文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
幅広い技術基盤を活かして革新的なソリューションを創りだす力、グローバル市場へのアクセス、そしてロイヤリティの高い従業員は、一世紀にわたる事業活動を通じて築き上げてきた、当社のコア・コンピタンスであります。
今後も、これらの強みを最大限に発揮し、社会が直面している環境、食糧、資源・エネルギーに係る課題の解決に挑戦していくと共に、健康増進、心地良い暮らしの実現、人々のQuality of Lifeの向上に貢献してまいります。
当社は、革新的な技術による価値創造を通じ、持続的な成長を実現し、中長期的にROE(親会社所有者帰属持分当期利益率)10%以上、配当性向30%程度などを安定して達成することを目指しております。

(2) 世界経済の動向
今後の世界経済の動向につきましては、好調な米国経済に支えられ、回復傾向が持続することと思われますが、米国の保護主義的な通商政策にともなうグローバル経済への影響、中国での構造改革による経済減速の懸念や欧州政治の混乱のリスクなど、不確実性も存在し、楽観はできないものと思われます。一方、国内経済は、堅調な雇用・所得情勢を背景に個人消費に改善の兆しがみられるなど、底堅く推移していくことと思われますが、上述の海外経済の影響を受ける可能性がございます。
(3) 当社を取り巻く環境
当社グループを取り巻く事業環境につきましては、為替レートの動向、米中貿易摩擦や米国の対イラン経済制裁等による原材料価格の変動や製品市況の動向など、先行き不透明な要因があり、引き続き、市場環境を注視するとともに、環境変化に前広に対応していくことが重要であると考えております。
(4) 2016年度~2018年度中期経営計画
このような状況の下で、当社グループは、2016年度を初年度とする「中期経営計画」に取り組んでおります。本計画では、「Change and Innovation~Create New Value~」をスローガンに掲げ、前中期経営計画で実現した強固な財務基盤をベースに、攻めの経営に取り組むことによって、持続的な成長を続けるレジリエント(回復力に富む)な住友化学グループへの変革をより一層加速してまいります。この中期経営計画は、以下を基本方針としております。
① 事業ポートフォリオの高度化
「環境・エネルギー」「ICT」「ライフサイエンス」を中心とした、「技術」で勝負できる事業分野に経営資源を投入し、社会が抱える諸課題に対し、「技術」を基盤とした新しい価値を提供いたします。
② キャッシュフロー創出力の強化
筋肉質な財務基盤の維持、キャッシュフローを安定して生み続ける体質を定着させ、大型投資を機動的に実施できる体制を構築いたします。
③ 次世代事業の早期戦列化
重点3分野である「環境・エネルギー」「ICT」「ライフサイエンス」への投資を継続し、研究テーマの着実な事業化を図るほか、重点3分野の「境界領域」でのソリューション提供に取り組みます。
上記3点とともに、④グローバル経営の深化 ⑤コンプライアンスの徹底、安全・安定操業の確立と継続に取り組んでまいります。

2018年度経営目標
中期経営計画では、最終年度である2018年度には、為替レート120円/ドル、ナフサ価格45,000円/klを前提に、売上収益2兆5,400億円、コア営業利益2,400億円、親会社の所有者に帰属する当期利益1,100億円を達成し、同年度のROEは12%、ROIは7%、D/Eレシオは0.7倍程度となる計画でありました。中期経営計画の2年目となる2017年度は、医薬品や石油化学製品の販売好調により、過去最高益を記録することができました。2018年度は、石油化学製品の需給悪化を見込んでいますが、中期経営計画で目標とした業績を概ね達成できる予想であります。

新たな価値創造に向けて
当社は、「環境・エネルギー」「ICT」「ライフサイエンス」を中心に、技術で勝負できる分野を見極め、積極的かつ集中的に投資を行うことで、新たな価値を創造し、事業ポートフォリオを高度化することを目指しております。
このため、中期経営計画の3年間で4,000億円の設備投資・投融資を決定することに加え、スペシャリティケミカル分野の早期拡充に向け、最大3,000億円の戦略的M&Aも実施したいと考えております。最大7,000億円の設備投資・投融資のうち約7~8割はライフサイエンスを中心としたスペシャリティケミカル分野に投資する計画であります。
当連結会計年度の進捗実績
中期経営計画の2年目となる当連結会計年度は、事業ポートフォリオの高度化に向けた施策を着実に実施いたしました。
各部門の主な取り組み実績は以下の通りであります。
(石油化学部門)
ラービグ第二期計画の建設を完了し、製品の生産を開始したほか、シンガポールなどで製品の高付加価値化に向けた取り組みが進展いたしました。
(エネルギー・機能材料部門)
電気自動車用途で需要拡大が続くリチウムイオン二次電池用セパレータ等の生産能力を拡大した一方、ディーゼルエンジン用すす除去フィルター(DPF)事業から撤退するなど事業の再構築を進めました。
(情報電子化学部門)
半導体の生産に使用される各種材料の生産能力増強に着手したほか、LED用サファイア基板事業から撤退をいたしました。
(健康・農業関連事業部門)
次世代大型農薬の開発が進展し登録申請を開始したほか、除虫菊由来殺虫成分の大手サプライヤーを買収いたしました。
(医薬品部門)
慢性閉塞性肺疾患(COPD)治療薬ロンハラ マグネアの米国での承認を取得(本年4月上市)したほか、米国で開発中のパーキンソン病治療薬の第三相臨床試験でも良好な結果を得ること(本年4月承認申請)ができました。

新たな価値創造に向けた取り組みを加速
現在、当社では、中期経営計画の3年間で約6,900億円の設備投資・投融資を決定する予定にしており、2016年度~2017年度に3/4の約5,300億円の設備投資・投融資を決定いたしました。決定した投資プロジェクトを迅速かつ着実に実施し、早期に当社の収益に貢献する事業に育てることで新たな価値創造を加速してまいります。

当社グループの経営成績、株価および財政状態等に影響を及ぼす主要なリスクには以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、総合化学メーカーとして様々な事業を行っており、事業に関わるリスクは多種多様であります。事業に係る市場リスクや供給リスクについては、主に以下のようなものがあります。
・当社グループの事業は価格競争に晒されております。海外企業の国内市場参入、関税引き下げなどによる輸入品の流入、ジェネリック品の台頭など、様々な理由により当社グループの製品群は今後も厳しい価格競争に晒されるものと予想されます。当社グループはコストの低減に努めておりますが、価格競争を克服できない場合、当社グループの経営成績ならびに財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
・当社グループの海外売上収益は売上収益の6割以上を占め、石油化学部門などの製品は特にアジア市場での販売が多い状況です。また、情報電子化学部門は、中国や韓国、台湾の特定顧客向けの販売が大きな比重を占め、アジア市場での経済情勢の悪化、あるいは顧客企業の業績状況の変化などによる値下げ要求が発生した場合、当社グループの経営成績ならびに財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
・石油化学部門の主要原料であるナフサは、中東地域の治安や世界の経済情勢に多大な影響を受け、時に急激な価格変動を起こすことがあります。ナフサの価格が急激に上昇した場合、製品価格への転嫁が遅れることなどにより、当社グループの経営成績ならびに財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
・ナフサやその他の原料品の一部については、特定の地域や購入先に依存しております。購入先を複数にするなど、主要原料が購入できないリスクを低減するように努めておりますが、時に主要原料の不足が生じないという保証はありません。必要な主要原料が確保できない場合には、当社グループの経営成績ならびに財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
・情報電子化学部門の製品は、技術革新のスピードが速く、タイムリーに新製品を開発・提供していく必要があります。当社グループが顧客ニーズを満足させる新規製品を有効に開発できない場合、また他社において画期的な技術革新がなされた場合、当社グループの経営成績ならびに財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
・健康・農業関連事業部門の農薬や家庭用殺虫剤の出荷は、世界各地域における異常気象等の理由による作物の育成状況や病害虫の発生状況に左右されます。また、飼料添加物は急激な価格変動を起こすことがあります。作物の育成状況が悪くなった場合、病害虫の発生が少なくなった場合、あるいは急激な価格変動が起こった場合、当社グループの経営成績ならびに財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
・医薬品部門では、国内において、急速に進展する少子高齢化等により医療保険財政が悪化する中、先発医薬品の価格抑制や後発医薬品の使用促進などの医療費抑制策が図られ、さらなる医療制度改革の議論が続けられております。医療制度改革はその方向性によっては当社グループの経営成績ならびに財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。また、海外においても医薬品は各種の規制を受けており、米国の医療保険制度改革等の行政施策の動向によっては、重要な影響を受ける可能性があります。
当社グループは、国内で製造した製品を海外に輸出するとともに海外から原料品を輸入しておりますが、製品輸出高は原料品輸入高を上回っております。外国通貨に対して円高が進行した場合、海外で生産された製品に対する価格競争力が低下することに加え、輸出手取額の減少が輸入支払額の減少を上回ることになります。このようなリスクに対しては、為替予約や円建輸出取引を行うことによりリスクを最小限にするように努めておりますが、中長期的な為替レートの変動によるリスク等を完全にヘッジすることは出来ないため、円高の進行は当社グループの経営成績ならびに財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、海外の関係会社の経営成績は、連結財務諸表作成のために円換算されております。換算時の為替レートにより、円換算後の価値が影響を受ける可能性があり、当社グループの経営成績ならびに財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、資金需要に対してその内容や財政状態および金融環境を考慮し、調達の金額・期間・方法等を判断しております。今後の金利の変動に備え、固定金利・変動金利を適宜組み合わせて調達を行っておりますが、金利が上昇した場合には支払利息が増加し、当社グループの経営成績ならびに財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループが保有する有価証券の多くは、時価のある有価証券であるため、株式相場が大幅に下落した場合、当社グループの財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、減損会計を適用しております。将来、当社グループが保有する固定資産について、経営環境の著しい悪化等による収益性の低下や市場価格の下落等により、減損損失が発生し、当社グループの経営成績ならびに財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、将来の課税所得に関する予測・仮定に基づき、繰延税金資産の回収可能性の判断を行っておりますが、将来の課税所得の予測・仮定が変更され、繰延税金資産の一部ないしは全部が回収できないと判断された場合、繰延税金資産は減額され、当社グループの経営成績ならびに財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの従業員退職給付費用および債務は、割引率などの数理計算上の前提に基づいて算出されております。制度資産運用環境の悪化により前提と実績に乖離が生じた場合や退職金・年金制度が変更された場合などは、退職給付費用および債務が増加し、当社グループの経営成績ならびに財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(海外事業展開)
当社グループは、中東やアジアなど海外での事業活動を今後一層拡大していくこととしております。海外における事業活動には法律や規制の変更、労務環境の違いによる争議等の発生、人材の採用と確保の難しさ、テロ・戦争・その他の要因による社会的混乱などのリスクが内在しており、これらのリスクが顕在化した場合は、当社グループの経営成績ならびに財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社とサウジアラビアン オイル カンパニー(サウジ・アラムコ社)が共同で設立したラービグ リファイニング アンド ペトロケミカル カンパニー(ペトロ・ラービグ社)は、サウジアラビアのラービグにおいて、石油精製・石油化学の統合コンプレックス事業(「ラービグ第1期計画」)を運営しております。当社は、プロジェクト総投資額に対し、不測の事態による損害に備え、独立行政法人日本貿易保険の規約・限度額に従い、海外投資保険等に加入しております。
ペトロ・ラービグ社は、既存の「ラービグ第1期計画」の拡張計画(「ラービグ第2期計画」)に関し、銀行団との間で、融資契約上のプロジェクト・コスト約81億米ドルの6割強にあたる約52億米ドルのプロジェクト・ファイナンス契約を締結し銀行借入を行っており、当社はその50%について完工保証を差入れております。また、ペトロ・ラービグ社の行っているその他の一部の借入に対して、当社は債務保証を行っております。当該保証の履行により、当社の経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社は、「ラービグ第1期計画」と同様に「ラービグ第2期計画」についても、独立行政法人日本貿易保険の規約・限度額に従い、海外投資保険等に加入しております。
(企業買収・資本提携)
当社グループは、事業拡大や競争力強化等を目的として、国内外において企業買収・資本提携等を実施しておりますが、当社グループおよび出資先企業を取り巻く事業環境の変化等により、当初期待していたシナジー効果を得られない可能性があります。また、出資先企業の経営成績、財政状態の悪化による企業価値の低下等により、当社グループの経営成績ならびに財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(研究開発)
当社グループは、需要家のニーズに合わせた新技術・新製品をスピーディーに上市するため、積極的に研究開発を行っております。当社グループの研究開発は、次世代事業の創生のための探索研究を含んでいるため研究開発期間が長期間にわたる場合があり、また、研究開発テーマが実用化されず、新製品の開発が著しく遅延または断念される場合には、競争力が低下し、当社グループの経営成績ならびに財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(知的財産権)
当社グループは、他社と差別化できる技術とノウハウを蓄積し事業の競争力を強化してきましたが、当社グループ独自の技術・製品とノウハウの一部は、厳正な管理を行っているものの、予期せぬ事態により外部に流出する可能性があり、また、特定の地域ではこれらの知的財産の完全な保護が不可能なため、第三者が当社グループの知的財産を使用して類似製品を製造することを効果的に防止できない可能性があります。また将来、知的財産に係る紛争が生じ、当社グループに不利な判断がなされる可能性があります。
(製品の品質)
当社グループは、世界的に認められている厳格な品質管理基準に従って、各種製品を製造しておりますが、すべての製品について欠陥が無く、将来にわたってリコールが発生しないという保証はありません。大規模な製品事故は、多額のコストや当社グループの評価に重大な影響を与え、当社グループの経営成績ならびに財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、農薬や医薬品等は各国の厳しい審査を受けて承認されておりますが、科学技術の進歩や市販成績が蓄積された結果から、新たに品質問題や副作用が見つかることもあります。このように上市後予期せぬ品質問題や副作用が発見された場合には、当社グループの経営成績ならびに財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(事故・災害)
当社グループは、製造設備の停止や製造設備に起因する事故などによる潜在的なマイナス要因を最小化するため、すべての製造設備において定期的な点検を実施しております。しかしながら、製造設備で発生する事故、自然災害等による影響を完全に防止・軽減できる保証はありません。また、当社グループの事業活動におけるシステム・ネットワークへの依存度は年々拡大しており、セキュリティの高度化などによりシステムやデータの保護に努めておりますが、停電、自然災害やコンピューターウィルス、ハッカー等のシステム犯罪などにより、システム・ネットワーク障害が生じる可能性があります。
事故等により、工場周辺に物的・人的被害を及ぼした場合、あるいは、システム・ネットワーク障害が発生した場合、事業活動に支障をきたすほか多額のコストや当社グループの評価に重大な影響を与え、当社グループの経営成績ならびに財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(規制変更)
当社グループは、事業展開する各国の規制に従い、業務を遂行しております。将来における法律、規則、政策、実務慣行、解釈およびその他の政策変更ならびにそれらによって発生する事態が、当社グループの業務遂行や経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。また、将来的に環境および化学品安全等に対する法的規制が強化され、新たな対策コストが発生する可能性があります。
(訴訟)
当社グループは、国内および海外事業に関連して、訴訟、係争、その他の法律的手続きの対象となるリスクがあり、将来重要な訴訟等が提起された場合には、当社グループの経営成績ならびに財政状態に重要な悪影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
また、当社グループは当連結会計年度より、従来の日本基準に替えてIFRSを適用しており、前連結会計年度の数値をIFRSに組み替えて比較分析を行っております。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、IFRSに準拠して作成しております。
連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針」に記載しております。
連結財務諸表の作成にあたっては、過去の実績や状況に応じ合理的だと考えられる様々な要因に基づき、見積りおよび判断を行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるために、これらの見積りと異なる場合があります。
(2) 経営成績
当期における世界経済の情勢は、米国では雇用者数の増加や堅調な個人消費に支えられ景気の拡大が継続し、欧州では英国のEU離脱問題等があるものの緩やかな回復が持続しました。また、中国を含む新興国においても景気に持ち直しの動きがみられたことなどにより、全体としては総じて堅調に推移しました。
一方、国内経済は、企業収益の向上に加え、雇用・所得環境が改善するなど、緩やかな回復基調が続きました。
このような状況の下、当社グループは、全社を挙げて業績改善に努めるとともに、「事業ポートフォリオの高度化」、「キャッシュフロー創出力の強化」、「次世代事業の早期戦列化」等を基本方針とする中期経営計画(2016年度~2018年度)に基づき、持続的な成長を続けるレジリエント(回復力に富む)な住友化学グループへの変革をより一層加速すべく取り組んでまいりました。
この結果、当社グループの当連結会計年度の売上収益は、前連結会計年度に比べ2,514億円増加し、2兆1,905億円となりました。損益面では、コア営業利益は2,627億円、営業利益は2,509億円、親会社の所有者に帰属する当期利益は1,338億円となり、それぞれ前連結会計年度を上回りました。
売上収益は、事業拡大に伴う数量増の影響が最も大きく、また原料価格上昇に伴う売価上昇や、円安による海外子会社の邦貨換算差の影響もあり、前連結会計年度の1兆9,391億円に比べ2,514億円増加し2兆1,905億円となりました。
コア営業利益は、数量増の影響に加え、ラービグ リファイニング アンド ペトロケミカル カンパニーなどの持分法投資損益の改善により、前連結会計年度の1,845億円に比べ781億円増加し2,627億円となりました。
コア営業利益の算出にあたり営業利益から控除した、非経常的な要因により発生した損益は、前連結会計年度に多額の減損損失などを計上したことから、前連結会計年度の581億円の損失に比べ463億円改善し118億円の損失となりました。以上の結果、営業利益は、前連結会計年度の1,265億円に比べ1,245億円増加し2,509億円となりました。
金融収益及び金融費用は、当連結会計年度は期末にかけて円高が進行し、多額の為替差損失を計上したことから、前連結会計年度の41億円の損失に比べ60億円悪化し、101億円の損失となりました。以上の結果、税引前利益は、前連結会計年度の1,223億円に比べ1,185億円増加し、2,408億円となりました。
(法人所得税費用/親会社の所有者に帰属する当期利益及び非支配持分に帰属する当期利益)
法人所得税費用は627億円となり、税引前利益に対する税効果会計適用後の法人所得税費用の負担率は、26.0%となりました。
以上の結果、当期利益は、1,782億円となりました。
非支配持分に帰属する当期利益は、主として大日本住友製薬株式会社や日本シンガポール石油化学株式会社などの連結子会社の非支配持分に帰属する利益からなり、前連結会計年度の326億円に比べ118億円増加し、444億円となりました。
以上の結果、親会社の所有者に帰属する当期利益は、前連結会計年度の765億円に比べ572億円増加し、1,338億円となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
なお、セグメント利益は、営業利益から非経常的な要因により発生した損益を除いて算出したコア営業利益で表示しております。
(石油化学)
石油化学品や合成樹脂は原料価格の上昇により、市況が上昇しました。合繊原料やメタアクリルも市況が上昇しました。また持分法適用会社であるペトロケミカル コーポレーション オブ シンガポール(プライベート) リミテッドの業績が堅調に推移し、ラービグ リファイニング アンド ペトロケミカル カンパニーは、高稼働が維持されたことに加え、石油化学製品の市況上昇等により業績が改善しました。この結果、売上収益は前連結会計年度に比べ、1,163億円(20.8%)増加し6,741億円となり、コア営業利益は前連結会計年度に比べ357億円増加し946億円となりました。
また、生産規模は、約5,330億円となりました。(販売価格ベース)
(エネルギー・機能材料)
レゾルシン(接着剤用原料)やエンジニアリングプラスチックスは需要の増加により、出荷が増加しました。また、リチウムイオン二次電池用セパレータも生産能力増強により出荷が増加しました。更に、前連結会計年度に実施した正極材料事業の買収による販売増加の影響もありました。この結果、売上収益は前連結会計年度に比べ、446億円(21.6%)増加し2,510億円となり、コア営業利益は前連結会計年度に比べ132億円増加し192億円となりました。
また、生産規模は、約1,570億円となりました。(販売価格ベース)
(情報電子化学)
タッチセンサーパネルや偏光フィルムは、販売価格は下落しましたが、需要の増加により出荷は増加しました。また、円安による在外子会社の邦貨換算差の影響もありました。この結果、売上収益は前連結会計年度に比べ、102億円(2.9%)増加し3,687億円となり、コア営業利益は前連結会計年度に比べ36億円増加し123億円となりました。
また、生産規模は、約3,320億円となりました。(販売価格ベース)
(健康・農業関連事業)
メチオニン(飼料添加物)は市況の下落により、減収となりました。一方、前連結会計年度に実施したインド農薬事業の買収による販売増加の影響がありました。この結果、売上収益は前連結会計年度に比べ、191億円(6.0%)増加し3,397億円となりましたが、コア営業利益は前連結会計年度に比べ35億円減少し440億円となりました。
また、生産規模は、約1,770億円となりました。(販売価格ベース)
(医薬品)
北米では、ラツーダ(非定型抗精神病薬)を中心に堅調に販売が拡大しました。また、国内においても、トルリシティ(2型糖尿病治療剤)やアイミクス(高血圧症治療剤)等の販売が拡大しました。この結果、売上収益は前連結会計年度に比べ、593億円(13.4%)増加し5,002億円となり、コア営業利益は前連結会計年度に比べ249億円増加し948億円となりました。
また、生産規模は、約4,390億円となりました。(販売価格ベース)
(その他)
上記5部門以外に、電力・蒸気の供給、化学産業設備の設計・工事監督、運送・倉庫業務、物性分析・環境分析業務等を行っております。これらの売上収益は前連結会計年度に比べ、20億円(3.7%)増加し568億円となり、コア営業利益は前連結会計年度に比べ9億円増加し111億円となりました。
生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。
当社グループ(当社および連結子会社)の生産品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様ではなく、また受注生産製品の規模は小さいため、セグメントごとに生産規模および受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。
このため生産の状況については、セグメントごとの経営成績に関連付けて示しております。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前連結会計年度比(%) |
|
石油化学 |
674,116 |
20.8 |
|
エネルギー・機能材料 |
250,988 |
21.6 |
|
情報電子化学 |
368,709 |
2.9 |
|
健康・農業関連事業 |
339,698 |
6.0 |
|
医薬品 |
500,227 |
13.4 |
|
その他 |
56,771 |
3.7 |
|
合計 |
2,190,509 |
13.0 |
(注) 1 上記販売実績は、外部顧客への売上収益を示しております。
2 主な相手先別の販売実績および総販売実績に対する割合については、当該割合が100分の10以上の相手先がないため、記載を省略しております。
(3) 財政状態
当連結会計年度末の資産合計は前連結会計年度末に比べ1,905億円増加し3兆687億円となりました。棚卸資産や現金及び現金同等物が増加しました。
負債合計は、前連結会計年度末に比べ542億円増加し、1兆8,165億円となりました。営業債務及びその他の債務が増加しました。なお、有利子負債は前連結会計年度末に比べ419億円減少し、8,422億円となりました。
資本合計(非支配持分を含む)は、利益剰余金が増加したことにより、前連結会計年度末に比べ1,363億円増加し、1兆2,522億円となりました。親会社所有者帰属持分比率は、前連結会計年度末に比べて2.0ポイント増加し、30.2%となりました。
(4) キャッシュ・フロー
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、営業利益の増加や法人所得税の支払の減少等により、前連結会計年度に比べ1,075億円増加し、2,933億円の収入となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に子会社の大日本住友製薬株式会社によるシナプサス セラピューティクス インコーポレーテッド(現:サノビオン CNS ディベロップメント カナダ ULC(以下、「サノビオンCNSカナダ社」))およびトレロ ファーマシューティカルズ インコーポレーテッド(以下、「トレロ社」)の買収があったこと等により、前連結会計年度に比べ512億円支出が減少し、1,545億円の支出となりました。
この結果、フリー・キャッシュ・フローは、前連結会計年度の199億円の支出に対して、当連結会計年度は1,387億円の収入となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、943億円の支出となりました。また、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末に比べ386億円増加し、2,319億円となりました。
当社グループは、営業活動によるキャッシュ・フローのほか、銀行借入、資本市場における社債およびコマーシャル・ペーパーの発行等により、必要資金を調達しております。当社グループの財務活動の方針は、低利かつ中長期にわたり安定的な資金調達を行うこと、および十分な流動性を確保することであります。
当社グループの当連結会計年度末の現金及び現金同等物は2,319億円であり、流動比率(流動資産/流動負債)は122.0%であります。また、短期的な資金需要に対応するため、コマーシャル・ペーパーの発行枠を1,800億円と、大手邦銀のシンジケート団による800億円のコミットメント・ラインおよび、大手外銀のシンジケート団による210億円のマルチカレンシー(円・米ドル・ユーロ建)によるコミットメント・ラインを有しております。
(5) 経営方針・経営戦略等又は経営上の目標の達成状況
「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4)2016年度~2018年度中期経営計画」に記載のとおりであります。
連結財務諸表規則(第7章及び第8章を除く。以下「日本基準」という。)により作成した要約連結財務諸表、要約連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項の変更は、以下のとおりであります。
なお、日本基準により作成した要約連結財務諸表については、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査を受けておりません。
|
|
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(単位:百万円) |
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前連結会計年度 (2017年3月31日) |
当連結会計年度 (2018年3月31日) |
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資産の部 |
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流動資産 |
1,231,134 |
1,334,755 |
|
固定資産 |
|
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有形固定資産 |
626,204 |
658,645 |
|
無形固定資産 |
347,273 |
335,075 |
|
投資その他の資産 |
647,130 |
707,736 |
|
固定資産合計 |
1,620,607 |
1,701,456 |
|
資産合計 |
2,851,741 |
3,036,211 |
|
負債の部 |
|
|
|
流動負債 |
906,735 |
992,047 |
|
固定負債 |
782,512 |
768,328 |
|
負債合計 |
1,689,247 |
1,760,375 |
|
純資産の部 |
|
|
|
株主資本 |
706,965 |
805,464 |
|
その他の包括利益累計額 |
113,336 |
115,379 |
|
非支配株主持分 |
342,193 |
354,993 |
|
純資産合計 |
1,162,494 |
1,275,836 |
|
負債純資産合計 |
2,851,741 |
3,036,211 |
要約連結損益計算書
|
|
|
(単位:百万円) |
|
|
前連結会計年度 (自 2016年4月1日 至 2017年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2017年4月1日 至 2018年3月31日) |
|
売上高 |
1,954,283 |
2,216,978 |
|
売上原価 |
1,285,764 |
1,455,885 |
|
売上総利益 |
668,519 |
761,093 |
|
販売費及び一般管理費 |
534,214 |
582,033 |
|
営業利益 |
134,305 |
179,060 |
|
営業外収益 |
56,820 |
74,246 |
|
営業外費用 |
24,524 |
30,321 |
|
経常利益 |
166,601 |
222,985 |
|
特別利益 |
31,695 |
13,685 |
|
特別損失 |
53,136 |
34,172 |
|
税金等調整前当期純利益 |
145,160 |
202,498 |
|
法人税等 |
28,138 |
39,618 |
|
当期純利益 |
117,022 |
162,880 |
|
非支配株主に帰属する当期純利益 |
31,556 |
36,841 |
|
親会社株主に帰属する当期純利益 |
85,466 |
126,039 |
要約連結包括利益計算書
|
|
|
(単位:百万円) |
|
|
前連結会計年度 (自 2016年4月1日 至 2017年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2017年4月1日 至 2018年3月31日) |
|
当期純利益 |
117,022 |
162,880 |
|
その他の包括利益合計 |
△11,617 |
△553 |
|
包括利益 |
105,405 |
162,327 |
|
(内訳) |
|
|
|
親会社株主に係る包括利益 |
75,729 |
128,153 |
|
非支配株主に係る包括利益 |
29,676 |
34,174 |
前連結会計年度(自 2016年4月1日 至 2017年3月31日)
|
|
(単位:百万円) |
|||
|
|
株主資本 |
その他の 包括利益累計額 |
非支配株主持分 |
純資産合計 |
|
当期首残高 |
643,711 |
123,163 |
323,902 |
1,090,776 |
|
会計方針の変更に よる累積的影響額 |
194 |
△96 |
- |
98 |
|
会計方針の変更を 反映した当期首残高 |
643,905 |
123,067 |
323,902 |
1,090,874 |
|
当期変動額 |
63,060 |
△9,731 |
18,291 |
71,620 |
|
当期末残高 |
706,965 |
113,336 |
342,193 |
1,162,494 |
当連結会計年度(自 2017年4月1日 至 2018年3月31日)
|
|
(単位:百万円) |
|||
|
|
株主資本 |
その他の 包括利益累計額 |
非支配株主持分 |
純資産合計 |
|
当期首残高 |
706,965 |
113,336 |
342,193 |
1,162,494 |
|
当期変動額 |
98,499 |
2,043 |
12,800 |
113,342 |
|
当期末残高 |
805,464 |
115,379 |
354,993 |
1,275,836 |
|
|
|
(単位:百万円) |
|
|
前連結会計年度 (自 2016年4月1日 至 2017年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2017年4月1日 至 2018年3月31日) |
|
営業活動によるキャッシュ・フロー |
187,446 |
288,445 |
|
投資活動によるキャッシュ・フロー |
△199,742 |
△156,673 |
|
財務活動によるキャッシュ・フロー |
△8,122 |
△88,090 |
|
現金及び現金同等物に係る換算差額等 |
△1,885 |
△5,113 |
|
現金及び現金同等物の増減額(△は減少) |
△22,303 |
38,569 |
|
現金及び現金同等物の期首残高 |
215,592 |
193,289 |
|
現金及び現金同等物の期末残高 |
193,289 |
231,858 |
前連結会計年度(自 2016年4月1日 至 2017年3月31日)
a 連結の範囲に関する事項
当連結会計年度中に子会社となった株式会社田中化学研究所等16社について、企業集団としての財務内容の開示をより充実する観点から当連結会計年度より連結の範囲に含めております。また、事業再編等によりサーモ株式会社等6社については、連結の範囲から除外しております。
b 持分法の適用に関する事項
当連結会計年度中に関連会社となった旭友電子材料科技(無錫)有限公司等2社について、当連結会計年度より持分法の適用の範囲に含めております。また、株式の追加取得により子会社となった住化スタイロン ポリカーボネート株式会社については、持分法の適用の範囲から除外しております。
c 会計方針の変更に関する事項
(繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針の適用)
「繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針」(企業会計基準適用指針第26号 2016年3月28日。以下「回収可能性適用指針」という。)を当連結会計年度から適用し、繰延税金資産の回収可能性に関する会計処理の方法の一部を見直しております。
回収可能性適用指針の適用については、回収可能性適用指針第49項(4)に定める経過的な取扱いに従っており、当連結会計年度の期首時点において回収可能性適用指針第49項(3)①から③に該当する定めを適用した場合の繰延税金資産および繰延税金負債の額と、前連結会計年度末の繰延税金資産および繰延税金負債の額との差額を、当連結会計年度の期首の利益剰余金およびその他の包括利益累計額に加減しております。
これによる連結財務諸表に与える影響は軽微であります。
当連結会計年度(自 2017年4月1日 至 2018年3月31日)
a 連結の範囲に関する事項
当連結会計年度中に子会社となったボタニカル リソーシズ オーストラリア プライベート リミテッド等18社について、企業集団としての財務内容の開示をより充実する観点から当連結会計年度より連結の範囲に含めております。また、事業再編等によりスミトモ ケミカル シンガポール プライベート リミテッド等10社については、連結の範囲から除外しております。
b 持分法の適用に関する事項
当連結会計年度中に関連会社となったZSエラストマー株式会社について、当連結会計年度より持分法の適用の範囲に含めております。また、株式会社クリエイトワクチン等3社については、清算により持分法の適用の範囲から除外しております。
IFRSにより作成した連結財務諸表と日本基準により作成した連結財務諸表の経営成績等の状況の概要に係る主要な項目における差異は、以下のとおりであります。
前連結会計年度(自 2016年4月1日 至 2017年3月31日)
「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 40.初度適用」に記載のとおりであります。
当連結会計年度(自 2017年4月1日 至 2018年3月31日)
(のれんの償却)
日本基準ではのれんは計上後20年以内でその効果の発現する期間にわたって均等償却しておりましたが、IFRSでは償却を行わず、毎期減損テストを実施しております。この影響により、IFRSでは日本基準に比べて「販売費及び一般管理費」が9,496百万円減少しております。
(研究開発費の資産計上)
日本基準ではすべての研究開発費を費用処理しておりましたが、IFRSでは一定の要件を満たしたものを無形資産に認識し、見積耐用年数にわたって定額法で償却しております。この影響により、IFRSでは日本基準に比べて「販売費及び一般管理費」が4,736百万円減少しております。
(条件付対価の負債計上)
日本基準では企業結合契約における条件付対価は企業結合後にその交付または引渡しが確実となる時点まで負債を認識しておりませんでしたが、IFRSでは企業結合時点における公正価値を金融負債に認識し、その後の公正価値の変動を反映しております。この影響により、IFRSでは日本基準に比べて「販売費及び一般管理費」が14,744百万円減少しております。
|
契約会社名 |
契約相手先 |
国名 |
内容 |
対価 |
有効期間 |
|
大日本住友製薬 株式会社 |
アルミラル社 |
スペイン |
エバスチン に関する技術 |
ランニング・ ロイヤリティ |
1988年1月~2012年12月 以後5年間ずつ自動更新 |
|
大日本住友製薬 株式会社 |
ブリストル・ |
日本 |
イルベサルタン に関する技術 |
一時金 ランニング・ ロイヤリティ |
2006年7月~ |
|
大日本住友製薬 株式会社 |
ニューロクライン社 |
アメリカ |
インディプロン に関する技術 |
一時金 ランニング・ ロイヤリティ |
2007年10月~ |
|
大日本住友製薬 株式会社 |
インターセプト |
アメリカ |
ファルネソイドX |
一時金 ランニング・ ロイヤリティ |
2011年3月~ 国毎に、最初または第2適応症の上市から10年間、または独占期間のどちらか長い方 |
|
大日本住友製薬 株式会社 |
バイオエレクトロン テクノロジー社 |
アメリカ |
EPI-743および |
一時金 ランニング・ ロイヤリティ |
2013年3月~ 発売から10年間または 協議により延長可能 |
|
大日本住友製薬株式会社 |
サンバイオ社 |
アメリカ |
SB623に関する技術 |
一時金 ランニング・ ロイヤリティ |
2014年9月~ |
|
大日本住友製薬株式会社 |
ポクセル社 |
フランス |
イメグリミンに関する技術 |
一時金 ランニング・ロイヤリティ |
2017年10月~ 国毎に、発売から10年間または特許満了日の長い方 |
|
サノビオン社 |
ビアル・ポルテラ・アンド・シーエー社 |
ポルトガル |
エスリカルバゼピンに関する技術 |
一時金 |
2007年12月~ |
|
サノビオンCNSカナダ社 |
アクエスティブ |
アメリカ |
APL-130277 |
一時金 |
2016年4月~2024年12月 |
|
トレロ社 |
サノフィ社 |
フランス |
アルボシジブ |
一時金 |
2013年4月~ |
(注) 1 当連結会計年度において、商号が変更されております。
2 「第2 事業の状況 4 経営上の重要な契約等」はIFRSの開示要請に基づくものが含まれます。また、IFRSにより要求されている、関連するその他開示項目は「第5 経理の状況 連結注記 37. コミットメント」に記載のとおりです。
以下の契約につきましては、契約終了の合意に伴い、当連結会計年度において終了しました。
|
契約会社名 |
契約相手先 |
国名 |
内容 |
対価 |
有効期間 |
|
サノビオン社 |
アストラゼネカ社 |
イギリス |
シクレソニド |
一時金 ランニング・ロイヤリティ |
2008年1月~ 発売から15年間 |
当社グループ(当社および連結子会社)は、事業拡大と収益向上に寄与すべく、独自の優位性ある技術の確立を基本方針とし、各社が独自に研究開発活動を行っているほか、当社グループ全体としての効率性を念頭に置きながら、互いの研究開発部門が密接に連携して共同研究や研究開発業務の受委託等を積極的に推進しております。
当連結会計年度においては、2016年度から2018年度までの中期経営計画に従い、引き続き環境・エネルギー、ICT(情報・通信技術)、ライフサイエンスの3分野に研究資源を重点投入するとともに、異分野技術融合による新規事業の芽の発掘とその育成に取り組んできました。
これに基づき、当連結会計年度の研究開発費は、前連結会計年度に比べ73億円増加し、1,653億円となりました。
セグメントごとの研究開発活動を示すと次のとおりであります。
石油化学分野では、事業のグローバル競争力強化のために、プロピレンオキサイド、カプロラクタム、メタアクリルモノマーを中心とする既存バルク製品の触媒・プロセス改良、合成樹脂の製造プロセスの改良、既存素材の高性能化や新規高付加価値製品の開発に積極的に取り組んでおります。当連結会計年度において、プロピレンオキサイドでは、旺盛なライセンスオファーへより的確に応えるべく、プロセスの最適化検討を並行して行い、よりコスト競争力の高い製造技術を目指した改良研究を実施しました。ポリエチレン、ポリプロピレンでは近年需要の高まっているエネルギー関係部材に最適なポリマー材料構造の設計、製造技術の検討に進捗がみられました。また温室効果ガスの削減の取り組みに呼応し、自動車の軽量化への寄与を念頭に樹脂加工技術を応用した樹脂外板材用ポリオレフィン材料の開発や、環境負荷低減包装への要求に応じ高性能なパウチ包装用ポリオレフィン材料の開発に進展が見られました。新製品開発では蓄熱性能を有する樹脂材料の実用化に向け、衣・住の快適性に寄与し得る用途開発が進展しました。
なお、石油化学部門における当連結会計年度の研究開発費は66億円であります。
エネルギー・機能材料分野では、リチウムイオン二次電池用部材、スーパーエンジニアリングプラスチックス、低燃費タイヤ用の高性能ゴムなどの環境・エネルギー関連事業拡大のため、無機材料、合成ゴム材料、機能性樹脂材料などの幅広い分野で、新規製品創出や既存製品の競争力強化に向けた研究開発に取り組んでおります。
当連結会計年度において、リチウムイオン二次電池用部材に関しては、自動車向けを中心に性能向上や需要拡大の要請に応えるため、開発を鋭意進めました。耐熱セパレータについては、性能向上・コスト削減を目指した新規膜の技術開発が進捗しており、正極材については独自技術を用いた高容量タイプの開発品につき顧客評価を進めております。負極やセパレータ塗工に用いるアルミナについては、生産性向上について検討を進め、20-30%の効率向上を達成しました。
機能樹脂分野においては、電気・電子分野向け、また自動車部材向けにスーパーエンジニアリングプラスチックスの需要が増大しており、性能向上を図ることで顧客要望に対応するべく開発を進めております。ポリエーテルサルホン(PES)に関しては千葉工場にて第2プラントが完成し2018年度初めから稼働予定であり、航空機用途のみならず、自動車部材や高機能膜向けの開発・拡販を積極的に進めております。液晶ポリマー(LCP)に関しては、電気・電子分野向けにコネクター用途への開発・拡販を進めるとともに、新たに高速通信対応のフィルムグレードの展開と開発を進めており、顧客採用が進んでおります。
なお、エネルギー・機能材料部門における当連結会計年度の研究開発費は75億円であります。
情報電子化学分野では、日本国内に留まらず情報電子化学部門内のグローバルな技術・研究開発能力を結集し、IT関連の先端技術に対応する新規材料・部材・デバイスに関する新製品の開発に引き続き積極的に取り組んでおります。当連結会計年度におきましては、先ず機能性光学フィルム分野において、OLEDの一部用途先に当社独自の材料技術からなる液晶塗布型位相差フィルムを新たに量産・上市し、顧客から高い評価を得ております。さらなる展開のため、モバイル用OLEDパネル向け製品への展開も手掛け、市場投入の目途を得ております。今後も成長が続くモバイル機器・車載機器分野に対し、当社独自の優れた要素技術を生かし、新しい商品開発を推し進めてまいります。電子材料分野におきましては、ディスプレイ用高輝度・高色再現性カラーレジストや半導体前工程向け液浸ArFレジスト、半導体後工程向け厚膜i線レジスト等に対し、これまで培ってきた優れた分子設計機能や有機合成技術を生かした製品を市場投入し、国内外の大手需要家から高い評価を得ております。更に最先端微細加工であるEUVや伸長著しい3D-NANDプロセス用レジストへの参入を目指し開発を進めております。化合物半導体分野では、光/電子デバイス分野やパワーデバイス分野で期待されるGaN系材料の早期開発・工業化に向けた技術開発に力を入れるとともに、モーション/イメージセンサー等に用途が拡大しているVCSELの事業拡大に向けた開発を推進しております。表示デバイス分野におきましては、韓国を中心にフィルムベースタッチセンサーの量産技術を基盤とした様々な複合型センサーの開発を進めております。また、次世代ディスプレイとして期待されているフレキシブルディスプレイに用いられる様々な新規部材の開発をグループ横断的に取り組んでおります。そのなかでも、ウィンドウフィルム、液晶塗布型偏光子については量産化の目途を得ており、さらにタッチセンサー等も含めた複数の機能を複合化した機能統合部材の開発を推し進めております。
なお、情報電子化学部門における当連結会計年度の研究開発費は173億円であります。
健康・農業関連事業分野では、急速に進展しているIoT技術を活用しながら、新製品やアプリケーション、競争力のある製造プロセスの開発に取り組むことで、コア事業の強化と周辺事業への展開および川下化を推進しております。当連結会計年度において、国内農業関連事業については、3年後の上市を目指して新規殺菌剤成分(一般名:インピルフルキサム)を含む農薬の登録申請を昨秋実施したほか、農薬・肥料製品ラインナップの更なる拡充に向けた新規化合物の探索・製品開発を推進しております。また、コメ事業についても事業の本格化に備えた良食味や多収等の特徴を有する新品種の開発を継続しております。さらに、種子・種苗、潅水資材等を取り扱う住化農業資材株式会社や農業用フィルムを取り扱うサンテーラ株式会社などのグループ会社と連携しながら、農業生産者への総合的なソリューションの提供を進めております。海外農業関連事業においてもインピルフルキサムの開発を進めており、2017年にブラジル、アルゼンチン、米国、カナダにおいて農薬登録申請を実施しました。また、米国の中西部農業研究センターが完成し、主要穀物(トウモロコシ、ダイズ、小麦等)をターゲットとした農薬の圃場での性能評価体制を強化しております。他社との協業を通じた事業拡大を目指し、2017年6月に、当社の発明した新規殺菌剤成分をグローバルな協力関係の下で開発することにビーエーエスエフ社と合意しました。また同月、バイエル社との間で、ブラジルのダイズを対象としたインピルフルキサムを含む混合剤の開発に合意しました。デュポン社(現 ダウ・デュポン社)とは、主要作物を対象とした種子処理技術の開発、登録、商業化に関して、グローバルに協力する事に合意しました。さらに、米国の種子・バイオ大手であるモンサント社と2016年に合意した雑草防除体系の創出プロジェクト(当社が新規除草剤、モンサント社が耐性作物の開発を担当)にも引き続き取り組んでおります。また、資本提携している豪州農薬会社ニューファーム社とは業務提携に関する契約を延長し、幅広い分野(販売・開発・製造)で様々な取り組みを引き続き進めております。生活環境事業については、各重点分野における新製品開発と川下化を推進しております。家庭用殺虫剤分野では、新規ピレスロイド剤ならびに屋外用蚊忌避製品の国内薬機法承認を取得し、販売を開始しました。業務用殺虫剤分野では、難防除害虫であるトコジラミに優れた効果を示す新製品を上市しました。またエアプロテクション分野では、拡散性の優れたデバイス型芳香消臭剤の研究に注力して新製品を上市しました。熱帯感染症分野では、ピレスロイド抵抗性媒介蚊に有効なマラリア対策用防虫蚊帳の普及をWHOの推奨を受けて推進するとともに、新たな室内残留散布剤及び幼虫防除剤のWHO認証を取得し、総合防除のための製品ラインナップ拡充を進めております。アニマルニュートリション事業については、近年問題となっている家畜排泄物由来の温室効果ガスの低減を目的として、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構や国内大学などとの共同研究プロジェクトに参画し、メチオニンを含むアミノ酸バランス改善飼料の技術普及を推進しております。また、製品ラインナップ拡充のため、新規商材の探索研究にも取り組んでおります。医薬化学品事業については、当社のプロセス開発力を駆使したジェネリック原薬の製法開発に注力し、原薬・中間体の受託製造品目の拡充に取り組んでおります。また、将来の成長が見込まれる核酸医薬原薬の製造においては、GMP(Good Manufacturing Practice)体制のより一層の整備を進めるとともに、ボナック社との共同研究をより一層進めるなど、競争力のある各要素技術を獲得するための開発研究を推進しております。
なお、健康・農業関連事業部門における当連結会計年度の研究開発費は293億円であります。
医薬品分野では、精神神経領域、がん領域および再生・細胞医薬分野を研究重点領域とし、大日本住友製薬株式会社および日本メジフィジックス株式会社が有する自社技術を活かした研究開発に加え、技術ライセンス、ベンチャー企業やアカデミアとの共同研究などによる最先端の外部技術の導入にも取り組み、優れた医薬品の継続的な創製を目指しております。
当連結会計年度においては、精神神経領域で次の進展がありました。①魅力的な開発パイプラインのより効率的な創出を実現するため、2017年10月、大日本住友製薬株式会社の研究体制を改め、研究本部をリサーチディビジョンに改称するとともに、研究プロジェクト(創薬テーマ)を強力に推進するために「プロジェクト制」を採用し、プロジェクトリーダーおよびプロジェクトディレクターを配置しました。②dasotraline(開発コード:SEP-225289)について、2017年8月、米国において成人および小児の注意欠如・多動症(ADHD)を対象とした承認申請を行いました。③「トレリーフ」(一般名:ゾニサミド)について、2017年8月、日本においてレビー小体型認知症(DLB)に伴うパーキンソニズムの効能・効果を追加する一部変更承認申請を行いました。④アポモルヒネ塩酸塩水和物(開発コード:APL-130277)について、2018年3月、米国においてパーキンソン病に伴うオフ症状を対象とした承認申請を行いました。⑤非定型抗精神病薬「ロナセン」(一般名:ブロナンセリン)について、日東電工株式会社と共同開発中のテープ製剤の日本でのフェーズ3試験において主要評価項目を達成するとともに、良好な忍容性を示す解析結果速報を2018年2月に得ました。
がん領域では、ナパブカシンについて結腸直腸がんおよび膵がんを対象とした併用での国際共同フェーズ3試験を引き続き推進しました。一方、胃または食道胃接合部腺がんを対象とした同剤の国際共同フェーズ3試験については、中間解析が実施され、独立データモニタリング委員会による、主要評価項目を達成できる見込みが低いとの判断に基づく勧告を受け入れ、2017年6月、盲検の解除を決定し、事実上、同試験を中止しました。
再生・細胞医薬分野では、2018年3月、他家iPS細胞由来の再生・細胞医薬品専用の商業用製造施設としては世界初となる再生・細胞医薬製造プラントを竣工しました。引き続き、産学の連携先と、加齢黄斑変性、パーキンソン病、網膜色素変性、脊髄損傷などを対象に、他家iPS細胞を用いた再生・細胞医薬事業を推進します。
その他領域では、「ロンハラ マグネア」(一般名:グリコピロニウム臭化物)について、2017年12月、米国において慢性閉塞性肺疾患(COPD)の長期維持療法を適応とした承認を取得しました。また、2017年10月、フランスのポクセル社から、2型糖尿病治療剤として開発中のimeglimin(開発コード:PXL008)の日本、中国、韓国、台湾および東南アジア9カ国における開発・販売権を獲得しました。2017年12月には、同剤について、同社と共同で2型糖尿病を対象とした日本におけるフェーズ3試験を開始しました。
放射性医薬品については次の進展がありました。①2017年9月、効能又は効果を「アルツハイマー型認知症が疑われる認知機能障害を有する患者の脳内アミロイドベータプラークの可視化」とした「ビザミル®静注」の製造販売承認を取得しました。②2017年6月、PET検査用心筋血流イメージング剤と診断補助剤(血管拡張薬)の日本における独占的開発・製造・販売権を獲得し、診断補助剤については2018年2月よりフェーズ1試験を開始しました。
初期段階の研究については、高性能コンピューターを駆使したインシリコ創薬技術、iPS細胞などの最先端のサイエンスを取り入れた創薬に取り組んでおります。また、国内外の大学を含む研究機関等との提携も積極的に進めており、当連結会計年度においては、大日本住友製薬株式会社が学校法人北里研究所と共同で進める薬剤耐性菌感染症治療薬の創製、並びに、日本メジフィジックス株式会社が中心となって推進するセラノスティックス(治療と診断の融合)薬剤開発が日本医療研究開発機構(AMED)による「医療研究開発革新基盤創成事業(CiCLE)」の研究開発課題として採択されました。
なお、医薬品部門における当連結会計年度の研究開発費は893億円であります。
全社共通およびその他の研究分野においては、上記5事業分野の事業領域を外縁部へ積極拡大するための研究およびマテリアルズ・インフォマティクス等の計算機科学をはじめとする共通基盤技術開発とともに、既存事業の枠に属さない新規事業分野への展開を図るべく、環境・エネルギー、ICT、ライフサイエンスの各分野において研究開発に取り組んでおります。当連結会計年度においては、次の進展がありました。ICT分野では、ディスプレイ用途において、高分子有機EL材料の性能向上のための開発を継続した結果、パネルで発現される性能が実用的なレベルに達しました。環境・エネルギー分野では、高分子有機EL照明において、フレキシブル基板ベースの一般照明パネルの開発、生産プロセスの検討を継続して実施しました。ライフサイエンス分野においては、培養細胞を用いた、生体を使わない化学品安全性評価システムの構築に取り組んでおります。さらに上記3分野のうち、複数の分野の技術を融合させた研究開発も進めております。例えば、3分野にまたがった研究開発としては、プリンテッド・エレクトロニクス技術の開発に引き続き注力し、開発を加速しております。
また、ライフサイエンス分野の新規事業創出を加速させるため、2018年1月1日の組織改正により、当社子会社の大日本住友製薬株式会社ゲノム科学研究所を廃止し、その機構を当社へ移管するとともに、生物環境科学研究所、先端材料開発研究所が持つ一部の研究機能を集約・統合し、バイオサイエンス研究所を新設しました。
なお、全社共通部門における当連結会計年度の研究開発費は153億円であります。
このように、事業拡大および競争力強化を図るべく、新製品・新技術の研究開発および既存製品の高機能化・既存技術の一層の向上に取り組み、各事業分野におきまして着実に成果を挙げつつあります。