第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1) 会社の経営の基本方針

 当社グループは、企業経営に関する書籍・雑誌の出版を通して社会活動に参画し、その発展に貢献することを基本理念としております。1948年の創業以来、この理念に根ざした真摯な姿勢は高く評価され、出版物は広く世に受け入れられてきました。今後も経営、経済、法律、会計、税務、情報など広範にわたる企業実務のすべてを取り扱う専門出版社としての社会的役割を十分に認識しながら、読者からの信頼を拠り所にして企業価値を一層高めてまいります。
 社会が必要とする知識や技術は常に変化し一様ではありません。とくに出版情報に対するニーズは極めて個性的であり、その1つひとつに対して的確に応答することが出版の使命であります。当社グループが経営活動の基本方針として「市場への適正対応」を掲げる所以であります。
 この基本方針を確固たるものとするため、当社は2016年1月1日をもって持株会社体制に移行し、企画、編集部門及び制作、販売部門はそれぞれの事業に特化し、読者が求める多様なニーズに応えるための体制を整えました。

 

(2) 目標とする経営指標

 当社グループは、安定した経営基盤を維持・構築し、もって良質な出版を継続し、かつ、安定した株主還元を行うことを目標としております。そのため、1株当たり純資産価額を重視し、その増大を絶えず意識して経営をしております。

 

(3) 中長期的な会社の経営戦略

 当社グループの事業領域であります出版業界では、長年市場規模の縮小が続いております。また、出版市場では、書店数の減少や売り場面積の縮小が相次ぐとともに、物流コストや原材料費のコストアップなどの影響が懸念されており、この傾向は今後も継続するものと想定しております。一方、高度に成熟した経済社会においては、専門化を1つの方途として追求する方々が存在しており、この層に属する方々の絶対数は少ないものの、知識に対する欲求が高く、熱心な読者層として確実に存在しております。
 このため当社グループでは、法律・会計制度等の変更や企業活動の変化に対応して、読者のニーズにいち早く応えるような書籍・雑誌の出版に努めるとともに、寿命の長い良質でスタンダードな書籍の出版を追求してまいります。また一方では、良質で専門性の高い書籍の出版を目指します。販売の側面からは、書店からの返品の早期化に対応し、一層適正な配本に努めてまいります。

 

(4) 経営環境及び対処すべき課題等

 わが国の出版市場は、長期的な縮小傾向に歯止めがかかっておらず、また当社グループが属する社会科学分野の出版領域においても、近年大きな制度改正がないことや人口減少・高齢化など、引き続き厳しい環境が続くものと考えております。

 以上を踏まえ、このような環境下において、当社グループが持続的な成長を実現し、企業価値の最大化を図るために、以下の課題に取り組みます。

 1.読者ニーズを的確に捉えた企画立案とマーケティングの徹底。

 2.新たな視点をもって企画開発をしていくための人材の育成。

 3.既刊本の販売強化と高コスト化する出版流通への対応。

 以上、当社グループがこれまで培ってきたブランドとノウハウを活かしつつ、これらの試みをさらに積極的に行い、「所有する価値のある専門書づくり」、「社会の変化に敏感に対応した本づくり」を1冊1冊丁寧に行いながら今後も対応してまいります。

 また、度重なる自然災害や本年の新型コロナウイルス感染症の蔓延に見られるように、予測を超えた現象が容易に社会経済活動の変容をもたらすことが明らかとなり、平時の諸課題とともに、これら突発的な危機に対応することが求められております。新型コロナウイルス感染症の影響は翌連結会計年度中も続くものの、当社グループの主な事業領域である出版業界では、市場における感染症対応が効率的・効果的に行われるものと仮定し、その影響は限定的であると想定しております。

 

 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(2020年9月30日)現在において、当社グループが判断したものであります。

 

2 【事業等のリスク】

 当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性のある主な事項には、以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(2020年9月30日)現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(特に重要なリスク)

(1) 再販制度について

 当社グループの制作、販売する書籍、雑誌の著作物は、「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(以下「独占禁止法」という)」第23条の規定により、再販売価格維持契約制度(以下「再販制度」という)が認められております。
 独占禁止法は、再販制度を不公正な取引方法の1つであるとして原則禁止しておりますが、著作物については再販制度が認められております。
 公正取引委員会の「著作物再販制度の取扱い」(2001年3月28日公表)によると、「競争政策の観点からは同制度を廃止し…」としながらも、「同制度の廃止について国民的合意が形成されるに至っていない」として、当面この再販制度が維持されることとなっております。この再販制度が廃止された場合、業界全体への影響も含め、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 委託販売制度について

 著作物再販制度のもとに、出版業界には委託販売制度があります。取次会社及び書店に委託販売した書籍、雑誌等の出版物について、一定期間内に限り、返品を受け入れることを条件とするこの販売制度を当社グループも採用しております。
 当社グループは、近時、「返品減少」を重点政策の1つに掲げ、適量送本を徹底し、大きな成果を得てきました。
 また、返品による損失に備えるため、会計上、出版物に係る期末の売掛債権を基礎として、過去の返品実績率を勘案した所要額を返品調整引当金として計上しております。そのため、返品率の増加は当社グループの経営成績に影響を及ぼします。

 

(3) 図書館関係の権利制限規定の見直しについて

 「知的財産推進計画2020(令和2年5月27日知的財産戦略本部決定)」において、著作権法第31条に規定する<図書館関係の権利制限規定をデジタル化・ネットワーク化に対応したものとすることが短期的に結論を得るべき課題>として明記されました。現行制度上、複製及び複製物の提供に限定されている図書館サービスをFAXやメール等による送信(公衆送信)ができるよう検討がなされており、また政令で定める図書館等の拡大もあわせて検討されております。
 近年、自炊等による著作者、出版社の権利侵害が社会問題化しましたが、これらが実施された場合には、自炊者はさらに容易に、かつ合法的に出版物の複製物の入手、頒布ができることから、当社グループが持つ資産が著しく毀損される可能性があります。

 

(重要なリスク)

(1) 個人情報の管理について

 当社グループは、出版業の特性から多くの著作者や一般顧客の個人情報を有しております。当社グループでは、個人情報の保護に関して万全を期しておりますが、予期せぬ事態により個人情報が流出するような事態が生じ損害賠償責任を問われた場合、当社グループのブランド価値を著しく毀損するとともに多額の費用が発生する可能性があります。

 

 

(2) 人材の確保及び育成について

 当社グループにおいては、人材を最も重要な資産と位置づけております。当社グループの事業運営には、企画、編集能力をはじめ、マネジメント能力やコミュニケーション能力など、多岐にわたる専門的な技能や職務経験が求められることから、これら人材の確保及び育成が不可欠となっております。
 

 当社グループでは、社員の技能向上のための各種研修等を行うとともに福利厚生の充実を図っております。また、人材の採用に関しては、定期的な新卒採用活動を行うとともに、必要に応じて中途採用を実施することで人材の確保に努めております。しかしながら、人材の確保及び育成に支障が生じた場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 知的財産権について

 当社グループでは、自社が管理する知的財産権を保護するとともに、第三者の知的財産権を侵害しないよう努めております。しかしながら、予期せぬ事態により知的財産権に関する訴訟を提起され、あるいは自社が管理する知的財産権を保全するために訴訟を提起せざるを得なくなった場合には多大な時間と労力を費やすことになり、場合によっては多額の損害賠償責任を負う可能性があります。

 

(4) 係争・訴訟について

 当連結会計年度において当社グループの業績に重要な影響を及ぼす係争・訴訟は提起されておりません。しかしながら、業績に影響を及ぼす訴訟や社会的影響の大きな訴訟等が発生し、当社グループに不利な判断がなされた場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 大規模災害等の発生について

 当社グループの事業所、倉庫施設の周辺地域において大地震や台風等の災害あるいは予期せぬ事故等が発生し、事業所、倉庫施設、情報システム等に損害が生じ、当社グループの生産・販売活動や流通・仕入活動が阻害された場合、さらに人的被害があった場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
 また、近年、全国各地で発生する記録的な猛暑、豪雨、台風や地震などの自然災害により被災地域の書店・販売店やインフラ等に被害が及んだ場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 伝染病・感染症の発生・蔓延について

 2020年初春より国内に発生した「新型コロナウイルス感染症」の蔓延に見られるように、特定の伝染病や感染症が全国各地に広がり社会経済活動が大きく制限された場合、さらに当社グループ及び関係取引会社等で罹患者が発生する事態が生じた場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(業績等の概要)

 当社グループの事業は、出版事業及び出版付帯事業の単一のセグメントであるため、事業別に記載しております。

(1) 経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度におけるわが国経済は、2019年10月以降の消費税引き上げや自然災害に伴う個人消費の落ち込みに加え、2020年に入ってからは新型コロナウイルス感染症の影響により社会経済活動が大きく制限され、さらに海外渡航者の入国制限によるインバウンド消費の消失など極めて厳しい状況が続いたことなどにより、景気の先行きは不透明な状況にあります。
 当社グループの事業領域であります出版業界は、依然として市場規模の縮小が続く中、感染症拡大下における書店の営業休止・営業時間の短縮も重なり、改善・回復の兆しが見えない状況です。出版科学研究所によりますと、出版物の推定販売金額は、当連結会計年度も書籍、雑誌ともに前年を下回り、合計で前期比マイナス3.0%となりました。
 このような状況の中、当社グループは、前期に引き続き新しい顧客層の開拓に挑戦し、顧客ニーズを満たすコンテンツ開発、返品減少対策を主要なテーマに活動を行いました。しかしながら、当社グループの中核事業である出版事業では、主力販売先である全国各書店のうち、首都圏を中心に多くの店舗が休業等の措置をとったことや一部通販サイトでの商品調達停止、大学の授業開始の遅れやオンライン化に伴う教材採用の予定変更、各種セミナーの開催が延期されたことなどに加え、製品製造原価及び商品仕入原価などの売上原価が増加したことなども影響し、業績を圧迫いたしました。
 

 以上により、当連結会計年度の業績は、売上高3,009,588千円(前年同期比2.2%減)、営業利益5,817千円(前年同期比91.6%減)、経常利益5,513千円(前年同期比93.3%減)、親会社株主に帰属する当期純損失18,061千円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純利益49,587千円)となりました。
 事業別の概況は次のとおりであります。

(出版事業)

 会計分野では、任意適用企業が増加し続けているIFRSに関して、わが国唯一の公式翻訳書『IFRS基準〈注釈付き〉2020』をはじめとして『詳解 IFRSの基盤となる概念フレームワーク』など、関連書の開発を行ってきました。また、2021年4月開始年度から強制適用される収益認識基準が改正されたこと等に伴い、会計基準設定主体である財務会計基準機構・企業会計基準委員会による『詳解 収益認識会計基準』のほか、『ケース&図解でわかる収益認識基準の基本と実務』や既刊の改訂版を投入いたしました。その他、新会計基準に関する書籍として『図解でスッキリ 時価算定基準の会計入門』や、経営者目線で会計を捉えた『この取引でB/S・P/Lはどう動く? 財務数値への影響がわかるケース100』、改めて経理部門・人材の役割を考える『「経理」の本分』などが好評でした。また、良質な研究書として『危険とリスクの会計』『進化する生産管理会計』『森田哲彌学説の研究』なども刊行いたしました。
 経営・経済分野では、『アクティビストの衝撃』『日本企業のタレントマネジメント』『図解 不動産ファイナンスのしくみ』『経済学・経営学のための英語論文の書き方』などが好評で、早々に増刷となりました。また、新しい大学テキストとして好評の「ベーシック+(プラス)」シリーズは、『経営戦略』『経営組織』『ファイナンス』を刊行し、全22点のラインアップとなりました。全国の各大学へとテキスト採用が広がり、順調に版を重ねています。そのほかにも、データサイエンスやAI、FinTechといった新しい領域のテーマに積極的に取り組んでいるほか、アフターコロナ・ウィズコロナの時代に相応しいテーマや、大学講義のオンライン化に対応した教材開発などを視野に入れて企画開発を行ってまいります。
 税務分野では、改正内容をいち早くお届けする定番の『税務経理ハンドブック』に加え、法人税、所得税、相続税ごとの個別ハンドブックと重要計算ハンドブックシリーズが2年目となり、読者への認知度も高まりました。今期話題の消費税の軽減税率に関しては、度重なる延期を経てようやく導入されたこの機を逃さず、読者待望の体系書『消費税法講義録』を刊行するとともに、実務に欠かせない『軽減税率後 消費税申告書の書き方』を緊急出版いたしました。令和2年度税制改正は、連結納税制度を抜本的に見直して、「グループ通算制度」に移行させるという法人税分野の久しぶりの大改正が注目されましたが、これには『早わかり 連結納税制度の見直しQ&A』で対応いたしました。また、『ホームラン・ボールを拾って売ったら二回課税されるのか』は、新たな租税法の教科書として注目される一方、『「別表四と五」完全攻略本』は、法人税申告書の鉄板テーマの根強さを改めて証明する書籍となりました。
 法律分野では、法改正や最新動向に対応した『令和2年改正 個人情報保護法Q&A』『ケースでわかる[実践型]職場のメンタルヘルス対応マニュアル』『テクノロジー法務』『自動運転・MaaSビジネスの法務』『暗号資産の法律』を、実務界で信頼の厚い労務の定番書として『同一労働同一賃金の基本と実務』『ハラスメント防止の基本と実務』『懲戒処分の基本と実務』を刊行し部数を伸ばしました。さらに、大学テキストとして、ビジネス法の基幹科目である「商事法講義」シリーズの『会社法』『商法総則・商行為』『支払決済法』の3点を同時刊行いたしました。
 企業実務分野では、激変する経営環境に対応すべく『新株予約権等・種類株式の発行戦略と評価』を、CFO関連書籍として『CFOポリシー』『CFO最先端を行く経営管理』『中小ベンチャー企業CFOの教科書』を刊行し、『花王の経理パーソンになる』とともに部数を伸ばしました。また、現下の社会状況に対応して『新型コロナウイルス影響下の法務対応』『新型コロナウイルス影響下の人事労務対応Q&A』の2点を緊急出版するとともに、『1冊でわかる! 経理のテレワーク』『デジタル戦略の教科書』などを相次いで投入し、ネット書店をはじめとして好評を得ました。
 資格試験分野では、働き方改革等をフォローした『ビジネスマネジャー検定試験公式テキスト3rd edition』を3年振りに改訂したほか、各士業向けに『司法試験予備試験 Q&A50論文答案ってどう書くの?』『通勤時間で攻める!弁理士スタートアップテキスト』『社労士試験 この勉強法がすごい!』『大原メソッド!行政書士40字記述がラクラク書ける本』が部数を伸ばしました。
 高水準の研究成果の書籍として、『退職給付に係る負債と企業行動』が日経・経済図書文化賞を、『新興国・開発途上国の会計』が国際会計研究学会学会賞を、『ヨーロッパの会計規制』がグローバル会計学会学会賞を、『老舗企業の存続メカニズム』が商工総合研究所中小企業研究奨励賞本賞・日本ベンチャー学会清成忠男賞・企業家研究フォーラム賞を、『日本企業の採用革新』が日本労務学会賞(学術賞)を、『株価の情報反映メカニズム』が証券経済学会賞を、『グローバル・ツーリズム』が観光学術学会教育・啓蒙著作賞をそれぞれ受賞するなど、多くの書籍が表彰されました。
 生活実用分野では、終末ケアを受ける20人の肖像写真と直筆の手紙で綴る「生」の物語『「その日」の前に Right,before I die』、コンパクトに要点を解説したコンビニエンスストアのPB商品『図解 社会保障オールガイド<最新版>』『図解 介護のお金とサービス<最新版>』を刊行いたしました。また、毎年好評を博している愛犬家、愛猫家からの投稿を集めた日めくりカレンダーは、「犬めくり」「猫めくり」などに加え、新たに3点のカレンダーを投入いたしました。なかでも、新しい顧客獲得を目指す 「DIYカレンダー」、人気刺繍作家の作品を収載した「図案付き刺繍カレンダー」は、期待の商品として市場からの注目を集めております。編集受託では、月刊誌の契約再開、季刊誌、隔週刊誌などの新規定期刊行物の受注もあり、売上を伸ばしました。
 雑誌については、次のとおりであります。
 「企業会計」は読者の知識欲を満たす企画づくりを行っておりますが、会計のみならず幅広いテーマで記事づくりを進めております。また査読コーナーを設置し、電子版の販売を実現いたしました。
 「税務弘報」は税務専門誌ですが、税務に携わる方々のニーズに応えるべく、国税庁ホームページでは提供されていない周辺領域まで話題を広げる一方、好評を博した9月号特集「税務調査之心得50」のような古くて新しい定番テーマを程よくアレンジして提供しております。
 「旬刊経理情報」は旬刊誌という比較的速報性の高い媒体の強みを活かし、特にコロナ禍における決算・開示や株主総会、テレワークなど多くの課題を拾い上げ、ホームページでの特別公開も含め、タイムリーに解説記事を提供しており、今後はガバナンス、ESG、DXなど、より経営企画的なニーズにも応えるべく活動してまいります。
 「ビジネス法務」は、ますます高まる法務のニーズを背景に、企業の法務部員や若手法律家向けに法令改正動向や法務知識を広く提供するとともに、電子化や新型コロナウイルス感染症による企業活動の変革を受けた新しい法務実務のあり方を積極的に発信し、読者を拡大しております。
 「会計人コース」は税理士・会計士・簿記検定受験者のための月刊誌で、2020年8月号(2020年7月3日発売)をもって休刊いたしましたが、現在、電子版の「会計人コースWeb」に移行しております。
 その結果、当社グループの出版事業では売上高2,899,046千円(前年同期比2.5%減)、営業損失19,594千円(前年同期は営業利益48,815千円)となりました。

(出版付帯事業)

 当社グループの専門雑誌を中心とする広告宣伝の請負代理が主である出版付帯事業は、広告媒体が多様化し紙媒体への広告が大幅に減少する中で、いくつかの新規顧客を開拓いたしました。
 その結果、売上高110,542千円(前年同期比5.7%増)、営業利益25,670千円(前年同期比15.6%増)となりました。

 

(2) 財政状態及び経営成績等の状況

 (資産)

 流動資産につきましては、受取手形及び売掛金の減少44,727千円があったものの、現金及び預金の増加49,399千円などにより前連結会計年度末に比べ3,708千円増加して、3,650,822千円となりました。
 固定資産につきましては、繰延税金資産の増加9,728千円があったものの、投資有価証券の減少21,792千円、建物及び構築物の減少5,958千円などにより前連結会計年度末に比べ19,580千円減少して、1,454,648千円となりました。
 以上の結果、当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ15,872千円減少して、5,105,471千円となりました。

 

 (負債)

 流動負債につきましては、返品調整引当金の減少10,476千円、賞与引当金の減少4,828千円があったものの、未払消費税等の増加18,409千円、未払法人税等の増加16,185千円などにより前連結会計年度末に比べ28,485千円増加して、808,066千円となりました。
 固定負債につきましては、退職給付に係る負債の増加25,467千円などにより前連結会計年度末から24,882千円増加して、364,337千円となりました。
 以上の結果、当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ53,367千円増加して、1,172,404千円となりました。

 (純資産)

 純資産につきましては、利益剰余金の減少55,367千円、その他有価証券評価差額金の減少13,909千円などにより前連結会計年度末に比べ69,240千円減少して、3,933,066千円となりました。

 

(3) キャッシュ・フローの状況

 (営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果得られた資金は98,415千円(前年同期比107,170千円減)となりました。これは主に、返品調整引当金の減少10,476千円があったものの、売上債権の減少44,727千円、退職給付に係る負債の増加25,467千円、未払消費税等の増加18,409千円、減価償却費15,815千円などがあったことによるものです。

 (投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は7,593千円(前年同期比425,543千円減)となりました。これは主に、貸付金の回収による収入3,760千円があったものの、有形固定資産の取得による支出6,213千円、保険金積立による支出3,068千円、無形固定資産の取得による支出1,111千円などがあったことによるものです。

 (財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は37,106千円(前年同期比26千円増)となりました。これは主に、配当金の支払額37,106千円があったことによるものです。

 

 以上の結果、当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)の期末残高は1,866,658千円となり、前連結会計年度末に比べて53,525千円の増加となりました。

 

(生産、受注及び販売の実績)

 当社グループの事業は、出版事業及び出版付帯事業の単一セグメントであるため、事業別に記載しております。

(1) 生産実績

当連結会計年度における生産実績は、次のとおりであります。

 

事   業

当連結会計年度

(自 2019年10月1日

至 2020年9月30日)

(千円)

前年同期比(%)

出版事業

2,884,205

97.0

出版付帯事業

112,276

105.6

合計

2,996,482

97.3

 

(注) 1 事業間取引については、相殺消去しております。

2 金額は、販売価格によっております。

3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2) 受注状況

当社グループは見込み生産を行っているため、該当事項はありません。

 

(3) 販売実績

当連結会計年度における販売実績は、次のとおりであります。

 

事   業

当連結会計年度

(自 2019年10月1日

至 2020年9月30日)

(千円)

前年同期比(%)

出版事業

2,897,311

97.5

出版付帯事業

112,276

105.6

合計

3,009,588

97.8

 

(注) 1 事業間取引については、相殺消去しております。

2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

3 総販売実績に対する割合が、100分の10以上の相手先別の販売実績及びその割合は、次のとおりであります。

前連結会計年度

日本出版販売㈱

886,835千円

28.8%

 

㈱トーハン

613,303千円

19.9%

当連結会計年度

日本出版販売㈱

729,633千円

24.2%

 

㈱トーハン

617,325千円

20.5%

 

 

(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(2020年9月30日)現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1) 重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成にあたっては、過去の実績や取引状況等を勘案し、会計基準の範囲内かつ合理的と考えられる見積り及び判断を行っている部分があり、その結果を資産・負債及び収益・費用の数値に反映しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。

 

(2) 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当連結会計年度は、201910月の消費増税による駆け込み需要後の消費マインド低下という状況からのスタートとなりました。さらに、2020年初頭からの新型コロナウイルス感染症の発生とその後の政府による緊急事態宣言発出に至る全国的な感染拡大により大きな影響を受けました。
 当社グループの中核事業である出版事業では、主力販売先である全国各書店の多くの店舗が休業等の措置をとったほか、一部通販サイトで商品の流通が滞る一方、大学の授業開始の遅れやオンライン化に伴う教材採用の予定変更、各種セミナーの開催が延期されたことなどもあり、当社グループの主要新刊書籍の出版点数は前年同期比3%減、増刷点数も同5%減となりました。これにより、経営成績は以下のとおりとなりました。

(売上高)

 当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べ67,771千円減少し、3,009,588千円(2.2%減)となりました。これは主に、新刊委託売上と注文書籍売上の減少によるものです。

(売上原価・販売費及び一般管理費)

 売上原価は、前連結会計年度に比べ20,841千円増加し、2,078,467千円(1.0%増)となりました。これは主に、売上が減少したことによるものであり、結果、売上総利益は88,612千円減少し、931,121千円となりました。
 販売費及び一般管理費は、読者からの直接注文などによる運賃が増加したものの、旅費、交際接待費、編集費が減少したことなどにより、前連結会計年度に比べ22,246千円減少し、935,779千円(2.3%減)となりました。

(営業利益)

 営業利益は、上記理由により前連結会計年度に比べ63,842千円減少し、5,817千円(91.6%減)となりました。

 

(営業外損益・特別損益)

 経常利益は、営業外収益11,304千円、営業外費用11,607千円を計上した結果、前連結会計年度に比べ77,201千円減少し、5,513千円(93.3%減)となりました。
 税金等調整前当期純利益は、前連結会計年度に比べ77,151千円減少し、5,563千円(93.3%減)となりました。

(法人税、住民税及び事業税)

 親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ67,649千円減少し、親会社株主に帰属する当期純損失18,061千円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純利益49,587千円)となりました。これは、法人税、住民税及び事業税32,690千円、法人税等調整額を9,101千円計上したことによるものです。

 

 当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、次のとおりであります。
 当社グループの事業運営上必要な運転資金は、原則として自己資金で賄うこととしております。今後も、所要資金は「営業活動によるキャッシュ・フロー」を源泉とした自己資金調達を原則とする方針であります。なお、多額の資金が必要となった場合は、必要資金の性格に応じて金融機関からの借入、資本市場からの直接調達も検討する方針でありますが、多額の資金需要にも自己資金にて十分に対応することが可能であると考えております。

 

 経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおり、様々なリスク要因が当社グループの経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。
 そのため、当社グループは、外部環境の変化に留意しつつ、人材の確保・育成、リスク分散、社内の統制を維持・向上させることなどにより、経営成績に重要な影響を与える可能性のあるリスクを分散、回避し、リスクの発生を抑え、適切に対応していく所存であります。
 経営戦略の現状と見通しについては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。

 

 当社グループの経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、次のとおりであります。
 当社グループは、安定した経営基盤を維持・構築し、もって良質な出版を継続し、かつ、安定した株主還元を行うことを目標としており、そのため1株当たり純資産額を重視し、その増大を意識しながら経営を行っております。
 当連結会計年度の1株当たり純資産額は1,054.28円となり、前連結会計年度に比べ1.7%減少いたしましたが、第78期を基準として5会計年度を比較すると、微増傾向で推移しているものと認識しております。

 

 

第79期

第80期

第81期

第82期

第83期

1株当たり純資産額(円)

1,048.50

1,064.74

1,073.38

1,072.23

1,054.28

78期を基準とした増減率(%)

100.5

102.1

102.9

102.8

101.1

(参考)東証市場第一部の増減率(%)

89.1

78.2

71.7

70.3

69.3

 

(注) 東京証券取引所市場第一部のデータ算出にあたっては、同取引所の資料によっております。なお、同取引所のデータ算出については2018年9月までは1単元1,000株を前提としており、2018年10月以降は1単元100株を前提として算出していることから、2018年9月以前のデータにつきましては当社において1単元100株として計算し直しております。

 

 なお、売上及び利益に関する当初予想と当期実績の差異につきましては、第2四半期において通期の業績予想を取り下げましたので、省略いたします。

 

4 【経営上の重要な契約等】

特記すべき事項はありません。

 

5 【研究開発活動】

特記すべき事項はありません。