第2 【事業の状況】

 

1 【業績等の概要】

(1) 業績

当期のわが国経済は、日銀の金融緩和政策や原油価格の下落を背景に、企業業績や雇用環境に改善が見られたが、個人消費は消費者マインドの悪化などから低調に推移し、また期末にかけて急速な円高傾向となったこともあり、景気回復は総じて力強さを欠く状況となった。海外経済は、米国は底堅い景気回復が続き、欧州でも構造的な不安定要因を抱えながらも緩やかな回復が見られたが、中国の成長率鈍化、新興国や資源国の減速が鮮明となり、世界経済の下振れ懸念が高まった。

このような状況のもとで、当期の当社グループの売上高は870億3百万円前期比6.1%減)、営業利益は74億4百万円前期比2.1%増)、経常利益は63億2千9百万円前期比23.4%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は40億1千3百万円前期比27.6%減)と、前期に比べ減収減益となった。

なお、平成26年3月期より、当社グループの業績をより適切に管理・開示するために、順次、海外連結子会社の会計年度終了日を12月31日から連結会計年度と同じ3月31日に変更していることに伴い、前期には2社、当期には1社が1月1日から翌年3月31日までの15ヶ月間の実績を連結している。これによる業績への影響は軽微である。

また、第1四半期連結会計期間より、組織変更に伴い「化学品」セグメントに属していた「工業薬品事業」を「ガス・エンジニアリング」セグメントに区分変更している。

 

セグメントの業績は次のとおりである。

<化学品セグメント>

当セグメントでは、売上高は186億7百万円前期比4.4%増)、営業利益は25億6千1百万円前期比65.3%増)と増収増益となった。これは微粒子ポリマーの販売数量が増加したこと、および原料価格が下落したことによるものである。

<吸水性樹脂セグメント>

当セグメントでは、売上高は530億3百万円前期比10.0%減)、営業利益は40億8千6百万円前期比15.1%減)と減収減益となった。これは、当期から姫路の増強設備が稼動し、販売数量は増加したが、原油相場の下落による製品価格への下押し圧力と需給環境の緩和を受けて、価格が軟化したことによるものである。

<ガス・エンジニアリングセグメント>

当セグメントでは、売上高は153億9千3百万円前期比3.8%減)、営業利益は7億3千5百万円前期比18.3%減)と減収減益となった。これは、エレクトロニクスガスの販売は堅調に推移したものの価格が軟化したこと、および工業薬品の販売が減少したことによるものである。

 

(2) キャッシュ・フロー

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ、17億6千2百万円減少し143億1千8百万円となった。

①営業活動によるキャッシュ・フロー

当連結会計年度の営業活動による資金の増加は、123億3千6百万円前期比43億円の増加)となった。主な内訳は、税金等調整前当期純利益が62億1千8百万円、減価償却費が59億1千1百万円、売上債権の減少額が13億4千4百万円、法人税等の支払額が17億4千1百万円などである。

②投資活動によるキャッシュ・フロー

当連結会計年度の投資活動による資金の減少は、127億4千2百万円前期比56億5千万円の増加)となった。主な内訳は、固定資産の取得による支出123億9千9百万円などである。

③財務活動によるキャッシュ・フロー

当連結会計年度の財務活動による資金の減少は、6億5千7百万円前期比51億2千5百万円の増加)となった。主な内訳は、配当金の支払による支出10億3千4百万円などである。

 

2 【生産、受注及び販売の状況】

(1) 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりである。

 

セグメントの名称

生産高(百万円)

前期比(%)

化学品

17,529

+4.2

吸水性樹脂

54,221

△7.6

ガス・エンジニアリング

13,982

△3.6

合計

85,733

△4.7

 

(注) 1 金額は、販売価格によっている。

2 上記の金額には、消費税等は含まれていない。

3 セグメント間の取引については相殺消去している。

 

(2) 受注実績

当連結会計年度における「ガス・エンジニアリング」のうち、エンジニアリングの受注実績は次のとおりである。

なお、エンジニアリングを除く製品については、見込み生産を行っている。

 

セグメントの名称

受注高(百万円)

前期比(%)

受注残高(百万円)

前期比(%)

ガス・エンジニアリング

3,518

+2.3

2,787

+24.5

 

(注) 1 上記の金額には、消費税等は含まれていない。

2 セグメント間の取引については相殺消去している。

 

(3) 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりである。

 

セグメントの名称

販売高(百万円)

前期比(%)

化学品

18,607

+4.4

吸水性樹脂

53,003

△10.0

ガス・エンジニアリング

15,393

△3.8

合計

87,003

△6.1

 

(注) 1 上記の金額には、消費税等は含まれていない。

2 セグメント間の取引については相殺消去している。

3 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合については、当該割合が100分の10以上の相手先がないため、記載を省略している。

 

3 【対処すべき課題】

今後のわが国経済は、日銀の金融緩和政策、政府の経済政策や消費増税の動向、外国為替市場や株式市場の動きが景気に与える影響などに注視が必要であり、先行きは不確かな状況にある。

海外では、中国を始めとする新興国や資源国の経済停滞、米国の政策金利引き上げの影響、また地政学的リスクの拡大といった多くのリスク要因を抱えており、世界経済は先行き不透明な状況が続くことが予想される。

このような状況において、当社グループは、今後当社グループが中長期的に目指すべき将来像を定め、それを具体化する経営目標と戦略について、平成29年3月期を初年度とする新たな中長期経営計画「SEIKA Grand Design 2025 “URUOI”」を策定した。新計画のもと、今後とも持続的な成長と中長期的な企業価値向上を図っていく。

 

セグメント毎の課題および取組みについては次のとおりである。

 

化学品セグメントでは、新製品開発を一段と加速していくための研究開発に経営資源をより積極的に投入していく。既存製品についても、多様化する顧客ニーズを的確に捉え、新規用途への展開を図ることにより、収益基盤の強化に努めていく。

吸水性樹脂セグメントでは、厳しい市場環境のもと、韓国に建設中の新規拠点を計画どおりに完成させ、顧客へのグローバルな供給体制を充実させるとともに、高性能製品の拡販、ならびに継続的な新製品開発とテクニカルサービスにも注力して、顧客との一層の関係強化による拡販を図り、収益基盤の強化に努めていく。

ガス・エンジニアリングセグメントでは、エレクトロニクスガスのアジア4拠点の連携強化による拡販と収益力の向上を図っていく。エンジニアリングでは、海外案件を含む新規顧客の受注獲得にも積極的に取り組み、収益確保に注力していく。

当社グループは、当社グループが目指す“単なる豊かさよりも、ひとのくらにし寄り添った心地よさを伴った快適・利便性、および一通りの満足を満たしたうえで+αが感じられるような製品とサービス、乾いた地球をうるおすような地球環境改善への貢献、および世界の人々が安心して暮らせるための課題解決に貢献する製品とサービス”の提供を通じて、持続的な成長の実現に挑戦していく。また、コンプライアンス、内部統制システムの充実、製品の品質維持・向上、環境保護と安全の確保、様々なステークホルダーとの対話を通じたコーポレートガバナンスの強化に取り組んでいく。

 

4 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがある。

なお、ここに記載した事項は、当連結会計年度末現在において当社グループがリスクとして判断したものであるが、当社グループに関するすべてのリスクを網羅したものではない。

また、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものである。

 

(1)市場や供給に係るリスク

①当社グループが購入している原・燃料等の仕入価格は、需給バランスや市況により急激な価格変動を起こすことがある。これらの仕入価格が急激に上昇した場合、製品価格への転嫁が遅れることなどにより、当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性がある。

②当社グループは、事業を展開する市場において厳しい価格競争に直面している。海外企業の国内市場参入、安価な輸入品の流入など、様々な理由により当社グループの製品群は今後も厳しい価格競争に晒されるものと予想される。当社グループはコストの低減に努めているが、価格競争を克服できない場合、当社グループの経営成績ならびに財政状況に悪影響を及ぼす可能性がある。

③当社グループが購入する原材料の一部については、特定の購入先に依存している。購入先を複数にするなど、主要原料が購入できないリスクを低減するように努めているが、時に主要原料の不足が生じないという保証はない。必要な主要原料が確保できない場合、当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性がある。

 

 

(2)為替レート変動に係るリスク

当社グループは、国内で製造した製品を海外に輸出するとともに海外から原料等を輸入しているが、輸出高は輸入高を上回っている。外国通貨に対して円高が進行した場合、海外で生産された製品に対する価格競争力が低下することに加え、輸出手取額の減少が輸入支払額の減少を上回ることになる。このようなリスクに対しては、為替予約や円建て輸出取引を行うことによりリスクを最小限にするように努めているが、中長期的な為替レートの変動によるリスク等を完全にヘッジすることは出来ないため、円高の進行は当社グループの経営成績ならびに財政状況に悪影響を及ぼす可能性がある。また、海外の連結子会社の経営成績は、連結財務諸表作成のために円換算されている。換算時の為替レートにより、円換算後の価値が影響を受ける可能性があり、当社グループの経営成績ならびに財政状況に悪影響を及ぼす可能性がある。

 

(3)退職給付債務に係るリスク

当社グループの従業員退職給付費用および債務は、年金資産の長期期待運用収益率や割引率などの数理計算上の前提に基づいて算出されている。年金資産運用環境の悪化により前提と実績に乖離が生じた場合や退職給付信託に拠出している上場株式の株価の下落は、将来の退職給付費用の増加になり、当社グループの経営成績ならびに財政状況に悪影響を及ぼす可能性がある。

 

(4)その他経営全般に係るリスク

(海外事業展開)

当社グループは、海外での事業活動を今後一層拡大していくこととしている。海外で事業活動を行っていくには法律や規制の変更、人材の採用と確保の難しさ、テロ・戦争・その他の要因による社会的混乱などのリスクが内在しており、これらのリスクが顕在化した場合は、当社グループの経営成績ならびに財政状況に悪影響を及ぼす可能性がある。

(知的財産権)

当社グループは、他社と差別化できる技術とノウハウを蓄積し事業の競争力を強化してきたが、当社グループ独自の技術・製品とノウハウの一部は、特定の地域において完全な保護が不可能で、第三者が当社グループの知的財産を使用して類似製品を製造することを効果的に防止できない可能性がある。また将来、知的財産に係る紛争が生じ、当社グループに不利な判断がなされる可能性がある。

(製品の品質)

当社グループは、世界的に認められている厳格な品質管理基準に従って、各種製品を製造しているが、すべての製品について欠陥が無く、将来に亘ってリコールが発生しないという保証はない。大規模な製品事故は、多額のコストや当社グループの評価に重大な影響を与え、当社グループの経営成績ならびに財政状況に悪影響を及ぼす可能性がある。

(事故・災害)

当社グループは、製造設備の停止や製造設備に起因する事故などによる潜在的なマイナス要因を最小化するため、すべての製造設備において定期的な点検を実施している。しかしながら、製造設備で発生する事故、自然災害等による影響を完全に防止・軽減できる保証はない。また、当社グループの事業活動におけるシステム・ネットワークへの依存度は年々拡大しており、セキュリティの高度化などによりシステムやデータの保護に努めているが、停電、自然災害やコンピューターウィルス、ハッカー等のシステム犯罪などにより、システム・ネットワーク障害が生じる可能性がある。事故等により、工場周辺に物的・人的被害を及ぼした場合、あるいは、システム・ネットワーク障害が発生した場合、事業活動に支障をきたすほか多額のコストや当社グループの評価に重大な影響を与え、当社グループの経営成績ならびに財政状況に悪影響を及ぼす可能性がある。

 

(規制変更)

当社グループは、事業展開する各国の規制に従い、業務を遂行している。将来における法律、規則、政策、実務慣行、解釈およびその他の政策変更ならびにそれらによって発生する事態が、当社グループの業務遂行や経営成績等に悪影響を及ぼす可能性がある。また将来的に環境および化学品安全等に対する法的規制が強化され、新たなコストが発生する可能性がある。

(財務制限条項)

当社が複数の金融機関との間で締結している借入れに係る契約には財務制限条項が定められている。従って、当社の連結もしくは単体の純資産、連結もしくは単体の有利子負債額、単体営業損益が当該財務制限条項に定める水準を下回ることとなった場合には、金融機関の請求により、当該借入れについて期限の利益を喪失する可能性がある。

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はない。

 

6 【研究開発活動】

平成28年度は、新中長期経営計画(SEIKA Grand Design 2025“URUOI”)の初年度として、本計画において新事業創出の事業ドメインと位置付けた、医療・生活関連等のライフサイエンス分野、環境・エネルギー分野およびエレクトロニクス分野の研究開発活動に積極的に取り組む。

当連結会計年度における研究開発費の総額は 22億9千8百万円であり、各セグメント別の研究の目的、主要課題、研究成果および研究開発費は次のとおりである。

(1) 化学品

主に、ポリマー重合技術、微粒子化・乳化技術、有機合成技術などの基盤技術を活用して機能化学品、精密機能製品の研究開発を行っている。

当連結会計年度の主な成果としては、電池用材料、光学用特殊材料及び新規増粘剤の開発とその販売等があげられる。

当セグメントに係る研究開発費は、12億1千7百万円である。

(2) 吸水性樹脂

高吸水性樹脂は当社の基幹製品であり、品質・価格競争力の強化と幅広いニーズへ対応するために、新製品・高機能タイプの開発、既存プロセスの改良等に取り組んでいる。

当連結会計年度の主な成果としては、高付加価値や環境ニーズに対応した製品の開発とその販売等があげられる。

当セグメントに係る研究開発費は、5億2千1百万円である。

(3) ガス・エンジニアリング

当社の基盤技術であるガス分離・高純度化技術、微量成分測定技術を活かして、環境・エネルギー・情報電子産業に貢献できるガス製品やガス発生、精製、回収装置の開発を行っている。

当連結会計年度の主な成果としては、エレクトロニクス用高純度材料ガス、高純度水素発生装置及び炭酸ガス、ヘリウムガス回収装置の開発とその販売があげられる。

当セグメントに係る研究開発費は、3億3千万円である。

(4) 全社共通

将来の新規事業を創出することを目的に、中長期的な研究開発を全社横断的に推進する組織を新設した。世の潮流を踏まえ、当社の基盤技術・独自機能を起点としてアプローチできる成長分野をターゲットに捉え、幾つかのテーマで事業化検討を進めている。

当セグメントに係る研究開発費は、2億2千8百万円である。

 

7 【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 財政状態の分析

当連結会計年度末における財政状態は次のとおりとなった。

①資産の部

当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ3億7千7百万円減少し、1,045億7千6百万円となった。これは主に高吸水性樹脂製造設備等の有形固定資産が増加したものの、現預金及び売掛債権が減少したことなどによるものである。

②負債の部

負債は、前連結会計年度に比べ9億4千3百万円減少し、484億4千5百万円となった。これは主に設備未払金が減少したことなどによるものである。

③純資産の部

純資産(非支配株主持分を含む)は、利益剰余金の増加などにより、前連結会計年度末に比べ、5億6千5百万円増加し、561億3千万円となった。自己資本比率は、前連結会計年度末に比べ0.6ポイント上昇し、51.2%となった。

④経営指標

利益剰余金が増加したこと等により、純資産は増加し、一株当たり純資産額は前連結会計年度末770.30円から776.48円に増加した。

 

(2) 経営成績の分析

当連結会計年度の経営成績は次のとおりとなった。

①売上高および営業利益

売上高は、前期に比べ56億9千4百万円6.1%)減少し、870億3百万円となった。また、営業利益は74億4百万円となり、前期に比べ1億5千2百万円2.1%)増加した。

なお、売上高および営業利益の概要については、「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (1)業績」に記載している。

②経常利益

経常利益は63億2千9百万円となり、前期に比べ19億3千5百万円23.4%)減少した。

③税金等調整前当期純利益

税金等調整前当期純利益は62億1千8百万円となり、前期に比べ19億2千6百万円23.7%)減少した。

④親会社株主に帰属する当期純利益

親会社株主に帰属する当期純利益は40億1千3百万円となり、前期に比べ15億2千9百万円27.6%)減少した。

法人税、住民税及び事業税と法人税等調整額の合計額は18億8千7百万円となり、税金等調整前当期純利益62億1千8百万円に対する税効果会計適用後の法人税等の負担率は30.4%となった。

⑤経営指標

親会社株主に帰属する当期純利益が減益となったことから、1株当たり当期純利益は前連結会計年度の80.37円から58.20円に減少し、また自己資本利益率は、前連結会計年度の11.2%から7.5%に減少した。

 

(3) キャッシュ・フロー

営業活動による資金の増加は税金等調整前当期純利益や減価償却費の影響により123億3千6百万円となり、固定資産取得等の投資活動による資金の減少(127億4千2百万円)と見合いとなった。また、配当金の支払等により財務活動による資金の減少は6億5千7百万円となった。この結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、143億1千8百万円(前期比17億6千2百万円減)となった。