文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
このたび、当社のグループ会社が、お取引先様と合意した原材料の調達先を無断で変更して製造した製品を販売し、原材料の変更のないものとして製品代金を請求していた事案が判明いたしました。当社はこの事態を重く受け止め、事態の再発防止とお取引先様にお届けする製品の品質確保を最重要課題と認識し、これに向けての真摯な取り組みを進めてまいります。
具体的には、品質・取引のコンプライアンスの徹底、管理・監査部門の実効的な監督・監査、グループガバナンスの強化に取り組んでまいります。品質・取引のコンプライアンスの徹底に関しましては、グループ会社を含めて、コンプライアンス教育を徹底するとともに、品質・取引の再点検を行い、発見した課題に早急に対策を行います。管理・監査部門の実効的な監督・監査に関しましては、組織間の相互牽制やチェック機能を再構成し、業務の適正を図ることができる体制を構築いたします。そして、グループガバナンスの強化に関しては、グループ会社の業務執行の適正の確保はもちろんのこと、お客様目線、品質目線での会社運営がなされているのかに力点を置いた統制を行います。これらに全社一体となって取り組み、再発防止とステークホルダーの皆様の信頼回復に努めてまいります。
当社グループは、2023年度から2025年度までの中期経営計画の重点施策として、「事業構造の強靭化」、「研究開発の結実」、「徹底した合理化」、「サステナビリティへの取り組み深化」に取り組んでおります。
<事業構造の強靭化>
吸水性樹脂事業では、インドなどアジア市場を中心に需要の増加が続くと想定し、さらなる販売増加を実現するため、シンガポール子会社において新しい製造設備を建設しており、2025年度内の完成を予定しております。同時に、プラントの生産性を向上させる合理化工事の継続的な実施などにより、販売シェアの維持・拡大を図ってまいります。
機能マテリアル事業では、IRラテックスの販売終了が前倒しとなったことや、エレクトロニクスガスの販売が半導体市況低迷の影響を受けて低調に推移していることなどを受けて、中期経営計画の業績目標を大幅に下回る見通しです。不採算事業からの撤退を含めた事業ポートフォリオの見直しや売価是正による収益性の向上を図ってまいります。
<研究開発の結実>
吸水性樹脂事業では、これまで以上に環境・安全に配慮し、資材・廃棄物削減に資する新製品を順次開発し、上市しております。また、使用済み紙おむつから分離した吸水性樹脂の水平ケミカルリサイクル技術の開発などに取り組んでおります。工業化研究のさらなる効率化を図るため、姫路地区において吸水性樹脂のパイロット設備を建設いたしました。
機能マテリアル事業では、次世代半導体材料やリチウムイオン電池用電解液添加剤、絶縁被覆材料などの開発に取り組んでおります。
これらの新技術、新製品の開発を加速するため、別府地区で新研究棟の建設を進めており、2026年度の竣工を予定しております。
<徹底した合理化>
吸水性樹脂事業では、合理化プロジェクトで計画している原単位の改善や増産によるメリットを確実に発現させるとともに、CO2排出原単位削減にも貢献する製造プロセスの改善など、さらなる合理化に取り組みます。現在建設中のシンガポールにおける新設備はこれらの合理化を織り込んだ設計としております。
機能マテリアル事業では、生産性向上や徹底的なコスト削減に取り組んでおります。さらに、全社横断の生産性向上の取り組みとして、基幹業務システムの活用による業務プロセスの改善、工場や研究所におけるデジタル技術の活用による業務の自動化・高速化などを推進しております。
<サステナビリティへの取り組み深化>
当社グループは、「衛生・健康・QOL向上へのアクセス」、「エネルギーへのアクセス」、「インフラ改良と技術革新」、「持続可能な消費と生産」、「ジェンダー平等」、「カーボンニュートラル実現」の6項目のマテリアリティを設定しております。各項目の取り組み状況を定量的に把握するためのKPIを定め、その目標達成に向けて具体的な施策を実行してまいります。カーボンニュートラル実現に向けた取り組みとしては、当社グループが排出するGHGの削減や、社会全体のGHG排出削減に貢献する低濃度CO2分離回収や使用済みSAPのリサイクルなどの技術開発を進めてまいります。
2025年度の業績見通しは下表のとおりです。
|
|
(単位:別途記載のないものについては億円) |
|
|
事業部門別 |
2025年度 見通し |
2025年度 中期経営計画 |
|
吸水性樹脂 |
1,139 |
1,200 |
|
機能マテリアル |
308 |
400 |
|
その他 |
3 |
- |
|
売上高 |
1,450 |
1,600 |
|
吸水性樹脂 |
76 |
75 |
|
機能マテリアル |
14 |
45 |
|
その他 |
0 |
- |
|
営業利益 |
90 |
120 |
|
純利益 |
67 |
85 |
|
ROE |
6.9% |
8.5% |
|
円/人民元 |
19.5 |
19.5 |
|
円/米ドル |
145.0 |
135.0 |
|
国産ナフサ価格 |
65,000円/KL |
70,000円/KL |
|
|
|
|
|
3年間累計 研究費 |
83 |
90 |
|
3年間累計 設備投資 |
471 |
500 |
|
3年間平均 売上高成長率 |
0.5% |
3.4% |
|
3年間累計 営業CF |
406 |
470 |
|
ROIC(2025年度) |
5.7% |
8.0% |
|
D/Eレシオ(2025年度) |
0.2 |
0.2以下 |
|
配当性向(2025年度) |
39.1% |
30%以上 |
当社といたしましては、以上申しあげました状況を鑑み、新製品の開発を加速するとともに、機能マテリアル事業の事業戦略を抜本的に見直したうえで、改めて当社グループの中期的な業績目標を策定したいと考えております。
当社は、1944年に肥料を製造・販売する会社として創業し、その後、主力事業を工業薬品へと転換し、現在は吸水性樹脂事業ならびに機能マテリアル事業を展開しております。これら事業の根底には常に、住友が大切にしてきた「自利利他 公私一如(住友の事業は、住友自身を利するとともに、国家を利し、かつ社会を利するものでなければならない)」という事業精神があります。近年、地球環境や社会全体の持続可能性を脅かす様々な問題が深刻さを増しているなか、当社グループはこの事業精神に基づいて事業活動に取り組むことを通じて、地球環境の保全や社会的課題の解決に貢献することが責務であると考えております。
なお、文中の将来に関する事項は、当社グループが当連結会計年度末現在において合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の結果とは様々な要因により大きく異なる可能性があります。
(1)共通
① ガバナンス
当社グループでは、サステナビリティ経営を推進するため、サステナビリティ委員会が、内部統制委員会およびレスポンシブル・ケア委員会と連携しながら、サステナビリティに関する諸課題の特定・評価・管理を行っております。サステナビリティ経営の推進状況は、取締役会に報告し、取締役会がサステナビリティ経営を監督しております。また、人的資本経営を推進するため、HR委員会が当社グループにおける経営幹部候補者の選抜や育成、重要ポジションへの登用等について議論しております。
サステナビリティに関する各組織の役割は次のとおりです。
1)サステナビリティ委員会
サステナビリティ経営を推進するため、サステナビリティに関する方針の策定およびサステナビリティ計画の立案、当社およびグループ各社のサステナビリティ推進状況の確認と改善、その他サステナビリティ経営の推進に必要な事項を行っております。
2)内部統制委員会
当社の内部統制を統括するため、内部統制システムの運用状況の報告を受け、各組織およびリスク・コンプライアンス委員会に必要な指示を行い、内部統制の維持・向上を図っております。
3)レスポンシブル・ケア委員会
レスポンシブル・ケア活動を推進するために、安全・環境・品質(リスクおよびコンプライアンスを含む)に関する全社年度計画の策定、業務システムの重大な変更、重大問題に対する措置などを審議、決定しております。
4)HR委員会
経営幹部候補者の選抜・育成、重要ポジション(部長相当職以上や再雇用特別グレード等)への登用・継続可否を審議しております。
② 戦略
<サステナビリティ基本方針>
当社グループは、世界共通の目標であるSDGsの課題に取り組み、持続可能な社会の発展に貢献し、全てのステークホルダーの期待に応えていくことを目指しており、社会課題解決への貢献のために取り組むべきことを「サステナビリティ基本方針」として定め、グループ全体が共通の認識と価値観を持って、この基本方針に基づいて行動しております。
|
サステナビリティ基本方針 |
|
住友精化グループは、長期的な視点に立った地球規模の社会課題解決への貢献を自らの責務であると考えます。 この責務を果たすため、以下の基本方針に沿ってサステナビリティ経営を推進してまいります。 1.高品質な製品とサービスの提供により、産業の基盤と快適な暮らしを支えます。 2.化学メーカーとして、無事故無災害を最優先に考え、工場の安全・安定操業と製品の安全輸送に取り組みます。 3.品質管理を徹底し、お客様が満足・安心して使用できる製品とサービスを提供します。 4.製品と生産プロセスがヒトや環境に与える影響を適切に評価し、安全性の確保と環境への配慮に取り組みます。 5.サステナビリティ経営の推進状況を、ステークホルダーに開示するとともにコミュニケーションを行い、その結果を経営に適切に反映します。 6.従業員が心身ともに健康的かつ安全に仕事に取り組むことができる職場環境を提供し、チャレンジする組織風土をつくります。 7.社会の一員として、企業活動を通じて、地球と人の共存できる持続可能な社会の発展に貢献します。 |
<人権方針>
当社グループは、「人権尊重」を事業継続のための基盤の一つとして位置付けております。人権尊重の責任を果たすことを明確にし、取り組みを推進するため、「人権方針」を定めております。
|
人権方針 |
|
住友精化グループは、自らの企業活動の影響を受けるすべてのステークホルダーの人権を尊重する責任を果たすため、国際連合「ビジネスと人権に関する指導原則」に準拠して、住友精化グループの人権方針(以下、「本方針」といいます。)を定めます。 1.基本的な考え方 住友精化グループは、「世界人権宣言」や、国際労働機関(ILO)「労働における基本的原則及び権利に関する宣言』において国際的に宣言されている人権の保護を支持し、尊重します。また、住友精化株式会社は、国連グローバル・コンパクトに署名し、住友精化グループ各社は、人権および労働を含む、その10原則を支持し、尊重します。 2.適用範囲 住友精化グループは、本方針をグループ各社のすべての役員および非正規社員を含むすべての従業員に適用します。また、住友精化グループのサプライチェーンを含むビジネスパートナーにも、人権尊重に協働していただくよう、本方針に従った取り組みを継続的に働きかけます。 3.人権デュー・ディリジェンス 住友精化グループは、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」に基づいた人権デュー・ディリジェンスの実施を通じて、自らの事業活動において生じる人権への負の影響を特定し、防止、または軽減に努めます。 4.是正および救済 住友精化グループは、人権への負の影響の懸念に関する通報・相談体制を整備します。住友精化グループの事業活動が、人権への負の影響を引き起こした、あるいはこれを助長したことが明らかになった場合は、適切な手続きを通じてその是正および救済に取り組みます。 5.情報開示 住友精化グループの人権尊重の取り組みは、住友精化株式会社ホームページや統合報告書等にて報告します。 |
1)人権デュー・ディリジェンスの実施
当社では、「人権方針」に基づき、事業活動における負の影響の特定・評価を行い、評価結果に基づく適切な対応に取り組んでまいります。
(注) 経済産業省『
|
工程 |
実施内容 |
|
① 負の影響の特定・評価 |
・リスクが重大な事業領域を特定する。 ・負の影響の発生過程を特定する。 ・負の影響と当社との関わり合いを評価する。 ・主に深刻度により優先的に取り組む事項を特定する。 |
|
② 負の影響の防止・軽減 |
・①の評価の結論を、社内の関連する部署およびプロセスに組み入れる。 ・顕在化した負の影響(例:苦情相談窓口から入手した情報)、あるいは潜在的な負の影響(例:事業やサービス関連)を停止・防止・軽減するための措置を実施する。 |
|
③ 取り組みの実効性の評価 |
・上記①と②に効果的に対応してきたかどうかを評価し、当該結果に基づいて継続的な改善を進める。 |
|
④ 説明・情報開示 |
・当社が講じた③までの措置について、社外に説明・開示する(1年に1回以上、統合報告書、ホームページなどを通じて)。 |
2024年度は負の影響の特定・評価を目的とし、「人権デュー・ディリジェンスデジタルサーベイ」を外部専門家の協力も得て実施しました。詳細は以下のとおりです。
ア 対象 当社グループ従業員
データ統計対象 1,285名/1,346名:回答率 95.5%
イ 評価項目
(1)25の人権リスクを基にした住友精化グループ内の人権リスクの測定
(2)人権侵害・不当な扱いを受けた際の救済へのアクセシビリティ整備度合い
(3)人権リスクと相関関係にあるとされる「心理的安全性」
(4)人権侵害の根本的原因になっている可能性があるとされる「アンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)」
ウ 結果
|
評価項目 |
結果 |
|
(1)人権リスク類型 |
発生度と理解度の分析より、特に優先度が高い領域を「B:労働時間」、「J:パワハラ」、「K:セクハラ」の3領域とした(図:赤枠) |
|
(2)救済へのアクセスリスク |
・従業員は救済へのアクセスの権利は行使できている状況 ・一方で相談窓口等に関する課題も一定数把握 |
|
(3)心理的安全性リスク |
・組織に対する心理的安全性はやや低い状況 |
|
(4)アンコンシャス・バイアスリスク |
・アンコンシャス・バイアスリスクはやや高い状況 ・特に権威バイアス、専門偏向のリスクが高い状況 |
上記結果により特に優先度が高い課題から、関係部署との対話を進め、現状把握および改善に向け協議を進めてまいります。
図:当社グループの人権リスク類型の4象限プロット結果
●労働者の人権に関する項目 ▲ハラスメントに関する項目 ◆その他の人権に関する項目
2)社内の啓発・教育
すべての従業員が人権尊重について正しく理解するよう、啓発・教育を行っております。2024年度は以下のとおり教育を実施いたしました。
|
テーマ |
実施回数 |
受講人数(延べ) |
|
ハラスメント防止 |
2回 |
1,220名 |
|
ビジネスと人権 |
3回 |
78名 |
※上記の研修に加え、人権を含むサステナビリティ全般に関する知識を学べる動画コンテンツを社内向けに配信しており、定期的にテーマを選定して従業員に視聴を推奨しています。
3)通報
当社グループおよび取引先の役員・従業員を対象とした通報窓口を設置しております。匿名性、通報者への不利益な取り扱いをしないことを明示し、社外法律事務所へも通報できる窓口とすることで、安心して通報できる環境づくりに努めております。
③ リスク管理
当社グループは会社の重要リスクを一覧化し、その対策について検討と見直しを行い、内部統制委員会に報告しております。サステナビリティ課題に関わる事業へのリスクについては、サステナビリティ委員会で検討・モニタリングを実施しております。
当社グループにおけるリスク管理の詳細については、「
④ 指標と目標
当社グループは、地球環境や社会のサステナビリティが重要性を増すなかで、当社グループがSDGsの課題解決にどのように貢献していくのかを明確にするため、マテリアリティを検討してまいりました。
その結果、当社グループのマテリアリティとして、「衛生・健康・QOL向上へのアクセス」、「エネルギーへのアクセス」、「インフラ改良と技術革新」、「持続可能な消費と生産」、「ジェンダー平等」、「カーボンニュートラル実現」の6項目を当社グループのマテリアリティとすることと致しました。各項目の取組状況を定量的に把握するためのKPIは以下のとおりです。
・マテリアリティ(重要課題)
|
マテリアリティ名称 |
目指す姿 |
評価の基準(KPI) |
目標 |
|
2030年度 |
|||
|
衛生・健康・QOL向上へのアクセス |
・吸水性樹脂(紙おむつ、その他衛生用品向け材料)および水溶性樹脂(生活、医療向け材料)を提供することで、衛生・健康・QOL向上に貢献 |
・QOL関連製品の売上高 |
1,400億円 |
|
・吸水性樹脂生産量伸長率 |
30% (2022年度比) |
||
|
エネルギーへのアクセス |
・エレクトロニクスガスおよびエネルギー関連製品(リチウムイオン二次電池用材料等)を提供することで省エネルギーに貢献 |
・省エネルギー関連製品の売上高 |
300億円 |
|
インフラ改良と技術革新 |
・新製品上市 ・研究開発力強化 ・デジタル技術の活用等による生産性向上、生産技術力強化 ・循環型社会への貢献 |
・研究開発費 (売上高比率) |
2.0-2.5% |
|
・新製品売上高 |
400億円 |
||
|
持続可能な消費と生産 |
・より安全・安心な製品の実現を推進 |
・より安全・安心な製品を提供するための投資額 (化学品の安全性評価・申請・登録・製造にかかる投資額) |
4億円 |
|
ジェンダー平等 |
・女性活躍推進 |
・女性管理職社員比率 |
17% 15%(単体) |
|
・男性育児休業取得率 |
100%(単体) |
||
|
カーボンニュートラル実現 |
・当社グループから排出される温室効果ガス(GHG)の削減 ・バリューチェーンにおけるステークホルダーとの協力 ・当社技術による実現への寄与 |
・GHG削減率(Scope 1,2) |
(注)54.6% (2022年度比) |
(注) 2033年度の目標
(2)気候変動への対応(TCFD提言への取組)
① ガバナンス
当社は、「カーボンニュートラル実現」をマテリアリティの1項目として定め、気候変動の緩和に努めるとともに、事業の継続性を確保するため、気候変動リスクの回避と軽減に取り組んでおります。サステナビリティ委員会は、気候変動に関する方針の策定、計画の立案ならびにその推進状況の確認および改善を実施しております。レスポンシブル・ケア委員会は、環境保全の視点から、地球温暖化防止・エネルギー消費量削減などの気候変動課題への具体的対策を検討・実施しております。これらの結果は取締役会へ報告し、監督を受けております。また、気候変動リスクにかかわる事項は内部統制委員会にも報告しております。
② 戦略
気候変動が当社に及ぼす影響を把握するため、国際エネルギー機関(IEA)および気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が公表した長期シナリオ(IEA NZE2050、IPCC AR6、SR1.5、SSP5-8.5等)を参考に、温暖化の進行が「+4℃」と「+1.5℃」の社会におけるリスクと機会を抽出・分析しました。主要なリスクと機会が当社グループに与える影響の大きさとそれらへの対応は以下のとおりです。
|
物理リスク(+4℃の世界):中長期~長期 |
|||
|
社会の変化 |
主要なリスク |
影響 |
主な対応 |
|
気象現象の激甚化 (大雨、熱帯低気圧など) |
・浸水リスク(洪水、高潮・高波など)による事業活動の停滞 ✓生産拠点の長期停止 ✓サプライチェーンの寸断 |
中 |
・BCP対策の継続的強化 ✓重要拠点の浸水対策強化 ✓サプライチェーン強靭化 |
|
気温上昇 渇水、水質悪化 |
・作業環境の悪化による生産性の低下 ・渇水、水質悪化による操業度の低下 |
中 |
・作業環境の継続的改善 ・水ストレスの把握と対策 |
|
移行リスク(+1.5℃の世界):短中期~中長期 |
|||
|
社会の変化 |
主要なリスク |
影響 |
主な対応 |
|
政策・規制強化 |
・NDC目標の引き上げによる関連設備投資、技術開発投資の大幅な増加 ・炭素価格の引き上げなど新たな政策・規制の導入に伴う、コスト負担の増加 |
大 |
・GHG排出削減の推進 ✓省エネルギー、プロセス効率化、CO2分離回収、エネルギー転換など |
|
技術革新 |
・エネルギーコストの大幅な上昇 ・原材料の脱石油由来に係る大幅な価格上昇 |
大 |
・エネルギー消費、マテリアル消費の最小化 ✓吸水性樹脂プロセス合理化、リサイクル技術開発 ✓CCU(分離・回収したCO2を利用する技術)等カーボンリサイクル技術開発 |
|
市場変化 |
・環境負荷低減の要求増大 ・新たな競争軸をもった新規参入者の出現 |
大 |
・製品毎のカーボンフットプリント削減 ・環境貢献製品の開発 |
|
機会(+1.5℃への抑制):中期~中長期 |
|||
|
社会の変化 |
主要な機会 |
影響 |
主な対応 |
|
エネルギー効率の向上 |
・エネルギー関連材料の需要増加 |
大 |
・電池材料、半導体材料の開発 |
|
資源循環型社会への移行 |
・ガス分離回収ニーズの拡大 ・リサイクル製品など環境負荷低減に貢献する製品の需要拡大 |
大 |
・PSAの高性能化と事業拡大 ・リサイクル技術の開発 |
<水ストレスの把握と対策>
将来にわたって良質な水を安定的に確保し続けることができるかどうかは、化学メーカーである当社グループの持続可能性に大きな影響を与えます。当社グループは、生産拠点毎の水リスクを把握し、適応策を講じていくことが重要と考えています。
WRI Aqueduct※1にSSP5-8.5シナリオ※2を適用し、当社グループの全生産拠点について水リスクに晒される可能性を評価しました。水ストレス(水不足)の評価については以下表1のとおりです。
また急性リスクについては、沿岸地域に立地するいくつかの施設で高潮による浸水が顕在化する可能性が抽出されたことから、嵩上げや耐水壁設置などの対策を講じ、重要設備の浸水リスクを最小化することにしました。
※1世界資源研究所(WRI)による、水リスクに関する評価ツール
※2気候変動に関する政府間パネル(IPCC)による、化石燃料依存型の発展の下で気候政策を導入しないGHG最大排出量シナリオ
表1.水ストレス(水不足)評価
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会社名 |
生産拠点 |
ベースライン (現状) |
将来予測 2050年 (SSP5-8.5) |
|
住友精化株式会社 |
姫路工場 |
低~中 |
低~中 |
|
住友精化株式会社 |
別府工場 |
低~中 |
低~中 |
|
住友精化株式会社 |
千葉工場 |
中~高 |
中~高 |
|
住精科技(揚州)有限公司 |
揚州工場 |
低 |
低 |
|
台湾住精科技(股)有限公司 |
彰濱工場 |
低~中 |
低~中 |
|
スミトモ セイカ ヨーロッパ S.A./N.V. |
アルケマ社 (製造委託先・フランス) |
中~高 |
高 |
|
スミトモ セイカ ポリマーズ コリア カンパニー リミテッド |
麗水工場 |
高 |
中~高 |
|
住精ケミカル株式会社 |
長安工場 |
中~高 |
中~高 |
|
住精ケミカル株式会社 |
坡州工場 |
低~中 |
中~高 |
|
スミトモ セイカ シンガポール プライベート リミテッド |
シンガポール工場 |
低 |
低 |
③ リスク管理
気候変動に関するリスクおよび機会は、サステナビリティ委員会において確認し、更新しております。また、気候変動に関する主なリスクは、内部統制委員会の経営リスク管理に含めて全体管理しております。
当社グループにおけるリスク管理の詳細については、「
④ 指標と目標
当社グループは、2022年にカーボンニュートラルに向け以下の対応方針および目標を定めました。
|
カーボンニュートラル対応方針 |
|
当社グループの持続的成長において、カーボンニュートラルへの対応は、避けることのできない重要課題の一つです。当社グループは、GHG排出削減に向けた取り組みを積極的に推進し、2050年カーボンニュートラル社会の実現に貢献します。 1.自社からのGHG排出を削減 当社グループの生産活動に伴うGHG排出量の最小化を実現するとともに、これらの技術をグループ各社に提供していきます。 2.低GHG製品、環境貢献製品の提供 当社グループが提供する製品・サービスについて、GHG排出削減のための革新を図り、ライフサイクルアセスメント(LCA)の観点からカーボンニュートラルに貢献する製品やソリューションを提供していきます。 3.炭素循環社会実現への貢献 地域・社会と共生し循環経済を実現するために、GHGを回収・活用・固定化する技術革新を継続的に行っていきます。更には、多様な構成メンバーと連携して、社会実装の具現化に貢献することを目標に掲げ、それを推進します。 |
|
目標 |
|
1.Scope1,2 GHG排出削減 グループで2033年度までに2022年度比54.6%削減を目指す。 日本国内で2030年度までに2013年度比46%削減を目指す。 2050年カーボンニュートラルの実現を目指す。 2.Scope3 GHG排出削減 カテゴリー1(購入製品・サービス)とカテゴリー12(販売製品の廃棄)について、2033年度までに2022年度比32.5%削減を目指す。 製品ごとのライフサイクルアセスメント(LCA)の実施と計画的な削減努力を継続する。 取り扱う製品のカーボンフットプリント(CFP)を2025年度までに算定し、お取引様と協力して、サプライチェーン全体でのGHG排出削減に貢献する。 3.技術革新への取り組み 住友精化の製品、技術を革新しカーボンニュートラル社会の実現に貢献する。 ・CO2分離回収技術の開発 ・CO2資源化技術の開発 ・環境貢献製品の拡充 |
当社グループは、今世紀末までに世界の平均気温の上昇を産業革命前に比べ1.5℃に抑えることを目的としたパリ協定の目標に沿って、新たな削減目標を設定しました。
新たな目標では、グループから排出される温室効果ガスを、2022年を基準に、Scope1+2では2033年までに54.6%削減(1.5℃目標)、Scope3ではカテゴリー1(購入製品・サービス)とカテゴリー12(販売製品の廃棄)からの排出量を32.5%削減(WB2℃目標:2℃を十分に下回る目標)することを目標にしています。
この目標は、2024年7月にSBTイニシアティブの認定を受けました。
現時点で集計が完了している最新の当社グループのCO2排出量は以下のとおりです。
Scope 1,2,3排出量(グループ)
|
単位(kt- CO2) |
|
|
2021年度 |
2022年度 |
2023年度 |
|
Scope 1 |
|
|
|
|
Scope 2 |
|
|
|
|
Scope 1+ Scope 2合計 |
|
|
|
|
Scope 3 |
|
|
|
Scope 1,2排出量(単体)
|
単位(kt- CO2) |
|
|
2021年度 |
2022年度 |
2023年度 |
|
Scope 1 |
167 |
166 |
159 |
|
Scope 2 |
20 |
19 |
0 |
|
Scope 1+ Scope 2合計 |
187 |
185 |
159 |
2024年度排出量については、2025年内に当社ホームページで公開予定の「
(3)人的資本・多様性
① ガバナンス
経営会議では、経営戦略と連携を図りながら人財戦略や人的資本経営の実現に向けた考え方や取り組みについて議論しております。HR委員会はこの議論を踏まえて、当社グループにおける経営幹部候補者の選抜や育成、重要ポジションへの登用について議論を行い決定しております。
取締役会は、経営会議およびHR委員会で議論された内容について報告を受け、人的資本経営の監督を行っております。
② 人財戦略
2023-2025年度の中期経営計画において、当社グループは重点施策として事業構造の強靭化、研究開発の結実、徹底した合理化、サステナビリティへの取り組み深化を掲げております。これらの重点施策を確実に遂行するため、当社は2023年に人財戦略を定めました。この人財戦略に基づき、経営戦略と一体化した人的資本経営を進めていきます。なお、当社グループでは、「人」を財産と考え、人材を「人財」と書きます。「人は財(タカラ)なり」、「人を育てて活かす」、これが当社グループの人的資本経営の原点と考えております。
|
人財戦略 |
|
高い専門性を有した多様な人たちが、強いリーダーシップのもと協働し、課題解決に挑戦している。 そういう集団であるために、次の項目に積極的に投資する。 1.高い専門性を有する人財の確保と育成 2.リーダーの選抜と育成 3.DE&Iの推進 4.働く環境の整備 |
1)高い専門性を有する人財の確保と育成に関する取り組み
変化の激しいグローバル市場で高い競争力を持ち、社会課題の解決に貢献していくため、高度な専門性を有する経験者を積極的に採用しております。
また、職種や階層に応じた各種専門技術等の教育の実施や、資格取得の支援、通信教育、eラーニング等の自己啓発支援を行っております。効果的な人材育成のため、毎年定期的に、各職場管理者と人事担当部間で育成状況の確認および今後の計画を議論しております。
2)リーダーの選抜と育成に関する取り組み
リーダーの選抜については、各部門から成果を上げている人財の推薦を受け、HR委員会において経営層が議論の上決定ならびに育成計画の策定・確認を行っております。
3)DE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)の推進に関する取り組み
当社グループには、性別や国籍の違いだけでなく、さまざまなライフスタイル、多様な価値観を持つ社員が在籍しております。それぞれのバックグラウンドに応じた雇用環境の提供のほか、社員一人一人の「強み」に焦点を当て、人財の多様性を活かし、その力を融合させることにより、グローバルな競争力の向上につなげていきます。
4)働く環境の整備に関する取り組み
社員の働き甲斐(=会社と個人の共感)は生産性向上の必要条件であり、当社グループの成長の源泉であると考えております。この会社と個人の共感を深めるための基盤として、働く環境の整備を中心に各種施策を進めております。
ア エンゲージメントサーベイ
当社では、職場の衛生環境を測定する目的のストレスチェックに加え、社員がどれだけ会社に共感しているかを測るため、第三者(株式会社アドバンテッジ リスク マネジメント)によるエンゲージメントサーベイを実施しております。現在のサーベイの結果(④目標と指標に掲載)は、業界平均を下回っておりますが、まずは業界平均値を達成するよう努めております。具体的には、サーベイ結果を基に社員のエンゲージメント向上への課題を把握し対策を実施するため、人事担当部が各職場管理者を対象とした意見交換の場を設けております。
イ 健康経営
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健康経営基本方針 |
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1.当社は、従業員とその家族が安心して生活できるよう、「健康経営」に向けた取り組みを推進します。 2.当社は、従業員自身が自律的に健康の維持・増進に取り組むことを積極的に支援します。 3.当社は、住友精化健康保険組合および住友精化労働組合と一体となり、従業員とその家族の心身の健康づくりを推進します。 |
当社は、2025年3月に経済産業省と日本健康会議が共同で認定する「健康経営優良法人2025(大規模法人部門)」に認定されました。健康経営優良法人認定制度とは、地域の健康課題に即した取組や日本健康会議が進める健康増進の取組をもとに、特に優良な健康経営を実践している大企業や中小企業等の法人を顕彰する制度で、当社は2020年以来6年連続での認定となります。
ウ WLB(ワーク・ライフ・バランス)
当社では、WLB推進委員会を設置し、従業員が生き生きと働ける就業環境等の充実に取り組んでおります。休暇の取得促進や業務の効率化をはじめとした実労働時間の削減や、育児・介護との両立をはじめとした柔軟な働き方を促進する制度の整備を進めております。
また、社員の福利厚生の充実と生活の安定に寄与することを目的とした共済会を運営しております。
<働き方の多様化に関する環境整備の状況(直近4カ年)>
|
導入年度 |
制度および就業の取り扱いの変更(◆は法定以上の取り組み) |
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2021 |
・時間単位有給制度の導入 ※フレックスタイム制度は2006年に導入 |
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◆オフィスカジュアル宣言 |
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2022 |
◆保存休暇制度の改定(取得理由に「不妊治療」を明示) |
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◆子の看護休暇・介護休暇の改正(取得時の就業の取り扱いを無給から有給へ変更) |
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◆配偶者出産休暇の改正(取得可能日数を2日から3日へ拡大) |
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◆育児休業開始時支援金制度の導入 |
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◆テレワーク勤務制度の導入 |
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◆リカレント教育休職制度の導入 |
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・出産時育児休業制度の導入 |
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2023 |
◆ジョブリターン制度の制定(リワーク制度の改定) |
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◆エフ休暇の創設(生理休暇・妊婦通院休暇を「エフ休暇」として統合し、用途の拡大) |
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2024 |
◆特別休職規程の改正(配偶者同行休職の追加) |
③ リスク管理
当社グループにおけるリスク管理の詳細については、「
④ 目標と指標
当社が人的資本経営に関する指標と定めている目標は次のとおりです。
<女性活躍推進に関する指標>
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項目 |
2023年度 |
2024年度 |
目標( |
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43.8% |
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|
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32.2% |
|
- |
|
|
7.9% |
|
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26人 |
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- |
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17.8% |
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- |
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25.5% |
|
- |
※当社グループ全体の数値です。
<WLBに関する指標>
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項目 |
2023年度 |
2024年度 |
目標( |
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45.2% |
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15.4時間 |
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81.0% |
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15.54日 |
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- |
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3.1% |
|
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(業界平均) |
47.7 (49.5) |
(49.5) |
業界平均値 |
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(業界平均) |
44.9 (46.7) |
(46.7) |
業界平均値 |
※第三者(株式会社アドバンテッジ リスク マネジメント)によるエンゲージメントサーベイを実施しており、その結果を同社の顧客全体における偏差値で示しております。ワークエンゲージメントは「仕事に対する熱意や姿勢」をあらわす指標で、エンプロイーエンゲージメントは、「組織に対する一体感、愛着感」をあらわす指標です。業界は、製造・化学・素材等業界を指します。
1 リスクマネジメントの考え方
当社では、リスクマネジメントを「リスクの顕在化に備えて、リスクの特定、分析および評価を行い、当社グループの財務的状況や社会的信用に与える影響度に応じて、予防および軽減の事前準備の対策をとること」と定義し、以下の取り組みを行っております。
① 具体的リスクを積極的に予見し、これを定期的に評価し、最小のコストで最良の結果が得られるよう、その回避、軽減、その他必要な措置を講じ、必要に応じて対応を検討すること
② リスクマネジメントを確実に実施するため、リスクに関わる情報収集を行うこと
③ リスクの顕在化に備えて、計画を立てて、教育訓練を実施すること
これらにより、リスクへの適切な対応を進めてまいります。
2 主要なリスク
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、ここに記載した事項は、当連結会計年度末現在において当社グループがリスクとして判断したものでありますが、当社グループに関するすべてのリスクを網羅したものではありません。
(1)経営判断や事業戦略に関するリスク
① 市場環境
当社グループが販売する製品群は、事業を展開する市場において、国内外の競合企業による当該市場への参入、安価な輸入品の流入など、様々な理由により今後も厳しい価格競争に晒されるものと予想されます。また、吸水性樹脂事業の主要な市場の一つである中国においても、価格競争、現地メーカー製品の品質向上などによる吸水性樹脂のコモディティ化や出生数の低下などにより当社グループの競争環境が激化する可能性があります。当該リスクへの対応策として、コストの削減、製品品質の向上および新製品開発による製品競争力の強化や市場分析による販売力の向上に努めております。
② 原材料調達
当社グループの購入する原材料の一部は、特定の購入先に依存しております。当該リスクへの対応策として、購入先を複数にするなど、主要原料が購入できないリスクを低減するように努めておりますが、原燃料等の仕入価格は、需給バランスや市況により急激な価格変動を起こすことがあり、仕入価格が急激に上昇した場合、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
③ 為替レート変動
当社グループは、グローバルに生産販売活動を展開しており、為替の変動が外貨建て売上や原材料の調達コストに影響を及ぼします。連結財務諸表作成上、海外の連結子会社の業績は、換算時の為替レートにより円換算後の価値が影響を受ける可能性があります。特に、人民元レートの変動が当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。当該リスクへの対応策として、為替予約などによりリスクを最小限にするように努めております。
④ 固定資産の減損
当社グループは、固定資産の減損に係る会計基準を適用しております。当社グループが保有する固定資産について、経営環境の著しい悪化等により投資額の回収が見込めなくなった場合、その認識時点において減損損失を計上することで、当社グループの財政状態および経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 気候変動
気候変動の進行は、当社グループの持続可能性に大きな影響を与えると考えております。温暖化の進行にともなう極端現象の増加、激甚化によって、沿岸地区に立地する生産拠点では、高潮等による影響により生産活動が停滞し当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、GHG排出への政策規制が強化されることへの対応策として、再生可能エネルギーの導入、低炭素燃料への転換、製造プロセスの改修、省エネ機器の導入などがありますが、その反面、これらに係る費用が増加することも想定され、当社グループの財政状態に影響を及ぼす可能性があります。さらに、カーボンニュートラルな世界では、環境負荷の低い製品・サービスが求められるなど、市場での価値観や競争軸が変わっていくことが想定されます。この変化への対応が当社の将来的な課題ですが、これに遅れるようなことがあれば、当社グループの製品・サービスは競争力を失い、業績に大きく影響を及ぼす可能性があると考えております。
(2)経理・財務に関するリスク
① 退職給付債務
当社グループの従業員退職給付費用および債務は、年金資産の長期期待運用収益率や割引率などの数理計算上の前提に基づいて算出されております。年金資産運用環境の悪化により前提と実績に乖離が生じた場合や退職給付信託に拠出している上場株式の株価の下落は、将来の退職給付費用の増加になり、当社グループの財政状態および経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(3)その他経営全般に関するリスク
① 災害・事故
当社グループは、製造設備の停止や製造設備に起因する事故などによる潜在的なマイナス要因を最小化するためすべての製造設備において定期的な点検を実施しておりますが、自然災害、事故等により、工場周辺に物的・人的被害を及ぼした場合、事業活動に支障をきたすほか多額のコストや当社グループの評価に重大な影響を与えるリスクがあります。
② 情報セキュリティ
当社グループの事業活動におけるシステム・ネットワークへの依存度は年々拡大しており、その対応として、セキュリティの高度化などによりシステムやデータの保護に努めておりますが、停電、自然災害やコンピューターウィルス、ハッカー等のシステム犯罪などにより、システム・ネットワーク障害が発生した場合、事業活動に支障をきたすほか多額のコストや当社グループの評価に重大な影響を与える可能性があります。
③ 法令及び規制
当社グループが事業活動を遂行している各国で将来的に環境および化学品安全等に対する法的規制が強化され、新たなコストが発生する可能性があります。当該リスクへの対応として、世界的な規制の動向について注視し、必要な対応を講じてまいります。
④ 人事労務
労働災害、感染症・伝染病の蔓延などにより、業務遂行が停滞する可能性、従業員の人権問題、メンタルヘルス問題、ハラスメントによる就労環境が悪化する可能性、これらにより当社が損害賠償義務を負うなどの可能性があります。当該リスクへの対応として、人権の尊重の基本的な考え方を社内に浸透させ、人権尊重を図るための仕組みを構築・運用いたします。
⑤ 法令違反、コンプライアンス
国内外の法令等に抵触するなどのコンプライアンス違反が発生した場合には、当社グループの社会的な信用が低下し、また損害賠償責任や罰金が課されるなど、当社グループの経営成績ならびに財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。当該リスクへの対応として、コンプライアンス教育や違反を生じさせない仕組みづくりに取り組んでおります。
⑥ 製品の品質
当社グループは、世界的に認められている厳格な品質管理基準に従って、各種製品を製造しておりますが、全ての製品について欠陥がなく、将来にわたってリコールが発生しない保証はありません。大規模な製品事故が発生した場合、多額のコストが発生する恐れや、当社グループの評価に重大な影響を与える可能性があります。当該リスクへの対応として、品質マネジメントシステムを有効に機能させ、品質保証の仕組みと運用を継続的に改善してまいります。また、グループ全体で「お客様目線」「品質目線」での事業運営を行う組織風土の醸成に引き続き取り組んでまいります。
⑦ 知的財産権
当社グループは、他社と差別化できる技術とノウハウを蓄積し事業の競争力を強化してきましたが、当社グループ独自の技術・製品とノウハウの一部は、特定の地域において完全な保護が不可能で、第三者が当社グループの知的財産を使用して類似製品を製造することを効果的に防止できない可能性があります。また、現在及び将来の知的財産に係る紛争の結果、当社グループに不利な判断がなされる可能性があります。当該リスクへの対応として、知的財産戦略を策定の上、その着実な実行を進めております。
⑧ 人的資本
当社グループは、多様な人財によって支えられております。主たる研究開発・生産拠点である日本においては、少子化等による労働人口の減少が予測されます。採用者数の減少、離職者が増加するなどして事業運営に必要な人財の確保ができない場合や、中期的な成長を牽引する人財の育成が遅れるなどした場合、事業計画を達成できず、当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。当該リスクへの対応として、人財育成方針を定めて計画的に人財を確保し、個々人が能力を発揮できる組織文化の醸成に努めております。
⑨ その他
当社グループが事業活動を遂行している各国において、法律や規制等の変更、人財の採用と確保の難しさ、テロ・戦争・疫病・その他の要因による社会的混乱などのリスクが内在しており、これらのリスクが顕在化した場合は、当社グループの財政状態および経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
|
|
2024年3月期 |
2025年3月期 |
増減 |
|
売上高(百万円) |
142,986 |
147,571 |
4,585 |
|
営業利益(百万円) |
9,529 |
10,712 |
1,182 |
|
経常利益(百万円) |
10,247 |
11,106 |
859 |
|
親会社株主に帰属する当期純利益(百万円) |
6,166 |
5,961 |
△205 |
|
1株当たり当期純利益(円) |
459.01 |
450.62 |
△8.39 |
|
自己資本当期純利益率(%)(ROE) |
6.8 |
6.3 |
△0.5 |
|
D/Eレシオ(倍) |
0.12 |
0.19 |
0.07 |
|
平均為替レート(円/米ドル) |
144.63 |
152.58 |
- |
|
平均為替レート(円/人民元) |
20.14 |
21.11 |
- |
|
ナフサ価格(円/KL) |
69,100 |
75,600 |
- |
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
|
(単位:百万円) |
|
セグメント |
|
2024年3月期 |
2025年3月期 |
増減 |
|
吸水性樹脂 |
売上高 |
106,423 |
115,542 |
9,118 |
|
営業利益 |
6,606 |
8,088 |
1,481 |
|
|
機能マテリアル |
売上高 |
36,245 |
31,789 |
△4,455 |
|
営業利益 |
2,915 |
2,622 |
△292 |
|
|
その他 |
売上高 |
317 |
239 |
△78 |
|
営業利益 |
7 |
2 |
△5 |
|
|
調整 |
売上高 |
- |
- |
- |
|
営業利益 |
0 |
0 |
0 |
|
|
合計 |
売上高 |
142,986 |
147,571 |
4,585 |
|
営業利益 |
9,529 |
10,712 |
1,182 |
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ52億2千7百万円増加し、1,415億3千2百万円となりました。
流動資産は、現金及び預金の減少などにより、前連結会計年度末に比べ68億6千8百万円減少し、801億2千2百万円となりました。
固定資産は、シンガポールの連結子会社における吸水性樹脂製造設備の増強による建設仮勘定の増加により、前連結会計年度末に比べ120億9千5百万円増加し、614億9百万円となりました。
負債は、設備投資のための新規借り入れを行ったことによって、長期借入金が増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べ59億6千6百万円増加し、472億1千9百万円となりました。
純資産は、株主資本は増加したものの、為替相場の変動影響による為替換算調整勘定の減少などにより、前連結会計年度末に比べ、7億3千9百万円減少し、943億1千2百万円となりました。また、自己資本比率は前連結会計年度末に比べ3.1ポイント減少し、66.6%となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ、48億4千2百万円減少し、160億9千9百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の営業活動による資金の増加は、136億8千1百万円(前期比16億7千2百万円の増加)となりました。主な内訳は、税金等調整前当期純利益が83億2千2百万円、減価償却費が57億3千7百万円、法人税等の支払額が23億7百万円、棚卸資産の減少額が20億4千2百万円、仕入債務の減少が20億3千9百万円などであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の投資活動による資金の減少は、209億1千5百万円(前期比105億4千3百万円の増加)となりました。主な内訳は、有形固定資産の取得による支出が196億5千8百万円、無形固定資産の取得による支出が14億2千1百万円などであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の財務活動による資金の増加は、31億8千6百万円(前期比89億5千4百万円の増加)となりました。主な内訳は、長期借入れによる収入が50億円、配当金の支払による支出が26億5千8百万円、短期借入金の純増額が20億8千万円などであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
イ.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
生産高(百万円) |
前期比(%) |
|
吸水性樹脂 |
111,203 |
+5.7 |
|
機能マテリアル |
27,554 |
△10.2 |
|
その他 |
- |
- |
|
合計 |
138,757 |
+2.1 |
(注)1 金額は、販売価格によっております。
2 セグメント間の取引については相殺消去しております。
ロ.受注実績
当連結会計年度における「機能マテリアル」セグメントのうち、エンジニアリングの受注実績は次のとおりであります。なお、エンジニアリングを除く製品については、見込み生産を行っております。
|
セグメントの名称 |
受注高(百万円) |
前期比(%) |
受注残高(百万円) |
前期比(%) |
|
機能マテリアル |
4,508 |
+204.7 |
3,519 |
+96.5 |
(注)1 セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 当連結会計年度において、受注高に著しい変動がありました。これは、酸素ガス発生装置の大型案件の受注が増加したことによるものです。
ハ.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
販売高(百万円) |
前期比(%) |
|
吸水性樹脂 |
115,542 |
+8.6 |
|
機能マテリアル |
31,789 |
△12.3 |
|
その他 |
239 |
△24.6 |
|
合計 |
147,571 |
+3.2 |
(注)1 セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、総販売実績の10%以上の相手先がないため記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成にあたっては、当社グループにおける過去の実績や現時点での将来計画などに基づき見積りを行っている事項があり、主な事項は次のとおりですが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果とは異なる場合があります。
なお、連結財務諸表の作成のための重要な会計方針は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
(繰延税金資産の回収可能性)
当社グループは、繰延税金資産の回収可能性を判断するに際して、将来の課税所得を合理的に見積もっておりますが、将来の課税所得の見積り額に変更が生じた場合、繰延税金資産が増額又は減額され、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
(固定資産の減損)
当社グループは、固定資産の回収可能価額について、将来キャッシュ・フロー、割引率、正味売却価額等の前提条件に基づいて算出しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、減損処理が必要となる可能性があります。
② 経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当期の国内外の経済は、米国や欧州がインフレ率の低下を受けて利下げを実施する一方、国内では日銀が利上げを実施するなど、デフレ脱却への転換点を迎えました。また、地政学的な緊張や各国の貿易政策の変化により、先行きの不透明感が一層高まりました。
このような状況のもとで、当期の当社グループの売上高は1,475億7千1百万円(前期比3.2%増)、営業利益は107億1千2百万円(前期比12.4%増)となりました。経常利益は111億6百万円(前期比8.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は、お取引先様に対する製品代金の過剰請求に関連する費用および機能マテリアル事業の一部製品に関わる減損損失を特別損失に計上したことから59億6千1百万円(前期比3.3%減)となりました。
また、1株当たり当期純利益は450.62円、ROEは6.3%となりました。
1株当たり純資産額は期末の自己株式数が増加したことなどにより前連結会計年度末に比べ49.03円増加し、7,195.81円となりました。
セグメントの業績は次のとおりであります。
<吸水性樹脂セグメント>
当セグメントでは、売上高は1,155億4千2百万円(前期比8.6%増)、営業利益は80億8千8百万円(前期比22.4%増)となりました。これは、為替の影響や中国市場における販売数量の増加などによるものであります。
<機能マテリアルセグメント>
当セグメントでは、売上高は317億8千9百万円(前期比12.3%減)、営業利益は26億2千2百万円(前期比10.0%減)となりました。エレクトロニクスガスの販売数量の増加はありましたが、IRラテックスの事業が終了したことなどにより減収減益となりました。
<その他セグメント>
当社グループは上記事業のほか、製造受託事業等を行っております。当セグメントでは、売上高は2億3千9百万円(前期比24.6%減)、営業利益は2百万円となりました。
③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、上記「(1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
当社グループの資金調達の方針は、必要資金を円滑かつ効率的に調達することにあります。
資金需要に応じ有利かつ円滑な資金調達ができるよう信用格付の維持・向上や金融機関との良好な関係維持に努めるとともに、緊急な資金需要に備え融資枠の設定を含め十分な手元流動性を確保しております。また、資金調達の方法については、金融機関から短期借入金にて調達を行うほか、設備資金については、金利状況等を勘案して長期借入金にて調達を行っております。
なお、当連結会計年度末における借入金及びリース負債を含む有利子負債の残高は前連結会計年度末より72億9千4百万円増加し、188億6千5百万円となり、自己資本比率は前連結会計年度末より3.1ポイント減の66.6%となりましたが、引き続き安定的な水準にあるものと認識しております。
当社における資金の使途は、大別すると、運転資金、事業投資(設備投資、研究開発等)、株主還元となります。
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、原料の仕入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。運転資金を含む手元資金については、資金需要に迅速かつ確実に対応するため、流動性の高い銀行預金としております。
事業投資につきましては、将来の持続的成長を実現するために、2025年度までの中期経営計画期間において3年累計で、設備投資471億円及び研究開発83億円を見込んでおります。
株主還元につきましては、毎期の業績、中長期の収益動向、投資計画、財務状況を総合的に勘案し、連結配当性向30%以上を目標に、安定的に継続することを基本方針としております。自己株式の取得も状況に応じ機動的に実施し、2025年度までの中期経営計画期間において、総還元性向を3ヵ年平均50%以上とすることを見込んでおります。
なお、当社グループの経営成績等に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
該当事項はありません。
当連結会計年度における研究開発費の総額は
(1)吸水性樹脂セグメント
吸水性樹脂に関する研究開発を行っております。当セグメントに係る研究開発費は、
① 紙おむつの資材削減に寄与できる新製品の開発
吸水性樹脂使用量を約10%削減できる新製品を2023年度に上市いたしました。現在、さらに吸水性樹脂の使用量を削減できる新製品の開発を進めており、2026年度に上市を目指しております。
② 紙おむつ中の吸水性樹脂の利用効率を高める新製品の開発
複数の使用法が想定される中で、顧客評価を通じて製品価値を最大化できる用途を確認しております。
③ 耐熱性を付与した止水ケーブル用吸水性樹脂の開発
2024年度に新グレードを上市いたしました。
④ 吸水性樹脂の水平ケミカルリサイクル技術の開発
カーボンニュートラル実現のため、パートナー企業と協力し、使用済紙おむつから分離した吸水性樹脂の水平ケミカルリサイクル技術の開発に取り組んでおります。実験室レベルでの技術実証を完了し、2026年度に稼働予定のパイロット設備は基本設計を終え、現在、詳細設計を進めております。また、実機運転を見据えたパイロット実験に向けて、検証課題の明確化と整備を進めております。
(2)機能マテリアルセグメント
さまざまな機能を有する化学品等に関する研究開発を行っております。当セグメントに係る研究開発費は、
① リチウムイオン二次電池(LIB)電解液用添加剤の開発
ガス発生の抑制と抵抗の低減に特長を有するLIB電解液用添加剤を開発しており、2024年度から特定顧客に販売を開始いたしました。現在、幅広い要望に応えるため、製造コスト低減やラインナップ拡充に向けたグレード開発を進めております。
② 高性能絶縁被覆材料の開発
NEDO事業を通じて開発した新材料であり、部分放電に対して卓越した耐久性を持ち、モータの高電圧化および省エネルギー化に寄与することができます。現在、電線メーカーや自動車メーカーで評価していただきながら工業的製造法の確立を目指しております。
③ 半導体絶縁膜材料の開発
半導体の高性能化に寄与する絶縁膜材料を開発しております。
顧客による1次評価は終了しており、顧客の2次評価を受けながら量産化技術の開発を進めております。
④ CO2分離回収技術の開発
カーボンニュートラルの取り組みとして、当社PSA技術を活用し、各工場のボイラー等から発生する低濃度CO2の分離回収技術の開発を進めております。