第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営方針

 当社グループは、グループ理念「創業者精神に則り、自然と環境を守り、確かな価値の創造を通じて、豊かな社会の実現に貢献」のもと、企業の持続的発展と企業価値の向上を図り、株主、取引先、従業員、地域社会等からの信頼と期待に応えるとともに、法令その他の社会的規範を遵守し、公正で健全な企業活動を行い、社会の発展に貢献することを経営の基本方針としております。

 また、政府の掲げる温室効果ガス削減目標を踏まえた非財務に関する取り組みについては「サステナビリティビジョン2030」を策定し、持続可能な社会の実現に貢献していくこととしております。ESGに配慮し、社会課題の解決と企業価値の向上を両立すべくグループ一丸となって取り組んでまいります。

 

(2) 経営環境

 世界経済は、変異株の発生により新型コロナウイルス感染症の影響が長引いているものの、総じて危機的な状況からは脱して回復に向かっていると判断しております。当社グループを取り巻く経営環境は、経済活動の再開に伴って製品需要は全般的に改善傾向にあるものの、原材料不足の深刻化や価格の高騰など事業活動への影響が懸念されます。また、サステナビリティの取り組み、気候変動への対応などが新たな重要課題として認識され、当社グループの各事業においても、これらに関連した新たなリスク及び収益機会について適時・適切に対処していくことで、当社グループの持続的成長につなげていく必要があります。なお、事業別の経営環境については以下のとおりです。

 アグリ事業は、農地面積の減少や少子高齢化による農業就業者の減少に歯止めがかからない中、持続可能な農業の実現に向けた政府の改革が推し進められています。先端技術を利用したスマート農業の推進、2050年に向けた「みどりの食料システム戦略」に基づく化学肥料の使用量削減や有機農業拡大の取り組みなど、農業を取り巻く環境は重要な転換期を迎えています。

 化学品事業の水処理薬剤は、人口減少、工場の稼働率低下などに伴う市場の縮小による価格競争の激化、人手不足に伴う物流運賃の上昇などにより、厳しい状況が続くものと予想されます。その一方で、気候変動などによる原水の水質悪化、環境負荷低減の観点から、当社が開発した超高塩基度ポリ塩化アルミニウムの市場への浸透が進んできております。

 化学品事業の機能性材料は、セラミック繊維向け高塩基性塩化アルミニウム、スマートフォンなどに使用される高純度酸化タンタル、徐放製剤用生分解性ポリマーなどの増販を見越して、生産能力増強などの設備投資を実施してまいりました。スマートフォン需要については回復基調にありますが、その他の製品も含めて新型コロナウイルス感染症再拡大などに伴う事業環境の変化による減速懸念もあり、先行きは依然不透明であります。

 建材事業は、石こうボード出荷量と関連性の高い新設住宅着工戸数の漸減が予想されているほか、燃料価格の高騰などによる製造コストの上昇が懸念されます。

 石油事業は、自動車の電動化、気候変動への対応強化に伴う化石燃料からの燃料転換等により、需要の減退が予想されています。

 不動産事業は、電子商取引が台頭する中、ショッピングセンターの収益性を維持するため、大規模なリニューアルを実施しました。

 運輸事業は、景気の先行きが不透明な中、荷動きの動向にも不確実性があります。

 

(3) 経営戦略等

 当社グループにおいては令和3年を初年度とする3カ年の「中期経営計画2023」の1年目が終了いたしました。「中期経営計画2023」では①成長事業への積極的投資、②既存事業の収益力向上、③経営基盤の強靭化、④コンプライアンス経営の推進、を基本方針とし、コロナ禍からの緩やかな経済の回復を見込み、最終年度の経営目標を連結売上高320億円、連結経常利益25億円、ROE6.0%以上としておりました。令和3年度は、アグリ事業では肥料の値上がりを見越した駆け込み需要が発生するとともに、化学品事業の機能性材料ではスマートフォンや自動車に関連する製品を中心に大幅な需要回復となりました。その結果、当社グループの業績は、中期経営計画最終年度の目標数値を上回る結果となりました。しかしながら、令和4年度は、前年の駆け込み需要の反動や供給面での制約、原材料価格の上昇に加えて、新たな変異株による新型コロナウイルス感染症の影響も懸念されることから、事業環境は厳しくなるものと予想しており、需要動向を的確にとらえた生産と販売価格の是正等に努めることで収益を確保してまいります。

 

(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

① 成長事業への積極的投資

 企業が持続的に成長するためには、新たな事業を含め成長が期待される事業への積極的な投資が不可欠です。当社が平成30年に完全人工栽培に成功した「バカマツタケ」は、生産・販売体制を早期に確立させるべく、資源を集中して取り組んでまいります。また、メディカル材料、コラーゲン材料、各種酸化物ナノ材料などの開発商品についても、社会との共通価値創造を意識しつつ、顧客ニーズを把握し、産官学連携などを通じて、サステナブルな成長に向けた取り組みを推進します。

 

② 既存事業の収益力向上

 当社グループの既存事業のうち、アグリ事業(肥料)と化学品事業(水処理薬剤)は、市場の縮小や価格競争など厳しい事業環境の中にあります。生産性向上、コスト削減及び提案型営業による販売力の強化などにより、一層の収益力向上に努めてまいります。一方で、肥料や水処理薬剤などの基礎化学品は、今後のサステナブルな社会の実現にも不可欠な製品であり、新たな収益機会の創出にもつながるものと考えております。なかでも、超高塩基度ポリ塩化アルミニウム「PAC700A」は、気候変動が進む中、環境負荷の低減に貢献できる製品として積極的に提案し拡販に努めてまいります。また、長年培った技術力を活かし、海外事業にも取り組んでまいります。その他既存事業につきましても収益力の向上に努めてまいります。

 

③ 経営基盤の強靭化

 気候変動や新型感染症、大規模自然災害の発生など事業環境にまつわるリスク、不確実性が高まる中で、より強靭な経営基盤の確立が求められています。そのような環境下にあっても、ステークホルダーの負託にお応えするため、リスクマネジメントの観点をより重視し、事業継続計画(BCP)の継続的改善、労働安全衛生マネジメントシステムの構築・運用、労働環境の改善や生産性向上に関わる設備の更新・保全、製品の品質・信頼性向上に関する取り組みを進めてまいります。また、それらを強力に推し進めるため、人材育成、ダイバーシティの取り組みなどにも注力してまいります。

 

④ コンプライアンス経営の推進

 コンプライアンスは、企業における不祥事の防止だけでなく、企業の持続的な成長を実現し、社会に必要とされる企業グループであり続けるために不可欠な経営上の重要課題です。当社グループでは、全ての役職員が法令・規程・社会規範などに沿って、常に高い倫理感とともに良識ある行動をとることができるよう、コンプライアンス教育及びコーポレート・ガバナンス体制の強化などを通じて、コンプライアンス経営を推進してまいります。「③経営基盤の強靭化」に加え、これらを併せて実施することにより、公正で透明性の高い経営と責任ある企業活動を推進してまいります。

 

2【事業等のリスク】

当社グループにおけるリスク管理の体制と枠組みは、「危機管理方針」に基づいており、危機管理委員会において、当社グループに関する経営リスクの抽出・評価を行い、重大リスクの未然防止策や危機発生時の対応策等を策定するなど、グループ各社が連携してリスク管理やリスク対応力の向上に努めています。そして、経営会議及び取締役会において、事業及び投資に係るリスクの総合的かつ多面的な検討のほか、重点的に管理すべきリスクの評価・管理などをそれぞれ行っております。

財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況(以下「経営成績等」という。)に重要な影響を与える可能性があると当社グループが認識しているリスクのうち、投資者の判断に重要な影響を与える可能性があると考えられる主な事項は、以下のとおりです。ただし、これらのリスクは必ずしもそれぞれ独立して存在するものではなく、ある事象の発生に伴って、ほかの様々なリスクが増大する可能性があります。また、記載したリスク以外にも投資者の判断に重要な影響を与える事項が発生する可能性があります。

なお、以下の(1)から(5)までの各区分に記載のリスクの順序は、当該リスクが現実化した場合の影響度やその蓋然性をそれぞれ5段階評価(下図参照)の上、経営会議及び取締役会において総合的に評価した結果に応じた順序としております。また、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

 

影響度評価

蓋然性評価

高い

高い

やや高い

やや高い

やや低い

やや低い

低い

低い

 

(1) 経営環境に関するリスク

① 事業環境の変動(影響度評価:4、蓋然性評価:4)

 当社グループを取り巻く事業環境において、国内外の経済情勢や業界再編等の変動が、当社グループの経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。

 特に、化学品事業のうち機能性材料の製品群は、中間原材料であり、最終製品の市況の変化により、当社グループの経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。当該リスクへの対応策として、各担当部門において、業界、市況及びユーザーの動向を可能な限り確認し、速やかに必要な情報を関係部門と共有することなどにより、それぞれの対応に遅れが出ないよう注力しております。

 また、不動産事業では、経済情勢や事業環境の変化等に伴うテナントからの賃料収入の減少により、当社グループの経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。当該リスクへの対応策として、リニューアルやリノベーションを行うことで常に商業施設としての価値の維持・強化に努めております。

 なお、新型コロナウイルス感染症が経済活動に与える影響は依然不透明ですが、影響の大きい機能性材料を中心に情報収集の頻度・確度を高めることにより、現有シェアを堅持するとともに、コロナ禍からの回復期における需要の高まりにも対応できるよう、関係部門との有機的な連携を高めて対応することが重要と考えております。

 

② エネルギーコスト(影響度評価:3、蓋然性評価:5)

 当社グループが生産・販売にあたって購入する石油・ガスの価格は、中東情勢や世界経済の変動の影響を受け、急激な価格変動を起こすことがあります。これらの価格が急激に上昇することによりエネルギーコストが高騰した場合、製品価格への転嫁が遅れることなどにより、当社グループの経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。また中長期的には、気候変動問題解決のため環境規制の強化策として、炭素税等が導入された場合、エネルギーコストの上昇につながる可能性があります。当該リスクへの対応策として、エネルギー管理の徹底・強化及びエネルギーのベストミックスに関する取り組みなどを行っておりますが、状況によっては当社グループの生産・販売活動への影響を十分に回避できない可能性があります。なお、当社グループは、脱炭素社会・カーボンニュートラルの実現に貢献するため、気候関連財務情報開示タスクフォース(以降、TCFD)提言に基づいた情報開示を行っております。今後シナリオ分析を進め情報開示を拡充していくとともに、策定したロードマップに沿って、脱炭素エネルギーの調達や省エネルギー施策などへの投資・資源配分を通じて気候変動問題への対応に努めてまいります。

 

③ 為替レートの変動(影響度評価:3、蓋然性評価:4)

 当社グループが購入する主要原料の多くが輸入品であるため、為替レートの変動の影響を受ける場合があります。当該リスクへの対応策として、為替レートの動向・見通しを確認しつつ、購入の時期、数量を見極め、適宜調整するなどしておりますが、これにより当該リスクを完全に回避できる保証はなく、為替レートが大きく円安に振れ、それが継続した場合、コスト上昇分を吸収しきれないことや競争激化などで価格転嫁できないことにより、当社グループの経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。

 

④ 原材料の確保(影響度評価:4、蓋然性評価:4)

 当社グループが購入する原料、資材、燃料等は、海外の需給バランスの影響を受けるものが多くあり、当該リスクへの対応策として、国内外の複数の取引先からの購入を行い、当社工場や国内の外部倉庫等に需要に応じた一定量の在庫を維持するなど、原材料価格の変動リスクを低減するための調整、及び原材料の安定調達に努めております。しかし、戦争、暴動、テロ、自然災害、新型コロナウイルス等の感染症や伝染病、気候変動その他環境規制、ストライキ等により供給が中断及び制限された場合は、当社グループの経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。

 

⑤ 風評等(影響度評価:1、蓋然性評価:1)

 当社グループの商品・サービス等に関連した、悪意のある風評・風説(以下「風評等」という。)や、不正確または不十分な情報に基づくネガティブな報道等に起因する風評等が、それが事実であるか否かにかかわらず、当該商品・サービス等に対する信頼を毀損し、それが当社グループ全体に対する社会的信用にも影響を与えるような場合には、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。当該リスクへの対応策として、風評被害への対応マニュアル等を定めておりますほか、平時から関係部門が風評等に関する情報の把握に努めております。

 

(2) 経営戦略に関するリスク

① 技術革新(影響度評価:5、蓋然性評価:4)

 当社グループの製品のうち、機能性材料の主要販売先は、技術革新の激しい業界であり、新規技術が開発されることにより、市場構造が急速に変化する場合があります。それに伴って、当社製品の競争力が著しく低下し、当社グループの経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。また、水処理薬剤など、上記以外の業界向け製品についても、競争力の高い代替製品の出現が、同様の影響を与える可能性があります。これらのリスクへの対応策として、将来の技術革新の方向性を注視し、次世代の技術に必要とされる機能性材料の開発などを進めてまいります。

 

② 研究開発(影響度評価:4、蓋然性評価:3)

 当社グループは、「研究開発は企業価値向上の原動力」と位置づけ、新製品・新技術の研究開発に注力しております。しかしながら、当社グループの研究開発は、新規事業の創出のための研究を含んでいるため、研究開発期間が長期間にわたる場合があり、また、研究開発活動の結果が目標と大きく乖離するような場合には、競争力が低下し、当社グループの経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。当該リスクへの対応策として、研究マネジメントの徹底により、研究開発の案件ごとに進捗状況や見通しを厳しく管理し、必要に応じて当該研究開発案件の継続可否、方向修正等の判断を行うこととしております。

 

(3) 事業運営に関するリスク

① 自然災害及び感染症(影響度評価:5、蓋然性評価:5)

 当社グループでは、自然災害及び感染症に関するリスクへの対応策として、自然災害や新型インフルエンザ等の感染症への対策等を定めておりますが、事業継続計画(BCP)の想定を超える大規模な地震や大雨、高潮等の自然災害や新型インフルエンザ等の未知の感染症による製造の中断、物流ルートの寸断などにより、製品の供給が長期間にわたって滞った場合、当社グループの経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。

 なお、新型コロナウイルス感染症に対しては対策本部を設置し、役職員の健康状況の把握や各事業拠点の情報収集、感染の未然防止策の実施に努めるとともに、政府及び自治体の指針・指示に従って事業活動を継続しております。関係部門との連携強化や感染防止策等の継続により、今後とも事業継続に努めてまいります。

 

② 事故等による操業停止(影響度評価:5、蓋然性評価:2)

 当社グループは、組織的な労働安全衛生体制及び保安防災管理体制の構築・運用ならびに設備の保全・保守等の対応策により、労働災害及び生産設備等の事故防止に取り組んでおります。しかしながら、重篤な労働災害や重大な火災・爆発・漏洩事故等の不測の事態が発生することを完全に防止することはできません。これらのリスクが顕在化し、当社グループのいずれかの設備における一時的または長期にわたる操業の停止があった場合、製品によっては代替生産が難しいものもあるため、供給に支障をきたす可能性があり、当社グループの経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。

 

③ 情報セキュリティ(影響度評価:4、蓋然性評価:3)

 当社グループの事業活動における情報システム・ネットワークへの依存度は年々高まっており、その対応策として、シンクライアント化、クラウドの利用等、セキュリティの高度化等により、システムやデータの保護に努めておりますが、自然災害等に伴う停電やコンピューターウイルスへの感染、ハッキング等により、ネットワーク障害、情報漏洩が発生する可能性があります。これらのリスクが顕在化した場合、事業活動に支障をきたし、当社グループに対する社会的信用に影響を与える場合があるほか、多額のコストが発生し、当社グループの経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。また、当社グループは、システムの運用やメンテナンス等の一部を第三者に委託しているため、システムの不具合等について、当社グループのみでは対処できない可能性があります。加えて、情報インフラの構築、運用、拡張に係るシステム投資や維持費用が、将来大幅に増加する可能性があります。

 

④ 製造物責任(影響度評価:4、蓋然性評価:2)

 当社グループでは、製造する各種製品の販売にあたり、製造物責任に関するリスク検討を確実に実施することで、製造物責任に関する問題の未然防止を図っております。しかしながら、すべての製品について欠陥がなく、製造物責任に関する問題が発生しないという保証はありません。製造物責任に基づく損害賠償については、PL保険に加入し、万一の事態に備えておりますが、賠償額が保険の補償範囲を超える大規模な製造物責任につながるような製品の欠陥が発生した場合には、当社グループの経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。当該リスクへの対応策として、品質保証体制を整備し、品質方針に基づく品質管理を徹底しておりますほか、関係部門が平時から潜在的な訴訟リスクの把握に努めております。

 

⑤ 内部統制(影響度評価:2、蓋然性評価:1)

 当社グループは、財務報告の信頼性を確保するための体制を整備・運用するとともに、継続的な改善により内部統制システムの強化に努めております。しかしながら、内部統制システムが有効なものであっても、役職員の悪意または重大な過失に基づく行動など、様々な要因により機能しなくなる可能性があります。

 また当社グループは、業務の有効性と効率性を確保するための体制についても整備・運用するとともに、継続的な改善を図っております。しかしながら、内部統制システム構築時点では想定していなかった非定型な取引や事業・社会環境等の変化に、当社グループ内の組織・機能が適切に対応できず、構築された業務プロセスが十分に機能しない可能性があります。

 これらの事象に適切に対処できない場合、将来的に法令違反等の問題が発生する可能性があり、それに伴い、当社グループの社会的信用の失墜により事業に影響が生じる、または課徴金や罰金、損害賠償等の支払いが生じることにより、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。

 以上のとおり、内部統制システムには本質的に内在する固有の限界があるため、その目的が完全に達成されることを保証するものではありませんが、これらリスクへの対応策として、コンプライアンス教育を含む不正防止策の強化・徹底及びその不断の見直しによる改善のほか、平時より業務プロセスの機能不全につながるような潜在的リスクの把握に努めております。

 

(4) 経理・財務に関するリスク

① たな卸資産(影響度評価:2、蓋然性評価:4)

 当社グループのたな卸資産の評価方法は、総平均法による原価法(収益性の低下に基づく簿価切下げの方法)であります。当社グループが保有するたな卸資産について、市場価格の下落等により多額の簿価切下げが発生し、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。当該リスクへの対応策として、各担当部門において販売計画、製品在庫、原料在庫及び原料購入の適正化等をそれぞれ実施しております。

 

② 有価証券の減損(影響度評価:2、蓋然性評価:3)

 当社グループは、株式市場の変動の影響を受ける有価証券を保有しております。当社グループが保有する有価証券の市場価格の大幅な下落等により、減損損失が発生し、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。当該リスクへの対応策として、保有目的が純投資目的である株式については、株式市場の変動を踏まえ機動的に売却できる体制としているほか、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式については、定期的に保有の合理性を検証し、適宜縮減する方針としております。

 

③ 固定資産の減損(影響度評価:3、蓋然性評価:2)

 当社グループは、「固定資産の減損に係る会計基準」を適用しております。将来、当社グループが保有する固定資産について、経営環境の著しい悪化等による収益性の低下や市場価格の下落等により減損損失が発生し、当社グループの経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。当該リスクへの対応策として、定期的に減損テストを実施することにより、潜在的な減損リスクの把握に努めておりますほか、販売計画の適正化、減損が必要な事態となる前の売却等の見極めに努めております。また、必要に応じて不動産鑑定評価などを実施しております。

 

④ 繰延税金資産(影響度評価:2、蓋然性評価:2)

 当社グループは、将来の課税所得に関する予測・仮定に基づき、繰延税金資産の回収可能性の判断を行っております。将来の課税所得の予測・仮定を変更した場合、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。また、税制改正に伴い、税率変更等が実施された場合は、繰延税金資産の計算の見直しが必要となり、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。当該リスクへの対応策として、関係部門が平時から監査法人と十分にコミュニケーションをとり、潜在的な税務リスクの把握に努めております。

 

(5) 法務・知財に関するリスク

① 訴訟等(影響度評価3、蓋然性評価2)

 当社グループは、国内及び海外における事業活動の中で、訴訟、係争、その他の法的手続きの対象となる可能性があり、将来重要な訴訟等が提起された場合、当社グループの経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。当該リスクへの対応策として、コンプライアンス研修を定期的に実施するほか、関係部門が平時から潜在的な訴訟リスクの把握に努め、必要に応じて外部専門家と連携するなどしております。

 

② 知的財産(影響度評価:3、蓋然性評価:1)

 当社グループは、独自の技術やノウハウを蓄積し、競争力の強化を図ってまいりましたが、かかる技術やノウハウは、厳正な管理を行っているものの、予期しない事態により外部へ流出する可能性があります。加えて、特定の地域では、知的財産権の保護が極めて困難であるため、第三者が当社グループの知的財産を不正に使用して類似商品を製造することを効果的に防止できない可能性があります。また将来、知的財産に係る紛争が生じ、当社グループに不利な判断がなされた場合には、当社グループの経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。当該リスクへの対応策として、関係部門が平時から潜在的な知財紛争リスクの把握に努め、必要に応じて外部専門家と連携するなどしております。また、役職員の退職にあたっては、かかる技術やノウハウが社外に流出することを防ぐため、秘密保持契約を締結するなどしております。さらに、これらのリスクへの対応策の実効性を上げるため、知的財産保護についての教育を継続して行っております。

 

③ 法規制等(影響度評価:3、蓋然性評価:3)

 当社グループに関連する法令等に関しては、国内外において大幅な変更や規制の強化等が行われる可能性があります。特に、温室効果ガス排出の規制強化や炭素税などの新しい法規制・政策が導入される可能性があり、かかる法令の改変が、当社グループの事業活動に支障をきたした場合、当社グループの経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。また、諸法令に基づき当社グループが受けている許認可等について、現時点においては、それら法規制等に基づく許認可等が取消しとなるような事由は発生しておりませんが、将来、何らかの理由により取消事由等に該当し、事業活動の制限や新たなコストが発生した場合、当社グループの経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。

 これらのリスクへの対応策として、関係部門がかかる法令の改変に関する最新の情報を収集し、また許認可等の状況を定期的に確認することにより、必要に応じて迅速に対応できる体制としております。

 

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(6)気候変動問題への対応

 地球(生態系)や人間・企業活動に重大な影響を及ぼす気候変動は、当社グループにとってリスクであると同時に新たな事業機会をもたらすものと考えています。持続可能な成長を目指す上で、「低炭素社会への移行」は、対処・挑戦すべき重要な経営課題の一つと認識し、SDGsやパリ協定で示された国際的な目標達成への貢献に向け、幅広いステークホルダーとの協働を通して、課題解決に取り組んでまいります。当社グループは、気候関連財務情報開示の重要性を認識し、TCFD提言を支持するとともに、今後TCFD提言に沿った情報開示の拡充に取り組んでまいります。

 

TCFD提言に基づく情報開示

 当社グループは、行動憲章の一つに「自然と環境を守り、社会との調和を大切にする事業活動を推進し、地球環境の保全に努めます」を掲げ、共通価値の創造と中長期的な企業価値の向上に取り組んでいます。

 さらに、持続可能な社会の実現に貢献するため「サステナビリティビジョン2030」を策定し、その中で「気候変動への対応」を含めた4つの戦略的優先課題(マテリアリティ)(以降、マテリアリティ)を定めるとともに、気候変動は世界に直面している重大な課題であるという認識のもと、TCFD提言に基づく情報開示を行いました。今後、提言に沿った気候変動関連の情報開示の拡充を進め、事業活動を通じて地球環境への負荷を軽減し、脱炭素社会・循環型社会・自然共生社会の構築と当社グループの企業価値向上に努めてまいります。

 

1.ガバナンス

 社長を委員長とし、独立社外取締役を含む全取締役並びに全執行役員が出席するCSR委員会(年4回以上開催)にて、「気候変動への対応」がサステナビリティビジョン2030のマテリアリティの一つとして経営の重要課題であることを経営層全員で共有し、取り組み課題を統括する体制でレビュー及び監視を行っています。

 また、CSR委員会のワーキング組織としてサステナビリティ推進会議を設置し、関連する方針の決定やサステナビリティ目標の進捗管理・施策の審議などの具体的活動を展開しています。

 活動の基本方針及び重要施策等については、取締役会及び経営会議にて審議決定しています。

 

2.戦略

 当社グループは、気候変動に伴うリスク及び機会を事業戦略上の重要な観点の一つと認識し、IEA(国際エネルギー機関)が発表するシナリオや、政府及び国際機関が発行した将来予測に関するレポート等を参考に、TCFD提言に沿って2℃以下シナリオと4℃シナリオの分析を実施し、短中長期にわたる時間軸でのリスクへの対応策及び機会の特定を行いました。

 その結果、移行リスクとしては、炭素税等のカーボンプライシングの導入による原燃料コスト上昇が事業活動に及ぼす影響が大きいと判断され、今後の施策立案の中でイノベーションの進展や社会情勢などを見極めながら経済合理性を踏まえつつ、柔軟に最適手段を選択する必要があると判断しています。物理的リスクとしては異常気象に起因する豪雨や洪水による自社拠点の操業を含むサプライチェーンへの影響が想定されるため、BCP体制を強化し事業継続力の向上により影響の低減に取り組んでいます。

 なお、事業活動に及ぼす移行及び物理的リスクの財務影響度分析については、現時点では定量評価は難しいこともあり「大」「中」「小」三段階の定性分析としています。また、カーボンプライシング(炭素税等)導入による原燃料調達コストの増加のリスクがある一方、気候変動の緩和に貢献する製品及びサービスの需要増加の機会があることを把握しています。今後更に、継続的なシナリオ分析により財務影響度や評価内容の精査を深め、リスク及び機会への対応策を進めるとともに、経営戦略への統合を推し進め事業継続力の向上に努めてまいります。

 

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3.リスク管理

 当社グループは、危機管理委員会を設置し、「全社リスクマップ」に基づいた継続的な全社経営リスクの抽出及び評価を行い、重大リスクの未然防止策や危機発生時の対応策等を策定するなど、機動的かつ総合的な危機管理体制を整備しています。一方、「気候変動への対応」に関連したリスクの管理は、他の経営リスクとは時間軸が大きく異なること等から、CSR委員会のワーキング組織であるサステナビリティ推進会議が担い、シナリオ分析に基づくリスクの選別・優先順位付け・管理・評価を実施しています。危機管理委員会は、このサステナビリティ推進会議に参画し全社リスクマネジメント内で気候変動リスクの特定及び評価を行い、取締役会並びに経営会議に報告しています。

 

4.指標と目標

 当社は、サステナビリティビジョン2030に則り、「2030年に向かって2013年度比38%以上の削減(Scope1、2)※1を目指す」そして「2050年カーボンニュートラル達成を目指す」という中長期目標を掲げ、各種の施策展開により目標達成に向け活動を推進してまいります。

 当社はこれまで省エネルギー活動を積極推進する中、環境汚染の防止と低炭素化を目的として1999年から6年をかけて2005年までにすべての重油を天然ガスへ燃料転換することにより、事業活動で発生する二酸化炭素排出量を大きく削減してまいりました。今後のカーボンニュートラル達成に向け、合成メタンが社会実装された際のインフラもすでに整えております。持続可能性の観点から経済合理性を踏まえつつ、これらのインフラの有効活用など目標達成に向けた各種施策を下記ロードマップ概要に示しますが、社会の動向に対応して適宜適切に見直しながら柔軟な施策展開を図ってまいります。

 今後は、早期に連結子会社を含めたグループ全体の指標並びに目標の策定、グループの活動に関連するサプライチェーン全体も含めたGHG排出(Scope3)※1への対応策(データ収集及び削減検討)等の推進など、社会全体でのカーボンニュートラル達成に向け精力的に取り組んでまいります。

※1 Scope1:事業者自らによる温室効果ガスの直接排出(燃料の燃焼、工業プロセス)

Scope2:他社から供給された電気、熱、蒸気の使用に伴う間接排出

Scope3:Scope1、Scope2以外の間接排出(事業者の活動に関連する他社の排出)

 

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※2 天然ガスの採掘から消費までの一連の工程で発生する温室効果ガスを、カーボンクレジット等で相殺することにより二酸化炭素排出量を実質ゼロとみなすことのできるLNGのこと

※3 環境省 地球温暖化対策計画(R3.10.22閣議決定)温室効果ガス削減目標 産業部門

https://www.env.go.jp/earth/211022/honbun.pdf

※4 再生エネルギー由来の電力により水を電気分解した際に得られる水素

※5 メタネーション技術を用いた合成メタン

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により依然として厳しい状況で推移しました。景気の先行きについては、感染拡大の防止策を講じ、経済社会活動を継続していく中で、各種政策の効果や海外経済の改善もあって、持ち直しの動きが続くことが期待されるものの、国内外の感染症の動向や供給面での制約、原材料価格の上昇による下振れリスクの高まりなど不透明な状況にあります。

 このような環境の中、当社グループにおいては本年度を初年度とする「中期経営計画2023」に基づいて、既存事業の収益力向上などに努めた結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は次のとおりとなりました。

 

a.財政状態

 当連結会計年度末における資産合計は、460億37百万円となり、前連結会計年度末に比べ30億97百万円増加いたしました。

 当連結会計年度末における負債合計は、166億59百万円となり、前連結会計年度末に比べ7億98百万円増加いたしました。

 当連結会計年度末における純資産合計は、293億78百万円となり、前連結会計年度末に比べ22億98百万円増加いたしました。

 

b.経営成績

 当連結会計年度の売上高は328億12百万円(前期比8.7%増)、営業利益は26億58百万円(前期比51.0%増)、経常利益は29億82百万円(前期比37.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は19億16百万円(前期比22.9%増)となりました。

 

 セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。

 なお、当連結会計年度より、経営管理方法を最適化するため、従来「アグリ」セグメントに含めておりました製品の一部を「化学品」セグメントに、「化学品」セグメントに含めておりました製品の一部を「アグリ」セグメントに区分を変更しております。

 また、「化学品」セグメント内の区分整理を行い、従来「機能性材料」に含めておりました製品の一部を「水処理薬剤」に、「その他化学品」に含めておりました製品の一部を「水処理薬剤」、「機能性材料」に区分を変更しております。

 以下の前期比較については、前期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。

 

 (アグリ)

肥料の販売数量が海外原料市況の上昇に伴う値上がりを見越した駆け込み需要の影響などで増加したことに加え、販売価格を改定したことにより、売上高は100億11百万円と前期に比べ12.2%の大幅な増加となり、営業利益は9億17百万円と前期に比べ20.8%の大幅な増加となりました。

 

 (化学品)

水処理薬剤は、販売数量が超高塩基度ポリ塩化アルミニウムなどの好調な出荷により増加し、売上高は84億9百万円と前期に比べ1.2%の増加となりました。

機能性材料は、生産調整が続いていたスマートフォン向け高純度酸化タンタルと新型コロナウイルス感染症により一時的に需要が低迷した自動車関連セラミック繊維向け高塩基性塩化アルミニウムの販売数量が回復し、売上高は57億57百万円と前期に比べ45.3%の大幅な増加となりました。

その他化学品の売上高は1億91百万円と前期に比べ11.5%の減少となりました。

それらの結果、売上高は143億57百万円と前期に比べ15.0%の大幅な増加となり、営業利益は24億75百万円と前期に比べ70.1%の大幅な増加となりました。

 

 (建材)

石こうボードの販売数量が減少したことに加え、販売価格が下落したことにより、売上高は29億2百万円と前期に比べ3.4%の減少となり、加えて製造固定費の増加もあり、営業損失は4百万円(前期は48百万円の営業利益)となりました。

 

 (石油)

燃料油の販売数量は減少したものの、原油価格の上昇による販売価格の値上がりにより、売上高は19億66百万円と前期に比べ8.8%の増加となりましたが、市況の悪化などもあり、営業利益は12百万円と前期に比べ73.4%の大幅な減少となりました。

 

 (不動産)

ショッピングセンターの賃料収入が、リニューアル工事に伴い減少したことなどにより、売上高は12億61百万円と前期に比べ18.4%の大幅な減少となり、営業利益は6億35百万円と前期に比べ26.2%の大幅な減少となりました。

 

 (運輸)

荷動きが低調に推移したことにより、売上高は23億12百万円と前期に比べ4.0%の減少となりましたが、運輸外注費の削減や修繕費の減少などもあり、営業利益は2億49百万円と前期に比べ231.1%の大幅な増加となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは28億23百万円の収入、投資活動によるキャッシュ・フローは23億19百万円の支出、財務活動によるキャッシュ・フローは4億98百万円の支出となり、この結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末残高に比べ7百万円増加し、64億33百万円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 売上債権の増加による資金の減少が10億58百万円、その他の負債の減少による資金の減少が5億43百万円、法人税等の支払が6億83百万円ありましたが、税金等調整前当期純利益26億79百万円、減価償却費11億88百万円、たな卸資産の減少による資金の増加が5億18百万円、仕入債務の増加による資金の増加が5億46百万円あったことなどにより、28億23百万円の資金の増加(前連結会計年度30億24百万円の増加)となりました。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 固定資産の取得による支出が26億5百万円あったことなどにより、23億19百万円の資金の減少(前連結会計年度10億9百万円の減少)となりました。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 配当金の支払が3億89百万円あったことなどにより、4億98百万円の資金の減少(前連結会計年度5億61百万円の減少)となりました。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

 

当連結会計年度

(自 令和3年1月1日

  至 令和3年12月31日)

 

前年同期比(%)

アグリ(百万円)

9,536

105.5

化学品(百万円)

14,071

112.8

建材(百万円)

2,880

96.7

石油(百万円)

1,927

108.9

不動産(百万円)

17

46.7

運輸(百万円)

200

73.7

合計(百万円)

28,634

107.8

 (注)1.金額は、販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

3.上記の金額には、外注製品受入高が含まれております。

 

b.受注実績

 製品の大部分について、需要予測をもとに見込生産方式を採用しております。

 

c.販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

 

当連結会計年度

(自 令和3年1月1日

  至 令和3年12月31日)

 

前年同期比(%)

アグリ(百万円)

10,011

112.2

化学品(百万円)

14,357

115.0

建材(百万円)

2,902

96.6

石油(百万円)

1,966

108.8

不動産(百万円)

1,261

81.6

運輸(百万円)

2,312

96.0

合計(百万円)

32,812

108.7

 (注)1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。

2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自  令和2年1月1日

至  令和2年12月31日)

当連結会計年度

(自  令和3年1月1日

至  令和3年12月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

吉野石膏株式会社

3,130

10.4

3,017

9.2

3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.経営成績等

1) 財政状態

(資産合計)

 当連結会計年度末の総資産は、460億37百万円(前期比30億97百万円増)となりました。流動資産は、商品及び製品が5億80百万円減少しましたが、受取手形及び売掛金が6億61百万円、電子記録債権が3億97百万円それぞれ増加したことなどにより、223億52百万円(前期比4億53百万円増)となりました。固定資産は、有形固定資産が19億31百万円、投資有価証券が8億31百万円それぞれ増加したことなどにより、236億85百万円(前期比26億44百万円増)となりました。

(負債合計)

 当連結会計年度末の負債は、預り保証金が5億70百万円減少しましたが、支払手形及び買掛金が5億46百万円、未払金が7億84百万円、繰延税金負債が2億59百万円それぞれ増加したことなどにより、166億59百万円(前期比7億98百万円増)となりました。

(純資産合計)

 当連結会計年度末の純資産は、利益剰余金が15億26百万円、その他有価証券評価差額金が7億27百万円それぞれ増加したことなどにより、293億78百万円(前期比22億98百万円増)となりました。

 

2) 経営成績

(売上高及び営業利益)

 売上高は328億12百万円(前期比8.7%増)、営業利益は26億58百万円(前期比51.0%増)となりました。

(経常利益)

 営業外収益は3億80百万円と前連結会計年度に比べ85百万円の減少、営業外費用は56百万円と前連結会計年度に比べ3百万円の減少となり、経常利益は29億82百万円(前期比37.6%増)となりました。

(親会社株主に帰属する当期純利益)

 特別利益は11百万円と前連結会計年度に比べ16百万円の減少、特別損失は3億13百万円と前連結会計年度に比べ2億31百万円の増加、法人税、住民税及び事業税と法人税等調整額を合わせた税金費用は7億63百万円と前連結会計年度に比べ2億14百万円増加し、親会社株主に帰属する当期純利益は19億16百万円(前期比22.9%増)となりました。

 

b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社グループの経営に影響を及ぼす可能性のある要因については、「2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。これらのリスクの回避に努めるとともに発生した場合の対応に万全を期してまいります。

 

c.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループでは、企業の持続的発展と企業価値の向上を実現するためには、株主資本の有効活用が不可欠であると考え、売上高、経常利益に加えてRОEを重要な指標の一つとして位置づけております。

 当社グループでは令和3年1月から3カ年を対象とする「中期経営計画2023」をスタートさせ、①成長事業への積極的投資、②既存事業の収益力向上、③経営基盤の強靭化、④コンプライアンス経営の推進、を基本方針とし、連結売上高320億円、連結経常利益25億円、ROE6.0%以上を最終年度の経営目標として定めております。

 

d.セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 セグメントごとの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

a.キャッシュ・フローの状況

 当社グループは、営業活動によって得られた資金を、市場環境や資本効率等を総合的に勘案し、更新投資及び成長投資、手元資金、株主還元等に適切なバランスで配分し、また必要に応じて追加の資金を財務活動によって調達することをキャッシュ・フローの基本方針としております。なお、更新投資は生産設備の更新及び合理化に、成長投資は研究開発及びそれに伴う設備投資並びに人材獲得・育成等に、手元資金は運転資金、財務基盤の強化等に、株主還元は配当金の支払等に充当しております。

 

 当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 同期間における営業活動によるキャッシュ・フローは28億23百万円の収入であり、投資活動によるキャッシュ・フローは固定資産の取得等により23億19百万円の支出及び財務活動によるキャッシュ・フローは配当金の支払等により4億98百万円の支出となったことから、当連結会計年度における連結ベースの資金は、前連結会計年度から7百万円増加し、64億33百万円となっております。

 

b.資本の財源及び資金の流動性

 当社グループは、運転資金及び設備投資資金につきましては、内部資金または借入により資金調達することとしております。このうち、借入による資金調達に関しましては、運転資金については短期借入金で、設備投資資金については長期借入金での調達をしております。また、多額の資金需要が発生した場合には、これらに加えエクイティファイナンス等による調達手段についても検討することとしております。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、決算日における資産・負債の報告数値及び報告期間の収益・費用の報告数値に影響を与える見積りを行っております。ただし、過去の実績や状況に応じ合理的と考えられる様々な要因に基づき、見積り及び判断を行っておりますので、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。この連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項につきましては、「第5 経理の状況」に記載しております。

 

 連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。

 

a.たな卸資産

 当社グループのたな卸資産の評価方法は、総平均法による原価法(収益性の低下に基づく簿価切下げの方法)であります。当社グループが保有するたな卸資産について、市場価格の下落等により多額の簿価切下げが発生し、当社グループの経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。

 

b.固定資産の減損

 当社グループは、「固定資産の減損に係る会計基準」を適用しております。将来、当社グループが保有する固定資産について、経営環境の著しい悪化等による収益性の低下や市場価格の下落等により減損損失が発生し、当社グループの経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。

 

c.繰延税金資産

 当社グループは、将来の課税所得に関する予測・仮定に基づき、繰延税金資産の回収可能性の判断を行っております。将来の課税所得の予測・仮定を変更した場合、当社グループの経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。また、税制改正に伴い、税率変更等が実施された場合は、繰延税金資産の計算の見直しが必要となり、当社グループの経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。

 

 なお、新型コロナウイルス感染症の影響に関して、当社グループでは、翌連結会計年度中は一定期間継続するものと仮定して、当該連結会計年度の会計上の見積りを行った結果、新型コロナウイルス感染症による重要な影響はないと判断しております。

 

4【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

5【研究開発活動】

 当社グループは、「研究開発は企業価値向上の原動力」と位置づけ、新製品・新技術の研究開発に注力しております。特に、将来の成長が期待されている高機能性材料及びそれらの先端応用技術について、大学等の研究機関とも連携・共同して研究開発を進めております。

 当社グループの研究開発要員は70名で、グループ総従業員数の約10%にあたります。研究開発要員のうち29名は製造技術支援要員で、既存製品に対するユーザーからの要求に対応して、品質向上やコストの低減などを進めております。

 当連結会計年度における研究開発活動の主なものは、以下のとおりであります。

 

(1) アグリ

 新製品としてクエン酸、キレート鉄、硫黄など豊富な有効成分を配合した無機液肥を開発し、販売を開始しました。また未利用資源の有効利用策として、産業副産物の肥料原料化の検討を行いました。

 

(2) 化学品

① 水処理薬剤

 サステナビリティに適合する水処理薬剤の適用拡大・新製品開発を進めています。超高塩基度ポリ塩化アルミニウムの増販に向けては、生産能力増強に関する課題を解決し、増産体制を整えました。新製品の開発に関しては、浄水用膜ろ過システムやローカルな原水水質にも適合する高性能水処理薬剤の開発を進め、試験製造段階にいたりました。

 

② 機能性材料

 メディカル材料分野では、既存製品に関しては、品質を維持しつつ改良を行った結果、環境にやさしい製法変換に目途がつきました。新たな医療領域への適用検討については、ユーザーに加え大学との共同開発にも進展が見られました。

 ナノ材料では、自動車排ガス触媒向け酸化物ゾルの販売拡大が見込まれる中、原料調達の観点も踏まえた増産の検討を行いました。

 高純度酸化タンタル・酸化ニオブ、微粉末ケイ酸、塩基性アルミニウム塩等では、製造効率化の検討や新たな用途拡大に向けた商品開発を行いました。

 

(3) その他の研究開発活動

 生活の質を高めるライフサイエンス領域の研究開発を進めております。

 魚うろこ由来3重らせんコラーゲン材料に関しては、多方面での応用を目指した研究を進める中、自社独自開発の技術により、高強度コラーゲン繊維の製造条件を見出し、ユーザーから高評価を得ています。生活用資材に関しては、含有微生物による揮発性抗菌物質の特定に成功し、防カビ・消臭メカニズムに関するエビデンスを得ることができました。

 バカマツタケの完全人工栽培につきましては、プロジェクトチームにおいて事業化に向けた技術開発を進めています。令和4年1月24日に公表いたしましたとおり、令和3年5月に増設した研究栽培設備にて量産スケールでの生産安定性、生産コストなど課題解決のための検討を行った結果、商業生産を可能とする栽培方法を概ね確立しました。今後、当該方法にて栽培試験を重ね、安定的な生産条件を決定し、令和4年度内の試験販売と商業生産設備の着工を目指して取り組んでまいります。

 

 当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は、以下のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

アグリ

22

化学品

248

その他の研究開発費

189

合計

461

   (注)上記には、製造技術支援にかかる費用は含まれておりません。