当中間連結会計期間において、新たに発生した事業等のリスクはありません。
また、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについて重要な変更はありませんが、以下の点について、一部見直しを行っております。なお、2025年5月にサイバー攻撃を受けましたが、ビジネスオペレーションに大きな影響なく業務を再開できました。
(1)リスクマネジメントの取組み
経営会議メンバーによる「全社重大リスクテーマの特定・更新」のプロセスを新たに導入したため、より実態に近い形の記載内容に修正しました。
(2)「気候変動の影響」に関するリスク
当社グループは、温室効果ガス排出量の削減を推進しており、活動内容を具体的に表現できるよう文章に修正を加えました。
(3)「情報セキュリティ」に関するリスク
2025年5月に発生したサイバー攻撃概要について記載を行いました。
なお、以下の見出しに付された項目番号は、前事業年度の有価証券報告書における「第一部 企業情報 第2 事業の状況 3 事業等のリスク」の項目番号に対応したものであります。
(1) リスクマネジメントの取組み
④全社重大リスクテーマの特定・更新と優先順位付け
当社では、CEOが議長を務めるリスクマネジメント委員会を設置し、リスクマネジメント体制やグループの重要リスクやその対応策など、トップマネジメントによる組織横断的な審議を行っております。従前から継続して取り組んでいる、年次の「リスク棚卸」(ボトムアップ型のリスクアプローチ)に加え、昨年から、経営会議メンバーによる「全社重大リスクテーマの特定・更新」(トップダウン・リスクアプローチ)のプロセスを新たに導入しております。「全社重大リスクテーマ」の特定と優先順位づけを行い経営陣の膝詰めの議論により、全社重大リスクを発生可能性と事業への影響及び影響額でプロットし、Sランクリスク(会社経営上の最重要リスク)及びAランクリスク(会社目標達成上の重要リスク)に特定し優先順位付けを行っております。これらリスクに関し、Sランクリスクは、最も厳重な監視や即時の対応策の実施、Aランクリスクは、定期的なレビューと迅速な対応計画の準備を行っております。
(6) その他
⑦気候変動の影響
当社グループは、2050年までのカーボンニュートラルに向けて真摯な取り組みを進めております。当社グループが提供する各種製品は製造過程で化石原燃料を使用し、温室効果ガス(GHG)を排出しており、2030年GHG排出量2013年度比30%削減(Scope1・2)に向けた施策を進めております。顧客との共創によるカーボンニュートラルへの取り組みも取引上重要性を増しているため、省エネルギー・炭素循環に貢献する製品の更なる効率性向上や開発等を事業・技術戦略に組み込むとともに、主要製品ごと及び技術開発段階でのカーボンフットプリント算定も順次進めております。しかしながら、顧客要求に加え加速度的に厳しくなる各国の法規制への対応、それに伴う設備投資、再生可能エネルギーの外部調達といったカーボンニュートラルに向けた移行リスクや、自然災害への備えを含む物理リスク対応のアセスメントや対応コスト増も見込まれます。
このようなリスクと機会の両面を重要な経営課題と捉え、2019年には「気候変動情報開示タスクフォース」(TCFD)に賛同し、シナリオ分析を通し、気候変動が当社に及ぼすリスクと機会を評価して対応策を検討・実行し、レジリエンスを強化すべく、事業毎に順次取組みを進め、情報開示を行っております。また2023年にはGHG排出量削減に向けて経済産業省が設立したGXリーグに参画しました。また、2025年6月には、科学的根拠に基づいた温室効果ガス削減の中長期目標設定を推奨する国際的イニシアチブであるScience Based Targets initiative(SBTi)に対し、コミットメントレターを提出しました。2年後の認定に向けて引き続き準備を進めるとともに、SBTiの考えに沿って温室効果ガス排出量の削減に努めてまいります。
⑪情報セキュリティ(サイバーリスク)
当社グループは、社内システムや製造設備に対するサイバー攻撃等による被害や情報漏えいが生じた場合、社会的信用の低下や、対策費用や生産活動停止の発生により、経営成績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。
このようなリスクに対して、世界標準のセキュリティソリューションを導入することで、日々高度化・巧妙化するサイバーリスクに対する防御網を実現するとともに、当社グループの情報セキュリティグローバルスタンダード運用を確立し、教育・モニタリングによる改善活動を行うことで、情報管理の徹底及びインシデント発生時の影響を最小限に抑える対応策を講じております。
<2025年5月に発生したサイバー攻撃概要>
2025年5月に当社グループ内の一部サーバー等に対する外部からのランサムウェアを使った攻撃が確認されました。直ちに対策本部を立ち上げ、ネットワーク遮断等の措置により拡散を封じ込めることに成功しましたが、業務システムの一部が使えなくなり、出荷が一時停止するなどの業務影響が発生いたしました。
外部の専門家の協力により詳細なマルウェア解析を実施し、2025年7月初めには製品供給に影響がないこと、当社ネットワークとお客様のネットワーク接続において感染が広がることがないことを公開いたしました。
本件において、お取引先様、関係先の皆様に多大なるご心配とご迷惑をおかけしましたことを、深くお詫び申し上げます。今後このようなことを招かないよう、対策を徹底してまいります。
(1)経営成績の概況
当中間連結会計期間(2025年1月~6月)の世界経済は、米国の通商政策等による影響が懸念されるなか、全体としては緩やかに回復しました。半導体業界については比較的顕著な回復が見られました。国内経済は、個人消費や企業の設備投資に持ち直しの動きが見られ、全体として緩やかに回復しました。
当社グループは2024年12月期の通期決算より、従来の日本基準に替えて国際財務報告基準(IFRS)を適用しており、前中間連結会計期間の数値もIFRSベースに組み替えて比較・分析を行っております。
当中間連結会計期間における売上収益は、半導体・電子材料セグメントは販売数量増により増収となりましたが、その他の4セグメントは減収となり、総じて減収となる6,420億54百万円となりました。コア営業利益は、半導体・電子材料セグメントは増収に伴い増益となりました。その他の4セグメントは減益・損失拡大となりましたが、全体では増益となる345億98百万円となりました。営業利益は、旧本社土地建物の固定資産売却益があった前年同期に比べ減益となる326億11百万円となりました。親会社の所有者に帰属する中間利益は、営業利益の減益に加え、為替差損益の悪化により減益の196億54百万円となりました。
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(単位:百万円) |
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2024年 中間連結会計期間 |
2025年 中間連結会計期間 |
増減 |
増減率 |
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売上収益 |
669,543 |
642,054 |
△27,489 |
△4.1% |
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コア営業利益 |
33,162 |
34,598 |
1,436 |
4.3% |
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営業利益 |
49,696 |
32,611 |
△17,085 |
△34.4% |
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親会社の所有者に帰属する中間利益 |
45,259 |
19,654 |
△25,605 |
△56.6% |
(注) コア営業利益は、営業利益から非経常的な要因により発生した損益(その他の収益、その他の費用及び減損損失(売上原価、販売費及び一般管理費に含まれます。))を除いて算出しております。
(2)セグメントの状況
当中間連結会計期間より、報告セグメントの区分を変更しており、当中間連結会計期間の比較・分析は、変更後の区分に基づいております。詳細は、「第4 経理の状況 1 要約中間連結財務諸表 要約中間連結財務諸表注記 4.セグメント情報」をご参照ください。
[半導体・電子材料セグメント]
当セグメントでは、半導体前工程材料は、NAND需要の回復ペースが緩やかなことから売上はほぼ横ばいとなりました。半導体後工程材料は、主にAI等の先端半導体向けの販売数量増加により増収となりました。デバイスソリューションは、HDメディアがデータセンター向け需要の回復により増収、SiCエピタキシャルウェハーはEV市場の成長鈍化を受けて横ばいとなりました。
この結果、当セグメントは前年同期比で増収増益となりました。
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(単位:百万円) |
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2024年 中間連結会計期間 |
2025年 中間連結会計期間 |
増減 |
増減率 |
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売上収益 |
209,603 |
230,680 |
21,077 |
10.1% |
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コア営業利益 |
26,556 |
42,486 |
15,930 |
60.0% |
[モビリティセグメント]
当セグメントでは、当1~3月期の二次電池外装材・食品包装材等の事業譲渡の影響や、タイにおける自動車市場低迷の影響を受け、前年同期比で減収減益となりました。
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(単位:百万円) |
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2024年 中間連結会計期間 |
2025年 中間連結会計期間 |
増減 |
増減率 |
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売上収益 |
99,861 |
89,659 |
△10,202 |
△10.2% |
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コア営業利益 |
2,344 |
1,308 |
△1,036 |
△44.2% |
[イノベーション材料セグメント]
当セグメントでは、自動車市場低迷の影響等を受け、前年同期に比べ、減収減益となりました。
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(単位:百万円) |
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2024年 中間連結会計期間 |
2025年 中間連結会計期間 |
増減 |
増減率 |
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売上収益 |
46,851 |
44,922 |
△1,929 |
△4.1% |
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コア営業利益 |
5,668 |
4,946 |
△722 |
△12.7% |
[ケミカルセグメント]
当セグメントでは、化学品は、一部製品の需要が減少し、前年同期比で減収減益となりました。グラファイトは、黒鉛電極の市況低迷の影響を受け販売数量、販売価格ともに下落し減収、前年同期に計上した低価法戻り益も当第2四半期は発生せず、赤字拡大となりました。
この結果、当セグメントでは前年同期比で減収減益となりました。
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(単位:百万円) |
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2024年 中間連結会計期間 |
2025年 中間連結会計期間 |
増減 |
増減率 |
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売上収益 |
98,480 |
78,428 |
△20,052 |
△20.4% |
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コア営業利益 |
△292 |
△8,151 |
△7,859 |
- |
[クラサスケミカルセグメント]
当セグメントでは、ナフサ価格下落に伴う販売価格下落により減収、ナフサ価格下落により受払差が悪化しコア営業利益が赤字となりました。
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(単位:百万円) |
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2024年 中間連結会計期間 |
2025年 中間連結会計期間 |
増減 |
増減率 |
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売上収益 |
155,713 |
149,884 |
△5,829 |
△3.7% |
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コア営業利益 |
2,107 |
△806 |
△2,913 |
- |
(3)財政状態の概況
当中間連結会計期間末の資産合計は、主に現金及び現金同等物や売上債権が減少し、また再生医療事業等の譲渡が完了し売却目的で保有する資産がなくなったため、前連結会計年度末に比べ1,371億9百万円減少の2兆355億17百万円となりました。負債合計は有利子負債残高が減少したほか、再生医療事業等の譲渡により売却目的で保有する資産に直接関連する負債も減少したため、前連結会計年度末比1,188億64百万円減少の1兆3,617億56百万円となりました。資本合計は、その他の包括利益累計額に含まれる在外営業活動体の換算差額が円高の進行により減少し、前連結会計年度末比182億45百万円減少の6,737億61百万円となりました。
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(単位:百万円) |
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前連結会計年度末 |
当中間連結会計期間末 |
増減 |
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資産合計 |
2,172,626 |
2,035,517 |
△137,109 |
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負債合計 |
1,480,620 |
1,361,756 |
△118,864 |
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資本合計 |
692,006 |
673,761 |
△18,245 |
(4)キャッシュ・フローの状況
当中間連結会計期間における営業活動によるキャッシュ・フローは、中間利益の減少等により、前年同期に比べ213億55百万円の収入減少となる346億30百万円の収入となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、子会社等の売却による収入の増加があったものの、有形固定資産の売却による収入の減少等により、前年同期に比べ364億1百万円の支出増加となる478億86百万円の支出となりました。
この結果、フリー・キャッシュ・フローは、前年同期に比べ577億56百万円の支出増加となる132億56百万円の支出となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入れによる収入の増加があったものの、転換社債型新株予約権付社債の発行による収入の減少や、長期借入金の返済、社債の償還等による支出の増加等により、前年同期に比べ509億97百万円の支出増加となる643億59百万円の支出となりました。
この結果、当中間連結会計期間末の現金及び現金同等物は、為替変動の影響等も含め、前連結会計年度末に比べ866億86百万円減少となる2,079億70百万円となりました。
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(単位:百万円) |
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2024年 中間連結会計期間 |
2025年 中間連結会計期間 |
増減 |
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営業活動によるキャッシュ・フロー |
55,985 |
34,630 |
△21,355 |
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投資活動によるキャッシュ・フロー |
△11,485 |
△47,886 |
△36,401 |
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フリー・キャッシュ・フロー |
44,500 |
△13,256 |
△57,756 |
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財務活動によるキャッシュ・フロー |
△13,362 |
△64,359 |
△50,997 |
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現金及び現金同等物の中間期末残高 |
238,590 |
207,970 |
△30,620 |
(注)現金及び現金同等物の前連結会計年度末残高は294,656百万円であります。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
(当社グループの対処すべき課題)
当中間連結会計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(6)研究開発活動
当中間連結会計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、232億0百万円であります。なお、当中間連結会計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(力森諾科汽車配件(鄭州)有限公司の資産譲渡に関する契約の締結)
当社の連結子会社である㈱レゾナック(以下、「REC」といいます。)は、RECの連結孫会社である力森諾科汽車配件(鄭州)有限公司(以下、「対象会社」といいます。)の保有する資産を広東鴻図科技股份有限公司(以下、「鴻図」といいます。)の子会社に譲渡することを決定し、対象会社と鴻図は、2025年6月27日付で資産の譲渡に関する契約を締結し、譲渡対象のうち設備の譲渡が以下のとおり2025年6月30日に実行されました。
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譲渡対象 |
対象会社資産(土地使用権、建屋、設備) |
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資産譲渡実行日 |
2025年6月30日(土地使用権及び建屋は後日譲渡実行を予定) |
(F2 Chemicals Ltd.の譲渡に関する契約の締結)
当社の連結子会社であるRECは、2025年6月30日付で、RECの完全子会社であるF2 Chemicals Ltd.の全発行済株式をRcapital Partners LLP.へ譲渡する株式譲渡契約を締結しました。