第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループは、良質で魅力ある専門コンテンツをベースに、デジタル技術を活用した次世代パブリッシングモデルを実現、それらの活動を通して、知恵と感動のある豊かな社会の実現に貢献していきたいと考えております。

IT・音楽・デザイン・山岳自然・モバイルサービス等の専門分野ごとの個性的なメディアブランドによる雑誌・書籍等の出版を中心に、電子出版、Webメディア、SNS、イベント・セミナー等、「紙・デジタル・リアル」の多面的な展開により、読者やユーザーに対し「実体験に基づいた、臨場感ある魅力的なコンテンツ」を届け、共通体験の場を増やしていくことを目指します。

また、これまで培ってきたパブリッシングモデルやメディア技術、マーケティング手法をコンテンツパートナーに提供するプラットフォーム事業を展開することで、ユーザーとの「知恵と感動の共有の輪」を広げていきます。

これらのビジョン実現のため、専門分野ごとの比較的小規模の事業会社と、財務・経営管理及びインキュベーション機能を集約した持株会社によるグループ経営によって、個々の事業会社の魅力とともに、相互連携によるグループ全体の企業価値を高めてまいります。

 

(2) 目標とする経営指標

当社グループは、安定的な収益力の確保と成長基盤の構築に取組み、連結営業利益及び営業キャッシュ・フローの着実な拡大を目標としております。

 

(3) 経営環境

当連結会計年度の経済情勢は、米中貿易摩擦や米国の利上げ等懸念材料はあったものの、トランプ政権による財政支出の拡大や減税政策等により、米国を主導として世界経済は拡大基調が続きました。一方で日本経済は、豪雨や地震等の自然災害により、消費者マインド悪化による個人消費の低下や、生産停止及び流通網の寸断による生産及び輸出の伸び悩みはあったものの、好調な世界経済に支えられ影響は限定的となりました。

 

一方、当社グループを取り巻く出版業界におきましては、電子出版市場は2014年の2倍の市場規模となる等順調に拡大を続けてはいるものの、雑誌販売の大幅減少を中心とした紙の出版物販売額は14年連続で減少、加えてドライバー不足等による輸配送問題が深刻化し、大変厳しい事業環境となっております。

 

(4) 経営戦略及び対処すべき課題

当社グループは、出版事業を中心としたコンテンツ事業において堅実かつ着実な利益成長により安定した収益基盤を確保するとともに、中期的な視野で新しい収益及び事業モデルの創出に取り組むことで事業ポートフォリオの構造転換を進め、新たな成長基盤を構築することを中期経営課題として掲げております。

 

このような中、当連結会計年度の状況といたしましては、国内外における受託制作等のソリューション事業は減収となったものの、出版・電子出版、ネットメディア・サービス、ターゲットメディアの主要なコンテンツ事業の増収に加えて、強化事業領域であるプラットフォーム事業の成長により、連結売上高は4期連続の増収と、目標に対して一定の成果がありました。

 

しかしながら、メディア環境の変化により、出版業界を取り巻く環境は厳しい状況が続いており、事業ポートフォリオの構造転換に向けた一層の取り組み強化が必要であることを認識し、次に記載いたします課題に取り組んでまいります。

 

 

① コンテンツ事業の競争力及び収益力の強化

各専門分野において、専門コンテンツとしての競争力強化と隣接分野への拡大を進め、付加価値の高いコンテンツ資産の創出に努めるとともに、出版・ネットメディア・リアルな場(イベント・セミナー等)といった多面的にプロデュースする取り組みを強化することで、コンテンツ事業の競争力を高めてまいります。

また、出版事業における販売・流通環境の変化を踏まえ、編集・製造における生産性の向上及びコスト最適化、販売チャネル及び販売手法の開発、物流効率の改善に取り組み、収益力の向上を図ります。

 

② コンテンツ事業の資産を活用した事業モデルの開発

出版業界を取り巻く環境は厳しい状況が続いており、特に雑誌ブランドに関連したファン(読者)や業界(クライアント)に向けて、新たな価値を創造していくことが重要な課題であると認識しております。

このような状況を受け、各専門分野のファンに向けた多面的なメディアプロデュースとコンテンツ事業の資産を効果的に活用した付加価値の高い会員サービスの創出により、会員基盤をベースとした(ファン)コミュニティーの構築及びエンゲージメントを高める取り組みを強化いたします。

 

③ プラットフォーム事業の拡大

同事業は、コンテンツホルダー向けにマーケティングプラットフォームの提供を行う事業として定義し、コンテンツ事業とは異なる新たな収益モデルで構成する強化事業領域と位置づけております。

大手出版社向けにマンガ雑誌アプリの企画開発・運営等を行う電子コミックプラットフォーム事業、楽器売買のマーケットプレイス「デジマート」等の既存サービスの順調な拡大に加えて、投資フェーズにあったPOD出版のプラットフォームサービスが事業化の段階にステージアップし、柱となる事業が拡充しております。

当連結会計年度において、事業規模20億の節目を達成した状況を受け、各サービスの拡大に向けて、リソース投入を強め、事業の成長スピードの向上を図ります。

 

 

2 【事業等のリスク】

当社及び当社グループの事業上のリスクについて、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また、必ずしもそのようなリスクに該当しない事項についても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資者に対する情報開示の観点から以下に開示しております。なお、当社は、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める所存であります。本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は本有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。

 

(1) 経営体制及び事業内容について

① 分社経営方針について

当社グループは、グループ各社が事業の独自性を活かし、顧客ニーズにあった製商品を機動的に提供していくことで、各社及びグループ全体の企業価値の増大を図る分社経営方針をとっております。また、持株会社である当社の経営監視機能を強化、機動的なグループ経営・再編及び資本提携を行いやすい体制を構築し、企業価値の増大に努めます。

② 事業内容と特徴について

当社グループは、IT、音楽、デザイン、山岳・自然、モバイルサービス等の専門分野で構成されたメディアグループであり、それぞれの分野でコンテンツ事業、プラットフォーム事業を行っております。

コンテンツ事業は、メディア&サービス事業とソリューション事業の2つの区分に大別した上で、メディア&サービス事業はさらに、各専門分野において書籍、雑誌、ムック(不定期刊行物)及び電子書籍等の販売と広告収入の「出版・電子出版」、ニュースメディアや専門メディアの広告収入及び関連イベント等のサービスを展開する「ネットメディア・サービス」、リードジェネレーション(見込顧客の獲得)をベースとしたWebメディア、調査報告書、ならびにイベント・セミナー等により専門的な情報を提供を行う「ターゲットメディア」の3つを展開しております。ソリューション事業では、国内及び海外市場向けのセールスプロモーションツールの制作受託、企業・自治体向けソリューション等を展開しております。

プラットフォーム事業では、コンテンツホルダーとの協業による「電子コミックプラットフォームの開発・運営」、プロモーションや流通販売機能を提供する「ECプラットフォームの開発・運営」、著者向けPOD出版プラットフォームサービスやパートナー出版社へ物流・販売管理支援を行う「出版流通プラットフォーム」の3つを展開しております。

 

(2) 業界慣行及び法規制について

① 再販売価格維持制度について

当社グループが制作、販売する出版物については、「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律」(独占禁止法)第23条の規定により、再販売価格維持制度(再販制度)が認められております。これは、出版物が我が国の文化の振興と普及に重要な役割を果たしていることから、同法の適用除外規定により例外的に認められているものであります。したがって、出版物は書店においては定価販売が行われております。また、当社グループは取次との取引価格の決定は、定価に対する掛け率によっております。

この再販制度について、公正取引委員会は2001年3月23日に「著作物再販制度の取扱いについて」を発表しており、当面、再販制度は存置される見通しでありますが、一方で業界に対して同制度下における消費者利益のための弾力的な運用を要請していくことを公表しております。

当社グループにつきましては、多様化する顧客ニーズへ対応するため「クロスメディア化」を主要課題としており、電子書籍での製品提供やオンライン直販を含む従来の出版流通チャネル以外での製品販売等に取組んでおりますが、当該制度が廃止された場合には、出版競争の激化等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 委託販売制度について

当社グループは、出版業界の慣行に従い、原則として当社が取次経由で書店に配本した出版物(書籍、雑誌)については、配本後、約定期間(委託期間)内に限り、返品を受け入れることを販売条件とする委託販売制度を採用しております。

当社グループの書籍は、次の委託方法となっております。

新刊委託…主として新刊時の書籍が対象とされ、委託期間は通常5ヶ月であります。

また、雑誌の委託期間は以下の通りであります。

月刊誌…発売日より3ヶ月

当社グループは、返品による損失に備えるため、会計上、返品調整引当金を計上しております。また、返品抑制のため、販売予測の精査による製造・出荷部数の適正化、マーケティングデータに基づいた書店への配本調整等行っておりますが、返品率の変動は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 市場環境について

① 出版業界の市場環境について
(公社)全国出版協会・出版科学研究所の「2019年版出版指標年報」によれば、2018年の電子出版市場は2014年の2倍の市場規模となる等順調に拡大を続けてはいるものの、雑誌販売の大幅減少を中心とした紙の出版物販売額は前期比5.7%減と14年連続で減少、加えてドライバー不足等による輸配送問題が深刻化し、大変厳しい事業環境となっております。

デジタルネットワークの発展に伴う情報メディアの多様化、顧客ニーズの細分化等も要因の一つにあげられております。また、市場が縮小傾向にある中、特に販売好調な分野における同業他社との競争は激しくなる傾向にあり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

② 広告市場の市場環境について

広告市場は、景気変動の影響を大きく受けると考えられております。

当社グループの2019年3月期の売上高に占める広告収入の比率は18%を占め、コンテンツ事業の利益の大きな変動要素であり、景気の悪化が業績に影響を及ぼす可能性があります。

また、インターネット広告はインターネットの普及、インターネット技術の進歩等を背景に順調に成長してまいりました。当社グループといたしましては、今後もこの傾向が持続するものと考えておりますが、スマートフォンやタブレット端末の普及等の影響により広告市場が大きく変化しており、見込みどおり推移するという保証はありません。

③ 原材料市況の変化について

当社グループは、出版物製造において用紙等を主要な原材料としております。当社グループといたしましては、複数の取引先からの調達を行うことで、安定的な供給量の確保とコストコントロールを行っておりますが、原油等の商品市況等の変化により、原材料価格が高騰した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 知的財産権について

当社グループは提供する製品・サービスについて商標権を取得しております。また、他者の知的財産権の侵害を防止するため、社内での教育、研修の実施に加え、編集部門におけるチェック体制を整備しておりますが、特許権、実用新案権、商標権、著作権等の知的財産権が、当社グループの事業にどのように適用されるか想定するのは困難であり、第三者の知的財産権を侵害した場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 特定取引先への依存度について

当社グループのコンテンツ事業において、取次・楽器問屋等の従来の出版流通チャネルへの販売依存度は高く、その中でも2019年3月期における大手取次2社(日本出版販売㈱、㈱トーハン)への依存度は31%程度と高い比率であり、両社の経営方針に大きな変更等があった場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(6) 通信ネットワーク、インターネットサービス等のシステムトラブルについて

当社グループは、コンテンツの編集及びサービスの提供、取引・顧客データを管理するバックオフィス等のあらゆる業務において、情報システム及び通信ネットワーク等のインフラに依存しております。そのため、これらインフラに障害が発生した場合には、顧客からの信頼性低下等の事態を招き、当社の事業に重大な支障が生じる可能性があります。当社グループといたしましては、下記の事項を始めとする様々な要因に対処するための技術的な対応措置、モニタリング体制、社内運用マニュアルの整備等を行っておりますが、トラブルの発生を事前に完全に防止することは不可能であり、トラブル発生の場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

・ハードウェア及びソフトウェアの不備

・外部からの不正な進入行為

・アクセスの急激な増大

・自然災害、停電

・人的ミス、怠業、破壊行為

・コンピュータウイルス

 

(7) 個人情報保護について

当社グループでは、オンライン直販等の顧客の会員登録情報/購入履歴をはじめ、読者サービスの向上のための会員組織にご登録頂いた会員情報等の各種個人情報をお預かりしております。当社グループといたしましては、外部からのハッキングに対する技術的な対応措置・モニタリング体制を整備、また社内からの情報漏洩防止のため社員への教育・訓練、管理方法の検討・実施、関連規程の整備等により、情報管理体制の強化を進めております。しかしながら、万一個人情報が流出した場合には、当社グループの信頼性が低下、賠償責任を問われる可能性があり、事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8) 投融資について

当社では、子会社及び関連会社に対する投融資の他に、当社グループの事業拡大のため、日本国内外のメディア関連企業等に投資を実施しております。

これら投融資は、投資の効果及びリスク等を慎重に検討した上で実施しておりますが、投資先企業が予想通りの業績や効果を生む保証はありません。よって、投資先企業の評価見直しに伴う損失、投資回収の遅延等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9) 資金調達について

当社は、持株会社としてグループ会社の事業資金の調達を担っており、複数の金融機関と取引を行っております。当社といたしましては、取引金融機関の確保、資金調達手段の多様化等により調達リスクを軽減するように努めておりますが、経済環境等の悪化による調達環境の変化、当社の信用力の著しい低下等があった場合には、当社グループの経営に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10) その他の事項について

 主要株主の影響力について

当社のファウンダー/最高相談役である塚本慶一郎と同氏が代表取締役を務める資産管理会社である㈲T&Co.及び同氏との間で管理信託契約を締結した㈱SMBC信託銀行の所有する株式で実質的に同氏が保有する株式は、当社の発行済株式数(自己株式を除く)の51%(2019年3月31日現在)に相当しております。同氏及び同社の当社株式の保有方針に変化等があった場合、当社グループの経営に影響を与える可能性があります。

 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 財政状態の状況
 ①事業全体及びセグメント情報に記載された区分ごとの状況
  a.事業全体の状況

当連結会計年度末の流動資産につきましては、売上高増加による受取手形及び売掛金の増加はあったものの、有利子負債の返済等により現金及び預金が減少したため、前連結会計年度末に比べ44百万円減少し10,340百万円となりました。固定資産につきましては、保有する投資有価証券の売却等により、前連結会計年度末に比べ191百万円減少し2,210百万円となりました。

流動負債につきましては、賞与引当金や返品調整引当金の増加はあったものの、有利子負債の返済等により、116百万円減少し3,442百万円となりました。固定負債につきましては、投資有価証券の売却及び時価下落による繰延税金負債の減少等により、前連結会計年度末に比べ139百万円減少し1,418百万円となりました。

純資産につきましては、保有する投資有価証券の売却及び時価下落によるその他有価証券評価差額金の減少はあったものの、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により、前連結会計年度末に比べ19百万円増加し7,690百万円となりました。

純資産から新株予約権及び非支配株主持分を引いた自己資本は7,689百万円となり、自己資本比率は61.3%と前連結会計年度末(59.8%)と比べ1.5ポイント増加しました。

 

   b.セグメント情報に記載された区分ごとの状況

(a)IT

当連結会計年度につきましては、増収による売掛金の増加や、その回収により増加した現金及び余剰資金の当社に対する短期貸付金が増加、また継続的な収益力の向上により繰延税金資産を追加計上したこと等により、当連結会計年度末のセグメント資産は、前連結会計年度末と比べて269百万円増加し、3,842百万円となりました。

 

(b)音楽

当連結会計年度につきましては、楽器マーケットプレイス「デジマート」における決済代行の拡大による未収入金の増加等により、当連結会計年度末のセグメント資産は、前連結会計年度末と比べて62百万円増加し、1,530百万円となりました。

音楽セグメントでは、減収となったものの収益性の改善や販売管理費の削減により支出を抑えられたことにより、前連結会計年度末と比べ資産が増加となりました。

また、楽器マーケットプレイス「デジマート」における取扱高は好調に推移しており、より良質なサービスの提供のため引き続き事業投資を行っております。

 

(c)デザイン

当連結会計年度につきましては、商品及び製品、仕掛品の減少等により、当連結会計年度末のセグメント資産は、前連結会計年度末と比べて33百万円減少し、455百万円となりました。

趣味・実用分野での新たな取り組みであった「スクラッチアート」シリーズは、製造工程や初期製造ロット及び配本施策において従来の出版物とは異なっていることも要因であります。

 

(d)山岳・自然

当連結会計年度につきましては、増収により受取手形及び売掛金が増加したこと等により、当連結会計年度末のセグメント資産は、前連結会計年度末と比べて100百万円増加し、1,076百万円となりました。

 

(e)モバイルサービス

当連結会計年度につきましては、増収による売掛金の増加や、その回収により増加した現金及び余剰資金の当社に対する短期貸付金が増加したこと等により、当連結会計年度末のセグメント資産は、前連結会計年度末と比べて100百万円増加し、815百万円となりました。

 

 

(f)その他

当連結会計年度につきましては、増収による受取手形及び売掛金の増加に加え、当連結会計年度において音楽セグメントからの事業移管や新たに連結の範囲に含めました㈱天夢人による影響により、当連結会計年度末のセグメント資産は、前連結会計年度末と比べて174百万円増加し、960百万円となりました。

 

(g)全社

当連結会計年度につきましては、満期保有目的債券の償還、投資有価証券の売却に加え、保有する投資有価証券の時価下落はあったものの有利子負債の返済等により現金及び預金の増加が限定的であったことと等により、当連結会計年度末のセグメント資産は、前連結会計年度末と比べて74百万円減少し、6,681百万円となりました。

 

(2)経営成績の状況

 ①事業全体及びセグメント情報に記載された区分ごとの状況

  a.事業全体の状況

当連結会計年度におきましては、大型季節商品である年賀状ムックの販売減少や、雑誌事業の減収、アジア市場向けSP(セールスプロモーション)の受託案件の減少はあったものの、書籍及び電子出版の販売増加、デジタル広告を中心としたネットメディア及びIT分野のビジネス向けイベント・セミナーの好調な推移等により、コンテンツ事業の売上高(連結消去前)は、前期(10,347百万円)に比べ5.9%増加し、10,955百万円となりました。
 また、プラットフォーム事業では、コンテンツホルダーとの協業による電子コミックプラットフォーム事業が好調に推移し、著者向けPOD(プリントオンデマンド)出版プラットフォーム事業の拡大や、楽器マーケットプレイス「デジマート」における楽器店からの決済サービス収入の増加等により、売上高(連結消去前)が前期(1,654百万円)に比べ22.4%増加し、2,025百万円となりました。
 これらの結果、売上高は前期(11,897百万円)に比べ7.9%(939百万円)増加し、12,837百万円となりました。営業損益は、人件費や地代家賃等の販売管理費の増加はあったものの、増収と収益性の改善により、前期(76百万円)に比べ131百万円増加し、208百万円の営業利益となりました。経常損益は、持分法による投資利益の計上等で、291百万円の経常利益となり、前期(171百万円)に比べ120百万円増加いたしました。親会社株主に帰属する当期純利益は、保有する投資有価証券の売却による投資有価証券売却益の計上額は前期と比べ半減したものの、前期に計上した投資有価証券評価損及び役員特別退職金の影響などにより、前期(437百万円)に比べ37百万円増加し、474百万円となりました。

 

当連結会計年度におきましては、中期経営課題に掲げておりました既存コンテンツ事業の競争力・収益力の強化により安定的な収益基盤を確保し、プラットフォーム事業の拡大や新たな成長基盤としての収益モデルの構築に取り組むことで事業ポートフォリオの構造転換に努めてまいりました。その結果、コンテンツ事業及びプラットフォーム事業のいずれにおいても増収を達成し、人材強化による人件費等の増加を増収と収益性の改善により吸収し、厳しい出事業環境下においても増益を達成しております。

また当社は、政策保有株式について「コーポレートガバナンス・コード」に記載の保有方針に従い売却を実行したことで、254百万円の投資有価証券売却益の特別利益を計上しております。

 

   b.セグメント情報に記載された区分ごとの状況

文中の事業セグメントの売上高は、セグメント間の内部振替高を含んでおり、セグメント利益は、営業利益をベースとしております。

なお、事業セグメント区分の変更はありませんが、当連結会計年度において事業区分を変更し、前連結会計年度については組替えを行っております。

 

 

 (a)IT

ITセグメントにつきましては、アジア市場向けSPの受託案件の減少や刊行点数の減少によるムック及び年賀状ムック等の販売減少等はあったものの、25周年を迎えたパソコン解説書のできるシリーズやビジネス関連書等の書籍販売が増加、主力のデジタル総合ニュースサービス「Impress Watch」(https://www.watch. impress.co.jp/)等の広告収入の増加や、プログラミング関連のイベントの開催に加え、ターゲットメディアと連携したビジネスセミナー等が好調に推移したこと等により、コンテンツ事業の売上高は、前期(5,221百万円)に比べ3.1%増加し、5,381百万円となりました。

また、パートナー出版社へ出版・電子出版の販売プラットフォームの提供を行うプラットフォーム事業につきましては、パートナー出版社にヒット作があったことで手数料収入が増加し、売上高は前期(132百万円)に比べ17.5%増加し、155百万円となりました。

 

以上により、「IT」の売上高は、前期(5,354百万円)比3.4%増5,537百万円となりました。セグメント利益では、増収と収益性の改善により、前期(54百万円)と比べ83百万円利益が増加し、138百万円となりました。

 

  (b)音楽

音楽セグメントにつきましては、既刊書籍及び電子出版の販売増加はあったものの、刊行点数の減少及び一部の書籍レーベルを「(f)その他」へ事業移管した影響等による書籍の販売減少、雑誌事業の減収等によりコンテンツ事業の売上高は、前期(1,709百万円)に比べ10.6%減少し、1,527百万円となりました。

また、プラットフォーム事業につきましては、楽器マーケットプレイス「デジマート」における楽器店からの決済サービス収入の増加等により、売上高は前期(252百万円)に比べ13.1%増加し、285百万円となりました。

 

以上により、「音楽」の売上高は、前期(1,961百万円)比7.6%減1,813百万円となりました。セグメント利益では、減収するも収益性の改善と販売管理費の削減により、前期(26百万円)と比べ11百万円利益が増加し、38百万円となりました。

 

 (c)デザイン

デザインセグメントにつきましては、ヒット作のあった前期と比べ既刊書籍の販売が減少、加えて雑誌の刊行を隔月化にした影響等により雑誌事業が減収となったものの、刊行点数の増加に加えて趣味・実用分野での新たな取り組みである「スクラッチアート」シリーズの出荷が好調であったこと等により新刊書籍及びムック販売が増加、またアイドルグループのイベントプロデュースなどにより、コンテンツ事業は増収となりました。

 

以上により、「デザイン」の売上高は、前期(891百万円)比1.5%増905百万円となりました。セグメント利益は、収益性は低下したものの増収と販売管理費の削減により、前期(11百万円)と比べ4百万円利益が増加し、15百万円となりました。

 

  (d)山岳・自然

山岳・自然セグメントにつきましては、出版広告の減収や大型季節商品であるカレンダーの刊行点数減少による販売減少等はあったものの、フィギュアスケートを扱ったムック本や過去のヒット作の続編及びスキー指導者向けの技術書シリーズなどの新刊書籍に加え、2018年7月に創刊1000号となった雑誌「山と溪谷」の販売が好調に推移したことにより、コンテンツ事業は増収となりました 。

 

以上により、「山岳・自然」の売上高は、前期(1,756百万円)比6.9%増1,878百万円となりました。セグメント利益では、増収と収益性の改善により、前期(60百万円)と比べ50百万円増加し、110百万円となりました。

 

 

  (e)モバイルサービス

モバイルサービスセグメントにつきましては、英語教材の販売やデジタルファーストの電子出版等の自社メディアの拡大により、コンテンツ事業の売上高は、前期(284百万円)に比べ9.8%増加し、311百万円となりました。

プラットフォーム事業につきましては、コンテンツホルダーとの協業による電子コミックプラットフォーム事業が拡大基調を維持し、売上高は前期(1,188百万円)に比べ21.7%増加し、1,446百万円となりました。

 

以上により、「モバイルサービス」の売上高は、前期(1,472百万円)比19.4%増1,758百万円となりました。セグメント利益では、増収と収益性の改善により、前期(154百万円)と比べ28百万円増加し、183百万円となりました。

 

  (f)その他

その他区分につきましては、当連結会計年度において音楽セグメントからImpress Business Development(同)へ事業移管した書籍レーベル「立東舎」や新たに連結の範囲に含めました㈱天夢人、当連結会計年度におきまして決算期変更を行ったことにより15ヶ月の損益を取込むこととなりました㈱近代科学社による売上高の増加や、著書向けPOD出版プラットフォームサービスへの登録者拡大等により、売上高は前期(600百万円)比86.6%増1,119百万円となりました。セグメント利益は、増収となったものの投資フェーズの事業が増加したことで販売管理費が増加し、前期(26百万円)と比べ32百万円減少し、5百万円の損失となりました。

 

  (g)全社

全社区分につきましては、純粋持株会社である当社と、グループの経営管理及び販売・物流管理機能を担う㈱Impress Professional Worksで構成されており、グループ会社からの配当、情報システム等の経営インフラの使用料及びグループ会社や出版社を中心とするパートナー会社の物流・販売管理に伴う手数料収入を売上高として計上し、経営インフラ等の運営に係る費用を負担しております。

 

全社区分の売上高は、グループ運営費やグループ受取手数料、経営指導料の増加により、前期(1,365百万円)比2.5%増の1,398百万円となりました。セグメント利益は、増収するも人件費や地代家賃等の増加により、前期(47百万円損失)から32百万円損失が増加し、79百万円の損失となりました。

 

    ②生産、受注及び販売の実績

  a.生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

また、「その他」の金額には、報告セグメントの合計額と連結財務諸表計上額との差異調整が含まれております。

セグメントの名称

金額(千円)

前期比(%)

IT

3,594,872

103.6

音楽

1,119,091

90.0

デザイン

598,978

103.4

山岳・自然

1,200,129

102.1

モバイルサービス

838,100

113.2

その他

770,376

188.2

合計

8,121,549

106.6

 

(注) 1.金額は当期製品製造原価により記載しており、セグメント間取引については相殺消去しております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

3.その他の増加の主な理由は、連結子会社の増加や決算期変更により15ヶ月の損益を取り込んだことによるものです。

 

  b. 商品仕入実績

商品仕入実績については、全ての事業セグメントにおいて重要性が乏しいため、記載を省略しております。

 

  c.受注実績

受注実績については、全ての事業セグメントにおいて売上に対する受注高の割合が低いため、記載を省略しております。

 

  d.販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(千円)

前期比(%)

IT

5,463,960

103.2

音楽

1,802,697

92.0

デザイン

888,685

101.3

山岳・自然

1,864,776

106.3

モバイルサービス

1,753,784

119.5

その他

1,063,553

196.4

合計

12,837,458

107.9

 

(注) 1.金額は販売価格によっており、セグメント間取引については相殺消去しております。

2.その他の増加の主な理由は、連結子会社の増加や決算期変更により15ヶ月の損益を取り込んだことによるものです。

3.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2017年4月1日

至 2018年3月31日)

当連結会計年度

(自 2018年4月1日

至 2019年3月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

日本出版販売㈱

2,105,207

17.69

2,210,281

17.22

㈱トーハン

1,694,143

14.24

1,736,172

13.52

 

4.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(3) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末におけるキャッシュ・フローの状況につきましては、売掛債権の増加(122百万円/前期比397百万円の減少)や法人税等の支払(155百万円/前期比76百万円の増加)等、資金の減少要因がありましたが、税金等調整前当期純利益524百万円(前期比32百万円の減少)を計上したこと等により、営業活動によるキャッシュ・フローは50百万円の資金の獲得となっております。(前期比99百万円の増加)

投資活動によるキャッシュ・フローは、有価証券と投資有価証券の取得により600百万円の支出があったものの、有価証券の償還及び投資有価証の売却により963百万円増加し、242百万円の資金を獲得しております。(前期比476百万円の減少)

財務活動によるキャッシュ・フローは、有利子負債211百万円の圧縮、自己株式の取得119百万円(前期比118百万円の増加)や配当金の支払82百万円(前期比62百万円の増加)等により、418百万円の資金が減少しております。(前期比354百万円の減少)

以上により、当連結会計年度末の資金残高は、前連結会計年度末と比べ90百万円の資金が減少し、4,312百万円となりました。

 

 

当連結会計年度におきましては、前連結会計年度におきまして当面の課題としておりました営業キャッシュ・フローの黒字化を達成いたしました。また前期に続き当期におきましても、保有する投資有価証券の売却による収入があったため、営業キャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローを足し合わせたフリーキャッシュ・フローはプラスとなりました。これらにより獲得したキャッシュを基に、有利子負債の圧縮や、配当及び自己株式の取得による株主還元に勤めてまいりました。

 

(参考)キャッシュ・フロー関連指標の推移

自己資本比率、時価ベースの自己資本比率、債務償還比率、インタレスト・カバレッジ・レシオの推移

 

2015年3月期

2016年3月期

2017年3月期

2018年3月期

2019年3月期

自己資本比率

59.7%

58.6%

61.0%

59.8

61.3

時価ベースの自己資本比率

92.1%

42.8%

41.1%

58.7%

40.2%

キャッシュ・フロー対有利子

負債比率

14.4年

23.2年

-年

-年

13.2年

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

6.1

4.0

10.1

 

(注)  自己資本比率:自己資本/総資産

時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い

※各指標はいずれも連結ベースの財務数値により計算しております。

※営業キャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象にしております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。

※算出の結果、数値がマイナスとなる場合は「-」で表記しております。

 

   (4) 資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当連結会計年度のキャッシュ・フローの概況につきましては、「(3)キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。

当社は、グループ全体の資金効率を高めることを目的に、CMSを導入し、資金の一元管理を行っております。

また、運転資金の一部については銀行等の金融機関からの借入金で賄っており、手元資金と安全性の高い運用資金から有利子負債を差し引いたネット・キャッシュの当連結会計年度末の残高は3,939百万円であり、前連結会計年度末並み(6百万円の増加)となっております。

 

  (5) 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されています。

当社はこの連結財務諸表の作成にあたり、有価証券及びたな卸資産の評価基準及び評価方法、減価償却資産の減価償却の方法、引当金の計上基準及び繰延税金資産の計上等の重要な会計方針に関する見積りを行っております。

当社は過去の実績や将来の状況を踏まえ、合理的と判断される前提に基づき、継続してこの見積りの評価を実施しております。

また、実際の結果は、前提条件の相違等によりこの見積りと異なる場合があります。

 

4 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

5 【研究開発活動】

特記すべき事項はありません。