第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

当社グループは、「化学の革新を通して、幸せを実現し、社会に貢献する」を企業理念に掲げ、この理念を実現し企業価値を継続的に向上させるため、経営環境の変化に迅速に対応し、公正で透明性の高い企業経営を行ってまいります。

 

企業理念の実現に向けて、以下を「東ソーグループCSR基本方針」として共有・実践してまいります。

1.事業を通じた社会の持続可能な発展への貢献

化学を基盤とした独自の技術を深め、世界の事業パートナーとの協創を通じて、社会問題を解決し、

人々の幸福に寄与する革新的で信頼性のある製品・サービスを提供します。

2.安全・安定操業の確保

事業活動にかかわる人々の安全・健康の確保と安定操業が、経営の最重要課題であることを認識し、

安全文化の醸成と安全基盤の強化に真摯に取り組みます。

3.自由闊達な企業風土の継承・発展

働きがいがあり、人権と多様性を尊重する風通しの良い職場環境を育むことで、

活力にあふれ、従業員とその家族が誇りを持てる企業風土を実現します。

4.地球環境の保全

化学物質管理を徹底すると共に、事業活動が地球環境に及ぼす環境負荷の最小化に

バリューチェーン全体で継続的に取り組みます。

5.誠実な企業活動の追求

コンプライアンスを徹底し、対話と協働を基本とする誠実で透明性の高い企業活動を通じて、

ステークホルダーから信頼されるグローバルな企業グループを実現します。

 

(2)経営環境及び対処すべき課題

今後の国内外の経済情勢については、中国における経済活動の再開など前向きな兆しも見えておりますが、ウクライナ問題の長期化や米中対立、金融引き締めによる景気減速リスクなどが懸念され、先行きは依然見通しづらい状況となっております。

このような状況の下、当社グループとしましては、様々な要因により変動する原燃料価格、海外製品市況、為替レート、需給バランスなどに注意を払い、事業環境の変化に迅速かつ柔軟に対応し収益確保に努めてまいります。

 

 

[2022~2024年度 中期経営計画]

 当社は、2022年8月に、2024年度を最終年度とする3ヶ年の中期経営計画を公表いたしました。当該計画の概要につきましては以下のとおりです。

 

1. 目指す収益構造(~2030年度)

□コモディティは収益事業として定着も、今後は脱炭素対応に注力

スペシャリティで1,000億円超の利益基盤構築を目指す

 

2. 経営基本方針

□ハイブリッド経営を基本としつつ、スペシャリティの収益拡大に注力

・[コモディティ]“事業強化”と“CO2排出削減”を最適な組合せで実施、適正なコスト負担・価格転嫁による安定供給維持

・[スペシャリティ]比較優位のある事業への能増投資、成長分野への経営資源重点配分、新規事業の育成により収益基盤を拡充

 

□CO2排出削減・有効利用に向け総力結集

・脱炭素対応を全方位から推進、持続可能な社会の実現に向け企業責務を全うする

 

□健全財務に依拠した攻めの投資

・脱炭素下では事業環境が大きく変動、この変化を好機と捉え、タイムリーな戦略投資で将来への布石を打つ

 

□安全基盤の強化、安全文化の定着・深化

・プラントの安全操業は全てに優先、安全基盤の強化、安全文化の定着・深化に向け取り組み継続

 

3.数値目標

 

(億円)

 

2024年度目標

売上高

11,600

営業利益

1,500

営業利益率

10%以上

ROE

10%以上

(前提)

 

ドル

125円/$

ユーロ

135円/€

ナフサ

75,000円/kl

 

 

 

4.投融資計画

□2022-2024年度3ヵ年累計投資額 = 設備投資2,000億円 + M&A、脱炭素追加対応

□スペシャリティを中心に積極投資を展開、設備投資にはCO2削減投資300億円含む

 □M&Aはバイオ関連を中心に探索

主な設備投資計画

通常投資≫             CO2削減投資

・CR(増設)            ・循環流動層ボイラへの更新

・臭素・難燃剤(増設)        ・ガスタービン追加設置

・分離精製剤(増設)         ・COプラントCO2原料化設備導入

・ジルコニア粉末(増設)

・MDIスプリッター海外設置

・ターゲット(米国能増)

・石英素材・加工品(能増)

 

 5.研究開発

□「ライフサイエンス」「電子材料」「環境・エネルギー」を重点3分野に据え、研究開発資源を集中投下

□「研究インフラの有効活用」「MI技術による材料設計効率化」「オープンイノベーションの推進」

 「ファンド等を活用した先端技術の獲得」により、研究開発を加速

 

6.株主還元

□安定配当を基本とし、自己株取得による資本効率向上にも努める

□配当性向は30%を目安とする

□自己株取得はフリーCFの水準等を勘案して機動的に実施する

 

7.脱炭素対応(CO2削減目標)

 □2030年度30%削減(2018年度比)に向け具体的な施策を実施

 □現行技術での30%削減は発電設備燃料の木質バイオマス転換が主体、

循環流動層ボイラ導入で燃料多様化図る

□CO2原料化は化学メーカーの使命、優先度を上げ取り組み強化

 

≪注意事項≫

本資料の計画は、現時点で入手可能な情報に基づき判断した予想です。従いまして、今後の国内外の経済情勢や予

測不可能な要素等により、実際の業績は計画値と大幅に異なる可能性があります。

 

[中期経営計画の進捗]

3ヶ年中期経営計画の初年度にあたる2022年度は、ウクライナ問題に端を発し、石炭をはじめとする原燃料価格が高騰する一方、世界経済の減速に伴う需要縮小が徐々に顕在化する事業環境にありました。

こうした中、機能商品を中心としたスペシャリティ事業は、厳しい事業環境下においても前年度比で増益を確保しており、事業強化が着実に進んでおります。2023年度以降も、能力増強した主力製品の拡販に努めるとともに、成長分野での更なる投資を継続し、中期経営計画の業績目標達成を目指してまいります。

コモディティ事業は、石炭をはじめとする原燃料価格の高騰を背景に2022年度は業績が悪化しました。2023年度は原燃料価格の軟化が見込まれますが、世界経済は回復の足取りが鈍く、需要が盛り上がりに欠けることから、製品の海外市況は当面低迷すると予想しております。原燃料の多様化によるコスト低減を進めるとともに、増大したコストの販売価格への転嫁にも取り組んでまいります。

設備投資は、3ヶ年累計で当初計画の2,000億円を超える水準で推移する見込みです。成長投資を推進する一方で、CO2削減投資である循環流動層ボイラの導入に着手しており、成長と脱炭素の両立を図りながら事業運営を進めてまいります。

 

 

連結業績                                        (億円)

 

2022年度実績

2023年度予想

2024年度目標

売上高

10,644

10,800

11,600

営業利益

746

950

1,500

営業利益率

7.0%

8.8%

10%以上

ROE

7.0%

10%以上

 

 

セグメント別売上高                                   (億円)

 

2022年度実績

2023年度予想

2024年度目標

石油化学

2,061

2,035

2,350

クロル・アルカリ

4,064

3,887

4,400

機能商品

2,708

2,855

3,000

エンジ他

1,811

2,022

1,850

合計

10,644

10,800

11,600

 

 

セグメント別営業利益及び営業利益率                           (億円)

 

2022年度実績

2023年度予想

2024年度目標

石油化学

121

5.9%

152

7.5%

150

6.4%

クロル・アルカリ

△107

△2.6%

128

3.3%

550

12.5%

機能商品

523

19.3%

459

16.1%

610

20.3%

エンジ他

208

11.5%

211

10.4%

190

10.3%

合計

746

7.0%

950

8.8%

1,500

12.9%

 

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組の状況は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) サステナビリティ全般に関するガバナンス及びリスク管理

ガバナンス

取締役会の下にCSR委員会を設置し、サステナビリティに関する事案を管理しています。

CSR委員会は代表取締役社長を委員長とし、経営会議メンバー、事業所長、セクター長、全社委員会委員長で構成されています。

CSR委員会では、CSR活動方針の策定、CSR重要課題・KPIの進捗管理などを行い、取締役会へ上程します。CSR委員会を補完する「CSR推進連絡会」、同委員会、同連絡会の事務局として「CSR推進室」を設置しています。

 

リスク管理

東ソーグループは、CSR基本方針に基づき、CSR委員会の下でCSR重要課題の解決に向けた活動を推進しています。

2022~2024年度のマテリアリティは、リスクと機会になりうる社会課題から自社への影響も大きい9つの重要課題を選定、合せてKPIを設定しました。

CSR委員会と取締役会で目標の達成度を確認して、毎年の活動目標を定めています。2022年度はCSR委員会を2回開催し、前年度のCSR重要課題・KPIの実績を審議、当年に取り組んでいる重要課題の進捗状況の審議を行い、取締役会に上程し承認されました。

・社会課題解決型の製品・技術の創出・提供

・気候変動問題への対応

・ダイバーシティ&インクルージョン

・製品安全・品質マネジメント

・環境保全活動の強化

・安全・安定操業

・CSRサプライチェーンマネジメントの強化

・コンプライアンスの強化

・人権尊重

 

(2) 重要なサステナビリティ項目

①気候変動問題への対応

ガバナンス

東ソーグループの気候変動対応は、CO2削減・有効利用推進委員会、中央エネルギー管理委員会を中心に推進しています。また、気候変動に関連する社会動向、規制要件やリスク管理などの情報収集およびグループ会社を含む社内への情報共有を進めています。

活動に関する事項は適宜、取締役会に報告し、承認を受けるとともに、必要に応じて指示を受けています。

推進体制強化として、CO2削減・有効利用推進委員会の下に、CO2削減・有効利用戦略室、CO2削減・有効利用南陽および四日市タスクフォースチームを設置しています。

 

戦略

東ソーグループは事業活動を通じたGHG排出量削減への貢献が、グループの中長期的な成長における最重要課題と認識し、省エネルギーや燃料転換によるGHG排出削減、CO2の有効利用に向けた技術検討を推進しています。

1. 省エネルギーの推進

内部炭素価格を設定し、投資判断の材料にすることで省エネの取り組みを加速させます。

2. 使用エネルギーの脱炭素化

自家用火力発電の燃料をGHG排出量の多い石炭からバイオマス、水素・アンモニアへの転換、再エネの導入取り組みの強化を推進します。

3. CO2の回収・有効利用

発生するCO2を分離・回収し、化学品原料などに有効利用する技術開発を進めていきます。

上記の各種GHG排出量削減のため、従来の設備投資に加えて2022年度から2030年度にかけて約1,200億円のGHG排出量削減投資を判断する方針です。

 

リスク管理

東ソーは、日本のエネルギー政策、技術革新、CO2フリー燃料の流通などの動向を踏まえながら、脱炭素社会に向けた諸施策を遅滞なく実施していきます。

CO2削減・有効利用推進委員会において、毎年のGHG排出量の特定と解析を行い、適切な削減計画を策定しています。

また、CO2削減・有効利用戦略室を中心に気候変動に関するリスクと機会の定性・定量分析を開始しており、自社の取り組み状況や社会動向を監視しています。

現状での重要課題は、下記のとおりです。

・自家火力発電設備の燃料転換

・再生可能エネルギーの導入

・CO2回収及びその原料化による有効利用

国内外のエネルギー政策や政府の動向を注視するため、経産省の主催するイニシアチブ(GXリーグ)に参画し、政策決定への関与(意見提出)にも取り組んでいます。

 

指標及び目標

●2030年度までに東ソーグループにおけるGHG排出量を2018年度比で30%削減

●2050年カーボンニュートラルへの挑戦

 

気候変動問題に伴う移行リスク、物理的リスク、機会に関連する収益、資産や事業活動の割合、そのために配備された投資額の総額などの指標は、シナリオ分析(定量)を通じて解析していきます。

 

②人的資本

戦略

「人材育成方針」

当社は就労期間の長期化(人生100年時代)、デジタル化の進展(AI、IoT等)など社会に大きな変化が生じている中、多様な価値観を受け入れ、自ら考え行動できる人材を育成することが持続的な企業価値の向上に不可欠と考えています。こうした認識を踏まえ、当社の人事育成の基本方針は、環境の変化に対応するために自分のありたい姿を描き、その実現に向けて、学び・やり抜く意欲を持ち続けられる『自律型人材』を育成することと定めています。

 

社内教育体系は人材育成の基本方針に基づき、受動的な研修から能動的・持続的に学ぶ仕組みへ改め、従業員の自主性や主体性を引き出すことを狙いとしています。

また、社内にキャリアサポートグループを設立し、従業員が理想とするキャリアやライフスタイルを選択することをサポートする体制を整えています。

 

※自律型人材の定義:組織の内外に限らず、いかなる環境下であっても、自ら仕事や役割を創り、周りを巻き込んで結果を出す人材

 

図1 自律型人材育成の概念図

図2 社内教育体系

 


 


 

 

「社内環境整備方針」

当社は新しい価値を創造するためには、多様な人材や価値観を積極的に取り入れることが重要であると考えています。多様な人材が活躍するためには、長く安心して働くことができる環境づくりが大切であり、①業務を効率化し、ワークライフバランスを実現する働き方改革、②従業員の多様なライフスタイルと仕事の両立支援制度の充実、③従業員本人の健康づくりをサポートする健康経営を推進しています。

 

図3 社内環境整備方針

 


 

 

 

指標及び目標

上記「戦略」において記載した、人材育成方針及び社内環境整備方針に係る指標については、当社においては、関連する指標のデータ管理とともに、具体的な取組みが行われているものの、連結グループに属する全ての会社では行われてはいないため、連結グループにおける記載が困難であります。このため、次の指標に関する目標及び実績は、連結グループにおける主要な事業を営む提出会社のものを記載しております。

なお、当該指標はCSR重要課題のダイバーシティ&インクルージョンのKPIであります。

 

指標

目標

(数値は2022~2024年度目標値)

2022年度

(実績)

1) 男性従業員の育児休業取得率

2023~2024年度90%以上

85.5%

2) 年休取得率(全従業員)

80%以上

83.2%

(注)

3) 総合職採用者に占める女性割合

20%以上

29.9%

4) 幹部職に占める女性割合

2024年度2.6%以上

1.7%

5) キャリアカウンセリング実施割合

2024年度70%以上

36.1%

 

(注)2022年7月~2023年3月実績をもとにした2023年6月時点の見込数値

 

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 製品・原燃料の国際市況の変動

当社グループでは、石油化学事業、クロル・アルカリ事業を中心に、ナフサや製品等の市況変動の影響を受ける製品を有しており、それらは製品価格変動リスクに晒されております。また、ナフサ、石炭等の原燃料についても多くが市況変動に伴う購入価格変動リスクに晒されており、急激な原燃料価格の高騰に対し、製品市況が連動して上昇しない場合や製品価格の是正が適切に行われない場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に重大な影響を与える可能性があります。

 

(2) 在庫評価の影響

当社グループは、棚卸資産の評価方法及び評価基準について、主として総平均法による原価法を採用しております。そのため、ナフサや石炭等の原燃料価格が在庫単価に比べて下落する局面においては、期初の相対的に高価な在庫の影響により売上原価が押上げられるなど、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。また、収益性の低下に基づく簿価切下げを行った場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(3) 国内外の経済情勢・需要変動、競合

国内外の顧客や市場の動向、経済情勢の変動により、当社グループの製品マーケットの縮小や市況の下落が生じた場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。また、競合他社による生産能力増強や低価格販売などの事業展開により、当社グループの製品マーケットのシェア低下や需給バランスが崩れることによる製品価格の下落が生じた場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(4) 企業買収・資本提携及び事業再編

当社グループは、事業の拡大・効率化や競争力強化を目的として国内外における企業買収、資本提携を実施しております。当社グループ及び出資先企業を取り巻く事業環境の変化により、活動が円滑に進まない、あるいは当初期待した効果が得られないなどの場合には、のれんの減損処理を行う必要が生じる等、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

また、不採算事業からの撤退や関係会社の整理等の事業再編を行った場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(5) 為替レートの変動

当社グループは、国内で製造した製品の一部を海外へ輸出しており、原燃料の大半は海外から輸入しております。大幅な為替レートの変動は、外貨建取引、外貨建資産・負債、更には海外グループ会社の財務諸表の円換算額にも影響を及ぼすこととなり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(6) 海外での事業活動

当社グループは、製品の輸出及び海外における現地生産等、幅広く海外での事業活動を行っております。しかしながら、戦争・テロ・その他の要因による社会的又は政治的混乱、社会インフラの未整備、人材の採用・確保の困難といったリスクが存在しており、このようなリスクが顕在化し海外での事業活動に支障が生じた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

 

(7) 原燃料の調達

当社グループは、生産活動に必要な原燃料を国内外から調達しており、原燃料の調達先の多様化、中長期的契約の締結、あるいはスポット市場からの購入により長期的、安定的な調達に取り組んでおります。しかしながら、特定の地域やサプライヤーに依存している原燃料もあるため、その供給者における災害・事故等による調達への支障が発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(8) 金利変動

当社グループは、大型投資・M&Aをタイムリーに実行できる強固な財務基盤を維持することを財務方針とし、戦略的投資とのバランスを考慮しつつ、有利子負債の削減や金融収支の改善に努めておりますが、今後金利が上昇した場合には支払利息が増加し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(9) 環境関連等法的規制

当社グループは、環境保全と安全及び健康の確保が経営の最重要課題であると認識し、事業活動を行っております。しかしながら、今後環境等に関する国内外の法的規制の強化あるいは社会的責任の要請等により、事業活動の制限、若しくは追加の設備投資や新たな費用が発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(10) 気候変動

パリ協定が採択されたのを機に気候変動や地球温暖化の原因とされる温室効果ガスの排出削減を目的とした取り組みが世界的に進められております。当社グループは、「CO2削減・有効利用推進委員会」を立ち上げ、CO2の削減や有効利用に向けた技術改善を推進しておりますが、今後CO2等の排出や化石燃料の利用に関連して数量規制や税の賦課が導入された場合や化石燃料由来ではない代替品の出現等で石油関連製品の需要が減少した場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

また、気候変動による極端な気象現象(台風、洪水等)の発生で生産設備や輸送に使用する道路等が被害を受けた場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(11) 事故・災害・感染症

当社グループは、日常的及び定期的な設備の点検・保守、安全関連投資等を実施し、設備事故等の発生の未然防止に努めております。しかしながら、自然災害、不慮の事故などの影響を完全に防止し、軽減することは出来ません。万一、事故・災害により、製造設備停止に伴う損失、工場周辺地域への被害補償に伴う費用、多額の設備補修費等が発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

また、当社グループが事業活動を展開する国や地域において、新型コロナウイルスやインフルエンザ等の感染症が発生・拡大し、生産や営業活動を停止せざるを得なくなった場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(12) 設備投資

当社グループは、今後の需要予測、損益等を総合的に勘案して、戦略的に設備投資を実施しております。しかしながら、人手不足による建設費・物流費の高騰などにより実際の投資額が予定額を大幅に上回った場合や、製品・原燃料市況の変化等により計画通りの収益が得られなかった場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(13) 品質問題

当社グループは、製品の品質保証体制を確立し、製造物賠償責任保険も付保しております。しかしながら、製品に予期せぬ欠陥が発生した場合には、社会的信用の低下や製品の販売中止等に繋がり、更に訴訟が提起される事態に発展することも想定されます。このような場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(14) 訴訟

当社グループは、東ソーグループ行動指針の制定を行い、国内外の法令遵守に努めております。しかしながら、広範な事業活動を行う中、訴訟、その他の法律的手続きの対象となるリスクがあり、重要な訴訟等の提起を受ける可能性があります。現在及び将来の事件での帰趨を予測することは困難でありますが、裁判等において不利益な決定や判決がなされた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(15) 知的財産

当社グループは、知的財産権の重要性を認識し、国内外において、知的財産の権利化、第三者が保有する知的財産権の侵害防止に取り組んでおります。しかしながら、広範囲に事業を展開する中で、当社グループの知的財産権が侵害される可能性や第三者が保有する知的財産権を侵害する可能性があり、こうした場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(16) 技術革新

当社グループは、急激な国内産業構造の変化及び国際的な社会課題が変化する中、基盤事業の強化・拡大と当社の持続的成長への新規事業の創出に向けて、積極的な研究開発を展開しております。特に機能商品事業においては、技術革新のスピードが著しく、タイムリーに新製品を開発・提供していく必要があると考えております。しかしながら、顧客ニーズに適合して継続的に新製品の開発・提供ができない場合、あるいは他社において画期的な技術革新がなされた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(17) 情報セキュリティ

当社グループは、サイバー攻撃に対し様々な防御策を講じておりますが、事業所のプラント制御系システムや基幹システムに問題が発生した場合には、重要な業務の中断を余儀なくされ、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

また、機密情報や個人情報の適切な管理に努めており、EU一般データ保護規則(GDPR)に対しても適切に対応しております。しかしながら、不測の事態により外部へ情報が漏洩した場合には、社会的信用や競争力の低下を招き、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(18) 固定資産の減損

当社グループは、固定資産の減損に係る会計基準を適用しておりますが、今後各製品において事業収益性の大幅な悪化や不動産価格の下落等があった場合には減損損失が発生し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(19) 有価証券の評価

当社グループは、主に取引関係の維持・発展などを目的に取引先の有価証券を保有しておりますが、当社グループが保有する有価証券の大幅な市場価格の下落、又は株式保有先の財政状態の悪化により有価証券の評価が著しく下落した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(20) 繰延税金資産の取崩し

当社グループは、税務上の繰越欠損金及び将来減算一時差異に対して、将来の課税所得を合理的に見積もり回収可能性を検討した上で繰延税金資産を計上しておりますが、実際の課税所得が見積りと異なり回収可能性の見直しが必要となった場合、又は税率変更を含む税制の改正等があった場合には、繰延税金資産の取崩しが必要となり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(21) 退職給付関係

当社グループの退職給付債務及び退職給付費用は、年金数理計算上使用される各種の基礎率と年金資産の運用利回り等に基づき算出されております。年金資産の時価の変動、金利の変動、退職金・年金制度の変更等に伴う退職給付債務及び退職給付費用の変動が、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(22) 工事契約に係る一定期間にわたり収益を認識する取引の収益計上

当社グループのエンジニアリング事業の工事契約において、財又はサービスに対する支配が顧客に一定の期間にわたり移転する場合には、財又はサービスを顧客に移転する履行義務を充足するにつれて、一定の期間にわたり収益を認識しておりますが、工事収益総額、工事原価総額及び連結会計年度末における進捗度を合理的に見積もる必要があります。工事案件ごとに継続的に見積総原価や予定工事期間の見直しを実施する等適切な原価管理に取り組んでおりますが、それらの見直しが必要になった場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

(1)財政状態の状況

(単位:億円)

科目

前連結会計年度末

当連結会計年度末

増減

資産の部

 

 

 

 

流動資産

 

 

 

 

 

現金及び預金

1,615

1,202

△414

 

 

売上債権及び契約資産

2,596

2,921

324

 

 

棚卸資産

1,917

2,571

655

 

 

その他流動資産

295

383

88

 

 

 

 

 

 

 

固定資産

 

 

 

 

 

有形・無形固定資産

3,337

3,684

348

 

 

投資有価証券

593

577

△16

 

 

その他投資等

524

605

81

 

 

 

 

 

 

資産合計

10,877

11,943

1,066

負債の部

 

 

 

 

 

支払手形及び買掛金

1,134

1,229

95

 

 

有利子負債

919

1,767

848

 

 

その他負債

1,226

1,004

△222

 

 

 

 

 

 

負債合計

3,279

4,001

721

純資産の部

 

 

 

 

株主資本

6,918

7,126

208

 

非支配株主持分

506

553

47

 

その他

173

263

90

 

 

 

 

 

 

純資産合計

7,597

7,942

345

負債純資産合計

10,877

11,943

1,066

 

 

総資産は、棚卸資産の増加等により、前連結会計年度末に比べ1,066億円増加し1兆1,943億円となりました。棚卸資産の増加は、原燃料価格の上昇等によるものです。

 負債は、有利子負債の増加等により、前連結会計年度末に比べ721億円増加し4,001億円となりました。有利子負債の増加は、原料価格高騰に伴う運転資金の増加への対応として、銀行から短期借入を行ったこと等によるものです。

 純資産は、その他有価証券評価差額金の減少や配当金の支払い等がありましたが、親会社株主に帰属する当期純利益の計上等により、前連結会計年度末に比べ345億円増加し7,942億円となりました。

 

(2)経営成績の状況

 

 ① 事業全体及びセグメント情報に記載された区分ごとの状況

(単位:億円)

 

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増減

 

売上高

9,186

10,644

1,458

 

営業利益

1,440

746

△694

 

経常利益

1,605

900

△705

 

親会社株主に帰属する
当期純利益

1,079

503

△576

 

 

〈参考〉為替、海外製品市況

 

単位

前連結会計年度

当連結会計年度

増減

為替レート

円/$

112.4

135.5

23.1

円/EUR

130.6

141.0

10.4

国産ナフサ

円/KL

56,625

76,600

19,975

ベンゼン

$/t

994

994

0

PVC

$/t

1,373

965

△408

VCM

$/t

1,208

835

△373

液体苛性

$/t

515

636

121

MDI(Monomeric)

$/t

2,585

2,260

△325

MDI(Polymeric)

$/t

2,466

2,074

△392

 

 

当連結会計年度の世界経済は、各国で新型コロナウイルス感染症対策と経済活動の両立が進みましたが、中国ゼロコロナ政策が12月まで続きウクライナ問題も長期化した中、供給面の制約や資源価格の高騰、急激なインフレ、金融引き締めなどが景気下押し要因となり、先行き不透明な状況で推移しました。

このような情勢下、当社グループの連結業績については、売上高は、ナフサ等の原燃料価格の上昇による販売価格の上昇や価格是正、円安進行により、1兆644億円と前連結会計年度に比べ1,458億円(15.9%)の増収となりました。営業利益は、ナフサや石炭等の原燃料高の影響が販売価格上昇の影響を上回ったことでの交易条件の悪化により、746億円と前連結会計年度に比べ694億円(48.2%)の減益となりました。経常利益は、円安進行に伴う為替差益を計上しましたが、900億円と前連結会計年度に比べ705億円(43.9%)の減益となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、連結子会社である東北東ソー化学株式会社の製造設備等について減損損失を計上したこともあり、503億円と前連結会計年度に比べ576億円(53.4%)の減益となりました。

 

セグメント別の経営成績は、次のとおりであります。

 

<売上高分析>                                        (単位:億円)

 

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増減

 

増減要因

 

 

 

数量差

価格差

 

石油化学事業

1,772

2,061

289

 

△157

446

 

クロル・アルカリ事業

3,616

4,064

448

 

△88

536

 

機能商品事業

2,262

2,708

446

 

△48

494

 

エンジニアリング事業

1,163

1,381

218

 

163

55

 

その他事業

373

430

57

 

4

54

 

合計

9,186

10,644

1,458

 

△127

1,585

 

 

<営業利益分析>                                       (単位:億円)

 

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増減

 

増減要因

 

 

 

数量差

交易条件

固定費差他

 

石油化学事業

157

121

△35

 

△23

19

△31

 

クロル・アルカリ事業

695

△107

△802

 

20

△679

△143

 

機能商品事業

435

523

88

 

26

91

△29

 

エンジニアリング事業

123

180

57

 

57

0

0

 

その他事業

31

29

△2

 

△2

0

0

 

合計

1,440

746

△694

 

78

△569

△203

 

 

石 油 化 学 事 業

 

エチレン、プロピレン及びキュメンは、生産量の減少に伴い出荷が減少しました。また、ナフサ価格の上昇を反映して、エチレン及びプロピレンの販売価格は上昇しました。円安進行により、キュメンの販売価格は上昇しました。

 ポリエチレン樹脂は、国内で出荷が減少しましたが、ナフサ価格及び海外市況の上昇を反映して販売価格は上昇しました。クロロプレンゴムは、国内輸出ともに出荷が減少しましたが、原材料価格高騰を背景に販売価格は上昇しました。

 この結果、売上高は、前連結会計年度に比べ289億円(16.3%)増加し2,061億円となりましたが、営業利益は、エチレン、プロピレン等のオレフィン製品やポリエチレン樹脂の出荷減少と修繕費等の固定費増加により、前連結会計年度に比べ35億円(22.6%)減少し121億円となりました。

 

  ク ロ ル ・ ア ル カ リ 事 業

 

苛性ソーダは、生産量の増加に伴い出荷が増加しました。また、国内価格の是正及び海外市況の上昇により販売価格は上昇しました。塩化ビニルモノマーは、出荷が増加しましたが、海外市況下落を受けて輸出価格は下落しました。塩化ビニル樹脂は、国内外で出荷が減少しました。海外市況は下落しましたが、国内価格の是正や円安進行により販売価格は上昇しました。

セメントは、需要低調により国内輸出ともに出荷が減少しましたが、販売価格は国内輸出ともに上昇しました。

ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)は、生産量の増加に伴い出荷が増加しました。また、海外市況は下落しましたが、円安進行や国内価格の是正により販売価格は上昇しました。ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)系硬化剤は、需要の減少に伴い出荷が減少しましたが、海外市況の高止まりや円安進行により販売価格が上昇しました。

この結果、売上高は前連結会計年度に比べ448億円(12.4%)増加し4,064億円となりましたが、営業損益は、ナフサや石炭等の原燃料価格上昇に伴う交易条件の悪化により、前連結会計年度に比べ802億円減少し107億円の損失となりました。

 

  機 能 商 品 事 業

 

エチレンアミンは、景況感悪化に伴う需要減少により出荷が減少しましたが、海外市況の上昇により販売価格は上昇しました。

計測関連商品は、液体クロマトグラフィー用充填剤の出荷が堅調に推移しました。診断関連商品は、欧米及び中国向けで体外診断用医薬品の出荷が減少しました。

ハイシリカゼオライトは、自動車用途を中心に年度後半からの需要回復により出荷は前年並みとなり、円安進行により販売価格は上昇しました。ジルコニアは、出荷は総じて前年並みとなりましたが、円安進行及び価格是正により販売価格は上昇しました。石英ガラスは、半導体需要や設備能増により出荷が増加し、円安進行及び価格是正により販売価格は上昇しました。電解二酸化マンガンは、米国における需給緩和の影響で出荷が減少しましたが、円安進行及び価格是正により販売価格は上昇しました。

この結果、売上高は前連結会計年度に比べ446億円(19.7%)増加し2,708億円となり、営業利益は、石英ガラス等の出荷増加や為替の影響等による交易条件の改善により、前連結会計年度に比べ88億円(20.2%)増加し523億円となりました。

 

  エ ン ジ ニ ア リ ン グ 事 業

 

水処理エンジニアリング事業は、電子産業分野において受注案件の工事が順調に進捗し、メンテナンスなどのソリューションサービスも好調であったことなどから、売上高が増加しました。

建設子会社の売上高は減少しました。

この結果、売上高は前連結会計年度に比べ218億円(18.8%)増加し1,381億円となり、営業利益は前連結会計年度に比べ57億円(46.3%)増加し180億円となりました。

 

  そ の 他 事 業

 

運送・倉庫、検査・分析、情報処理等その他事業会社の売上高は増加しました。

この結果、売上高は前連結会計年度に比べ57億円(15.4%)増加し430億円となりましたが、営業利益は前連結会計年度に比べ2億円(5.8%)減少し29億円となりました。

 

 

② 目標とする経営指標の達成状況等

 

 目標とする経営指標の達成状況等については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております。

 

 ③ 生産、受注及び販売の状況

(1) 生産実績

(単位:百万円)

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

前年同期比(%)

石油化学事業

208,176

100.4

クロル・アルカリ事業

382,220

100.2

機能商品事業

214,082

109.8

エンジニアリング事業

138,005

136.1

その他事業

合計

942,484

106.5

 

(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

2 原則として、生産金額は、生産総量から自家使用量を差引いた販売向け生産量に、当連結会計年度中の平均販売単価を乗じて算出しております。

 

(2) 受注実績

主として見込み生産であります。

 

(3) 販売実績

(単位:百万円)

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

前年同期比(%)

石油化学事業

206,101

116.3

クロル・アルカリ事業

406,388

112.4

機能商品事業

270,795

119.7

エンジニアリング事業

138,113

118.8

その他事業

42,977

115.4

合計

1,064,376

115.9

 

(注) セグメント間取引については、相殺消去しております。

 

 

(3)キャッシュ・フローの状況

 

①当連結会計年度のキャッシュ・フローの概況

(単位:億円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増減

 

営業キャッシュ・フロー

税引前当期純利益

1,597

816

△ 781

減価償却費

407

431

24

法人税等

△ 368

△ 474

△ 107

その他

△ 550

△ 935

△ 385

1,086

△ 162

△ 1,249

投資キャッシュ・フロー

△ 435

△ 787

△ 352

フリー・キャッシュ・フロー

651

△ 950

△ 1,601

財務キャッシュ・フロー

有利子負債

△ 360

829

1,190

配当金

△ 197

△ 286

△ 89

その他

△ 22

△ 42

△ 20

△ 579

502

1,080

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

現金及び現金同等物に係る換算差額

49

34

△15

 

現金及び現金同等物(期首)

1,484

1,608

124

 

増減

124

△414

△538

 

現金及び現金同等物(期末)

1,608

1,194

△414

 

 

現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ414億円減少し、1,194億円となりました。

 営業活動によるキャッシュ・フローは、162億円の支出となりました。税金等調整前当期純利益の減益、棚卸資産の増加、法人税等の支払額の増加等により、前連結会計年度に比べ1,249億円収入が減少いたしました。

 投資活動によるキャッシュ・フローは、787億円の支出となりました。設備投資による支出の増加等により、前連結会計年度に比べ352億円支出が増加いたしました。

 この結果、フリー・キャッシュ・フローは前連結会計年度に比べ、1,601億円収入が減少し、950億円の支出となりました。

 財務活動によるキャッシュ・フローは、502億円の収入となりました。配当金の支払額の増加等がありましたが、短期借入の増加等により、前連結会計年度に比べ1,080億円収入が増加いたしました。

 なお、当連結会計年度の設備投資の資金調達は主に自己資金及び借入金により賄っております。

 

②資金の主要な使途を含む資金需要の動向

事業から創出される営業キャッシュ・フローを主な財源とし、設備投資、M&A等の戦略投資、更には株主への還元等に資金を配分してまいります。

2024年度を最終年度とする中期経営計画においては、スペシャリティ事業を中心とした収益拡大やCO2排出削減・有効利用による脱炭素対応を推進するため3ヶ年累計で2,000億円の設備投資を計画しております。また、株主還元は安定配当を基本として、フリー・キャッシュ・フローの水準等を勘案して自己株式の取得を機動的に実施してまいります。

なお、当連結会計年度末現在における今後1年間の資本的支出の予定及びその資金の調達源等については、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」に記載しております。

 

 

③フリー・キャッシュ・フロー

当社は、フリー・キャッシュ・フローを営業活動により獲得されたキャッシュ・フローと投資活動に支出されたキャッシュ・フローの合計として定義しております。当社はこの指標を戦略的投資又は負債返済に充当可能な資金の純額、あるいは、資金調達にあたって外部借入への依存度合を測る目的から、投資家に有用な指標と考えており、次の図のとおりフリー・キャッシュ・フローを算出しております。

 


 

 

④財務の方針及び資金調達の状況

当社は、事業の維持拡大に必要な資金を安定的に確保するため、内部資金と金融機関からの外部借入を活用しております。今後大型の設備投資やM&Aが発生する場合には、資金調達の多様化や資本効率の向上を踏まえ負債の活用を進めてまいりますが、タイムリーな資金調達が実行できるよう強固な財務基盤の維持に努めてまいります。

また当社は、資金需要に対する機動的な対応と金融情勢変化やコモディティ事業における原料や製品の市況変動の影響による財務の悪化に備え、一定程度の現預金の保有は必要と考えております。なお、ロシアのウクライナ侵攻に伴う資源価格の高騰により運転資金が増加したため、銀行借入を実行し手元流動性を確保しております。

2022年度末時点で当社の自己資本比率は61.9%、有利子負債は1,767億円、現金及び預金は1,202億円、ネットDEレシオは0.08、信用格付けは「A+」となっております。

 


 

※「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 2018年2月16日)等を2018年度の期首から適用しており、2014年度~2017年度に係る自己資本比率については、当該会計基準等を遡って適用した後の数値となっております。

 

 

⑤株主還元の方針

株主還元の方針については、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」をご参照ください。

 


 

※配当性向は連結財務諸表を元に算出しているため、「第1 企業の概況 1 主要な経営指標等の推移 (2)提出会社の経営指標等」に記載されている配当性向とは異なります。

 

(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 

 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するにあたり重要となる会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 4 会計方針に関する事項」に記載しております。

 「第2 事業の状況  3 事業等のリスク」に記載している在庫評価の影響、固定資産の減損、有価証券の評価、繰延税金資産の取崩し、退職給付関係、工事契約に係る一定期間にわたり収益を認識する取引の収益計上に関して、過去の実績や状況に応じて合理的だと考えられる様々な要因に基づき、見積り及び判断を行い、その結果を資産・負債の帳簿価額及び収益・費用の金額に反映しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

 連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

5 【経営上の重要な契約等】

・ 当社は、太平洋セメント株式会社にセメントの全面的な販売委託をしております。

 

・ 当社の塩化ビニル樹脂事業に関する合弁契約

当社は、デンカ株式会社との間で塩化ビニル樹脂に係る合弁契約を締結しております。同契約に基づいて、当社の子会社である大洋塩ビ株式会社において、塩化ビニル樹脂の製造・販売・研究を行い、当社主導で運営しております。

 

6 【研究開発活動】

急激な国内産業構造の変化および国際的な社会課題が変化する中、CSV(*)を意識した研究開発を基本方針とし、基盤事業の強化・拡大と当社の持続的成長への新規事業の創出に向けて、8つの研究開発部門およびオルガノ株式会社の開発センターが中心となった研究開発活動を推進しております。

(*)Creating Shared Valueの略。社会課題を解決する「社会的価値」と企業が追求する「経済的価値」を両立させる考え方。

具体的には、アドバンストマテリアル研究所およびライフサイエンス研究所では機能商品事業分野、ファンクショナルポリマー研究所、高分子材料研究所、ウレタン研究所では石油化学事業分野およびクロル・アルカリ事業分野、無機材料研究所、有機材料研究所では機能商品事業分野、技術センターでは各製品に関わるプロセス開発、オルガノ株式会社の開発センターではエンジニアリング事業分野の研究開発を担っております。

技術革新が急速に進む中、当社グループ単独での研究開発を補完すべく、オープンイノベーションにも積極的に取り組んでおり、国内外の研究機関との共同研究、大学との社会連携講座の開設、さらには、ベンチャーキャピタルファンド投資や米国への研究員派遣により、技術情報収集力の強化と外部技術の獲得を進めております。特に、社会的課題であるCO2の分離回収や有効利用技術、多層プラスチックフィルムのリサイクル技術の検討を進めるため、国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の先導研究プログラムに参画しております。中でもNEDOの「グリーンイノベーション基金事業/CO2等を用いたプラスチック原料製造技術開発」において、CO2排出量削減とその利用を目的にCO2からのポリウレタン原料製造技術の検討を進めております。

また、研究開発体制の強化として、四日市事業所では研究本館・カスタマーラボ棟が竣工し、ポリマー・ウレタン製品関連研究の集約、南陽事業所でも研究本館・ベンチ棟が竣工し、高機能材料・有機化成品関連研究設備の刷新を図りました。また、東京研究センターに設置したマテリアルズ・インフォマティクス(MI)専門グループを中心に、2023年度よりMIセンターの運用を開始します。全研究所へ導入した電子実験ノートの活用により、社内データベースの構築を進め、更に、増強したクラスタ計算機を用いた材料シミュレーションにより、MIに必要なデータの拡充を進めています。

当連結会計年度における当社グループ全体での研究開発要員は約1,100名であり、研究開発費は約214億円であります。

 

 

セグメント別の主な研究開発活動の状況を概観すると、次のとおりであります。

 

石油化学事業

 

 石油化学事業に関しては、既存ポリマー製品の改良、周辺技術の強化及び新規ポリマー材料の開発を推進しております。

 ポリエチレン関連では、新規ポリエチレンを使用した耐熱輸液バッグが国内外で採用に向けた評価が進んでいます。また、通常では困難な複合プラスチックの繰り返しリサイクルを可能とする改質剤「メルセンS」を開発し、市場展開を開始しました。PPS関連では、新規に開発した金属接着性に優れるグレードがEV関連部品で着実に採用されております。

 一方、CR、CSM、ペースト塩ビ、石油樹脂の機能性ポリマーについても、より付加価値の高い製品の開発を継続しており、CRは医療向け手袋グレードの開発に注力しております。また、NEDOの助成事業「炭素循環社会に貢献するセルロースナノファイバー(CNF)関連技術開発」に参画し、バイオマスを利用した製品の社会実装に取り組んでいます。

 電子関連への展開としては、液晶用光学材料、有機EL用光学材料など、当社独自コンセプトに基づく新規ポリマー材料の開発を積極的に進めております。

なお、本事業分野における研究開発費は約25億円であります。

 

クロル・アルカリ事業

 

クロル・アルカリ事業に関しては、ビニル・イソシアネート・チェーン関連技術の更なる強化へ向けて継続的な製造技術の革新に取り組んでおります。具体的には、塩ビモノマーの原料となる二塩化エタンを製造するオキシ塩素化工程において、活性・選択性・耐久性の全てに優れ、世界をリードする独自触媒への転換を進めております。この触媒技術は一般社団法人触媒学会の2019年度学会賞(技術部門)を受賞しました。また、電解関連においても、食塩電解の継続的な技術改良による省エネルギー化に取り組んでおり、開発した活性陰極による省エネルギー化技術は日本ソーダ工業会の2022年度技術賞を受賞しました。

ポリウレタン関連では、原料であるイソシアネートの機能性向上と製造プロセスの開発、機能性ポリオールの開発、および、ポリウレタンフォーム、エラストマーおよびコーティングを始めとするウレタン関連製品の処方開発に積極的に取り組むと共に、他の事業分野との連携による開発にも注力しております。具体的には、軽量で快適な乗り心地性を実現する自動車用All-MDI系シートクッションや、薄くて防音性に優れたフォームの開発に進展がありました。また、コーティング・合皮用途においては、耐薬品性に優れたウレタン樹脂やポリカーボネートポリオール、低粘度や低温硬化性を特徴とする環境ニーズに適合した硬化剤の開発を積極的に進めております。

なお、本事業分野における研究開発費は約37億円であります。

 

 

機能商品事業

 

機能商品事業に関しては、ライフサイエンス、環境・エネルギー、電子材料などに関する研究開発を実施しております。

ライフサイエンス関連における免疫診断事業関連では次世代装置と試薬の開発、遺伝子検査事業関連では感染症診断のための新規製品開発を進めております。分離精製剤事業関連では、急速に市場が成長しているバイオ医薬品(抗体医薬品、ウイルス医薬品、細胞医薬品)の分離剤や分析用液体クロマトグラフィーカラムの開発に注力しており、世界初の抗体医薬品活性分析用カラムの実用化に続き、製造用ゲルの開発を進めております。さらにウイルス医薬品、細胞医薬品向けの分析カラムや分析装置、バイオプロセス上流工程向けの細胞培養器材等の新規製品開発に鋭意取り組んでおります。

また、セラミックス材料の開発では、歯科用透光感ジルコニアや装飾用カラージルコニアの新グレード開発を加速させると共に、東京大学に設置した社会連携講座を継続し、次世代ジルコニアの創出を目指しています。

環境・エネルギー関連では、今後も需要拡大が予想されるリチウム二次電池の材料開発、コンデンサの高容量化に寄与する新規導電性高分子(セルフトロン®)の開発が進展しております。また、自動車排ガス浄化触媒用ゼオライトの開発では、脱硝性能、触媒耐久性の改良を進めると同時にゼオライトの革新的・高効率合成プロセス構築を東京大学との社会連携講座で推進しています。更には、水質・大気浄化用のゼオライト設計にも取り組んでおります。アミン誘導体としてはVOC低減に有効なウレタン発泡触媒(RZETA®)の拡販、アルデヒド捕捉剤(エミデリート®)の開発が進展するとともに、工場等から排出されるCO2の回収に利用する高性能CO2回収用アミンを開発しました。さらに、重金属処理剤(飛灰処理用、排水処理用)の技術サービス拠点を上海に設置し、拡販活動に注力しています。

電子材料関連におけるディスプレイ関連では、低消費電力化・高画質化を達成する有機EL用材料、更に半導体関連では、高品位スパッタリングターゲット、将来の半導体素子の微細化に対応した次世代配線用の有機金属化合物、製造プロセスを刷新可能なGaNスパッタリングターゲット、次世代半導体製造装置用の高機能石英部材などの開発を推進しております。有機EL用材料は、電子輸送材料の開発に関して科学技術振興機構の第47回井上春成賞を受賞しました。また、プリンテッドエレクトロニクス関連では、塗布型有機半導体材料、光硬化型絶縁材料、親撥処理膜材料、保護層材料等の一連の材料開発を産学連携で進めております。

なお、本事業分野における研究開発費は約126億円であります。

 

エンジニアリング事業

 

エンジニアリング事業に関しては、オルガノ株式会社の開発センターを中心に開発を行っています。

 水処理エンジニアリング関連では、純水、超純水、上水等の用水処理装置、下排水処理装置などの大型水処理設備、バイオ医薬精製工程向けクロマト分離装置、溶剤・薬液などの分離精製装置、および高度分析・センシング技術などの開発を実施しており、半導体工場向け大型電気再生式脱塩装置(大型EDI)を完成・上市しました。また、新実験棟を活用した最先端半導体工場向けの次世代型超純水製造技術や高度分析技術、高純度薬液精製システム及び水回収・再利用システム、公共下水向け高機能処理設備、バイオ医薬精製工程向け連続クロマト分離装置、リチウムイオン二次電池向けのn-メチルピロリドン回収精製装置、水処理プラントの高度運転監視システムなどの研究開発を推進しております。

 機能商品関連では、ラボ・医療機関向け小型超純水製造装置、水処理薬品、新規機能材料、加工食品向けの食品添加物・素材の開発を実施しており、RO処理向け薬注制御システム「オルスマートRO」やRO膜用新規殺菌剤、ユニット型ろ過装置(LUシリーズ)を完成・上市しました。また、ラボ向け超純水装置や水処理用分離膜向け高機能薬剤などの研究開発を推進しました。

    なお、本事業分野における研究開発費は約26億円であります。