第2 【事業の状況】

 

1 【業績等の概要】

 

(1) 業績

当連結会計年度の世界経済は、米国では雇用の改善や個人消費の拡大を背景に比較的堅調に推移しましたが、欧州圏では緩やかな回復に止まりました。一方、中国では経済成長の減速による不安定な状況が続き、また東南アジアやインド、ブラジルなど新興諸国でも資源価格の下落やドル高などの影響により、景況感が悪化しました。日本経済は、企業業績や雇用環境に改善が見られたものの、個人消費は依然弱含みで推移し、景気回復には力強さの欠ける展開となりました。

このような状況の下、当社グループは第6次中期経営計画をスタートしましたが、これまで市場成長を牽引してきた新興諸国経済の勢いが弱まり、酸化チタンや農薬など主力製品の世界需要が減少に転じる厳しい市場環境に直面しました。酸化チタンでは、国内需要は前年実績並みとなりましたが、海外では中国国内需要の減少に端を発した世界的な需給環境悪化により市況は一段と下落しました。農薬では、農産物価格の低迷が続く中、ドル高の影響などで経済状況を悪化させたブラジルでの需要が大幅に落ち込むなど、世界の農薬出荷額は前年実績を大きく下回りました。

この結果、当連結会計年度の売上高は1,029億円(前年同期比4億円減)、営業利益は83億円(前年同期比27億円減)、営業外では前連結会計年度の為替差益が為替差損に転じるなどで経常利益は70億円(前年同期比44億円減)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は事業活動停止により不要となった海外連結子会社の事業用土地借地権の譲渡益などを特別利益に計上したことなどから91億円(前年同期比24億円増)となりました。

なお、2005年より取り組んできたフェロシルト問題につきましては、2015年12月に、当社四日市工場に仮保管していたフェロシルトの搬出をすべて終え、全量の最終処分が完了しました。

 

セグメントの業績は次のとおりであります。

 

(無機化学事業)

酸化チタンは、国内外の需要低迷と海外市況悪化の影響を受け、売上高は382億円(前年同期比11億円減)となりました。

機能材料は、電子部品向けに販売が伸びた他、各種製品の販売は総じて堅調に推移しましたが、前連結会計年度に販売を開始した新製品の初期需要が一巡して減少したため、売上高は117億円(前年同期比2億円減)となりました。

損益面では、原材料費の低下などプラス要因はあったものの、酸化チタン需要減少に伴い操業調整を実施したことによる固定費負担増や海外市況悪化による在庫評価損の影響などが大きく、減益となりました。

この結果、無機化学事業の売上高は499億円(前年同期比14億円減)、営業利益は25億円(前年同期比33億円減)と前連結会計年度に比べ大幅に悪化しました。

 

(有機化学事業)

農薬の国内販売は、夏の天候不順の影響を受けながらも、売上高は概ね前連結会計年度並みを確保しました。

海外販売は、ブラジル向けが農薬需要低迷の影響を受け大幅に減少しましたが、新たな混合剤の上市や既存剤の適用拡大などに積極的に取り組んだ結果、欧州、北米、アジアなどでの販売増がこれを補い、売上高は前連結会計年度を上回りました。

医薬は、受託製造している医薬原末の売上高は前連結会計年度の実績を下回りました。

この結果、有機化学事業の売上高は495億円(前年同期比4億円増)、営業利益は72億円(前年同期比5億円増)となりました。

 

(その他の事業)

その他の事業の売上高は34億円(前年同期比5億円増)、営業利益は3億円(前年同期比2億円増)となりました。

 

(2) キャッシュ・フロー

当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ79億円増加し、292億円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は、次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、102億円の収入(前年同期比39億円収入増)となりました。これは、税金等調整前当期純利益120億円(固定資産処分益71億円を含む)、減価償却費及びその他の償却費53億円、売上債権の減少32億円などの資金増加要因があった一方、フェロシルト回収損失引当金の減少24億円などの資金減少要因があったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、96億円の収入(前年同期比128億円収入増)となりました。これは、固定資産の売却による収入133億円があった一方、固定資産の取得による支出35億円があったことなどによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、119億円の支出(前年同期比126億円支出増)となりました。これは、社債や長短借入金の純減とリース債務の返済等によるものであります。

 

2 【生産、受注及び販売の状況】

 

(1) 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

生産高(百万円)

前年同期比(%)

無機化学事業

49,723

△3.0

有機化学事業

32,481

△5.0

合計

82,204

△3.8

 

(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

2 金額は、販売価格によっております。

3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2) 受注状況

当社グループは、主として見込み生産を行っております。

 

(3) 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

無機化学事業

49,922

△2.8

有機化学事業

49,508

1.0

その他の事業

3,472

17.4

合計

102,903

△0.4

 

(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

2 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

販売高(百万円)

割合(%)

販売高(百万円)

割合(%)

三井物産株式会社

10,480

10.1

10,708

10.4

 

3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 

3 【対処すべき課題】

 

 第6次中期経営計画は「強いケミカル・カンパニーに向けた変革と実行」をテーマに「既存事業の強化」と「成長基盤の強化」を骨子とした諸施策に取り組み、創立100周年の2020年に向け業績を安定化させ、利益ある成長軌道に乗せることを最大の目標にグループ一丸となって取り組んでおります。

無機化学事業では、付加価値の高い分野での販路開拓や顧客対応力の強化など強みを活かした既存事業の強化に引き続き取り組んでまいります。国内で順調に販売を伸ばしている超耐候性銘柄など付加価値のある酸化チタン製品の海外展開の加速と国内需要家のグローバル化に対応するため、国内と海外の営業組織を統合した他、海外支店における機能材料製品の営業体制を強化しました。また、次の柱となる新製品の創出力を高めるため、2016年2月に無機系材料の研究開発部門を再編するとともに、無機、有機の要素技術融合による既存の事業領域に捉われない新しい事業の立ち上げを目指し、新規事業企画開発部を設立しました。

有機化学事業では、主力の農薬販売が足元でブラジルなどの需要鈍化の影響を受け厳しい事業環境に直面する一方で、アジアでは農業生産が拡大し、農薬需要は堅調に推移しております。当事業の成長には、これら成長市場の需要を確実に取り込むことが不可欠で、その一環としてインドに開発・登録を主体とする現地法人を設立し、2016年4月から業務を開始しました。また、主力の欧州や日本、その他の地域においては、各地域のニーズに適合した新規混合剤を積極的に投入するなど、当社剤の地位の維持・強化に取り組む他、生産面では製造コストの一段の引き下げによる競争力強化に取り組んでおります。

農薬以外では、動物薬やライフサイエンス分野といった新たな事業領域の拡大・創出に向けた研究開発に引き続き精力的に取り組んでまいります。動物用医薬品の開発では、国内臨床試験が終了し、国内承認申請、商品化の段階に入っている他、今年から海外開発にも着手してまいります。ライフサイエンス分野では、大阪大学と共同開発中のHVJ-E抗がん剤は前立腺がん、悪性黒色腫及び悪性中皮腫の3がん種を対象に第Ⅰ相臨床試験に入っている他、人工関節固定用骨セメントは2016年3月に国内承認申請を行いました。

 

4 【事業等のリスク】

 

当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性のある主なリスクとして以下のとおり認識しており、これらリスクの発生の回避及び発生した場合の対応には最大限努力する所存であります。

文中の将来に関する事項は当連結会計年度末現在において入手可能な情報から判断したものであり、また事業等のリスクには様々なリスクが存在しており、ここに記載されたリスクがすべてのリスクではありません。

項目

リスク

生産、販売、原料調達にかかわるリスク

①無機化学事業は販売する国又は地域の経済状況の影響を受ける。特に販売比率が高い日本を含めアジアでの需要や市況の変動により業績に影響を受ける可能性がある。

②農薬事業は販売する国又は地域での農業情勢、作物の市場動向、天候や病虫害発生の状況、及びジェネリック品の販売や遺伝子組み換え作物の伸長の動向により業績に影響を受ける可能性がある。

③特定業界・特定顧客向けの販売が大きな比重を占める製品で、顧客企業の業績や購買方針の変動により業績に影響を受ける可能性がある。

④厳しい製品価格競争の下、コスト低減等の価格競争を克服できないことにより業績に影響を受ける可能性がある。

⑤主原料鉱石や石炭等の原燃料の市況や特定の購入先に依存する原料・資材等の調達環境等の変動により業績に影響を受ける可能性がある。

⑥農薬の取扱いに関する国内外の法令等の変更により業績に影響を受ける可能性がある。

⑦自然災害、感染症の流行、重大な産業事故等の発生により生産活動が停止し、機会損失の発生や顧客への供給責任が果たせなくなる可能性がある。

研究開発にかかわるリスク

①予期せざる市場、技術、法令規制等の変化により研究開発が長期化又は中断する可能性がある。

②将来の市場や顧客のニーズ等を正しく予想できず新製品や既存製品をタイムリーに開発・提供できない可能性がある。

品質、環境、知的財産にかかわるリスク

①環境や化学物質の安全性等の規制強化により新たな対策コストが発生する、又は事業活動が制限される可能性がある。

②知的財産、製造物責任、環境問題等にかかわる紛争が将来生じ、不利な判断がなされることにより業績に悪影響を与える可能性がある。

③環境改善のために追加的な対策コストが発生する可能性がある。

財務状況等にかかわるリスク

①米ドル、ユーロ等外国為替相場の変動や海外子会社が所在する現地通貨高により円換算ベースでの業績に影響を受ける可能性がある。

②金利上昇により将来の支払利息が増加する可能性及び資金調達環境の悪化等により必要な事業資金が確保できなくなる可能性がある。

③業績悪化により財務制限条項に抵触し、期限の利益を喪失する可能性がある。

④将来の予測可能収益の減少、又は税率変更を含む税制の改正等により繰延税金資産の取崩しが発生する可能性がある。

⑤収益性低下等による事業用資産の減損損失が発生する可能性がある。

その他

①重要な偶発債務に注記する事案に関連して追加的な対策コストが発生する可能性がある。

②取引先の予期せぬ信用不安等により貸倒れ等の損失が発生する可能性がある。

③海外でのテロ、紛争等の発生により海外事業活動が制限される可能性がある。

④社内やグループ間の情報システムに対して不正アクセス、突発的な事故等が発生した場合、事業活動に支障を生じる可能性がある。

⑤専門的な技量や経験を有する人材が確保できなかった場合、事業活動に支障を生じる可能性がある。

 

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

 

経営上の重要な契約等は、次のとおりであります。

営業上の重要な契約

 

契約締結先

契約発効日

摘要

(スイス)
SYNGENTA AG(シンジェンタ アクチエンゲゼルシャフト)

平成9年12月17日

 (契約内容)当社が所有する一定の除草剤、殺菌剤及び殺虫剤(4剤)のアジア・パシフィック地域を除く世界市場における販売に関する権利の供与

 (有効期間)当該製品の登録が継続する期間

 (対価)一時金(クロージング時及び登録取得時)

 

 

 

6 【研究開発活動】

 

当社グループは、基本理念の一つである「社会、生命、環境に貢献する」を具現化するため、無機化学及び有機化学の各事業において人と環境にやさしい製品の開発から生産技術の開発に至るまで、積極的かつ重点的な研究開発に取り組んでおります。また、環境、エネルギー、IT、バイオ、食料等といった事業に関連した領域で、新たな市場ニーズを探索し、無機、有機の垣根を超えた新たな事業に繋がる新技術の研究開発にも取り組んでおります。

無機化学事業の内、酸化チタン顔料や機能材料等の開発は、四日市の開発企画研究本部において、商品開発から製造技術検討までを効率的かつ柔軟に進めております。一方、電池材料の開発は、電池・発電材料開発推進本部において、技術・生産・営業が商品開発から量産技術開発まで一体となって取り組んでおります。

また、グループ会社である富士チタン工業(株)は、主力製品である化繊向け酸化チタン、電子材料用チタン酸バリウム及びそれらから派生する化学関連品を対象に独自に研究開発に取り組んでおりますが、当社との研究領域が近いため、必要に応じて研究開発協力を行っております。

一方、有機化学事業(農薬、医薬等)は草津の中央研究所において研究開発を推進しております。

当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は、8,988百万円となりました。

 

セグメントごとの研究開発は、次のとおりであります。

 

(無機化学事業)

酸化チタン顔料については、塩素法及び硫酸法の2つの製法を有する特徴を活かし、塗料,インキ,プラスチックの各分野向けに市場ニ-ズに合致した高付加価値銘柄やカスタマイズ銘柄の開発に注力して取り組んでおります。

機能材料については、新規分野の開拓や酸化チタンの持つ機能を活かした製品のスペシャリティー化に注力して取り組んでおります。特に、近年、環境・省エネルギー問題の高まりから注目される遮熱分野では、透明遮熱ガラスコート剤を既存の光触媒コート剤と合わせて市場展開を進めている他、2014年に上市した黒色系遮熱材料は、建材向け塗料や人工木材などへの応用展開を進めております。超微粒子高純度酸化チタンでは、MLCC等電子部品の高性能化・ダウンサイジング化に対応するため、更なる微粒子化、高品質化が求められており、開発を急いでおります。

新規分野の開拓としては、微細配線や接合(高温ハンダ)及び装飾用途に使われる金属微粒子、電子機器の熱対策需要の高まりを受けた高熱伝導材料、特殊形状合成技術を用いた意匠性材料など、独自技術によるユニークな製品開発と市場展開を推進しております。
 電池材料については、車載用途や電力蓄電用途など中大型電池が使用される分野で今後大きな市場拡大が見込まれているリチウムイオン電池の負極材として有望視されている、チタン酸リチウムの製品開発を引き続き推進しております。

当事業における研究開発費は、1,647百万円となりました。

 

 

(有機化学事業)

農薬については、主力剤の多くが特許切れとなり、市場ではジェネリックとの競合に晒されておりますが、研究開発面では、新規製剤・新規混合剤の投入、登録国・適用作物の拡大を進めるなど、各種対抗策を具体化させることにより、引き続き、販売の維持・拡大を図っております。

新規うどんこ病殺菌剤は、各国で登録認可され、順次上市しております。新規菌核・灰色かび病殺菌剤は既に登録申請が行われ、2015年のカナダ、米国を皮切りに順次、上市予定です。また、新規チョウ・蛾類殺虫剤は2013年末から2016年初めにかけて世界各地で登録申請を行い、早期登録を目指しております。新規トウモロコシ用除草剤は、2014年に国内で登録申請、2015年以降、順次、欧州及び米州各国で登録申請を進めております。新規水稲用除草剤は、2016年第2四半期に国内での登録申請を予定しております。更に、国内の食の安全・安心指向の高まり、更に抵抗性発達の為に有効な既存化学農薬が不足するなどの市場ニーズに合致した、微生物殺菌剤、接触型忌避剤及び天敵昆虫類等の製品群の開発に注力しております。微生物殺菌剤は2012年から国内販売を開始しており、また、2015年以降、接触型忌避剤、3種の天敵昆虫類の国内登録を取得し、2016年末から順次上市の予定です。近未来の植物防疫の姿を見据え、これらと当社の安全性の高い化学農薬群を組み合わせた当社独自のIPMプログラムの確立とともに、従来の化学農薬コンセプト・分野とは異なる場面でも、当社全製品の普及拡大を目指していきます。

農薬事業を取り巻く環境が激しく変化する昨今、自社創生・開発に加えて、他社開発剤の導入や他社との共同開発にも取り組んでおります。水稲除草剤に関しては、2010年以降、海外企業から導入したヒエ防除剤をベースとした一発剤、中・後期剤を開発し、国内で上市しております。また、2015年には、海外企業が発明した新規の非選択性除草剤を全世界で共同で開発する契約を締結しました。今後、この剤の販売供給でも同企業との協力関係を構築する等、新たなビジネススタイルの実現を目指しております。

また、近年、長年にわたる農薬、医薬創製の研究・開発で培った技術とシードを活かし、動物薬の本格開発に取り組んでおります。その一つである新規作用機序を有する動物用抗炎症薬は、国内での臨床試験が終了し、2017年度内の上市を予定しております。

ライフサイエンス事業(医薬品・医療機器開発)についても、特色ある商品開発を進めております。酸化チタンの機能性を利用した人工関節固定用骨セメントについては、京都大学医学部と共同で開発を進めてきましたが、2016年3月に製造販売承認申請を行いました。2016年度中に医療機器としての承認を取得し、保険適用後の上市を予定しております。

バイオ研究者向けの研究用試薬「ゲノムワン」(遺伝子機能解析用HVJ-Eベクターキット並びに関連製品)については、国内販売だけでなく、欧米を中心にグローバルな販売を行っており、利用者の要請にも対応して、より高い機能開発に取り組んでおります。なお、HVJ-Eについては、新規バイオ抗がん剤としての開発も目指しており、大阪大学医学部附属病院と連携して、前立腺がん、悪性黒色腫(メラノーマ)及び悪性胸膜中皮腫の3がん種を対象とした第Ⅰ相臨床試験を進めております。この内、前立腺がん治療薬の開発については、2014年2月に科学技術振興機構(JST)の産学共同実用化開発事業の課題に採択されております。

また、長く蓄積してきた遺伝子技術を駆使し、青色花卉の作出研究や商品化を目指した取り組みも進めております。

当事業における研究開発費は、7,334百万円となりました。

 

なお、当連結会計年度におけるセグメントに帰属しない全社共通の研究開発費の金額は6百万円となりました。

 

 

7 【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。

(1) 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりであります。

なお、連結決算日における資産及び負債の連結貸借対照表上の金額及び連結会計年度における収益及び費用の連結損益計算書の金額の算定には、将来に関する判断、見積りを行う必要があり、当社グループは過去の実績や状況等を勘案し、合理的に判断しておりますが、今後の環境、条件等の変動により、当社グループの連結財務諸表に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 当連結会計年度の経営成績の分析

「1 業績等の概要 (1) 業績」をご参照ください。

 

(3) 資本の財源及び資金の流動性についての分析

① 資産・負債・純資産の状況

当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末比46億円減少の1,630億円となりました。固定資産売却等により有形固定資産が57億円減少した他、受取手形及び売掛金が38億円、繰延税金資産が19億円それぞれ減少した一方、現金及び預金が79億円増加しました。

負債は、フェロシルト全量の最終処分の完了によりフェロシルト回収損失引当金が24億円、社債や長短借入金が110億円それぞれ減少するなど、前連結会計年度末比127億円減少の1,041億円となりました。

純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により91億円増加しましたが、為替換算調整勘定が3億円、退職給付に係る調整累計額が3億円それぞれ減少するなどで、前連結会計年度末比81億円増加の589億円となりました。

 

② キャッシュ・フロー

「1 業績等の概要 (2) キャッシュ・フロー」をご参照ください。

 

③ 財務政策

当社グループは、フェロシルト問題発生に伴い急増した有利子負債を、できるだけ早期に適正水準まで削減することを財務上の重要な課題としておりますが、研究開発投資が高水準で推移する中、短期的に必要な資金需要には適切に対応しつつ、中期的にこの課題に取り組んでいきたいと考えております。

当連結会計年度は、過去2年間抑制してきた主力工場における維持更新投資を厚めとしたこと、新規農薬開発費用は漸くピークを越えたとはいえ、バイオ抗がん剤や動物薬の開発を含めた研究開発投資は引き続き高水準となったことなど、資金需要は旺盛でしたが、海外連結子会社の事業用土地借地権並びに本社ビルの譲渡による収入などを原資として、当社重要課題である借入金の圧縮に努めました結果、当社グループの有利子負債残高は676億円(前年同期比110億円減)となりました。