当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、「信頼と誠実を大切にし、ものづくりを通じて新たな価値の創造と豊かな社会の実現に貢献する」という企業理念のもと、創業以来手がけた数多くの事業経験を財産としつつ、時代の流れとともに変化する事業環境へ、常に前向きでしなやかな対応を心掛け、先見性と進取の気質を持った活力ある企業体としての発展を目指しております。また、企業の社会的責任を認識し、株主をはじめとする全てのステークホルダーに喜んでいただける会社として成長していきたいと考えております。
(2)中期的な会社の経営戦略
当社グループは、上記の基本方針をベースにした製品戦略として、特に「電子産業分野」、「ファインケミカル分野」、「リサイクル分野」をターゲットとした商品展開を志向しております。
これらの三分野は、それぞれが重なり合って展開していることもありますが、「電子産業分野」の製品といたしましては、電子工業向け高純度燐酸、高純度無機素材をはじめとする製品群を扱っております。「ファインケミカル分野」の製品といたしましては、光学レンズ向けや、コンデンサー向けの材料や、放射性ヨウ素吸着剤などの機能性材料にも注力しております。「リサイクル分野」は、電子工業向けエッチング液の回収・再生、機械事業のリサイクルプラザ向け再資源化機器、その他事業の石油精製用触媒の再生などを事業化しております。
また、当社グループは、2021年度を初年度とする中期経営計画2023(2021年度~2023年度)に基づき、「次世代への変化に対応した事業戦略の推進と将来に向けた事業基盤の更なる強化」を基本方針として、収益力の向上、持続的成長に向けた新事業の育成、DXなどの経営課題に対して、次に掲げる事項を主に取り組んでおります。
①「既存事業の強化・領域拡大」
5G・IoT・AI分野需要の着実な取り込みや既存事業の中長期ビジョンを踏まえた方針の明確化と実行、設備投資の着実な実行と投資回収、設備の維持保全の推進による安定供給などにより、既存事業の強化・領域拡大とともに収益力の向上をはかってまいります。
②「グローバル市場への対応強化」
サプライチェーンの分散化への機敏な対応や原料調達及びデリバリーの安定確保の強化を行うとともに、ポストコロナ社会における海外営業のスタイルの見直しを行い、グローバル市場への対応強化をはかってまいります。
③「新規事業の探索・育成」
製品開発と営業の連携強化により、成長が期待できる製品のユーザー拡大と高付加価値化に努め、成長事業の拡大と新製品の早期市場投入をはかってまいります。
④「財務体質の更なる強化」
設備投資に対する収益性・投下資金回収の慎重な検討や、コスト削減努力を継続するとともに、グループでの資金管理の効率化やキャッシュ・フローを意識した収益管理の強化をはかってまいります。
なお、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等として、中期経営計画2023(2021年度~2023年度)における最終年度目標である連結営業利益33億円、連結自己資本比率55%を目指しております。
(3)経営環境
今後の経済見通しにつきましては、世界的な金融不安やインフレ抑制に伴う景気減速懸念、長期化するウクライナ情勢等の地政学的リスクなどから、不透明感が強い状況が続くと見込まれます。
このような経済状況の中、当社グループの経営環境としては、化成品事業では、電子部品関連市場の調整局面はしばらく続くものと見ておりますが、期の後半からは緩やかながらも、徐々に回復すると見込んでおります。機械事業では、下水道関連の掘進機が、足下の受注・引き合い状況から、海外向けの販売が回復するものと見込んでおります。また、破砕関連機械は、プラント工事の売上が増加すると見込んでおります。電子材料事業では、ガリウムなど高純度無機素材はユーザーの在庫調整の影響が想定されるものの、高純度赤燐は需要が引き続き堅調に推移すると見込まれます。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループといたしましては、引き続き中期経営計画2023に掲げる「次世代への変化に対応した事業戦略の推進と将来に向けた事業基盤の更なる強化」を基本方針として、収益力の向上、持続的成長に向けた新事業の育成、DXなどの経営課題に取り組んでまいります。
事業別には、次に掲げる事項に取り組んでまいります。
① 化成品事業
・燐系製品のマーケットシェアの安定化
・燐系製品の海外生産拠点との連携強化
・コンデンサー向け原料の増産体制整備と省力化
・原料調達と製品供給体制の安定化
② 機械事業
・除染およびリサイクルに関連するプラント設備の受注継続
・海外販売網との関係強化による掘進機輸出の拡大と、建設機械の新規開拓
・バイオマス関連分野への微粉体関連機械の販売強化
・精密機械加工における半導体・有機EL分野からの受注拡大
③ 電子材料事業
・放射性ヨウ素吸着剤の国内及び海外への継続的販売の実現
・高純度無機素材の市場拡大を踏まえた増産体制の整備
・既存製品の新規関連需要の開拓とシェア拡大
④ その他の事業
・石油精製用触媒再生事業の安定操業と顧客情報の把握による再生需要に対する的確な対応
・不動産事業における資産の有効活用の推進
研究開発分野では、今後大幅な増加が期待される半導体及び電子部品需要を視野に入れた素材の開発への注力、放射性ヨウ素吸着剤関連の開発や既存商品の高機能化に取り組んでまいります。また、脱炭素化を志向したバイオマス関連向け機械装置の市場開拓や、当社製品のリサイクルに関連した商品開発にも重点を置き、地球資源の有効利用とCO2排出削減を推進する企業として存続していきたいと考えております。管理面では、引き続き自己資本の充実への注力や、グローバル化、デジタル化に対応した人材の育成やESGへの対応推進を行ってまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社は、「サステナビリティ基本方針」を2022年3月期に策定しました。
サステナビリティ基本方針
当社は、ものづくりを通じて、新たな価値の創造と豊かな社会の実現に貢献するという基本理念のもと、未来のために限りある資源を有効利用し、環境保全に取り組みながら、持続可能な社会の実現に向けて、事業活動を通じて貢献するとともに、企業価値の向上を目指します。
当社は、資源開発会社として創業したことから、資源の有限性を体感しており、「資源リサイクル」を絶えず意識した事業活動に取り組んでまいりました。
当社は、これからも高い企業倫理感を持ちながら、社会規範を遵守し、全部門を挙げて、ステークホルダーとの協調をはかりながら、環境保全を推進し、人と自然に優しい循環型社会の実現へ向けた役割を果たしてまいります。
(1)ガバナンス
当社は、気候変動をはじめとした地球規模の環境問題への配慮、人権の尊重、従業員を含む全てのステークホルダーへの公正・適正な事業活動など、社会や企業のサステナビリティを巡る課題解決を事業機会と捉え、これに向けた取り組みを推進するため「サステナビリティ委員会」を設置しています。サステナビリティ委員会は、取締役会の監督のもと、サステナビリティに関する仕組みの構築、重要課題の特定、計画の立案を行い、取締役会に報告・提言を致します。サステナビリティ委員会は、代表取締役社長執行役員を委員長とし、経営企画・総
務・IRを担当する取締役及び執行役員を委員として構成され、オブザーバーとして監査等委員が参加します。サステナビリティに関する業務は、取締役会を通じて各部室長が推進します。また、サステナビリティ委員会の下部組織として、「サステナビリティ推進課」を設置し、組織を横断するサステナビリティ活動に関する調査・進捗管理や推進を担当します。
(2)戦略
持続可能な社会の実現と持続的な企業の成長にむけて、当社の経営や社会にとっての重要度の観点から取り組むべき優先課題の候補を選定し、重要性や影響度より 6 つのマテリアリティを特定しました。当社が重点的に取り組むべきマテリアリティは次の通りです。 重要課題の取り組みに関わる具体的な施策の検討を行うことにより課題解決を目標にサステナビリティを推進します。
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重要課題 |
取り組み |
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環境 |
気候変動への対応 |
温室効果ガスの削減 |
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森林の保全 |
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循環型社会の構築 |
資源の有効活用 |
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環境にやさしい製品の拡充 |
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社会 |
人権の尊重 |
ダイバーシティ |
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働きやすい職場(ワークライフバランス) |
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労働安全衛生 |
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人的資本への投資 |
人材育成 |
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社内環境整備 |
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ガバナンス |
コンプライアンスの徹底 |
公正な取引(お取引先様との共存共栄を目指す) |
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コンプライアンス |
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リスクマネジメントの推進 |
BCP |
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情報セキュリティ |
国際的に確立された開示の枠組みである気候関連財務情報開示(TCFD)に関する記載は、以下のURLをご参照ください。
https://www.rasa.co.jp/info2023051503.pdf
当社は、日本農業の近代化を図るため、創業者である農学博士で肥料砿物調査所長である恒藤規隆が官を辞し、私財を投じ仲間たちと、肥料の原料となる国産の燐鉱石の探査のため、当社の前身となる会社を立ち上げたのが始まりです。企業の利益のためだけでなく農業の近代化という国益に資するという理念を持って創業された企業です。時代の変遷に合わせ、創業当時から業態を大きく変えていますが、創業の理念を実現するため、「私たちは、信頼と誠実を大切にし、ものづくりを通じて、新たな価値の創造と豊かな社会の実現に貢献すること」をという企業理念をかかげ、多様な人材の育成と採用力強化・変革に対応した人材の再配置・再教育を掲げ、多様な人材が活躍し、一人ひとりが自分らしく働ける企業の実現を目指してまいります。
当社の人材の育成については、OJTを基本にしつつ、積極的に外部研修などを取り入れるようにしております。自分らしく働けることができるよう自己啓発を推進し、自律的なキャリア形成の推進を図っております。
当社は、現時点では、従業員に占める女性の比率が小さいため、女性の従業員の採用数を増加に取り組むとともに、女性の従業員の働く環境の整備を進めてまいります。
当社は従業員を経営資源の中核と位置づけ、作業者の安全と健康確保を実現し、安心して働ける職場環境の維持、向上に努め、労働災害ゼロを目指すため、全社横断的な全社安全衛生委員会により安全活動の推進と情報の共有を行っております。
当社は、組織の活性化を生み出すような適切な人材配置の実施を目指しております。また、当社は化成品、機械、電子材料と事業部門が分かれ、事業所も各地に点在しているため、効果的で計画的な配置になるように取り組んでいます。
(3)リスク管理
当社は、サステナビリティ関連のリスク及び機会の識別、評価、特定について、サステナビリティ委員会で行い、取締役会に報告し、企業リスクの把握に努めるとともに、対応を強化してまいります。
(4)指標及び目標
当社は、人材育成については、OJTを基本としながら、階層別研修として新人研修、中堅社員研修、企画監督職研修、新任管理職研修を行っております。これに加えて、コンプライアンス研修や役員向け研修などさまざまな方策により人材の高度化に努めております。また、自己啓発として、通信教育や動画研修の制度を運用しています。今後、人材育成のための研修などの拡充を行ってまいります。
当社の女性活躍推進に関しては、女性の採用比率25%を目標に増やすことや働きやすい職場を提供することにより、社員に占める女性比率を高めていきます。2022年度の女性採用実績比率は4%であり、過去3年平均も12%であり、今後より一層、採用活動に注力してまいります。育児休暇制度の取得促進などの環境整備にも取り組んでまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
(1)経済情勢の変動
当社グループは、化成品事業、機械事業、電子材料事業他の各分野にわたって事業を展開しており、当社グループの製品は直接的、間接的に各分野の需要変動や世界各地の市場における経済情勢の影響を受ける可能性があります。
このため、慎重に経済情勢を見極めて事業判断を行っておりますが、各市場の景気後退は当社グループの売上の減少につながり、業績及び財政状況に影響を与える可能性があります。
(2)電子部品・デバイス市場の変動
当社グループは、化成品事業の半導体製造工程向けの高純度燐酸、電子材料事業の化合物半導体向け高純度無機素材など、電子部品・デバイス市場向け製品を販売しておりますが、電子部品・デバイス市場は環境の変化により、しばしば需要の急激な増減が起こる場合があります。このため、市場動向を見極めて取引先との情報交換を行いながら、慎重に投資のタイミングをはかり、過剰在庫を避けるなど事業判断を行っております。また、製品の高付加価値化や新製品の開発に努め新しい需要を取り込み、事業基盤の更なる安定と強化をはかっております。
しかしながら、需要の急激な減少が起こった場合、当社グループの売上の減少につながり、業績及び財政状況に影響を与える可能性があります。
(3)原料価格の変動及び調達
化成品事業では燐系製品の主原料である黄燐を海外からの輸入により調達しておりますが、各国の各種制度の変更、電力事情、並びに世界的な需給などの価格の暴騰暴落要因が内在しております。また、その他の原料においても様々な要因により市況が急変し、価格が大幅に変動する可能性があります。このため、主要原料の調達ルートを分散し逼迫局面における安定確保をはかり、価格上昇が起こった場合の製品価格への転嫁をはかっております。
また、緩和局面においては原材料等の在庫評価に影響を与える可能性があり、過剰在庫を避けるよう努めております。しかしながら、いずれも完全なリスク回避となるものではなく、リスクが顕在化した場合、売上の減少や原価の上昇、また在庫評価減の発生などによって、当社グループの業績及び財政状況に悪影響を与える可能性があります。
(4)資金調達
当社グループは、借入による資金調達を行っておりますが,金利等の市場環境の影響を強く受けるため、これらの環境の変化により、当社グループの資金調達のコストが増加し、当社グループの業績及び財政状況に影響を与える可能性があります。
また、当社グループは、金融機関から借入を行っておりますが、今後新たに同様の条件により借換え又は新規の借入を行えるという保証はなく、当社グループが金融機関から適時に当社グループが必要とする金額の借入を行うことが出来ない可能性があります。このため当社グループは幅広く複数の金融機関と取引を行い、緊密に情報交換を行っておりますが、もしリスクが顕在化した場合には、当社グループの資金調達に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(5)為替相場の影響
当社グループは、製品輸出及び原材料の輸入等で外貨建て取引を行っており、業績に為替相場の変動による影響を受ける可能性があります。このため、当社グループでは為替予約等による一定のリスクヘッジを行っておりますが、為替相場が大幅に変動する場合には、売上単価の下落、原価の上昇などによって、当社グループの業績及び財政状況に影響を与える可能性があります。
また、海外の連結子会社の経営成績は、連結財務諸表作成のために円換算されますが、為替相場の変動によって当社グループの株主資本に影響を与える可能性があります。
(6)製品品質
当社グループは、原材料・製品などの検査徹底に加え生産工程の管理により、製品の品質の確保に努めておりますが、原材料などの予期せぬ品質不良などにより当社グループが生産した製品に起因する損害が発生する可能性があります。このため、当社グループでは生産物賠償責任保険に加入しておりますが、すべてのリスクを回避できるものではなく、リスクが顕在化した場合、損害賠償の発生などによって、当社グループの業績及び財政状況に影響を与える可能性があります。
(7)知的財産
当社グループは、特許の取得、調査など知的財産の確保に努めておりますが、他社等との間に知的財産を巡って紛争が生じる可能性や知的財産が模倣される可能性は避けられません。
また、当社グループは、第三者の知的財産を侵害しないよう十分な配慮のもとに製品開発を行なっておりますが、他社等より知的財産を侵害したとして紛争が生じる可能性は避けられません。こうしたリスクが顕在化した場合は、売上の減少、訴訟費用の発生、損害賠償の発生などによって、当社グループの業績及び財政状況に影響を与える可能性があります。
(8)海外事業展開
当社グループは、政治的安定や法律を確認しながらアジアを中心に生産拠点を構築するなど、海外への事業展開をはかっております。しかしながら、これらの海外市場への展開は、時の経過とともに進出国における予期しない法律又は法規の変更、政治要因による社会的混乱等により、事業継続に支障が出る可能性があります。これらのリスクが顕在化した場合、当社グループの業績及び財政状況に影響を与える可能性があります。
(9)事故・災害
当社グループは、事故の防止対策には万全を期しておりますが、予期せぬ事態により万一重大な事故が発生し、物的・人的被害や環境汚染等が生じた場合、生産への影響や社会的信頼の低下を招き、業績及び財政状況に影響を与える可能性があります。
また、地震、台風等による大規模災害が発生した場合、生産拠点の被災による製品供給への影響、賃貸物件の被災による賃貸事業への影響、営業拠点の被災による営業活動への影響及び顧客の被災による販売への影響並びに設備等の修復に伴う一時的な費用の発生が、当社グループの業績及び財政状況に影響を与える可能性があります。
(10)環境問題
当社グループは、環境に関する様々な各種法律、規制に細心の注意を払いつつ事業を行っておりますが、過去分を含む事業活動に関し、過失の有無に関わらず環境に関する法的、社会的責任を負う可能性があります。また、将来環境に関する規制が強化された場合、新たな費用が発生し、当社グループの業績及び財政状況に悪影響を与える可能性があります。
(11)退職給付債務
当社グループの従業員退職給付費用及び債務は数理計算上合理的と認められる前提に基づいて計算されておりますが、この前提が経済的変動及びその他の要因によって変動することがありますが、こうした場合、退職給付費用の増加及び債務の増加などによって、業績及び財政状況に影響を与える可能性があります。
(12)訴訟等
当社グループは、事業を遂行するうえで、事前に専門家の意見を確認するなど慎重に法的リスクを回避しておりますが、訴訟やその他の法的手続に関するリスクを完全に排除するものではありません。訴訟、規制当局による措置その他の法的手段により、損害賠償金や課徴金が発生した場合、当社グループの業績及び財政状況に悪影響を与える可能性があります。
(13)減損会計
当社グループは、事業用の不動産など様々な有形・無形の固定資産を所有しております。こうした設備投資には、収益性、投下資金回収の慎重な検討やコスト削減を行っておりますが、予期せぬ事業環境の変化や時の経過による時価の下落、期待どおりのキャッシュ・フローを生み出さない状況になるなど、その収益性の低下により帳簿価額の回収が見込めなくなることがあります。そうした場合には減損処理が必要となる場合があり、減損損失が発生した場合、当社グループの業績及び財政状況に悪影響を与える可能性があります。
(14)取引先の信用悪化
当社グループは、取引先の信用リスクについて与信管理枠の設定など細心の注意を払っておりますが、信用リスクの顕在化を完全に回避できるものではなく、取引先の信用状況が急速に悪化した場合、貸倒損失などの発生により、当社グループの業績及び財政状況に影響を与える可能性があります。
(15)繰延税金資産の取崩しに係るリスク
当社グループは、将来の課税所得に関する予測・仮定に基づき、繰延税金資産の回収可能性の判断を行っておりますが、様々なリスクの顕在化によって将来の課税所得の予測・仮定が変更され、繰延税金資産の一部ないしは全部が回収できないと判断された場合、繰延税金資産は減額され、当社グループの業績及び財政状況に悪影響を与える可能性があります。
(16)感染症の流行・感染拡大(パンデミック)に係るリスク
隔離・行動制限等が必要な感染症等が広範囲に流行・感染拡大した場合、世界的な需要の減少、サプライチェーンの混乱などから、当社グループの売上の減少や原料高につながり、業績及び財政状況に重要な影響を与える可能性があります。
また、当社グループ社員の罹患により、事業の停滞、停止が起こる可能性があります。このため、当社では、感染拡大期に衛生管理の徹底、WEB会議システムの活用、作業シフトの変更などによって、人と人との接触を避けながら事業継続を行っております。しかしながら、これらの対策によっても感染リスクを完全に避けるものではなく、リスクが顕在化した場合、業績及び財政状況に影響を与える可能性があります。
なお、本項目に記載した予想、予見、見込み、見通し、方針等の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものであり、将来に関する事項については、不確実性が内在しており、あるいはリスクを含んでいるため、将来生じる実際の結果とは大きく異なる可能性もあります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症に伴う行動制限や入国制限の緩和により社会経済活動の正常化が進み、持ち直しの動きがみられました。一方で、世界的な金融引き締めが継続する中、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化、原油や原材料の価格高騰によるインフレや景気後退懸念の高まり、更に期央からの世界的な半導体市場の悪化も加わり、依然として先行き不透明な状況が続いております。
このような環境のなかで、中期経営計画2023の2年目を迎え、引き続き「次世代への変化に対応した事業戦略の推進と将来に向けた事業基盤の更なる強化」を基本方針とした、既存事業の強化・領域拡大やグローバル市場への対応強化、新規事業の探索・育成などの事業戦略を推進していくとともに、これら事業戦略を支える基盤整備として、DXやESGの取り組みや人材戦略にも注力し、収益力の向上と持続的成長に向けた新規事業の育成などの経営課題の解決に取り組んでまいりました。
この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
(a)財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ56億28百万円増加し、475億52百万円となりました。負債合計は、前連結会計年度末に比べ26億77百万円増加し、243億円となりました。純資産合計は、前連結会計年度末に比べ29億50百万円増加し、232億52百万円となりました。
(b)経営成績
当連結会計年度の売上高は、496億円と前期比40.1%の増収となりました。営業利益は、46億22百万円と前期比33.0%の増益となり、経常利益は、46億90百万円と前期比31.7%の増益となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、32億32百万円と前期比27.3%の増益となりました。
当社グループのセグメント別の概況は、次のとおりであります。
化成品事業
燐酸などの燐系製品につきましては、半導体向け高純度品が半導体市場の減速を受け期末に向けて伸び悩みましたが、原料黄燐の高騰を主因とした販売価格の是正もあり大幅な増収となりました。
凝集剤関連製品につきましては、上水道向けは減収、電子部品のエッチング用途向けが概ね堅調に推移し、増収となりました。
コンデンサー向け原料は、原料高騰による製品価格改定を反映して増収となりました。
この結果、当セグメントの売上高は、419億18百万円(前年同期比52.0%増)、セグメント利益は、41億15百万円(前年同期比38.0%増)となりました。
機械事業
破砕関連機械につきましては、本体販売やリサイクル向けプラントの販売が大きく伸長しました。
下水道関連の掘進機につきましては、国内外向けの本体販売やレンタルが大幅な減収となりました。
精密機械加工は半導体向けを中心に堅調に推移しました。
この結果、当セグメントの売上高は、47億39百万円(前年同期比0.6%減)、セグメント利益は、4億10百万円(前年同期比1.2%増)となりました。
電子材料事業
化合物半導体向け高純度無機素材につきましては、需給が緩和したことや赤燐事故の影響により、減収となりました。
この結果、当セグメントの売上高は、18億30百万円(前年同期比8.3%減)、セグメント利益は、5億65百万円(前年同期比33.1%増)となりました。
その他の事業
石油精製用触媒の再生事業は、増収となりました。不動産の賃貸につきましては、横ばいとなりました。
この結果、当セグメントの売上高は、11億12百万円(前年同期比4.5%増)、セグメント利益は、6億81百万円(前年同期比1.1%減)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ14億2百万円増加し、49億40百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は20億42百万円(前期比46百万円増加)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益46億29百万円(前期比11億10百万円増加)、減価償却費18億45百万円(前期比3億20百万円増加)、法人税等の支払額12億3百万円(前期比4億40百万円増加)、売上債権が8億87百万円増加(前期比8億13百万円減少)、棚卸資産が30億16百万円増加(前期比17億4百万円増加)、その他の資産が5億71百万円増加(前期比4億28百万円増加)、仕入債務が12億54百万円増加(前期比5億1百万円増加)したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は9億61百万円(前期比13億60百万円減少)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出9億19百万円(前期比15億10百万円減少)によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は2億45百万円(前期比62百万円減少)となりました。これは主に長期借入れによる収入20億円(前期比9億68百万円減少)、長期借入金の返済による支出33億4百万円(前期比4億44百万円増加)、短期借入金の増加額22億円(前期比16億7百万円増加)、配当金の支払額5億52百万円(前期比1億98百万円増加)によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
(a)生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
化成品事業(百万円) |
30,024 |
151.5 |
|
機械事業(百万円) |
3,449 |
104.9 |
|
電子材料事業(百万円) |
2,081 |
120.5 |
|
その他の事業(百万円) |
280 |
90.2 |
|
合計(百万円) |
35,836 |
142.5 |
(注)金額は販売価格によっております。
(b)製品仕入実績
当連結会計年度の製品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
化成品事業(百万円) |
10,634 |
154.1 |
|
機械事業(百万円) |
1,056 |
127.7 |
|
電子材料事業(百万円) |
38 |
145.4 |
|
その他の事業(百万円) |
- |
- |
|
合計(百万円) |
11,729 |
151.3 |
(c)受注実績
重要な受注生産を行っておりませんので、記載を省略しております。
(d)販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
化成品事業(百万円) |
41,918 |
152.0 |
|
機械事業(百万円) |
4,739 |
99.4 |
|
電子材料事業(百万円) |
1,830 |
91.7 |
|
その他の事業(百万円) |
1,112 |
104.5 |
|
合計(百万円) |
49,600 |
140.1 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
|
相手先 |
前連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
||
|
金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
|
|
丸善薬品産業株式会社 |
5,611 |
15.8 |
10,716 |
21.6 |
|
Taiwan Semiconductor Manufacturing Co.,Ltd. |
- |
- |
5,358 |
10.8 |
(注)前連結会計年度のTaiwan Semiconductor Manufacturing Co.,Ltd.に対する販売実績は、当該販売実績の総販売実績に対する割合が10%未満であるため、記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
(a)財政状態の分析
流動資産
当連結会計年度末日現在の流動資産は255億64百万円で、前期末と比較して59億80百万円増加しました。棚卸資産が30億27百万円増加、現金及び預金が14億2百万円増加、受取手形、電子記録債権及び売掛金の合計で9億25百万円増加したことなどが主な要因であります。
固定資産
当連結会計年度末日現在の固定資産は219億87百万円で、前期末と比較して3億52百万円減少しました。有形固定資産が6億73百万円減少した一方、投資有価証券が5億40百万円増加したことなどが主な要因であります。
負債
当連結会計年度末日現在の負債は243億円で、前期末と比較して26億77百万円増加しました。短期借入金が13億40百万円増加、支払手形及び買掛金が12億59百万円増加したことなどが主な要因であります。
純資産
当連結会計年度末日現在の純資産合計は232億52百万円で、前期末と比較して29億50百万円増加しました。親会社株主に帰属する当期純利益を32億32百万円計上、為替換算調整勘定が2億43百万円増加した一方、剰余金の配当により5億55百万円減少したことなどが主な要因であります。
この結果、自己資本比率は48.6%となり、前期末と比較して0.4ポイント改善しました。
資産合計・負債純資産合計
以上の結果、当連結会計年度末日現在の資産合計は475億52百万円となり、前期末と比較して56億28百万円増加しました。
(b)経営成績の分析
売上高
売上高は496億円となり、前期と比較して141億88百万円、40.1%の増加となりました。これは主に、化成品事業における原料黄燐の高騰を主因とした販売価格の是正などによる影響であります。
売上原価、販売費及び一般管理費
売上原価は401億86百万円で、前期と比較して128億23百万円、46.9%の増加で、売上原価率は81.0%となり前期の77.3%から3.7ポイント悪化しました。これは主に化成品事業における原料黄燐の仕入価格が、当連結会計年度においても高騰したことから、原価率が上昇したためであります。
販売費及び一般管理費は47億91百万円で、前期と比較して2億18百万円、4.8%の増加となりました。また売上高に占める比率は9.7%となり、前期と比較して3.2ポイント改善しました。
この結果、営業利益は46億22百万円となり、前期と比較して11億46百万円の増益となりました。また営業利益率は9.3%となり、前期と比較して0.5ポイント悪化しました。
営業外損益
営業外損益は67百万円の収益で、前期と比較して19百万円の利益の減少となりました。これは主に、為替差損及び支払利息が増加した一方、持分法による投資利益が増加したことなどによるものであります。
この結果、経常利益は46億90百万円となり、前期と比較して11億27百万円の増益となりました。
特別損益
特別損益は60百万円の損失で、前期と比較して17百万円の損失の増加となりました。これは主に、前期と比較して投資有価証券売却益及び減損損失の計上額が大きく減少したことなどによるものであります。
この結果、税金等調整前当期純利益は46億29百万円となり、前期と比較して11億10百万円の増益となりました。
これに、法人税、住民税及び事業税と法人税等調整額及び非支配株主に帰属する当期純利益の合計を控除した親会社株主に帰属する当期純利益は32億32百万円となり、前期と比較して6億93百万円の増益となりました。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
(a)キャッシュ・フローの分析
キャッシュ・フローの状況の分析については、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
(b)資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品の仕入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資等によるものであります。
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。
なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は122億75百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は49億40百万円となっております。
(c)経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の達成・進捗状況
当社グループは、中期経営計画2023(2021年度~2023年度)において、最終年度目標として連結営業利益33億円、連結自己資本比率55%、業績に応じた配当の継続を目指しております。中計2年目となる当連結会計年度は連結営業利益46億22百万円と、最終年度目標を大きく上回る結果となりました。自己資本比率は48.6%(前期末比0.4ポイント改善)となり、1株当たり配当金は、当連結会計年度の業績を踏まえ、82円と昨年に比べ12円の増配を決定しました。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて作成されています。この連結財務諸表の作成にあたっては、当連結会計年度における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような見積り、予測を必要としております。当社グループは、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、継続的に見積り、予測を行っております。なお、新型コロナウイルス感染症につきましては、これまでの状況を踏まえて、その影響は限定的であるという仮定に基づき、見積りを実施しております。しかしながら、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、見積りとは異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重
要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。
該当事項はありません。
当社グループは主として化成品(燐酸及び燐系二次塩類、水処理用凝集剤、電子工業用高機能高純度薬剤、消臭・抗菌剤)、機械(掘進機、破砕関連機械、都市ごみ・産業廃棄物処理機械、精密機械加工)及び電子材料(高純度無機素材、IC・液晶用塗布剤、放射性ヨウ素吸着剤)の事業を行っております。
研究開発対象分野としては、当社事業の多角性からエレクトロニクス分野、環境・リサイクル分野、高純度・高機能性材料分野にまたがっております。複数の異分野の技術を持ち、異業種の組合せから多様な情報が得られるという、当社グループの特色を生かした研究開発を展開しております。
研究開発の組織体制は、各事業部の開発テーマを尊重し意思決定の迅速化をはかるため、各事業部の開発担当部門に集約されております。研究開発の相乗効果を上げるために、連結子会社も含めて、各事業部の研究内容や進捗状況を共有化することにより連携を保ちながら、効率的な研究開発活動を行っております。なお、研究開発体制では基礎・応用研究よりも、商品開発により重点を置いております。
当連結会計年度においても、従来の方針を継続して、機械の高機能化、既存製品の高付加価値化、並びに半導体製造及びイオン電池向け新規材料の開発に注力した研究開発活動を行ってまいりました。また、放射性ヨウ素吸着剤関連では、経済産業省「原子力産業基盤強化事業補助金」の間接補助事業者に採択され、「銀ゼオライトによる放射性物質除去システムの高度化」(2020年3月期より継続)に関する研究開発を実施いたしました。
当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は
また、当連結会計年度における各セグメント別の研究開発活動の概要は、次のとおりであります。
(1)化成品事業
・半導体デバイス向けエッチング薬剤の開発
・新規消臭剤及び消臭剤応用技術の開発
・電子部品向け金属塩の開発
・光学レンズ向け高純度リン酸塩の開発
(2)機械事業
・汚染土壌処理関連装置の開発
・バイオマスによる燃料供給・熱利用システムの開発
・新規用途向け特殊粉砕機の研究開発
(3)電子材料事業
・次世代半導体デバイス及び液晶ディスプレイに使用される機能性材料の研究開発
・銀ゼオライトによる放射性物質除去システムの高度化(フィルターベントシステムの高度化、空気浄化システムの高度化、希ガス吸着のシステム化)
・半導体及びイオン電池向け素材の研究開発