第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

当社を取り巻く環境は、新型コロナウイルス感染症の世界的大流行の影響や原料価格上昇などにより、厳しい状況が続くと予想されます。

 

一方で当社は、2020年度から2022年度までの中期経営計画において、喫緊の経営課題である事業構造の変革および研究開発の強化に取り組み、3事業すべてが成長を牽引する事業構造への転換を進めることとしております。
 本経営計画では最終年度(2022年度)の目標として、売上高1,200億円、営業利益80億円、ROE8.5%の達成を目指してまいります(前提とする諸条件は、為替レートが110円/米ドル、15.0円/人民元、国産ナフサ40,000円/KL)。

 

<2022年度 中期経営計画 数値目標>

 

(単位:億円)

事業別

2022年度 目標

 吸水性樹脂事業

780

 機能化学品事業

240

 ガス・エンジニアリング事業

180

売上高

1,200

 吸水性樹脂事業

27

 機能化学品事業

28

 ガス・エンジニアリング事業

25

営業利益

80

親会社株主に帰属する当期純利益

55

ROE

8.5%

(前提)

 

 円/人民元

15.0

 円/米ドル

110.0

 国産ナフサ価格(円/KL)

40,000

 

 

本中期経営計画を踏まえたセグメント別の課題および取り組みについては次のとおりであります。

 

吸水性樹脂セグメントでは、高付加価値分野に研究開発リソースを集中投下し、顧客の多様なニーズを実現する新グレードの開発や、中国・アジアなどの成長市場におけるテクニカルマーケティングの強化を通じ、当社製品・技術サービスの差別化および新グレードの拡販に注力してまいります。同時に、抜本的な合理化として製造プロセス改善、生産体制再構築、サプライチェーン最適化に取り組み、競争力強化と生産性向上を実現いたします。

本計画では2022年度の売上高780億円、営業利益27億円を目標としております。

 

 

機能化学品セグメントでは、パーソナルケア分野では欧米・中国などの成長市場をメインターゲットとし、化粧品・トイレタリー用増粘剤の市場ニーズにマッチした機能を開発する一方、環境分野では世界的な環境問題に対応した水系エマルジョン・有機溶剤フリーの粉体塗料への切り替えを展開してまいります。電子材料分野では5G高速通信、自動車CASE対応などの新たな市場ニーズに対応するため、最適な機能開発を進める一方、エネルギー分野では高容量化、長寿命化等の次世代車載用電池等のニーズに対応した、高機能なバインダー、添加剤を提供いたします。
 本計画では2022年度の売上高240億円、営業利益28億円を目標としております。

 

ガス・エンジニアリングセグメントでは、半導体ガスでは大手デバイスメーカー向けエッチング・成膜プロセス用高純度CO・高純度C3H6(プロピレン)の顧客・技術動向の早期把握による拡販、SiC(シリコンカーバイド)パワー半導体向け高純度C3H8(プロパン)の拡販、コストダウン実現と次期投資機会の獲得に取り組んでまいります。ガスケミカルでは工業用途向けの需要を安定確保するとともに、半導体用途などの新規需要を取り込み、プロダクトミックスを最適化してまいります。開発品ではガス製品およびPSA関連への選択と集中で効率を重視しつつ、特に次世代半導体材料で他社との提携を含めた開発を強化いたします。
 本計画では2022年度の売上高180億円、営業利益25億円を目標としております。

 

新製品の開発では、吸水性樹脂では衛材共通ニーズの漏れ、臭い、かぶれ等を解決する新製品開発の継続に加え、環境に配慮した製品を追求する技術開発、コスト削減に向けたプロセス開発に取り組んでまいります。機能化学品では電子、エネルギー分野の新製品開発を継続する一方、当社の水溶性樹脂技術を生活、医薬関連化学品、接着剤、塗料分野に向けて展開してまいります。ガス・エンジニアリングでは半導体用高純度ガスのプロダクトラインアップ拡充や新規半導体プロセス材料の開発推進、PSA技術活用ガスの適用拡大に注力いたします。

 


 

 新型コロナウイルス感染症の拡大の影響などにより、当社グループを取り巻く事業環境は先行きが見通せない不安定な状況が続いておりますが、中期経営計画の達成に向け引き続き、事業構造の変革、研究開発の強化、開発品への積極的な投資を推進し、2023年度以降の飛躍につなげてまいります。
 上記の中期経営計画を進めるなかで、グループ経営の強化、人財の育成、更なる技術力の強化に取り組む一方、カーボンニュートラルの実現に向け、環境負荷低減の取り組みをより一層推進いたします。
 当社グループは、SDGsの課題に取り組み、持続可能な社会の発展に貢献することで、社会から信頼を得て、常に社会と共存共栄する企業グループであるよう努めてまいります。

 

 

2 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

当社グループではこのようなリスクを最小化するとともに、これらを機会として活かすためのリスク管理体制の整備・充実に努めております。詳細は、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要 ③企業統治に関するその他の事項 (ロ)リスク管理体制の整備状況」に記載しております。

なお、ここに記載した事項は、当連結会計年度末現在において当社グループがリスクとして判断したものでありますが、当社グループに関するすべてのリスクを網羅したものではありません。

 

(1)市場や供給に係るリスク

①当社グループが購入している原・燃料等の仕入価格は、需給バランスや市況により急激な価格変動を起こすことがあります。これらの仕入価格が急激に上昇した場合、製品価格への転嫁が遅れることなどにより、当社グループの財政状態および経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

②当社グループは、事業を展開する市場において厳しい価格競争に直面しております。国内外の競合企業による当該市場への参入、安価な輸入品の流入など、様々な理由により当社グループの製品群は今後も厳しい価格競争に晒されるものと予想されます。当社グループはコストの低減に努めておりますが、価格競争を克服できない場合、当社グループの財政状態および経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

③当社グループが購入する原材料の一部については、特定の購入先に依存しております。購入先を複数にするなど、主要原料が購入できないリスクを低減するように努めておりますが、時に主要原料の不足が生じないという保証はありません。必要な主要原料が確保できない場合、当社グループの財政状態および経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)為替レート変動に係るリスク

当社グループは、海外を含めた製造拠点で製造した製品を輸出しております。各製造拠点において通貨高が進行した場合、製品に対する価格競争力が低下することに加え、輸出手取額が減少することになります。このようなリスクに対しては、為替予約などによりリスクを最小限にするように努めておりますが、中長期的な為替レートの変動によるリスク等を完全にヘッジすることは出来ないため、当社グループの財政状態および経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
 また、海外の連結子会社の財政状態および経営成績は、連結財務諸表作成のために円換算されております。換算時の為替レートにより、円換算後の価値が影響を受ける可能性があり、当社グループの財政状態および経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)退職給付債務に係るリスク

当社グループの従業員退職給付費用および債務は、年金資産の長期期待運用収益率や割引率などの数理計算上の前提に基づいて算出されております。年金資産運用環境の悪化により前提と実績に乖離が生じた場合や退職給付信託に拠出している上場株式の株価の下落は、将来の退職給付費用の増加になり、当社グループの財政状態および経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)中国市場に係るリスク

高吸水性樹脂の主要な市場である中国においては、現地メーカー製品の品質向上などによる高吸水性樹脂のコモディティ化や出生数の低下などにより当社グループの競争環境が激化する可能性があります。加えて、人民元建てによる主要な原料取引を行っていないため、人民元レートの変動が当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。なお、人民元レートが1%下落した場合、売上高および営業利益は通期で約2億円減少します。
 このようなリスクに対し当社グループは、子供用おむつ向けについては、技術サービス提供による強みを生かせる新興国向けの拡販を図り、大人用おむつ向けについては、薄型化など差別化可能な市場へ注力しております。

 

 

(5)固定資産の減損に係るリスク

当社グループは、固定資産の減損に係る会計基準を適用しております。当社グループが保有する固定資産について、経営環境の著しい悪化等により投資額の回収が見込めなくなった場合、減損損失が発生し、当社グループの財政状態および経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
 

(6)その他経営全般に係るリスク

(知的財産権)

当社グループは、他社と差別化できる技術とノウハウを蓄積し事業の競争力を強化してきましたが、当社グループ独自の技術・製品とノウハウの一部は、特定の地域において完全な保護が不可能で、第三者が当社グループの知的財産を使用して類似製品を製造することを効果的に防止できない可能性があります。また、現在及び将来の知的財産に係る紛争の結果、当社グループに不利な判断がなされる可能性があります。

 

(製品の品質)

当社グループは、世界的に認められている厳格な品質管理基準に従って、各種製品を製造しておりますが、すべての製品について欠陥が無く、将来に亘ってリコールが発生しないという保証はありません。大規模な製品事故は、多額のコストや当社グループの評価に重大な影響を与え、当社グループの財政状態および経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(事故・災害)

当社グループは、製造設備の停止や製造設備に起因する事故などによる潜在的なマイナス要因を最小化するため、すべての製造設備において定期的な点検を実施しております。しかしながら、製造設備で発生する事故、自然災害等による影響を完全に防止・軽減できる保証はありません。また、当社グループの事業活動におけるシステム・ネットワークへの依存度は年々拡大しており、セキュリティの高度化などによりシステムやデータの保護に努めておりますが、停電、自然災害やコンピューターウィルス、ハッカー等のシステム犯罪などにより、システム・ネットワーク障害が生じる可能性があります。事故等により、工場周辺に物的・人的被害を及ぼした場合、あるいは、システム・ネットワーク障害が発生した場合、事業活動に支障をきたすほか多額のコストや当社グループの評価に重大な影響を与え、当社グループの財政状態および経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(その他)

当社グループが事業活動を遂行している各国において、法律や規制等の変更、人材の採用と確保の難しさ、テロ・戦争・疫病・その他の要因による社会的混乱などのリスクが内在しており、これらのリスクが顕在化した場合は、当社グループの財政状態および経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
 また、将来的に環境および化学品安全等に対する法的規制が強化され、新たなコストが発生する可能性があります。
 なお、提出日現在においても、引き続き世界的に新型コロナウイルス感染症が流行しており、工場の停止や物流網の混乱など当社グループの財政状態および経営成績に悪影響を及ぼすリスクがありますが、2021年3月期および提出日現在のいずれにおいても当社グループの国内外の各製造拠点に製品供給に支障をきたす事態は生じておらず、通常の稼働を継続しております

 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当期の国内外の経済は、新型コロナウイルス感染症の世界的大流行の影響により、経済活動が大幅に縮小するなど、厳しい状況が続きました。

このような状況のもとで、当期の当社グループの売上高は1,032億5千4百万円前期比3.6%増)、営業利益は101億1百万円前期比29.9%増)、経常利益は103億7千5百万円前期比51.1%増)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、一部の研究開発用資産に係る今後の稼働計画を勘案し、減損損失を7億3百万円計上したことなどにより、71億1千9百万円前期比66.1%増)となりました。

また、1株当たり当期純利益は516.20円ROEは10.4%となりました。

当連結会計年度末の総資産は現金及び預金が増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べ75億7千3百万円増加し、1,078億3千4百万円となりました。負債は買掛金が減少したことなどにより、前連結会計年度末に比べ11億8千7百万円減少し、323億4千3百万円となりました。純資産(非支配株主持分を含む)は、前連結会計年度末に比べ87億6千万円増加754億9千1百万円となり、自己資本比率は前連結会計年度末に比べ3.4ポイント上昇し67.5%となりました。

 

セグメントの業績は次のとおりであります。

なお、当期より、経営管理方法の変更に伴い、従来「機能化学品」セグメントに含めていたセイカテクノサービス㈱を「その他」セグメントへ区分を変更しております。また、ガス製品の製造を終了し、機能化学品の製造へ向けた事業転換を進めている住精科技(揚州)有限公司についても、「ガス・エンジニアリング」セグメントから「その他」セグメントへ区分を変更しております。
 また、前期のセグメント情報については、変更後の区分方法により作成したものを記載しております。

 

<吸水性樹脂セグメント>

当セグメントでは、売上高は692億1百万円前期比5.0%増)、営業利益は58億3千7百万円前期比64.7%増)と増収増益となりました。売上高は、中国顧客が衛生材料の原材料調達を優先する動きを拡大させたことなどにより販売数量が増加したため、増収となりました。営業利益は、販売数量の増加に加えて、原料価格の下落により増益となりました。

 

<機能化学品セグメント>

当セグメントでは、売上高は179億4千万円前期比0.7%増)、営業利益は20億3千7百万円前期比6.5%増)と増収増益となりました。これはラテックス製品や医薬中間体の販売数量が増加したことなどによるものであります。

 

<ガス・エンジニアリングセグメント>

当セグメントでは、売上高は156億1千2百万円前期比1.9%増)、営業利益は22億7千6百万円前期比3.4%減)と増収減益となりました。売上高については、エレクトロニクスガスなどの販売数量が増加したことにより増収となりましたが、営業利益については、新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、飲食店店舗における食品用ガスの需要が減少したことなどにより減益となりました

 

<その他セグメント>

当社グループは上記事業のほか、人材派遣業務等を行っております。当セグメントでは、売上高は4億9千9百万円前年同期比25.5%減)、営業損失は6千万円となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ、109億8千7百万円増加し252億6千6百万円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度の営業活動による資金の増加は、162億5千1百万円前期比54億8千4百万円の増加)となりました。主な内訳は、税金等調整前当期純利益が96億6千5百万円、減価償却費が52億8千万円、法人税等の支払額が16億1千3百万円などであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度の投資活動による資金の減少は、22億2千9百万円前期比16億8百万円の減少)となりました。主な内訳は、固定資産の取得による支出30億7千4百万円などであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度の財務活動による資金の減少は、32億6千4百万円前期比23億円の減少)となりました。主な内訳は、短期借入金の純増額が17億2千2百万円、配当金の支払による支出が13億8千万円などであります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

イ. 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(百万円)

前期比(%)

吸水性樹脂

66,118

+2.4

機能化学品

18,535

+0.8

ガス・エンジニアリング

14,324

△0.2

その他

合計

98,977

+1.7

 

(注) 1 金額は、販売価格によっております。

2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

3 セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

ロ. 受注実績

当連結会計年度における「ガス・エンジニアリング」のうち、エンジニアリングの受注実績は次のとおりであります。なお、エンジニアリングを除く製品については、見込み生産を行っております。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前期比(%)

受注残高(百万円)

前期比(%)

ガス・エンジニアリング

744

△75.1

1,192

△58.2

 

(注) 1 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

2 セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

ハ. 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前期比(%)

吸水性樹脂

69,201

+5.0

機能化学品

17,940

+0.7

ガス・エンジニアリング

15,612

+1.9

その他

499

△25.5

合計

103,254

+3.6

 

(注) 1 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

2 セグメント間の取引については相殺消去しております。

3 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

販売高(百万円)

割合(%)

販売高(百万円)

割合(%)

广州伊藤忠商事有限公司

12,752

12.8

12,907

12.5

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成にあたっては、当社グループにおける過去の実績や現時点での将来計画などに基づき見積りを行っている事項があり、主な事項は次のとおりであるが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果とは異なる場合があります。

なお、連結財務諸表の作成のための重要な会計基準等は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。

 

(繰延税金資産の回収可能性)

当社グループは、繰延税金資産の回収可能性を判断するに際して、将来の課税所得を合理的に見積もっているが、将来の課税所得の見積り額に変更が生じた場合、繰延税金資産が増額又は減額され、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(固定資産の減損)

当社グループは、固定資産の回収可能価額について、将来キャッシュ・フロー、割引率、正味売却価額等の前提条件に基づいて算出しているが、事業計画や市場環境の変化により、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、減損処理が必要となる可能性があります。

 

また、新型コロナウイルス感染症拡大による重要な会計上の見積りに対する影響については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (追加情報)」に記載しております。

 

② 当連結会計年度の経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

イ. 財政状態の分析

(資産の部)

当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ75億7千3百万円増加し、1,078億3千4百万円となりました。主な要因は現金及び預金の増加によるものであり、ハ.キャッシュ・フローの分析に記載している要因によるものであります。

 

(負債の部)

負債は、前連結会計年度に比べ11億8千7百万円減少し、323億4千3百万円となりました。主な要因は買掛金の減少によるものであります。買掛金の減少は、期末日レートが前連結会計年度末に比べ円安であったため海外子会社の買掛金に係る円貨換算差があったものの、原燃料価格の下落による影響がそれを上回ったことによるものであります。

 

(純資産の部)

純資産(非支配株主持分を含む)は、株主資本の増加に加え、円安の影響による為替換算調整勘定の増加や退職給付信託として拠出している株式の時価上昇等による退職給付に係る調整累計額の増加があったことにより、前連結会計年度末に比べ、87億6千万円増加し、754億9千1百万円となりました。また、自己資本比率は前連結会計年度末に比べ3.4ポイント上昇し、67.5%となりました。

 

(経営指標)

1株当たり純資産額は利益剰余金が増加したこと等により、前連結会計年度末に比べ618.67円増加し、5,278.02円となりました。

 

 

ロ. 経営成績の分析

(売上高および営業利益)

売上高は、前連結会計年度に比べ35億5千2百万円3.6%)増加し、1,032億5千4百万円となりました。また、営業利益は101億1百万円となり、前連結会計年度に比べ23億2千5百万円29.9%)増加しました。売上高は主に、吸水性樹脂において中国顧客が衛生材料の原材料調達を優先する動きを拡大させたことなどによる販売数量の増加によるものであります。営業利益は販売数量増加に加え、原料価格の下落によるものであります。

なお、2018年秋から取り組んでいる製造プロセスの改善、生産体制の再構築、サプライチェーンの合理化については技術的には8割程度具体化しており、2021年3月期の営業利益には約12億円の合理化効果が含まれております。

 

(経常利益)

経常利益は103億7千5百万円となり、前連結会計年度に比べ35億8百万円51.1%)増加しました。これは主に、営業利益の増益に加え、前連結会計年度は為替相場の変動の影響により親会社及び海外子会社の外貨建債権債務などに係る為替差損が11億2千万円発生しましたが、当連結会計年度は期末にかけて円安が進行したことで為替差益が発生したことによるものであります。

なお、当社の海外子会社に対する円建ての貸付について、2019年9月末に現地通貨への借換えを実施しており、為替リスクの低減を図っております。

 

(税金等調整前当期純利益)

税金等調整前当期純利益は96億6千5百万円となり、前連結会計年度に比べ32億2千7百万円50.1%)増加しました。特別損失については、前連結会計年度に、姫路工場において、吸水性樹脂の合理化プロジェクトの一環として実施した生産体制の再構築に伴い、生産を休止した固定資産の減損損失1億7千6百万円を計上しております。当連結会計年度の減損損失7億3百万円は、今後の稼働計画を見直した生産技術研究所のパイロットプラントにかかるものであります。

また、投資有価証券の売却を行い、47百万円の投資有価証券売却益を計上しております。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

親会社株主に帰属する当期純利益は71億1千9百万円となり、前連結会計年度に比べ28億3千3百万円66.1%)増加しました。

法人税、住民税及び事業税と法人税等調整額の合計額は23億3千1百万円となり、税金等調整前当期純利益96億6千5百万円に対する税効果会計適用後の法人税等の負担率は24.1%となりました。

 

(経営指標)

1株当たり当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益が増益となったことから、前連結会計年度に比べ205.46円増加し516.20円となりました。またROEは、前連結会計年度に比べ3.7ポイント増加し10.4%となりました。

 

 2023年3月期を最終年度とする中期経営計画に対する2021年3月期の実績は下記のとおりであります。

 

2021年3月期実績

2023年3月期目標

売上高  (百万円)

103,254

120,000

営業利益 (百万円)

10,101

8,000

ROE    (%)

10.4

8.5

 

 

ハ. キャッシュ・フローの分析

営業活動による資金の増加は税金等調整前当期純利益や減価償却費の影響により162億5千1百万円となりました。固定資産取得等の投資活動による資金の減少は22億2千9百万円となり、フリー・キャッシュ・フローは140億2千1百万円となりました。また、財務活動による資金の減少は短期借入金の純増減等により32億6千4百万円となり、この結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、252億6千6百万円と前期比109億8千7百万円の増加となりました。

 

ニ. 資本の財源及び資金の流動性について

当社グループの運転資金需要のうち主なものは、原料の仕入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資等によるものであります。当社グループは、事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。

短期運転資金は自己資金を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達については、金融機関からの長期借入を基本としております。

なお、当連結会計年度末における借入金及びリース負債を含む有利子負債の残高は140億9千2百万円となっており、当連結会計年度末における現金及び預金の残高は256億5千7百万円であります。

当社グループの経営成績等に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

4 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

5 【研究開発活動】

2022年度に向けた3カ年中期経営計画では、3事業すべてが成長を牽引する事業構造への転換と将来の成長に向けた研究開発を強化しております。研究開発の効率化とスピードアップを図ることを目的に2019年4月に行った研究所の再編に加えて、2020年7月には全社的な視点から研究開発のマネジメント機能を強化し、開発テーマの選定・研究資源の効果的な配分を行っております。

当連結会計年度における研究開発費の総額は 2,909百万円であり、各セグメント別の研究の目的、主要課題、研究成果および研究開発費は次のとおりであります。

 

(1) 吸水性樹脂

吸水性樹脂事業においては、新しい技術コンセプトも取り入れた、一層の高付加価値化を推し進めます。成長する大人用衛生用品市場のニーズに向けた消臭・薄型・漏れ防止等を追求し高機能グレードの研究開発を強化します。多様な顧客ニーズを有する中国・アジアでは、現地拠点の密接なコミュニケーションによりニーズに的確に対応します。また、最終消費財の廃棄物・環境負荷低減につながる技術開発も行っていきます。

当セグメントに係る研究開発費は、614百万円であります。

 

(2) 機能化学品

機能化学品事業では、エネルギー分野で次世代車載用電池への高機能バインダーや添加剤を開発していきます。電子材料分野では5Gによる高速通信、自動車CASEによる新たな市場ニーズに応えて顧客に最適機能を提供する製品開発を進めます。パーソナルケア分野では、各国で異なる化粧品、トイレタリー用増粘剤の市場ニーズにマッチした機能を開発していきます。また、昨今のプラスチック代替ニーズに応えた紙用コーティング剤の開発を進めます。

当セグメントに係る研究開発費は、1,229百万円であります。

 

(3) ガス・エンジニアリング

ガス・エンジニアリング事業では、大手デバイスメーカー向けエッチング・成膜プロセス用に求められる超高純度の次世代半導体材料に向けた開発に注力し、他社との提携を含めた開発を進めます。また、カーボンニュートラルへ貢献することも含めたPSA技術の適用拡大に注力し、需要の創出を目指します。

当セグメントに係る研究開発費は、375百万円であります。

 

(4) 全社共通

全社共通の研究として、機能創出を支える評価技術を深化させる他、将来の新規事業を創成することを目的に、当社独自の基盤技術・製品群を起点としてアプローチできる成長分野をターゲットに中長期的な研究開発を全社横断的に進めております。また、引き続き環境負荷低減、持続可能な社会の実現に寄与する製品・技術の研究開発を推進します。

当セグメントに係る研究開発費は、689百万円であります。