第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

フジシールグループは、「包んで価値を、日々新たなこころで創造します。」を経営理念に掲げ、パッケージングを通じ、すべての人が笑顔で安心して暮らせる循環型社会・持続的社会の実現に貢献することで、企業価値の向上を図ってまいります。

 

わたしたちのビジョン~ありたい姿~

 

『人と環境にやさしい価値を届ける』

・パッケージング市場で持続的成長

フジシールグループは、パッケージングを通じて人々と社会に豊かさ・幸せ・喜び・安心を届ける会社であり続け、これからも環境配慮型製品で業界をリードしていきます。そのために、フジシールグループは勇気をもって変化をチャンスと受け入れ、新たな価値を持つパッケージを創造し続けます。

・持続可能な社会の実現に貢献する会社

フジシールグループは、パッケージング会社として、循環型社会の実現に積極的に取り組み、その一つとして、2026年までに売上の100%を環境配慮型製品に切り替えます。また、その根幹となる社員とパートナーが、より安全で健康でいられる職場環境を追求していきます。

・ワクワクを創る会社 ~ワクワクなしに成長なし~

フジシールグループは、社員が創造と挑戦をワクワクしながら成長できることを応援します。また、公平・公正を基本とした相互の信頼関係と研鑽で、顧客・パートナーと共にワクワクを創造します。そして、株主とのオープンな会話を通じ、ワクワクを共有します。

 

(2)目標とする経営指標

<FSG.30について>

当社グループは、変化に合わせて適切な意思決定を行い、継続して成長していくため、2030年までの7年間を一つの節目ととらえ、FSG.30=Fuji Seal Sustainable Growth 2030 Strategyを2024年5月に策定いたしました。

FSG.30では、2031年3月期の連結経営目標として、売上高3,500億円以上、営業利益率2桁%の達成を目指しており、2025年3月期はその初年度となりました。2年目を迎える2026年3月期においても、FSG.30目標実現に向けた各種取組を継続いたします。

 

この挑戦に対し、当社グループの有する「世界で市場をリードするお客様の多様なパッケージニーズに対し、ローカルの製販開体制で柔軟かつアジャイルに対応し、培った技術や経験を他地域に展開する力」、「素材技術、生産、顧客のアプリケーション、アフターサービスまで一貫した技術保有を通じた、市場要求への対応力や検証能力とQCDの提供力」、またそれらを通じて培った「イノベーティブなグローバル顧客との強い関係」を活かし、継続成長してまいります。特に、「顧客との強い関係」を構築することは、市場にて求められるパッケージの追求には不可欠であり、相互の対話から生まれる協働・共創取組の創出を推進いたします。

 

<FSG.30の全体像>

グループのありたい姿を実現していくために策定したFSG.30では、特に当社の強みである、「優良な顧客」「グローバルプレゼンス」「強い商品力」と、今まで培ってきた「財務」「人的資本」「ガバナンス」「知財戦略」「環境との共存」からなる事業基盤、持続的な成長を目指す3つの基本戦略の実践をグローバルベースで加速させてまいります。

 

 

<基本戦略>

持続的な成長を目指す3つの基本戦略は、①既存4事業の着実な強化、②製品マーケット・ターゲットエリアの拡大、③次世代に繋がる新たなビジネスモデルの創造からなり、既存4事業の着実な強化では、環境対応型製品へのシフト加速、生産効率の更なる向上、ポートフォリオの見直し、製品マーケット・ターゲットエリアの拡大では、既存の技術・ネットワークを活用した事業領域の拡大、次世代に繋がる新たなビジネスモデルの創造では、将来の主力事業となるスタートアップ事業の種まき・育成に取り組んでまいります。

 

<財務目標>

2031年3月期までに、ROE 2桁%、PBR 1.5倍以上を達成いたします。

ROE 2桁%を達成するための具体的な施策として、将来利益の拡大、資本効率の向上、最適な資本構成の追求の3つを掲げ、取り組みを加速させていきます。

将来利益の拡大では、獲得する営業キャッシュ・フローに加えて、適時適切な資金調達により、持続的成長の実現のために必要な投資配分を最適化することで、将来利益の拡大を図ります。具体的には、2027年3月期までの3年間では、通常投資と戦略投資を合わせて450億円の投資枠を、2031年3月期までの4年間では550億円の投資枠を設定いたしました。

資本効率の向上では、当社独自のフレームワークを用いた事業ポートフォリオの見直しにより、更なる選択と集中を進めることで、筋肉質な事業基盤を目指します。

最適な資本構成の追求では、自己株式取得を含めた株主還元の強化とともに、借入資本の活用も視野に入れて財務レバレッジ効果を高めてまいります。

併せてガバナンスの強化及び開示の充実等を図ることで株主資本コストの低減及び企業価値向上に努め、最終的にPBR 1.5倍以上を達成できるよう努めてまいります。

 

<株主還元>

FSG.30では、連結配当性向の目標を原則として30%とすることとしております。株主の皆様との対話を踏まえ、より積極的かつ安定的・継続的な株主還元を実現すべく、財務基盤とのバランスを考慮した株主還元を検討してまいります。

 

<環境目標>

2031年3月期までに、GHG排出量Scope1+2(自社排出)を2023年3月期比42%削減、Scope3(自社を除くサプライチェーン排出)を2023年3月期比25%削減、2026年3月期までに再生可能設計製品・再生材使用製品など自社で定義する環境配慮型製品の売上比率100%を達成いたします。

*2023年3月期排出量Scope1+2:189,778tCO2、Scope3:1,652,102tCO2

 

<人的資本の拡充>

FSG.30では、人財をもっとも重要な資源として位置づけ、適切なスキルと能力を備えた人財の獲得及びチャレンジする企業文化の創出にむけ、従業員一人ひとりが、情熱とワクワクをもって仕事に取り組める基盤を構築してまいります。

 

(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題と対応方針

当社グループは、ビジョン、ありたい姿を実現するために以下の課題に取り組み、事業運営を行ってまいります。

-「気候変動問題」「海洋プラスチック問題(生物多様性の保護)」「資源枯渇」を重要な環境課題と位置づけており、循環型社会の実現に向けて、ものづくりを進める。製造時の環境負荷低減に加え、環境配慮型製品を開発・生産し、事業活動を通じて当社グループだけではなくお客様とともに環境に対する目標の達成を実現していく。

-お客様により近い現場で、お客様の視点を持ち、パッケージの課題をお聞きする。課題解決のスピード、質を上げる。同時に、明日の課題を解決する開発ができる体制を強化する。

-大きく変動する経済情勢、加速する市場やお客様の変化のスピード、消費者ライフスタイルの多様性、消費地の拡大等、変化するお客様の課題に対しスピード感を持って解決し、更なるサービスを提供できる地産地消体制を構築、維持、発展させる。

-原材料の安定供給及び調達体制の維持・強化に加え、取引先との関係深耕を重視し、事業継続に不可欠なサプライチェーンの安定性確保に努めるとともに、事業環境変化に柔軟に対応する体制を構築する。

-人にやさしいパッケージで社会に貢献することを目指し、そのために必要不可欠な人財の育成を推進、当社における人的資本のビジョンである「ワクワクを創る会社~ワクワクなしに成長なし~」の体現に際し、「人的資本の充実」「価値観の共有(エンゲージメントの向上)」「DE&Iの尊重(多様な人的資本の成功)」を念頭に従業員へ挑戦機会の提供、成長を促す。

-市場の変化、自然災害、感染症の拡大等々、多様化し増加するリスクを常に意識し、リスクマネジメント体制を構築するとともに、変化に適合すべく、そのリスクマネジメント体制自体の継続的な見直しを行い、確実な運用を行う。

-財務体制の強化とグローバル資金の有効活用及び管理の強化を推進し、財務基盤を強化するとともに、「資本コストや株価を意識した経営」に対する取組を推進する。

-変化するリスクに対応した規程体系の整備による法務基盤の強化、情報セキュリティ対策の強化を図る。

-透明・公正かつ迅速・果断な意思決定を行う仕組みとして、コーポレート・ガバナンスを強化する。

-新たな価値を創出し市場での競争力を維持・強化するため、データとデジタル技術を駆使した変革、デジタルトランスフォーメーション(DX)施策を推進する。

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、原則として当連結会計年度末現在において当社グループが評価・判断したものであります。

 

(1)ガバナンス、リスク管理

当社では、グループのサステナビリティ経営の推進及び支援を目的として、グループサステナビリティ委員会を設置しております(2020年12月設置)。グループサステナビリティ委員会は、社長を委員長とし、委員として執行役全員により構成されるとともに、その下部組織としてFSIサステナビリティ分科会が設置されております。

また、各リージョンには、リージョン担当執行役を委員長とするリージョンサステナビリティ委員会が設置され、グループ方針の展開、実行体制の構築・運営、施策の実行を行う体制となっております。

 

<取締役会>

取締役会は、グループサステナビリティ委員会からの審議依頼・報告を受け、当社グループ全体のサステナビリティ経営に係る方針・規程等の決定、目標の設定・推進計画等の決定、推進体制の決定を行うとともに、その活動状況を監視・監督することとしております。

2025年3月期には、グループサステナビリティ委員会から4回の審議依頼・報告を行い、経営における重要課題の一つとして、取締役会による監督・モニタリングを実施しました。取締役会における審議ではまず、フジシールグループとしてのマテリアリティの議論を行いました。9項目のマテリアリティ(重要課題)自体は変更せず、主幹責任部署等を明記するとともに、より長期的視点を見据えた内容に見直しました。さらに、サステナビリティに対する取り組みを強化している取引先との連携、温室効果ガス排出量削減の取組状況、外部評価機関から見た当社の強みや強化必要箇所の再認識等、サステナビリティへの取り組みを企業戦略の一つとして活用すべく、執行役全員で推進していくことを再確認しております。

 

<グループサステナビリティ委員会>

グループサステナビリティ委員会は、当社グループのサステナビリティ経営推進の中心として、基本方針等の検討・立案(マテリアリティ見直し含む)、取組計画及び結果、その他サステナビリティ関連事項の取締役会への付議・報告、サステナビリティ経営の進捗管理・モニタリング等を行うこととしております。

2025年3月期は、グループサステナビリティ委員会を計4回開催しました。委員会では、サステナビリティに対する取り組みを強化している取引先との連携を強化すべく、分科会がリストアップした重点サプライヤーの決定を行うとともに、SBTi(Science Based Targets initiative)による認証取得を受け、温室効果ガス排出削減目標の達成に向けた具体的なアクション及びロードマップの策定を推進しました。

 

<FSIサステナビリティ分科会>

FSIサステナビリティ分科会は、グループサステナビリティ委員会の審議・活動を支援すべく、基本方針等の原案作成・委員会への提案を行うとともに、リージョンサステナビリティ委員会と連携して、各施策・リージョンのKPIなどの進捗管理・監視、CO2削減や各種方針の運用等を行うこととしております。

2025年3月期においては、当分科会の体制強化を図るとともに、重点サプライヤーの特定を実施するなど、分科会を計12回実施いたしました。あわせて、ESG評価機関をはじめとする外部評価への対応にも注力し、情報開示の精度向上に取り組みました。また、外部評価機関から見た当社の強みや強化必要箇所の分析・検討も行っています。

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(2)戦略、指標及び目標

当社グループは、持続可能な社会実現に向け貢献していくことを9つのマテリアリティとして整理し、SDGs(Sustainable Development Goals)の目標もマテリアリティに対応させております。2020年に策定したマテリアリティは、社外取締役と共に毎年、社会からの要請に合致しているかを検討、マテリアリティの定性目標並びにKPIも見直しを行っております。

これらマテリアリティの特定プロセスは、以下5つのStepのとおりです。

① 重要項目のリストアップ:GRIを基に重要な項目を追加し、リストを作成。事務局で検討し、精査・追加の上、28項目を候補に設定。

② 重要項目の絞り込み:上記の28項目について、執行役を交え、また外部評価機関の重視するものも参照しながら、9項目に絞り込み。

③ 妥当性評価:9項目について、社外取締役に外部視点からの評価をもらう。

④ 目標・KPIの設定:取締役会において定性目標とKPIを定め、グループで推進。

⑤ 見直し:社会情勢などを鑑み、都度見直しを実施。

 

これらマテリアリティ(重要課題)に対し、より長期的な視点から取り組みを推進するために、それぞれのマテリアリティについて、改めて「ありたい姿・長期ビジョン」や「長期ビジョンを実現するためのKPI」の設定・再検討を進めています。2025年3月期において、9項目のマテリアリティ(重要課題)自体は変更せず、主幹責任部署等を明記するとともに、より長期的視点を見据えた内容に見直しました。

 

(なお、当社は、2020年8月に「統合報告書 2020」を発行いたしました。その後毎年、統合報告書の発行を継続し、当社ホームページで公開しております。当社グループのサステナビリティ経営及びマテリアリティについては、統合報告書「フジシールグループのマテリアリティ」をご参照ください。

https://www.fujiseal.com/jp/ir/library/integrated-report.html)

 

(3)人的資本・多様性に関する戦略、指標及び目標

<基本的な考え方>

当社は、2021年に刷新したビジョン「人と環境にやさしい価値を届ける」のもと、実現に向けた軸として「ワクワクを創る会社」を掲げ、人的資本経営・人財戦略の軸としております。各種ステークホルダーとの接点となる「人財」を最も重要なリソースとして位置付け、価値観を共有する従業員の成長こそが、企業の持続的な成長の根源であると考えております。

また、当社グループのスローガン:「創造を〈夢〉と呼ぶ。創造へのチャレンジを〈勇気〉と呼ぶ。創造のぶつかりあいを〈信頼〉と呼ぶ。」において、チャレンジする企業文化創出の重要性を強調しており、従業員一人ひとりが、情熱とワクワク感を持って仕事に取り組むとともに、継続的な創造と挑戦によって成長を実現するための仕組みを拡充すべく、「人的資本の充実」・「価値観の共有」・「多様性の尊重」を人財戦略における3つの原則として策定し、取り組みを推進しております。

 

<人的資本の充実>

当社では、将来の幹部候補となり得る人財を選抜し、重点的に育成しています。

次世代経営者創出プログラムでは、選抜メンバーが、経営層に向けてグループ共通の経営課題に対する解決策を提案し、熱い議論を行う場を提供しております。近年は特に、グループ人財の育成という視点での取り組みに力を入れており、2022年よりベルギーにあるビジネススクールの専門チームと共同で、経営幹部に求める必要なスキルチャートをベースとした、リーダーシップ・プログラムを継続して実施しています。

この他、広く従業員に対しては、1年に1回、自分のやりたい仕事などを書いて、上司ではなく人事部門に直接提出する自己申告制度を長年にわたり続けており、従業員一人ひとりのキャリア形成の確認や働きやすい環境づくりに活かしています。また、人財の積極的活用や社内の活性化を目的として、自ら手を挙げることができる社内公募制度を設けております。

 

<価値観の共有>

当社は、経営理念やバリューの理解浸透を目的としたバリューセミナー:「FSG Value Seminar」を企画、開催しております。

バリューセミナーでは、経営幹部自らが講師となり、経営理念やバリューについて自身の経験や気づきを語るとともに、参加者同士のグループ討議ではそれらを理解した上で、どう行動に移すかを話し合います。経営理念、バリューはグループ共通の価値観であり、従業員が意思決定を行う際の行動指針、自身の行動を顧みる際の軸となります。多国籍から成る従業員一人ひとりが当社グループの経営理念、バリューに従って行動しミッションを達成できるよう、全リージョンでバリューセミナーを実施・継続しております。

2025年3月期には、当社の倫理綱領を基にしたグループ共通のコンプライアンス研修プログラムを実施しました。また、グローバル従業員を対象としたエンゲージメント調査を実施し、FSG.30達成に向けた組織のパフォーマンス向上施策の立案・実施を継続して行ってきました。

 

<多様性の尊重:ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(DE&I)>

これまで当社が培ってきた従業員の知識、専門性、能力、技能経験など多様な価値観や背景を持つ人々の「創造のぶつかりあい」から生まれた価値観を、持続的成長に必要な経営戦略の1つとして取り纏め、2022年12月に「グループダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(DE&I)方針」を制定しました。

また、すべての従業員が経営資源と機会を公平に利用できる企業文化とインクルーシブな環境を整えることを目的に、DE&I委員会を設立しました。2025年3月期には委員長である人事担当執行役のもと4回開催し、DE&I方針に定義された項目に対して、地域ごとの現状を評価し課題抽出、改善策から目標設定を行い、地域のマネジメントチームと協力しながら、各地域に最適な施策を立案し活動を行いました。

 

<人的資本・多様性に関する指標及び目標>

FSG.30で掲げる目標の達成には、多様かつ優秀な人財が必要不可欠です。当社グループの有する強みを産み出す源泉である人財は、最も重要な経営資源です。

当社グループでは、以上のような人的資本経営・人財戦略を推進するにあたり、連結グループ全体の目標を下記の通り定めました。

 

FSG.30 指標

2030年度 目標値

グループキーポジション後継者充足率

80

エンゲージメントスコアが向上した組織割合

50%(2024年度比)

 

また、当社及び国内グループ会社(注)(日本セグメント)を対象として、女性活躍に関する行動計画(計画期間:2022年4月1日~2025年3月31日)を策定し、「女性管理職の割合」、「男女育児休業取得率」、「本社及び主要事業所勤務者の在宅勤務率」の目標(2025年3月期)を掲げ、取り組みを推進してきました。

目標の最終年度となります当連結会計年度における実績は以下のとおりです。

 

指標

目標(2025年3月期)

実績(当連結会計年度)

女性管理職の割合

10以上

10.3

女性育児休業取得率

男性育児休業取得率

女性:100

男性:13

女性:100

男性:34.4

本社及び主要事業所勤務者の在宅勤務率

55

37.8

(注)国内グループ会社(株式会社フジシール・株式会社フジアステック・株式会社フジタックイースト・株式会社フジシールウエスト・株式会社フジシールビジネスアソシエ・取手ファーマ株式会社)

 

3【事業等のリスク】

当社グループは、2025年3月31日現在、当社、子会社27社(連結子会社)により構成されており、国内外において、食品、飲料及び日用品等のブランドオーナーを主要顧客として、シュリンクラベル、タックラベル及びソフトパウチを中心としたパッケージングシステムの企画、提案、開発、製造及び販売等の事業展開をしております。また、米州、欧州及びアセアン諸国にも現地生産の関係会社を有し、海外の現地メーカーとも直接取引を行っております。

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであり、当社グループに係るすべてのリスクを網羅したものではありません。

 

(1)海洋プラスチック問題・気候変動問題をはじめとする環境問題について

当社グループは、気候変動問題、海洋プラスチック問題(生物多様性の保全)、資源枯渇を主要な環境課題と捉え、これらの課題解決・循環型社会の実現に向け、環境配慮型製品の開発・供給、製造時の環境負荷低減に取り組んでおりますが、世界的な環境意識の高まりによる、新たな規制への対応コスト増加や、規制当局・顧客・投資家等の執行方針の変更への対応の遅れが招く評判低下により、当社業績及び財政状態に影響が生じる可能性を認識しております。

特に、世界各国ではこれら環境課題への解決策として、炭素税の導入やプラスチック製包装税、資源循環戦略に関連する具体的な法律が検討・制定されており、それらへの当社の対応策として、製造時の資源(原料・エネルギー)の利用削減や廃棄物削減に加え、容器の3R(リデュース・リユース・リサイクル)支援、包材の薄肉化及びそれらに対応した機械の提供、省エネ機械の展開、植物・再生素材使用製品の供給、水性インキの使用、効率的な輸送方式の開発・展開等をかねてより行ってまいりました。さらには、米州市場を基点として欧州やアセアンへ展開中のボトルにリサイクル可能なシュリンクラベルであるRecShrink™をはじめとした再生可能設計包材の展開及び包材のリサイクル取り組みを通じて、限りある資源を有効利用することで海への包材投棄を防ぐとともにGHG排出量(Scope1+2及び3)を削減し、今後高まる環境配慮型製品の需要に応えることで、事業の機会に変えてまいります。

 

(2)原材料の市況変動及び調達について

当社グループの製品に使用される原材料の市場価格は、世界景気や需給バランス、為替変動等の影響を受け、急激に原材料価格が高騰した場合には原材料コストの上昇に繋がる可能性があり、また急激に需要が増加したり、供給がひっ迫した場合には当社グループからお客様への製品供給に支障をきたす可能性があります。これらの発生によって、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

当社グループは、原材料価格の上昇に対して、原価低減施策を行うと同時に、売上総利益の最大化に努めております。また、複数のサプライヤー及びビジネスパートナーとの間で構築した強い関係に基づき、安定した原材料調達、製品供給に努めております。

 

(3)事故や自然災害等について

当社グループは、火災等の事故あるいは大地震や水害等の自然災害又は感染症・伝染病災害等の発生に伴う従業員・地域住民の健康・安全や生産面・営業面等における損害を最小限にするため、予防や発生時の対応に対する体制づくりなど対策を講じておりますが、これらの発生によって、当社グループの生産拠点等の設備又は従業員が被害を被った場合、また、当社取引先が被害を被り、当社グループの操業の一部が中断し、生産及び出荷が遅延することによる売上の低下や、生産拠点等の修復のための費用を要することとなった場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

その他、犯罪、暴動、テロ活動・戦争の発生及び大規模停電等、当社グループの仕入並びに生産活動に影響する何らかの事象が発生した場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)情報の流出等について

当社グループは、お客様のパッケージングシステムの企画や開発に取り組み、お客様の新製品等の情報を保有することがあります。当社グループはこれらの情報の秘密保持に細心の注意を払っており、情報の流出が生じないように最大限の対策を講じておりますが、不正アクセスやサイバー攻撃により情報が外部流出したり、当社グループの社員や業務の委託会社等が得意先より受け取った情報を漏洩もしくは誤用した場合には、企業としての信頼やイメージに悪影響を受け、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(5)製品クレームについて

当社グループは、日本、米州、欧州及びアセアン諸国で現地生産体制を有し、品質管理体制のもと最適な品質を確保できるようグループ全体を挙げて取り組んでおりますが、予期せぬ事情によりお客様の製品にまで影響を与えるクレーム等の品質問題が発生した場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)知的財産権について

当社は、当社グループ全体のシュリンクラベル等のラベル、ソフトパウチ等のフレキシブルパッケージ及び包装関連機器に関する技術・ノウハウについて特許権、実用新案権等を所有し、また出願・登録を行っております。また、第三者の知的財産権を侵害しないよう調査し、社内のチェック体制の強化にも努めております。

従来より、当社の知的財産をはじめとした社内機密情報が漏洩することのないよう、情報管理を徹底しております。

なお、今後、知的財産権の侵害を理由とする訴訟やクレームが提起された場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)グローバルな事業展開について

グローバルな事業展開にあたっては、現地の政情や経済、文化や慣習など調査・検討を行っておりますが、これらの国及び地域において、事業や投資に係る許認可、税制、通商制限、及び移転価格税制等の国際税務リスク又は政治・経済、その他の要因による社会的混乱並びに予期せぬカントリーリスク等が顕在化した場合には、当社グループの事業活動等に影響を及ぼし、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)法的規制等について

当社グループは、法令の遵守を基本として事業を進めておりますが、国内・海外を問わず競争法・腐敗行為防止法・人権や労働関係法・安全規則関連法・環境規制関連法・税法などさまざまな法的規制等を受けております。これらの法的規制等が改正及び強化された場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度における当社グループを取り巻く環境は、米州におけるインフレの鎮静化や国内景気の緩やかな回復がみられた一方、グローバルでの地政学的な緊張状態が継続し、当社グループを取り巻く経営環境は不透明な状況で推移いたしました。このような環境のなかで引き続き、当社グループでは「包んで価値を 日々新たなこころで 創造します。」を経営理念に掲げ、お客様と共に成長することにより、企業価値の向上を図っております。また「人と環境にやさしい価値を届ける」ことを引き続き、わたしたちのビジョンに据え、お客様、従業員、取引先、株主、社会をはじめとするすべてのステークホルダーとともに、企業価値を向上し続けることを目指しております。

この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

 

(財政状態)

当連結会計年度末における総資産は2,098億22百万円となり、前連結会計年度末と比べ171億38百万円の増加となりました。これは、現金及び預金が115億87百万円増加したこと、受取手形及び売掛金(電子記録債権を含む)が21億9百万円増加したこと、棚卸資産が22億68百万円増加したこと、有形固定資産が23億23百万円増加したことなどによるものであります。

負債合計は645億53百万円で、前連結会計年度末と比べ40億11百万円の増加となりました。これは、借入金が29億13百万円増加したこと、支払手形及び買掛金(電子記録債務を含む)が12億16百万円減少したことなどによるものであります。

純資産合計は1,452億69百万円で、前連結会計年度末と比べ131億27百万円の増加となりました。これは、利益剰余金が81億98百万円増加したこと、自己株式取得及び処分により16億74百万円減少したこと、為替換算調整勘定が66億41百万円増加したことなどによるものであります。

 

(経営成績)

当連結会計年度における経営成績は、売上高2,123億45百万円(前期比8.0%増)、営業利益188億44百万円(前期比41.6%増)、経常利益183億23百万円(前期比24.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益121億99百万円(前期比18.7%増)となりました。

(単位:百万円)

 

2024年3月期

(前期)

2025年3月期

(当期)

増減率

売上高

196,624

212,345

8.0%

営業利益

13,309

18,844

41.6%

経常利益

14,732

18,323

24.4%

親会社株主に帰属する当期純利益

10,277

12,199

18.7%

 

 

 

 

米ドル平均為替レート(円)

140.67

151.69

7.8%

ユーロ平均為替レート(円)

152.11

164.05

7.8%

 

セグメントごとの経営成績は、以下のとおりであります。

なお、品目別区分について、当連結会計年度より日本セグメントの「シュリンクラベル」事業に含めていた一部を「その他」事業に変更しております。以下の前期比較については、前期の数値を変更後の品目別区分に組替えた数値で比較分析しております。

 

(日本)

シュリンクラベルは売上高483億24百万円(前期比3.1%増)、タックラベルは売上高85億14百万円(前期比1.7%増)、ソフトパウチは売上高228億58百万円(前期比11.1%増)、機械は売上高68億58百万円(前期比3.2%増)、その他は売上高159億88百万円(前期比2.5%減)となりました。

その結果、日本全体の売上高は1,025億45百万円(前期比3.7%増)、損益面は営業利益98億92百万円(前期比12.7%増)となりました。

 

(米州)

シュリンクラベルは売上高550億23百万円(前期比16.3%増、現地通貨ベース7.9%増)、タックラベルは売上高28億96百万円(前期比55.3%増、現地通貨ベース44.0%増)、ソフトパウチは売上高79百万円(前期比67.7%減、現地通貨ベース70.0%減)、機械は売上高81億76百万円(前期比11.5%増、現地通貨ベース3.4%増)となりました。

その結果、米州全体の売上高は661億76百万円(前期比14.3%増、現地通貨ベース6.0%増)、損益面は営業利益64億89百万円(前期比92.7%増、現地通貨ベース78.7%増)となりました。

 

(欧州)

シュリンクラベルは売上高177億70百万円(前期比6.4%増、現地通貨ベース1.3%減)、タックラベルは売上高56億95百万円(前期比1.5%増、現地通貨ベース5.9%減)、機械は売上高112億56百万円(前期比27.4%増、現地通貨ベース18.1%増)となりました。

その結果、欧州全体の売上高は347億21百万円(前期比11.5%増、現地通貨ベース3.4%増)、損益面は営業利益21億32百万円(前期比166.0%増、現地通貨ベース146.6%増)となりました。

 

(アセアン)

シュリンクラベルは売上高101億18百万円(前期比15.2%増、現地通貨ベース6.8%増)、タックラベルは売上高82百万円(前期比56.0%減、現地通貨ベース59.2%減)、ソフトパウチは売上高84億78百万円(前期比1.3%増、現地通貨ベース6.1%減)、機械は売上高8億13百万円(前期比20.0%増、現地通貨ベース11.3%増)、その他は売上高49百万円(前期比28.8%減、現地通貨ベース34.0%減)となりました。

その結果、アセアン全体の売上高は195億41百万円(前期比8.0%増、現地通貨ベース0.2%増)、損益面は営業利益9億37百万円(前期比94.2%増、現地通貨ベース80.1%増)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ62億63百万円増加し290億51百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、213億39百万円の収入(前連結会計年度は199億30百万円の収入)となりました。これは税金等調整前当期純利益178億70百万円、減価償却費87億50百万円などの計上、仕入債務の減少額19億円、法人税等の支払額48億65百万円などによる支出によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、124億59百万円の支出(前連結会計年度は105億68百万円の支出)となりました。これは、定期預金の預入による支出62億52百万円、有形固定資産の取得による支出66億48百万円などによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、34億17百万円の支出(前連結会計年度は43億38百万円の支出)となりました。これは、借入金の純増額27億3百万円、自己株式の取得による支出19億22百万円、配当金の支払額40億円などによるものであります。

なお、当社グループのキャッシュ・フロー指標のトレンドは次のとおりであります。

 

前連結会計年度

(2024年3月31日)

当連結会計年度

(2025年3月31日)

自己資本比率(%)

68.6

69.2

時価ベースの自己資本比率(%)

58.4

66.8

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)

0.4

0.5

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

50.2

116.5

・自己資本比率:自己資本/総資産

・時価ベ-スの自己資本比率:株式時価総額/総資産

・キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー

・インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い

(注)1.いずれも連結ベ-スの財務数値により計算しております。

2.株式時価総額は、自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。

3.キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しております。

4.有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っているすべての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

(生産実績及び受注実績)

当社グループの生産・販売品目は多種多様であり、同種の製品であっても、その容量等が一様ではなく、また単一事業であるため、報告セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。

ただし、機械の販売に関して、残存履行義務に配分した取引価格については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (収益認識関係)3(2)残存履行義務に配分した取引価格」に記載しております。

 

(販売実績)

当連結会計年度の報告セグメントの売上高を品目別に示すと、次のとおりであります。

(単位:百万円)

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

前期比

日 本

シュリンクラベル

48,324

103.1%

 

タックラベル

8,514

101.7%

 

ソフトパウチ

22,858

111.1%

 

機械

6,858

103.2%

 

その他

15,988

97.5%

 

日本合計

102,545

103.7%

米 州

シュリンクラベル

55,023

116.3%

 

タックラベル

2,896

155.3%

 

ソフトパウチ

79

32.3%

 

機械

8,176

111.5%

 

米州合計

66,176

114.3%

欧 州

シュリンクラベル

17,770

106.4%

 

タックラベル

5,695

101.5%

 

機械

11,256

127.4%

 

欧州合計

34,721

111.5%

アセアン

シュリンクラベル

10,118

115.2%

 

タックラベル

82

44.0%

 

ソフトパウチ

8,478

101.3%

 

機械

813

120.0%

 

その他

49

71.2%

 

アセアン合計

19,541

108.0%

セグメント間取引消去

△10,639

合計

212,345

108.0%

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要な事項につきましては、合理的な基準に基づき会計上の見積りを行っております。なお、見積り及び判断・評価につきましては、過去実績や状況に応じて合理的と考えられる要因等に基づき行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は異なる場合があります。

連結財務諸表作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

② 経営成績等に重要な影響を与える要因について

当社グループの経営成績等に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

③ 資本の財源及び資金の流動性

当社グループの事業活動の維持拡大に必要な資金(設備投資・研究開発・人財育成に関わる費用を含む)の財源につきましては、主に営業活動によるキャッシュ・フローから得られる自己資金及び金融機関からの短期借入金にて充当しております。

また、大規模な設備投資並びにM&Aなどの事業投資の長期資金需要につきましては、資金需要が発生した時点で自己資金、金融機関からの長期借入金及び社債発行など、金利等のコストの最小化を図れるような調達方法を検討し対応しております。そのための取り組みの一環として、毎年第三者機関による格付を取得しております。

当連結会計年度末の格付の状況は以下のとおりであります。

格付機関

格付

格付の方向性

株式会社格付投資情報センター(R&I)

A

安定的

なお、配当に関する考え方は、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」に記載しております。

その結果、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は、103億59百万円で、主に金融機関からの借入となっております。

また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は290億51百万円であります。

 

④ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、変化に合わせて適切な意思決定をおこない、継続して成長していくため、2030年までの7年間を一つの節目ととらえ、FSG.30=Fuji Seal Sustainable Growth 2030 Strategyを策定いたしました。FSG.30では、2031年3月期の連結経営目標として、売上高3,500億円以上、営業利益率2桁%の達成を目指しており、2025年3月期はその初年度となりました。2年目を迎える2026年3月期においても、FSG.30目標実現に向けた各種取組を継続いたします。

 

<KPI目標値>

 

2031年3月期目標値

売上高

3,500億円以上

営業利益率

2桁%

ROE

2桁%

PBR

1.5倍以上

株主還元

連結配当性向30%

グループキーポジション後継者充足率

80%以上

 

⑤ 2026年3月期の見通し

2026年3月期は、依然として景気の動向を見通しにくい状況が続くものと予想されます。米国関税政策による当社業績への波及影響については、現時点では与える影響は少ないと考えており、2026年3月期の業績見通しに当該影響を含めておりません。但し、原料コストの動向やサプライチェーン等の観点を含め、常に最新情報を収集、分析し、リスクを注視した結果、影響を反映させる必要が生じた場合には、速やかにお知らせさせていただきます。

 

このような経済環境下、当社は2031年3月期までの持続的な成長を目指す3つの基本戦略で設定した3つの重点課題、①既存4事業の着実な強化、②製品マーケット・ターゲットエリアの拡大、③次世代に繋がる新たなビジネスモデルの創造の各種施策に取り組むことで、持続的な企業価値の向上に取り組んでまいります。

これらの取り組みにより、2026年3月期の連結業績(通期)予想につきましては、下表のとおり、連結売上高は前期比1.7%増の2,160億円を見込んでおります。また損益面では、営業利益194億円(前期比3.0%増)、経常利益197億円(前期比7.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益173億円(前期比41.8%増)を見込んでおります。2026年3月期においては、2023年2月9日開示の「海外子会社の解散及び清算に関するお知らせ」でご報告させていただいたFuji Seal Switzerland AGの清算手続きが完了し、当期純利益において一時的な影響が発生する見込みです。

(単位:百万円)

 

2025年3月期

2026年3月期
(予想)

増減率

売上高

212,345

216,000

1.7%

営業利益

18,844

19,400

3.0%

経常利益

18,323

19,700

7.5%

親会社株主に帰属する当期純利益

12,199

17,300

41.8%

 

 

 

 

米ドル平均為替レート(円)

151.69

145.00

△4.4%

ユーロ平均為替レート(円)

164.05

155.00

△5.5%

 

なお、セグメント別の業績予想は以下のとおりであります。

(単位:百万円)

 

売上高

営業利益

 

2025年3月期

2026年3月期

(予想)

増減率

2025年3月期

2026年3月期

(予想)

増減率

日本

102,545

105,400

2.8%

9,892

10,000

1.1%

米州

66,176

65,900

△0.4%

6,489

6,500

0.2%

欧州

34,721

36,300

4.5%

2,132

2,400

12.5%

アセアン

19,541

20,000

2.3%

937

1,100

17.3%

消去又は全社

△10,639

△11,600

△608

△600

連結合計

212,345

216,000

1.7%

18,844

19,400

3.0%

 

 

5【重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

当社グループは、「包んで価値を 日々新たなこころで 創造します。」を経営理念に掲げ、パッケージングを通じ、すべての人が笑顔で安心して暮らせる循環型社会・持続的社会の実現に貢献することで、企業価値の向上を図ってまいります。グループ内連携を強化しており、技術やマーケットの情報交換を通じて、品質及び生産性の向上、新製品の開発と新市場の開拓に努めております。国内外において、外部企業との共同研究を進めることにより、各地域での開発スピードの向上にも注力しております。

研究開発活動は、当社の開発担当が中心となって営業部門から顧客ニーズを把握し、その他製造や購買部及び関係会社が一体となって、新製品、新技術、新素材の開発を行うとともに、オープン・イノベーションにも取り組んでおります。

当連結会計年度における研究開発費の総額は2,603百万円であり、当連結会計年度における研究開発活動の一例としては次のものがあります。なお当社グループの研究開発活動については、グループ一体となって取り組んでおり、セグメント別の金額情報に重要性はないため、セグメント別には記載しておりません。

(1)環境配慮型製品(リサイクル可能なラベルやソフトパウチ、チューブ容器、ライナーレスタックラベル、植物由来ラベルやインキ、薄膜ラベル、低比重ラベル、減容化・減量化製品)及び装着機械・納品システムの開発

(2)省エネルギー、省スペース、省人化対応設備(ラベラー、シュリンクトンネルなど)の開発

(3)人にやさしいパッケージ(抗菌ラベル、簡易開封シュリンクラベル、剥がしやすいタックラベル、廃棄しやすいパッケージ)の開発

(4)機能付加(容器・中身を守る機能、リクローズ機能、商品加飾、遮光・断熱機能、デジタルを活用した個体識別技術等)の開発

(5)生産効率向上・改善の工法開発等

 

今後もパッケージを通じて、環境課題や社会課題の解決に貢献できるよう、人と環境にやさしいパッケージ・システムの研究開発の取り組みを一層強化してまいります。