第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

当社グループは、「化学の革新を通して、幸せを実現し、社会に貢献する」を企業理念に掲げ、この理念を実現し企業価値を継続的に向上させるため、経営環境の変化に迅速に対応し、公正で透明性の高い企業経営を行ってまいります。

 

企業理念の実現に向けて、以下を「東ソーグループCSR基本方針」として共有・実践してまいります。

1.事業を通じた社会の持続可能な発展への貢献

化学を基盤とした独自の技術を深め、世界の事業パートナーとの協創を通じて、社会問題を解決し、

人々の幸福に寄与する革新的で信頼性のある製品・サービスを提供します。

2.安全・安定操業の確保

事業活動にかかわる人々の安全・健康の確保と安定操業が、経営の最重要課題であることを認識し、

安全文化の醸成と安全基盤の強化に真摯に取り組みます。

3.自由闊達な企業風土の継承・発展

働きがいがあり、人権と多様性を尊重する風通しの良い職場環境を育むことで、

活力にあふれ、従業員とその家族が誇りを持てる企業風土を実現します。

4.地球環境の保全

化学物質管理を徹底すると共に、事業活動が地球環境に及ぼす環境負荷の最小化に

バリューチェーン全体で継続的に取り組みます。

5.誠実な企業活動の追求

コンプライアンスを徹底し、対話と協働を基本とする誠実で透明性の高い企業活動を通じて、

ステークホルダーから信頼されるグローバルな企業グループを実現します。

 

(2)経営環境及び対処すべき課題

世界の経済・社会活動において、新型コロナウイルスの感染拡大の影響が日増しに深刻度を増しており、その終息時期の見通しが立たない中、国内外の経済情勢の先行きを見極めることは困難な状況となっております。

当社グループとしましては、新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、需給環境の悪化は勿論のこと、原燃料価格や海外製品市況の乱高下、為替レートの急変、サプライチェーンの分断などの様々な事業環境の変化に注意を払い、迅速かつ柔軟な対応に努めてまいる所存であります。

また、2020年度は、昨年5月に公表した3ヶ年中期経営計画の2年目の年に当たります。引き続き中期経営計画に掲げた目標に向けて尽力していくことに変わりはありませんが、まずは足元で直面している新型コロナウイルス問題に対して、感染予防・拡大防止に努めるとともに、事業に及ぼす影響を最小限に抑えるべく、全社一丸となって取り組んでまいります。

 

 

[2019~2021年度 中期経営計画の概要]

当社は、2019年5月17日に、2021年度を最終年度とする3ヶ年の中期経営計画を公表いたしました。当該計画の概要につきましては以下のとおりです。

 

1.      経営方針

1.1    基本方針

□ ハイブリッド経営による収益の安定・拡大

・ コモディティ事業 : 能力増強も視野に一段の基盤強化を進め、競争力・収益力の向上を図る

・ スペシャリティ事業: 成長分野の差別化・能力増強による事業規模拡大、新規事業の育成により、

収益基盤の安定・拡充を図る

□ 安全基盤の強化・安全文化の醸成

・ プラントの安全操業は社会的責務であり、全てに優先する

□ 強固な財務基盤の維持

・ 大型投資・M&Aをタイムリーに実行できる強固な財務基盤を維持する

□ 省エネ・CO2有効利用の推進

・ 省エネは社会的責務であり、不断の投資を継続する

 

1.2    数値目標     

(億円)

 

2019年度

予想

2019年度

実績

2021年度

目標

売上高

8,600

7,861

8,900

営業利益

950

817

1,100

営業利益率

11.0%

10.4%

10%以上

ROE

10.0%

10%以上

 

※売上高は下記前提での参考値、ナフサ価格(フォーミュラ製品)やコモディティ製品の市況変動で売上高は大きく増減

前提

ドル

110円/$

109円/$

110円/$

ユーロ

125円/€

121円/€

125円/€

ナフサ

46,000円/kl

42,725円/kl

46,000円/kl

 

 

2.      投資方針

2.1    方向性

 コモディティ事業

 □ 事業基盤の更なる強化

   ・ クロアリ基盤強化(海外新拠点の設立を含め検討、大洋塩ビ大阪工場は閉鎖)、MDIデボトル増強

   ・ 発電設備効率化、バイオマス混焼(省エネ推進)

 □ 誘導品の更なる強化

   ・ 高度さらし粉、超高分子量PE

 スペシャリティ事業

 □ 成長分野の能力増強

   ・ CR、新規セラミックス材料、グリコカラム・溶離液、臭素・難燃剤

 □ 需要動向見極め、半導体関連へ追加投資

    ・ 石英ガラス素材・加工品

  インフラ関連

 □ 物流インフラの強化・効率化

     ・ 総合物流倉庫新設、エチレン・VCM船更新

 

2.2    投融資計画

           □ 19-21年度投資額=通常設備投資1,400億円+M&A等300億円+α:クロアリ成長投資

      □ M&A枠は目安として300億円を設定、バイオ関連を中心に探索

 

主な設備投資計画

 

・ CR(デボトル)   

半導体関連製品(増設)

発電ボイラバイオマス混焼対応

 

・ 新規セラミックス材料(新設)

・ MDI(デボトル)

・ 総合物流倉庫(新設)

 

・ グリコカラム・溶離液(自動化)

・ 高度さらし粉(S&B)

・ エチレン・VCM船更新

 

・ 臭素(S&B) 

・ 超高分子量PE

 

 

・ 臭素系難燃剤(増設)

・ 発電設備効率化

 

 

 

3. 研究開発の方針

  □ 前中計での施策を基盤に、新製品の開発加速

  □ MI技術構築による材料設計の効率化 ※MI:マテリアルズ・インフォマティクスの略

  □ SDGs を踏まえた研究開発の推進

 

4. 財務基盤強化の方向性

□ 大型投資・M&Aをタイムリーに実行できる強固な財務基盤を維持

□ 強固な財務基盤を維持することで、安定配当の継続を実現

 

5. 株主還元の方針

□ 安定配当の継続が基本   

□ 配当は期間業績・フリーCF・将来の事業展開等を総合的に勘案して決定

□ 配当性向30%を目安とする

 

≪注意事項≫

本計画は、公表時点で入手可能な情報に基づき策定したものです。従いまして、今後の国内外の経済情勢や予測不可能な要素等により、実際の業績は計画値と大幅に異なる可能性があります。

 

[中期経営計画の進捗]

 3ヶ年中期経営計画の初年度となる2019年度の業績は、主としてウレタン原料の海外市況下落や半導体関連製品の需要伸び悩み等で2019年度の計画値を下回る結果となりました。2019年度実績の売上高は7,861億円で計画比739億円の減収、営業利益は817億円で計画比133億円の減益となっております。

 新型コロナウイルス感染症拡大の影響で世界経済が未曽有の危機に直面するなか、当社グループにおいては2020年度以降の業績を合理的に見積もることが困難な状況にあります。中期経営計画で示した経営・投資・研究開発・財務・株主還元等に関する3ヶ年の方針は、その方向性に変更はありませんが、計画した諸施策については、ウイルスの感染拡大状況や世界経済の動向に応じて実施時期等を適宜見直すことになると思われます。

 

2 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 製品・原燃料の国際市況の変動

当社グループでは、石油化学事業、クロル・アルカリ事業を中心に、ナフサや製品等の市況変動の影響を受ける製品を有しており、それらは製品価格変動リスクに晒されております。また、ナフサ、石炭等の原燃料についても多くが市況変動に伴う購入価格変動リスクに晒されており、急激な原燃料価格の高騰に対し、製品市況が連動して上昇しない場合や製品価格の是正が適切に行われない場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に重大な影響を与える可能性があります。

 

(2) 在庫評価の影響

当社グループは、たな卸資産の評価方法及び評価基準について、主として総平均法による原価法を採用しております。そのため、ナフサや重油等の原燃料価格が在庫単価に比べて下落する局面においては、期初の相対的に高価な在庫の影響により売上原価が押上げられるなど、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。また、収益性の低下に基づく簿価切下げを行った場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(3) 国内外の経済情勢・需要変動、競合

国内外の顧客や市場の動向、経済情勢の変動により、当社グループの製品マーケットの縮小や市況の下落が生じた場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。また、競合他社による生産能力増強や低価格販売などの事業展開により、当社グループの製品マーケットのシェア低下や需給バランスが崩れることによる製品価格の下落が生じた場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(4) 企業買収・資本提携及び事業再編

当社グループは、事業の拡大・効率化や競争力強化を目的として国内外における企業買収、資本提携を実施しております。当社グループ及び出資先企業を取り巻く事業環境の変化により、活動が円滑に進まない、あるいは当初期待した効果が得られないなどの場合には、のれんの減損処理を行う必要が生じる等、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

また、不採算事業からの撤退や関係会社の整理等の事業再編を行った場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(5) 為替レートの変動

当社グループは、国内で製造した製品の一部を海外へ輸出しており、原燃料の大半は海外から輸入しております。大幅な為替レートの変動は、外貨建取引、外貨建資産・負債、更には海外グループ会社の財務諸表の円換算額にも影響を及ぼすこととなり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(6) 海外での事業活動

当社グループは、製品の輸出及び海外における現地生産等、幅広く海外での事業活動を行っております。しかしながら、戦争・テロ・その他の要因による社会的又は政治的混乱、社会インフラの未整備、人材の採用・確保の困難といったリスクが存在しており、このようなリスクが顕在化し海外での事業活動に支障が生じた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

 

(7) 原燃料の調達

当社グループは、生産活動に必要な原燃料を国内外から調達しており、原燃料の調達先の多様化、中長期的契約の締結、あるいはスポット市場からの購入により長期的、安定的な調達に取り組んでおります。しかしながら、特定の地域やサプライヤーに依存している原燃料もあるため、その供給者における災害・事故等による調達への支障が発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(8) 金利変動

当社グループは、大型投資・M&Aをタイムリーに実行できる強固な財務基盤を維持することを財務方針とし、戦略的投資とのバランスを考慮しつつ、有利子負債の削減や金融収支の改善に努めておりますが、今後金利が上昇した場合には支払利息が増加し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(9) 環境関連等法的規制

当社グループは、環境保全と安全及び健康の確保が経営の最重要課題であると認識し、事業活動を行っております。しかしながら、今後環境等に関する国内外の法的規制の強化あるいは社会的責任の要請等により、事業活動の制限、若しくは追加の設備投資や新たな費用が発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(10) 気候変動

パリ協定が採択されたのを機に気候変動や地球温暖化の原因とされる温室効果ガスの排出削減を目的とした取り組みが世界的に進められております。当社グループは、「CO2削減・有効利用推進委員会」を立ち上げ、CO2の削減や有効利用に向けた技術改善を推進しておりますが、今後CO2等の排出や化石燃料の利用に関連して数量規制や税の賦課が導入された場合や化石燃料由来ではない代替品の出現等で石油関連製品の需要が減少した場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

また、気候変動による極端な気象現象(台風、洪水等)の発生で生産設備や輸送に使用する道路等が被害を受けた場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(11) 事故・災害・感染症

当社グループは、日常的及び定期的な設備の点検・保守、安全関連投資等を実施し、設備事故等の発生の未然防止に努めております。しかしながら、自然災害、不慮の事故などの影響を完全に防止し、軽減することは出来ません。万一、事故・災害により、製造設備停止に伴う損失、工場周辺地域への被害補償に伴う費用、多額の設備補修費等が発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

また、当社グループが事業活動を展開する国や地域において、新型コロナウイルスやインフルエンザ等の感染症が発生・拡大し、生産や営業活動を停止せざるを得なくなった場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

なお、新型コロナウイルス感染症に対して当社グループは、従業員の感染機会を削減するため、在宅勤務、時差出勤を推進するとともに、出張・会議・面談の自粛等の対策を実施しております。特に製造拠点では、生産停止のリスクを踏まえ、来訪者に対し検温実施など感染拡大防止に努めております。

 

(12) 設備投資

当社グループは、今後の需要予測、損益等を総合的に勘案して、戦略的に設備投資を実施しております。しかしながら、人手不足による建設費・物流費の高騰などにより実際の投資額が予定額を大幅に上回った場合や、製品・原燃料市況の変化等により計画通りの収益が得られなかった場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

 

(13) 品質問題

当社グループは、製品の品質保証体制を確立し、製造物賠償責任保険も付保しております。しかしながら、製品に予期せぬ欠陥が発生した場合には、社会的信用の低下や製品の販売中止等に繋がり、更に訴訟が提起される事態に発展することも想定されます。このような場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(14) 訴訟

当社グループは、東ソーグループ行動指針の制定を行い、国内外の法令遵守に努めております。しかしながら、広範な事業活動を行う中、訴訟、その他の法律的手続きの対象となるリスクがあり、重要な訴訟等の提起を受ける可能性があります。現在及び将来の事件での帰趨を予測することは困難でありますが、裁判等において不利益な決定や判決がなされた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(15) 知的財産

当社グループは、知的財産権の重要性を認識し、国内外において、知的財産の権利化、第三者が保有する知的財産権の侵害防止に取り組んでおります。しかしながら、広範囲に事業を展開する中で、当社グループの知的財産権が侵害される可能性や第三者が保有する知的財産権を侵害する可能性があり、こうした場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(16) 技術革新

当社グループは、急激な国内産業構造の変化及び国際的な社会課題が変化する中、基盤事業の強化・拡大と当社の持続的成長への新規事業の創出に向けて、積極的な研究開発を展開しております。特に機能商品事業においては、技術革新のスピードが著しく、タイムリーに新製品を開発・提供していく必要があると考えております。しかしながら、顧客ニーズに適合して継続的に新製品の開発・提供ができない場合、あるいは他社において画期的な技術革新がなされた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(17) 情報セキュリティ

当社グループは、サイバー攻撃に対し様々な防御策を講じておりますが、事業所のプラント制御系システムや基幹システムに問題が発生した場合には、重要な業務の中断を余儀なくされ、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

また、機密情報や個人情報の適切な管理に努めており、EU一般データ保護規則(GDPR)に対しても適切に対応しております。しかしながら、不測の事態により外部へ情報が漏洩した場合には、社会的信用や競争力の低下を招き、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(18) 固定資産の減損

当社グループは、固定資産の減損に係る会計基準を適用しておりますが、今後各製品において事業収益性の大幅な悪化や不動産価格の下落等があった場合には減損損失が発生し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(19) 有価証券の評価

当社グループは、主に取引関係の維持・発展などを目的に取引先の有価証券を保有しておりますが、当社グループが保有する有価証券の大幅な市場価格の下落、又は株式保有先の財政状態の悪化により有価証券の評価が著しく下落した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(20) 繰延税金資産の取崩し

当社グループは、税務上の繰越欠損金及び将来減算一時差異に対して、将来の課税所得を合理的に見積り回収可能性を検討した上で繰延税金資産を計上しておりますが、実際の課税所得が見積りと異なり回収可能性の見直しが必要となった場合、又は税率変更を含む税制の改正等があった場合には、繰延税金資産の取崩しが必要となり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(21) 退職給付関係

当社グループの退職給付債務及び退職給付費用は、年金数理計算上使用される各種の基礎率と年金資産の運用利回り等に基づき算出されております。年金資産の時価の変動、金利の変動、退職金・年金制度の変更等に伴う退職給付債務及び退職給付費用の変動が、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(22) 工事進行基準による見積り

当社グループのエンジニアリング事業の会社において、工事進行基準を適用している会社があります。工事進行基準は、進捗部分について成果の確実性が認められる工事契約に対して適用されますが、適用にあたっては、工事収益総額、工事原価総額及び連結会計年度末における工事進捗度を合理的に見積もる必要があります。工事案件ごとに継続的に見積総原価や予定工事期間の見直しを実施する等適切な原価管理に取り組んでおりますが、それらの見直しが必要になった場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

(1)財政状態の状況

(単位:億円)

科目

前連結会計年度末

当連結会計年度末

増減

資産の部

 

 

 

 

流動資産

 

 

 

 

 

現金及び預金

940

988

48

 

 

受取手形及び売掛金

2,273

1,979

△ 294

 

 

棚卸資産

1,506

1,596

90

 

 

その他流動資産

289

258

△ 32

 

 

 

 

 

 

 

固定資産

 

 

 

 

 

有形・無形固定資産

2,804

3,099

295

 

 

投資有価証券

574

522

△ 51

 

 

その他投資等

397

424

27

 

 

 

 

 

 

資産合計

8,782

8,866

84

負債の部

 

 

 

 

 

支払手形及び買掛金

1,057

846

△ 211

 

 

有利子負債

1,011

959

△ 52

 

 

その他負債

919

965

46

 

 

 

 

 

 

負債合計

2,987

2,769

△ 218

純資産の部

 

 

 

 

株主資本

5,306

5,682

376

 

非支配株主持分

384

418

35

 

その他

105

△ 4

△ 109

 

 

 

 

 

 

純資産合計

5,795

6,097

302

負債純資産合計

8,782

8,866

84

 

 

総資産は、有形固定資産の増加等により、前連結会計年度末に比べ84億円増加し8,866億円となりました。有形固定資産の増加は、総合物流倉庫の新設、高度さらし粉の製造設備更新、ナフサ分解炉効率化等の設備投資の実行によるものであります。

負債は、支払手形及び買掛金の減少等により、前連結会計年度末に比べ218億円減少し2,769億円となりました。支払手形及び買掛金の減少は、主に前連結会計年度末日が金融機関の休日であった影響であります。

純資産は、その他有価証券評価差額金の減少や配当金の支払い等がありましたが、親会社株主に帰属する当期純利益の計上等により、前連結会計年度末に比べ302億円増加し6,097億円となりました。

 

 

(2)経営成績の状況

 

 ①事業全体及びセグメント情報に記載された区分ごとの状況

(単位:億円)

 

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増減

 

売上高

         8,615

         7,861

 △754

 

営業利益

         1,057

           817

 △241

 

経常利益

         1,130

           860

 △271

 

親会社株主に帰属する
当期純利益

           781

           556

 △226

 

 

〈参考〉為替、海外製品市況

 

単位

前連結会計年度

当連結会計年度

増減

為替レート

円/$

         110.9

         108.7

 △2.2

円/EUR

         128.4

         120.8

 △7.6

国産ナフサ

円/KL

        49,400

        42,725

 △6,675

ベンゼン

$/t

           745

           649

 △96

PVC

$/t

           888

           835

 △54

VCM

$/t

           725

           715

 △10

液体苛性

$/t

           413

           325

 △88

MDI(Monomeric)

$/t

         2,788

         1,932

 △856

MDI(Polymeric)

$/t

         1,701

         1,296

 △405

 

 

当連結会計年度のわが国経済は、米中貿易摩擦や中東地域における地政学的リスクなどを背景に減速懸念が強まる状況で推移してきましたが、今年に入り新型コロナウイルス感染拡大の影響により国内外の経済・社会活動が急停止し、世界経済は急激に悪化しております。

このような情勢下、当社グループの連結業績については、売上高は、ナフサ等の原燃料価格及び海外製品市況の下落による販売価格の下落に加え、景気減速に伴う販売数量の減少により、7,861億円と前連結会計年度に比べ754億円(8.7%)の減収となりました。営業利益は、販売価格の下落が原燃料価格の下落の影響を上回ったことによる交易条件の悪化等により、817億円と前連結会計年度に比べ241億円(22.8%)の減益となりました。経常利益は、860億円と前連結会計年度に比べ271億円(23.9%)の減益となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、556億円と前連結会計年度に比べ226億円(28.9%)の減益となりました。

 なお、当連結会計年度の当社グループにおける新型コロナウイルス感染症の影響については、ウレタン原料の製造・販売を行う中国子会社で稼働停止を余儀なくされるなど、一部の製品・地域において売上の減少等はあったものの、グループ全体としては限定的となりました。

 

セグメント別の経営成績は、次のとおりであります。

 

<売上高分析>                                     (単位:億円)

 

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増減

 

増減要因

 

 

 

数量差

価格差

 

石油化学事業

         1,839

         1,591

 △248

 

 △43

 △205

 

クロル・アルカリ事業

         3,374

         2,974

 △400

 

 △37

 △363

 

機能商品事業

         1,974

         1,850

 △124

 

 △80

 △44

 

エンジニアリング事業

           989

         1,015

           26

 

          34

 △8

 

その他事業

           438

           430

 △8

 

 △2

 △6

 

合計

         8,615

         7,861

 △754

 

 △129

 △625

 

 

<営業利益分析>                                    (単位:億円)

 

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増減

 

増減要因

 

 

 

数量差

交易条件

固定費差他

 

石油化学事業

134

103

△31

 

△16

7

△21

 

クロル・アルカリ事業

460

282

△178

 

△22

△102

△54

 

機能商品事業

353

279

△75

 

△22

△28

△24

 

エンジニアリング事業

83

127

44

 

44

0

0

 

その他事業

27

25

△2

 

△1

0

0

 

合計

1,057

817

△241

 

△18

△124

△100

 

 

石 油 化 学 事 業

 

エチレン等のオレフィン製品は、定修日数の増加による生産減及び景気減速に伴う需要減により出荷が減少いたしました。ポリエチレン樹脂は太陽電池封止膜用途で輸出が増加しましたが、クロロプレンゴムはアジア向けを中心に輸出が減少いたしました。また、ナフサ等の原燃料価格及び海外製品市況の下落により、オレフィン製品やポリエチレン製品の製品価格が下落いたしました。この結果、売上高は、前連結会計年度に比べ248億円(13.5%)減少し1,591億円となりました。

 営業利益は、比較的利益率の高いクロロプレンゴムなど機能性ポリマー製品の出荷が減少したことに加え、ナフサ等原料価格下落による製品受払差の悪化により、前連結会計年度に比べ31億円(23.1%)減少し103億円となりました。

 

  ク ロ ル ・ ア ル カ リ 事 業

 

ナフサ価格及び海外市況の下落によりウレタン原料や苛性ソーダ、塩ビ製品の製品価格が下落いたしました。また、国内外の需要停滞等を背景にウレタン原料などの出荷が減少いたしました。この結果、売上高は、前連結会計年度に比べ400億円(11.9%)減少し2,974億円となりました。

 営業利益は、塩ビ製品においてナフサ等原燃料価格の下落はあったものの、ウレタン原料や苛性ソーダの販売価格下落の影響で、交易条件が大幅に悪化いたしました。また、南陽事業所動力プラントの大規模修繕の実施などによる固定費の増加もあり、前連結会計年度に比べ178億円(38.7%)減少し282億円となりました。

 

  機 能 商 品 事 業

 

石英ガラス製品やジルコニア、ハイシリカゼオライトなどは需要減退により出荷が減少いたしました。また、ユーロ及び米国ドルに対しての円高進行により海外子会社の売上高の円換算額が減少いたしました。この結果、売上高は、前連結会計年度に比べ124億円(6.3%)減少し1,850億円となりました。

 営業利益は、販売数量減少の影響に加え、円高進行に伴う交易条件の悪化、また、設備投資に伴う減価償却費や労務費の増加などにより、前連結会計年度に比べ75億円(21.1%)減少し279億円となりました。

 

  エ ン ジ ニ ア リ ン グ 事 業

 

水処理事業において、電子産業分野において国内・台湾の大型プロジェクトの工事が順調に進捗したことに加え、各分野のメンテナンスや設備改造などのソリューションサービスが好調に推移いたしました。この結果、売上高は、前連結会計年度に比べ26億円(2.6%)増加し1,015億円となりました。

 営業利益は、水処理事業において、プラント部門を中心とした売上拡大効果に加え、国内外のプロジェクトにおけるコストダウン効果や比較的利益率の高いソリューション部門の売上拡大により採算性が改善したことにより、前連結会計年度に比べ44億円(53.4%)増加し127億円となりました。

 

  そ の 他 事 業

 

商社等その他事業会社の売上高は減少いたしました。

商社等その他事業会社の売上高は、前連結会計年度に比べ8億円(1.7%)減少し430億円となり、営業利益は、前連結会計年度に比べ2億円(6.1%)減少し25億円となりました。

 

 

② 目標とする経営指標の達成状況等

 

 目標とする経営指標の達成状況等については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております。

 

 ③ 生産、受注及び販売の状況

(1) 生産実績

(単位:百万円)

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2019年4月1日

至 2020年3月31日)

前年同期比(%)

石油化学事業

171,085

87.5

クロル・アルカリ事業

294,505

88.7

機能商品事業

158,850

96.3

エンジニアリング事業

80,340

104.8

その他事業

合計

704,780

91.6

 

(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

2 原則として、生産金額は、生産総量から自家使用量を差引いた販売向け生産量に、当連結会計年度中の平均販売単価を乗じて算出しております。

3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2) 受注実績

主として見込み生産であります。

 

(3) 販売実績

(単位:百万円)

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2019年4月1日

至 2020年3月31日)

前年同期比(%)

石油化学事業

159,140

86.5

クロル・アルカリ事業

297,356

88.1

機能商品事業

185,042

93.7

エンジニアリング事業

101,496

102.6

その他事業

43,047

98.3

合計

786,083

91.3

 

(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 

(3)キャッシュ・フローの状況

 

①当連結会計年度のキャッシュ・フローの概況

(単位:億円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増減

 

営業キャッシュ・フロー

税引前当期純利益

1,133

836

△ 297

減価償却費

345

349

4

法人税等

△ 417

△ 304

113

その他

△ 286

118

404

775

999

224

投資キャッシュ・フロー

△ 633

△ 703

△ 70

フリーキャッシュ・フロー

142

296

154

財務キャッシュ・フロー

有利子負債

△ 64

△ 50

14

配当金

△ 195

△ 182

13

その他

△ 11

△ 8

3

△ 270

△ 240

30

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

現金及び現金同等物に係る換算差額

△ 13

△ 5

8

 

現金及び現金同等物(期首)

1,062

921

△ 141

 

増減

△ 141

51

192

 

現金及び現金同等物(期末)

921

972

51

 

 

現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ51億円増加し、972億円となりました。

営業活動によるキャッシュ・フローは、999億円の収入となりました。売上債権の減少等により、前連結会計年度に比べ224億円収入が増加いたしました。

投資活動によるキャッシュ・フローは、703億円の支出となりました。投資有価証券の取得による支出の増加等により、前連結会計年度に比べ70億円支出が増加いたしました。

この結果、フリーキャッシュ・フローは前連結会計年度に比べ154億円収入が増加し、296億円の収入となりました。

財務活動によるキャッシュ・フローは、240億円の支出となりました。借入金の返済額の減少等により、前連結会計年度に比べ30億円支出が減少いたしました。

なお、当連結会計年度の設備投資の資金調達は主に自己資金及び借入金により賄っております。

 

②資金の主要な使途を含む資金需要の動向

収益の安定・拡大を企図するハイブリッド経営により創出されたキャッシュ・フローを財源とし、企業価値の向上に資するコア事業や成長分野への投資や研究開発を行い、大型投資・M&Aをタイムリーに実行できる強固な財務基盤の維持と株主還元としての安定配当の継続に努めてまいります。

2021年度を最終年度とする中期経営計画において、コモディティ事業における事業基盤の更なる強化とスペシャリティ事業の成長分野における能力増強に伴う事業拡大を図るため3ヶ年総額で1,400億円の設備投資を計画するとともに、バイオサイエンス事業をターゲットとした300億円のM&A枠を設定しております。

なお、当連結会計年度末現在における今後1年間の資本的支出の予定及びその資金の調達源等については、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」に記載しております。

 

 

③フリーキャッシュ・フロー

当社は、フリーキャッシュ・フローを営業活動により獲得されたキャッシュ・フローと投資活動に支出されたキャッシュ・フローの合計として定義しております。当社はこの指標を戦略的投資又は負債返済に充当可能な資金の純額、あるいは、資金調達にあたって外部借入への依存度合を測る目的から、投資家に有用な指標と考えており、次の図のとおりフリーキャッシュ・フローを算出しております。

 

 


 

 

④財務の方針及び資金調達の状況

当社は、事業の維持拡大に必要な資金を安定的に確保するため、内部資金と金融機関からの外部借入を活用しております。今後大型の設備投資やM&Aが発生する場合には、資金調達の多様化や資本効率の向上を踏まえ負債の活用を進めてまいりますが、タイムリーな資金調達が実行できるよう強固な財務基盤の維持に努めてまいります。

また当社は、資金需要に対する機動的な対応と金融情勢変化やコモディティ事業における原料や製品の市況変動の影響による財務の悪化に備え、一定程度の現預金の保有は必要と考えております。

2019年度末時点で当社の自己資本比率は64.0%、有利子負債は959億円、現金及び預金は988億円、ネットDEレシオは-0.01、信用格付けは「A+」となっております。

なお、新型コロナウイルスの感染拡大による不測の事態に備えるため、2020年4月には銀行借入を追加で実行し、十分な手元流動性を確保しております。

 


 

※「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 2018年2月16日)等を2018年度の期首から適用しており、2014年度~2017年度に係る自己資本比率については、当該会計基準等を遡って適用した後の数値となっております。

 

 

⑤株主還元の方針

株主還元の方針については、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」をご参照ください。

 


 

※配当性向は連結財務諸表を元に算出しているため、「第1 企業の概況 1 主要な経営指標等の推移 (2)提出会社の経営指標等」に記載されている配当性向とは異なります。

 

(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 

 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するにあたり重要となる会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 4 会計方針に関する事項」に記載しております。

 「第2 事業の状況  2 事業等のリスク」に記載している固定資産の減損、有価証券の評価、繰延税金資産の取崩し、退職給付関係、工事進行基準による見積りに関して、過去の実績や状況に応じて合理的だと考えられる様々な要因に基づき、見積り及び判断を行い、その結果を資産・負債の帳簿価額及び収益・費用の金額に反映しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

 新型コロナウイルス感染症の影響については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項」及び「第5 経理の状況 2 財務諸表等 注記事項」の(追加情報)に記載しております。

 

 

4 【経営上の重要な契約等】

・ 当社は、太平洋セメント株式会社にセメントの全面的な販売委託をしております。

 

・ 当社の塩化ビニル樹脂事業に関する合弁契約

2000年3月31日付で当社、三井化学株式会社及び電気化学工業株式会社(現・デンカ株式会社)は、塩化ビニル樹脂事業を再構築するため、合弁契約を締結しております。

契約締結に伴い、当社の子会社である大洋塩ビ株式会社において、塩化ビニル樹脂の製造・販売・研究を行い、当社主導で運営しております。

 

5 【研究開発活動】

急激な国内産業構造の変化及び国際的な社会課題が変化する中、CSV(*)を意識した研究開発による経営貢献を基本方針とし、基盤事業の強化・拡大と当社の持続的成長への新規事業の創出に向けて、8つの研究開発部門及びオルガノ株式会社の開発センターが中心となった研究開発活動を推進しております。

(*)Creating Shared Valueの略。社会課題を解決する「社会的価値」と企業が追求する「経済的価値」を両立させる考え方。

具体的には、アドバンストマテリアル研究所、ライフサイエンス研究所、無機材料研究所及び有機材料研究所では機能商品事業分野、ファンクショナルポリマー研究所、高分子材料研究所、ウレタン研究所では石油化学事業分野及びクロル・アルカリ事業分野、技術センターでは各製品に関わるプロセス開発、オルガノ株式会社開発センターではエンジニアリング事業分野の研究開発を担っております。

技術革新が急速に進む中、当社グループ単独での研究開発を補完すべく、オープンイノベーションにも積極的に取り組んでおり、国内外の研究機関との共同研究、大学との社会連携講座の開設、さらには、ベンチャーキャピタルファンド投資や米国への研究員派遣により、技術情報収集力の強化と外部技術の獲得を進めております。特に、当社の生産活動から排出したCO2をポリウレタン原料等の有用な化学製品へ変換し、有効利用していくため、国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構の先導研究プログラムに参画し、検討を進めております。

また、研究開発体制の強化として、四日市事業所では研究本館、カスタマーラボ棟が竣工し、ポリマー・ウレタン製品関連研究の集約、南陽事業所では新研究棟、ベンチ棟の建設による高機能材料、有機化成品関連研究設備の刷新を図りました。また、東京研究センターにマテリアル・インフォマティクス(MI)専門チームを設置し、MI技術構築による材料設計の効率化を進めております。

当連結会計年度における当社グループ全体での研究開発要員は約1,040名であり、研究開発費は約182億円であります。

 

セグメント別の主な研究開発活動の状況を概観すると、次のとおりであります。

 

石油化学事業

 

 石油化学事業に関しては、既存ポリマー製品の改良、周辺技術の強化及び新規ポリマー材料の開発を推進しております。

 ポリエチレン関連では、新規ポリエチレンを使用した耐熱輸液バッグが海外を中心に採用に向けた評価が進んでいます。また、独自触媒による超高分子量ポリエチレン(デカミレン®)は、リチウム二次電池セパレーター、摺動部材用途での海外展開を本格化しております。さらに、PPS関連では、新規に開発した耐冷熱衝撃性に優れるグレードがHEV関連部品で着実に採用されております。

 一方、CR、CSM、ペースト塩ビ、石油樹脂の機能性ポリマーについても、より付加価値の高い製品の開発を継続しており、CRは医療向け手袋グレードの開発に注力しております。

 電子関連への展開としては、液晶用光学材料、有機EL用光学材料など、当社独自コンセプトに基づく新規ポリマー材料の開発を積極的に進めております。

なお、本事業分野における研究開発費は約23億円であります。

 

 

クロル・アルカリ事業

 

クロル・アルカリ事業に関しては、ビニル・イソシアネート・チェーン関連技術の更なる強化へ向けて継続的な製造技術の革新に取り組んでおります。具体的には、塩ビモノマーの原料となる二塩化エタンを製造するオキシ塩素化工程において、活性・選択性・耐久性の全てに優れ、世界をリードする独自触媒への転換を進めております。この触媒技術は一般社団法人触媒学会の2019年度学会賞(技術部門)を受賞しました。

ポリウレタン関連では、原料であるイソシアネートの機能性向上と製造プロセスの開発、機能性ポリオールの開発、及び、ポリウレタンフォーム、エラストマー及びコーティングを始めとするウレタン関連製品の処方開発に積極的に取り組むと共に、他の事業分野との連携による開発にも注力しております。具体的には、自動車用All-MDI系シートクッションは、低密度化と乗心地性改良、さらに臭気やVOC低減においても進展がありました。また、コーティング・合皮用途においては、耐薬品性に優れたウレタン樹脂やポリカーボネートポリオール、低粘度・高硬度硬化剤の品揃えが進み、高まる環境ニーズに適合した水系塗料用硬化剤の開発を積極的に進めております。

 また、電解関連においても、継続的な技術改良(省エネルギー化)に取り組んでおります。

なお、本事業分野における研究開発費は約37億円であります。

 

機能商品事業

 

機能商品事業に関しては、ライフサイエンス、環境・エネルギー、電子材料などに関する研究開発を実施しております。

ライフサイエンス関連における免疫診断事業関連では次世代装置と試薬の開発、遺伝子検査事業関連では感染症診断のための新規製品開発を進めております。分離精製剤事業関連では、急速に市場が成長しているバイオ医薬品の分離剤や分析用液体クロマトグラフィーカラムの開発に注力しており、世界初の抗体医薬品活性分析用カラムの実用化に続き、製造用ゲルの開発を進めております。また、「次世代バイオ医薬品製造技術研究組合」に参加し、抗体やウイルス医薬品等を分離精製する革新的なプロセスの開発、先進的な抗体、ウイルスの解析技術の開発に鋭意取り組んでおります。

さらに、微細加工技術を用いた血中の異常細胞検出・解析技術を確立し、研究活用を目的とした細胞解析受託事業を㈱東ソー分析センターで開始しました。また、歯科用透光感ジルコニアや装飾用カラージルコニアの品揃えも進みました。

環境・エネルギー関連では、今後も需要拡大が予想されるリチウム二次電池の材料開発、コンデンサの高容量化に寄与する新規導電性高分子(セルフトロン®)の開発が進展しております。また、自動車排ガス浄化触媒用ゼオライトの開発では、ゼオライトの革新的・高効率合成プロセスを構築する目的で東京大学と社会連携講座を開設すると同時に、水質・大気浄化用の高機能ゼオライト開発にも取り組んでおります。アミン誘導体としてはVOC低減に有効なウレタン発泡触媒(RZETA®)の拡販、環境負荷の極めて小さいHFO用のウレタン発泡触媒、アルデヒド捕捉剤の開発が進展しました。さらに、重金属処理剤(飛灰処理用、排水処理用)の品揃えも進みました。

電子材料関連におけるディスプレイ関連では、有機EL用電荷輸送材の高効率・長寿命化、反射防止膜用スパッタリングターゲットの製品化、さらに半導体関連では、将来の半導体素子の微細化に対応した次世代配線用の有機金属化合物、製造プロセスを刷新可能なGaNスパッタリングターゲット、次世代半導体製造装置用の高機能石英部材などの開発を推進しております。また、プリンテッドエレクトロニクス関連では、塗布型有機半導体材料、光硬化型絶縁材料、親撥処理膜材料、保護層材料等の一連の材料開発を産学連携で進めております。

なお、本事業分野における研究開発費は約100億円であります。

 

 

エンジニアリング事業

 

エンジニアリング事業に関しては、オルガノ株式会社の開発センターを中心に開発を行っています。

 水処理エンジニアリング関連では、純水、超純水、上水等の用水処理装置、下排水処理装置、クロマト分離装置などの大型水処理関連設備の開発を実施しており、超純水製造向けの2段RO+2段EDIシステム及び新規ホウ素選択性樹脂、超純水中の高度分析手法の実用化を推進し、上市しました。また、バイオ医薬精製工程向け連続クロマト分離装置、リチウムイオン二次電池向けのn-メチルピロリドン回収精製装置及び電解液精製技術、電子材料の高度精製技術、ICT対応水質センサシステム、公共下水処理向け好気グラニュール技術などの開発を推進しております。

 機能商品関連では、標準型水処理機器、水処理薬品、食品加工材等の開発を実施しており、排水処理向け新薬剤、RO膜向け次世代型殺菌剤、次世代型標準タイプ純水装置などの開発を積極的に進めております。

    なお、本事業分野における研究開発費は約22億円であります。