第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 

(1)会社の経営の基本方針

当社グループは、「化学の革新を通して、幸せを実現し、社会に貢献する」を企業理念に掲げ、この理念を実現し企業価値を継続的に向上させるため、経営環境の変化に迅速に対応し、公正で透明性の高い企業経営を行ってまいります。

 

(2)経営環境及び対処すべき課題

国内経済においては、円高の定着や株価下落などが成長ペースの減速要因となりうるものの、堅調な輸出などを背景とした企業収益は底堅く、雇用・所得環境も引き続き改善が見込まれることから、景気は緩やかに拡大すると予想されます。世界経済においても、拡張的な財政政策による米国の景気拡大が見込まれるなど、先進国を中心に成長が続くことが期待されます。しかし、中東地域等における地政学リスクの高まりや国際的に深刻化する貿易摩擦の影響、米欧の金融政策正常化に伴う新興国市場からの資本流出など、世界経済は引き続き下振れリスクを内在しており、その先行きは依然見通しづらい状況となっております。

当社グループを取り巻く事業環境につきましては、原燃料価格や海外製品市況の変動、アジアを中心とした新興国の景気動向等に注意が必要であり、環境変化に対して迅速かつ柔軟な対応が肝要であると考えております。

このような状況の下、当社グループは、「平成28年度~平成30年度 中期経営計画」に掲げた目標を達成すべく、外部環境の変化に耐えられる事業ポートフォリオの構築と安全・安定運転の持続を実現し、より戦略的かつ効率的なグループ経営を展開してまいります。

 

[平成28年度~平成30年度 中期経営計画の概要]

当社は、平成28年5月24日に、平成30年度を最終年度とする3ヶ年の中期経営計画を公表いたしました。当該計画の概要につきましては以下のとおりです。

 

1.      経営方針

1.1    基本方針

□ ハイブリッド経営の深化

・ コモディティとスペシャリティの両軸をバランス良く強化

・ コモディティ : 現有能力で競争力・収益力を強化

・ スペシャリティ: 成長事業へ拡大投資、R&D・M&Aによる事業領域の拡充

□ 財務基盤の維持・強化

・ 成長投資を機動的に実行できる盤石な財務基盤を構築

□ 安全改革の推進

・ 安全・安定運転技術の確立

・ トラブル・異常現象の撲滅

 

 

1.2    事業の位置付け

□ コモディティ

・ 経営の基盤となるキャッシュフローと利益を確保

・ 競争力の高いユーティリティ・基礎原料を自社製品へ供給

・ 外部環境で損益変動も、基礎素材ゆえに需要は底堅い

□ スペシャリティ

・ 成長のドライバーとして利益拡大

・ 継続的開発により高利益率を維持

・ 開発から収益事業となるまでのリードタイムは10年以上


 

1.3    数値目標      

            (億円)           

 

平成30年度目標


売上高

 7,500

営業利益
営業利益率

850
10%以上

ROE

10%以上

 

    注)売上高は下記前提での参考値

前提

ドル

 

110円/$

ユーロ

 

120円/€

ナフサ

 

40,000円/kl

 

 

2.      投資の方針

2.1    基本方針

□ コモディティ

・ 安定供給力と競争力の維持・強化のため、更新・効率化投資を集中的に実施

□ スペシャリティ

・ 成長事業へ拡大投資

・ R&D *1、M&A *2による事業領域の拡充

*1 大学・ベンチャー企業との連携含む  *2 特にバイオサイエンス事業

 

2.2    主な投資計画          (億円)

<主な設備投資>

・ ハイシリカゼオライト 能力増強

・ ジルコニア能力増強

・ トヨパール(分離精製剤)能力増強

・ フィリピン子会社でのPVC能力増強

・ 機能性ポリマー・機能性ウレタン能力増強

・ 発電設備の効率化

 

 

平成28年度~平成30年度累計計画

設備投資

成長   500

1,300

その他   800

M&A等

     300 *1

1,600

 

*1 M&A、研究ファンド投資など

 

 

3. 研究開発の方針

  □ 重点3分野「ライフサイエンス」「電子材料」「環境・エネルギー」の研究開発を加速

・ 産学官連携の強化

・ 研究ファンド投資による技術情報収集力の強化

・ M&Aの実施


 

 

 

4. 財務基盤強化の方向性

□ 自己資本比率

・ 自己資本比率は50%以上を目標とする

□ 有利子負債

・ 有利子負債は引き続き圧縮に努める

 

5. 株主還元の方針

□ 安定配当の継続が基本   

□ 配当は期間業績・フリーCF・将来の事業展開等を総合的に勘案して決定

□ 中長期的には、配当性向30%を目指す

 

 

≪注意事項≫

本計画は、公表時点で入手可能な情報に基づき策定したものです。従いまして、今後の国内外の経済情勢や予測不可能な要素等により、実際の業績は計画値と大幅に異なる可能性があります。

 

[中期経営計画の進捗]                                             

3ヶ年中期経営計画の2年目にあたる平成29年度は、前年度に続きコモディティ事業(石油化学及びクロル・アルカリ事業)が収益を牽引し、営業利益が過去最高の1,305億円となり、中計最終年度の利益目標850億円を大幅に上回る結果となりました。平成29年度は営業利益率が15.9%、ROEが19.6%まで上昇し、経営指標についても目標を大きく上回っております。

コモディティ事業では、需給の引き締まりを背景に、ウレタン原料等の海外市況が大幅に上昇し、平成29年度は営業利益が前年度を211億円上回る891億円となりました。平成30年度は原燃料価格の上昇や海外市況の軟化が予想されますが、中期経営計画で掲げた諸施策を着実に実行し、目標を上回る利益の達成を目指してまいります。

スペシャリティ事業(機能商品事業)では、中期経営計画に沿って成長事業の生産能力増強を進めたこともあり、平成29年度については償却費負担の増加等により営業利益が前年度比微減の338億円となりました。平成30年度は原料価格の上昇等による利幅の縮小が懸念されますが、機能の差別化・高付加価値化を推進し、戦略製品の拡販を実現することで、中期経営計画で掲げた利益目標の達成を目指してまいります。

投資活動については、中期経営計画の方針に沿って設備の能力増強・競争力強化を実行しており、3ヶ年累計の設備投資額は当初計画を150億円程度上回る1,450億円強となる見込みです。また、M&Aについては、バイオサイエンス関連を中心に情報の収集・精査を進めておりますが、時間的な制約は設けることなく、リスクとシナジーを慎重に見極め、実施の可否を判断してまいります。

研究活動については、南陽・四日市両事業所で研究棟の建替えを進めており、また高性能な研究開発用装置を導入するなどして、ハード面からも研究開発の加速に取り組んでおります。ソフト面では、研究ファンドへの投資等を通じて、先端技術やM&Aに関する情報の収集を強化しております。 

営業利益及び営業利益率                                       (億円)

 

平成28年度実績

平成29年度実績

平成30年度目標

コモディティ

679

15.4%

891

17.5%

380

8.6%

スペシャリティ

353

20.1%

338

18.1%

400

21.7%

その他

    78

6.2%

75

6.0%

70

5.6%

合計

1,112

15.0%

1,305

15.9%

850

11.3%

 

 

 

2 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性がある事項には、以下のようなものがあります。

ただし、これら事業等のリスクは、当連結会計年度末現在において判断したものであり、全てを網羅したものではありません。

 

 

(1) 製品・原燃料の国際市況の変動

当社グループでは、石油化学事業・クロル・アルカリ事業を中心に、原油、ナフサ、石油化学製品等の市況・課税負担の変動が当社グループの経営成績及び財政状態に重大な影響を与える可能性があります。

 

(2) 在庫評価の影響

当社グループは、たな卸資産の評価方法及び評価基準について、主として総平均法による原価法を採用しております。そのため、ナフサや重油等の原燃料価格が在庫単価に比べて下落する局面においては、期初の相対的に高価な在庫の影響により売上原価が押上げられるなど、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。また、収益性の低下に基づく簿価切下げを行った場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(3) 国内外の経済情勢・需要変動

国内外の顧客や市場の動向、経済情勢、競合他社の事業展開といった外部環境が、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(4) 企業買収・資本提携及び事業再編

当社グループは、事業の拡大・効率化や競争力強化を目的として国内外における企業買収、資本提携を実施しております。当社グループ及び出資先企業を取り巻く事業環境の変化により、活動が円滑に進まない、あるいは当初期待した効果が得られないなどの場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

また、不採算事業からの撤退や関係会社の整理等の事業再編を行った場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(5) 為替レートの変動

当社グループは、国内で製造した製品の一部を海外へ輸出しており、原燃材料の大半は海外から輸入しております。大幅な為替レートの変動は、外貨建取引、外貨建資産・負債、更には海外グループ会社の財務諸表の円換算額にも影響を及ぼすこととなり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(6) 海外での事業活動

当社グループは、製品の輸出及び海外における現地生産等、幅広く海外での事業活動を行っております。しかしながら、戦争・テロ・その他の要因による社会的又は政治的混乱、社会インフラの未整備、人材の採用・確保の困難といったリスクが存在しており、このようなリスクが顕在化し海外での事業活動に支障が生じた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(7) 原燃材料の調達

当社グループは、生産活動に必要な原燃材料を国内外から調達しており、原燃材料の調達先の多様化、中長期的契約の締結、あるいはスポット市場からの購入により長期的、安定的な調達に取り組んでおります。しかしながら、供給者における災害・事故等による調達への支障が発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

 

(8) 金利変動

当社グループは、有利子負債の削減や金融収支の改善に努めておりますが、今後金利が上昇した場合には支払利息が増加し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(9) 固定資産の減損

当社グループは、固定資産の減損に係る会計基準を適用しておりますが、今後大幅な事業収益性の悪化や不動産価格の下落等があった場合には減損損失が発生し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(10) 有価証券の評価損

当社グループは、主に取引先との関係維持のために株式を保有しておりますが、株式相場の大幅な下落、又は株式保有先の財政状態の悪化により株式の評価が著しく下落した場合には株式の評価損が発生し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(11) 繰延税金資産の取崩し

当社グループは、税務上の繰越欠損金及び将来減算一時差異に対して、将来の課税所得を合理的に見積り回収可能性を検討した上で繰延税金資産を計上しておりますが、実際の課税所得が見積りと異なり回収可能性の見直しが必要となった場合、又は税率変更を含む税制の改正等があった場合には、繰延税金資産の取崩しが必要となり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(12) 退職給付関係

当社グループの退職給付債務及び退職給付費用は、年金数理計算上使用される各種の基礎率と年金資産の運用利回り等に基づき算出されております。年金資産の時価の変動、金利の変動、退職金・年金制度の変更等に伴う退職給付債務及び退職給付費用の変動が、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(13) 環境関連等法的規制

当社グループは、環境保全と安全及び健康の確保が経営の最重要課題であると認識し、事業活動を行っております。しかしながら、今後環境等に関する国内外の法的規制の強化あるいは社会的責任の要請等により、事業活動の制限、若しくは追加の設備投資や新たな費用が発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

また、今後二酸化炭素等の排出に関連して数量規制や税の賦課が導入された場合には、事業活動が制約を受けることにより、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(14) 品質問題

当社グループは、製品の品質保証体制を確立し、製造物賠償責任保険も付保しております。しかしながら、製品に予期せぬ欠陥が発生した場合には、社会的信用の低下や製品の販売中止等に繋がり、更に訴訟が提起される事態に発展することも想定されます。このような場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(15) 訴訟

当社グループは、コンプライアンス行動指針の制定を行い、国内外の法令遵守に努めております。しかしながら、広範な事業活動を行う中、訴訟、その他の法律的手続きの対象となるリスクがあり、重要な訴訟等の提起を受ける可能性があります。現在及び将来の事件での帰趨を予測することは困難でありますが、裁判等において不利益な決定や判決がなされた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

 

(16) 知的財産

当社グループは、知的財産権の重要性を認識し、国内外において、知的財産の権利化、第三者が保有する知的財産権の侵害防止に取り組んでおります。しかしながら、広範囲に事業を展開する中で、当社グループの知的財産権が侵害される可能性や第三者が保有する知的財産権を侵害する可能性があり、こうした場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(17) 事故・災害

当社グループは、日常的及び定期的な設備の点検・保守、安全関連投資等を実施し、設備事故等の発生の未然防止に努めております。しかしながら、自然災害、不慮の事故の発生の影響で、生産停止に伴う損失、工場周辺地域への被害補償に伴う費用、多額の設備補修費等が発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(18) 技術革新

当社グループは、「技術的に存在感のある企業」を目指し、各事業分野において積極的な研究開発を展開しております。特に機能商品事業においては、技術革新のスピードが著しく、タイムリーに新製品を開発・提供していく必要があると考えております。しかしながら、顧客ニーズに適合して継続的に新製品の開発・提供ができない場合、あるいは他社において画期的な技術革新がなされた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

(1)財政状態の状況

 

 事業全体及びセグメント情報に記載された区分ごとの状況

 

総資産は、受取手形及び売掛金の増加等により、前連結会計年度末に比べ701億79百万円増加し8,528億3百万円となりました。

負債は、有利子負債の減少等により、前連結会計年度末に比べ95億51百万円減少し3,247億36百万円となりました。

純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上等により、前連結会計年度末に比べ797億30百万円増加し5,280億66百万円となりました。

 

   セグメント別の財政状態は、次のとおりであります。

 

 

  石 油 化 学 事 業

 

ポリエチレン樹脂など一部製品の在庫積み増しにより棚卸資産が増加したことなどから、当連結会計年度末のセグメント資産は、前連結会計年度末と比べ77億33百万円増加し1,143億59百万円となりました。

 

 

ク ロ ル ・ ア ル カ リ 事 業

 

ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)や苛性ソーダの売上高増加に伴い営業債権が増加したことに加え、減価償却費を上回る設備投資により固定資産が増加したことなどから、当連結会計年度末のセグメント資産は、前連結会計年度末と比べ293億7百万円増加し2,665億23百万円となりました。

 

 

機 能 商 品 事 業

 

ジルコニアや石英ガラスの売上高増加に伴い営業債権が増加したことに加え、ハイシリカゼオライトなど一部製品の在庫積み増しにより棚卸資産が増加したことなどから、当連結会計年度末のセグメント資産は、前連結会計年度末と比べ136億70百万円増加し2,127億70百万円となりました。

 

 

エ ン ジ ニ ア リ ン グ 事 業

 

水処理事業における営業債権の増加などにより、当連結会計年度末のセグメント資産は、前連結会計年度末と比べ14億5百万円増加し1,088億90百万円となりました。

 

 

そ の 他 事 業

 

商社等その他事業会社の売上高増加に伴う営業債権の増加などにより、当連結会計年度末のセグメント資産は、前連結会計年度末と比べ27億45百万円増加し345億21百万円となりました。

 

 

 

(2)経営成績の状況

 

 ① 事業全体及びセグメント情報に記載された区分ごとの状況

 

当連結会計年度のわが国経済は、企業収益や国内設備投資が改善するなど景気は緩やかな回復基調で推移しました。世界経済については、欧米を中心とした先進国の景気拡大を背景に総じて緩やかな回復傾向が続きましたが、中東地域における地政学リスクの高まりや国際的に深刻化する貿易摩擦への不安など、その先行きは依然として不透明な状況が続いております。

このような情勢下、当社グループの連結業績については、売上高は、ナフサ等の原燃料価格の上昇に伴う石油化学製品の価格上昇や海外製品市況の上昇により、8,228億57百万円と前連結会計年度に比べ798億29百万円(10.7%)の増収となりました。営業利益は、販売価格の上昇が原燃料高の影響を上回ったことにより交易条件が改善し、1,305億80百万円と前連結会計年度に比べ193億64百万円(17.4%)の増益となりました。経常利益は、1,322億56百万円と前連結会計年度に比べ191億62百万円(16.9%)の増益となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、887億95百万円と前連結会計年度に比べ131億30百万円(17.4%)の増益となりました。

 

 

セグメント別の経営成績は、次のとおりであります。

 

 

石 油 化 学 事 業

 

オレフィン製品については、エチレン、キュメンの出荷が減少いたしましたが、ナフサ価格等の上昇を反映して製品価格は上昇いたしました。

ポリエチレン樹脂は、国内出荷が増加し、ナフサ価格の上昇を反映して国内価格が上昇いたしました。クロロプレンゴムは、好調な海外需要に牽引され出荷が増加し、輸出価格が上昇いたしました。

この結果、売上高は前連結会計年度に比べ130億20百万円(8.0%)増加し1,747億68百万円となり、営業利益は前連結会計年度に比べ24億48百万円(12.2%)増加し225億21百万円となりました。

 

 

  ク ロ ル ・ ア ル カ リ 事 業

 

苛性ソーダは、国内価格の是正及び海外市況の上昇により製品価格は上昇いたしました。塩化ビニルモノマー及び塩化ビニル樹脂は、出荷が堅調に推移し、国内価格の是正及び海外市況の上昇により塩化ビニル樹脂の製品価格は上昇いたしました。

セメントは、国内輸出とも出荷は堅調に推移いたしました。

ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)は、輸出価格が海外市況を反映して上昇いたしました。

この結果、売上高は前連結会計年度に比べ553億39百万円(19.8%)増加し3,350億23百万円となり、営業利益は交易条件の改善により、前連結会計年度に比べ186億93百万円(39.0%)増加し666億20百万円となりました。

 

 

  機 能 商 品 事 業

 

エチレンアミンは、北米向けの出荷が増加いたしました。

計測関連商品は、液体クロマトグラフィー用充填剤の出荷が増加いたしました。診断関連商品は、体外診断用医薬品の出荷が増加いたしました。

ハイシリカゼオライトは、欧州向けの出荷が増加いたしました。ジルコニアは、歯科材料用途や装飾品用途での出荷が増加いたしました。石英ガラスは半導体製造装置向けの出荷が増加いたしました。

この結果、売上高は前連結会計年度に比べ112億36百万円(6.4%)増加し1,871億16百万円となりましたが、営業利益は前連結会計年度に比べ14億83百万円(4.2%)悪化し338億99百万円となりました。

 

 

  エ ン ジ ニ ア リ ン グ 事 業

 

水処理事業においては、国内・中国での活発な設備投資を背景に電子産業分野で売上が拡大いたしましたが、一般産業分野において前連結会計年度に大型案件があったことや電力・上下水分野での低調な国内投資及び東南アジア地域での投資計画の中止や遅れなどにより売上高は減少いたしました。

建設子会社の売上高は増加いたしました。

この結果、売上高は前連結会計年度に比べ17億42百万円(2.0%)減少し848億24百万円となり、営業利益は前連結会計年度に比べ2億76百万円(5.4%)悪化し48億68百万円となりました。

 

 

  そ の 他 事 業

 

商社等その他事業会社の売上高は増加いたしました。

この結果、売上高は前連結会計年度に比べ19億74百万円(5.0%)増加し411億24百万円となりましたが、営業利益は前連結会計年度に比べ18百万円(0.7%)悪化し26億71百万円となりました。

 

 

 ② 目標とする経営指標の達成状況等

 

  目標とする経営指標の達成状況等については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題
 等」に記載しております。

 

 

 ③ 生産、受注及び販売の状況

(1) 生産実績

(単位:百万円)

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 平成29年4月1日

至 平成30年3月31日)

前年同期比(%)

石油化学事業

188,662

109.7%

クロル・アルカリ事業

337,298

120.0%

機能商品事業

160,502

108.6%

エンジニアリング事業

63,862

94.5%

その他事業

合計

750,326

112.3%

 

(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

2 原則として、生産金額は、生産総量から自家使用量を差引いた販売向け生産量に、当連結会計年度中の平均販売単価を乗じて算出しております。

3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2) 受注実績

主として見込み生産であります。

 

(3) 販売実績

(単位:百万円)

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 平成29年4月1日

至 平成30年3月31日)

前年同期比(%)

石油化学事業

174,768

108.0%

クロル・アルカリ事業

335,023

119.8%

機能商品事業

187,116

106.4%

エンジニアリング事業

84,824

98.0%

その他事業

41,124

105.0%

合計

822,857

110.7%

 

(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(3)キャッシュ・フローの状況

 

 

現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ207億18百万円増加し、1,061億78百万円となりました。

 

営業活動によるキャッシュ・フローは、1,154億29百万円の収入となりました。法人税等の支払額の増加等により、前連結会計年度に比べ2億86百万円収入が減少いたしました。

 

投資活動によるキャッシュ・フローは、431億29百万円の支出となりました。設備投資による支出額の増加等により、前連結会計年度に比べ84億5百万円支出が増加いたしました。

この結果、フリー・キャッシュ・フローは前連結会計年度に比べ86億91百万円収入が減少し、723億円の収入となりました。

財務活動によるキャッシュ・フローは、517億44百万円の支出となりました。借入金の返済額の減少等により、前連結会計年度に比べ170億84百万円支出が減少いたしました。

なお、当連結会計年度の設備投資の資金調達は主に自己資金及び借入金により賄っております。

 

 

 

 

4 【経営上の重要な契約等】

・ 当社は、太平洋セメント株式会社にセメントの全面的な販売委託をしております。

 

・ 当社の塩化ビニル樹脂事業に関する合弁契約

平成12年3月31日付で当社、三井化学株式会社及び電気化学工業株式会社(現・デンカ株式会社)は、塩化ビニル樹脂事業を再構築するため、合弁契約を締結しております。

契約締結に伴い、当社の子会社である大洋塩ビ株式会社において、塩化ビニル樹脂の製造・販売・研究を行い、当社主導で運営しております。

 

 

5 【研究開発活動】

急激な国内産業構造の変化及び技術革新が進む中、SDGs(持続可能な開発目標)達成への貢献を通して、基盤事業の強化・拡大と当社の持続的成長への新規事業の創出に向けて、8つの研究開発部門及びオルガノ株式会社開発センターが中心となった研究開発活動を推進しております。

具体的には、アドバンストマテリアル研究所及びライフサイエンス研究所では機能商品事業分野、ファンクショナルポリマー研究所、高分子材料研究所、ウレタン研究所では石油化学事業分野及びクロル・アルカリ事業分野、無機材料研究所、有機材料研究所では機能商品事業分野、技術センターでは各製品に関わるプロセス開発、オルガノ株式会社開発センターではエンジニアリング事業分野の研究開発を担っております。

技術革新が急速に進む中、当社グループ単独での研究開発を補完すべく、オープンイノベーションにも積極的に取り組んでおり、国内外の研究機関との共同研究、産学連携講座の開設、さらには、研究ファンド投資や米国への研究員派遣により、技術情報収集力の強化と外部技術の獲得を進めております。 

研究開発組織の観点では、南陽事業所における新研究棟の建設及び四日市事業所では新研究棟、カスタマーラボ建設による高分子、ウレタン製品関連研究の集約を進めており、研究体制の強化を図っていきます。

当連結会計年度における当社グループ全体での研究開発要員は約960名であり、研究開発費は約155億円であります。

 

セグメント別の主な研究開発活動の状況を概観すると、次のとおりであります。

 

石油化学事業

    石油化学事業に関しては、既存ポリマー製品の改良、周辺技術の強化及び新規ポリマー材料の開発を推進して
    おります。

ポリエチレン関連では、高機能化による差別化・高付加価値化を目指した研究開発を実施しており、メディカル関連分野、ラミネート分野などにおいて、グレード開発・改良に取り組んでおります。特に、メディカル関連の用途では、新規ポリエチレンを適用した輸液バッグ・ボトルが国内外で高い評価を得ております。また、独自の触媒技術を用いた超高分子量ポリエチレン(デカミレン®)は、リチウム二次電池用セパレーター、摺動部材等の幅広い分野での顧客評価が大きく進んでいます。

PPS関連では自動車部品の軽量かつ複雑化に対応する高強度のグレード開発、石油樹脂関連においては、粘着剤用途、エコタイヤの改質剤として採用が進んでいます。

さらに、ゴム関連では、CRが伝動ベルト用途に適した耐久性向上グレードの開発が進展し、顧客評価の段階に入るとともに、高品位かつ世界最大の生産能力を有するCSMについては、その特徴である耐水性と耐薬品性を利用した用途開発を進めております。

ペースト塩ビ関連では、壁紙や床材の用途に加えて、自動車分野においても顧客要求に応じたグレード開発を積極的に取り組んでおります。

電子関連への展開としては、液晶用光学材料、フレキシブルディスプレイ用基板材料など、当社独自コンセプトに基づく新規ポリマー材料の開発を積極的に進めております。

    なお、本事業分野における研究開発費は約22億円であります。

 

 

クロル・アルカリ事業

クロル・アルカリ事業に関しては、ビニル・イソシアネート・チェーン関連技術の更なる強化へ向けて継続的な製造技術の革新に取り組んでおります。
  ポリウレタン関連では、原料であるイソシアネートの製造プロセス改良、機能性ポリオールの開発及びポリウレタンフォーム、エラストマー及びコーティングを始めとするウレタン関連製品の処方開発に積極的に取り組むと共に、他の事業分野との連携による開発にも注力しております。具体的には、自動車の軽量化や高性能化に対応した低密度・高耐久性のAll-MDI系シートクッション、耐薬品性に優れた合皮用ウレタン樹脂とポリカーボネートポリオール及びクリアトップコート用低粘度硬化剤の開発、さらには、高まる環境ニーズに適合した水系塗料用原料や地球温暖化係数ゼロの新発泡剤を用いた断熱ポリウレタンフォームの開発を積極的に進めております。
  また、電解関連においても、継続的な技術改良(省エネルギー化)に取り組んでおります。
 なお、本事業分野における研究開発費は約32億円であります。
 

 

機能商品事業

機能商品事業に関しては、ライフサイエンス、環境・エネルギー、電子材料などに関する研究開発を実施しております。

ライフサイエンス関連における免疫診断事業関連では次世代装置と試薬の開発、遺伝子検査事業関連では感染症診断のための新規製品開発を進めております。分離精製剤事業関連では、急速に市場が成長しているバイオ医薬品の精製用分離剤や分析用液体クロマトグラフィーカラムの開発に注力しており、「次世代バイオ医薬品製造技術研究組合」に参加し、抗体医薬品を精製する革新的なプロセスの開発、先進的な抗体の解析技術の開発に鋭意取り組んでおります。

また、微細加工技術を用いた早期がん検査技術、再生医療用細胞の検査技術などの研究開発も大きく進展すると共に、歯科用透光感ジルコニアや装飾用カラージルコニアの品揃えも進みました。

環境・エネルギー関連では、今後の需要拡大が予想されるリチウム二次電池の材料開発、コンデンサの高容量化に寄与する新規導電性高分子の開発が進展しております。また、自動車排ガス浄化触媒用ゼオライトに加え、新規用途での高機能ゼオライト開発にも取り組んでおります。アミン誘導体としてはVOC低減に有効なウレタン発泡触媒(RZETA®)の拡販、環境負荷の極めて小さいHFO用のウレタン発泡触媒、低燃費に寄与するエンジンオイル添加剤、アルデヒド捕捉剤の開発が進展しました。さらに、重金属処理剤(飛灰処理用、排水処理用)の品揃えも進みました。

電子材料関連におけるディスプレイ関連では有機EL用輸送材の高効率・長寿命化、タッチパネル用途では低温で低抵抗の薄膜を実現するスパッタリングターゲット、半導体関連では将来の半導体素子の微細化に対応した次世代配線用の有機金属化合物や次世代半導体製造装置用の高機能石英部材の開発が大きく進展すると共に、プリンテッドエレクトロニクス関連では、塗布型有機半導体材料、光硬化型絶縁材料、親撥処理膜材料、保護層材料等の一連の材料開発を産学連携で進めております。

なお、本事業分野における研究開発費は約83億円であります。

 

エンジニアリング事業

エンジニアリング事業に関しては、オルガノ株式会社の開発センターを中心に開発を推進しております。

水処理エンジニアリング関連では、純水、超純水、上水等の用水処理装置、下排水処理装置、クロマト分離装置 などの大型水処理関連設備の開発を実施しております。更に、水以外の各種溶剤や電子材料、ガス等の分離・精製・回収など新たな事業分野への展開も図っております。これらの開発により、微量尿素計、新規凝集沈殿装置、新規生物処理装置、新規電気式脱塩装置、キャビネット型超純水製造装置、新規電子材料精製用樹脂の実用化を推進し、事業に寄与しました。

機能商品関連では、標準型水処理機器、水処理薬品、加工食品向けの食品添加物・素材の開発を実施しており、新規排水処理用栄養剤の実用化を推進し、事業に寄与しました。

    なお、本事業分野における研究開発費は約18億円であります。