(1)経営方針
当社は「感動プロデュース企業へ」を経営ビジョンとして掲げ、メッセージやストーリーの詰まったコンテンツを創造し、感動の輪を広げることにより、コンシューマーやクライアントに感動体験と需要創造を提供することが当社の最大の価値であると考えております。
(2)経営戦略等
2024年の出版市場は、電子コミックを中心に電子出版市場が成長したものの、紙の出版市場の減少傾向が続き、紙と電子を合わせた市場規模は3年連続の前年割れとなりました。2025年以降も書店数の減少、返品率の高止まり、物流費や印刷コストの上昇等もあり、厳しい市場環境が予想されます。このような環境下で、当社は「感動プロデュース企業へ」という経営ビジョンのもと、縮小傾向にある出版市場に対して、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を実現すべく、中期経営計画(2025年度~2027年度)に基づき事業を運営してまいります。当社は中期経営戦略として、自社コンテンツである小説やコミックの映像化等のIP展開、編集体制のコミックシフトによるコミック発刊点数の拡充、新レーベル創刊、生成AIを活用した生産性向上に注力することにより、コンテンツの多層化を推進し、事業の成長を促進してまいります。また、会社の成長には、穏やかで、伸び伸びとした、社員の成長が持続できる企業風土が大変重要だと認識しており、社内チームワークの醸成や社員の成長を後押しする取り組み等にも引き続き注力してまいります。
(3)経営上の目標の達成状況を判断する為の客観的な指標等
売上高、営業利益、営業利益率等を重要な経営指標としております。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社は「感動プロデュース企業へ」という経営ビジョンのもと紙・電子出版による書籍、コミック、雑誌の発行、「野いちご」等の小説サイトの運営、女性向けWEBサイト「オズモール」での情報発信や施設予約サービスの提供、SNSによる発信、イベント開催等とそれらを掛け合わせたPR・販促ソリューションの提供を軸として多様な事業を運営しております。
出版事業の領域では、電子書籍市場は電子コミックを中心に成長しておりますが、紙の出版市場は、デジタルデバイスの多様化と普及、ネットワークの高速化・大容量化などによる他メディアとの競争や少子高齢化等を背景に減少傾向が続いております。当社では、このような変化に対応するため、読者の嗜好性を捉えた迅速なコンテンツ開発、電子コミックを中心とした電子書籍販売の拡大、自社コンテンツである小説やコミックの映像化等のIP展開等に取り組んでまいります。
ネットビジネスの領域では、競合他社との競争が激しさを増しており、サービスの差別化および認知向上が必要であります。そのため、当社は出版社ならではの良質なコンテンツを創出するとともに、デジタルマーケティングを強化し、SNS等を活用したリーチの拡大、CRMによるユーザーのロイヤルティの向上を図ってまいります。
また、当社は会社の成長の土台として、穏やかで、伸び伸びとした、社員の成長が持続できる企業風土が大変重要だと認識しており、社内チームワークの醸成や社員の成長を後押しする取り組み等に注力しております。組織体制では、知見の蓄積と共有、リスク管理体制、コンプライアンス遵守体制といった内部管理体制の強化、情報漏洩等に対するセキュリティ対策の徹底が重要な課題であると認識しており、今後も継続的に社内教育・研修実施やシステム整備などを行ってまいります。
当社のサステナビリティに関する考え方及び取り組みは次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1)ガバナンス
サスティナビリティに関するリスクや事業機会、取り組みについては、取締役会において基本的な方針を協議のうえ決定しております。また、具体的な戦略や重要な施策に関しては、経営会議にて検討・協議を行い、各部署にて具体的な施策を実施しております。必要に応じて総務・人事・経理等を管轄する管理部が進捗管理やモニタリングを実施し、取締役会及び経営会議に報告するとともに実施や改善策の支援、助言を行っております。
(2)戦略、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について
当社が所属するスターツグループは創業以来変わることのない企業理念「人が、心が、すべて。」のもと、「個を活かしながら、全体の調和を重んじる」人事戦略を重視しております。「さがし-育て-活かす」という一連のサイクルを事業展開にリンクさせながら、多様な働き方、価値観が求められる中、社員一人ひとりの個性を尊重し、働きがいを感じながら自分らしく働ける環境整備を推進しています。
当社は、書籍・コミックの発行、ウェブメディア、雑誌、地域情報誌等のメディアや施設予約サービス等の運営を行っており、業界の異なる複数の業種と多くの職種があります。社員の適性やキャリアビジョンもまた様々で、それらを入社時の特定分野で縛ることなく自ら手を挙げる機会として「キャリアヒアリングシート制度」(年2回、自ら希望するキャリアプランを直接管理部へアピールできる機会)を設け、業種と職種を横断した柔軟なキャリア形成を実施しております。
(3)リスク管理
当社のリスク管理体制については、取締役会がリスク管理体制を構築する責任と権限を有しております。管理部は親会社であるスターツコーポレーションのリスクマネジメント部と連携し、当社における現時点及び将来発生し得る可能性も含めたリスクの識別・評価を行い、対応計画を策定、実行するとともに、その進捗状況等について、適宜取締役会等に報告しております。
(4)指標及び目標
当社では、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりであります。
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指標 |
目標 |
実績(当事業年度) |
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有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、以下の記載のうち将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2025年3月26日)現在において当社が判断したものであります。
1.出版に関する事業について
① 委託販売制度について
当社は、出版業界の慣行に従い、書店保護の見地から原則として当社が取次店及び書店に配本した出版物(書籍、雑誌)について、配本後、約定期間内に限り、返品を受け入れることを販売条件とする委託販売制度を採用しております。そのため、当社は製品の返品による損失に備えるため、過去の返品実績等に基づく将来返品見込額を返金負債として計上しております。対応策といたしましては、返品率の低減を目指し、計画刊行、電子書籍販売の拡大に努めております。
② 再販売価格維持制度について
当社が制作、販売する出版物については、「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律」(独占禁止法)第23条の規定により、再販売価格維持制度(再販制度)が認められているため、書店では定価販売が行われております。なお、当社は、取次販売会社または書店の間の取引価格の決定に際しては、定価に対する掛け率によっております。これは出版物がわが国の文化の振興と普及に重要な役割を果たしていることから、同法律の適用除外規定により例外的に出版業界においては再販制度が認められているものであります。この再販制度について、公正取引委員会は2001年3月23日に「著作物再販制度の取扱いについて」を発表しており、当面、再販制度は存置される見通しでありますが、一方で、再販制度を維持しながら、今後も消費者利益のため、現行制度の弾力的運用を業界に求めていく方針を発表しております。当該制度が廃止された場合には、出版競争の激化等により、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。対応策といたしましては、公正取引委員会の動向を注視しつつ、再販制度の影響を受けない電子書籍販売等の拡大に努めております。
③ 出版不況と事業環境について
出版業界では、デジタルデバイスの多様化と普及、ネットワークの高速化・大容量化などによる他メディアとの競争や少子高齢化等を背景に紙の書籍販売額、雑誌販売額ともに減少傾向が続いております。書店数の減少、返品率の高止まり、物流費や印刷コストの上昇等もあり、出版業界全般の低迷が今後も継続した場合、当社の経営成績及び財政状態に悪影響が生じる可能性があります。対応策といたしまして、綿密なマーケットリサーチによる読者の嗜好性を捉えた迅速なコンテンツ開発、電子書籍販売の拡大等に努めております。
④ 競合について
当社の小説・コミックは、当社が運営する小説サイトに投稿された作品を起点として発行しております。当社と同様のビジネスモデルや同ジャンルのコンテンツを展開する競合との競争は激しくなっており、今後これらの分野に異業種の大手資本が参入する等し、さらに競合が増加した場合には、当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。対応策といたしまして、綿密なマーケットリサーチによる読者の嗜好性を捉えた迅速なコンテンツ開発、小説サイトや各種コンテスト等による作家の発掘、SNS等による販促施策による認知度の向上に努めております。
⑤ 広告売上の景気変動によるリスク
当社の2024年度の全体売上における広告収入の構成比率は約12%となっております。この広告収入は景気の影響を受けやすい傾向にあります。わが国経済と広告主の広告支出に高い相関が見られる原因として、広告費を先行投資ではなく変動費として認識する広告主が多く、景況悪化が見込まれる時期には支出を削減し、好転が見込まれる場合には支出を増加させることがあげられます。今後、景況の急激な悪化は当社の業績に何らかの悪影響を与える可能性があります。対応策といたしましては、雑誌、WEBサイト、イベントなどの特定の媒体での広告制作、掲載という従来の広告モデルではなく、雑誌、WEBサイト、SNSでの発信、マーケティング等を組み合わせたクライアントへのソリューション提案を軸とした競合との差別化、商品力の向上を図っております。
2.インターネットに関する事業について
① インターネットに関する法的規制の可能性について
現時点では、当社のインターネット事業の展開を大きく阻害する要因となるような大きな法的規制等はありません。また、日本国内のインターネット事業及びモバイル事業を取り巻く法的環境は、インターネットの歴史が浅いため未整備であり、インターネットのみを対象とした法令等の規制はきわめて限定的であるため、主として他の一般の規制を準用するものとなっております。今後はインターネット関連の法規制あるいはルールというものがより整備されていくものと予想されます。将来的にインターネット利用者、関連業者を対象とした法的規制あるいはスマートフォン、その他のモバイルメディアにおける利用規制がより厳しく制定された場合、当社の一部業務において制約を受け、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。対応策といたしましては、法的規制等の動向や新技術への注視による課題等の早期把握や対応に努めております。
② 競合について
当社の行っているインターネット事業は、競争の激しい分野であり、当社が提供するサービスと類似するサービスを国内で提供している事業者は非常に多く、新規参入も相次いでおり、今後も激しい競争が予想されます。業界全体の競争激化による価格競争や、更なる大手資本の参入も考えられ、その場合には当社の業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。対応策といたしましては、他サイトとの差別化として女性誌などの出版事業で蓄積したブランド力を活かした信頼性の高い情報及び記事の提供や、出版物と連動した企画・サービスの提供等に注力しております。
③ システムトラブルについて
当社のインターネット事業は、コンピューターシステムを結ぶ通信ネットワークに依存しており、自然災害や事故などによって、通信ネットワークが切断された場合には、当社の同事業は運営不可能となります。また、アクセス数の急激な集中などの一時的な過負荷によって当社のサーバーが作動不能に陥ることや外部からの不正手段によるコンピューターへの侵入などによりデータが改ざんされる等のいわゆるハッキングや不正アクセスによる事故の発生も考えられます。これらの障害が発生した場合には、当社の運営するサイトに直接的損害が生じる他、当社の運営するサイトに対する信頼性が低下する可能性もあります。対応策といたしましては、想定されるシステムトラブルに対する技術的な対応措置、重要なデータベースに対するアクセス制限等を行っております。
3.その他の事項について
① 知的財産権について
当社はブランドを重要な財産と考え、積極的に商標等を取得してまいりました。本書提出日現在では、当社は独自の事業に関連した特許権等の知的財産権侵害に係る訴え(損害賠償や使用差止めを含む)を起こされた事実はありません。しかし、特許権、実用新案権、商標権、著作権等の知的財産権が出版事業及びインターネット事業にどのように適用されるのか全てを正確に想定するのは困難であり、当社の事業関連技術についての特許等が第三者に成立した場合、また当社の認識していない特許権等が成立している場合に、特許侵害により当社が損害賠償請求を受けることや、抵触する特許権について使用を継続することができなくなる可能性があります。また、当社に他社が保有している特許権等の使用が認められた場合においても、ロイヤリティーの支払い等により当社の業績に悪影響を与える可能性があります。対応策といたしましては、商品の将来性も考慮した商標権等の取得に努めております。
② 個人情報の管理について
当社は、ウエブサイトを運営する過程において、ユーザーに会員登録をしてもらうためにユーザーの個人情報を取得しております。そのため、不測の事態により当社が保有する顧客情報が社外へ漏洩した場合等には、顧客への信用低下やトラブル解決のための費用負担等により当社の業績に影響を与える可能性があります。対応策といたしましては、個人情報に対してのセキュリティ管理体制については整備・強化に努めるとともに継続的に改善を図っております。また、社員に対する個人情報管理に関する勉強会の実施、個人情報取り扱いに関する誓約書も提出させ、意識付けを徹底させるとともに、社内ネットワークにおけるセキュリティにおいてもパスワード管理やアクセス権限ルールを策定し、情報漏洩に関する防衛対策を図っております。
(1)経営成績等の状況の概要
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績の状況
当事業年度におけるわが国経済は、インバウンド需要の拡大、雇用や所得環境の改善により緩やかな回復基調が続きました。一方で、米国の政策動向や長期化するロシア・ウクライナ情勢、中東情勢の混乱といった地政学リスク等の景気の下振れリスクにより、先行きは依然として不透明な状況が続いております。
このような状況の中で、当社は「感動プロデュース企業へ」という経営ビジョンのもと「文化と笑顔の需要創造」をミッションに掲げ、紙・電子出版による書籍、コミック、雑誌の発行、「野いちご」等の小説サイトの運営、女性向けWEBサイト「オズモール」での情報発信や施設予約サービスの提供、イベント開催等とそれらを掛け合わせたPR・販促ソリューションの提供を軸として事業を運営してまいりました。
このような営業活動の結果、当事業年度の売上高は85億81百万円(前期比2.9%増)、営業利益は23億38百万円(前期比2.9%増)、経常利益は24億41百万円(前期比3.1%増)、当期純利益は18億26百万円(前期比2.7%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
<書籍コンテンツ事業>
書籍コンテンツ事業では、自社で運営する小説サイト「野いちご」「ベリーズカフェ」「ノベマ!」を起点に、独自のマーケティングにより恋愛小説から異世界ファンタジー、ライト文芸まで幅広いジャンルの作品を書籍・コミックとして発刊しております。
当事業年度の出版市場は、電子コミックを中心に電子出版市場が成長しましたが、紙の出版市場の減少傾向が続き、全体の市場規模は前事業年度と比較して減少いたしました。このような環境の中で、当社は書籍・コミックの発刊点数の増加、マーケティングの徹底による読者ニーズに沿った商品展開、映像化等のIP展開やSNS等を活用した販促施策に注力してまいりました。書籍・コミックの売上高は、昨年度の映画化作品による増収効果の反動があったものの、オトナ女子向け恋愛小説「ベリーズ文庫」、異世界ファンタジーレーベル「グラストコミックス」「グラストノベルス」が堅調に売り上げを伸ばしたことにより増加いたしました。個別のコンテンツでは、2023年12月に映画が公開された小説「あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。」、1月に第3弾が発刊された「すべての恋が終わるとしても」、1月・5月・11月に紙コミックが発刊された「鬼の花嫁」等が業績に寄与いたしました。営業利益は、今後の事業成長を目的とした従業員の増員に伴う人件費の増加等により、前事業年度と比較して減少いたしました。
また、新たな取組みといたしまして、11月に女児向け小説レーベル「野いちごぽっぷ」、12月にBL(ボーイズライフ)レーベル「BeLuck文庫」を創刊し、読者より好評をいただいております。
このような営業活動の結果、書籍コンテンツ事業の売上高は52億83百万円(前期比3.0%増)、営業利益は23億14百万円(前期比2.2%減)となりました。
<メディアソリューション事業>
メディアソリューション事業では、オリジナルのマーケティング・モデルを創造するという戦略のもと、当社独自の基準で厳選したレストラン、ビューティサロン、宿泊施設等の施設予約サービスを提供する「オズのプレミアム予約」と、「オズモール」「オズマガジン」「メトロミニッツ」等の東京地域密着の自社メディアとSNS、リアルイベント等を組み合わせたPR・販促ソリューションを展開してまいりました。
「オズのプレミアム予約」では、利用者満足度の高い施設の開拓と予約プランの開発、名阪エリアの予約可能施設の拡大、SEO等のユーザー集客施策の強化、クーポン施策等のユーザー満足度の向上に注力してまいりました。また、大人数の宴会等の予約をコンシェルジュがサポートする宴会・貸切予約サービスを本格スタートするなど新たな取組みも実施しております。当事業年度の売上高は、レストラン予約の売上が好調に推移したことにより前期と比較して増加いたしました。
PR・販促ソリューションでは、「オズマガジン」等の東京地域密着メディアのブランドを活用した商業施設向けの集客支援、自治体向けのお出かけ支援、ヘルスケアマーケットへの販促支援サービスの提供等に注力してまいりました。当事業年度は、商業施設向けの集客支援等の受注が堅調に推移し、また「オズマガジン」の隔月刊化等により売上原価を圧縮したことで利益面が改善いたしました。
このような営業活動の結果、メディアソリューション事業の売上高は32億97百万円(前期比2.6%増)、営業利益は2億17百万円(前期比631.9%増)となりました。
② 財政状態の状況
当事業年度末の総資産は、前事業年度末と比べて13億93百万円増加し、119億81百万円となりました。
当事業年度末の負債は、前事業年度末と比べて2億2百万円減少し、22億14百万円となりました。
当事業年度末の純資産は、前事業年度末に比べて15億96百万円増加し、97億66百万円となりました。
③ キャッシュ・フローの状況
当事業年度における現金および現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べ13億74百万円増加し、62億19百万円となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、法人税等の支払額7億93百万円、仕入債務の減少46百万円、未払金の減少67百万円、未払消費税の減少52百万円等による資金の使用の一方で、税引前当期純利益25億29百万円、売上債権の減少2億25百万円の資金の獲得により、16億86百万円の資金を獲得(前事業年度は16億98百万円の資金を獲得)いたしました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、「オズモール」のシステム開発等の無形固定資産の取得等による50百万円の資金の使用による一方で、投資有価証券の売却に伴う収入89百万円の資金の獲得により、33百万円資金を獲得(前事業年度は92百万円の資金を使用)いたしました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払等により、3億44百万円の資金を使用(前事業年度は1億15百万円の資金を使用)いたしました。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当事業年度の生産実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
第42期 (自 2024年1月1日 至 2024年12月31日) |
前期比(%) |
|
書籍コンテンツ事業(千円) |
6,328,828 |
△1.7 |
|
メディアソリューション事業(千円) |
3,413,584 |
0.6 |
|
合計(千円) |
9,742,412 |
△0.9 |
(注)金額は販売価格によっております。
b.受注実績
当社は売上の大半を見込生産で行っているため、受注実績の記載を省略しております。
c.販売実績
当事業年度の販売実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
第42期 (自 2024年1月1日 至 2024年12月31日) |
前期比(%) |
|
書籍コンテンツ事業(千円) |
5,283,616 |
3.0 |
|
メディアソリューション事業(千円) |
3,297,903 |
2.6 |
|
合計(千円) |
8,581,520 |
2.9 |
(注)1.最近2事業年度の主な相手先別の販売実績は次の通りであります。
|
相手先 |
第41期 (自 2023年1月1日 至 2023年12月31日) |
第42期 (自 2024年1月1日 至 2024年12月31日) |
||
|
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
|
株式会社トーハン |
1,100,674 |
13.2 |
1,162,746 |
13.5 |
|
日本出版販売株式会社 |
1,209,373 |
14.5 |
1,034,121 |
12.1 |
|
株式会社メディアドゥ |
1,106,122 |
13.3 |
993,994 |
11.6 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたり、決算日における資産・負債の報告数値及び報告期間における収入・費用の報告数値に影響を与える見積り及び判断を行っております。過去の実績や状況に応じて合理的と考えられる様々な要因に基づき見積り及び判断を行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性により、これら見積りと異なる場合があります。
なお、当社の財務諸表の作成における重要な会計方針は、「第5 経理の状況 重要な会計方針」に記載しております。
② 当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等
1)経営成績の分析
(売上高)
書籍コンテンツ事業においては、2023年度の映像化作品の増収効果の反動があったものの、「ベリーズ文庫」等を中心に書籍、コミックの売上高が総じて堅調に推移したことにより、前事業年度と比較すると売上高が増加いたしました。メディアソリューション事業においては、「オズのプレミアム予約」が各種施策の効果により、レストラン予約サービスを中心に利用者数が増加したこと等により、前事業年度と比較して売上高が増加いたしました。その結果、売上高は85億81百万円(前事業年度比2.9%増)となりました。
(売上総利益)
売上原価は、オズマガジンの隔月間化等により制作費等が圧縮された一方で、書籍、コミックにおける発行点数の増加などにより、38億36百万円(前事業年度比1.1%増)となり、売上総利益は47億44百万円(前事業年度比4.3%増)となりました。
(営業利益)
販売費及び一般管理費は、人件費の増加等により、24億6百万円(前事業年度比5.8%増)となりました。その結果、営業利益は23億38百万円(前事業年度比2.9%増)となりました。
(経常利益)
主な営業外収益は投資有価証券にかかる受取配当金87百万円等が発生いたしました。その結果、経常利益は24億41百万円(前事業年度比3.1%増)となりました。
(税引前当期純利益)
当事業年度は、投資有価証券売却益88百万円が発生したことにより、税引前当期純利益は25億29百万円(前事業年度比6.9%増)となりました。
(当期純利益)
法人税、住民税及び事業税並びに法人税等調整額7億3百万円を計上し、当期純利益は18億26百万円(前事業年度比2.7%増)となりました。
2)財政状態の分析
(資産)
当事業年度末の総資産は、前事業年度末と比べて13億93百万円増加し、119億81百万円となりました。
流動資産は、現金及び預金が13億74百万円、返品資産が59百万円増加した一方で、売掛金及び契約資産が2億25百万円減少したこと等により、前事業年度末に比べて12億16百万円増加し、106億15百万円となりました。
固定資産は、投資その他の資産が1億91百万円増加したこと等により、前事業年度末から1億77百万円増加し、13億65百万円となりました。
(負債)
当事業年度末の負債は、前事業年度末と比べて2億2百万円減少し、22億14百万円となりました。
流動負債は、未払金が66百万円、返金負債が59百万円、買掛金が46百万円減少したこと等により、前事業年度末と比べて2億56百万円減少し、20億21百万円となりました。
固定負債は、前事業年度末と比べて54百万円増加し、1億92百万円となりました。
(純資産)
当事業年度末の純資産は、利益剰余金が当期純利益の計上18億26百万円による増加と配当金の支払3億45百万円による減少等により14億81百万円増加したこと等により、前事業年度末に比べて15億96百万円増加し、97億66百万円となりました。
3)キャッシュ・フローの状況
当事業年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
4)セグメントごとの財政状況及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当事業年度のセグメントごとの財政状態及び経営成績の状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。
b.当社の経営成績に重要な影響を与える要因
雑誌、書籍の出版事業に関しては、デジタルデバイスの発展等によるメディアの多様化による読書時間の減少、読者の嗜好の変化、新規参入を含めた競合他社との競争激化、紙等の材料費、流通コストの高騰等の影響を受けます。WEBサービスに関する事業については、新規参入を含めた競合他社との競争激化、通信に係る新法制の施行、自然災害等によるネットワークの切断等の影響を受けます。
なお、上記の他、当社の経営成績に重要な影響を与える要因として、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載しております。
c.当事業年度の資本の財源及び資金の流動性について
1)キャッシュ・フローについて
当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は、前事業年度末残高48億44百万円に対して13億74百万円増加し、62億19百万円となりました。なお、当事業年度におけるキャッシュ・フローの概況は「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」をご参照下さい。
2)資金需要
当社の事業活動における資金需要は、運転資金需要と設備資金需要の二つがあります。運転資金需要のうち主なものは、雑誌、書籍等の製品の製造費や販売費及び一般管理費等の営業費用によるものであります。また、設備資金需要としては、オズモールや小説サイトを運営するためのシステム開発やインフラ強化等によるものであります。
3)財務政策
当社は現在、運転資金につきましては、全て自己資金により充当しております。また、設備資金につきましても全て自己資金の範囲内で計画をしております。
d.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断する客観的な指標等
当社は、目標とする経営指標といたしましては、売上高、営業利益、営業利益率を重視しております。
|
指標 |
第40期 (自 2022年1月1日 至 2022年12月31日) |
第41期 (自 2023年1月1日 至 2023年12月31日) |
第42期 (自 2024年1月1日 至 2024年12月31日) |
|
売上高 |
7,023百万円 |
8,341百万円 |
8,581百万円 |
|
営業利益 |
1,586百万円 |
2,273百万円 |
2,338百万円 |
|
営業利益率 |
22.6% |
27.3% |
27.2% |
該当事項はありません。
該当事項はありません。