第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 

(1)会社の経営の基本方針

当社グループは、「化学の革新を通して、幸せを実現し、社会に貢献する」を企業理念に掲げ、この理念を実現し企業価値を継続的に向上させるため、経営環境の変化に迅速に対応し、公正で透明性の高い企業経営を行ってまいります。

 

(2)経営環境及び対処すべき課題

当社グループを取り巻く事業環境につきましては、長引く米中貿易摩擦や中国の景気減速に加え、英国の欧州連合離脱問題が世界経済の減速懸念材料になる等、日本を取り巻く海外の政治・経済情勢は引き続き不確実性をはらんでおり、国内経済の先行きは見通しづらい状況が続いております。

このような状況等に起因する製品需要の減退、変動する原燃料価格や海外製品市況、為替レートの動向等に注意を払い、引き続き事業環境の変化に対して迅速かつ柔軟な対応が肝要であると考えております。

このような状況の下、当社グループは、「2019~2021年度 中期経営計画」に掲げた目標を達成すべく、外部環境の変化に耐えられる事業ポートフォリオの構築と安全・安定運転の持続を実現し、より戦略的かつ効率的なグループ経営を展開してまいります。

 

[2019~2021年度 中期経営計画の概要]

当社は、2019年5月17日に、2021年度を最終年度とする3ヶ年の中期経営計画を公表いたしました。当該計画の概要につきましては以下のとおりです。

 

1.      経営方針

1.1    基本方針

□ ハイブリッド経営による収益の安定・拡大

・ コモディティ事業 : 能力増強も視野に一段の基盤強化を進め、競争力・収益力の向上を図る

・ スペシャリティ事業: 成長分野の差別化・能力増強による事業規模拡大、新規事業の育成により、

収益基盤の安定・拡充を図る

□ 安全基盤の強化・安全文化の醸成

・ プラントの安全操業は社会的責務であり、全てに優先する

□ 強固な財務基盤の維持

・ 大型投資・M&Aをタイムリーに実行できる強固な財務基盤を維持する

□ 省エネ・CO2有効利用の推進

・ 省エネは社会的責務であり、不断の投資を継続する

 

1.2    数値目標     

                                                     (億円) 《参考》前中計の達成状況

 

2018年度

実績

2019年度

予想

2021年度

目標

 

2018年度

目標

差異

売上高

8,615

8,600

8,900

 

7,500

1,115

営業利益

1,057

950

1,100

 

850

207

営業利益率

12.3%

11.0%

10%以上

 

10%以上

達成

ROE

15.1%

10%以上

 

10%以上

達成

 

※売上高は下記前提での参考値、ナフサ価格(フォーミュラ製品)やコモディティ製品の市況変動で売上高は大きく増減

前提

ドル

110円/$

110円/$

110円/$

 

110円/$

0円/$

ユーロ

130円/€

125円/€

125円/€

 

120円/€

10円/€

ナフサ

49,475円/kl

46,000円/kl

46,000円/kl

 

40,000円/kl

 9,475円/kl

 

 

2.      投資方針

2.1    方向性

 コモディティ事業

 □ 事業基盤の更なる強化

   ・ クロアリ基盤強化(海外新拠点の設立を含め検討、大洋塩ビ大阪工場は閉鎖)、MDIデボトル増強

   ・ 発電設備効率化、バイオマス混焼(省エネ推進)

 □ 誘導品の更なる強化

   ・ 高度さらし粉、超高分子量PE

 スペシャリティ事業

 □ 成長分野の能力増強

   ・ CR、新規セラミックス材料、グリコカラム・溶離液、臭素・難燃剤

 □ 需要動向見極め、半導体関連へ追加投資

    ・ 石英ガラス素材・加工品

  インフラ関連

 □ 物流インフラの強化・効率化

     ・ 総合物流倉庫新設、エチレン・VCM船更新

 

2.2    投融資計画

           □ 19-21年度投資額=通常設備投資1,400億円+M&A等300億円+α:クロアリ成長投資

      □ M&A枠は目安として300億円を設定、バイオ関連を中心に探索

 

【主な設備投資計画】

 

・ CR(デボトル)   

半導体関連製品(増設)

発電ボイラバイオマス混焼対応

 

・ 新規セラミックス材料(新設)

・ MDI(デボトル)

・ 総合物流倉庫(新設)

 

・ グリコカラム・溶離液(自動化)

・ 高度さらし粉(S&B)

・ エチレン・VCM船更新

 

・ 臭素(S&B) 

・ 超高分子量PE

 

 

・ 臭素系難燃剤(増設)

・ 発電設備効率化

 

 

 

3. 研究開発の方針

  □ 前中計での施策を基盤に、新製品の開発加速

  □ MI技術構築による材料設計の効率化 ※MI:マテリアルズ・インフォマティクスの略

  □ SDGs を踏まえた研究開発の推進

 

 

4. 財務基盤強化の方向性

□ 大型投資・M&Aをタイムリーに実行できる強固な財務基盤を維持

□ 強固な財務基盤を維持することで、安定配当の継続を実現

 

5. 株主還元の方針

□ 安定配当の継続が基本   

□ 配当は期間業績・フリーCF・将来の事業展開等を総合的に勘案して決定

□ 配当性向30%を目安とする

 

≪注意事項≫

本計画は、公表時点で入手可能な情報に基づき策定したものです。従いまして、今後の国内外の経済情勢や予測不可能な要素等により、実際の業績は計画値と大幅に異なる可能性があります。

 

 

2 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性がある事項には、以下のようなものがあります。

ただし、これら事業等のリスクは、当連結会計年度末現在において判断したものであり、全てを網羅したものではありません。

 

 

(1) 製品・原燃料の国際市況の変動

当社グループでは、石油化学事業・クロル・アルカリ事業を中心に、原油、ナフサ、石油化学製品等の市況・課税負担の変動が当社グループの経営成績及び財政状態に重大な影響を与える可能性があります。

 

(2) 在庫評価の影響

当社グループは、たな卸資産の評価方法及び評価基準について、主として総平均法による原価法を採用しております。そのため、ナフサや重油等の原燃料価格が在庫単価に比べて下落する局面においては、期初の相対的に高価な在庫の影響により売上原価が押上げられるなど、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。また、収益性の低下に基づく簿価切下げを行った場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(3) 国内外の経済情勢・需要変動

国内外の顧客や市場の動向、経済情勢、競合他社の事業展開といった外部環境が、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(4) 企業買収・資本提携及び事業再編

当社グループは、事業の拡大・効率化や競争力強化を目的として国内外における企業買収、資本提携を実施しております。当社グループ及び出資先企業を取り巻く事業環境の変化により、活動が円滑に進まない、あるいは当初期待した効果が得られないなどの場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

また、不採算事業からの撤退や関係会社の整理等の事業再編を行った場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(5) 為替レートの変動

当社グループは、国内で製造した製品の一部を海外へ輸出しており、原燃材料の大半は海外から輸入しております。大幅な為替レートの変動は、外貨建取引、外貨建資産・負債、更には海外グループ会社の財務諸表の円換算額にも影響を及ぼすこととなり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(6) 海外での事業活動

当社グループは、製品の輸出及び海外における現地生産等、幅広く海外での事業活動を行っております。しかしながら、戦争・テロ・その他の要因による社会的又は政治的混乱、社会インフラの未整備、人材の採用・確保の困難といったリスクが存在しており、このようなリスクが顕在化し海外での事業活動に支障が生じた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(7) 原燃材料の調達

当社グループは、生産活動に必要な原燃材料を国内外から調達しており、原燃材料の調達先の多様化、中長期的契約の締結、あるいはスポット市場からの購入により長期的、安定的な調達に取り組んでおります。しかしながら、供給者における災害・事故等による調達への支障が発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

 

(8) 金利変動

当社グループは、有利子負債の削減や金融収支の改善に努めておりますが、今後金利が上昇した場合には支払利息が増加し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(9) 固定資産の減損

当社グループは、固定資産の減損に係る会計基準を適用しておりますが、今後大幅な事業収益性の悪化や不動産価格の下落等があった場合には減損損失が発生し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(10) 有価証券の評価損

当社グループは、主に取引先との関係維持のために株式を保有しておりますが、株式相場の大幅な下落、又は株式保有先の財政状態の悪化により株式の評価が著しく下落した場合には株式の評価損が発生し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(11) 繰延税金資産の取崩し

当社グループは、税務上の繰越欠損金及び将来減算一時差異に対して、将来の課税所得を合理的に見積り回収可能性を検討した上で繰延税金資産を計上しておりますが、実際の課税所得が見積りと異なり回収可能性の見直しが必要となった場合、又は税率変更を含む税制の改正等があった場合には、繰延税金資産の取崩しが必要となり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(12) 退職給付関係

当社グループの退職給付債務及び退職給付費用は、年金数理計算上使用される各種の基礎率と年金資産の運用利回り等に基づき算出されております。年金資産の時価の変動、金利の変動、退職金・年金制度の変更等に伴う退職給付債務及び退職給付費用の変動が、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(13) 環境関連等法的規制

当社グループは、環境保全と安全及び健康の確保が経営の最重要課題であると認識し、事業活動を行っております。しかしながら、今後環境等に関する国内外の法的規制の強化あるいは社会的責任の要請等により、事業活動の制限、若しくは追加の設備投資や新たな費用が発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

また、今後二酸化炭素等の排出に関連して数量規制や税の賦課が導入された場合には、事業活動が制約を受けることにより、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(14) 品質問題

当社グループは、製品の品質保証体制を確立し、製造物賠償責任保険も付保しております。しかしながら、製品に予期せぬ欠陥が発生した場合には、社会的信用の低下や製品の販売中止等に繋がり、更に訴訟が提起される事態に発展することも想定されます。このような場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(15) 訴訟

当社グループは、東ソーグループ行動指針の制定を行い、国内外の法令遵守に努めております。しかしながら、広範な事業活動を行う中、訴訟、その他の法律的手続きの対象となるリスクがあり、重要な訴訟等の提起を受ける可能性があります。現在及び将来の事件での帰趨を予測することは困難でありますが、裁判等において不利益な決定や判決がなされた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

 

(16) 知的財産

当社グループは、知的財産権の重要性を認識し、国内外において、知的財産の権利化、第三者が保有する知的財産権の侵害防止に取り組んでおります。しかしながら、広範囲に事業を展開する中で、当社グループの知的財産権が侵害される可能性や第三者が保有する知的財産権を侵害する可能性があり、こうした場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(17) 事故・災害

当社グループは、日常的及び定期的な設備の点検・保守、安全関連投資等を実施し、設備事故等の発生の未然防止に努めております。しかしながら、自然災害、不慮の事故の発生の影響で、生産停止に伴う損失、工場周辺地域への被害補償に伴う費用、多額の設備補修費等が発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(18) 技術革新

当社グループは、「技術的に存在感のある企業」を目指し、各事業分野において積極的な研究開発を展開しております。特に機能商品事業においては、技術革新のスピードが著しく、タイムリーに新製品を開発・提供していく必要があると考えております。しかしながら、顧客ニーズに適合して継続的に新製品の開発・提供ができない場合、あるいは他社において画期的な技術革新がなされた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(19) 情報セキュリティ

当社グループは、サイバー攻撃に対し様々な防御策を講じておりますが、事業所のプラント制御系システムや基幹システムに問題が発生した場合には、重要な業務の中断を余儀なくされ、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

また、機密情報や個人情報の管理に努めておりますが、これらの情報が漏洩した場合には、競争力低下や社会的信用の低下を招き、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

(1)財政状態の状況

 

 事業全体及びセグメント情報に記載された区分ごとの状況

 

総資産は、機械装置及び運搬具、建設仮勘定の増加等により、前連結会計年度末に比べ324億45百万円増加し8,781億94百万円となりました。

負債は、未払法人税等の減少等により、前連結会計年度末に比べ189億89百万円減少し2,986億92百万円となりました。

純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上等により、前連結会計年度末に比べ514億35百万円増加し5,795億1百万円となりました。

 

   セグメント別の財政状態は、次のとおりであります。

 

 

  石 油 化 学 事 業

 

ナフサ分解炉の効率化投資などにより固定資産が増加したことに加え、売上高増加に伴い営業債権が増加したことなどから、当連結会計年度末のセグメント資産は、前連結会計年度末と比べ127億90百万円増加し1,271億46百万円となりました。

 

 

ク ロ ル ・ ア ル カ リ 事 業

 

発電設備の効率化投資や事業所建屋の集中建替えなどにより固定資産が増加したことなどから、当連結会計年度末のセグメント資産は、前連結会計年度末と比べ85億6百万円増加し2,749億32百万円となりました。

 

 

機 能 商 品 事 業

 

ハイシリカゼオライトや石英ガラスなどの生産能力増強投資により固定資産が増加したことに加え、一部製品の在庫積み増しによりたな卸資産が増加したことなどから、当連結会計年度末のセグメント資産は、前連結会計年度末と比べ213億98百万円増加し2,339億90百万円となりました。

 

 

エ ン ジ ニ ア リ ン グ 事 業

 

水処理事業の売上高増加に伴い営業債権を中心に流動資産が増加したことなどから、当連結会計年度末のセグメント資産は、前連結会計年度末と比べ87億40百万円増加し1,176億9百万円となりました。

 

 

そ の 他 事 業

 

商社において売上高増加に伴い営業債権を中心に流動資産が増加したことに加え、物流会社における設備投資により固定資産が増加したことなどから、当連結会計年度末のセグメント資産は、前連結会計年度末と比べ36億34百万円増加し381億55百万円となりました。

 

 

 

(2)経営成績の状況

 

 ① 事業全体及びセグメント情報に記載された区分ごとの状況

 

当連結会計年度のわが国経済は、企業収益や雇用環境の改善などを背景に内需は底堅く推移したものの、中国を中心とした海外経済の変調により外需が減速感を強める等、その先行きは不透明な状況が続いております。

このような情勢下、当社グループの連結業績については、売上高は、ウレタン製品等の一部海外製品市況の下落はあったものの、ナフサ等の原燃料価格の上昇に伴う石油化学製品の価格上昇により、8,614億56百万円と前連結会計年度に比べ385億98百万円(4.7%)の増収となりました。営業利益は、原燃料価格の上昇による交易条件の悪化等により、1,057億39百万円と前連結会計年度に比べ248億41百万円(19.0%)の減益となりました。経常利益は、1,130億27百万円と前連結会計年度に比べ192億29百万円(14.5%)の減益となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、781億33百万円と前連結会計年度に比べ106億61百万円(12.0%)の減益となりました。

 

 

セグメント別の経営成績は、次のとおりであります。

 

 

石 油 化 学 事 業

 

エチレン、プロピレンは、生産量の減少に伴い出荷が減少しましたが、ナフサ価格等の上昇を反映して製品価格は上昇いたしました。

ポリエチレン樹脂は、ナフサ価格の上昇を反映して製品価格が上昇いたしました。クロロプレンゴムは、堅調な海外需要を背景に輸出価格が上昇いたしました。

この結果、売上高は前連結会計年度に比べ91億58百万円(5.2%)増加し1,839億26百万円となりましたが、営業利益は交易条件の悪化等により、前連結会計年度に比べ91億29百万円(40.5%)減少し133億92百万円となりました。

 

 

  ク ロ ル ・ ア ル カ リ 事 業

 

苛性ソーダは、国内外とも出荷が堅調に推移いたしました。また、海外市況は下落しましたが、国内価格の是正により製品価格は上昇いたしました。塩化ビニルモノマーは、出荷が増加し、海外市況の上昇により製品価格は上昇いたしました。塩化ビニル樹脂は、生産量の減少に伴い出荷が減少しましたが、国内価格の是正及び海外市況の上昇により製品価格は上昇いたしました。

セメントは、国内出荷は堅調に推移しましたが、輸出は減少いたしました。

ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)は、海外市況の下落により輸出価格が下落いたしました。

この結果、売上高は前連結会計年度に比べ23億53百万円(0.7%)増加し3,373億77百万円となりましたが、営業利益は交易条件の悪化等により、前連結会計年度に比べ206億24百万円(31.0%)減少し459億96百万円となりました。

 

 

  機 能 商 品 事 業

 

エチレンアミンは、生産量の減少に伴い出荷が減少いたしました。

計測関連商品は、欧州向けを中心に液体クロマトグラフィー用充填剤の出荷が減少いたしました。診断関連商品は、アジア向けで体外診断用医薬品の出荷が増加いたしました。

ハイシリカゼオライトは、自動車排ガス触媒用途を中心に輸出が増加いたしました。ジルコニアは、装飾品用途での出荷が増加いたしました。石英ガラスは半導体製造装置向けに出荷が増加いたしました。

この結果、売上高は前連結会計年度に比べ103億6百万円(5.5%)増加し1,974億22百万円となり、営業利益は前連結会計年度に比べ14億49百万円(4.3%)増加し353億48百万円となりました。

 

 

  エ ン ジ ニ ア リ ン グ 事 業

 

水処理事業は、半導体関連の大型プロジェクトを国内外で受注したことに加え、企業の堅調な設備投資・生産活動を背景に、電子・一般産業分野においてメンテナンス・消耗品交換等のソリューションサービスが好調に推移したことから、売上高が増加いたしました。

建設子会社の売上高は増加いたしました。

この結果、売上高は前連結会計年度に比べ140億94百万円(16.6%)増加し989億18百万円となり、営業利益は前連結会計年度に比べ34億34百万円(70.5%)増加し83億3百万円となりました。

 

 

  そ の 他 事 業

 

商社等その他事業会社の売上高は増加いたしました。

この結果、売上高は前連結会計年度に比べ26億87百万円(6.5%)増加し438億11百万円となり、営業利益は前連結会計年度に比べ27百万円(1.0%)増加し26億98百万円となりました。

 

 

 ② 目標とする経営指標の達成状況等

 

3ヵ年中期経営計画の最終年にあたる2018年度は、コモディティ事業(石油化学及びクロル・アルカリセグメント)が市況高を追い風に収益を牽引し、前年度に続き1,000億円を超える営業利益を計上できました。2018年度は営業利益が1,057億円、営業利益率が12.3%、ROEが15.1%となり、いずれも中期経営計画で掲げた数値目標を達成しております。

中期経営計画では「ハイブリッド経営の深化」・「財務基盤の維持・強化」・「安全改革の推進」を基本方針に掲げ、これらの実現に向け諸施策を実行してまいりました。

「ハイブリッド経営の深化」については、コモディティ事業はナフサ分解炉や発電設備への効率化投資を実施することで事業基盤を強化し、また、スペシャリティ事業(機能商品セグメント)はハイシリカゼオライトやジルコニアなどの成長分野の製造設備を増強することで当面の需要増加に対応できる生産体制を整えました。3ヵ年累計での設備投資額は1,421億円となり、計画を100億円程度上回っております。

「財務基盤の維持・強化」については、中期経営計画の対象となる3ヵ年はいずれの年も1,000億円を超える営業利益を計上できたことから、2018年度末のネットDEレシオはほぼゼロとなり、また、自己資本比率が61.6%まで上昇するなど、財務基盤は想定を上回るペースで強化できております。

「安全改革の推進」については、教育・システム導入・設備保全の観点から取り組みを進めておりますが、教育についてはKnow-Why教育やシミュレーターでの運転教育、更には実習プラントでの体験教育を通して、運転員に原理原則を理解させると共に、体験型の教育を充実させることで若手運転員の早期育成にも努めております。システム導入については運転支援システムや異常予兆検知システムの導入により運転員による正しく安全なオペレーションをハード面から支援し、また、設備保全については2014年度以降の5ヵ年で累計160億円を投じて予防保全を強化しております。

 

《数値目標の達成状況》                                           (億円)

 

2016年度

実績

2017年度

実績

2018年度

実績

 

2018年度

目標

差異

営業利益

1,112

1,305

1,057

 

850

207

営業利益率

15.0%

15.9%

12.3%

 

10%以上

達成

ROE

 20.1%

19.6%

15.1%

 

10%以上

達成

 

 

 

 ③ 生産、受注及び販売の状況

(1) 生産実績

(単位:百万円)

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2018年4月1日

至 2019年3月31日)

前年同期比(%)

石油化学事業

195,506

103.6%

クロル・アルカリ事業

331,886

98.4%

機能商品事業

165,029

102.8%

エンジニアリング事業

76,656

120.0%

その他事業

合計

769,079

102.5%

 

(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

2 原則として、生産金額は、生産総量から自家使用量を差引いた販売向け生産量に、当連結会計年度中の平均販売単価を乗じて算出しております。

3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2) 受注実績

主として見込み生産であります。

 

(3) 販売実績

(単位:百万円)

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2018年4月1日

至 2019年3月31日)

前年同期比(%)

石油化学事業

183,926

105.2%

クロル・アルカリ事業

337,377

100.7%

機能商品事業

197,422

105.5%

エンジニアリング事業

98,918

116.6%

その他事業

43,811

106.5%

合計

861,456

104.7%

 

(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(3)キャッシュ・フローの状況

 

 

現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ140億83百万円減少し、920億94百万円となりました。

 

営業活動によるキャッシュ・フローは、775億11百万円の収入となりました。税金等調整前当期純利益の減少等により、前連結会計年度に比べ379億18百万円収入が減少いたしました。

 

投資活動によるキャッシュ・フローは、633億10百万円の支出となりました。設備投資による支出額の増加等により、前連結会計年度に比べ201億81百万円支出が増加いたしました。

この結果、フリー・キャッシュ・フローは前連結会計年度に比べ580億99百万円収入が減少し、142億円の収入となりました。

財務活動によるキャッシュ・フローは、269億62百万円の支出となりました。借入金の返済額の減少等により、前連結会計年度に比べ247億82百万円支出が減少いたしました。

なお、当連結会計年度の設備投資の資金調達は主に自己資金及び借入金により賄っております。

重要な資本的支出の予定及びその資金の調達源等については、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画 (1)重要な設備の新設等」に記載しております。

 

 

 

 

4 【経営上の重要な契約等】

・ 当社は、太平洋セメント株式会社にセメントの全面的な販売委託をしております。

 

・ 当社の塩化ビニル樹脂事業に関する合弁契約

2000年3月31日付で当社、三井化学株式会社及び電気化学工業株式会社(現・デンカ株式会社)は、塩化ビニル樹脂事業を再構築するため、合弁契約を締結しております。

契約締結に伴い、当社の子会社である大洋塩ビ株式会社において、塩化ビニル樹脂の製造・販売・研究を行い、当社主導で運営しております。

 

 

5 【研究開発活動】

急激な国内産業構造の変化及び国際的な社会課題が変化する中、SDGs(持続可能な開発目標)を意識した研究開発による経営貢献を基本方針とし、基盤事業の強化・拡大と当社の持続的成長への新規事業の創出に向けて、8つの研究開発部門及びオルガノ株式会社開発センターが中心となった研究開発活動を推進しております。

具体的には、アドバンストマテリアル研究所、ライフサイエンス研究所、無機材料研究所及び有機材料研究所では機能商品事業分野、ファンクショナルポリマー研究所、高分子材料研究所、ウレタン研究所では石油化学事業分野及びクロル・アルカリ事業分野、技術センターでは各製品に関わるプロセス開発、オルガノ株式会社開発センターではエンジニアリング事業分野の研究開発を担っております。

技術革新が急速に進む中、当社グループ単独での研究開発を補完すべく、オープンイノベーションにも積極的に取り組んでおり、国内外の研究機関との共同研究、産学連携講座の開設、さらには、ベンチャーキャピタルファンド投資や米国への研究員派遣により、技術情報収集力の強化と外部技術の獲得を進めております。特に、当社の生産活動から排出したCO2をポリウレタン原料等の有用な化学製品へ変換し、有効利用していくため、国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構の先導研究プログラムに参画しております。

また、研究開発体制の強化として、南陽事業所では新研究棟、ベンチ棟の建設による高機能材料、有機化成品関連研究設備の刷新、四日市事業所では新研究棟、カスタマーラボ棟の建設によるポリマー、ウレタン製品関連研究の集約を進めております。

当連結会計年度における当社グループ全体での研究開発要員は約990名であり、研究開発費は約166億円であります。

 

セグメント別の主な研究開発活動の状況を概観すると、次のとおりであります。

 

石油化学事業

    石油化学事業に関しては、既存ポリマー製品の改良、周辺技術の強化及び新規ポリマー材料の開発を推進して
    おります。

ポリエチレン関連では、新規ポリエチレンを使用した耐熱輸液ボトルが海外を中心に高い評価を受け、市場展開が本格化しました。また、独自触媒による超高分子量ポリエチレン(デカミレン®)は量産化技術を確立し、リチウム二次電池セパレーター、摺動部材用途での採用の目途を得ています。さらに、PPS関連は耐冷熱衝撃性に優れるグレードを開発し、自動車部品向けに国内外での展開を加速しています。

一方、フル生産中である石油樹脂、CR、CSMについても、より付加価値の高い製品の開発を継続しています。ペースト塩ビは自動車向けのコーティンググレードの本格採用が始まりました。

電子関連への展開としては、液晶用光学材料、有機EL用光学材料など、当社独自コンセプトに基づく新規ポリマー材料の開発を積極的に進めております。

    なお、本事業分野における研究開発費は約24億円であります。

 

 

クロル・アルカリ事業

クロル・アルカリ事業に関しては、ビニル・イソシアネート・チェーン関連技術の更なる強化へ向けて継続的な製造技術の革新に取り組んでおります。具体的には、塩ビモノマーの原料となる二塩化エタンを製造するオキシ塩素化工程において、活性・選択性・耐久性の全てに優れ、世界をリードする独自触媒への転換を進めております。

ポリウレタン関連では、原料であるイソシアネートの機能性向上と製造プロセスの開発、機能性ポリオールの開発、及び、ポリウレタンフォーム、エラストマー及びコーティングを始めとするウレタン関連製品の処方開発に積極的に取り組むと共に、他の事業分野との連携による開発にも注力しております。具体的には、自動車の軽量化や高性能化に対応した低密度・高耐久性のAll-MDI系シートクッション、耐薬品性に優れた合皮用ウレタン樹脂とポリカーボネートポリオール、及び、クリアトップコート用低粘度硬化剤や高硬度硬化剤の開発、さらには、高まる環境ニーズに適合した水系塗料用原料や地球温暖化係数の低い新発泡剤を用いた断熱ポリウレタンフォームの開発を積極的に進めております。

また、電解関連においても、継続的な技術改良(省エネルギー化)に取り組んでおります。
  なお、本事業分野における研究開発費は約34億円であります。

 

機能商品事業

機能商品事業に関しては、ライフサイエンス、環境・エネルギー、電子材料などに関する研究開発を実施しております。

ライフサイエンス関連における免疫診断事業関連では次世代装置と試薬の開発、遺伝子検査事業関連では感染症診断のための新規製品開発を進めております。分離精製剤事業関連では、急速に市場が成長しているバイオ医薬品の分離剤や分析用液体クロマトグラフィーカラムの開発に注力しており、世界初の抗体医薬品活性分析用カラムが実用化に至りました。また、「次世代バイオ医薬品製造技術研究組合」に参加し、抗体医薬品等を分離精製する革新的なプロセスの開発、先進的な抗体の解析技術の開発に鋭意取り組んでおります。

また、微細加工技術を用いた早期がん検査技術、細胞医薬品の検査技術などの研究開発も大きく進展すると共に、歯科用透光感ジルコニアや装飾用カラージルコニアの品揃えも進みました。

環境・エネルギー関連では、今後も需要拡大が予想されるリチウム二次電池の材料開発、コンデンサの高容量化に寄与する新規導電性高分子(セルフトロン®)の開発が進展しております。また、自動車排ガス浄化触媒用ゼオライトに加え、水質・大気浄化用の高機能ゼオライト開発にも取り組んでおります。アミン誘導体としてはVOC低減に有効なウレタン発泡触媒(RZETA®)の拡販、環境負荷の極めて小さいHFO用のウレタン発泡触媒、アルデヒド捕捉剤の開発が進展しました。さらに、重金属処理剤(飛灰処理用、排水処理用)の品揃えも進みました。

電子材料関連におけるディスプレイ関連では有機EL用輸送材の高効率・長寿命化、タッチパネル用途では低温低抵抗薄膜用スパッタリングターゲット、半導体関連では将来の半導体素子の微細化に対応した次世代配線用の有機金属化合物や次世代半導体製造装置用の高機能石英部材などの開発を推進しております。また、プリンテッドエレクトロニクス関連では、塗布型有機半導体材料、光硬化型絶縁材料、親撥処理膜材料、保護層材料等の一連の材料開発を産学連携で進めております。

なお、本事業分野における研究開発費は約90億円であります。

 

エンジニアリング事業

エンジニアリング事業に関しては、オルガノ株式会社の開発センターを中心に開発を推進しております。

水処理エンジニアリング関連では、純水、超純水、上水等の用水処理装置、下排水処理装置、クロマト分離装置などの大型水処理関連設備の開発を実施しており、微量尿素計、新規凝集沈殿装置、新規生物処理装置、新規電気式脱塩装置、キャビネット型超純水製造装置の実用化を推進し、事業に寄与しました。

機能商品関連では、標準型水処理機器、水処理薬品、加工食品向けの食品添加物・素材の開発を実施しており、新規電子材料精製用樹脂、新規排水処理用栄養剤の実用化を推進し、事業に寄与しました。

    なお、本事業分野における研究開発費は約18億円であります。