当期のわが国経済は、政府や日銀の経済・金融政策の効果により、景気は回復傾向にありましたが、年明け以降、世界経済の減速圧力の高まりを受け、金融市場は株安・円高基調に転じたこと等により、企業景況感の悪化や消費者マインドに下振れ懸念が広がる等、景気回復ペースは鈍化いたしました。
このような情勢下、当社グループの連結業績は、塩化ビニルモノマーの生産能力増強を背景とした塩化ビニル樹脂の販売数量増等があったものの、原油・ナフサ価格等の下落に伴う国内外の石油化学製品の価格下落により、売上高は7,537億36百万円と前連結会計年度に比べ559億47百万円(6.9%)の減収となりました。営業利益につきましては、販売数量の増加や原燃料安等を背景とした交易条件の改善等により、694億44百万円と前連結会計年度に比べ180億47百万円(35.1%)の増益となりました。経常利益については、658億14百万円と前連結会計年度に比べ56億16百万円(9.3%)の増益になりました。親会社株主に帰属する当期純利益については、前連結会計年度において日本ポリウレタン工業株式会社との合併に伴い、同社から引き継いだ繰越欠損金他に対する繰延税金資産の計上があったことから、396億75百万円と前連結会計年度に比べ226億22百万円(36.3%)の減益となりました。
セグメント別の業績は、次のとおりであります。
石 油 化 学 事 業
オレフィン製品については、キュメンの誘導品需要増を受け出荷が増加いたしました。しかしながら、原料価格等の下落を反映して国内製品価格は下落し、キュメンの海外市況は軟化いたしました。
ポリエチレン樹脂は、円安及び原料価格の下落に伴う交易条件の改善により輸出が増加しましたが、ナフサ価格の下落を反映して国内製品価格は下落いたしました。クロロプレンゴム及びクロロスルホン化ポリエチレンは、円安に伴い輸出価格が改善いたしました。
この結果、売上高は前連結会計年度に比べ483億9百万円(21.6%)減少し1,754億36百万円となりましたが、営業利益は販売数量の増加等により、前連結会計年度に比べ46億88百万円(67.7%)増加し116億8百万円となりました。
ク ロ ル ・ ア ル カ リ 事 業
苛性ソーダは電解製造設備の稼働率の上昇に伴い出荷は増加いたしました。また、国内製品価格については緩やかに下落しましたが、円安に伴い輸出価格は改善いたしました。塩化ビニルモノマー及び塩化ビニル樹脂は、一昨年の秋に実施した塩化ビニルモノマーの生産能力増強が寄与し出荷は増加しましたが、ナフサ価格等の下落を反映して製品価格は下落いたしました。
セメントは、需要減退の影響により国内出荷は減少しましたが、輸出は増加いたしました。
ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)は、中国経済の減速等により出荷は減少し、海外市況は軟化いたしました。
この結果、売上高は前連結会計年度に比べ144億84百万円(4.9%)減少し2,798億49百万円となりましたが、営業利益は販売数量の増加等により、前連結会計年度に比べ96億66百万円(116.2%)増加し179億87百万円となりました。
機 能 商 品 事 業
エチレンアミンは、競合他社の生産能力拡大による需給バランス悪化の影響を受け出荷は減少しましたが、円安に伴い輸出価格は改善いたしました。
計測関連商品は、液体クロマトグラフィー用充填剤の出荷が増加いたしました。診断関連商品は、体外診断用医薬品の出荷が増加いたしました。
ハイシリカゼオライトは、一昨年秋に実施した生産能力増強が寄与し出荷は増加いたしました。ジルコニアは、歯科材料用途の出荷が増加いたしました。
この結果、売上高は前連結会計年度に比べ3億23百万円(0.2%)減少し1,745億31百万円となりましたが、営業利益は交易条件の改善等により、前連結会計年度に比べ27億19百万円(9.1%)増加し327億円となりました。
エ ン ジ ニ ア リ ン グ 事 業
水処理事業においては、国内では電子産業分野を中心に産業全般でのプラント建設やメンテナンス、改造工事の伸長等により売上高は増加いたしました。海外では電子産業分野でのプラントの増加等により売上高は増加いたしました。
建設子会社の売上高は減少いたしました。
この結果、売上高は前連結会計年度に比べ84億38百万円(11.1%)増加し841億84百万円となり、営業利益は前連結会計年度に比べ12億46百万円(37.4%)増加し45億76百万円となりました。
そ の 他 事 業
物流子会社の売上高は堅調に推移しましたが、商社の売上高は減少いたしました。
この結果、売上高は前連結会計年度に比べ12億68百万円(3.1%)減少し397億34百万円となり、営業利益は前連結会計年度に比べ2億73百万円(9.6%)減少し25億70百万円となりました。
現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ191億28百万円増加し、748億69百万円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、998億84百万円の収入となりました。売上債権の減少等により、前連結会計年度に比べ457億77百万円収入が増加いたしました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、279億16百万円の支出となりました。設備投資による支出額の減少等により、前連結会計年度に比べ61億97百万円支出が減少いたしました。
この結果、フリー・キャッシュ・フローは前連結会計年度に比べ519億75百万円収入が増加し、719億67百万円の収入となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、508億26百万円の支出となりました。株式の発行による収入がありましたが、借入金の返済額の増加等により、前連結会計年度に比べ301億8百万円支出が増加いたしました。
(単位:百万円)
セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 平成27年4月1日 至 平成28年3月31日) | 前年同期比(%) |
石油化学事業 | 185,415 | 78.9 |
クロル・アルカリ事業 | 279,219 | 93.0 |
機能商品事業 | 153,235 | 101.8 |
エンジニアリング事業 | 61,651 | 122.3 |
その他事業 | ― | ― |
合計 | 679,521 | 92.3 |
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 原則として、生産金額は、生産総量から自家使用量を差引いた販売向け生産量に、当連結会計年度中の平均販売単価を乗じて算出しております。
3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
主として見込み生産であります。
(単位:百万円)
セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 平成27年4月1日 至 平成28年3月31日) | 前年同期比(%) |
石油化学事業 | 175,436 | 78.4 |
クロル・アルカリ事業 | 279,849 | 95.1 |
機能商品事業 | 174,531 | 99.8 |
エンジニアリング事業 | 84,184 | 111.1 |
その他事業 | 39,734 | 96.9 |
合計 | 753,736 | 93.1 |
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
〔目標とする指標〕
当社グループは、連結営業利益と営業利益率及びROE(自己資本利益率)を、目標とする経営指標と位置付けております。
<当社グループの業績目標>
| 平成28年3月期 | 平成31年3月期 |
売上高 | 7,537億円 | 7,500億円 |
営業利益 | 694億円 | 850億円 |
営業利益率 | 9.2% | 10%以上 |
ROE(自己資本利益率) | 12.6% | 10%以上 |
〔平成28~30年度中期経営計画について〕
当社グループは、持続的な成長の実現に向け、平成28年度を初年度とする3ヵ年の中期経営計画を策定しました。中期経営計画では、「ハイブリッド経営の深化」、「財務基盤の維持及び強化」、「安全改革の推進」を経営の基本方針に据え、M&Aを含めた成長投資や研究開発を通して、より戦略的かつ効率的なグループ経営を展開してまいります。
〔対処すべき課題〕
中期経営計画における目標の実現に向け、当社グループの対処すべき課題は次のとおりであります。
(石油化学事業)
オレフィン分野では、ナフサクラッカーの競争力強化に向け、事業環境に柔軟に対応した生産・販売体制並びに原料コストに適正なスプレッドを乗せた製品価格体系の構築を図ってまいります。また、外部購入するエチレン及びベンゼンについては、安定量の確保に万全を尽くすとともに、より競争力のある価格条件で調達できるように努めてまいります。
ポリエチレン分野では、コスト競争力の高い北米シェールガスや中国で進行する石炭化学由来のポリエチレン設備新増設により、世界的な需給緩和が懸念されるため、汎用品と競合しない差別化戦略の推進を図りながら、付加価値の拡大に取り組んでまいります。また、機能性ポリマー分野においては、コスト削減、得意分野における更なる技術力の強化、高付加価値化、差別化及び新規ポリマーの開発により収益力の強化に努めてまいります。また、クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)については、第2製造設備新設の検討を進めてまいります。
(クロル・アルカリ事業)
強力なインフラをベースとした苛性ソーダ、塩化ビニルモノマー、塩化ビニル樹脂、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)からなるビニル・イソシアネート・チェーン事業において、海外事業会社を含めた更なる最適化・効率化を推進することによって、コスト競争力を高め収益力の強化に努めてまいります。
化学品分野では、持分法適用関連会社であったフィリピンのソーダ工業製品の製造・販売会社であるマブハイ・ビニルCo. の株式を追加取得し、子会社化いたしました。これにより、当社との一体的運営体制の強化を図りながら、より積極的な事業展開を推進してまいります。また、南陽事業所の発電用ボイラをリプレースすることにより、発電インフラの強化を図ってまいります。(平成30年12月完工予定) また、これにより余剰となる電力については、他事業所及びグループ会社への電力託送等の検討を進めてまいります。更に、フィリピンの塩化ビニル樹脂の製造・販売会社であるフィリピン・レジンズ・インダストリーズ,Inc.社での生産能力増強の検討も進めてまいります。
ウレタン分野では、MDIにおいて、汎用品から特殊品へ、単品販売からシステム販売へのシフトを加速することにより、高付加価値化の促進を図ってまいります。また、MDIの販売については、今後安定的に需要の成長が期待できる東南アジア、インド及び北米地域での販売体制の強化を図りながら、中国依存度を低減することにより、収益性の安定化を目指してまいります。
(機能商品事業)
バイオサイエンス・有機化成品・高機能材料分野において、それぞれの分野で主導的地位を保持する商品群の規模の拡大、並びに新たな製品の創出を加速し、安定した収益力の向上に努めてまいります。
バイオサイエンス分野では、酵素免疫測定試薬製造設備の生産能力を増強(平成28年10月完工予定)いたします。これにより、全自動化学発光酵素免疫測定装置に対応した専用試薬の生産拡大に取り組んでまいります。また、バイオサイエンス分野の強化・拡大の一環として、インドの体外診断薬製造販売会社であり、販売代理店であるライラック・メディケアPvt.Ltd.社(現・トーソー・インディアPvt.Ltd.社)を買収いたしました。更に、R&DやM&Aを積極的に推進し、新技術・新製品の獲得等により事業領域の拡大を図ってまいります。
有機化成品分野では、エチレンアミンプラントにおいて、ローアミンの発生をゼロに制御できる技術を確立いたしました。これにより、ハイアミン生産比率の向上を図りながら、エチレンアミンの利益極大化を目指してまいります。また、臭素事業の更なる基盤強化を図るために、臭素製造設備の効率化投資(平成29年春完工予定)を実施いたします。
高機能材料分野では、ハイシリカゼオライトのアジア市場の需要拡大及び製品の安定供給を目的とした事業継続計画(BCP)の観点から、同製品の海外生産拠点をマレーシアに建設中(平成28年11月完工予定)であります。更に、次期能力増強についても検討を進めてまいります。また、ファイン・セラミックスの一種であり、歯科材料や装飾品用途等で需要が拡大しているジルコニア粉末製造設備の生産能力を南陽事業所で増強(平成27年11月完工)し、更には四日市事業所での増強(平成28年10月完工予定)も進めております。また、次期能力増強についても検討を進めてまいります。
(エンジニアリング事業)
オルガノグループにおいて、排水・薬品・海外の3つの事業へ注力し、事業ポートフォリオの転換を加速するとともに、ソリューションビジネスの拡大を図り、安定した収益基盤を構築することを目指してまいります。また、建設分野においては、技術やサービスの向上に努め、満足度の高いサービスの実現に向け取り組んでまいります。
(財務基盤強化)
具体的な目標としては、自己資本比率50%以上を目標とし、有利子負債の圧縮に努めてまいります。
(安全改革の推進)
2012年から取り組んでいる安全改革活動を継続的に実施し、安全文化の醸成に努めてまいります。具体的には、熟練運転員のKnow-How、技能の「標準化」「システム化」による安全・安定運転技術の確立、トラブル・異常現象撲滅のための継続的な資金投入を含めた設備管理体制の強化及び化学プラント実習設備での実践教育やKnow-Why教育拡充によるトラブル対応力の養成を通して教育・訓練の充実を図ること等により、安全改革活動を推進してまいります。
当社グループは、このような課題に真摯に取り組むとともに、着実な成果の実現に向け邁進してまいります。また、当社グループが、ステークホルダーの皆様から信頼される会社を目指すとともに、環境・安全・健康基本理念に則り、今後も引き続き循環型社会の一員として、環境・安全に配慮し、社会に貢献できる企業としての活動も続けてまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性がある事項には、以下のようなものがあります。
ただし、これら事業等のリスクは、当連結会計年度末現在において判断したものであり、全てを網羅したものではありません。
(1) 製品・原燃料の国際市況の変動
当社グループでは、石油化学事業・クロル・アルカリ事業を中心に、原油、ナフサ、石油化学製品等の市況・課税負担の変動が当社グループの経営成績及び財政状態に重大な影響を与える可能性があります。
(2) 在庫評価の影響
当社グループは、たな卸資産の評価方法及び評価基準について、主として総平均法による原価法を採用しております。そのため、ナフサや重油等の原燃料価格が在庫単価に比べて下落する局面においては、期初の相対的に高価な在庫の影響により売上原価が押上げられるなど、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。また、収益性の低下に基づく簿価切下げを行った場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(3) 国内外の経済情勢・需要変動
国内外の顧客や市場の動向、経済情勢、競合他社の事業展開といった外部環境が、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(4) 企業買収・資本提携及び事業再編
当社グループは、事業の拡大・効率化や競争力強化を目的として国内外における企業買収、資本提携を実施しております。当社グループ及び出資先企業を取り巻く事業環境の変化により、活動が円滑に進まない、あるいは当初期待した効果が得られないなどの場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
また、不採算事業からの撤退や関係会社の整理等の事業再編を行った場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(5) 為替レートの変動
当社グループは、国内で製造した製品の一部を海外へ輸出しており、原燃材料の大半は海外から輸入しております。大幅な為替レートの変動は、外貨建取引、外貨建資産・負債、更には海外グループ会社の財務諸表の円換算額にも影響を及ぼすこととなり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(6) 海外での事業活動
当社グループは、製品の輸出及び海外における現地生産等、幅広く海外での事業活動を行っております。しかしながら、戦争・テロ・その他の要因による社会的又は政治的混乱、社会インフラの未整備、人材の採用・確保の困難といったリスクが存在しており、このようなリスクが顕在化し海外での事業活動に支障が生じた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(7) 原材料の調達
当社グループは、生産活動に必要な原燃材料を国内外から調達しており、原燃材料の調達先の多様化、中長期的契約の締結、あるいはスポット市場からの購入により長期的、安定的な調達に取り組んでおります。しかしながら、供給者における災害・事故等による調達への支障が発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(8) 金利変動
当社グループは、有利子負債の削減や金融収支の改善に努めておりますが、今後金利が上昇した場合には支払利息が増加し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(9) 固定資産の減損
当社グループは、固定資産の減損に係る会計基準を適用しておりますが、今後大幅な事業収益性の悪化や不動産価格の下落等があった場合には減損損失が発生し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(10) 有価証券の評価損
当社グループは、主に取引先との関係維持のために株式を保有しておりますが、株式相場の大幅な下落、又は株式保有先の財政状態の悪化により株式の評価が著しく下落した場合には株式の評価損が発生し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(11) 繰延税金資産の取崩し
当社グループは、税務上の繰越欠損金及び将来減算一時差異に対して、将来の課税所得を合理的に見積り回収可能性を検討した上で繰延税金資産を計上しておりますが、実際の課税所得が見積りと異なり回収可能性の見直しが必要となった場合、又は税率変更を含む税制の改正等があった場合には、繰延税金資産の取崩しが必要となり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(12) 退職給付関係
当社グループの退職給付債務及び退職給付費用は、年金数理計算上使用される各種の基礎率と年金資産の運用利回り等に基づき算出されております。年金資産の時価の変動、金利の変動、退職金・年金制度の変更等に伴う退職給付債務及び退職給付費用の変動が、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(13) 環境関連等法的規制
当社グループは、環境保全と安全及び健康の確保が経営の最重要課題であると認識し、事業活動を行っております。しかしながら、今後環境等に関する国内外の法的規制の強化あるいは社会的責任の要請等により、事業活動の制限、若しくは追加の設備投資や新たな費用が発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
また、今後二酸化炭素等の排出に関連して数量規制や税の賦課が導入された場合には、事業活動が制約を受けることにより、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(14) 品質問題
当社グループは、製品の品質保証体制を確立し、製造物賠償責任保険も付保しております。しかしながら、製品に予期せぬ欠陥が発生した場合には、社会的信用の低下や製品の販売中止等に繋がり、更に訴訟が提起される事態に発展することも想定されます。このような場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(15) 訴訟
当社グループは、コンプライアンス行動指針の制定を行い、国内外の法令遵守に努めております。しかしながら、広範な事業活動を行う中、訴訟、その他の法律的手続きの対象となるリスクがあり、重要な訴訟等の提起を受ける可能性があります。現在及び将来の事件での帰趨を予測することは困難でありますが、裁判等において不利益な決定や判決がなされた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(16) 知的財産
当社グループは、知的財産権の重要性を認識し、国内外において、知的財産の権利化、第三者が保有する知的財産権の侵害防止に取り組んでおります。しかしながら、広範囲に事業を展開する中で、当社グループの知的財産権が侵害される可能性や第三者が保有する知的財産権を侵害する可能性があり、こうした場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(17) 事故・災害
当社グループは、日常的及び定期的な設備の点検・保守、安全関連投資等を実施し、設備事故等の発生の未然防止に努めております。しかしながら、自然災害、不慮の事故の発生の影響で、生産停止に伴う損失、工場周辺地域への被害補償に伴う費用、多額の設備補修費等が発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(18) 技術革新
当社グループは、「技術的に存在感のある企業」を目指し、各事業分野において積極的な研究開発を展開しております。特に機能商品事業においては、技術革新のスピードが著しく、タイムリーに新製品を開発・提供していく必要があると考えております。しかしながら、顧客ニーズに適合して継続的に新製品の開発・提供ができない場合、あるいは他社において画期的な技術革新がなされた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
・ 当社は、太平洋セメント株式会社にセメントの全面的な販売委託をしております。
・ 当社の塩化ビニル樹脂事業に関する合弁契約
平成12年3月31日付で当社、三井化学株式会社及び電気化学工業株式会社(現・デンカ株式会社)は、塩化ビニル樹脂事業を再構築するため、合弁契約を締結しております。
契約締結に伴い、当社の子会社である大洋塩ビ株式会社において、塩化ビニル樹脂の製造・販売・研究を行い、当社主導で運営しております。
急激な国内産業構造の変化及び技術革新が進む中で、当社グループは、基盤事業の強化・拡大と新規事業の創出による体質強化に向けて、当社の8つの研究開発部門及びオルガノ株式会社の開発センターを中心に研究開発活動を実施しております。具体的には、当社のアドバンストマテリアル研究所及びライフサイエンス研究所では機能商品事業分野、ファンクショナルポリマー研究所及び高分子材料研究所では石油化学事業分野、無機材料研究所、有機材料研究所、ウレタン研究所では機能商品事業分野及びクロル・アルカリ事業分野、技術センターでは各製品に関わるプロセス開発を主担当分野とした研究開発を行っており、オルガノ株式会社の開発センターではエンジニアリング事業分野の研究開発を行っております。また、大学あるいは公的研究機関などの外部研究機関との共同研究等を積極的に実施し、研究開発力の強化と技術開発の迅速化に努めております。
当連結会計年度における当社グループ全体での研究開発要員は約890名であり、研究開発費は約137億円であります。
セグメント別の主な研究開発活動の状況を概観すると、次のとおりであります。
石油化学事業
石油化学事業に関しては、既存ポリマー製品の改良や周辺技術の強化と、新規ポリマー材料の開発を主に実施しております。ポリエチレンでは、高機能化による差別化・高付加価値化を目指した研究開発を実施しており、ラミ分野、食品包装分野などにおいて、グレード開発・改良に取り組んでおります。一例として、新たに上市した高清浄・高耐熱グレードによる医療分野を中心とした用途開発に取り組んでおります。また、独自の触媒技術による世界最高水準の高分子量と狭い分子量分布を有する超高分子量ポリエチレン(デカミレン®)を新たに開発し、リチウム二次電池用セパレーター、摺動部材等の幅広い分野での用途開発が進展いたしました。ポリフェニレンサルファイド(PPS)では用途開発が進展し、スマートフォン筐体用途の拡販に貢献いたしました。石油樹脂ではエコタイヤの改質剤として性能向上に貢献しております。クロロプレンゴム(CR)では当社が得意とする伝動ベルト用途に適したグレード開発を進め、高耐久性タイプの顧客評価を進めております。高品位かつ世界最大の生産能力を有するクロロスルホン化ポリエチレン(CSM)については、更なる市場拡大に向けた一層の高機能化を進めております。ペースト塩ビでは、壁紙や床材他の用途に関し、顧客要求に応じたグレード開発に積極的に取り組んでおります。また、液晶用光学材料、フレキシブルディスプレイ用基板材料など、当社独自コンセプトに基づく新規ポリマー材料の開発を積極的に進めております。なお、本事業分野における研究開発費は約19億円であります。
クロル・アルカリ事業
クロル・アルカリ事業に関しては、主としてコア事業であるビニル・イソシアネート・チェーン関連技術の更なる強化へ向けて継続的な製造技術の革新に取り組んでおります。ポリウレタン関連では、原料であるイソシアネートの製造プロセス改良や、ポリウレタンフォーム、エラストマー及びコーティングを始めとするウレタン関連製品の処方開発等に積極的に取り組むと共に、他の技術分野との融合による新素材開発にも注力しております。具体的には、自動車用シートクッション用途での軽量化、高耐久化、環境対応による差別化を図っており、All-MDI系で低密度と耐久性を両立した薄肉化を実現、更に低VOC化技術の確立を進めております。機能性ポリウレタンに関しては、自動車クリアトップコート用低粘度硬化剤、及び合皮用ウレタン樹脂やプラスチック塗装用の耐薬品性塗料用原料の開発を積極的に進めております。また、電解関連技術についても継続的な技術改良(省エネルギー)に取り組んでおります。なお、本事業分野における研究開発費は約26億円であります。
機能商品事業
機能商品事業に関しては、ライフサイエンス、環境・エネルギー、電子材料などに関する研究開発を実施しております。
ライフサイエンス関連のうち、免疫診断事業関連では次世代装置と試薬の開発、遺伝子検査事業関連では感染症診断のための新規製品開発を進めております。分離精製剤事業関連では、急速に市場が成長しているバイオ医薬品の精製用分離剤や分析用液体クロマトグラフィーカラムの開発に注力しており、「次世代バイオ医薬品製造技術研究組合」に参加し、抗体医薬品を精製する革新的なプロセスの開発、先進的な抗体の解析技術の開発に鋭意取り組んでおります。また、微細加工技術を用いた早期がん検査技術の開発も着実に進展しております。さらに、歯科用透光感ジルコニアや装飾用カラージルコニアの開発にも取り組んでおります。
エネルギー関連では、今後の需要拡大が予想されるリチウム二次電池の正極に用いられるマンガン酸化物などの開発に取り組んでおります。環境関連では、自動車排ガス浄化触媒用ゼオライトに加え、新規用途でのゼオライト開発にも取り組んでおります。また、アミン誘導品であるウレタン発泡触媒の開発にも継続して取り組んでおり、触媒性能と環境負荷の低減を両立した環境対応型ウレタン発泡触媒(RZETA®)が実用化に至りました。さらに、重金属処理剤(飛灰処理用、排水処理用)の開発を進めております。
電子材料関連のうち、ディスプレイ関連では有機EL用の電子輸送材並びに正孔輸送材の開発を精力的に進めております。また、タッチパネル用途の低温低抵抗薄膜用スパッタリングターゲットが実用化に至り、次世代材料の開発にも取り組んでおります。半導体関連では、将来の半導体素子の微細化に対応した次世代配線用の有機金属化合物や次世代半導体製造装置用の石英部材などの開発を推進しております。また、プリンテッドエレクトロニクスにおけるキーマテリアルである塗布型有機半導体材料についても開発に取り組んでいます。なお、本事業分野における研究開発費は約79億円であります。
エンジニアリング事業
エンジニアリング事業に関しては、オルガノ株式会社の開発センターを中心に、純水、超純水、上水等の用水処理装置、下排水処理装置、クロマト分離装置などの大型水処理関連設備並びに標準型水処理装置、水処理薬品、加工食品向けの食品添加物・素材などの販売・サービスを促進するため、基盤技術の強化、商品の品質向上、新商品の開発などを実施しており、単糖分離クロマト分離材やキャビネットタイプ純水製造装置等が実用化に至りました。なお、本事業分野における研究開発費は約14億円であります。
総資産は、受取手形及び売掛金の減少等により、前連結会計年度末に比べ294億35百万円減少し7,347億70百万円となりました。
負債は、有利子負債の減少等により、前連結会計年度末に比べ823億75百万円減少し3,610億45百万円となりました。
純資産は、増資による資本金及び資本剰余金の増加、親会社株主に帰属する当期純利益の計上等により、前連結会計年度末に比べ529億40百万円増加し3,737億24百万円となりました。
売上高は、塩化ビニルモノマーの生産能力増強を背景とした塩化ビニル樹脂の販売数量増等があったものの、原油・ナフサ価格等の下落に伴う国内外の石油化学製品の価格下落により、前連結会計年度に比べ559億47百万円(6.9%)減収し7,537億36百万円となりました。
営業利益は、販売数量の増加や原燃料安等を背景とした交易条件の改善等により、前連結会計年度に比べ180億47百万円(35.1%)増加し694億44百万円となりました。
経常利益は、前連結会計年度に比べ56億16百万円(9.3%)増加し658億14百万円となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度において日本ポリウレタン工業株式会社との合併に伴い、同社から引き継いだ繰越欠損金他に対する繰延税金資産の計上があったことから、前連結会計年度に比べ226億22百万円(36.3%)減少し396億75百万円となりました。
キャッシュ・フローの状況については、「業績等の概要」に記載しております。