第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営方針

 当社は、法律を遵守し健全で透明な企業経営を行うことを基本に、「化学」を通じ優れた製品を提供することにより社会の発展に貢献するとともに、株主・投資家、取引先、従業員及び地域社会などのステークホルダーの皆様からの期待と信頼に応え、また、環境に配慮した事業活動を行うことを経営理念としております。

 この経営理念のもと、当社は独自の特色ある技術の活用により高付加価値製品の開発を進め、グローバルな視野で化学を中心に事業を展開する技術指向型の企業グループを目指しております。

 

(2) 経営環境

 新型コロナウイルス感染症による経済への影響の長期化や、地政学リスクの高まり、及び原材料価格やエネルギーコストのさらなる上昇懸念など先行き不透明な状況が続くものと予想されます。当社グループとしては、感染拡大防止や従業員の安全確保を最優先に対応策を決定し実施するとともに、資金力を維持し、原材料の安定的な調達に努めることで、安定経営と事業継続を維持してまいります。

 

(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当社グループでは、長期経営ビジョン(2021年3月期~2030年3月期)及び中期経営計画(2021年3月期~2023年3月期)の基本戦略である「高効率な事業構造への変革」に向けて、高付加価値事業の拡大と不採算事業の整理を加速するとともに徹底した経営の効率化を推し進め、事業環境の変化に強く安定した収益を生み出す事業ポートフォリオへ変革するべく、諸施策を全力で実行に移してまいります。

 長期経営ビジョン及び中期経営計画につきましては、2020年5月19日に開示しております『日本曹達グループ長期ビジョン「かがくで、かがやく。2030」、中期経営計画2020-2022「かがくで、かがやく。Stage I」』をご参照ください。

 

(4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 中期経営計画(2021年3月期~2023年3月期)においては、資産効率の向上と積極的な資本政策の推進、並びに高付加価値事業の拡大と不採算事業の整理を基本目標に掲げており、2023年3月期の数値目標は、当期純利益70億円、ROE5%としております。

 

2【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。

 

1.市場に関するリスク

(1)当社グループの事業の中には景気変動の影響を受ける製品・サービスがあるため、経済環境の変化により市況が大きく変動した場合、当社グループの業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

(2)農業化学品事業においては需要に季節性があるため、第4四半期会計期間に収益が増加する傾向があります。また、天候に左右されやすい傾向があるため、天候の変動により当社グループの業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

(3)当社グループは、化学品事業・農業化学品事業を中心にグローバルな事業展開を行っており、両事業における海外売上比率は約55%となっております。各国・各地域における予期せぬ現地法規制の変更や、大規模な伝染病の流行、戦争・暴動・テロなどの地政学リスクや偶発的要因、国家や地域間の対立による貿易戦争などにより、当社グループの業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。そのため、当社ではグローバル拠点として現地法人を設置し、各国・各地域におけるリスク情報収集並びにビジネス動向の分析を行っています。

2.為替変動リスク

(1)当社グループはグローバルな事業展開を行っており、為替の変動は外国通貨建ての売上高や原材料の調達コストに影響を及ぼします。このため、為替予約などにより経営成績への影響の軽減を図っております。

(2)海外の連結子会社や持分法適用会社は連結財務諸表上の円換算額が為替相場に左右されるため、急激な為替の変動が当社グループの業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

3.原材料調達に関するリスク

 当社グループの製品で使用する原材料が確保できない場合、あるいは原材料価格が急激に変動した場合は、当社グループの業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。このため、原材料の安定的な調達に努めるとともに、原材料価格の上昇に対しては、原価の低減や販売価格への適正な転嫁などの施策を行うことにより経営成績への影響の軽減を図っております。

4.法的規制に関するリスク

 当社グループは事業を営む国内外の法令を遵守した事業活動を行っておりますが、環境問題に関する世界的な意識の高まりなどから、化学製品に対する規制は強化される傾向にあります。従って、将来において環境に関する規制が予想を超えて厳しくなり、新たに多額の投資が必要となった場合、当社の業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

5.研究開発に関するリスク

 当社グループは新製品の開発に多くの経営資源を投入しておりますが、特に農業化学品事業における研究開発では、有効性や安全性の確認のための開発期間が長期にわたり、先行投資となる研究開発費・委託試験費が多額になるため、研究テーマが実用化されなかった場合、当社グループの業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

6.製品の品質保証に関するリスク

 当社グループは化学品製造業として品質管理のレスポンシブル・ケア活動(自主的なリスク低減活動)に取り組み、特に「ISO9001」による管理改善に努めております。また、新製品の販売や品質改善時には、「ISO9001」に準じて事前に製造物責任(PL)のリスク評価を確実に実施することでPL問題の未然防止を図っております。しかしながら、すべての製品について欠陥がなくPL問題が発生しないという保証はありません。このため、PL保険に加入し万一の事故に備えておりますが、品質面での予期せぬ重大な欠陥が発生した場合、当社グループの業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

7.事故・災害に関するリスク

 当社グループは化学品製造業として製造に係るリスクを強く認識し、品質、環境保全、労働安全衛生、保安防災、物流安全、化学品・製品安全等についてレスポンシブル・ケア活動に取り組み、生産設備や化学製品の保管貯蔵施設での事故の未然防止に努めております。しかしながら、不測の事故あるいは大規模な自然災害等の発生により、製造設備で人的・物的被害が生じた場合、あるいは工場周辺地域に被害が生じた場合、当社グループの社会的信用の低下や、事故災害への対策費用や生産活動停止による機会損失により、当社グループの業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

8.減損会計適用に関するリスク

 当社グループの事業資産の価値が大幅に下落した場合、あるいは収益性の低下などにより投資額の回収が見込めなくなった場合、減損処理を行うことにより当社グループの業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

9.退職給付債務に関するリスク

 当社グループの従業員退職給付費用及び債務は、年金資産の運用収益率や割引率などの数理計算上の前提に基づいて算出されているため、市場環境の急変などにより実際の結果が前提条件と大幅に異なる場合、当社グループの業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

10.知的財産の侵害リスク

 当社グループは保有する知的財産権を厳正に管理しておりますが、特定の国においては完全に保護されず、第三者による侵害を完全には防止できない可能性があり、その場合当社グループの業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

11.情報セキュリティに関するリスク

 当社グループは事業に関する機密情報などを有しております。情報管理体制には万全を期しておりますが、予期せぬ事態によりこれらの情報が社外に流失した場合、事業活動の停滞や信用の低下により、当社グループに重要な影響を及ぼす可能性があります。このため、当社グループでは情報管理に関する社内規定を制定し、従業員には教育によって管理意識や取り扱いルールの浸透を図るとともに、機密情報などを共有するステークホルダーとは秘密保持契約を締結し、情報管理体制の強化に努めております。

12.新型コロナウイルス感染症に関するリスク

 当社グループの事業の中には景気変動の影響を受ける製品・サービスがあるため、新型コロナウイルス感染症による経済環境の変化により市況が大きく変動した場合、また当社グループの従業員への感染拡大により事業活動が停滞した場合、当社グループの業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、市況の動向を的確に把握・分析するとともに、従業員の安全確保を最優先に、テレワークの導入や感染防止対策の実施を徹底することで、事業活動を継続してまいります。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。

 なお、当連結会計年度より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適

用しており、詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」に記載のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の世界的流行に伴い停滞している経済活動の持ち直しの動きが見られたものの、世界的な海上輸送の混乱や原燃料価格の上昇、及び地政学リスクの高まりなどにより、先行き不透明な状況が続きました。

 このような状況のもと、当社グループにおきましては、長期経営ビジョン(2021年3月期〜2030年3月期)及び中期経営計画(2021年3月期~2023年3月期)を推進し、企業価値の向上に向けた諸施策に全力で取り組みました。

 この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

 

a.財政状態

 当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ176億1千万円増加し、2,455億8千5百万円となりました。

 負債につきましては、前連結会計年度末に比べ85億1千5百万円増加し、872億8千7百万円となりました。

 また、純資産は前連結会計年度末に比べ90億9千4百万円増加し、1,582億9千8百万円となりました。

b.経営成績

 当連結会計年度の経営成績は、売上高1,525億3千6百万円(前年度比9.5%増)、営業利益119億3千万円(前年度比19.5%増)、経常利益165億1千2百万円(前年度比29.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益126億8千3百万円(前年度比72.3%増)となりました。

 セグメントの経営成績は次のとおりです。

 化学品事業は、売上高438億8千7百万円(前年度比16.8%増)、営業利益24億7千3百万円(前年度比43.6%増)となりました。

 農業化学品事業は、売上高505億6千1百万円(前年度比4.9%増)、営業利益55億1千3百万円(前年度比14.0%増)となりました。

 商社事業は、売上高356億8千4百万円(前年度比10.4%増)、営業利益11億7千1百万円(前年度比60.4%増)となりました。

 運輸倉庫事業は、売上高44億6千1百万円(前年度比5.6%増)、営業利益6億8千5百万円(前年度比14.3%増)となりました。

 建設事業は、売上高82億1千6百万円(前年度比3.4%減)、営業利益11億4千3百万円(前年度比3.7%増)となりました。

 その他は、売上高97億2千4百万円(前年度比13.9%増)、営業利益10億6千3百万円(前年度比36.1%増)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における現金及び現金同等物は13億5千5百万円減少し、178億9千8百万円となりました。その主な内訳は、税金等調整前当期純利益174億5千5百万円(非キャッシュ項目である持分法による投資利益30億6千3百万を含む)に加え、減価償却費85億7千7百万円などがあった一方、有形固定資産の取得による支出113億5千7百万円、売上債権の増加68億2百万円、配当金の支払額35億4百万円、法人税等の支払額30億1千2百万円があったことなどによるものです。

 

 ③生産、受注及び販売の実績

 a.生産実績

 当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

化学品事業(百万円)

46,044

110.3

農業化学品事業(百万円)

27,529

113.4

報告セグメント計(百万円)

73,574

111.4

その他(百万円)

10,476

113.3

合計(百万円)

84,051

111.7

(注)金額は平均売上実績単価により算出しており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。

 

 b.製品・商品仕入実績

 当連結会計年度の製品・商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

化学品事業(百万円)

5,526

103.8

農業化学品事業(百万円)

6,591

86.0

商社事業(百万円)

22,354

124.8

報告セグメント計(百万円)

34,472

111.6

その他(百万円)

1,912

131.8

合計(百万円)

36,384

112.5

(注)セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

 c.受注実績

 当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

建設事業

9,359

105.1

9,454

112.7

(注)セグメント間の内部振替後の数値によっております。

 

d.販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

化学品事業(百万円)

43,887

116.8

農業化学品事業(百万円)

50,561

104.9

商社事業(百万円)

35,684

110.4

運輸倉庫事業(百万円)

4,461

105.6

建設事業(百万円)

8,216

96.6

報告セグメント計(百万円)

142,811

109.2

その他(百万円)

9,724

113.9

合計(百万円)

152,536

109.5

(注)セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。

 

①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成にあたっては、当連結会計年度末における資産、負債の報告金額及び収益、費用の報告金額に影響を与える見積り、判断及び仮定を使用することが必要となります。当社グループの経営陣はこの判断及び仮定を過去の経験や状況に応じ合理的と判断される入手可能な情報により継続的に検証し、意思決定を行っております。しかしながら、これらの見積り、判断及び仮定は不確実性を伴うため、実際の結果と異なる場合があります。

 連結財務諸表を作成するにあたり重要となる会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載されているとおりであります。また、当社グループは、特に次の重要な会計方針が、連結財務諸表の作成における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすと考えております。

 

a.固定資産の減損処理

 当社グループは主として独立してキャッシュ・フローを生み出す製品グループとして、工場別営業部門別に資産のグルーピングを行っております。また、一部の連結子会社については独立した事業毎に資産のグルーピングを行っております。収益性の低下等により、投資額の回収が見込めなくなった固定資産については、帳簿価額を回収可能価額まで減額しております。回収可能価額は正味売却価額と使用価値のいずれか高い方の金額となりますが、正味売却価額につきましては不動産鑑定評価額等を基礎として合理的に算定された価格とし、使用価値につきましては将来キャッシュ・フローに基づき算定しております。

 なお、当連結会計年度において減損損失1億4千8百万円を計上しております。詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結損益計算書関係) ※7 減損損失」に記載のとおりです。当該減損損失の回収可能価額は使用価値により算定しておりますが、将来キャッシュ・フローが見込まれないため零として算定しております。

 

b.退職給付費用及び債務

 当社グループ従業員の退職給付費用及び債務は、簡便法を採用している一部の連結子会社を除き、割引率・将来の昇給率・退職率・死亡率及び年金資産の収益率等の前提条件を決定の上、数理計算結果に基づき算定しております。退職給付債務等の前提条件のうち、割引率については長期国債の期末における利回りに基づき決定しております。
 なお、実際の結果が前提条件と異なる場合や、将来前提条件が変更された場合には、その影響額は数理計算上の差異として累積され、従業員の平均残存勤務期間以内の一定の年数による定額法により処理する事としております。

 

c.繰延税金資産の回収可能性

 当社グループは繰延税金資産の計上について、将来の課税所得計画を慎重に見積り、回収可能性が高いと考えられる金額へ減額するために評価性引当額を計上しております。
 繰延税金資産の全部または一部を将来回収できないと判断した場合は、当該判断を行った連結会計年度において繰延税金資産を取崩し費用として計上いたします。同様に、現時点で評価性引当額として繰延税金資産を計上していない部分について回収可能と判断した場合は繰延税金資産を計上し、当該判断を行った連結会計年度において利益を増加させる事となります。

 

d.環境対策引当金

 当社グループは環境対策引当金の計上について、土壌汚染対策工事費用、及び、法令等に基づき処理が義務付けられているポリ塩化ビフェニル(PCB)廃棄物の処理費用など、環境対策等に係る支出に備えるため、今後発生すると見込まれる金額を計上しております。

 

 なお、新型コロナウイルス感染症による当社グループへの影響は、収束時期等の見通しが不透明な状況であるものの、現時点においては、会計上の見積りに及ぼす影響は限定的であると考えております。

 

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.経営成績等

(a)財政状態

 当連結会計年度末の総資産は、投資有価証券並びに受取手形、売掛金及び契約資産が増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べ176億1千万円増加し、2,455億8千5百万円となりました。なお、医薬品添加剤「NISSO HPC」の増産設備の稼働を開始したことなどにより建設仮勘定が25億4千1百万円減少し、機械装置及び運搬具が34億7千6百万円増加し、建物及び構築物が26億9千5百万円増加しております。

 負債につきましては、支払手形及び買掛金が増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べ85億1千5百万円増加し、872億8千7百万円となりました。

 また、純資産は前連結会計年度末に比べ90億9千4百万円増加し、1,582億9千8百万円となりました。この結果、当連結会計年度末の自己資本比率は63.5%となりました。

(b)経営成績

 当連結会計年度は、原燃料価格の上昇の影響を受けたものの、化学品事業、商社事業、及び農業化学品事業において販売が増加したことなどにより、売上高は1,525億3千6百万円(前年度比9.5%増)、営業利益は119億3千万円(前年度比19.5%増)となりました。

 経常利益は、持分法による投資利益が増加するとともに、為替レートが前年度よりも円安に推移したことなどにより、165億1千2百万円(前年度比29.6%増)となりました。

 親会社株主に帰属する当期純利益は、当社持分法適用関連会社であったCertis Europe B.V.の経営統合に伴い発生した関係会社株式交換益を特別利益に計上したことや、前年度は構造改革に伴う減損損失を特別損失に計上したことなどにより、126億8千3百万円(前年度比72.3%増)となりました。

(c)キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「 (1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。

 

b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社グループの経営に重要な影響を与える要因には、市場動向、為替動向、原燃料価格の動向並びに新型コロナウイルス感染症による影響などがあります。

 化学品事業におきましては、カセイカリ及び周辺事業の構造改革の実施に伴い、カセイカリや炭酸カリなどの販売減少を見込むものの、医薬品添加剤「NISSO HPC」やKrFフォトレジスト材料「VPポリマー」、及び新規機能性ポリマー「液状1,2-SBS」などの拡販に取り組みます。

 農業化学品事業におきましては、殺菌剤「トップジンM」や殺虫剤「モスピラン」、及び殺ダニ剤「ニッソラン」などの輸出向け販売の増加を見込むとともに、新規自社開発農薬である殺ダニ剤「ダニオーテ」や殺菌剤「ミギワ」のさらなる拡販に取り組みます。

 当社グループでは、長期経営ビジョン(2021年3月期~2030年3月期)及び中期経営計画(2021年3月期~2023年3月期)」の基本戦略である「高効率な事業構造への変革」に向けて、高付加価値事業の拡大と不採算事業の整理を加速するとともに徹底した経営の効率化を推し進め、事業環境の変化に強く安定した収益を生み出す事業ポートフォリオへ変革するべく、諸施策を全力で実行に移してまいります。

 なお、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を及ぼす主要なリスクにつきましては、「2.事業等のリスク」に記載のとおりです。

 

c.資本の財源及び資金の流動性

(a)資金需要

 資金需要の主なものは、設備資金、運転資金、借入金の返済及び利息の支払い並びに配当金及び法人税等の支払いであります。

(b)資金の源泉

 主として営業活動によるキャッシュ・フロー及び自己資金により対応しております。

 なお、運転資金の効率的な調達を行うため取引銀行2行と総額45億円のコミットメントライン契約を締結しております。

 

d.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社は、法律を遵守し健全で透明な企業経営を行うことを基本に、「化学」を通じ優れた製品を提供することにより社会の発展に貢献するとともに、株主・投資家、取引先、従業員及び地域社会などのステークホルダーの皆様からの期待と信頼に応え、また、環境に配慮した事業活動を行うことを経営理念としております。

 この経営理念のもと、当社は独自の特色ある技術の活用により高付加価値製品の開発を進め、グローバルな視野で化学を中心に事業を展開する技術指向型の企業グループを目指しております。

 2020年5月19日に公表いたしました中期経営計画(2021年3月期~2023年3月期)においては、2023年3月期において当期純利益70億円、ROE5%を数値目標としております。

 当連結会計年度におきましては、当期純利益126億8千3百万円、ROE8.4%となりました。引き続き目標達成に向け、企業価値の向上に向けた諸施策を全力で実行に移してまいります。

 

e.セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

[化学品事業]

 新型コロナウイルス感染症の流行に伴い停滞している経済活動の回復により、化成品、工業薬品、及び機能材料の販売が増加しました。また、医薬品添加剤「NISSO HPC」の増産設備の稼働を開始し、販売が伸長しました。

 この結果、当連結会計年度の売上高は438億8千7百万円(前年度比16.8%増)、営業利益は24億7千3百万円(前年度比43.6%増)となりました。

 工業薬品は、カセイカリが減少したものの、原材料価格の高騰に伴い塩化燐の販売価格が上昇したことや、カセイソーダが増加したことなどにより、増収となりました。

 化成品は、感熱紙用顕色剤や特殊イソシアネートが伸長したことにより、増収となりました。

 機能材料は、KrFフォトレジスト材料「VPポリマー」や樹脂添加剤「NISSO-PB」が増加したことにより、増収となりました。

 エコケア製品は、前年並みとなりました。

 医薬品・工業用殺菌剤は、医薬品添加剤「NISSO HPC」や医薬品原体が伸長したことにより、増収となりました。

 

[農業化学品事業]

 除草剤や殺菌剤の輸出向けが減少したものの、殺虫剤・殺ダニ剤の輸出向けが増加しました。また、新規自社開発農薬の販売が収益に寄与しました。

 この結果、当連結会計年度の売上高は505億6千1百万円(前年度比4.9%増)、営業利益は55億1千3百万円(前年度比14.0%増)となりました。

 殺菌剤は、「ピシロック」の輸出向けが増加したものの、「パンチョ」や「トップジンM」の輸出向けの減少などにより、減収となりました。

 殺虫剤・殺ダニ剤は、新規殺ダニ剤「ダニオーテ」の販売を開始したことや、殺虫剤「モスピラン」や殺ダニ剤「ニッソラン」の輸出向けが増加したことにより、増収となりました。

 除草剤は、「ナブ」の輸出向けや中間体が減少したことにより、減収となりました。

 

[商社事業]

 各種有機・無機薬品や非鉄金属、及びウレタン原料などの増加により、当連結会計年度の売上高は356億8千4百万円(前年度比10.4%増)、営業利益は11億7千1百万円(前年度比60.4%増)となりました。

 

[運輸倉庫事業]

 運送業や倉庫業が堅調に推移したことにより、当連結会計年度の売上高は44億6千1百万円(前年度5.6%増)、営業利益は6億8千5百万円(前年度比14.3%増)となりました。

 

[建設事業]

 プラント建設工事が堅調に推移したことにより、当連結会計年度の売上高は82億1千6百万円(前年度比3.4%減)、営業利益は11億4千3百万円(前年度比3.7%増)となりました。

 

[その他]

 当連結会計年度の売上高は97億2千4百万円(前年度比13.9%増)、営業利益は10億6千3百万円(前年度比36.1%増)となりました。

 

(3) 次期の見通し

 今後の見通しにつきましては、新型コロナウイルス感染症による経済への影響の長期化や、地政学リスクの高まり、及び原材料価格やエネルギーコストのさらなる上昇懸念など先行き不透明な状況が続くものと予想されます。

 このような経営環境の中ではありますが、当社グループといたしましては、長期経営ビジョン(2021年3月期〜2030年3月期)及び中期経営計画(2021年3月期~2023年3月期)の達成に向け、企業価値の向上に向けた諸施策を全力で実行に移してまいります。

 化学品事業におきましては、カセイカリ及び周辺事業の構造改革の実施に伴い、カセイカリや炭酸カリなどの販売減少を見込むものの、医薬品添加剤「NISSO HPC」やKrFフォトレジスト材料「VPポリマー」、及び新規機能性ポリマー「液状1,2-SBS」などの拡販に取り組みます。

 農業化学品事業におきましては、殺菌剤「トップジンM」や殺虫剤「モスピラン」、及び殺ダニ剤「ニッソラン」などの輸出向け販売の増加を見込むとともに、新規自社開発農薬である殺ダニ剤「ダニオーテ」や殺菌剤「ミギワ」のさらなる拡販に取り組みます。

 なお、当連結会計年度におきまして、当社持分法適用関連会社であったCertis Europe B.V.の経営統合に伴う関係会社株式交換益を一過性の特別利益として計上しております。

 次期連結会計年度の業績予想につきましては、売上高1,620億円、営業利益123億円、経常利益165億円、親会社株主に帰属する当期純利益110億円を予測しております。

 また、為替レートは1ドル=120円、1ユーロ=130円を想定しております。

 

4【経営上の重要な契約等】

 当連結会計年度において、新たに締結した経営上の重要な契約等はありません。

 

5【研究開発活動】

 当社グループは、「特徴ある独自技術に基づく高付加価値製品の開発」を進めるために、「知の融合」「技の融合」「グローバル」をキーワードに、化学品事業として機能性材料と精密合成技術を活用した各種化学品、および農業化学品事業として新規農薬開発を目指した研究開発に取り組んでおります。また、予想される事業環境の変化に備え、現有製品の更なる強化・拡大を図り、既存事業周辺、重点指向分野での新製品の開発を強力に推進すると共に、関連会社との技術連携を通したグループ全体の技術力強化、新しい技術分野への参入や自社保有技術の積極的活用による新規事業の創生を目指しております。

 当連結会計年度における各セグメント別の研究開発の状況は次のとおりであります。

 なお、研究開発費の総額は5,844百万円(連結売上高比3.8%)であり、グループ全体で341名(総従業員比12.2%)体制であります。

 

[化学品事業]

 機能性材料分野では、精密重合技術による新規ポリマー材料、有機EL材料等の分野で技術的特徴を活かした開発を推進しております。2022年1月には新規機能性ポリマーとして精密重合技術を活かし、「液状1,2-SBS(スチレンブタジエンスチレン)」を上市いたしました。電子材料用途をはじめ、合成ゴム用途、粘接着剤用途へ販売してまいります。

 また、当社の特徴ある既存製品であるセルロース誘導体、液状ポリブタジエン製品、感熱紙用顕色剤、エコケア・光触媒及びバイオサイドなど環境化学関連製品、有機金属関連製品等についても競争力強化を行いながら、新規分野への積極進出を図っております。

 精密合成分野では、ホスゲン、青酸、金属ソーダ等の当社特有の原料を利用した重要中間体の開発及び新規製造技術開発による新製品の創出を目指しております。

 なお、[化学品事業]における研究開発費は1,269百万円であります。

 

[農業化学品事業]

 「食の安心•安全」にますます関心がもたれるなか、低薬量で活性を示し、低残留性の農園芸用農薬を中心とした研究に取り組んでおります。

 べと病やピシウム病に卓効を示す殺菌剤「ピシロック」につきましては、欧米をはじめとした海外開発を積極的に推進しております。用途には瓜類や葉菜類の茎葉散布と、とうもろこし等の種子処理が含まれます。また、新規の作用性を有する殺ダニ剤「ダニオーテ」につきましては、2020年10月に国内で上市し、好評を得ております。広範囲の病害に有効な殺菌剤「ミギワ」は2021年2月に国内上市に至りました。海外開発も順調に推移しており、2022年3月に米国で登録を取得しました。他の国々でも各種登録用試験をグローバルに実施中です。さらに、これらに続く有望化合物についてもフェーズアップに向け鋭意研究中です。

 化学農薬以外では、生物農薬として、「アグロケア」および「マスタピース」の販売が順調であり、今後も微生物の多様な能力を活かした生物農薬製品群の充実に力を入れます。

 なお、[農業化学品事業]における研究開発費は4,574百万円であります。

 

[その他]

 環境開発事業では、各種難処理産業廃棄物の資源リサイクルプロセスの改善研究に取り組んでおります。

 なお、[その他]における研究開発費は0百万円であります。