当期のわが国経済は、政府による経済政策等を背景に、雇用や所得環境の改善が続くなど緩やかな回復基調を維持しました。一方、海外情勢に目を向けると、英国のEU離脱問題や米国新政権の政策動向に対する懸念の他、中東や朝鮮半島における地政学的リスクの高まり等により一層不確実性を増しており、景気の先行きは不透明な状況で推移しました。
このような情勢下、当社グループの連結業績については、売上高は、ナフサ等の原燃料価格の下落に伴う石油化学製品の価格下落や円高による輸出販売価格の下落等により、7,430億28百万円と前連結会計年度に比べ107億7百万円(1.4%)の減収となりました。営業利益は、原燃料安を背景とした交易条件の改善等により1,112億16百万円と前連結会計年度に比べ417億71百万円(60.2%)の増益となりました。経常利益は、1,130億94百万円と前連結会計年度に比べ472億79百万円(71.8%)の増益となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、756億64百万円と前連結会計年度に比べ359億89百万円(90.7%)の増益となりました。
セグメント別の業績は、次のとおりであります。
石 油 化 学 事 業
エチレン、プロピレン等のオレフィン製品の出荷は堅調に推移しましたが、ナフサ価格等の下落を反映して製品価格は下落いたしました。
ポリエチレン樹脂は、ナフサ価格の下落を反映して国内製品価格は下落いたしました。クロロプレンゴム及びクロロスルホン化ポリエチレンは、海外需要が堅調なことから出荷は増加しましたが、円高に伴い輸出価格は下落いたしました。
この結果、売上高は前連結会計年度に比べ136億88百万円(7.8%)減少し1,617億47百万円となりましたが、営業利益は交易条件の改善により、前連結会計年度に比べ84億63百万円(72.9%)増加し200億72百万円となりました。
ク ロ ル ・ ア ル カ リ 事 業
苛性ソーダの国内製品価格については緩やかに下落しましたが、海外市況上昇により輸出価格は上昇いたしました。塩化ビニルモノマー及び塩化ビニル樹脂は、出荷は堅調に推移しましたが、ナフサ価格の下落及び円高の影響により製品価格は下落いたしました。
セメントは、需要低迷の影響により国内出荷は減少しましたが、輸出は増加いたしました。
ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)は、出荷が増加しましたが、円高の影響により輸出価格は下落いたしました。
この結果、売上高は前連結会計年度に比べ1億64百万円(0.1%)減少し2,796億84百万円となりましたが、営業利益は交易条件の改善により、前連結会計年度に比べ299億38百万円(166.4%)増加し479億26百万円となりました。
機 能 商 品 事 業
エチレンアミンは、円高及び海外市況の軟化により製品価格は下落いたしました。
計測関連商品は、液体クロマトグラフィー用充填剤の出荷が増加いたしました。診断関連商品は、体外診断用医薬品の出荷が増加いたしました。
ハイシリカゼオライトは、自動車排ガス触媒用途の出荷が増加いたしました。ジルコニアは、歯科材料用途や装飾品用途での出荷が増加いたしました。石英ガラスは半導体分野への出荷が増加いたしました。
この結果、売上高は前連結会計年度に比べ13億48百万円(0.8%)増加し1,758億80百万円となり、営業利益は前連結会計年度に比べ26億82百万円(8.2%)増加し353億82百万円となりました。
エ ン ジ ニ ア リ ン グ 事 業
水処理事業においては、国内では一般産業向けの排水分野や用水純水分野においてプラント建設、メンテナンス、改造工事が伸長したことにより売上高は増加いたしました。海外では台湾での電子産業向け、東南アジア地域での石油化学向けの売上高は堅調に推移いたしました。
建設子会社の売上高は増加いたしました。
この結果、売上高は前連結会計年度に比べ23億82百万円(2.8%)増加し865億66百万円となり、営業利益は前連結会計年度に比べ5億68百万円(12.4%)増加し51億45百万円となりました。
そ の 他 事 業
商社等その他事業会社の売上高は低調に推移いたしました。
この結果、売上高は前連結会計年度に比べ5億84百万円(1.5%)減少し391億49百万円となりましたが、営業利益は前連結会計年度に比べ1億18百万円(4.6%)増加し26億89百万円となりました。
現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ105億90百万円増加し、854億60百万円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、1,157億15百万円の収入となりました。税金等調整前当期純利益の増加等により、前連結会計年度に比べ158億31百万円収入が増加いたしました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、347億23百万円の支出となりました。設備投資による支出額の増加等により、前連結会計年度に比べ68億6百万円支出が増加いたしました。
この結果、フリー・キャッシュ・フローは前連結会計年度に比べ90億24百万円収入が増加し、809億92百万円の収入となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、688億29百万円の支出となりました。前連結会計年度に発生した株式の発行による収入がなくなったこと等により、前連結会計年度に比べ180億2百万円支出が増加いたしました。
(単位:百万円)
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セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日) |
前年同期比(%) |
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石油化学事業 |
171,994 |
92.8 |
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クロル・アルカリ事業 |
280,980 |
100.6 |
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機能商品事業 |
147,769 |
96.4 |
|
エンジニアリング事業 |
67,605 |
90.3 |
|
その他事業 |
― |
― |
|
合計 |
668,349 |
98.4 |
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 原則として、生産金額は、生産総量から自家使用量を差引いた販売向け生産量に、当連結会計年度中の平均販売単価を乗じて算出しております。
3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
4 従前より、エンジニアリング事業の生産は、オルガノ株式会社とオルガノプラントサービス株式会社及びオルガノ・テクノロジー有限公司でその大半を占めていたため、3社の金額を表示しておりましたが、その他の連結子会社の重要性が増したため、当連結会計年度より連結ベースの金額を表示しております。
なお、前年同期比較にあたっては、組替え後の前年同期数値に基づき算出しております。
主として見込み生産であります。
(単位:百万円)
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セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日) |
前年同期比(%) |
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石油化学事業 |
161,747 |
92.2 |
|
クロル・アルカリ事業 |
279,684 |
99.9 |
|
機能商品事業 |
175,880 |
100.8 |
|
エンジニアリング事業 |
86,566 |
102.8 |
|
その他事業 |
39,149 |
98.5 |
|
合計 |
743,028 |
98.6 |
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(1)会社の経営の基本方針
1 当事者意識に燃える人を経営の原点とし、企業の活力を生む人事を行う。
2 絶えず技術力を向上させ、優位な商品を生み出し続ける。
3 マーケティング・マインドをもって、すべての叡知を事業に活かす。
4 先駆的な研究開発によって、常に未踏領域を切り拓く。
5 世界に経営資源を求め、世界に市場を創造する。
(2)経営環境及び対処すべき課題
国内経済は雇用・所得環境の改善が続くなかで、緩やかな回復に向かうことが期待されます。しかし、日本を取り巻く海外の政治情勢・経済環境は様々な要素の不確実性を孕んでおり、景気回復の持続は楽観できないものと思われます。
当社グループを取り巻く事業環境につきましても、原燃料価格や海外製品市況の変動、アジアを中心とした新興国の景気動向等に注意が必要であり、環境の変化に対して、迅速かつ柔軟な対応が肝要であると考えております。
このような状況の下、当社グループは、「平成28年度~平成30年度 中期経営計画」を着実に実行することにより、外部環境の変化に耐えられる事業ポートフォリオの構築と安全・安定運転の持続を実現し、より戦略的かつ効率的なグループ経営を展開してまいります。
[平成28年度~平成30年度 中期経営計画の概要]
当社は、平成28年5月24日に、平成30年度を最終年度とする3ヶ年の中期経営計画を公表いたしました。当該計画の概要につきましては以下のとおりです。
1. 経営方針
1.1 基本方針
□ ハイブリッド経営の深化
・ コモディティとスペシャリティの両軸をバランス良く強化
・ コモディティ : 現有能力で競争力・収益力を強化
・ スペシャリティ: 成長事業へ拡大投資、R&D・M&Aによる事業領域の拡充
□ 財務基盤の維持・強化
・ 成長投資を機動的に実行できる盤石な財務基盤を構築
□ 安全改革の推進
・ 安全・安定運転技術の確立
・ トラブル・異常現象の撲滅
1.2 事業の位置付け
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□ コモディティ ・ 経営の基盤となるキャッシュフローと利益を確保 ・ 競争力の高いユーティリティ・基礎原料を自社製品へ供給 ・ 外部環境で損益変動も、基礎素材ゆえに需要は底堅い □ スペシャリティ ・ 成長のドライバーとして利益拡大 ・ 継続的開発により高利益率を維持 ・ 開発から収益事業となるまでのリードタイムは10年以上 |
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1.3 数値目標
(億円)
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平成30年度目標 |
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売上高 |
7,500 |
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営業利益 |
850 |
|
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ROE |
10%以上 |
注)売上高は下記前提での参考値
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前提 |
ドル |
|
110円/$ |
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ユーロ |
|
120円/€ |
|
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ナフサ |
|
40,000円/kl |
2. 投資の方針
2.1 基本方針
□ コモディティ
・ 安定供給力と競争力の維持・強化のため、更新・効率化投資を集中的に実施
□ スペシャリティ
・ 成長事業へ拡大投資
・ R&D *1、M&A *2による事業領域の拡充
*1 大学・ベンチャー企業との連携含む *2特にバイオサイエンス事業
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2.2 主な投資計画 (億円) |
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*1 M&A、研究ファンド投資など |
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3. 研究開発の方針
□ 重点3分野「ライフサイエンス」「電子材料」「環境・エネルギー」の研究開発を加速
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・ 産学官連携の強化 ・ 研究ファンド投資による技術情報収集力の強化 ・ M&Aの実施 |
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4. 財務基盤強化の方向性
□ 自己資本比率
・ 自己資本比率は50%以上を目標とする
□ 有利子負債
・ 有利子負債は引き続き圧縮に努める
5. 株主還元の方針
□ 安定配当の継続が基本
□ 配当は期間業績・フリーCF・将来の事業展開等を総合的に勘案して決定
□ 中長期的には、配当性向30%を目指す
≪注意事項≫
本計画は、公表時点で入手可能な情報に基づき策定したものです。従いまして、今後の国内外の経済情勢や予測不可能な要素等により、実際の業績は計画値と大幅に異なる可能性があります。
[中期経営計画の進捗]
3ヶ年中期経営計画の初年度にあたる平成28年度は、営業利益が1,112億円となり、平成30年度の利益目標850億円を大幅に上回る結果となりました。これは、コモディティ製品(石油化学及びクロル・アルカリ事業での取り扱い製品)の事業環境が、中期経営計画での想定に比べ大きく好転したことが要因となります。
中期経営計画では、コモディティ事業での最終年度の利益目標を380億円としておりますが、平成28年度は原料安・市況高という交易条件に恵まれ、営業利益が679億円まで拡大しました。良好な事業環境が継続すれば、コモディティ事業の利益目標は上振れることになりますが、仮に、中期経営計画で想定した交易条件になったとしても、成長戦略を着実に実行することにより、目標利益の達成を目指してまいります。
また、スペシャリティ事業(機能商品製品)につきましても、中期経営計画に基づき機能の差別化・高付加価値化を推進し、戦略製品の拡販を実現することにより、最終年度の利益目標400億円の達成に努めてまいります。
投資活動については、設備投資は中期経営計画に沿って実施しており、3ヶ年累計での投資額は、当初計画通り1,300億円程度になる見込みです。また、M&Aについては、現在、情報の収集・精査を進めておりますが、時間的な制約は設けることなく、リスクとシナジーを慎重に見極めた上で、実施の可否を判断いたします。
研究活動については、米国において技術及びベンチャー投資の専門家を起用し、併せて研究駐在員を派遣することにより、技術及びM&A情報の収集を強化しております。また、研究ファンドへの投資を通じて、ベンチャー技術に関する情報を幅広く集めてまいります。
営業利益及び営業利益率 (億円)
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平成28年度実績 |
平成30年度目標 |
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コモディティ |
679 |
15.4% |
380 |
8.6% |
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スペシャリティ |
353 |
20.1% |
400 |
21.7% |
|
その他 |
78 |
6.2% |
70 |
5.6% |
|
合計 |
1,112 |
15.0% |
850 |
11.3% |
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性がある事項には、以下のようなものがあります。
ただし、これら事業等のリスクは、当連結会計年度末現在において判断したものであり、全てを網羅したものではありません。
(1) 製品・原燃料の国際市況の変動
当社グループでは、石油化学事業・クロル・アルカリ事業を中心に、原油、ナフサ、石油化学製品等の市況・課税負担の変動が当社グループの経営成績及び財政状態に重大な影響を与える可能性があります。
(2) 在庫評価の影響
当社グループは、たな卸資産の評価方法及び評価基準について、主として総平均法による原価法を採用しております。そのため、ナフサや重油等の原燃料価格が在庫単価に比べて下落する局面においては、期初の相対的に高価な在庫の影響により売上原価が押上げられるなど、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。また、収益性の低下に基づく簿価切下げを行った場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(3) 国内外の経済情勢・需要変動
国内外の顧客や市場の動向、経済情勢、競合他社の事業展開といった外部環境が、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(4) 企業買収・資本提携及び事業再編
当社グループは、事業の拡大・効率化や競争力強化を目的として国内外における企業買収、資本提携を実施しております。当社グループ及び出資先企業を取り巻く事業環境の変化により、活動が円滑に進まない、あるいは当初期待した効果が得られないなどの場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
また、不採算事業からの撤退や関係会社の整理等の事業再編を行った場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(5) 為替レートの変動
当社グループは、国内で製造した製品の一部を海外へ輸出しており、原燃材料の大半は海外から輸入しております。大幅な為替レートの変動は、外貨建取引、外貨建資産・負債、更には海外グループ会社の財務諸表の円換算額にも影響を及ぼすこととなり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(6) 海外での事業活動
当社グループは、製品の輸出及び海外における現地生産等、幅広く海外での事業活動を行っております。しかしながら、戦争・テロ・その他の要因による社会的又は政治的混乱、社会インフラの未整備、人材の採用・確保の困難といったリスクが存在しており、このようなリスクが顕在化し海外での事業活動に支障が生じた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(7) 原材料の調達
当社グループは、生産活動に必要な原燃材料を国内外から調達しており、原燃材料の調達先の多様化、中長期的契約の締結、あるいはスポット市場からの購入により長期的、安定的な調達に取り組んでおります。しかしながら、供給者における災害・事故等による調達への支障が発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(8) 金利変動
当社グループは、有利子負債の削減や金融収支の改善に努めておりますが、今後金利が上昇した場合には支払利息が増加し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(9) 固定資産の減損
当社グループは、固定資産の減損に係る会計基準を適用しておりますが、今後大幅な事業収益性の悪化や不動産価格の下落等があった場合には減損損失が発生し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(10) 有価証券の評価損
当社グループは、主に取引先との関係維持のために株式を保有しておりますが、株式相場の大幅な下落、又は株式保有先の財政状態の悪化により株式の評価が著しく下落した場合には株式の評価損が発生し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(11) 繰延税金資産の取崩し
当社グループは、税務上の繰越欠損金及び将来減算一時差異に対して、将来の課税所得を合理的に見積り回収可能性を検討した上で繰延税金資産を計上しておりますが、実際の課税所得が見積りと異なり回収可能性の見直しが必要となった場合、又は税率変更を含む税制の改正等があった場合には、繰延税金資産の取崩しが必要となり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(12) 退職給付関係
当社グループの退職給付債務及び退職給付費用は、年金数理計算上使用される各種の基礎率と年金資産の運用利回り等に基づき算出されております。年金資産の時価の変動、金利の変動、退職金・年金制度の変更等に伴う退職給付債務及び退職給付費用の変動が、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(13) 環境関連等法的規制
当社グループは、環境保全と安全及び健康の確保が経営の最重要課題であると認識し、事業活動を行っております。しかしながら、今後環境等に関する国内外の法的規制の強化あるいは社会的責任の要請等により、事業活動の制限、若しくは追加の設備投資や新たな費用が発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
また、今後二酸化炭素等の排出に関連して数量規制や税の賦課が導入された場合には、事業活動が制約を受けることにより、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(14) 品質問題
当社グループは、製品の品質保証体制を確立し、製造物賠償責任保険も付保しております。しかしながら、製品に予期せぬ欠陥が発生した場合には、社会的信用の低下や製品の販売中止等に繋がり、更に訴訟が提起される事態に発展することも想定されます。このような場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(15) 訴訟
当社グループは、コンプライアンス行動指針の制定を行い、国内外の法令遵守に努めております。しかしながら、広範な事業活動を行う中、訴訟、その他の法律的手続きの対象となるリスクがあり、重要な訴訟等の提起を受ける可能性があります。現在及び将来の事件での帰趨を予測することは困難でありますが、裁判等において不利益な決定や判決がなされた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(16) 知的財産
当社グループは、知的財産権の重要性を認識し、国内外において、知的財産の権利化、第三者が保有する知的財産権の侵害防止に取り組んでおります。しかしながら、広範囲に事業を展開する中で、当社グループの知的財産権が侵害される可能性や第三者が保有する知的財産権を侵害する可能性があり、こうした場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(17) 事故・災害
当社グループは、日常的及び定期的な設備の点検・保守、安全関連投資等を実施し、設備事故等の発生の未然防止に努めております。しかしながら、自然災害、不慮の事故の発生の影響で、生産停止に伴う損失、工場周辺地域への被害補償に伴う費用、多額の設備補修費等が発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(18) 技術革新
当社グループは、「技術的に存在感のある企業」を目指し、各事業分野において積極的な研究開発を展開しております。特に機能商品事業においては、技術革新のスピードが著しく、タイムリーに新製品を開発・提供していく必要があると考えております。しかしながら、顧客ニーズに適合して継続的に新製品の開発・提供ができない場合、あるいは他社において画期的な技術革新がなされた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
・ 当社は、太平洋セメント株式会社にセメントの全面的な販売委託をしております。
・ 当社の塩化ビニル樹脂事業に関する合弁契約
平成12年3月31日付で当社、三井化学株式会社及び電気化学工業株式会社(現・デンカ株式会社)は、塩化ビニル樹脂事業を再構築するため、合弁契約を締結しております。
契約締結に伴い、当社の子会社である大洋塩ビ株式会社において、塩化ビニル樹脂の製造・販売・研究を行い、当社主導で運営しております。
急激な国内産業構造の変化及び技術革新が進む中で、当社グループは、基盤事業の強化・拡大と新規事業の創出による体質強化に向けて、当社の8つの研究開発部門及びオルガノ株式会社の開発センターを中心に研究開発活動を実施しております。具体的には、当社のアドバンストマテリアル研究所及びライフサイエンス研究所では機能商品事業分野、ファンクショナルポリマー研究所及び高分子材料研究所では石油化学事業分野、無機材料研究所、有機材料研究所、ウレタン研究所では機能商品事業分野及びクロル・アルカリ事業分野、技術センターでは各製品に関わるプロセス開発を主担当分野とした研究開発を行っており、オルガノ株式会社の開発センターではエンジニアリング事業分野の研究開発を行っております。
大学あるいは公的研究機関などの外部研究機関との共同研究等を積極的に実施し、研究開発力の強化と技術開発の迅速化に努めております。さらに、新たな成長分野を開発するため研究ファンド投資や米国への研究員派遣を行い、技術情報収集力を強化しております。
研究開発の組織においても四日市事業所の研究棟を建て替え、現在3地区に分散しているポリマー製品関連の研究を集約すると同時に、南陽事業所においても研究棟建て替えを計画する等、新規商品開発のために研究体制の強化を図っていきます。
当連結会計年度における当社グループ全体での研究開発要員は約900名であり、研究開発費は約144億円であります。
セグメント別の主な研究開発活動の状況を概観すると、次のとおりであります。
石油化学事業
石油化学事業に関しては、既存ポリマー製品の改良や周辺技術の強化と、新規ポリマー材料の開発を主に実施しております。ポリエチレンでは、高機能化による差別化・高付加価値化を目指した研究開発を実施しており、ラミ分野、食品包装分野などにおいて、グレード開発・改良に取り組んでおります。特に注力している高清浄・高耐熱グレードによる医療分野を中心とした用途開発では、輸液バッグの高い耐熱性と透明性の両立が国内外で高い評価を得ております。また、独自の触媒技術による世界最高水準の高分子量と狭い分子量分布を有する超高分子量ポリエチレン(デカミレン®)を新たに開発し、リチウム二次電池用セパレーター、摺動部材等の幅広い分野での用途開発が進展しました。PPSでは自動車部品の軽量かつ複雑化に対応するグレード開発を進めております。石油樹脂ではエコタイヤの改質剤として性能向上に貢献しております。CRでは当社が得意とする伝動ベルト用途に適したグレード開発を進め、高耐久性タイプの顧客評価を進めております。高品位かつ世界最大の生産能力を有するCSMについては、その特徴である耐水性と耐薬品性をさらに向上する新規配合処方を確立し顧客評価を進めております。また、更なる市場拡大に向けた一層の高機能化も進めております。ペースト塩ビでは、壁紙や床材他の用途に関し、顧客要求に応じたグレード開発に積極的に取り組んでおります。また、液晶用光学材料、フレキシブルディスプレイ用基板材料など、当社独自コンセプトに基づく新規ポリマー材料の開発を積極的に進めております。なお、本事業分野における研究開発費は約19億円であります。
クロル・アルカリ事業
クロル・アルカリ事業に関しては、主としてコア事業であるビニル・イソシアネート・チェーン関連技術の更なる強化へ向けて継続的な製造技術の革新に取り組んでおります。ポリウレタン関連では、原料であるイソシアネートの製造プロセス改良や、ポリウレタンフォーム、エラストマー及びコーティングを始めとするウレタン関連製品の処方開発等に積極的に取り組むとともに、他の事業分野との連携による開発にも注力しております。具体的には、自動車用シートクッション用途での軽量化、高耐久化、環境対応による差別化を図っており、All-MDI系で低密度と耐久性を両立した薄肉化を実現、更に低VOC化技術の確立を進めております。機能性ポリウレタンに関しては、自動車クリアトップコート用低粘度硬化剤、及び合皮用ウレタン樹脂やプラスチック塗装用の耐薬品性塗料用原料の開発を積極的に進めております。また、電解関連技術についても継続的な技術改良(省エネルギー化)に取り組んでおります。なお、本事業分野における研究開発費は約30億円であります。
機能商品事業
機能商品事業に関しては、ライフサイエンス、環境・エネルギー、電子材料などに関する研究開発を実施しております。
ライフサイエンス関連のうち、免疫診断事業関連では次世代装置と試薬の開発、遺伝子検査事業関連では感染症診断のための新規製品開発を進めております。分離精製剤事業関連では、急速に市場が成長しているバイオ医薬品の精製用分離剤や分析用液体クロマトグラフィーカラムの開発に注力しており、「次世代バイオ医薬品製造技術研究組合」に参加し、抗体医薬品を精製する革新的なプロセスの開発、先進的な抗体の解析技術の開発に鋭意取り組んでおります。また、微細加工技術を用いた早期がん検査技術の開発も着実に進展しております。さらに、再生医療用細胞の検査ツールなどの研究開発も開始しました。歯科用透光感ジルコニアや装飾用カラージルコニアの開発にも継続的に取り組んでおります。
エネルギー関連では、今後の需要拡大が予想されるリチウム二次電池の材料開発に取り組んでおります。さらに、コンデンサの高容量化に寄与する新規導電性高分子の開発も進展しております。環境関連では、自動車排ガス浄化触媒用ゼオライトに加え、新規用途での高機能ゼオライト開発にも取り組んでおります。また、アミン誘導体として、VOC低減に有効なウレタン発泡触媒(RZETA®)や低燃費に寄与するエンジンオイル添加剤の開発が進展しております。さらに、重金属処理剤(飛灰処理用、排水処理用)の開発を進めております。
電子材料関連のうち、ディスプレイ関連では有機EL用の電子輸送材並びに正孔輸送材の開発を精力的に進めております。また、昨年度実用化したタッチパネル用途の低温低抵抗薄膜用スパッタリングターゲットの高性能化に取り組んでおります。半導体関連では、将来の半導体素子の微細化に対応した次世代配線用の有機金属化合物や次世代半導体製造装置用の高機能石英部材などの開発を推進しております。また、プリンテッドエレクトロニクスにおけるキーマテリアルである塗布型有機半導体材料についても開発に取り組んでおります。なお、本事業分野における研究開発費は約79億円であります。
エンジニアリング事業
エンジニアリング事業に関しては、オルガノ株式会社の開発センターを中心に、純水、超純水、上水等の用水処理装置、下排水処理装置、クロマト分離装置などの大型水処理関連設備並びに標準型水処理機器、水処理薬品、加工食品向けの食品添加物・素材などの販売・サービスを促進するため、基盤技術の強化、商品の品質向上、新商品の開発などを実施しており、新規脈動式高速凝集沈殿池、機能水製造装置、キャビネット型純水製造装置及びN-メチルピロリドン回収精製装置等が実用化に至りました。なお、本事業分野における研究開発費は約15億円であります。
総資産は、受取手形及び売掛金の増加等により、前連結会計年度末に比べ478億53百万円増加し7,826億23百万円となりました。
負債は、有利子負債の減少等により、前連結会計年度末に比べ267億57百万円減少し3,342億87百万円となりました。
純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上等により、前連結会計年度末に比べ746億11百万円増加し4,483億35百万円となりました。
売上高は、ナフサ等の原燃料価格の下落に伴う石油化学製品の価格下落や円高による輸出販売価格の下落等により、7,430億28百万円と前連結会計年度に比べ107億7百万円(1.4%)の減収となりました。
営業利益は、原燃料安を背景とした交易条件の改善等により1,112億16百万円と前連結会計年度に比べ417億71百万円(60.2%)の増益となりました。
経常利益は、1,130億94百万円と前連結会計年度に比べ472億79百万円(71.8%)の増益となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、756億64百万円と前連結会計年度に比べ359億89百万円(90.7%)の増益となりました。
キャッシュ・フローの状況については、「業績等の概要」に記載しております。