当連結会計年度の世界経済は、米国が堅調な企業業績と個人消費に支えられ緩やかな景気拡大を続け、英国のEU離脱選択の悪影響が懸念された欧州でも総じて景気は回復基調で推移しました。アジアでは、一部地域で景気持ち直しの動きが見られたものの、過剰生産設備の削減が進む中国で成長率が鈍化するなど、景気の足踏み状態が続きました。日本経済は、雇用環境の好転や企業収益の改善を背景に概ね堅調に推移しましたが、英国のEU離脱や米国新政権の政策動向などに反応して為替相場や株式市場が乱高下するなど懸念される動きも見られました。
当社グループの主力事業を取り巻く市場環境は、酸化チタンでは、国内需要は主力用途である塗料向けがやや弱く前年並みに止まりましたが、海外需要は、中国の需給改善などの影響を受け市況が緩やかに上昇を続ける中、期を通じて堅調に推移しました。農薬では、長引く農産物価格の低迷や最大の消費国ブラジルの流通在庫高に加えて、世界各地で発生した異常気象などが需要を抑制し、世界の農薬出荷額は昨年に引き続き前年割れとなりました。
このような状況の下、当社グループは第6次中期経営計画の基本方針に基づき、海外販売の強化や高付加価値製品の拡販など既存事業の強化と将来の成長基盤の構築に向けた研究開発などを着実に取り進めてまいりました。
この結果、当連結会計年度の売上高は1,016億円(前年同期比13億円減)、営業利益は84億円(前年同期比1億円増)、経常利益は72億円(前年同期並)、特別利益では前年同期に計上した固定資産売却益がなくなったことなどで親会社株主に帰属する当期純利益は51億円(前年同期比43億円減)となりました。
セグメントの業績は次のとおりであります。
(無機化学事業)
酸化チタンの販売数量は、国内がほぼ前連結会計年度並みとなる一方、海外が需給改善を背景に前連結会計年度を上回りました。金額面では、海外の需給改善を受けて輸出価格の改定に努めましたが、前連結会計年度の下落分を取り戻すまでには至らず、また期半ば過ぎまで続いた円高の影響を受けたことなどから、売上高は370億円(前年同期比11億円減)となりました。
機能材料は、導電性材料や電子部品向けの販売が堅調に推移しましたが、初期需要の一巡により販売の無かった製品があったことなどから、売上高は104億円(前年同期比12億円減)となりました。
損益面では、酸化チタンの輸出価格低下が減益要因となったものの、原材料価格の低下や海外販売数量回復に伴う操業度の改善などにより増益となりました。
この結果、無機化学事業の売上高は475億円(前年同期比24億円減)、営業利益は50億円(前年同期比24億円増)となりました。
(有機化学事業)
農薬の国内販売は、新規の園芸殺菌剤や天敵農薬の投入などもあり、売上は前連結会計年度を上回りました。海外販売は、円高に加え、ブラジルでの害虫抵抗性を持った遺伝子組み換え作物普及による殺虫剤の減少やアジアでの天候不順による除草剤の減少などが減収要因となりましたが、欧州で天候要因により殺虫剤が伸びた他、新規の菌核・灰色かび病殺菌剤の登録国を北米で追加し、また既存主力剤においても適用拡大や販売地域の拡大など新たな需要開拓に向けた営業活動に注力した結果、海外売上は前連結会計年度を上回りました。
医薬は、受託製造している医薬原末の売上は前連結会計年度並みとなりました。
この結果、有機化学事業の売上高は510億円(前年同期比15億円増)、営業利益は支出時期の見直しなどで研究開発費が前連結会計年度を下回ったものの、円高の影響などを受け、49億円(前年同期比23億円減)となりました。
(その他の事業)
その他の事業の売上高は30億円(前年同期比4億円減)、営業利益は5億円(前年同期比1億円増)となりました。
当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ10億円減少し、281億円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、146億円の収入(前年同期比43億円収入増)となりました。これは、税金等調整前当期純利益57億円、たな卸資産の減少52億円、減価償却費及びその他の償却費46億円などの資金増加要因があった一方、法人税等の支払10億円などの資金減少要因があったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、59億円の支出(前年同期比156億円支出増)となりました。これは、固定資産の売却による収入が5億円(前年同期は133億円)であったのに対し、固定資産の取得53億円、投資有価証券の取得10億円などの支出があったことなどによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、96億円の支出(前年同期比22億円支出減)となりました。これは、社債・長短借入金の純減とリース債務の返済などによるものであります。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
生産高(百万円) |
前年同期比(%) |
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無機化学事業 |
48,042 |
△3.4 |
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有機化学事業 |
30,130 |
△7.2 |
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合計 |
78,173 |
△4.9 |
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 金額は、販売価格によっております。
3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
当社グループは、主として見込み生産を行っております。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
販売高(百万円) |
前年同期比(%) |
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無機化学事業 |
47,504 |
△4.8 |
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有機化学事業 |
51,063 |
3.1 |
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その他の事業 |
3,033 |
△12.6 |
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合計 |
101,601 |
△1.3 |
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
なお、当連結会計年度において、外部顧客への売上高のうち、連結損益計算書の売上高の10%以上を占める
相手先がないため、記載はありません。
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相手先 |
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
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販売高(百万円) |
割合(%) |
販売高(百万円) |
割合(%) |
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三井物産株式会社 |
10,708 |
10.4 |
― |
― |
3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、企業活動において全構成員が共有すべき基本的・普遍的な価値観を表すものとして、基本理念と行動基準を定めております。
<基本理念>
・ 「社会」、「生命」、「環境」に貢献する。
・ 株主、顧客・取引先、地域社会、従業員を大切にする。
・ 遵法精神を重んじ、透明な経営を行う。
<行動基準>
・ 社会から信頼される事業活動を行うため、社会規範、法令、会社の諸規定を遵守し、高い倫理観と良識を持って行動する。
・ ものづくりに際しては、地球環境との調和を図り、常に安全確保に万全を期し、無事故・無災害に努める。
・ 相互協力、相互理解により人権を尊重し、風通しの良い働きやすい職場をつくる。
・ 企業活動の透明性を保つため、企業市民としてコミュニケーションを重視し、企業情報を適時、的確に開示する。
当社グループは、全構成員が、この基本理念と行動基準を常に意識し行動することで、時代や環境の変化に対応できる強靭な開発型企業として成長し、社会の発展に貢献できる企業を目指しております。
(2) 経営環境及び対処すべき課題
当社グループは、創立100周年の2020年に目指すべき企業グループ像の実現に向け、2015年度より3ヵ年計画で第6次中期経営計画を推進し、「強いケミカル・カンパニーに向けた変革と実行」をテーマに「既存事業の強化」と「成長基盤の強化」を骨子とした諸施策にグループ一丸となって取り組んで来ました。これまでの2年間は市場成長を牽引してきた新興諸国経済の勢いが弱まり、酸化チタンや農薬など主力製品の世界需要が減少に転じる厳しい事業環境となりました。業績面では、初年度となる前期は為替が概ね想定通りに推移する中、営業利益は中計目標を上回りましたが、2年目となる当期は無機化学事業が海外の販売環境改善を背景に増益となったものの、海外売上比率の高い有機化学事業が円高の影響などを受け減益となり、全体の営業利益は中計目標を下回りました。一方財務面では、前期に、海外子会社の事業用土地借地権や本社ビルの売却などにより捻出した資金を原資に金融機関からの借入金返済を進めた結果、目標を上回るぺースで有利子負債の削減が進み、財務体質改善の点においては一定の成果がありました。
当面の最大の経営課題は、研究開発費の増大を主因に来期も減益が見込まれる有機化学事業の業績を早急に立て直し、再び成長軌道に乗せることであります。これに向け主力農薬では、成長の原動力となる自社開発の新規剤の確実な上市や海外拠点の強化に注力して取り組んでまいります。新規剤では、当期に国内でとうもろこし用除草剤などを上市し、来期には欧米で新たな自社開発の新規剤上市を計画しております。海外拠点の強化では、現地ディストリビューターとの連携を深めるなどで、新規剤の速やかな普及拡大と既存剤の拡販に力を入れている他、成長市場のひとつであるアジアでは農薬開発登録機能の強化を進めております。生産面では、自社及び委託先での製造コスト低減と品質向上に引き続き取り組んでまいります。
将来の成長基盤作りとして取り組んでいる動物薬やバイオ医薬品など新規事業の開発は順調に進む一方、これに伴い研究開発費が増大する見通しで、財務に与える影響を軽減しながら研究開発を効率的に進めることが重要であると認識しております。当社グループに無い機能を補完しながら新規事業を進めるため、従来から他社あるいは大学等研究機関との提携に積極的に取り組んでまいりましたが、さらなる提携への取り組みを進めることで、当社グループの技術とシーズを活かした製品の早期事業化を目指してまいります。
無機化学事業では、付加価値の高い分野での技術開発と販路開拓に引き続き取り組み、汎用品から高付加価値・高機能な製品へのシフトを進めてまいります。酸化チタンでは、国内で順調に販売を伸ばしている超耐候性銘柄の海外市場開拓に取り組んでいる他、環境・省エネ意識の世界的な高まりを背景に遮熱や防汚などの機能を備えた製品の需要掘り起こしにも力を入れております。機能材料では、最先端の電子部品に使われる高純度酸化チタンや塗料、プラスチックなどに使われる帯電防止剤としての導電性材料など今後需要拡大が見込まれる製品に積極的に対応し売上拡大に繋げてまいります。また、研究開発では、業績への早期貢献を目的とした既存技術の開発だけではなく、従来の無機・有機の技術の枠に捉われず、将来の事業成長に繋がる分野でテーマアップした研究課題にも取り組んでおります。
当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性のある主なリスクとして以下のとおり認識しており、これらリスクの発生の回避及び発生した場合の対応には最大限努力する所存であります。
文中の将来に関する事項は当連結会計年度末現在において入手可能な情報から判断したものであり、また事業等のリスクには様々なリスクが存在しており、ここに記載されたリスクがすべてのリスクではありません。
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項目 |
リスク |
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生産、販売、原料調達にかかわるリスク |
①無機化学事業は販売する国又は地域の経済状況の影響を受ける。特に販売比率が高い日本を含めアジアでの需要や市況の変動により業績に影響を受ける可能性がある。 ②農薬事業は販売する国又は地域での農業情勢、作物の市場動向、天候や病虫害発生の状況、及びジェネリック品の販売や遺伝子組み換え作物の伸長の動向により業績に影響を受ける可能性がある。 ③特定業界・特定顧客向けの販売が大きな比重を占める製品で、顧客企業の業績や購買方針の変動により業績に影響を受ける可能性がある。 ④厳しい製品価格競争の下、コスト低減等の価格競争を克服できないことにより業績に影響を受ける可能性がある。 ⑤主原料鉱石や石炭等の原燃料の市況や特定の購入先に依存する原料・資材等の調達環境等の変動により業績に影響を受ける可能性がある。 ⑥農薬の取扱いに関する国内外の法令等の変更により業績に影響を受ける可能性がある。 ⑦自然災害、感染症の流行、重大な産業事故等の発生により生産活動が停止し、機会損失の発生や顧客への供給責任が果たせなくなる可能性がある。 |
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研究開発にかかわるリスク |
①予期せざる市場、技術、法令規制等の変化により研究開発が長期化又は中断する可能性がある。 ②将来の市場や顧客のニーズ等を正しく予想できず新製品や既存製品をタイムリーに開発・提供できない可能性がある。 |
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品質、環境、知的財産にかかわるリスク |
①環境や化学物質の安全性等の規制強化により新たな対策コストが発生する、又は事業活動が制限される可能性がある。 |
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②知的財産、製造物責任、環境問題等にかかわる紛争が将来生じ、不利な判断がなされることにより業績に悪影響を与える可能性がある。 |
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③環境改善のために追加的な対策コストが発生する可能性がある。 |
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財務状況等にかかわるリスク |
①米ドル、ユーロ等外国為替相場の変動や海外子会社が所在する現地通貨高により円換算ベースでの業績に影響を受ける可能性がある。 |
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②金利上昇により将来の支払利息が増加する可能性及び資金調達環境の悪化等により必要な事業資金が確保できなくなる可能性がある。 |
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③業績悪化により財務制限条項に抵触し、期限の利益を喪失する可能性がある。 |
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④将来の予測可能収益の減少、又は税率変更を含む税制の改正等により繰延税金資産の取崩しが発生する可能性がある。 |
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⑤収益性低下等による事業用資産の減損損失が発生する可能性がある。 |
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その他 |
①重要な偶発債務に注記する事案に関連して追加的な対策コストが発生する可能性がある。 |
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②取引先の予期せぬ信用不安等により貸倒れ等の損失が発生する可能性がある。 |
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③海外でのテロ、紛争等の発生により海外事業活動が制限される可能性がある。 |
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④社内やグループ間の情報システムに対して不正アクセス、突発的な事故等が発生した場合、事業活動に支障を生じる可能性がある。 |
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⑤専門的な技量や経験を有する人材が確保できなかった場合、事業活動に支障を生じる可能性がある。 |
経営上の重要な契約等は、次のとおりであります。
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契約締結先 |
契約発効日 |
摘要 |
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(スイス) |
平成9年12月17日 |
(契約内容)当社が所有する一定の除草剤、殺菌剤及び殺虫剤(4剤)のアジア・パシフィック地域を除く世界市場における販売に関する権利の供与 (有効期間)当該製品の登録が継続する期間 (対価)一時金(クロージング時及び登録取得時) |
当社グループは「社会、生命、環境に貢献する」という基本理念に基づき、無機化学、有機化学の各分野における新製品の開発や生産技術の向上に取り組むとともに、世界的な関心が高まる環境、エネルギー、バイオ、IT、食料等の各領域において、無機、有機の垣根にこだわることなく、新規事業の探索にも取り組んでおります。当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は、8,173百万円となりました。
セグメントごとの研究開発は、次のとおりであります。
(無機化学事業)
酸化チタン顔料については、塩素法と硫酸法の2つの製造プロセスを自社で有する特徴を活かし、塗料、インキ、プラスチックの各分野で市場ニーズに対応した高付加価値銘柄や顧客の厳しい要求に応えるカスタマイズ銘柄などの開発に注力して取り組んでおります。
機能材料については、次世代のコア事業としての磐石な地位を確立すべく、酸化チタン応用製品の一層のスペシャリティー化と新規分野の開拓に注力して取り組んでおります。電子材料分野では、電子機器の小型化、高機能化に伴い一層の微粒化が求められる中、これに対応した高純度酸化チタンの商品開発を強力に推進する他、環境・省エネルギー問題に対応する素材として、建材向け塗料や人工木材などに黒色系遮熱材料の開発を進めており、その増産体制の確立に関しても技術面からサポートしております。また、新規分野では、微細配線、接合(高温ハンダ)、装飾などの用途に使われる金属微粒子、需要が高まっている電子機器の熱対策材料としての高熱伝導材料の他、意匠性材料、化粧品用材料及び光触媒材料など、独自技術によるユニークな製品開発と市場開発を推進しております。
新しい無機事業の創出を目的に発足した新規事業企画開発部では、これまで培った無機、有機の技術を融合させ、新しい価値を創生した商品の研究開発にも取り組んでおります。また、当社有機化学部門とのコラボレーションした開発テーマの他、関係企業との協業や社外技術の導入などオープンイノベーションへの取り組みも積極的に進めており、あらゆる場面で成長に繋がる活動を行っております。
電池材料については、車載用途や電力蓄電用途などで中大型のリチウムイオン電池が使用される大きな市場拡大が見込まれる中、負極材の1つとして有望視されるチタン酸リチウムの製品開発に取り組んでおります。
当事業における研究開発費は、1,313百万円となりました。
(有機化学事業)
農薬については、自社開発原体を中心に新規製剤や新規混合剤の開発の他、農薬登録国や適用作物の拡大などに向けた研究開発に注力して取り組んでおります。
近年開発した新規剤では、うどんこ病に卓効を持つ殺菌剤ピリオフェノンが各国で農薬登録を取得後、上市が進んでいる他、菌核・灰色かび病など広いスペクトラムを持つ殺菌剤イソフェタミドは、2015年のカナダ、米国での上市を皮切りに、順次販売地域を拡大しております。また、チョウ・蛾類をはじめ広いスペクトラムを持つ殺虫剤シクラニリプロールや安全性に優れるトウモロコシ用除草剤トルピラレートも、既に一部の国では販売が始まっておりますが、今後主力市場で順次上市を進めてまいります。水稲用除草剤ランコトリオンは、2016年に国内の登録申請を行い、現在混合剤の開発などを進めており、さらに近隣・東南アジアへの展開も検討中です。
さらに、国内の食の安全・安心指向の高まりや、抵抗性発達のために有効な既存化学農薬が不足しているなどの市場ニーズに対応するため、微生物殺菌剤、接触型忌避剤及び天敵昆虫等の製品群の開発にも注力しております。特に3種の天敵昆虫類については、農家の利便性に配慮した簡易型組立資材(バンカーシート)を付帯した製品を開発、農林水産省農食事業26070Cで実用化技術を確立し、現在順次上市を進めています。近未来の植物防疫の姿を見据えると、これらと安全性の高い当社の化学農薬群を組み合わせて、当社独自のIPMプログラムを確立するとともに、従来の化学農薬コンセプト・分野とは異なる場面でも、当社全製品の普及拡大を目指していきます。
当社の農薬事業は、自社での創生・開発をベースとしていますが、環境変化の激しい昨今、他社開発剤の導入や他社との共同開発にも積極的に取り組んでおり、2010年以降海外企業から導入した水稲除草剤を国内で開発・上市したほか、2015年には海外企業が発明した新規の非選択性除草剤を全世界で共同開発する契約を締結し、現在、主要国での登録申請の作業を進めております。
農薬以外では、医薬品・医療機器開発の分野で、特色ある商品開発を進めております。酸化チタンの機能性を利用した国産初の人工関節固定用骨セメント「オセジョイン」は、2016年9月に製造販売承認を取得し、2017年中に保険適用を受け、その後の上市を計画しております。また、当社有機部門のコア技術であるCF3ピリジン化合物(医薬原薬用中間体)についても、受託生産事業拡大を目指した研究開発を進めております。
バイオ研究者向けの研究用試薬「ゲノムワン」(遺伝子機能解析用HVJ-Eベクターキット並びに関連製品)については、国内外で販売を行っており、利用する研究者の要請にも対応して、より高い機能開発に取り組んでいます。HVJ-Eについては、新規バイオ抗がん剤としての開発を目指し、大阪大学医学部附属病院と連携して医師主導臨床治験を進めております。第Ⅰ相試験でヒトでの安全性が確認された悪性黒色腫(メラノーマ)、悪性胸膜中皮腫については、2017年度より第Ⅱ相試験を開始する予定で、前立腺がんについては、引き続き科学技術振興機構(JST)の産学共同実用化開発事業としての第Ⅰ相試験を推進していきます。
長年にわたる農薬、医薬創製の研究・開発で培った技術とシーズ化合物を活かし、動物薬の研究開発にも取り組んでいます。その第一弾として、現在、新規作用機序を有する動物用抗炎症薬を国内承認申請中であり、2017年度末ないしは2018年度初の上市を見込んでおります。
当事業における研究開発費は、6,775百万円となりました。
なお、当連結会計年度におけるセグメントに帰属しない全社共通の研究開発費の金額は84百万円となりました。
文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりであります。
なお、連結決算日における資産及び負債の連結貸借対照表上の金額及び連結会計年度における収益及び費用の連結損益計算書の金額の算定には、将来に関する判断、見積りを行う必要があり、当社グループは過去の実績や状況等を勘案し、合理的に判断しておりますが、今後の環境、条件等の変動により、当社グループの連結財務諸表に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 当連結会計年度の経営成績の分析
「1 業績等の概要 (1) 業績」をご参照ください。
(3) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
① 資産・負債・純資産の状況
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末比51億円減少の1,598億円となりました。たな卸資産が59億円、現金及び預金が10億円それぞれ減少した一方、投資有価証券が14億円増加したことなどによるものです。
負債は、社債・長短借入金が87億円減少したことなどにより、前連結会計年度末比101億円減少の932億円となりました。
純資産は、為替換算調整勘定が7億円悪化しましたが、利益剰余金が51億円増加したことなどにより、前連結会計年度末比49億円増加の665億円となりました。
② キャッシュ・フロー
「1 業績等の概要 (2) キャッシュ・フロー」をご参照ください。
③ 財務政策
当社グループは、フェロシルト問題発生に伴い急増した有利子負債を適正水準まで削減することを財務上の重要な課題とし、短期的に必要な資金需要には適切に対応しつつ、中期的にこの課題に取り組んでおります。
当連結会計年度は、主力工場における維持更新投資が大幅に増加しましたが、たな卸資産の圧縮などにより捻出した営業キャッシュ・フローを原資として、来期以降に想定される旺盛な資金需要に備えつつも借入金の圧縮に努めた結果、当社グループの有利子負債残高は587億円(前年同期比89億円減)となりました。