文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
広済堂グループは、1949年に印刷会社として創業以来、社名にある「広済」(広く社会に貢献する)を経営理念として、印刷、ITサービス、人材サービス、葬祭サービスなどの各事業を通じ、“人生100年を様々な場面でサポートする広済堂グループ”となることを目指しております。
また、お客さまに必要とされる商品やサービスを提供すべく、お客さまや生活者のニーズの一歩先を読みながら、常に新しいものに挑戦する「進取の精神」で事業展開を進めて参りました。
当社グループは、社会環境の変化、ライフスタイルや価値観の変化の中で、お客さまに真に必要とされる商品やサービスは何かを探り、提供していく「お客さま第一主義」を今後も追求し、社会から必要とされ、また社会的責任を果たせる企業集団となるよう努めて参ります。
当社グループはエンディング事業領域、IPコンテンツ事業・事務受託事業から成る情報ソリューション事業領域、人材サービス領域で事業を営んでおり、領域毎に事業環境が異なります。
① エンディング事業領域
エンディング事業領域は、2025年3月期現在グループ収益の大部分を生み出しており、東京博善株式会社が火葬場併設の総合斎場運営業を、株式会社広済堂ライフウェル及び株式会社グランセレモ東京が葬儀業を、株式会社広済堂ファイナンス及び東京博善あんしんサポート株式会社が相続相談・不動産仲介業等を営んでおります。
総合斎場運営業は営む東京博善株式会社で構成されております。同社は100年を超える社歴を持つとともに、東京都23区内の約7割に相当する火葬を担っており、その長い社歴の中で多くの都民に縁のある思い出の斎場として、唯一無二の立場を築いてきました。2020年に当社の完全子会社となり、経営方針を転換。式場増設や各種サービスを刷新し、ご利用者の皆様により良いサービスを提供することによる社会貢献を志すと共に、株式会社広済堂ライフウェルが2022年より葬儀業を開始するなど、本領域を当社グループの成長領域と位置付け積極拡大の方針を取っております。
当社グループのエンディング事業は東京都を中心に展開しており、首都圏の市況や人口動態の影響を強く受けます。短期的には首都圏の気候や疫病の流行、災害の発生等により浮沈がありますが、中長期的には高齢化の進行により年2%から3%程度の割合で緩やかに増加していくものとみられ、東京都の死亡者数は2040年から2060年頃にかけてピークを迎えるものと考えられます。他方、葬儀単価については核家族化や家族葬・火葬式の普及により低単価化が進み、死亡者数は増加傾向も葬儀市場はやや縮小傾向にあります。
この様な環境の下、当社グループは総合斎場運営事業のブランド力を維持し良質のサービスを拡充し続けると共に、葬儀業の提供エリアを拡大し都内の葬儀シェアを拡大、併せて、相続相談や相続にかかる不動産の売却支援など、エンディング関連サービスの周辺領域への展開を進めております。
また、2022年度より従来葬祭セグメントとして位置付けていた事業セグメントを分割し、火葬事業の円滑な運営とサービス提供を担う葬祭公益セグメント、総合斎場における貸し式場並びに付帯サービスに加え葬儀業を営む葬祭収益セグメント、エンディングにまつわる事業領域の拡大を狙う資産コンサルティングセグメントとしてそれぞれ開示しております。
② 情報ソリューション事業
情報ソリューション事業領域は、広済堂の祖業である印刷事業やIPコンテンツ事業、事務受託(BPO)事業、IT事業から成っております。
印刷事業は株式会社廣済堂の印刷・BPO事業を承継した株式会社広済堂ネクストが営んでおります。印刷物のカラーマネジメントに強みを持ち、高品質な中価格帯以上の印刷業務を請負っております。中には印刷機械パンフレットの印刷を株式会社広済堂ネクストが担っている例もあり、業界内で好評を頂いております。
印刷業界は電子化の影響で紙媒体が減少する縮小市場であり、旧来比較的参入が容易であったことから過当競争が進み、極端な低利益率の事業領域となっていました。一方、出版社の中には紙媒体から電子書籍やデジタル配信、さらには人気コンテンツを活用したライツビジネスへと事業領域をシフトする動きが見られ、印刷需要の構造的な変化が進んでいます。また、印刷会社の中には印刷事業から一部縮小・撤退し、デジタルソリューションやエレクトロニクス、ライフサイエンス分野などへの事業転換を進める企業もあり、業界全体としては縮小傾向にあるものの、印刷会社間の統合や周辺事業への展開が進み、一部では利益率の改善も見られています。
この様な環境の中で、当社グループは中堅印刷会社として、高品質かつ中高単価の印刷物を狙う戦略をとっており、一定の利益率を確保しつつ、収益を成長事業に投資に振り分け再び成長事業へと転換する方針です。直近では、IPコンテンツホルダーとの長年の提携関係やカラーマネジメント能力を生かしグッズ製作事業を開始、印刷のみならず拡大するIPコンテンツ領域を事業領域に取り込むなど、印刷事業をIPコンテンツ事業に昇華させ、変化する市場に対応して参ります。
事務受託(BPO)事業、IT事業は株式会社広済堂ネクストが営んでおり、BPOや個別配送手配、Web環境構築、ソフトウェアの受託開発に加え、これら複合業務を一括処理できる能力を有しております。
BPO事業はコロナ禍により異業種からの参入が相次ぎ、競争が激化する環境にありますが、当社グループは政府や自治体からの豊富な受注実績があり、一定の信頼関係を構築出来ています。他方で、ストックビジネスの法人BPOに関しては伸び悩んでおり、業界大手と比べ対応力に課題を有しております。今後は、行政・自治体BPOで実績を積み重ねつつ、法人BPOの積上げによる事業規模の拡大を目指します。
③ 人材サービス事業
人材サービス事業領域は、人材派遣事業、人材紹介事業、求人媒体事業等から成っております。
人材派遣事業は、株式会社キャリアステーション及び株式会社ファインズで構成され、北陸・東北地方で一般事務派遣・製造派遣を、埼玉県内で物流倉庫向け派遣を営んでおります。
派遣業界は大手の寡占状況にあり、事業規模の比較的小さい当社グループは地方で地域に寄り添ったサービスを展開しております。しかしながら、労働人口減少による派遣人材の確保競争が進み、人材確保に課題を抱えております。今後は、自社ブランドの構築・維持に一定のコストを掛けつつ、後述する外国人材の活用を拡大し、地方でのシェアを維持拡大していくと共に、都市圏での事業規模を徐々に拡大していく方針です。
人材紹介事業は、広済堂ビジネスサポートが許認可を受けており、主に国内人材紹介と国内外の外国人紹介事業から成ります。
転職市場は労働人口の減少と終身雇用の崩壊により拡大しておりますが、参入障壁が低く、大手含め熾烈な競争環境にある中で当社独自の強みを打ち出せず、低迷が続いておりました。この様な事業環境の中で、求人媒体事業の事業譲渡を契機に、ベトナム現地に日本語学校を保有する強みを生かし外国人紹介に特化させる方針へと転換いたしました。今後は、グローバル人材サービスとして、事業拡大を目指してまいります。
求人媒体事業は、主に東北・北陸地方で求人フリーペーパー「Workin」を展開し、季節性の求人や飲食・宿泊求人を中心に事業者と求職者のマッチングを担って参りました。求人フリーペーパーがWebに代替されるにあたっても、「Workin.jp」としてWebサービスをいち早く手掛けるなど、東北・北陸地方で一定のブランド力を保有し続けてきました。しかしながら、クローリング型の求人サイトが台頭する中で収益力の低下を防ぐことができず、選択と集中を進める観点から、当事業はメディア広告事業を営む株式会社中広に事業譲渡することといたしました。本事業は2026年3月期第1四半期まで当社グループで収益計上されます。
(3) 中期経営計画
当社は、3年の中期経営計画を作成し、1年毎に最新の状況を反映・更新する方針をとっております。当社事業領域毎の経営方針、環境・課題の認識は前述のとおりですが、これらを端的にまとめると共に、各年度における具体的な数値目標として定めたものです。本計画の詳細につきましては、既に公表の2025年3月期決算説明会資料をご覧ください。決算説明会につきましても、当社公式HPに録画データを公開しております。併せてご利用ください。
① 基本方針
(1)長期的な利益成長を目指し、基盤強化を進める
(2)戦略的投資と効率化の推進
(3)株主還元の充実
② 定量目標
当社グループ
③ 各事業セグメントでは、以下の取り組みを実施
(1)葬祭公益セグメント
東京都23区内における社会的責任を果たすとともに周辺地域からの案件誘致を推進し火葬待ち問題解消に取り組みます。
(2)葬祭収益セグメント
葬儀式場の更なる増設を進め中長期的な収益力向上を図ります。葬儀事業はエリア×提携×認知の拡大を進め事業拡大を目指します。
(3)情報セグメント
既存領域で収益を維持しつつ、IPコンテンツ領域など周辺領域への進出を狙います。BPO領域では受託体制を強化し内製化を進めます
(4)人材セグメント
派遣事業はエリア、人材、サービスで特徴を打ち出し事業提供地域と提供サービスの拡張を進めます。グローバル人材事業を媒体事業に替わる主力事業と位置付け、国際人材教育・紹介事業モデルを確立します。
(5)資産コンサルティングセグメント
営業利益で10億円超の水準を維持できる様案件獲得と顧客接点数拡大を進めます。
当社はこれまでも当社グループのサステナビリティ向上のため様々な取組みを実施してきました。とりわけ環境への配慮・取組みにつきましては、「環境方針」を定め、ISO14001の取得や国民運動「COOL CHOICE」の推進による温室効果ガス削減への取組み等環境負荷の低減や環境保全に取組んで参りました。
そして、2021年10月に持株会社体制の移行に合わせ、「広済堂グループSDGs宣言」を策定し、以下の4つのマテリアリティ(重要課題)を定めました。この「広済堂グループSDGs宣言」を推進するため、2022年1月に「サステナビリティ推進委員会」と「サステナビリティ推進室」を社内に設置し活動を推進しております。
「広済堂グループSDGs宣言」4つのマテリアリティ
1.経済-広くささえる サステナブルな経済活動への価値創造
2.社会-ともに生きる 公平で多様性のある地域社会の発展
3.環境‐未来をまもる 環境負荷軽減による美しい地球の継承
4.企業文化‐笑顔でつながる 透明性と対話のある健全な企業経営
■気候変動対応関連
広済堂グループは、2021年10月にサステナビリティ経営を推進する経営コミットメント「SDGs宣言」を発表し、「環境」テーマとした以下のマテリアリティを設定しました。
近年、地球温暖化の影響による極端気象が頻発しており、地球温暖化の防止は国際社会の重要な課題となっています。2015年のCOP21において採択された「パリ協定」では、今世紀後半に温室効果ガスの排出量をゼロにし、世界の平均気温上昇を産業革命前に比べて2℃未満に抑えるという目標が掲げられました。日本政府も、2020年10月「2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指す」ことを公約として発表し、さらに2021年4月には、2030年までに2013年比で温室効果ガスの削減目標を46%引き上げました。
広済堂グループも、2050年のカーボンニュートラルの実現と、それに向けて2030年のCO2排出量の削減目標34%に定め(2020年比)、地球温暖化の防止に向けてグループ全体で取り組んでいます。
「TCFDへの賛同」
TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)は、G20の要請を受けた金融安定理事会(FSB)により、気候関連の情報開示及び金融機関の対応をどのように行うかを検討するため、民間主導により2015年に設立されました。TCFDが2017年6月に公表した最終報告書では、企業などに対し、気候変動関連リスク及び機会に関して「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標と目標」の4項目での情報開示を推奨しており、特に組織戦略のレジリエンス(強靭さ)をわかりやすく示すことを求めています。
広済堂グループは、2022年にTCFDの提言に賛同し、提言に基づいたシナリオ分析を実施し、2022年から情報開示を開始しました。今後は、開示した情報を基にしたステークホルダーの皆さまからのフィードバックから、気候変動に関わる経営戦略の強化につなげるPDCAサイクルを継続的に実行していきます。
TCFD提言は、気候変動に伴うリスクと機会が財務を含む会社経営にどのような影響を及ぼすかを的確に把握すべく、4つの要素である「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標と目標」に沿って情報開示することを推奨しています。当社は、TCFD提言が求める4つの推奨項目に基づいた情報開示の更なる拡充に取り組んで参ります。
■ガバナンス
当社は、気候変動及び環境への対応を経営上の重要課題と位置づけ、これらの課題に対しては、サステナビリティ委員会がリスク管理委員会と連携し、全社的なリスク管理プロセスに統合して対応しています。
年2回開催されるサステナビリティ推進委員会においては、社内各部門の分掌に基づき、気候変動に関連するリスクと機会、業務執行への影響について協議し、その内容を取締役会に報告しています。さらに、当該委員会内に設置したサステナビリティ推進室からの気候関連リスク及び機会に関する報告を受け、重要事項については取締役会への報告を行っています。
取締役会は年2回、これらサステナビリティ推進に関する取り組みの進捗状況の報告を受け、監督を行っています。
サステナビリティ推進室内のサステナビリティ推進チームは、サステナビリティ委員会で審議された対応策の実行部門として、気候変動関連リスクへの具体的な対応を担っています。特に、グループ全体の温室効果ガス排出量の算定及び削減についての実務を担っており、グループ全体の進捗管理を行っています。
「サステナビリティ推進体制」

(体制図:2025年3月31日時点)
「サステナビリティ推進体制における会議体と役割」
■戦略
日本政府による2050年カーボンニュートラル宣言をはじめ、世界的に気候変動対策の重要性が高まる中、企業にとって環境対応は経営と切り離せない課題となっています。気候変動への対応を怠ることは、ブランドの毀損や人材確保の難航といったレピュテーションリスクを招く可能性がある一方、積極的に取り組むことは新たなビジネス機会の創出につながると認識しています。こうした外部環境の変化を踏まえ、当社は気候変動への対応を経営の重要課題として位置づけています。
広済堂グループでは、TCFD提言に基づき、気候関連リスクと機会の把握を目的にシナリオ分析を実施しています。国際エネルギー機関(IEA)などの科学的根拠に基づき、1.5℃シナリオ及び4℃シナリオを設定し、2030年時点における移行リスクと、2050年時点における物理リスクについて、事業への影響の重要性を評価しました。また、サステナビリティ委員会のもとに設置されたサステナビリティ推進チームが、葬祭事業、情報事業、人材事業といった事業領域ごとにリスクと機会を分析し、将来のビジネスシナリオにおける経済価値と社会価値へのインパクトを評価しました。
今後は、こうした分析結果を踏まえ、社内での議論をさらに深めるとともに、外部環境の変化を継続的にモニタリングしながらシナリオの精度向上を図って参ります。そして、得られた知見を経営戦略に統合し、不確実性の高い将来においても柔軟かつ持続的に対応できるレジリエンスの強化を進めていきます。さらに、適時適切な情報開示を通じて、ステークホルダーとの信頼関係の構築にも努めて参ります。
「シナリオの定義」
*1 IEA NZE(Net Zero Emissions by 2050 Scenario):IEAが示した世界のエネルギー部門が2050年までにCO2排出量をネットゼロにする道筋を示す規範的なシナリオ
*2 IEA STEPS(Stated Policies Scenario):IEAが示した各国政府が公表している政策を反映した保守的なシナリオ
*3 IPCC AR6 SSP1-1.9:IPCCの第6次評価報告書にて示した気温上昇を約1.5℃以下に抑える気候政策を導入することで、21世紀半ばにCO2排出が正味ゼロとなり、世界の平均気温が産業革命前に比べて1.0~1.8℃(平均1.4℃)に抑えるシナリオ
*4 IPCC AR6 RCP8.5:IPCCが第5次評価報告書にて示した21世紀末(2081~2100年)に世界の平均気温が産業革命前に比べて3.2~5.4℃(平均4.3℃)上昇するシナリオ
「シナリオの定義」
当社は、気候変動に関連するリスクと機会を適切に把握し、事業戦略に反映するため、グループ全体を対象に、気候変動に関する移行リスク、物理リスク及び気候変動に関する機会の精査を行いました。各リスク・機会が当社の事業に与える影響度については、売上高へのインパクトをもとに定性的評価を実施し、「大」「中」「小」の3段階で分類し、「中」「大」の評価となった項目について開示しています。
「影響度の定義」
• 大 :当社への影響が非常に大きい(売上高の12%以上)
• 中 :当社への影響はあるが限定的(売上高の6%~12%未満)
• 小 :当社への影響はほとんどない(売上高の6%未満)
リスクと機会は、気候変動の影響の性質に応じて分類しています。
• 気候関連リスク
① 移行リスク:低炭素社会への移行に伴う政策・法規制、技術革新、市場変化、エネルギー転換など
② 物理リスク:気候変動に起因する自然災害等(急性リスク)や慢性的な気温・降水パターンの変化(慢性リスク)など
• 気候関連機会
環境対応型製品・サービスの開発、省エネ技術への移行、ブランド価値の向上、コスト削減など
これらのリスクと機会の評価にあたっては、TCFDの推奨に従い、シナリオ分析を実施しました。採用したシナリオは以下の2つです。
1. 1.5℃シナリオ(SSP1-1.9/IPCC「1.5℃特別報告書」などを参照):
産業革命前と比べて気温上昇を1.5℃以内に抑えるための移行リスク及び機会を想定
2. 4.0℃シナリオ(RCP8.5/SSP5などを参照):
追加的な温暖化対策が講じられなかった場合の物理リスクを想定
広済堂グループでは、本シナリオ分析及び今後の見直しを通じて、リスクの把握にとどまらず、将来的なビジネスチャンスの創出も見据えたレジリエントな事業戦略の策定に取り組んで参ります。
■リスク管理
当社は全社的なリスク管理規程に基づき、気候変動リスクへのリスク管理を実施しています。
気候変動に関するリスクは、サステナビリティ委員会下のサステナビリティ推進チーム特定を行います。特定されたリスクはサステナビリティ委員会及びサステナビリティ推進チームによって影響度評価を行い、対応が必要と判断されたリスクは、サステナビリティ委員会が対策を管理しながら、各事業部門によって対応が行なわれます。また、気候変動リスクに関する対応状況は取締役会へ報告されます。取締役会ではサステナビリティ委員会より気候変動に関するリスク管理の状況と対応について報告を受け、監督します。

■指標と目標
広済堂グループは、SDGs宣言「未来を守る ― 環境負荷軽減による美しい地球の継承」のもと、気候変動に伴うリスクの最小化と機会の最大化を目指し、温室効果ガス(GHG)排出量の可視化と戦略的な削減への取り組みを進めています。
その一環として、GHGプロトコルに準拠し、コーポレートカーボンフットプリントのScope1、Scope2、Scope3を対象とした温室効果ガス排出量の算定を実施しています。具体的には、環境省「サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出量算定に関する基本ガイドライン_ver2.3」を参考に、以下の枠組みで算定を行っています。
•指標:GHGプロトコルのコーポレートスタンダードにおける、Scope1(直接排出)、Scope2(間接排出)、Scope3(その他の間接排出)
•算定範囲:国内のグループ全体(自社及び連結対象)
•精度管理:排出量の大きいカテゴリを重点的に把握し該当カテゴリにおける削減施策の反映が可能な水準で精度を確保
今後も、温室効果ガス排出量の継続的な把握に努め、対象範囲の拡大や削減に向けた体制整備、そして実効性のある目標設定を通じて、グループ全体での環境負荷低減と持続可能な事業運営を推進して参ります。
「Scope1 and Scope2 排出量実績 (t-CO2eq)」
「削減目標」
自社拠点での事業活動にともなうGHG排出量(Scope1及びScope2)については、2050年カーボンニュートラル目標を掲げて削減活動を進めています。また、Scope3については、サプライヤー及び販売先におけるGHG排出量の管理状況の調査などを進めています。
■人的資本関連
当社は、フィロソフィーとして掲げる「進取の精神」をもとに積極的に変革に挑戦し、広く社会への貢献に向けて活躍する人材を育成することをグループ成長の重要な要素と位置付けております。
サステナビリティ経営を推進する「広済堂グループSDGs宣言」においても、目指すべき「企業文化」として以下のマテリアリティを設定しました。
・企業文化‐笑顔でつながる 透明性と対話のある健全な企業経営
法令遵守はもとより、誰ひとり取り残さないSDGsの普遍的価値に基づく「人権尊重」「ジェンダー平等」「女性のエンパワーメント」推進によって、一人ひとりがムードメーカーとなり、働きがいある職場づくりとコミュニケーションにあふれる企業文化を守り続けます。
また、当社の全事業領域において持続的な企業価値向上には変革に挑戦する人材の育成と確保が欠かせないため、次の2点に重点的に取り組んでおります。
・人材育成方針として「事業拡大・新規事業促進に向けた視野の拡大を促進する」観点で、個人事業主型副業の認定や新規事業への公募等を促進する方針を掲げております。2026年3月期は、公募申請2件以上の目標達成に向けて進めて参ります。
・社内環境整備方針として「働きやすく、働き続けられる環境を整備し、事業運営に資する人材の定着を促進する」観点で、採用後の定期面談やリモート勤務の組み合わせなどを促進し、直近2年で平均60名の水準にある主要4社の社員依願退職者を年間30名以下に半減することを目標に取り組みます。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を及ぼす可能性のあると認識している主要なリスクは、以下のものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループの競合会社の中には相当の製造販売の資源を有している会社が存在しております。このような事から急激な景気後退やそれに伴う需要の縮小による価格競争激化等により、業績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの印刷事業は一定の需要が維持されるものの、ペーパーレス化などの進展により、印刷需要が大きく変化した場合に、また、人材サービス事業においては、雇用の情勢ならびに顧客需要の状況が急激に変化した場合に、葬儀事業においては、高齢化の進展や都市部への人口集中により需要の継続が長期的に見込まれる一方で、家族葬や直葬といった簡素化が加速度的に進行した場合には、業績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、安定的な原材料の確保と価格の維持に努めております。しかしながら、その価格が市場により変動するものがあります。それら原材料の価格が高騰し、原材料以外のコスト削減でカバーできない場合や、販売価格に転嫁できない場合、業績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、徹底した品質管理のもとで製品を製造しておりますが、製造工程上の不備により製品の欠陥が生じた場合、損害賠償や信用の失墜等により、業績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの葬祭事業において、火葬場を運営しているため「墓地、埋葬等に関する法律」により、法的規制を受けております。また、人材サービス事業においては、労働関連法令における規制等の影響を受けます。今後、新たに法的規制が設けられる場合、業績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、厳重な情報セキュリティ管理体制において自社内の機密情報を管理するとともに、得意先等から預託された機密情報や個人情報の管理には万全な方策を講じておりますが、万一情報を漏洩もしくは誤用した場合、企業としての信頼を失い、業績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループが保有する土地などの不動産、その他の棚卸資産及び有形固定資産、のれんなどの無形固定資産、投資有価証券等のその他の資産についても、市場環境や経営環境等の変化により減損処理が必要となる場合、業績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、投資及び設備投資の一部を、主として金融機関からの借入金及び社債の発行により調達しており、有利子負債への依存度が高い水準にあります。今後、現行の金利水準が変動した場合、業績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、製造設備等の主要設備に対する防火や耐震対策等を実施しておりますが、地震、台風等の自然災害や火災等の事故災害及び疫病等が発生した場合、業績等に影響を及ぼす可能性があります。なお、先般発生した新型コロナウイルス感染症のような感染症のパンデミック等の影響により、当社の財政状態及び経営成績に重大な影響を与える可能性があります。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当連結会計年度の財政状態及び経営成績は次のとおりとなりました。
(a) 財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べて1億56百万円減少し、772億57百万円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べて11億16百万円減少し、293億17百万円となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べて9億60百万円増加し、479億40百万円となりました。
(b) 経営成績
経営成績の概要は、次のとおりであります。
当連結会計年度の経営成績は、当社グループはエンディング関連事業を成長事業と位置づけ、事業規模の拡大を目指して参りました。葬祭収益セグメントでは、「東京博善のお葬式」の認知度向上のため、第3四半期よりTVCMを放映。東京博善では更なる利便性向上のため東京都品川区に所在する桐ケ谷斎場の式場増築工事に着手しております。資産コンサルティングセグメントでは不動産にかかわる大型案件が業績に大きく貢献いたしました。情報セグメントでは、これまで継続推進して参りましたコスト改革が功を奏し利益率の改善が進みました。これに加え、これまで培ってきた得意先との関係性を生かし印刷関連ソリューション事業を再び成長事業とするため、グッズ製作事業への参入及び初期投資を行いました。人材セグメントでは、事業会社を統合しコスト改革を進めて参りましたが、期中に成果を得られず、前年から横ばいで推移いたしました。その結果、連結売上高は383億2百万円(前年同期比8.0%増)、連結営業利益は83億2百万円(同55.9%増)、連結経常利益は80億32百万円(同51.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は44億62百万円(同2.9%増)となりました。
(売上高)
葬祭収益セグメントにおいては、増床した新式場の利用が好調に推移した他、第3四半期に従来式場の内装を改修したこと等により利便性が向上し、特に繁忙期の利用率が好調に推移し増収となりました。また、資産コンサルティングセグメントは、相続相談・不動産仲介事業では、相談件数・仲介件数共に前年から伸長し、さらに大型プロジェクト案件による収益も加わったことで、大幅な増収となりました。一方、人材セグメントにおいては、人材紹介事業では、旺盛な求人ニーズを取り込むため体制を強化した結果増収となりましたが、求人媒体・HRテック事業では、紙媒体の減少もあり減収、人材派遣事業では、前期に引き続き主力とする東北・北陸地方で派遣人材の獲得が伸び悩んだ他、物流倉庫領域が大幅に落ち込み減収となりました。情報セグメントは、自治体関連の受注獲得が伸び悩み減収となりました。資産コンサルティングセグメントの大幅な増収もあり、全体としては、前連結会計年度に比べ増収となりました。その結果、連結売上高は383億2百万円(前年同期比8.0%増)となりました。
(営業利益)
葬祭収益セグメントにおける式場増設に伴う増収が、グループ全体の増益に大きく貢献しました。また、資産コンサルティングセグメントにおける不動産にかかわる大型プロジェクトの収益等もあり、連結営業利益は83億2百万円(同55.9%増)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度は、過年度決算修正対応、豊中工場解体・新聞印刷事業撤退の決定等により10億円の特別損失を計上しましたが、営業利益の増益もあり、親会社株主に帰属する当期純利益が増加しました。その結果、親会社株主に帰属する当期純利益は44億62百万円(同2.9%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
(イ) 葬祭公益セグメント
葬祭公益セグメントは、火葬事業で構成されており、当社子会社の東京博善の保有する都内6か所の総合斎場で行事を担っております。
火葬事業は専ら東京都23区内で事業を営むため、売上は東京都近郊の死亡者数と強い相関関係があります。当期は前年比で死亡者数が増加し火葬件数も前期から増加いたしました。費用面につきましては、火葬件数の増加を受けて燃料費、水道光熱費が増加した他、繁忙期における時間外労働の増加や賃上げにより人件費が増加いたしました。また、上昇コストを価格転嫁するため、2024年6月より火葬料を値上げすると共に燃料サーチャージ制度を廃止いたしました。
以上の結果、売上高は59億86百万円(前年同期比8.1%増)、セグメント利益は12億49百万円(同15.6%増)となりました。
(売上高)
火葬件数が前期に比べ増加したことにより、前年同期比8.1%増の59億86百万円となりました。
(セグメント利益)
火葬件数の増加を受けて燃料費、水道光熱費が増加した他、繁忙期における時間外労働の増加や賃上げにより人件費が増加いたしました。また、上昇コストを価格転嫁するため、2024年6月より火葬料を値上げすると共に燃料サーチャージ制度を廃止した結果、前年同期比15.6%増の12億49百万円となりました。
(セグメント資産)
セグメント資産は東京博善株式会社の資産を一定の仮定に基づき配賦計算を行っており、前連結会計年度に比べ24億69百万円減少の179億51百万円となりました。
(ロ) 葬祭収益セグメント
葬祭収益セグメントは、エンディング関連事業で構成されており、式場提供などの総合斎場運営、葬儀サービスなどの事業を展開しております。
総合斎場運営事業につきましては、2023年9月に増床した新式場の利用が好調に推移した他、第3四半期に従来式場の内装を改修したこと等により利便性が向上し、特に繁忙期の利用率が好調に推移し増収増益となりました。葬儀サービス事業につきましては、TVCM放映効果もあり葬儀施行件数が順調に推移し増収増益となりました。また、日本国内最大規模のエンディング産業展「ENDEX」につきましては、来場者数が前年から増加するなど好評を博しました。
以上の結果、売上高は104億42百万円(前年同期比20.4%増)、セグメント利益は42億88百万円(同22.3%増)となりました。
(売上高)
前期増床した新式場の利用が順調に拡大したことにより、前年同期比20.4%増の104億42百万円となりました。
(セグメント利益)
増収の影響もあり、前年同期比22.3%増の42億88百万円となりました。
(セグメント資産)
セグメント資産は東京博善株式会社の資産を一定の仮定に基づき配賦計算を行っており、前連結会計年度に比べ24億39百万円増加の255億85百万円となりました。
(ハ) 資産コンサルティングセグメント
資産コンサルティングセグメントは、主に広済堂ファイナンスの提供する金融サービス事業及び東京博善あんしんサポートの提供する相続相談・不動産仲介事業で構成されております。
相続相談・不動産仲介事業では、相談件数・仲介件数共に前年から伸長いたしました。不動産にかかわる大型プロジェクト案件の収益により、大幅な増収増益となりました。
以上の結果、売上高は17億96百万円、セグメント利益は14億47百万円(前年同セグメント利益2億86百万円)となりました。
(売上高)
大型プロジェクト案件の収益により、セグメント売上高は17億96百万円となりました。
(セグメント利益)
増収の影響もあり、セグメント利益は14億47百万円となりました。
(セグメント資産)
大型プロジェクト案件にかかわる不動産投資により、前連結会計年度に比べ109億74百万円増加の225億59百万円となりました。
(ニ) 情報セグメント
情報セグメントは、情報ソリューション事業で構成されており、主に広済堂ネクストが出版・商業印刷を始めとする印刷関連ソリューション、IT受託開発を中心としたデジタルソリューション、データ入力代行やコールセンター業務などお客様の事業をサポートするBPOサービス等の事業を展開しております。
印刷関連ソリューション事業では、上半期に出版印刷領域が好調に推移し増収増益となりました。他方、商業印刷領域は自治体関連の受注獲得が伸び悩み減収減益となりました。また、新聞印刷領域撤退を受け、印刷機材の減損による特別損失が生じました。BPOサービス事業は、通期で受注が伸び悩みましたが、コストコントロールを徹底したことにより減収増益となりました。デジタルソリューション事業は、SESサービス領域が伸長し増収要因となりましたが、人材調達が進まず外注費が増加し減益となりました。
以上の結果、売上高は147億93百万円(前年同期比2.5%減)、セグメント利益は3億94百万円(前年同期比26.9%増)となりました。
(売上高)
出版印刷領域及びSESサービス領域が伸長しましたが、商業印刷の自治体関連印刷物やBPOサービスが伸び悩みした結果、前年同期比2.5%減の147億93百万円となりました。
(セグメント利益)
出版印刷の増収及びBPOサービス事業の固定費や外注費削減により、前年同期比26.9%増の3億94百万円となりました。
(セグメント資産)
売掛金の減少や有明工場の減損の結果、前連結会計年度に比べ3億30百万円減少の118億57百万円となりました。
(ホ) 人材セグメント
人材セグメントは、人材サービス事業で構成されており、求人媒体・HRテック事業を始めとして、人材紹介・人材派遣、RPO(リクルートメントプロセスアウトソーシング)、海外(ベトナム等)における人材紹介、人材育成・研修、日本語教育、留学サポート等の事業を手掛け、人材の発掘から採用、教育・研修までトータルな人材ソリューションを提供しております。
なお、2025年3月31日の当社取締役会で、子会社である広済堂ビジネスサポートの事業の内、求人媒体・HRテック事業を2025年7月1日付で売却することを決定しました。この売却により、経営資源の配分を見直し、他の人材サービスに注力することで資本効率の向上を図って参ります。
求人媒体・HRテック事業では、自社開発商材とIndeedとの連携サービスの提供を開始しましたが、紙媒体の減収もあり減収増益となりました。人材派遣事業では、前期に引き続き主力とする東北・北陸地方で派遣人材の獲得が伸び悩んだ他、物流倉庫領域が大幅に落ち込み減収減益となりました。人材紹介事業では、旺盛な求人ニーズを取り込むため体制を強化いたしましたが、費用増が先行し増収減益となりました。
以上の結果、売上高は52億82百万円(前年同期比6.0%減)、セグメント損失は1億58百万円(前年同セグメント損失78百万円)となりました。
(売上高)
主領域である東北・北陸エリアの伸び悩み、求人媒体における紙媒体の減収等により、前年同期比6.0%減の52億82百万円となりました。
(セグメント利益)
売上高の減収等により、前連結会計年度に比べ80百万円減少のセグメント損失1億58百万円となりました。
(セグメント資産)
主に売掛金の減少や非連結子会社の連結対象への変更に伴う関係会社株式の減少により、前連結会計年度に比べ4億34百万円減少の29億58百万円となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、116億90百万円と、前連結会計年度末に比べて72億25百万円(38.2%)の減少となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、84億53百万円の資金の減少となり、前連結会計年度が100億円の増加であったことに比べて、184億54百万円の減少となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、40億86百万円の資金の増加となり、前連結会計年度が90億18百万円の資金の減少であったことに比べて、131億4百万円の増加となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、29億45百万円の資金の減少となり、前連結会計年度が7億12百万円の資金の減少であったことに比べて、22億33百万円の減少となりました。
(a) 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.葬祭公益、葬祭収益、資産コンサルティング及び人材は、生産実績の記載が困難であるため、記載を省略しております。
2.セグメント間取引は消去しております。
(b) 受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.葬祭公益、葬祭収益、資産コンサルティングは、受注実績の記載が困難であるため、記載を省略しております。
2.セグメント間取引は消去しております。
(c) 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間取引は消去しております。
2.相手先別販売実績については、総販売実績に対する割合が10%以上の販売先はないため、記載を省略しております。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(a) 経営成績等
(イ) 財政状態
当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べて1億56百万円減少しております。主な要因は、営業貸付金の増加と合同会社H.A.Development2の譲渡に伴う建設仮勘定の減少等によるものであります。
当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べて11億16百万円減少しております。主な要因は、借入金が増加したものの、未払金及びリース債務が減少したこと等によるものであります。
当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末に比べて9億60百万円増加しております。主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益44億62百万円の計上による増加、配当の支払い及び自己株式を取得したことによる減少であります。
(ロ) 経営成績
当連結会計年度の経営成績につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況 (b)経営成績」に記載のとおりであります。
経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況」の「3.事業等のリスク」をご参照ください。
(ハ) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ72億25百万円(前年同期比38.2%)減少し、当連結会計年度末では116億90百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、84億53百万円の支出(前連結会計年度は100億円の収入)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益70億67百万円の計上及び営業貸付金の増加等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、40億86百万円の収入(前連結会計年度は90億18百万円の支出)となりました。これは主に、匿名組合出資金の払い戻しによる収入があったこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、29億45百万円の支出(前連結会計年度は7億12百万円の支出)となりました。これは主に、借入による収入及び配当の支払い等によるものであります。
(b) 資本の財源及び資金の流動性
(イ) 資金需要
当社グループの資金需要のうち主なものは、製品製造やシステム開発に関わる原材料等の仕入れ及び外注費等の経費、各事業についての一般管理費等の運転資金需要、印刷事業と葬祭事業における設備投資等の設備資金需要、事業成長のためのM&Aやアライアンス等の事業投資を目的とした資金需要であります。
(ロ) 財政政策
当社グループの事業活動の維持拡大に必要な資金を安定的に確保するため、内部資金の活用及び金融機関からの借入等により資金調達を行っており、資金調達コストの低減に努めております。また、国内金融機関と総額75億円のコミットメントラインを締結することで、流動性の補完にも対応可能とし、グループ全体の借入金等の削減も図っております。
② 中期経営計画「中期経営計画4.0」1年目の総括
当社グループは中期経営計画(2024~2026年度)「中期経営計画4.0」に基づき、「1.業績の更なる向上」「2.長期的成長へ向けた投資」「3.株主還元の更なる充実」の基本方針の下、中期経営計画の実現に取り組んで参りました。当計画において、最終年度の連結売上高440億円、連結営業利益94億円を達成目標としておりました。
中期経営計画1年目において実行した重点施策は以下のとおりです。
・既存斎場内の式場増築検討
・資産コンサルティング事業の事業拡大
・配当性向の引き上げ
これらの施策を推進した結果、当連結会計年度において、連結売上高383億円、連結営業利益83億円、親会社株主に帰属する当期純利益44億円となりました。ついては、より一層の市場からの期待にお応えすべく「長期的な利益成長を目指し、基盤強化を進める」「戦略的投資と効率化の推進」を成長戦略の柱とする「中期経営計画5.0」へのバージョンアップに至ることとなりました。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りを用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
当社の借入金のうち、財務上の特約が付された金銭消費貸借契約は以下のとおりであります。
なお、2024年4月1日前に締結された借入については、「企業内容等の開示に関する内閣府令及び特定有価証券の内容等の開示に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令」附則第3条第4項により記載を省略しております。
特記すべき事項はありません。