第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1) 経営方針

当社は、無機化学の可能性を追求し、「顧客満足を第一に考え、より広くより深く社会に貢献する」を経営の基本方針として歩んでまいりました。

上記基本方針のもと、当社は、高品質な製品を提供し、あらゆる生産活動の基礎を支えることが使命であると認識し、常に時代の流れをとらえ高水準な技術と卓越した開発力で99.9%以上の高純度を誇る付加価値材料から窯業系建材といった高機能成形品に至るまで、さまざまな産業界のニーズを広く、深くカバーしてまいりました。

また、蓄積してきた技術を有効に活かし多角的な製品展開で、幅広く社会の要請に対応してまいります。

 

(2) 中期経営戦略

当事業年度における売上高は19,784百万円、経常利益は1,562百万円、経常利益率は7.9%、当期純利益は1,088百万円でした。

今後につきましては、建材事業の住宅分野は軒天ボード等の高級化路線の推進や、採算性の向上に努め、非住宅分野では、好調な都市型ビル需要の取り込みに注力いたします。

化成品事業は、酸化マグネシウムによる海外の健康関連サプリメント需要の取り込み、セラミックス製品の本格的事業化に向けた拡販、将来に向けた拡販増産体制への投資、新技術の開発を進めていきます。

 

(3) 目標とする経営指標

当社は「2021年4月期 決算説明資料」において、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う事業環境の変化や経営環境の状況を踏まえ、2022年4月期の売上高は21,000百万円、経常利益は1,800百万円、経常利益率は8.6%、当期純利益は1,100百万円を目標としております。

 

(4) 経営環境及び対処すべき課題

当社を取り巻く経営環境は、主力製品である住宅建材業界が、中長期的には少子高齢化と人口減少による戸建住宅の縮小という傾向にあり、先行きとしては大幅な市場の拡大は見込めないものと予想されます。

かかる状況下において、当社としましては、建材事業においては、戸建住宅関連の新製品の投入、非住宅分野への注力、加えて当社の強みの1つである耐火パネル販売の拡大等の施策により、業界内におけるシェアアップを図ってまいります。

化成品事業においては、更なる国内営業基盤の拡充に加え、積極的な海外市場展開も視野に入れ、同事業を当社の成長エンジンとして更なる拡大を企図しております。

以上の諸施策により、当社は国内住宅市場に左右されない複合的な製品ポートフォリオによる収益の安定化及び極大化に努めてまいる所存であります。そのために、以下の3点を特に重要な課題として取り組んでおります。

 

① 新規の顧客獲得による営業基盤の拡大

安定した品質の製品を供給し、国内及び海外の新規顧客開拓や、既存のお客様との更なる太いパイプ作りにより、売上高の拡大を図ってまいります。

 

② コストの削減

工場における生産性の向上はもちろんのこと、配送ルート全般に関わる物流費の見直し等、あらゆる分野のコストの削減に取り組んでまいります。

 

③ 人材開発・教育の強化

企業が継続的に価値を高めていくには、人材開発・育成が不可欠との認識の下、優秀な人材を確保し、教育の充実等により組織の活性化を図ってまいります。

 

(5) 新型コロナウイルス感染症の影響

2019年12月以降拡大の一途を辿った新型コロナウイルス感染症ですが、国内外共にロックダウンなどの厳格な防疫措置が実施され、当初深刻な景気後退が起きました。しかし、当事業年度が進むにつれて、国外でのワクチン接種進展による経済活動の抑制緩和や巨額の財政支出によって景気は回復傾向となりました。

当初新型コロナウイルス感染症の影響を受けた当社の建材事業・化成品事業ですが、景気回復が進むにつれ、回復傾向となりました。今後は、国内外共にワクチン接種が更に進展し、経済活動の抑制緩和を通して景気回復が続くと見込んでおります。

 

2 【事業等のリスク】

投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(1) 国内住宅産業の動向が業績に影響を与えることについて

当社の主力製品である窯業系建材の用途は住宅向けが中心であり、同業界は、少子高齢化や人口減少などの構造的な要因に拠り中長期的には減少が避けられない状況にあります。これに対して当社は、第二の事業である化成品事業の拡大に注力し、また建材事業についても非住宅分野への拡充を行う等事業ポートフォリオの多角化を図っておりますが、依然として住宅着工戸数が著しく変動した場合は、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 退職給付債務について

当社従業員の退職給付費用及び退職給付債務については、割引率や退職率、死亡率等数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出しておりますので、これらの前提条件と実際の結果が異なった場合は、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 知的財産権について

当社は、現在の事業活動及び将来の事業展開に有用な知的財産権の取得に努め、また他社の知的財産権の調査を実施することにより事前の問題発生を回避するよう努力しております。しかし、当社が他社の知的財産を侵害する可能性は全くないとはいえず、他社より訴訟等を提起されるリスクも存在するため、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 製造物責任について

当社の主力製品である窯業系建材製品は、製品の用途は住宅向けが中心であり、当社の製品特性から製造物責任を問われるケースは少ないものと考えられ、また当社は、品質・環境マネジメントの国際規格のもとで各製品を製造しています。しかしながら、製造したすべての製品について欠陥が全くないという保証はなく、今後製造物責任賠償につながるような製品の欠陥が生じた場合は、当社製品の品質に対する信頼性を損なうおそれがあり、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 法的規制について

当社は、建材事業において住宅・非住宅用不燃内外装材、化成品事業においてはマグネシウム類薬品、セラミックス製品等をそれぞれ製造、販売しており、建材事業においては建築基準法、化成品事業においては医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律、食品衛生法を始めとする各種法規から規制を受けており、それに従って製造し管理を行う必要があります。また当社工場は、主に水質汚濁防止法、大気汚染防止法、騒音規制法、高圧ガス保安法、毒物及び劇物取締法の規制を受けております。これら法規等の変更あるいは予期し得ない法規等が導入され、新たな設備投資等が必要となった場合、当社の業績及び財務状況等に影響を与える可能性があります。

 

(6) 金利変動について

当社は、金融機関からの借入れにより、事業の運転資金・設備投資資金を調達しており、今後の金融政策に伴い金利が著しく変動した場合は、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7) 為替変動

当社は、一部海外からの原料輸入および海外への製品輸出を実質的に外貨建で行っていますが、それらの各金額を管理することにより原則的には為替リスクはニュートラルなポジションとなっています。しかしながら、外国為替相場が著しく変動した場合には、調達及び輸出のタイミングのズレもあり、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8) 原材料・エネルギー価格の変動について

当社は、製品の製造過程においてLNG、LPG、電力、塗料、苛性ソーダ等を使用しており、これらの調達コストが著しく変動した場合は、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。 

 

 

(9) 製造拠点への自然災害の影響

当社は、日本国内に東西2製造拠点を有しており地域的な製造リスクの分散を図っており、また生産活動の中断による潜在的影響を抑制するため定期的な防災点検・設備保守を行っていますが、大規模な自然災害に被災した場合は、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10) 情報セキュリティーについて

当社は、当社事業の遂行に伴い多くの個人情報及び機密情報を保有しており、これらの取扱いについては万全の体制を整えております。しかしながら、不測の事態により情報の流出・漏洩が発生した場合には、対応費用の発生、社会的信用の低下等により、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(11) アスベストによる健康障害

当社は、過去にアスベストを含有した製品を製造しており、当該製品により健康障害を受けたとする損害賠償請求訴訟等により、損害賠償金の支払いや訴訟に関する費用が発生し、それらの費用が多額となる場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(12) 固定資産の減損について

当社は、固定資産の減損に係る会計基準を適用し、資産に対する減損テストや資産評価を行っておりますが、現時点では減損損失の計上の必要性はないと考えております。

しかし、将来業績の大幅な悪化や不動産価格の下落等があった場合には減損損失が生じ、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(13) 新型コロナウイルス感染症について 

現在では、国内外でワクチン接種が開始され、経済活動は回復傾向にありますが、変異株の発生等更なる感染拡大が進む可能性があります。その場合は、工事の遅延、受注の減少、物流停滞、工場稼働率の低下等を通じて、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

 

(1) 経営成績

当事業年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルスの感染症拡大の影響による景気の後退から、2020年5月の緊急事態宣言解除以降、一旦は持ち直しの動きがありました。しかし、感染の再拡大により再び経済活動が制限されるなど、依然として先行き不透明な状況が続いております。

当社建材事業の主要マーケットである住宅市場は、消費税増税後の反動減や新型コロナウイルスの感染症拡大の影響が重なり、新設住宅着工戸数は81万2千戸と対前年度比8.1%の減少となりました。

このような状況の中、当事業年度の業績につきましては、売上高は19,784百万円と対前期比1,414百万円(6.7%)の減収となりました。営業利益は1,507百万円と対前期比579百万円(62.5%)の増益、経常利益は1,562百万円と同688百万円(78.8%)の増益、当期純利益は1,088百万円と同487百万円(81.2%)の増益となりました。

 

セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

建材事業

建材事業におきましては、「2020年度グッドデザイン賞」受賞の『アルテザート(高意匠軒天井用素材)、アトラフィット(専用金具による施工方法)』を投入するなど注力製品の高級軒天ボードの拡販はあったものの、新型コロナウイルスの感染症拡大に伴う新設住宅着工戸数の低迷により業界全体の販売量が減少したことや採算性重視の施策により一部製品の販売が減少したことなどから、売上高は12,163百万円と対前期比1,517百万円(11.1%)の減収となりました。しかしながら、セグメント利益(営業利益)は、大幅な減収に伴う利益減の影響に対して、高付加価値製品である高級軒天ボードの拡販や各種コスト削減を全社一丸となって努めたことによる収益改善や修繕費などの固定費負担の減少などにより557百万円と同187百万円(50.6%)の増益となりました。

 

化成品事業

化成品事業におきましては、新型コロナウイルスの感染症拡大の影響を受けた自動車等工業用関連の受注減少に伴い難燃水酸化マグネシウム製品の販売量の減少はあったものの、サプリメント需要増による酸化マグネシウム製品やセラミックス製品の拡販により、売上高は7,620百万円と対前期比102百万円(1.4%)の増収となりました。セグメント利益(営業利益)は高利益率のマグネシウム製品・セラミックス製品の拡販や減価償却費などの固定費負担の減少などにより1,462百万円と同406百万円(38.5%)と大幅な増益となりました。

 

 

生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。

① 生産実績

当事業年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

生産高(百万円)

前年同期比(%)

建材事業

10,729

△9.2

化成品事業

6,653

△0.4

合計

17,383

△6.0

 

(注) 1.金額は販売価格であります。

2.上記の金額には消費税等を含んでおりません。

 

② 受注実績

当社の生産は主として見込生産であり、該当事項はありません。

 

③ 販売実績

当事業年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

建材事業

12,163

△11.1

化成品事業

7,620

1.4

合計

19,784

△6.7

 

(注)  上記の金額には消費税等を含んでおりません。

 

(2) 財政状態

当事業年度末の総資産は18,602百万円(前事業年度末は19,082百万円)となり、前期比480百万円減少いたしました。主な減少要因は、現金及び預金473百万円減少によるものであります。

 

セグメントごとの資産は、次のとおりであります。

建材事業

当事業年度末のセグメント資産は、8,801百万円(前事業年度末は9,166百万円)となり、前期比364百万円減少いたしました。これは主として、電子記録債権128百万円減少、仕掛品126百万円減少、商品及び製品99百万円減少によるものであります。

 

化成品事業

当事業年度末のセグメント資産は、7,594百万円(前事業年度末は7,168百万円)となり、前期比425百万円増加いたしました。これは主として、有形固定資産614百万円増加によるものであります。

 

負債は10,062百万円(前事業年度末は11,530百万円)となり、前期比1,467百万円減少いたしました。主な減少要因は、短期借入金1,400百万円減少によるものであります。

純資産は8,540百万円(前事業年度末は7,552百万円)となり、前期比987百万円増加いたしました。主な増加要因は、繰越利益剰余金905百万円増加によるものであります。

その結果、自己資本比率は前事業年度末に比べ上昇し、45.6%となりました。

 

 

(3) キャッシュ・フロー

当事業年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は967百万円と前事業年度末に比べ473百万円の減少となりました。

 

営業活動によるキャッシュ・フローは、当事業年度における営業活動による資金の増加は3,013百万円(前年同期は1,089百万円の増加)となりました。

主な増減要因は、税引前当期純利益1,524百万円、減価償却費985百万円、たな卸資産の減少415百万円によるものであります。

 

投資活動によるキャッシュ・フローは、当事業年度における投資活動による資金の減少は1,139百万円(前年同期は731百万円の減少)となりました。

主な増減要因は、有形固定資産の取得による支出1,180百万円、投資有価証券の売却による収入26百万円によるものであります。

 

財務活動によるキャッシュ・フローは、当事業年度における財務活動による資金の減少は2,346百万円(前年同期は195百万円の減少)となりました。

主な増減要因は、短期借入金の純減額1,400百万円、長期借入金の返済による支出707百万円、配当金の支払額183百万円によるものであります。

 

運転資金需要のうち主なものは原材料の購入費用、製造費用の他、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は設備投資等によるものであります。

当社は適切な資金調達と流動性の確保により、安定化を図ることを基本方針としております。

運転資金は、自己資金及び金融機関からの短期借入による資金調達を行い、設備投資資金については、自己資金及び金融機関からの長期借入による資金調達を行っております。

なお、当事業年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は、3,094百万円となっております。

 

(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたり、見積りが必要な事項については、過去の実績や状況に応じて、判断を行い、その結果を基に金額を算出しております。

なお、新型コロナウイルス感染症の影響に関して当社は、各事業拠点において感染リスクの低減や事業活動を継続するための対策を実施した上で事業を遂行しており、現時点における経営成績への影響は軽微なものという仮定のもと、会計上の見積りを行っております。しかしながら、こうした見積りについては、常に不確実性が伴うため、実際の結果と異なる可能性があります。

当社で採用する重要な会計方針の詳細については、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項(重要な会計方針)」に記載されているとおりです。

 

 

4 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

5 【研究開発活動】

当社の研究開発活動は、顧客第一を基本理念とし、市場ニーズの多様化に即応した新製品の着想を得ると共に、鋭意研究開発を進めております。

主な研究開発の概要は次のとおりで、当事業年度の研究開発費の総額は、757百万円となり、売上高比3.8%でありました。

(1) 建材事業では、高耐久外装材を市場投入し、常に市場を見つめ、市場ニーズを捉えて商品開発に取り組んでおります。

当事業に係る研究開発費は、453百万円であります。

 

(2) 化成品事業では、マグネシウム類の機能を活かした応用研究を進め、新しい組成、特性向上の技術研究に取り組んでおります。

当事業に係る研究開発費は、303百万円であります。