伝の請負代理が主である出版付帯事業は、いくつかの新規顧客を開拓したものの、広告媒体が多様化し紙媒体への広告が減少する中で、厳しい状況が続いております。
 その結果、売上高151百万円(前年同期比9.6%増)、営業損失1百万円(前年同期は営業利益12百万円)となりました。

 

(2) キャッシュ・フローの状況

① 営業活動によるキャッシュ・フロー

 営業活動の結果得られた資金は164百万円(前年同期比153百万円増)となりました。これは主に、たな卸資産の増加33百万円(前年同期は6百万円減)の増加があったものの、売上債権の減少29百万円(前年同期は86百万円の増加)、税金等調整前当期純利益117百万円(前年同期比34百万円増)、仕入債務の増加40百万円(前年同期は4百万円増)などがあったことによるものです。

 

② 投資活動によるキャッシュ・フロー

 投資活動の結果使用した資金は48百万円(前年同期比37百万円増)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出48百万円(前年同期比44百万円増)などがあったことによるものです。

 

③ 財務活動によるキャッシュ・フロー

 財務活動の結果使用した資金は37百万円(前年同期比2百万円減)となりました。これは主に、配当金の支払額37百万円(前年同期比0百万円減)などがあったことによるものです。

 

 以上の結果、当連結会計年度における現金及び現金同等物(資金)の期末残高は2,174百万円となり、前連結会計年度末に比べて79百万円の増加となりました。

 

 

2 【生産、受注及び販売の状況】

当社グループの事業は、出版事業及び出版付帯事業の単一セグメントであるため、事業別に記載しております。

(1) 生産実績

当連結会計年度における生産実績は、次のとおりであります。

 

事   業

当連結会計年度

(自 平成26年10月1日

至 平成27年9月30日)

(千円)

前年同期比(%)

出版事業

2,986,288

100.9

出版付帯事業

151,891

109.6

合計

3,138,179

101.3

 

(注) 1 事業間取引については、相殺消去しております。

2 金額は、販売価格によっております。

3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2) 受注状況

当社グループは見込み生産を行っているため、該当事項はありません。

 

(3) 販売実績

当連結会計年度における販売実績は、次のとおりであります。

 

事   業

当連結会計年度

(自 平成26年10月1日

至 平成27年9月30日)

(千円)

前年同期比(%)

出版事業

2,956,811

99.2

出版付帯事業

151,891

109.6

合計

3,108,702

99.6

 

(注) 1 事業間取引については、相殺消去しております。

2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

3 総販売実績に対する割合が、100分の10以上の相手先別の販売実績及びその割合は、次のとおりであります。

前連結会計年度

日本出版販売㈱

846,822千円

27.1%

 

㈱トーハン

549,407千円

17.6%

当連結会計年度

日本出版販売㈱

870,764千円

28.0%

 

㈱トーハン

538,573千円

17.3%

 

 

3 【対処すべき課題】

 わが国の出版市場は、長期的な縮小傾向に歯止めがかかっておらず、また当社グループの出版領域についても、近年大きな制度改正がないことや読書習慣の減退、購買意欲の低下など、引き続き厳しい環境が続くものと考えております。
 一方で、「企業の経営問題とその対処」、「時代によって移り変わる企業経営の実務」を主要な出版テーマとする当社グループにとって、変化が絶え間なく起こる昨今の経済環境は、求められる社会的使命をますます果たす好機とも捉えております。
 以上を踏まえ、今後も持続的に成長し競争力を高めるために、以下の課題に取り組みます。
 第一に新しい読者の創造です。企業社会が大きく変貌する中で、求められる経営実務、知識は何かについて不断に研究を続け、必要とされるコンテンツを開発してまいります。
 第二に読者ニーズへの対応です。近年読書スタイルや読書に費やす時間は大きく変化しており、どのような企画・構成・誌面が読者ニーズを満たすのか、編集力の更なる向上を図ってまいります。
 第三に有限な経営資源の効率的な活用です。従来の取引慣行が制度疲労をきたしている中、出版業界の返品問題に対し正面から取り組み、解決策を多方面から検討し、無駄を極力排しながら、必要な本を読者に確実に届ける効率的な出版ビジネスモデルを追求するとともに、需要が減少しているジャンルから増加が期待できるジャンルへ編集者を配置換えするなどして、経営効率を追求します。
 以上、当社グループがこれまで培ってきたブランドとノウハウを活かし、これらの試みを更に積極的に行い、「所有する価値ある専門書づくり」、「社会の変化に敏感に対応した本づくり」を1冊1冊丁寧に行いながら今後も対応してまいります。

 

4 【事業等のリスク】

 当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性のある主な事項には、以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。

① 再販制度について

 当社グループの製作、販売する書籍、雑誌の著作物は、「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(以下「独占禁止法」という)」第23条の規定により、再販売価格維持契約制度(以下「再販制度」という)が認められております。
 独占禁止法は、再販制度を不公正な取引方法の1つであるとして原則禁止しておりますが、著作物については再販制度が認められております。
 公正取引委員会の「著作物再販制度の取扱い」(平成13年3月28日公表)によると、「競争政策の観点からは同制度を廃止し…」としながらも、「同制度の廃止について国民的合意が形成されるに至っていない」として、当面この再販制度が維持されることとなっております。この再販制度が廃止された場合、業界全体への影響も含め、当社グループへの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

② 委託販売制度について

 著作物再販制度のもとに、出版業界には委託販売制度があります。取次会社及び書店に委託販売した書籍、雑誌等の出版物について、一定期間内に限り、返品を受け入れることを条件とするこの販売制度を当社グループも採用しております。
 当社グループは、近時、「返品減少」を重点政策の1つに掲げ、適量送本を徹底し、大きな成果を得てきました。
 また、返品による損失に備えるため、会計上、出版物に係る期末の売掛債権を基礎として、過去の返品実績率を勘案した所要額を返品調整引当金として計上しております。そのため、返品率の増加は当社グループの経営成績に影響を及ぼします。

③ 個人情報保護について

 個人情報の保護に関しては万全を期しておりますが、予期せぬ事態により流出する可能性があります。このような事態が生じた場合、当社グループのブランド価値の低下を招くとともに、多額の費用が発生する可能性があります。

④ 係争・訴訟について

 当連結会計年度において当社グループの業績に重要な影響を及ぼす係争・訴訟は提起されておりません。しかし、業績に影響を及ぼす訴訟や社会的影響の大きな訴訟等が発生し、当社グループに不利な判断がなされた場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

⑤ 大規模自然災害の発生について

 当社グループの事業所、倉庫施設の周辺地域において大地震や台風等の災害或いは予期せぬ事故等が発生し、事業所、倉庫施設等に損害が生じ、当社グループの販売活動や流通・仕入活動が阻害された場合、さらに人的被害があった場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

5 【経営上の重要な契約等】

(持株会社体制移行に伴う会社分割)

株式会社中央経済社は、平成27年10月20日開催の取締役会において、平成28年1月1日(予定)を効力発生日として、吸収分割の方式により持株会社体制へ移行すること、及び分割準備会社として当社100%出資の子会社株式会社中央経済社分割準備会社及び株式会社中央経済グループパブリッシング分割準備会社を設立することを決議いたしました。
 また、平成27年11月16日開催の取締役会において、平成28年1月1日(予定)を効力発生日として、編集関連事業等に関する権利義務を株式会社中央経済社分割準備会社に、販売・校正・製作関連事業等に関する権利義務を株式会社中央経済グループパブリッシング分割準備会社に承継させる吸収分割(以下、「本件分割」といいます。)を行うため、分割準備会社との間で本件分割に係る吸収分割契約書を締結いたしました。
 株式会社中央経済社は、持株会社体制への移行を条件として定款の一部を変更し、平成28年1月1日付で「株式会社中央経済社ホールディングス」(予定)に商号を変更致します。同社は引き続き持株会社として上場を維持する予定です。
 なお、詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表 (1)連結財務諸表等 注記事項(重要な後発事象)」に記載しております。

 

6 【研究開発活動】

特記すべき事項はありません。

 

7 【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 財政状態の分析

(資産)

 流動資産につきましては、受取手形及び売掛金の減少29百万円があったものの現金及び預金の増加77百万円、仕掛品の増加21百万円により前連結会計年度末に比べ73百万円増加して、3,964百万円となりました。
 固定資産につきましては、のれんの減少19百万円があったものの投資有価証券の増加51百万円、建物及び構築物の増加37百万円などにより前連結会計年度末に比べ69百万円増加して、1,138百万円となりました。
 以上の結果、当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ142百万円増加して、5,102百万円となりました。

(負債)

 流動負債につきましては、未払消費税等の減少5百万円があったものの支払手形及び買掛金の増加40百万円、未払法人税等の増加29百万円により前連結会計年度末に比べ55百万円増加して、899百万円となりました。
 固定負債につきましては、退職給付に係る負債の増加20百万円により前連結会計年度末から20百万円増加して、309百万円となりました。
 以上の結果、当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ76百万円増加して、1,209百万円となりました。

(純資産)

 純資産につきましては、利益剰余金の増加18百万円、その他有価証券評価差額金の増加48百万円により前連結会計年度末に比べ66百万円増加し、3,893百万円となりました。

 

 

(2) 経営成績の分析

 当連結会計年度は、売上高3,108百万円(前連結会計年度比0.4%減)、差引売上総利益1,076百万円(前連結会計年度比2.2%増)、営業利益90百万円(前連結会計年度比40.8%増)、経常利益113百万円(前連結会計年度比21.6%増)、当期純利益55百万円(前連結会計年度比63.4%増)となりました。
 書籍の出版点数が前連結会計年度をやや下回ったことにより売上高が若干減少いたしましたが、適正配本による返品の減少などにより利益が増加いたしました。これにより、営業利益率が前連結会計年度を0.85ポイント、売上高に対する当期純利益率が前連結会計年度を0.69ポイント上回りました。

 

(3) キャッシュ・フローの分析

 当連結会計年度におけるキャッシュ・フローについては、「1 業績等の概要 (2) キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。