第2【事業の状況】

 

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 会社の経営の基本方針

お客様とともに成長するグループとして、誠実な企業風土が育む高いブランド力を磨き上げ、社会にとって有意義な事業活動を通じて企業価値の増大を図ってまいります。

 

(2) 中長期的な会社の経営戦略並びに会社の対処すべき課題

当社グループは、2022年4月、2050年に視座を高めた長期経営計画「Atelier2050」、そしてその通過点となる2027年の姿を示す中期経営計画「Vista2027」をスタートさせました。著しい環境変化のなか、当社は企業理念である「社会が求める価値を提供し、地球環境の保護、人類の生存と発展に貢献する」に基づき、社会課題の解決と、持続可能な発展を強く意識した企業価値向上により、環境との調和を図りながら、人々の豊かな暮らしと幸せの実現を目指します。

 

中期経営計画「Vista2027」の前半3ヵ年(2022年度から2024年度)Stage Iでは、最終年度の2024年度数値目標を売上高2,550億円、営業利益585億円と定め、2050年の企業像実現に向け、基本戦略を次の4つと定めました。

 

1. 事業領域の深掘りとマーケティング力の向上

2. サステナブル経営の推進

3. 価値創造・共創プロセスの強化

4. 現有事業のシェア・利益の拡大

 

第1の戦略「事業領域の深掘りとマーケティング力の向上」については、2022年4月、生物科学研究所にバイオロジカルグループを立ち上げました。自然界に存在する微生物を利用した農業資材の創出に向け、コア技術の育成に取り組みます。また、情報技術の発展に基づくデータ駆動型研究手法であるMI(マテリアルズインフォマティクス)を活用し、製品開発の迅速化を図ります。2023年4月、企画本部に新設したアニマルケア企画グループでは、動物用外部寄生虫薬のフルララネル原薬に続く動物用医薬品の事業化を検討し、ライフサイエンス事業領域の長期発展を目指します。

第2の戦略「サステナブル経営の推進」については、「地球と人の未来のためにできること」を追求する「日産化学サステナブルアジェンダ」を策定し、持続可能な社会への貢献と自社の持続的成長の両立のため、社会課題解決に貢献する製品やサービスを提供、拡充します。また、気候変動問題の対策に関する組織横断的活動として、深刻化する気候変動に特化する気候変動対策委員会を2022年6月に設置しました。同委員会では、当社グループの事業におけるリスクや機会の洗い出し、分析や評価、それに対する戦略の立案をします。今後も当社グループは、2050年のカーボンニュートラル達成に向け、気候変動関連の諸課題解決に取り組みます。

第3の戦略「価値創造・共創プロセスの強化」については、この実現への取り組みの一環として、2022年に人事制度を刷新しました。今後も、ダイバーシティや女性活躍の推進、人材の確保や育成の仕組みづくりなど、いきいきと働ける職場づくりを行い、人的資本の最大化に注力します。また、デジタル技術・データの最大活用を目標とし、DX(デジタルトランスフォーメーション)基盤の構築を推し進めます。

第4の戦略「現有事業のシェア・利益の拡大」については、殺虫剤「グレーシア」のグローバル展開として、日本、韓国、インドなどのアジア諸国に加え中東やアフリカでの普及を進めます。機能性材料事業において、半導体材料ではリソグラフィー材料に加え、仮貼り合せ材など実装材料の研究開発を強化します。ディスプレイ材料では多様化する市場ニーズを的確に捉え、新たな材料の早期創出に挑戦し続けます。無機コロイドでは、顧客による使用方法の柔軟性を高めたオイル&ガスの採掘効率向上剤「nanoActiv Enhanced」の販売を促進し、シェア拡大を目指します。また、主力製品の供給力の拡充に向けた体制強化として、2023年3月、インド合弁会社において自社創出農薬原体の営業生産を開始したほか、韓国では半導体材料の製造拠点の新設を決定し、2024年の稼働を予定しています。

 

当社グループは、コーポレート・ガバナンスを「ステークホルダーの持続的かつ中長期的利益実現のために、経営を健全に効率化する仕組み」と捉え、経営意思決定の迅速化、ならびに経営責任および業務執行責任の明確化を図るとともに、独立性の高い社外役員を置く取締役会および監査役会のもと、経営の監視機能、コンプライアンス、リスク管理、内部統制システムの強化を推進しています。これからも、すべてのステークホルダーから信頼される企業グループの実現に総力を挙げて取り組んでまいります。

 

(3)目標とする経営指標

当社グループは、株主からの受託資本の運用効率を示す指標である「自己資本当期純利益率(ROE)」、高付加価値企業としての指標となる「売上高営業利益率」を最重要指標と認識し、今後も収益力の一層の強化に向けた事業展開を推進してまいります。

自己資本当期純利益率(ROE)につきましては、2022年4月に始動した中期経営計画「Vista2027」のStageⅠにおいて2022年度以降は18%以上を維持することを目標としており、2023年3月期は達成しております。

なお、2022年4月に始動した中期経営計画「Vista2027」では、重要業績評価指標(KPI)を以下のように定めております。

 

財務指標(2022年~2027年)

売上高営業利益率

20%以上

自己資本当期純利益率(ROE)

18%以上

配当性向

55%維持

(2021年度44.9%から引き上げ)

総還元性向

75%維持

 

 

非財務指標(2027年)

日産化学サステナブルアジェンダ

(社会課題解決に貢献する製品・サービスの合計売上高/全体売上高)

55%以上維持

GHG排出量の削減

2018年度比30%以上

(2030年度目標を3年前倒し)

社員意識調査の人材育成に関する質問への肯定回答率

65%以上

研究所女性総合職比率

18%以上

 

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)サステナビリティ推進体制

①ガバナンス

当社グループは、「社会が求める価値を提供し、地球環境の保護、人類の生存と発展に貢献する」という企業理念を事業活動の基本とし、その実践であるサステナビリティ活動をより一層充実させるために、「社会動向に合致したサステナビリティ戦略の立案と社内啓蒙ならびに情報の発信」をミッションとするサステナビリティ・IR部サステナビリティグループを設置しています。また、グローバルな社会課題により戦略的に取り組むため、サステナビリティグループを事務局とし、部門担当役付執行役員をメンバーとするサステナビリティ委員会を年2回定期的に開催し、サステナビリティに関する方針、マテリアリティの選定、長中期計画および年次計画、活動結果の評価および評価に基づく改善および検討すべき課題について審議しています。審議の結果は経営会議の承認を経て、取締役会に付議されます。

サステナビリティ推進体制として、サステナビリティ委員会、気候変動対策委員会、リスク・コンプライアンス委員会、環境安全委員会を設置し、各委員会で審議した内容について取締役会で議論し、決議することで、取り組みを監督しています。

気候変動対策委員会は、「気候変動の緩和」を当社のマテリアリティ要素の一つとして特定していることを鑑み、気候変動関連課題に特化した議論・検討を行うために2022年6月に新たに設置した委員会です。

また、当社は「環境配慮型製品・サービスの提供」をマテリアリティ要素の一つとして選定しており、ゼロエミッションの実現、バイオプラスチックの普及に役立つ製品等の開発に尽力しています。これらの製品の販売・投資計画等は担当部門より経営会議に付議され、承認を経て取締役会に付議されます。

 


 

②リスク管理

部門の事業特性やグローバルな政治・経済・社会情勢等、ビジネスを取り巻く環境を考慮して、リスク・コンプライアンス委員会の枠組みのなかで気候変動関連リスクを含むリスクの洗い出しを実施しています。洗い出したリスクについて、発生可能性と事業への影響度の観点からリスク評価を実施したうえで、リスク評価結果に基づくリスクマップを作成し、「グループ重要リスク」を選定しています。

「グループ重要リスク」については、リスク・コンプライアンス委員会で審議し、取締役会で決議しました。

 

 

(2)気候変動

①戦略

TCFD提言では、気候変動に起因するリスク・機会が企業の財務にどのような影響を及ぼすかを把握するため、シナリオ分析*を行うことを求めています。

当社は、脱炭素社会への移行が実現する2℃シナリオ(移行リスクが顕著)と気候変動が進展する4℃シナリオ

(物理的リスクが顕著)における事業リスク・機会の選定、重要性の検討を行い、当社への影響と戦略等について整理しました。

分析対象範囲は当社の全事業とし、分析対象期間は前長期経営計画の最終年である2030年としました。

2021年に行われた国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)において、平均気温の上昇を1.5℃に抑える努力を追求することが合意されており、1.5℃目標を達成させるための政策動向や社会変化による当社の事業への影響を把握するため、今後1.5℃シナリオを用いたシナリオ分析の実施も含めたシナリオ分析の見直しを行う予定です。

2℃シナリオにおいて、重要リスクとして特定した炭素税の導入に対しては、インターナルカーボンプライシングを導入し、GHG排出削減を考慮した投資(脱炭素投資)をさらに推進することで対応することを計画しています。

また、環境配慮要請の高まりに伴うマーケット変化を受け、2016年に始動させた前長期経営計画「Progress

2030」および2022年に発表した長期経営計画「Atelier2050」で主要事業領域の一つとしている、環境エネルギー分野での事業機会が増加すると考えています。

当社は化学業界において、これまで行ってきた脱炭素投資や製品特性により、炭素効率性が相対的に高いため、投資家等からの気候変動対応に対する要請の高まりが、追い風となると認識しています。

一方、4℃シナリオにおいて、異常気象の増加により工場やサプライチェーンが影響を受けるリスクに対しては、主要製品のBCP(事業継続計画:Business Continuity Plan)の策定および随時見直し、重要原料の複数購買等で対応していきます。また、気温上昇・異常気象に伴うマーケット変化について、水不足や感染症などに対して、農業化学品や飲料水の殺菌消毒剤等の事業機会を獲得することができると考えています。

当社は、「人と自然の豊かさを希求し成長する未来創造企業」として、長い歴史で培ったコア技術に一層磨きをかけ、人々の暮らしに役立つ新たな価値の提供に今後も取り組んでいきます。

 

*シナリオ分析/地球温暖化や気候変動そのものの影響や、気候変動に関する長期的な政策動向による事業環境の変化等にはどのようなものがあるかを予想し、その変化が自社の事業や経営にどのような影響を及ぼし得るかを検討するための手法。

 

●参照したシナリオ

 

2℃シナリオ*1

4℃シナリオ*2

移行

・IEA-WEO*3 持続可能な開発シナリオ (SDS)

・IEA-WEO 新政策シナリオ (NPS)

リスク・機会

・IEA-ETP*4 2℃シナリオ (2DS)

物理

・国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC) RCP2.6

・国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC) RCP8.5

リスク・機会

・文部科学省 d2PDF

・文部科学省 d4PDF

*1 産業革命以前と比較して、気温上昇を2℃以下に抑えるために必要な対策が講じられた場合のシナリオ

*2 産業革命以前と比較して、21世紀末に世界の平均気温が4℃上昇するシナリオ

*3 国際エネルギー機関「World Energy Outlook」(2019)

*4 国際エネルギー機関「Energy Technology Perspectives」(2017)

 

 

●リスク・機会の特定プロセス

Step1

バリューチェーンやステークホルダーを明確化し、当社事業に影響を及ぼす要因を整理

Step2

上記シナリオやその他外部情報に基づくリスク・機会の洗い出しを実施

Step3

洗い出したリスク・機会から、発生の可能性、事業へのインパクト(人的損失、財務的インパクトなど)を踏まえ、特に重要なリスク・機会を特定

 

 

②指標及び目標

当社では、レスポンシブル・ケア中期計画(2016-2021年度)において、総量・原単位それぞれで削減目標を設定しています。また、シナリオ分析の結果から、炭素税導入が最も大きな気候変動関連リスクと認識しており、Scope1+2排出量の約95%を占める日産化学本体の排出量削減がリスク低減に重要であると考えています。

このため、2021年1月に新たに設定した日産化学本体における長期目標「Scope1+2排出量を2030年度までに2018年度比30%削減」を、2022年度発表した中期経営計画「Vista2027」で3年前倒しすることとし、「Scope1+2排出量を2027年度までに2018年度比30%以上削減」としました。本削減目標に対する達成度は、役員の業績報酬のESG連動部分に反映する仕組みとしています。

富山工場における天然ガスへの燃料転換、2017年度に実施した硝酸設備能力の適正化工事による反応器からの一酸化二窒素(N2O) の発生量の抑制、設備の能力向上、老朽化設備更新等による省エネルギー化などにより、GHG排出量を着実に減らし、2021年度までの中期目標をすべて2020年度に1年前倒しで達成しましたが、2021年度は新型コロナ影響からの世界的な経済回復に伴うアンモニア系製品の生産量増加等により、GHG排出量、エネルギー消費量が増加し、売上高当たりエネルギー消費量の改善が2021年度目標を下回りました。

当社は、GHG排出量およびエネルギー消費量について、2018年度分から第三者検証を受審しており、今後も引き続きGHG排出量削減の取り組みを進め、環境負荷低減を推進していくとともに、信頼性の高い情報の開示に努めていきます。

●レスポンシブル・ケア中期計画(2016-2021年度)中期目標および長期目標

カテゴリ

指標

対象範囲

2021年度目標

2027年度目標

GHG排出量

Scope1+2排出量

総量

単体

2011年度比20%削減

2018年度比30%以上削減

削減

売上高当たりScope1+2排出量

原単位

単体

2011年度比40%改善

省エネルギー

売上高当たりエネルギー消費量

原単位

単体

2011年度比30%改善

 

 

●気候変動関連データ

 

範囲

単位

2011

2018

2019

2020

2021

目標

(目標年)

Scope1

単体

t-CO2e

369,610

245,469

221,264

216,276

231,713

Scope2

単体

t-CO2e

79,451

117,926

105,390

102,182

113,623

Scope1+2

単体

t-CO2e

449,061

363,395

326,654

318,458

345,336

359,248

(2021)

254,377

(2027)

GHG排出量原単位*1

単体

t-CO2e/

4.06

2.33

2.04

1.96

2.03

2.44

(2021)

(Scope1+2)

100万円

Scope3*2

単体

t-CO2e

703,562

767,799

763,007

803,461

エネルギー原単位*3

単体

*4

100

73.8

70.8

67.9

72.6

70

(2021)

Scope1

連結*5

t-CO2e

 

253,785

228,791

220,243

238,958

Scope2

連結*5

t-CO2e

 

128,647

116,724

116,516

124,663

Scope1+2*6

連結*5

t-CO2e

 

382,432

345,514

336,759

363,621

Scope1+2 の連結に

 

%

95.0

94.5

94.6

95.0

占める単体の割合

*1 排出量/売上高

 

 

 

 

 

 

 

*2 カテゴリ別データ:https://www.nissanchem.co.jp/csr_info/index/esg_data.html

 

*3 エネルギー使用量/売上高

 

 

 

 

 

 

*4 2011年度を100とする

 

 

 

 

 

 

*5 日産化学本体および、製造施設を有する連結子会社(日本肥糧、Nissan Chemical America Corporation、NCK Corporation)

*6 四捨五入の関係で、上段のScope 1, Scope2 の和と一致しないところがあります。

 

 

 

(3)人的資本に関する考え方

「社会が求める価値を提供し、地球環境の保護、人類の生存と発展に貢献する」という企業理念のもと、当社が「未来創造企業」として成長し、社会とともに発展するためには、事業基盤である人的資本の拡充が最重要課題の一つです。長期経営計画「Atelier2050」においては、2050年のあるべき組織の姿を「強い情熱で変革に挑む共創者集団」と定め、社員の基本姿勢を「誠実を力に」「志で踏み出す」「協働を超えた共創へ」の3つとしました。「誠実」という当社の強み・アイデンティティを維持しながら、多様な人材が目標に向かって挑戦し、自己の成長を図る組織を実現するため、当社は人材育成や環境整備に向けて様々な取り組みを行っています。各取り組みに対しては、中期経営計画「Vista2027」StageⅠ最終年度である2024年度を通過点とし、定量的目標を定めて人的資本経営を推進していきます。

 

<各取り組みの位置付け>


 

「人材育成に関する取り組み」

1) 価値向上に「挑戦」し続ける牽引人材の輩出

当社が今後も継続的な成長を続けるためには、価値向上に繋がる改善や提案を、「志(内発的動機)」に基づき、主体的に考え、自ら挑戦することで事業を牽引する人材を輩出することが課題であると捉えています。そのために、課長・係長相当職への昇格前研修では、新たな事業・製品・サービスを発想し、周囲を巻き込むリーダーシップを発揮しながら、数か月かけて検証・軌道修正する仮説検証型研修を実施しています。

また、2023年度より、各人が志に基づく判断で、通常業務の領域外や、部門方針では明示されていない領域等のテーマへの挑戦に対し、年間労働時間の10%を充てて取り組むことができる仕組みとして「10%Challenge」を新たに導入しました。成果の有無にとらわれず挑戦を楽しむ文化の醸成や、新しいことに挑戦する経験を通じて自身の可能性を広げることを期待しています。

加えて、各工場においては、ほぼ全ての操業員等が参加し、毎年改善活動を実施するAi運動(1978年にスタートした、当社独自の小集団活動をベースとする改善提案活動)を推進しています。現場起点で価値向上に繋がる改善を継続するスタンス、前例にとらわれない提案力の向上を目指します。

指標

実績(2022年度)

目標(2024年度)

挑戦に関する従業員意識調査肯定回答者割合

67.0%

70.0%

 

 

 

2) 領域を超えた「共創」人材の輩出

社会課題解決に貢献するための新たな製品・サービス、技術の種を継続的に生み出していくには、自らの領域(技術、部門)に閉じることなく、境界を越えた連携をすることによって、新たな価値を「共創」できる人材を輩出することが課題と捉えています。仮説検証型研修、10%ChallengeおよびAi運動などにおける共創テーマ提案数の増加を図ります。

また、自社技術の新たな獲得、価値向上、および展開に向けて、社外関係者を巻き込み共創できる状態を目指し、他社との共同研究・共同特許出願や、社外への人材の出向・転出・輩出など、一つの領域に固執しない、境界を越えた連携を促進していきます。

指標

実績(2022年度)

目標(2024年度)

共創テーマ提案数

134件

160件

 

※2023年度より導入した10%Challengeにおける取り組み数は、2022年度実績には含まれていません。

 

3) ビジネスのポテンシャルを見極め実需化する「目利き」人材の輩出

次世代の成長の源泉となる新製品・サービスを育成するには、市場ニーズを踏まえながら、代替が利かない「Must-Have」な製品ニーズを見出し、そのバリューチェーンの成長性も見据えた「目利き」のできる人材を輩出することが課題であると捉えています。「目利き」人材を輩出するため、起業家の持つ能力の開発と社内起業家の育成を目的としたイントラプレナーシッププログラムを実施しています。社内起業家としての行動スキルの実践、情報収集・仮説検証を短サイクルで繰り返すことで、有望テーマを磨き上げ、イノベーターとしての行動の体得を目指します。

また、研究・製造・営業といった職域を横断する人事ローテーションを積極的に実施することにより、研究職・技術者が顧客と直接対話する機会をできる限り設け、技術起点だけでなく顧客・市場・社会課題起点でビジネスを見定める力を育てます。

 

「社内環境整備に関する取り組み」

4) 個人の意志が尊重される『多様性』ある風土づくり

価値向上に「挑戦」し続ける人材を育成するためには、ともに働くすべての人の多様性が尊重され受け入れられると同時に、その多様な個人が有する意志(異見)を交わすことができる風土づくりが課題であると捉えています。従業員と人事担当役員が直接対話できる機会の設置や、個々の個性を生かし仕事に対するやりがいを育むよう、キャリアプラン構築のためのキャリア対話を全従業員が年1回以上実施しています。さらに従業員一人ひとりのライフスタイルに合わせた働き方を推進するため、フレックスタイムや時間単位年休など、様々な制度を導入しています。

指標

実績(2022年度)

目標(2024年度)

多様性・キャリアプランに関する従業員意識調査肯定回答者割合

65.5%

70.0%

 

 

5) 企業理念への理解・共感を生む風土づくり

社会課題解決に貢献し、当社が社会と共に成長するためには、一人ひとりの従業員が企業理念と「生きがい」とを重ね合わせ、事業活動の根幹である企業理念への共感度を高めていくことが課題であると捉えています。個々の従業員が、企業理念・ビジョンの実践に貢献しているという実感を伴って働くことができる風土を醸成するため、サステナビリティ・IR社内説明会の開催や、社長自らが毎年各拠点を訪問し、従業員への講話や直接対話の機会を設けるといった取り組みを進めています。

指標

実績(2022年度)

目標(2024年度)

企業理念への共感度に関する従業員意識調査肯定回答者割合

64.4%

70.0%

 

 

 

6) 従業員の心身の健康推進

当社は、従業員の心身の健康を「健全な企業の成長を支える基盤」と考えており、その健康の維持・増進を目的に様々な施策を実施しています。具体的には、高ストレス者割合の低下、適正体重者(BMI(肥満度)指数が18.5以上25.0未満)70%以上、年次有給休暇取得率80%以上を目指し、定期健康診断の受診の推進、ストレスチェックの実施、全従業員対象の健康管理能力向上セミナーの実施などの取り組みを進めています。

また、レスポンシブル・ケアマネジメントシステムを通じて、労働災害の防止、労働者の健康増進、快適な職場環境の形成につとめ、各事業所の安全衛生レベルの向上を図っています。

これらを含む取り組みの結果、プレゼンティーイズムによる生産性損失低減や、「ホワイト500」等、健康経営に関する総合的、客観的認証取得を継続することを目指します。

指標

実績(2022年度)

目標(2024年度)

高ストレス者割合

8.1%

7.0%以下

 

 

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) リスクマネジメント体制
 リスクマネジメント活動全般について継続的改善を推進する専門組織として、経営企画部リスク・コンプライアンス室を設置しています。また、リスクマネジメントの実効性を高めるとともに、コンプライアンスを維持向上、推進するための機関として、リスク・コンプライアンス委員会を設置し、年2回定期的に開催しています。
 本委員会は取締役会が指名するCRO(チーフ・リスクマネジメント・オフィサー)を委員長とし、CROが指名する各部門、箇所および国内連結子会社のリスク・コンプライアンス責任者から構成されています。リスク・コンプライアンス責任者は、定期的に、リスクの洗い出し・評価・対策計画立案、リスク対策実施状況、課題の自己評価、改善案の策定を行う他、計画的に各部門、箇所および国内連結子会社にて教育、訓練等を行います。
 リスクマネジメントに関する重要事項、対策計画等は本委員会の審議を経て、取締役会で決議します。

(2) リスクアセスメント
 各部門の事業特性やグローバルな政治・経済・社会情勢等、ビジネスを取り巻く環境を考慮してリスクを洗い出し、各部門、各箇所および国内連結子会社のリスク・コンプライアンス責任者からの意見集約などを通じて、発生可能性と事業への影響度を評価、その後当社取締役へのヒアリングを実施した上で、リスクマップを作成し、「グループ重要リスク」を選定しました。その内容はリスク・コンプライアンス委員会での審議を経て、取締役会で決議しています。


(3) グループ重要リスク
 当社グループの経営成績、財政状態等につき、投資者の判断に重大な影響を及ぼす可能性のある事項は以下のとおりであります。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、以下に記載したリスクは主要なものであり、これに限られるものではありません。

1) 事業ポートフォリオ戦略の失敗
①化学品事業部
 工業薬品類などの基礎化学品をさまざまな産業に提供する一方で、先端分野に対応する製品の生産・供給にも努めており、限界まで不純物を除去した高純度薬品、さらには電子材料用途で需要が伸びていますシアヌル酸由来の高機能化学品などを市場に投入しています。
 これら製品は、天然ガスを出発原料とするアンモニアの誘導品であることから、原燃料価格の影響を受けるほか、中国市況等の変化により、世界の需給バランスが崩れ、当社販売にも影響が波及する可能性があります。
 また、IoT、AIなどのデジタル技術導入による工場保全技術の高度化に努めてまいりますが、近年、設備老朽化に伴うプラントトラブルが発生し、一定期間の操業停止および損失が生じています。

②機能性材料事業部
 「ディスプレイ材料」「半導体材料」「無機コロイド」事業を通じて、スマート社会の実現に貢献しています。
 ディスプレイ材料は、液晶分子を一定方向に揃えるための配向材を主幹材料とし、現在は主にスマートフォン、タブレット向けに供給していますが、今後はTVなどの大型ディスプレイ向けにも展開してまいります。一方で、液晶より薄型軽量で高速応答などの特長を有し、フレキシブル化などの意匠性にも優れた有機ELが、スマートフォン、高画質・大型のテレビなどに採用されるケースが増えてきました。当社は、有機EL関連材料、有機ELに続く次世代自発光ディスプレイ向け材料の開発も進めておりますが、開発状況、企業間競争の激化などによっては、採用未達となるおそれがあります。
 半導体材料は、光照射によりフォトレジストを微細加工する際に、光の乱反射や干渉、塗布不良などのトラブルを防止するコーティング材料からスタートし、半導体回路幅のさらなる微細化に対応する材料を開発、現在はEUV(極端紫外線)露光技術の実需化、微細化の限界に備え、それぞれEUV用材料、三次元実装用材料にも注力しています。しかし、開発状況、企業間競争の激化などによっては、採用未達、シェア喪失のおそれがあります。

 無機コロイドは、ナノシリカの水分散液を販売して以来、現在では有機溶媒分散液、無溶剤で使用できる製品を提供し、光学フィルムのコーティング材、電子記録媒体の研磨剤などに使用されています。最近では、シェールオイル・ガスの採掘効率向上剤などへの用途展開を図っておりますが、原油価格の変動によりシェールオイル需要に変化が生じ、当社剤の販売にも影響が及ぶ可能性があります。
③農業化学品事業部
 新規薬剤の探索から開発・製造・販売までの一貫した事業活動と、他社剤の買収や共同開発による幅広い製品ラインアップの拡充を通じて、安定した食料の供給に貢献しています。2018年には殺虫剤を上市・発売、2019年、2020年には殺菌剤を他社より買収し、製品ポートフォリオを充実させました。また、農業用殺虫剤の開発を進めるなかで、農作物の害虫だけでなく、イヌ・ネコに寄生するノミ・マダニの駆除にも効果がある化合物を発見し、動物用医薬品分野にも進出しました。現在は殺虫剤・水稲用除草剤の開発、次製品の研究を続けています。増加する原体ラインナップ・需要増に対応すべく、生産・供給にまつわる各種対策を実施しておりますが、完了までに時間を要した場合、一時的に販売機会を逸する可能性があります。

④ヘルスケア事業部
 当社化合物を原薬とする高コレステロール血症治療剤は、現在世界30ヵ国で承認を受け販売されていますが、国内の物質特許が2013年8月に満了となり、ジェネリック医薬品によるシェア低下、薬価改定の影響を受け、国内では厳しい状況が続いています。新薬創出が急務となっているなか、低分子医薬ではAIの活用に取り組むとともに、核酸医薬に注力、さらにはヘルスケアという総合的な視点で、生体界面制御材料や化粧品材料などの医療材料の実需化や拡販を進めます。また、顧客のニーズに合わせて医薬品原薬開発をトータルにサポートする課題解決型受託事業および共同開発型事業では、海外でのビジネスおよびペプチド事業への展開を図ります。しかし、自社創薬の成果獲得には研究開発費と時間を要することから、その結果次第では、中長期的に経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

2) 新製品の開発、外部の技術革新
 当社グループは、これまで培ってきた「精密有機合成」「機能性高分子設計」「微粒子制御」「生物評価」「光制御」の5つのコア技術に、「微生物制御」、「情報科学」という新技術を育成することで、「情報通信」「ライフサイエンス」「環境エネルギー」「素材・サービス」の事業領域で、社会課題の解決に貢献すべく、新製品の開発を積極的に進めています。新製品の開発には、高度な技術と多くの資金、人的資源が必要であり、長い時間を要します。当社では、近年、年間売上高の8~9%を研究開発費に投じるとともに、総合職人員の約40%を研究に従事させるなど、研究開発に経営資源を傾斜配分、さらには最新技術情報を踏まえた研究テーマの設定、定期的評価に基づく継続または改廃などを行っておりますが、当社がターゲットとする市場環境や技術動向の急激な変化が生じ、開発の成否、ひいては経営成績および財務状況に影響を受ける可能性があります。
 

3) 原料調達、製品供給
 当社は、原料および資材の調達に関する方針(購買方針)を定め、重要な原料、中間体、製品の製造などを委託する際は事前に、またその他新規および既存のサプライヤーに対しても必要に応じ、サステナビリティ調査票への回答を求め、当社の基準を満たす企業との取引を優先的に進めるとともに、取引先に対する啓蒙・改善活動を行っています。

 さらに、国内外のサプライヤーおよび業務委託先を訪問監査し、サステナブル活動、とくに、環境・健康・安全(EHS)への取り組みを詳細に確認し、サステナブル調達の推進を図るなど、コスト・品質等を考慮の上、安定的な調達先の確保に努めております。しかし、高度な技術により合成された化合物など、供給元が限定されている原料があることに加え、中国をはじめ、海外からの輸入に頼る原料もあり、何らかのトラブル、調達先所在国における突如とした法規制の強化等により、調達先からの供給が滞った場合、製品の安定的な製造・販売体制に支障をきたし、経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。


 

4) 法的規制、法令違反
 当社グループは、事業の特性上、化学物質の取り扱いに関する国内外の法令等により規制を受けています。近年の環境問題、生体への影響に対する世界的な意識の高まりなどから、各種規制はますます強まる傾向にあり、現行規制の改正や強化等がなされた場合、事業活動が制限される、その対応のための費用を要する、あるいは当該製品が対象国にて販売できなくなるなど、経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
 また、当社グループでは、コンプライアンスを法令および広く社会規範に従うことと認識し、コンプライアンス規則を策定し、コンプライアンス基本方針を定めています。さらに、内部通報制度を設置し、コンプライアンス違反の未然防止、早期解決のための体制を整えるとともに、役員・社員等に対し、各種研修、コンプライアンスマニュアルの周知などを通じて、知識向上、啓蒙に努めておりますが、法令等に違反した場合や社会的要請に反した行動等を取った場合、法令による処罰・訴訟の提起・社会的制裁を受ける可能性があります。
 

5) 労働災害、事故災害、自然災害
 当社グループは、化学物質の開発から製造、物流、使用、最終消費を経て廃棄・リサイクルに至る全ての過程において、自主的に「環境・健康・安全(EHS)」を確保し、活動の成果を公表し社会との対話・コミュニケーションを行うレスポンシブル・ケア(RC)活動に、取り組んでいます。
 RCマネジメントシステムを通じて化学製品の研究開発、製造、販売、変更などに至る各段階で、リスク評価(事前評価)を実施し、その結果に基づき、法規制順守対応、製造現場での作業者ばく露低減のための設備改良、作業方法の改善、手順の明確化・文書化や教育訓練などの適切な対策を講じるなど、労働災害の防止、労働者の健康増進、快適な職場環境の形成に努め、各事業所の安全衛生レベルの向上を図っています。また、安全確保と安定操業、保安力向上を目指し、製造事前評価によるリスクの洗い出し、プロセスKY(危険予知)、設備KYを実施し、必要な設備投資を行うとともに、毎年の各種訓練等を通じ、緊急時あるいは事故発生時に確実な対応が取れるように備えております。
 地震をはじめとする自然災害に対しては、工場および主要な事業拠点を対象に災害対策、事業継続計画(BCP)を策定しており、今後も強化と充実を図ってまいります。
 しかしながら、不測の大規模地震や台風等の自然災害による生産設備への被害、工場における事故、輸送・外部保管中の事故等により、工場の操業や顧客への供給に支障が生じることで、当社グループの信用、経営成績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
 

 

6) 製品品質
 当社グループは、各工場で品質マネジメントシステムの認証取得および維持・更新を行うとともに、製造部門とは独立した品質保証部門の設置、顧客の商品に関する声(苦情情報)を迅速に収集、評価し、必要な是正を実施するための社内ネットワークを構築するなど、品質保証体制の確立に努めています。また、昨今大きな社会問題となりました品質管理に関わる不正・改ざんに対しても、防止ガイドラインを策定・運用を開始、監査を実施し、潜在リスクが発見された場合は改善を行ってきました。しかし、製造・輸送・保管等の過程において予期せぬトラブルが発生、品質への影響が生じ、顧客または当社材料が使用された製品ユーザーにて人的・物的損害が起こった場合、損害賠償請求を提起され、経営成績および財務状態のみならず、当社グループへの社会的信用が失墜し、事業に悪影響を及ぼす可能性があります。
 
7) 知的財産
 当社は、研究成果と知的財産が事業の根幹であるとの考えのもと、知的財産権保護は極めて重要な経営課題と認識し、知的財産の取得にとどまらず、訴訟による権利行使も実施しています。当社は国内外で事業を展開し、世界各国で特許を出願・申請、取得していることから、グローバルに知的財産の権利確保を図り、侵害を監視する体制を強化しております。
 しかし、他社との間で知的財産を巡って係争が生じたり、他社が当社の知的財産権を侵害した場合、当事者間での和解交渉、法定での係争結果次第では、一時金の支払い、ライセンス契約の締結に至り、当初想定していた売上・利益を達成することができず、経営成績および財務状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

8) 情報セキュリティ
 当社グループは、研究開発、生産などに関する機密情報、販売促進等に用いるお客様の個人情報を保有しています。また、将来的に予想される労働力不足に備え、IoT、AIなどのデジタル技術を工場に導入することで、生産性の引き上げ、保全体制の確立を進めています。
 当社グループでは、情報管理規則、各種ガイドラインを定め、社員に遵守徹底するなど、ハード、ソフト双方のセキュリティ対策を実施しておりますが、外部攻撃、不正アクセス、コンピューターウィルスの感染等により、制御系・基幹システムの障害、保有する機密情報・個人情報の漏洩が発生した場合、当社グループへの信用、経営成績および財務状態に影響を及ぼす可能性があります。

 
9) 人材確保
 当社グループでは、多様化・高度化する市場の要求への対応力を高めるために、研究開発力の強化や製品品質の向上に取り組むとともに、多様で優秀な人材の確保・育成や働きやすい職場づくりなどの取り組みを通じて、事業基盤の強化を目指しています。
 人材開発の本質は「社員一人ひとりが自発的に自己研鑽を積み、自己の成長を図ること」にあるとの考えのもと、望む社員のために、さまざまな人材育成制度を整備しています。
 また、多様な人材が、生産性の高い働き方を実現し、仕事と生活の調整(ワーク・ライフ・バランス)を図るとともに、職場で多様な意見を発信し、才能を最大限に発揮できるよう、各種取り組みを推進しています。
 しかしながら、雇用情勢の悪化等により、必要な人材を確保できない場合、経営成績および財務状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

10) 海外展開
 当社グループは、各事業分野において、アジア、欧州、北米などを中心に世界各地に生産・販売拠点を設け、より市場に密着した形での事業展開を進めていることから、進出先の政治、経済、社会情勢の変化などにより、経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
 また、各拠点において有効な内部統制システムの構築に努めているものの、従業員等の悪意あるいは重大な過失による行為、もしくはシステムが十分に機能しなかったことに伴い、将来的に法令違反等の問題が発生し、行政処分による課徴金、刑事・民事訴訟による罰金、損害賠償金等の支払いに加え、当社グループへの社会的信用が失墜し、事業に悪影響が生ずる可能性があります。

 

 

11)気候変動
 気候変動の深刻化に伴い、同変動による事業活動への影響について、投資家等ステークホルダーからの関心が高まっています。当社は、パリ協定を支持するとともに、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言に賛同、インターナルカーボンプライシングを導入し、GHG排出削減および省エネルギー化を考慮した脱炭素投資をさらに推進するとともに、異常気象の増加により工場やサプライチェーンが影響を受けることも想定し、主要製品のBCPの策定、BCPの随時見直しおよび重要原料の複数購買等を実施しています。
 しかし、当社グループが事業展開する各国において、温室効果ガス(GHG)排出規制が導入された場合、また当社グループの拠点がある地域にて気候変動による自然災害が増加した場合、経営成績および財務状態に影響を及ぼす可能性があります。
 
12)新型コロナウイルス
 当社グループでは、社員およびその家族の身の安全の確保を最優先に、事業継続の観点から各種対策を検討・実施してまいりました。各事業所は、各国・行政区および各社で策定した感染防止方針に従い、操業を続けています。万が一、当社グループの事業所内で感染者が発生した場合は、各国・行政区の専門機関とも連携の上、適切に対処し、状況に応じて事業継続計画(BCP)を発動するなど、事業への影響最小化を図ります。
 現時点で感染は収束傾向にありますが、万一再拡大し、サプライチェーンが突如として寸断、それが長期化した場合は、経営成績および財務状態に影響が生じる可能性があります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 

(1) 経営成績

当連結会計年度(2022年4月1日~2023年3月31日)の国内景気は、行動制限の緩和等を受けて個人消費を中心に回復基調を示しましたが、原燃料価格の高騰や物価上昇に加え、海外経済の低迷を背景として輸出低調が続いたこと等が影響し、本格的な回復には至りませんでした。このような状況のもと、当社グループの事業につきましては、化学品セグメントは、基礎化学品、ファインケミカルともに増収となりました。機能性材料セグメントは、ディスプレイ材料が減収となりましたが、半導体材料と無機コロイドは増収となりました。農業化学品セグメントは、増収となりました。ヘルスケアセグメントは、「ファインテック」(課題解決型受託事業)の売上が増加しました。

この結果、当期間における業績は以下の結果となり、2月に発表した業績予想値比では、売上高、営業利益、親会社株主に帰属する当期純利益で下ぶれたものの、前年同期比では、売上高、各利益で増収増益となりました。また、営業利益、経常利益は9年連続、親会社株主に帰属する当期純利益は10年連続で、それぞれ過去最高益を更新しました。

 

(単位:百万円、百万円未満切捨て)

 

2022年3月期

(実績)

2023年3月期

(実績)

前年比増減

 

2023年3月期

(業績予想)

業績予想比

増減

売上高

207,972

228,065

+20,093

 

229,500

△1,435

営業利益

50,959

52,283

+1,323

 

53,400

△1,117

経常利益

53,690

55,793

+2,103

 

55,500

+293

親会社株主に帰属する

当期純利益

38,776

41,087

+2,311

 

42,100

△1,013

 

 

セグメント別概況は以下のとおりであります。

なお、当社は、当第1四半期連結会計期間より、報告セグメントを変更いたしました。詳細は、「第5 経理の状況 1(1)連結財務諸表 注記事項 セグメント情報等」をご参照ください。

 

 

化学品セグメント

基礎化学品では、原燃料価格の上昇に伴う価格改定などが寄与し、尿素・「アドブルー®*」(高品位尿素水)が増収となりました。メラミン(合板用接着剤等)は、2021年8月に発表した構造改革に伴い当第3四半期に販売を終了した結果、減収となりました。ファインケミカルでは、「テピック」(粉体塗料硬化剤、封止材材料等)の販売が減少しましたが、環境化学品(プール・浄化槽用殺菌・消毒剤等)、ファインオキソコール(化粧品原料等)の売上が増加しました。

この結果、当セグメントの売上高は390億34百万円(前年同期比13億85百万円増)、営業利益は13億79百万円(同24億8百万円減)となりました。業績予想比では、売上高は7億円、営業利益は3億円の下ぶれとなりました。

* アドブルー®は、ドイツ自動車工業会(VDA)の登録商標です。

 

機能性材料セグメント

ディスプレイ材料では、「サンエバー」(液晶配向材用ポリイミド)が減収となりました。半導体材料は、当第3四半期から顧客の稼働が落ち込みましたが、上期までの好調を受けて、半導体用反射防止コーティング材(ARC®*)が増収となりました。無機コロイドは、「スノーテックス」(電子材料用研磨剤、各種表面処理剤等)やオイル&ガス材料(シェールオイル・ガス採掘効率向上材)が堅調に推移しました。

この結果、当セグメントの売上高は826億6百万円(前年同期比9億41百万円増)、営業利益は254億49百万円(同21億71百万円減)となりました。業績予想比では、売上高は9億円、営業利益は8億円の下ぶれとなりました。

* ARC®は、Brewer Science, Inc. の登録商標です。

 

農業化学品セグメント

フルララネル(動物用医薬品原薬)は昨年度に顧客在庫調整が終了し、増収となりました。国内向け農薬は、「ラウンドアップ」(非選択性茎葉処理除草剤)や「アルテア」(水稲用除草剤)、「グレーシア」(殺虫剤)が堅調な売上となりました。海外向け農薬は、「ライメイ」(殺菌剤)や「グレーシア」、「タルガ」(除草剤)が好調に推移し大幅な増収となりました。

この結果、当セグメントの売上高は815億84百万円(前年同期比157億65百万円増)、営業利益は231億30百万円(同50億2百万円増)となりました。業績予想比では、売上高は2億円の上ぶれ、営業利益は4億円の下ぶれとなりました。

 

ヘルスケアセグメント

「リバロ」(高コレステロール血症治療薬)原薬は、前年並みの売上となりました。「ファインテック」は、ジェネリック原薬販売が順調で増収となりました。

この結果、当セグメントの売上高は66億73百万円(前年同期比83百万円増)、営業利益は29億90百万円(同1億76百万円増)となりました。業績予想比では、売上高は1億円、営業利益は1億円の上ぶれとなりました。

 

卸売セグメント

当セグメントの売上高は990億66百万円(前年同期比186億29百万円増)、営業利益は37億1百万円(同7億97百万円増)となりました。業績予想比では、売上高は1億円、営業利益は4億円の上ぶれとなりました。

 

その他のセグメント

当セグメントの売上高は263億84百万円(前年同期比27億89百万円増)、営業利益は8億79百万円(同1億87百万円増)となりました。

 

 

生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。

① 生産実績

当社グループの生産品目は、広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様ではなく、セグメントごとに生産規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。このため、生産実績については、「(1) 経営成績」におけるセグメントの業績に関連付けて示しております。

 

② 受注実績

当社グループは原則として、受注生産方式を採用しておりません。

 

③ 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

前連結会計年度比
(%)

金額(百万円)

化学品セグメント

39,034

3.7

機能性材料セグメント

82,606

1.2

農業化学品セグメント

81,584

24.0

医薬品セグメント

6,673

1.3

卸売セグメント

99,066

23.2

その他のセグメント

26,384

11.8

セグメント間の内部売上高(消去)

△107,285

22.2

合計

228,065

9.7

 

(注) 上記の金額は外部顧客に対する売上高とセグメント間の内部売上高の合計であります。

 

(2) 財政状態

当連結会計年度末の総資産は、商品及び製品、原材料及び貯蔵品、建設仮勘定が増加したことなどにより、前連結会計年度末比190億27百万円増2,987億15百万円となりました。

負債は、短期借入金の増加により、前連結会計年度末比55億10百万円増771億88百万円となりました。

また、純資産は前連結会計年度末比135億16百万円増2,215億26百万円となりました。この結果、自己資本比率は前連結会計年度末比0.5ポイント減少し、73.1%になりました。
 

(3) キャッシュ・フロー

当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益、減価償却費、運転資金の増減などから法人税等の支払額を控除した結果、352億26百万円の収入(前連結会計年度は419億49百万円の収入)となりました。

投資活動によるキャッシュ・フローは、工場などの設備投資を中心に196億43百万円の支出(前連結会計年度は123億95百万円の支出)となりました。

また、財務活動によるキャッシュ・フローでは、自己株式の取得による支出、配当金の支払、長期借入金の返済などにより250億30百万円の支出(前連結会計年度は278億68百万円の支出)となりました。

現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、換算差額の増加額13億20百万円を調整したことにより、前連結会計年度末に比較して50億10百万円減少しており、これに連結の範囲の変更に伴う現金及び現金同等物の増減額31億16百万円を加味した結果、296億47百万円(前連結会計年度末は346億58百万円)となりました。

当社グループの資本の財源は、安定した事業活動から生みだされる営業キャッシュ・フローを主な源泉としております。2023年度においては、研究設備の充実や製造設備の増強等の資本的支出を予定しており、さらに毎年継続的に行っている自己株式の取得等の株主還元により資金の有効活用を図ると同時に流動性を保っていきます。

 

以上の営業活動・施策により、中期経営計画「Vista2027」の前半3ヵ年(2022年度~2024年度)のStageⅠにて掲げた以下の経営目標に対し順調に推移致しました

 

 

経営目標

2022年度実績

売上高営業利益率

20%以上

22.9%

ROE

18%以上

19.4%

配当性向

21年度:45%、22年度以降:55%維持

56.3%

株主総還元性向

19年度:72.5%、20年度以降:75%維持

78.0%

 

 

(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1(1)連結財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載しております。
 

5【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

 当社は2022年度、新長期経営計画Atelier2050、および新中期経営計画Vista2027を開始いたしました。「未来のための、はじめてをつくる。」をコーポレートスローガンに据え、精密有機合成、機能性高分子設計、微粒子制御、生物評価、光制御の5つの従来のコア技術にさらに磨きをかけるとともに新たなコア技術を修得し、新事業領域へ挑戦しています。当社は、物質科学研究所、材料科学研究所、生物科学研究所の3つの国内の研究所を中心に、これら国内の研究所と、韓国、台湾、中国のR&Dセンターにおいて研究活動を行っています。それぞれの研究所、R&Dセンターが連携し、既存事業拡大に向けた開発や新技術の開発を進めております。

 現在、主に材料分野で、機械学習、人工知能を用いたマテリアルズ・インフォマティクスの導入検討を進めており、研究開発の高速化と高度化を図っています。また、2022年度に生物科学研究所に創設したバイオロジカルグループが主体となり、微生物を活用する技術の育成に取り組んでおり、新しいコア技術修得に向け検討を進めております。

 2022年度の研究進捗につきまして、化学品分野では、自社製品や技術をベースとして独自エポキシを半導体実装用途や高周波基板用途に展開しております。また、SDGsへ貢献可能な微生物製剤「ビーナス®オイルクリーン」は、優れた油脂分解力で食品工場の産業廃棄物削減に寄与しております。

 機能性材料分野では、ディスプレイ材料、半導体材料、無機コロイドで既存製品の高品質・高性能グレードに向けた検討を、また、多様化する顧客ニーズに応えた将来の主要事業とすべく新規材料の研究開発を進めております。ディスプレイ材料では光配向材のさらなる高性能化に加えて、OLEDやマイクロLED、フレキシブルデバイス用材料の開発を、半導体材料では既存製品の高品質化とともに今後の世代で必要になる微細加工技術や実装技術の積極的な開発を、無機コロイドではシリカゾルの持つ強みを活かした材料開発を行っております。

 農業化学品分野では、当社オリジナルの殺虫剤原体フルキサメタミドを含有する製品において、野菜、茶、芝向けに続く、果樹用のフロアブルを上市しました(2023年4月発売開始)。スマート農業関連では、ドローン散布への農薬登録の拡大やAI病害虫雑草診断でスマートフォン用アプリケーションへの参加など、各種IT企業とのスマート農業参入に向けた検討が進んでおります。

 ヘルスケア分野では、中分子医薬品の技術開発の取り組みを拡大しており、独自の核酸構造を用いた創薬基盤技術について、数社の製薬企業や国内外のアカデミアとの共同研究により、核酸創薬研究を広く展開しております。また、ペプチド医薬品原薬の供給については、独自の製造技術 SYNCSOL®を活用して安価で高品質な長鎖および環状ペプチドの大量製造が可能となり、顧客ニーズや課題に合致したソリューションを提案しております。さらにジェネリック医薬品原薬や再生医療材料の開発に注力し、事業の拡大を図ってまいります。

 

なお、当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費の総額は16,838百万円であります。

 

セグメント別の主な内訳は以下の通りであります。

 

(1) 化学品セグメント

化学品セグメントでは、成長分野の市場ニーズを見据え、自社製品・技術をベースとした新しいファインケミカルの創出、高機能化、用途拡大に取り組んでおります。機械物性と耐熱信頼性を両立する液状エポキシ「TEPIC®-VL」、「TEPIC®-FL」を半導体実装用途に、低誘電正接エポキシ「FOLDI®」を高周波基板用途に展開しております。樹脂添加剤「スターファイン®」は金属基材との密着力を高めることができ、塗料、接着剤、樹脂成型品など採用シーンが拡がっております。

また、SDGsへ貢献可能な製品の市場開発も進めております。油脂分解力に優れる微生物製剤「ビーナス®オイルクリーン」の採用件数を増加させており、食品工場から出る産業廃棄物の削減を達成しております。

当セグメントに係る研究開発費は281百万円であります。

 

(2) 機能性材料セグメント

機能性材料セグメントでは、船橋、袖ケ浦、富山の3拠点を有する材料科学研究所において、ディスプレイ材料、半導体材料、無機コロイドの研究開発、および将来の事業の柱となる新規材料の研究開発を実施しております。

ディスプレイ材料では、市場・顧客動向を的確に把握し、これまで培ってきた独自技術をもとに、高性能化、多様化に対応した材料開発に取り組んでおります。特に、IPS/FFS用光配向材では、各種用途での要求に応じ、さらなる高性能化を進めております。また、中国R&Dセンターの解析および評価能力の向上に向けた設備拡充により、拡大する中国市場での顧客対応力のさらなる強化を図っております。

半導体材料では、半導体デバイスの高集積化の進展に伴い、既存製品の高品質化を進めるとともに、次世代あるいは次々世代の微細加工技術、および実装技術に対応する製品・材料の研究開発にも注力しております。また、このような新製品・新材料の創出に向け、各種コンソーシアムへの参加、産官学およびベンチャー企業との連携に取り組んでおります。

無機コロイドでは、シリカゾルの持つ機能を活かし、研磨、金属表面処理、ハードコート等向けの製品開発や市場開拓を展開しております。シリカゾル以外では、ジルコニアやチタニアのゾルをスマートフォンやタブレット用の光学フィルムの屈折率調整用途や眼鏡用ハードコート用途向けに開発しております。また、近年はオイル&ガス分野での製品開発に取り組んでおり、米国のみならずアジア地域等への展開を図っております。

新規材料については、当社のコア技術を深化・発展させると同時に、社内外の共同研究を活用して、本格的な市場拡大が進んでいるOLED向けの材料やディスプレイの表示性能を向上させる材料、フレキシブルデバイス向けの材料など、次世代につながる材料の研究開発を進めております。

当セグメントに係る研究開発費は7,576百万円であります。

 

(3) 農業化学品セグメント

当社が独自に創薬開発した殺虫剤原体「フルキサメタミド」を含有する製品としては、日本では、野菜および茶向けの「グレーシア®乳剤」、芝用の「イザナミ®フロアブル」に続いて、果樹用の「グレーシア®フロアブル」も上市しました(2023年4月発売開始)。海外では、2018年に韓国で発売を開始して以降、2020年にサウジアラビア、2021年にアラブ首長国連邦、インドネシアおよびイランの3カ国、2022年にインドおよびウズベキスタンの2カ国、そして2023年4月にはヨルダンで登録されるなど、製品の販売国は着実に拡大しています。その他東南アジア諸国ならびに中東および西アフリカ地域での評価や登録申請も順次進めており、さらなる販売エリアの拡大と製品の拡販を目指します。

抵抗性、難防除雑草に卓効を示す水稲用除草剤「ベルダー®(原体名:ジメスルファゼット)」は国内開発に加えて、韓国での開発を行っております。グローバルな展開が期待される新規水稲用除草剤「NC-656(原体名:イプトリアゾピリド)」についても、2019年度からアジアを中心に評価・開発を進めております。

水稲用除草剤「アルテア®(原体名:メタゾスルフロン)」は、国内においては、高性能な混合剤「ディオーレ®」および「流星®」を一発処理剤第3世代製品として2021年より販売を開始し、2022年には製剤ラインナップを充実させ販売を本格化しました。海外においては、2021年度に本格上市した台湾では、抵抗性カヤツリグサを対象として、販売は順調に推移しています。2022年2月には水稲面積が1,170千ヘクタールのバングラデシュで登録を取得し、2022年11月に販売を開始しました。さらにインドでも登録申請し、東南アジア諸国および中東地域では評価試験を継続します。

非選択性茎葉処理除草剤「ラウンドアップ®マックスロード」は、ULV5(Ultra Low Volume 5 Litter)散布技術の開発を進め、「ラウンドノズル®ULV5セット 動力用」、「ラウンドノズル®ULV5セット バッテリー・人力用」、「ラウンドノズル®ULV5ブームスプレーヤー用」を販売しております。なお、「ラウンドノズル®ULV5ブームスプレーヤー用」については、北海道仕様の製品の販売も開始しました(2023年4月発売開始)。その他海外開発では、殺菌剤「ライメイ®」がヨルダンで認可されました。

また、スマート農業関連では、ドローン用散布への農薬登録拡大を進めるとともに、AI病害虫雑草診断「レイミ―*」にも参加しており、各種IT企業とともにスマート農業への参画を検討しています。

当社発明化合物フルララネルを含む、MSD Animal Health社(またはMerck Animal Health社)の製品は外部寄生虫ノミ・マダニ防除用のイヌ・ネコ用経口投与錠剤(ブランド名:Bravecto®**)を中心に日本を含め世界100か国で販売されております。近年では、内部寄生虫薬とのネコ用混剤「Bravecto® PLUS」や8週齢以上の子犬向けの「Bravecto® 1-Month Chews」等ペット向け製品ラインアップを充実させています。家畜向け製品としては、ニワトリに寄生するワクモ(吸血ダニの一種)防除用飲水添加剤「Exzolt®**」または「エグゾルト®**」が、日本を含むアジアのほか、欧州、南米、アフリカ、中東で承認され、登録国数は70か国を超えました(2023年4月現在)。また、ウシ向けノミ・マダニ防除用「Exzolt®**」は、2022年3月にブラジル、5月にメキシコで承認されました。

当セグメントに係る研究開発費は4,341百万円であります。

*レイミ―:日本農薬株式会社発表のスマートフォン用アプリケーション。当社は他2社と共に参加。

**ブラベクト®、Bravecto®、Exzolt®およびエクゾルト®は、Intervet International B.V.およびIntervet Inc.の登録商標です。

 

(4) ヘルスケアセグメント

当社独自の核酸構造を用いた創薬基盤技術については、製薬企業数社との共同研究が順調に進捗し、2019年より開始した複数のプロジェクトではテーマが進展するなど、提携を拡大させております。また、国内外のアカデミアと新規標的遺伝子に対する共同研究を進めております。

安価で高品質な直鎖状および環状ペプチドの製造技術 SYNCSOL®の実用化を目的として、直鎖状および環状ペプチド医薬品原薬および周辺医療用材料への展開を図っております。本技術をペプチスター㈱との協業に活かしていくとともに、顧客の抱える課題を解決することで事業を拡大してまいります。

「NTC-801」(不整脈治療薬)については、大阪大学において遺伝性徐脈性不整脈を対象とした医師主導治験を完了、本治験結果をもとに一般徐脈治療薬としての開発可能性を精査するとともに、引き続き提携先を検討しております。

モジュラス㈱との低分子医薬品に関する戦略的業務提携において、モジュラス㈱の開発化合物について当社の原薬開発・製造技術およびノウハウを提供し、協働してその開発を推進しております。今後、共同で製薬企業への導出を目指します。

さらに高生理活性ジェネリック医薬品原薬の新規開発、および生体物質付着防止材料 prevelex® や細胞培養材料 FCeM®などの再生医療材料の開発に注力して、事業の拡大を図ってまいります。

当セグメントに係る研究開発費は436百万円であります。