文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、「化学の革新を通して、幸せを実現し、社会に貢献する」を企業理念に掲げ、この理念を実現し企業価値を継続的に向上させるため、経営環境の変化に迅速に対応し、公正で透明性の高い企業経営を行ってまいります。
企業理念の実現に向けて、以下を「東ソーグループCSR基本方針」として共有・実践してまいります。
1.事業を通じた社会の持続可能な発展への貢献
化学を基盤とした独自の技術を深め、世界の事業パートナーとの協創を通じて、社会問題を解決し、
人々の幸福に寄与する革新的で信頼性のある製品・サービスを提供します。
2.安全・安定操業の確保
事業活動にかかわる人々の安全・健康の確保と安定操業が、経営の最重要課題であることを認識し、
安全文化の醸成と安全基盤の強化に真摯に取り組みます。
3.自由闊達な企業風土の継承・発展
働きがいがあり、人権と多様性を尊重する風通しの良い職場環境を育むことで、
活力にあふれ、従業員とその家族が誇りを持てる企業風土を実現します。
4.地球環境の保全
化学物質管理を徹底すると共に、事業活動が地球環境に及ぼす環境負荷の最小化に
バリューチェーン全体で継続的に取り組みます。
5.誠実な企業活動の追求
コンプライアンスを徹底し、対話と協働を基本とする誠実で透明性の高い企業活動を通じて、
ステークホルダーから信頼されるグローバルな企業グループを実現します。
(2)経営環境及び対処すべき課題
今後の世界経済は、物価上昇沈静化、米欧中銀の利下げ、半導体市況回復の進展、中国政府の景気支援策などによる景気持ち直しが期待されますが、これらが想定通りとならない場合や、中東・ウクライナ情勢の緊迫、米中対立激化など、下振れリスクを抱えた事業環境が続くものと考えております。
このような状況の下、当社グループとしましては、様々な要因により変動する原燃料価格、海外製品市況、為替レート、需給バランスなどに注意を払い、事業環境の変化に迅速かつ柔軟に対応し収益確保に努めてまいります。
[2022~2024年度 中期経営計画]
当社は、2022年8月に、2024年度を最終年度とする3ヶ年の中期経営計画を公表いたしました。当該計画の概要につきましては以下のとおりです。
1. 目指す収益構造(~2030年度)
□コモディティは収益事業として定着も、今後は脱炭素対応に注力
スペシャリティで1,000億円超の利益基盤構築を目指す
2. 経営基本方針
□ハイブリッド経営を基本としつつ、スペシャリティの収益拡大に注力
・[コモディティ]“事業強化”と“CO2排出削減”を最適な組合せで実施、適正なコスト負担・価格転嫁による安定供給維持
・[スペシャリティ]比較優位のある事業への能増投資、成長分野への経営資源重点配分、新規事業の育成により収益基盤を拡充
□CO2排出削減・有効利用に向け総力結集
・脱炭素対応を全方位から推進、持続可能な社会の実現に向け企業責務を全うする
□健全財務に依拠した攻めの投資
・脱炭素下では事業環境が大きく変動、この変化を好機と捉え、タイムリーな戦略投資で将来への布石を打つ
□安全基盤の強化、安全文化の定着・深化
・プラントの安全操業は全てに優先、安全基盤の強化、安全文化の定着・深化に向け取り組み継続
3.数値目標
4.投融資計画
□2022-2024年度3ヵ年累計投資額 = 設備投資2,000億円 + M&A、脱炭素追加対応
□スペシャリティを中心に積極投資を展開、設備投資にはCO2削減投資300億円含む
□M&Aはバイオ関連を中心に探索
主な設備投資計画
≪通常投資≫ ≪CO2削減投資≫
・CR(増設) ・循環流動層ボイラへの更新
・臭素・難燃剤(増設) ・ガスタービン追加設置
・分離精製剤(増設) ・COプラントCO2原料化設備導入
・ジルコニア粉末(増設)
・MDIスプリッター海外設置
・ターゲット(米国能増)
・石英素材・加工品(能増)
5.研究開発
□「ライフサイエンス」「電子材料」「環境・エネルギー」を重点3分野に据え、研究開発資源を集中投下
□「研究インフラの有効活用」「MI技術による材料設計効率化」「オープンイノベーションの推進」
「ファンド等を活用した先端技術の獲得」により、研究開発を加速
6.株主還元
□安定配当を基本とし、自己株取得による資本効率向上にも努める
□配当性向は30%を目安とする
□自己株取得はフリーCFの水準等を勘案して機動的に実施する
7.脱炭素対応(CO2削減目標)
□2030年度30%削減(2018年度比)に向け具体的な施策を実施
□現行技術での30%削減は発電設備燃料の木質バイオマス転換が主体、
循環流動層ボイラ導入で燃料多様化図る
□CO2原料化は化学メーカーの使命、優先度を上げ取り組み強化
≪注意事項≫
本資料の計画は、現時点で入手可能な情報に基づき判断した予想です。従いまして、今後の国内外の経済情勢や予
測不可能な要素等により、実際の業績は計画値と大幅に異なる可能性があります。
[中期経営計画の進捗]
3ヶ年中期経営計画の2年目にあたる2023年度の業績は、営業利益が798億円となり、中期経営計画の利益目標である1,500億円との大きな乖離を残すこととなりました。中期経営計画策定時の想定に比べ原燃料価格は軟化したものの、中国経済の減速や半導体需要の落ち込みの影響により製品市況が悪化しており、中期経営計画の最終年度である2024年度においても事業環境の急速な回復は見込まれないと予想しております。厳しい事業環境下でありますが、利益目標に近づくべく尽力してまいります。
設備投資は、3ヶ年累計で当初計画の2,000億円を超える水準で推移する見込みです。事業環境が悪い中でも、将来に向けた成長投資は着実に進める方針です。
コモディティ事業ではベトナムでのMDIスプリッター設置を決定しており、成長市場での地産地消の布石を打ってまいります。スペシャリティ事業では、半導体製造プロセスで使用されるターゲット材料や石英素材・加工品の能力増強を進めるとともに、バイオ医薬品製造の精製工程等に使用される分離精製剤製造設備の能増に着手することで成長分野の需要を取り込んでまいります。
また、成長投資の実施と並行して、CO2削減に寄与する循環流動層ボイラの建設や、イソシアネート製造プロセスにおけるCO2原料化設備の建設を推進しており、成長と脱炭素の両立を図りながら事業運営を進めてまいります。
株主還元は、継続的かつ安定的な配当を行うことを基本方針としております。2023年度の年間配当は、安定配当及び資本効率の向上を意識した株主還元を実現すべく、前年度比5円増配の85円/株といたしました。結果、配当性向は中期経営計画で目安として掲げていた30%を超える47.2%となりました。
連結業績 (億円)
セグメント別売上高 (億円)
セグメント別営業利益及び営業利益率 (億円)
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組の状況は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
ガバナンス
取締役会の下にCSR委員会を設置し、サステナビリティに関する事案を管理しています。
2018年のCSR委員会設置当初は、CSR(企業の社会的責任)を重視した方針やKPI(目標値)の設定で開始しましたが、社会からのサステナビリティへの要求の高まりから、社会へのインパクトを意識したサステナビリティ課題のリスク及び機会に関連する方針やKPIへの見直しを実施してきています。
CSR委員会は社長執行役員を委員長とし、経営会議メンバー、事業所長、セクター長、全社委員会委員長で構成されています。
CSR委員会では、CSR活動方針の策定、CSR重要課題・KPIの進捗管理などを行い、取締役会へ上程します。CSR委員会を補完する「CSR推進連絡会」、同委員会、同連絡会の事務局として「CSR推進室」を設置しています。
取締役会の実効性の評価は、外部機関の助言を受け、アンケート調査を行う方法で実施しています。評価結果として、知識・経験・専門性・職歴・ジェンダーなどの観点で多様性を備え、社内外のバランスの取れた取締役構成であり、必要十分な報告に基づく適切なリスク管理および業務執行の監視・監督から実効的に役割・責務を果たしていると評価しています。なお、CSR重要課題のKPI達成率を役員報酬に反映することにしています。(2024年7月以降)
図1 CSRマネジメント推進体制

戦略
東ソーグループは、CSR基本方針に基づき、CSR委員会の下でCSR重要課題の解決に向けた活動を推進しています。
2022~2024年度のCSR重要課題は、リスクと機会になりうる社会課題から自社への影響も大きい9つの分野を選定し、合わせてKPIを設定しました。重要課題の選定段階において、社内での議論に加え、社外評価として社外取締役および投資機関、CSRコンサルタント、非営利法人の意見・コメントを集約し、重要課題の決定に反映しています。
図2 特定ステップ

また機会については、「環境負荷の低減」と「QOL(クオリティ・オブ・ライフ)の向上」といった社会課題の解決に貢献する東ソーグループの製品・技術・サービスを「社会課題ソリューション」として自社で認定し、その開発や普及を促進しています。
企業理念「私たちの東ソーは、化学の革新を通して、幸せを実現し、社会に貢献する。」に示されているように、社会課題の解決に貢献する事業の展開を通して、持続的な成長を目指すとともに、すべてのステークホルダーに信頼され、社会から必要とされる企業であり続けることを目指しています。国連で採択された「SDGs(持続可能な開発目標)」を重要な指針として捉え「社会に役立つ製品づくり」を通して、持続可能な社会の実現に貢献していくことが使命であると考えています。
こうした考えのもと設定した「社会課題ソリューション」の認定手順は、事業部門・事業所・事業会社から提案された製品について、CSR推進連絡会で審議し、その後、CSR委員会、取締役会に報告し、認定されます。
図3 社会課題ソリューション_認定手順

リスク管理
CSR委員会と取締役会で目標の達成度を確認して、毎年の活動目標を定めています。2023年度はCSR委員会を2回開催し、前年度のCSR重要課題・KPIの実績を審議、当年に取り組んでいる重要課題の進捗状況の審議を行い、取締役会に上程し承認されました。またCSR委員会に包含される各種委員会では、サステナビリティを支援するため、より具体的なリスクや機会が議論され、CSR委員会にて報告されています。
図4 各委員会

指標と目標
2022~2024年度のCSR重要課題とKPI(目標値)に対して、年度ごとに中間目標を設定し、達成度評価に基づき、次年度へのステップアップを図っています。
図5 重要課題とKPI

※2023年度より90%以上に変更しました。
(2) 重要なサステナビリティ項目
CSR重要課題も踏まえ、東ソーグループにおいて重要なサステナビリティ項目として、化学品製造の重要なエネルギー源である自家火力発電に関連する「気候変動問題への対応」と、企業価値向上に必須となる「人的資本」の2つについて以下に詳細を示します。
①気候変動問題への対応
ガバナンス
東ソーグループの気候変動問題への対応は、CO2削減・有効利用推進委員会、中央エネルギー管理委員会を中心に推進しています。また、気候変動に関連する社会動向、規制要件やリスク管理などの情報収集およびグループ会社を含む社内への情報共有を進めています。
活動に関する事項は適宜、取締役会に報告し、承認を受けるとともに、必要に応じて指示を受けています。
推進体制強化として、CO2削減・有効利用推進委員会の下に、CO2削減・有効利用戦略室、CO2削減・有効利用南陽および四日市タスクフォースチームを設置しています。
図6 TCFD推進体制図

東ソーグループは事業活動を通じたGHG排出量削減への貢献が、グループの中長期的な成長における最重要課題と認識し、省エネルギーや燃料転換によるGHG排出削減、CO2の有効利用に向けた技術検討を推進しています。
1. 省エネルギーの推進
内部炭素価格を設定し、投資判断の材料にすることで省エネの取り組みを加速させます。
2. 使用エネルギーの脱炭素化
自家用火力発電の燃料をGHG排出量の多い石炭からバイオマス、水素・アンモニアへの転換、再エネの導入取り組みの強化を推進します。
3. CO2の回収・有効利用
発生するCO2を分離・回収し、化学品原料などに有効利用する技術開発を進めていきます。
上記の各種GHG排出量削減のため、従来の設備投資に加えて2022年度から2030年度にかけて約1,200億円のGHG排出量削減投資を判断する方針です。その内訳として、2026年度までに600億円の投資(投資決定金額ベース)を計画し、順次投資判断を行っています。
<主な投資案件>
①南陽事業所にバイオマス発電設備を新設:
→投資額:約400億円、CO2排出削減量約50万トン
②南陽事業所の一酸化炭素(CO)製造設備でのCO2回収・原料使用:
→投資額:約60億円、CO2排出削減量約2万トン
東ソーは、日本のエネルギー政策、技術革新、CO2フリー燃料の流通などの動向を踏まえながら、脱炭素社会に向けた諸施策を遅滞なく実施していきます。
CO2削減・有効利用推進委員会において、毎年のGHG排出量の特定と解析を行い、適切な削減計画を策定しています。
また、CO2削減・有効利用戦略室を中心に気候変動に関するリスクと機会の定性・定量分析を実施しており、自社の取り組み状況や社会動向を監視しています。
現状での重要課題は、下記のとおりです。
・自家火力発電設備の燃料転換
・再生可能エネルギーの導入
・CO2回収及びその原料化による有効利用
国内外のエネルギー政策や政府の動向を注視するため、経産省の主催するイニシアチブ(GXリーグ)に参画し、ワーキンググループの主体メンバーとして提言書の作成・公表など政策決定への関与にも取り組んでいます。
●2030年度までに東ソーグループにおけるGHG排出量を2018年度比で30%削減
●2050年カーボンニュートラルへの挑戦
気候変動問題に伴う移行リスク、物理的リスク、機会に関連する収益、資産や事業活動の割合、そのために配備された投資額の総額などの指標は、シナリオ分析(定量)を通じて解析していきます。また内部炭素価格(6,000円/t-CO2)を適用しており、CO2排出量の増加あるいは減少する設備投資の採算計算に活用して投資判断の材料とすることで、GHG排出量の低減に資する設備投資の促進を図っています。
図7 GHG排出量グラフ

※「その他のGHG」は、N2O、CH4、SF6、HFCの合計値。
②人的資本
ガバナンス
重要な人事施策、組織の新設・改編や役職の任免の実施等については、経営会議に付議し、協議と決裁を行っています。特に重要な事案については、取締役会に付議し、承認を得ています。また活動に関する事項は、定期的に取締役会に報告を行い、必要に応じて指示を受けています。
また、CSR委員会及び取締役会で承認されたCSR重要課題の一つとして「ダイバーシティ&インクルージョン」を定め、企業最大の資源である人材の自律的な成長を促し、従業員が仕事と生活を両立しながら持てる能力を十分に発揮できる働きやすい環境をつくることに取り組んでおります。また活動に関する事項は、定期的にCSR委員会及び取締役会に報告を行い、必要に応じて指示を受けています。
戦略
「人材育成方針」
当社は就労期間の長期化(人生100年時代)、デジタル化の進展(AI、IoT等)など社会に大きな変化が生じている中、多様な価値観を受け入れ、自ら考え行動できる人材を育成することが持続的な企業価値の向上に不可欠と考えています。こうした認識を踏まえ、当社の人事育成の基本方針は、環境の変化に対応するために自身のありたい姿を描き、その実現に向けて、学び・やり抜く意欲を持ち続けられる『自律型人材(※)』を育成することと定めています。
社内教育体系は人材育成の基本方針に基づき、受動的な研修から能動的・持続的に学ぶ仕組みへ改め、従業員の自主性や主体性を引き出すことを狙いとしています。
また、社内にキャリアサポートグループを設立し、従業員が理想とするキャリアやライフスタイルを選択することをサポートする体制を整えています。
(※)自律型人材の定義:組織の内外に限らず、いかなる環境下であっても、自ら仕事や役割を創り、周りを巻き込んで結果を出す人材
図8 自律型人材育成の概念図

図9 社内教育体系

「社内環境整備方針」
当社は新しい価値を創造するためには、多様な人材や価値観を積極的に取り入れることが重要であると考えています。多様な人材が活躍するためには、長く安心して働くことができる環境づくりが大切であり、① 業務を効率化し、ワークライフバランスを実現する働き方改革、②従業員の多様なライフスタイルと仕事の両立支援制度の充実、③従業員本人の健康づくりをサポートする健康経営を推進しています。
図10 社内環境整備方針

当社の人材育成方針及び社内環境整備方針に関する具体的な考え方や取り組み状況等の詳細については、当社Webサイトをご参照ください。
https://www.tosoh.co.jp/csr/social/human_resources/
https://www.tosoh.co.jp/csr/social/diversity/
https://www.tosoh.co.jp/csr/social/worklife/
リスク管理
企業の最大の資産は「人材」であり、持続的に成長し価値を生み出し続けるためには「働きがいのある企業」であることが重要です。少子高齢化や雇用の流動化が進展する中、企業として採用競争力が低下して優秀な人材の獲得が期待どおり進まないこと、離職によって組織の総合力が低下することが大きなリスクであると考えています。従業員に成長の機会を提供し、安心して働き続けることのできる職場環境を醸成することで、リスクの低減に取り組んでいます。
指標と目標
上記「戦略」において記載した、人材育成方針及び社内環境整備方針に係る指標として、CSR重要課題「ダイバーシティ&インクルージョン」に対応したKPIを設定し、進捗を管理しています。
(注)2023年7月~2024年3月実績をもとにした2023年7月~2024年6月の見込数値
(注)上記の指標について、当社においては、関連する指標のデータ管理とともに、具体的な取組みが行われているものの、連結グループに属する全ての会社では行われてはいないため、連結グループにおける記載が困難であります。このため目標及び実績は、連結グループにおける主要な事業を営む提出会社のものを記載しております
当社の人的資本に関する詳細データについては、当社Webサイトをご参照ください。
https://www.tosoh.co.jp/csr/data/
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 製品・原燃料の国際市況の変動
当社グループでは、石油化学事業、クロル・アルカリ事業を中心に、ナフサや製品等の市況変動の影響を受ける製品を有しており、それらは製品価格変動リスクに晒されております。また、ナフサ、石炭等の原燃料についても多くが市況変動に伴う購入価格変動リスクに晒されており、急激な原燃料価格の高騰に対し、製品市況が連動して上昇しない場合や製品価格の是正が適切に行われない場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に重大な影響を与える可能性があります。
(2) 在庫評価の影響
当社グループは、棚卸資産の評価方法及び評価基準について、主として総平均法による原価法を採用しております。そのため、ナフサや石炭等の原燃料価格が在庫単価に比べて下落する局面においては、期初の相対的に高価な在庫の影響により売上原価が押上げられるなど、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。また、収益性の低下に基づく簿価切下げを行った場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(3) 国内外の経済情勢・需要変動、競合
国内外の顧客や市場の動向、経済情勢の変動により、当社グループの製品マーケットの縮小や市況の下落が生じた場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。また、競合他社による生産能力増強や低価格販売などの事業展開により、当社グループの製品マーケットのシェア低下や需給バランスが崩れることによる製品価格の下落が生じた場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(4) 企業買収・資本提携及び事業再編
当社グループは、事業の拡大・効率化や競争力強化を目的として国内外における企業買収、資本提携を実施しております。当社グループ及び出資先企業を取り巻く事業環境の変化により、活動が円滑に進まない、あるいは当初期待した効果が得られないなどの場合には、のれんの減損処理を行う必要が生じる等、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
また、不採算事業からの撤退や関係会社の整理等の事業再編を行った場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(5) 為替レートの変動
当社グループは、国内で製造した製品の一部を海外へ輸出しており、原燃料の大半は海外から輸入しております。大幅な為替レートの変動は、外貨建取引、外貨建資産・負債、更には海外グループ会社の財務諸表の円換算額にも影響を及ぼすこととなり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(6) 海外での事業活動
当社グループは、製品の輸出及び海外における現地生産等、幅広く海外での事業活動を行っております。しかしながら、戦争・テロ・その他の要因による社会的又は政治的混乱、社会インフラの未整備、人材の採用・確保の困難といったリスクが存在しており、このようなリスクが顕在化し海外での事業活動に支障が生じた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(7) 原燃料の調達
当社グループは、生産活動に必要な原燃料を国内外から調達しており、原燃料の調達先の多様化、中長期的契約の締結、あるいはスポット市場からの購入により長期的、安定的な調達に取り組んでおります。しかしながら、特定の地域やサプライヤーに依存している原燃料もあるため、その供給者における災害・事故等による調達への支障が発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(8) 金利変動
当社グループは、大型投資・M&Aをタイムリーに実行できる強固な財務基盤を維持することを財務方針とし、戦略的投資とのバランスを考慮しつつ、有利子負債の削減や金融収支の改善に努めておりますが、今後金利が上昇した場合には支払利息が増加し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(9) 環境関連等法的規制
当社グループは、環境保全と安全及び健康の確保が経営の最重要課題であると認識し、事業活動を行っております。しかしながら、今後環境等に関する国内外の法的規制の強化あるいは社会的責任の要請等により、事業活動の制限、若しくは追加の設備投資や新たな費用が発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(10) 気候変動
パリ協定が採択されたのを機に気候変動や地球温暖化の原因とされる温室効果ガスの排出削減を目的とした取り組みが世界的に進められております。当社グループは、「CO2削減・有効利用推進委員会」を立ち上げ、CO2の削減や有効利用に向けた技術改善を推進しておりますが、今後CO2等の排出や化石燃料の利用に関連して数量規制や税の賦課が導入された場合や化石燃料由来ではない代替品の出現等で石油関連製品の需要が減少した場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
また、気候変動による極端な気象現象(台風、洪水等)の発生で生産設備や輸送に使用する道路等が被害を受けた場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(11) 事故・災害・感染症
当社グループは、日常的及び定期的な設備の点検・保守、安全関連投資等を実施し、設備事故等の発生の未然防止に努めております。しかしながら、自然災害、不慮の事故などの影響を完全に防止し、軽減することは出来ません。万一、事故・災害により、製造設備停止に伴う損失、工場周辺地域への被害補償に伴う費用、多額の設備補修費等が発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
また、当社グループが事業活動を展開する国や地域において、新型コロナウイルスやインフルエンザ等の感染症が発生・拡大し、生産や営業活動を停止せざるを得なくなった場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(12) 設備投資
当社グループは、今後の需要予測、損益等を総合的に勘案して、戦略的に設備投資を実施しております。しかしながら、人手不足による建設費・物流費の高騰などにより実際の投資額が予定額を大幅に上回った場合や、製品・原燃料市況の変化等により計画通りの収益が得られなかった場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(13) 品質問題
当社グループは、製品の品質保証体制を確立し、製造物賠償責任保険も付保しております。しかしながら、製品に予期せぬ欠陥が発生した場合には、社会的信用の低下や製品の販売中止等に繋がり、更に訴訟が提起される事態に発展することも想定されます。このような場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(14) 訴訟
当社グループは、東ソーグループ行動指針の制定を行い、国内外の法令遵守に努めております。しかしながら、広範な事業活動を行う中、訴訟、その他の法律的手続きの対象となるリスクがあり、重要な訴訟等の提起を受ける可能性があります。現在及び将来の事件での帰趨を予測することは困難でありますが、裁判等において不利益な決定や判決がなされた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(15) 知的財産
当社グループは、知的財産権の重要性を認識し、国内外において、知的財産の権利化、第三者が保有する知的財産権の侵害防止に取り組んでおります。しかしながら、広範囲に事業を展開する中で、当社グループの知的財産権が侵害される可能性や第三者が保有する知的財産権を侵害する可能性があり、こうした場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(16) 技術革新
当社グループは、急激な国内産業構造の変化及び国際的な社会課題が変化する中、基盤事業の強化・拡大と当社の持続的成長への新規事業の創出に向けて、積極的な研究開発を展開しております。特に機能商品事業においては、技術革新のスピードが著しく、タイムリーに新製品を開発・提供していく必要があると考えております。しかしながら、顧客ニーズに適合して継続的に新製品の開発・提供ができない場合、あるいは他社において画期的な技術革新がなされた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(17) 情報セキュリティ
当社グループは、サイバー攻撃に対し様々な防御策を講じておりますが、事業所のプラント制御系システムや基幹システムに問題が発生した場合には、重要な業務の中断を余儀なくされ、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
また、機密情報や個人情報の適切な管理に努めており、EU一般データ保護規則(GDPR)に対しても適切に対応しております。しかしながら、不測の事態により外部へ情報が漏洩した場合には、社会的信用や競争力の低下を招き、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(18) 固定資産の減損
当社グループは、固定資産の減損に係る会計基準を適用しておりますが、今後各製品において事業収益性の大幅な悪化や不動産価格の下落等があった場合には減損損失が発生し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(19) 有価証券の評価
当社グループは、主に取引関係の維持・発展などを目的に取引先の有価証券を保有しておりますが、当社グループが保有する有価証券の大幅な市場価格の下落、又は株式保有先の財政状態の悪化により有価証券の評価が著しく下落した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(20) 繰延税金資産の取崩し
当社グループは、税務上の繰越欠損金及び将来減算一時差異に対して、将来の課税所得を合理的に見積もり回収可能性を検討した上で繰延税金資産を計上しておりますが、実際の課税所得が見積りと異なり回収可能性の見直しが必要となった場合、又は税率変更を含む税制の改正等があった場合には、繰延税金資産の取崩しが必要となり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(21) 退職給付関係
当社グループの退職給付債務及び退職給付費用は、年金数理計算上使用される各種の基礎率と年金資産の運用利回り等に基づき算出されております。年金資産の時価の変動、金利の変動、退職金・年金制度の変更等に伴う退職給付債務及び退職給付費用の変動が、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(22) 工事契約に係る一定期間にわたり収益を認識する取引の収益計上
当社グループのエンジニアリング事業の工事契約において、財又はサービスに対する支配が顧客に一定の期間にわたり移転する場合には、財又はサービスを顧客に移転する履行義務を充足するにつれて、一定の期間にわたり収益を認識しておりますが、工事収益総額、工事原価総額及び連結会計年度末における進捗度を合理的に見積もる必要があります。工事案件ごとに継続的に見積総原価や予定工事期間の見直しを実施する等適切な原価管理に取り組んでおりますが、それらの見直しが必要になった場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(1)財政状態の状況
(単位:億円)
※有利子負債はリース債務を含んでおります。
総資産は、現金及び預金、有形固定資産の増加等により、前連結会計年度末に比べ957億円増加し1兆2,899億円となりました。有形固定資産の増加は、バイオマス発電所、分離精製剤製造設備の建設等の設備投資によるものです。
負債は、その他負債の増加等により、前連結会計年度末に比べ311億円増加し4,312億円となりました。その他負債の増加は、未払法人税等、繰延税金負債の増加等によるものです。
純資産は、配当金の支払い等がありましたが、親会社株主に帰属する当期純利益の計上に加え、その他有価証券評価差額金の増加等により、前連結会計年度末に比べ646億円増加し8,588億円となりました。
(2)経営成績の状況
① 事業全体及びセグメント情報に記載された区分ごとの状況
(単位:億円)
〈参考〉為替、海外製品市況
当期の世界経済は、欧米先進国を中心としたインフレの高止まりと金融引き締め政策が継続し、中国ではゼロコロナ政策解除後の需要が期待ほど回復しておらず、製造業を中心に減速基調で推移しました。また、原燃料価格や人件費の上昇等に伴う物価上昇圧力の拡大、米中対立や中東・ウクライナ情勢等の地政学リスクへの警戒感は依然として強く、先行き不透明な状況が続いております。
このような情勢下、当社グループの連結業績については、売上高は、ナフサ等の原燃料価格及び海外製品市況の下落に伴う販売価格の下落に加え、景気減速に伴う需要減退や南陽事業所の定期修繕、四日市事業所のプラントトラブルの影響を受け販売数量が減少したことから、1兆56億円と前連結会計年度に比べ587億円(5.5%)の減収となりました。営業利益は、在庫受払差が大幅に悪化し販売数量も減少しましたが、ナフサや石炭等の原燃料価格下落を背景とした交易条件の改善により、798億円と前連結会計年度に比べ52億円(7.0%)の増益となりました。経常利益は、円安進行に伴う為替差益を営業外収益に計上し、959億円と前連結会計年度に比べ59億円(6.6%)の増益となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、573億円と前連結会計年度に比べ70億円(13.9%)の増益となりました。
セグメント別の経営成績は、次のとおりであります。
<売上高分析> (単位:億円)
<営業利益分析> (単位:億円)
石 油 化 学 事 業
エチレン及びプロピレンは、四日市事業所プラントのトラブルによる生産量減少により、出荷が減少しました。キュメンは、需要回復により出荷が増加しました。また、ナフサ価格の下落により、エチレン及びプロピレンの販売価格は下落しました。海外市況下落の影響を受け、キュメンの販売価格は下落しました。
ポリエチレン樹脂は、様々な業界で需要が低迷しており、国内輸出ともに出荷が減少しました。輸出販売価格は、EVA樹脂を中心に海外市況の悪化を背景にして下落しました。クロロプレンゴムは、需要低迷に伴い出荷が減少しましたが、輸出価格は円安進行などを背景に上昇しました。
この結果、売上高は前連結会計年度に比べ225億円(10.9%)減少し1,836億円となり、営業利益は、ナフサや石炭等の原燃料価格下落に伴い交易条件が改善したものの、在庫受払差の悪化や販売数量の減少により、前連結会計年度に比べ14億円(11.4%)減少し107億円となりました。
ク ロ ル ・ ア ル カ リ 事 業
苛性ソーダは、定期修繕等による生産量の減少に伴い出荷が減少しました。一方、価格是正により国内価格は上昇し、海外市況の下落により輸出価格は下落しました。塩化ビニルモノマーは、定期修繕等による生産量の減少に伴い出荷が減少しました。塩化ビニル樹脂は、国外出荷が増加しました。また、海外市況の下落を反映し塩ビ製品の海外販売価格は下落しました。
セメントは、需要低調により国内輸出ともに出荷が減少しましたが、国内販売価格は上昇しました。
ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)は、前期並みの出荷となりましたが、中国ゼロコロナ政策を背景とした需要減退により下落した海外市況が回復せず販売価格は下落しました。ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)系硬化剤は、中国における建築・土木用途等、世界的な需要低迷を背景に市況が下落し、販売価格が下落しました。
この結果、売上高は前連結会計年度に比べ469億円(11.5%)減少し3,595億円となりましたが、営業利益は、在庫受払差が悪化したものの、ナフサや石炭等の原燃料価格下落に伴い交易条件が改善したことにより、前連結会計年度に比べ143億円増加し36億円となりました。
機 能 商 品 事 業
エチレンアミンは、世界的な景況感悪化に伴う需要減少の影響で出荷が減少し、海外市況の下落により販売価格が下落しました。臭素は、生産能力増強に合わせ主に海外での拡販を行い出荷が増加しましたが、海外市況下落を受けて販売価格は下落しました。
計測関連商品は、米国及び中国向けで液体クロマトグラフィー用充填剤の出荷が減少しました。診断関連商品は、国内外で自動ヘモグロビン分析装置及び関連試薬の出荷が増加しましたが、国内向けで遺伝子検査試薬の出荷が減少しました。
ハイシリカゼオライトは、需要回復により自動車用途を中心に出荷が増加し、円安進行により販売価格は上昇しました。ジルコニアは、装飾用途・歯科用途で出荷が減少しましたが、円安進行及び価格是正により販売価格は上昇しました。石英ガラスは、半導体需要の減速により出荷が減少しましたが、円安進行及び価格是正により販売価格は上昇しました。電解二酸化マンガンは、欧州・アジア地域での出荷が増加し、円安進行及び価格是正により販売価格は上昇しました。
この結果、売上高は前連結会計年度に比べ112億円(4.1%)減少し2,596億円となり、営業利益は、為替の影響や石炭等の原燃料価格下落に伴い交易条件が改善したものの、在庫受払差の悪化、固定費の増加や石英ガラス、ジルコニア等の出荷減少により、前連結会計年度に比べ144億円(27.5%)減少し379億円となりました。
エ ン ジ ニ ア リ ン グ 事 業
水処理エンジニアリング事業は、電子産業分野において半導体関連など受注した大型案件の工事が概ね順調に進捗し、国内半導体工場に向けた設備保有型サービスの拡大や各種メンテナンスの増加などソリューションサービスも好調に推移したことから、売上高が増加しました。
建設子会社の売上高は増加しました。
この結果、売上高は前連結会計年度に比べ189億円(13.7%)増加し1,570億円となり、営業利益は前連結会計年度に比べ68億円(37.6%)増加し247億円となりました。
そ の 他 事 業
運送・倉庫、検査・分析、情報処理等その他事業会社の売上高は増加しました。
この結果、売上高は前連結会計年度に比べ29億円(6.8%)増加し459億円となり、営業利益は前連結会計年度に比べ0億円(0.8%)増加し29億円となりました。
目標とする経営指標の達成状況等については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております。
③ 生産、受注及び販売の状況
(単位:百万円)
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 原則として、生産金額は、生産総量から自家使用量を差引いた販売向け生産量に、当連結会計年度中の平均販売単価を乗じて算出しております。
主として見込み生産であります。
(単位:百万円)
(注) セグメント間取引については、相殺消去しております。
①当連結会計年度のキャッシュ・フローの概況
(単位:億円)
現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ295億円増加し、1,490億円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、1,170億円の収入となりました。税金等調整前当期純利益の増加、売上債権、棚卸資産、法人税等の支払額の減少等により、前連結会計年度に比べ1,332億円収入が増加いたしました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、599億円の支出となりました。設備投資による支出の減少等により、前連結会計年度に比べ188億円支出が減少いたしました。
この結果、フリー・キャッシュ・フローは前連結会計年度に比べ、1,520億円収入が増加し、570億円の収入となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、312億円の支出となりました。短期借入金の減少等により、前連結会計年度に比べ814億円支出が増加いたしました。
なお、当連結会計年度の設備投資の資金調達は主に自己資金及び借入金により賄っております。
②資金の主要な使途を含む資金需要の動向
事業から創出される営業キャッシュ・フローを主な財源とし、設備投資、M&A等の戦略投資、更には株主への還元等に資金を配分してまいります。
2024年度を最終年度とする中期経営計画においては、スペシャリティ事業を中心とした収益拡大やCO2排出削減・有効利用による脱炭素対応を推進するため3ヶ年累計で2,000億円の設備投資を計画しております。また、株主還元は安定配当を基本として、フリー・キャッシュ・フローの水準等を勘案して自己株式の取得を機動的に実施してまいります。
なお、当連結会計年度末現在における今後1年間の資本的支出の予定及びその資金の調達源等については、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」に記載しております。
③フリー・キャッシュ・フロー
当社は、フリー・キャッシュ・フローを営業活動により獲得されたキャッシュ・フローと投資活動に支出されたキャッシュ・フローの合計として定義しております。当社はこの指標を戦略的投資又は負債返済に充当可能な資金の純額、あるいは、資金調達にあたって外部借入への依存度合を測る目的から、投資家に有用な指標と考えており、次の図のとおりフリー・キャッシュ・フローを算出しております。

④財務の方針及び資金調達の状況
当社は、事業の維持拡大に必要な資金を安定的に確保するため、内部資金と金融機関からの外部借入を活用しております。今後大型の設備投資やM&Aが発生する場合には、資金調達の多様化や資本効率の向上を踏まえ負債の活用を進めてまいりますが、タイムリーな資金調達が実行できるよう強固な財務基盤の維持に努めてまいります。
また当社は、資金需要に対する機動的な対応と金融情勢変化やコモディティ事業における原料や製品の市況変動の影響による財務の悪化に備え、一定程度の現預金の保有は必要と考えております。
2023年度末時点で当社の自己資本比率は61.6%、有利子負債は1,831億円、現金及び預金は1,498億円、ネットDEレシオは0.04、信用格付けは「A+」となっております。

※有利子負債はリース債務を含んでおります。
⑤株主還元の方針
株主還元の方針については、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」をご参照ください。

※配当性向は連結財務諸表を元に算出しているため、「第1 企業の概況 1 主要な経営指標等の推移 (2)提出会社の経営指標等」に記載されている配当性向とは異なります。
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するにあたり重要となる会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 4 会計方針に関する事項」に記載しております。
「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載している在庫評価の影響、固定資産の減損、有価証券の評価、繰延税金資産の取崩し、退職給付関係、工事契約に係る一定期間にわたり収益を認識する取引の収益計上に関して、過去の実績や状況に応じて合理的だと考えられる様々な要因に基づき、見積り及び判断を行い、その結果を資産・負債の帳簿価額及び収益・費用の金額に反映しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
・ 当社は、太平洋セメント株式会社にセメントの全面的な販売委託をしております。
・ 当社の塩化ビニル樹脂事業に関する合弁契約
当社は、デンカ株式会社との間で塩化ビニル樹脂に係る合弁契約を締結しております。同契約に基づいて、当社の子会社である大洋塩ビ株式会社において、塩化ビニル樹脂の製造・販売・研究を行い、当社主導で運営しております。
急激な国内産業構造の変化および国際的な社会課題が変化する中、CSV(*)を意識した研究開発を基本方針とし、基盤事業の強化・拡大と当社の持続的成長への新規事業の創出に向けて、8つの研究開発部門およびオルガノ株式会社の開発センターが中心となった研究開発活動を推進しております。
(*)Creating Shared Valueの略。社会課題を解決する「社会的価値」と企業が追求する「経済的価値」を両立させる考え方。
具体的には、アドバンストマテリアル研究所およびライフサイエンス研究所では機能商品事業分野、ファンクショナルポリマー研究所、高分子材料研究所、ウレタン研究所では石油化学事業分野およびクロル・アルカリ事業分野、無機材料研究所、有機材料研究所では機能商品事業分野、技術センターでは各製品に関わるプロセス開発、オルガノ株式会社の開発センターではエンジニアリング事業分野の研究開発を担っております。
技術革新が急速に進む中、当社グループ単独での研究開発を補完すべく、オープンイノベーションにも積極的に取り組んでおり、国内外の研究機関との共同研究、大学との社会連携講座の開設、さらには、ベンチャーキャピタルファンド投資や米国への研究員派遣により、技術情報収集力の強化と外部技術の獲得を進めております。特に、社会的課題であるCO2の分離回収や有効利用技術、多層プラスチックフィルムのリサイクル技術の検討を進めるため、国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の先導研究プログラムに参画しております。中でもNEDOの「グリーンイノベーション基金事業/CO2等を用いたプラスチック原料製造技術開発」において、CO2排出量削減とその利用を目的にCO2からのポリウレタン原料製造技術の検討を進めております。
また、研究開発体制の強化として、四日市事業所では研究本館・カスタマーラボ棟が竣工し、ポリマー・ウレタン製品関連研究の集約、南陽事業所でも研究本館・ベンチ棟が竣工し、高機能材料・有機化成品関連研究設備の刷新を図りました。また、東京研究センターにおいても新研究棟の建設が決定され、2025~2026年度の竣工に向けて作業が進められております。
一方、東京研究センターに設置したマテリアルズ・インフォマティクス(MI)専門グループを中心に、2023年度よりMIセンターの運用を開始しました。全研究所へ導入した電子実験ノートの活用により、社内データベースの構築を進め、更に、増強したクラスタ計算機を用いた材料シミュレーションにより、MIに必要なデータの拡充を進めており各種材料の開発加速に貢献しています。
当連結会計年度における当社グループ全体での研究開発要員は約1,090名であり、研究開発費は約
セグメント別の主な研究開発活動の状況を概観すると、次のとおりであります。
石油化学事業
石油化学事業に関しては、既存ポリマー製品の改良、周辺技術の強化および新規ポリマー材料の開発を推進しております。
ポリエチレン関連では、半導体の製造に用いる高純度薬液容器向けにクリーン性を一層向上したグレードを開発し市場評価が進んでいます。また、通常では困難な複合プラスチックの繰り返しリサイクルを可能とする改質剤「メルセンS」を開発し、販売を開始しました。PPS関連では、新規に開発した金属接着性に優れるグレードがEV関連部品で着実に採用されております。
一方、CR、CSM、ペースト塩ビ、石油樹脂の機能性ポリマーについても、より付加価値の高い製品の開発を継続しており、CRは医療向け手袋グレードの開発に注力しております。また、2022年度まで参画していたNEDOの助成事業「炭素循環社会に貢献するセルロースナノファイバー(CNF)関連技術開発」を活用した新製品を上市し、社会実装を開始しました。
電子関連への展開としては、液晶および有機ELディスプレイ用光学材料など、当社独自コンセプトに基づく新規ポリマー材料の開発を積極的に進めております。
なお、本事業分野における研究開発費は約
クロル・アルカリ事業
クロル・アルカリ事業に関しては、ビニル・イソシアネート・チェーン関連技術の更なる強化へ向けて継続的な製造技術の革新に取り組んでおります。具体的には、塩ビモノマーの原料となる二塩化エタンを製造するオキシ塩素化工程において、活性・選択性・耐久性の全てに優れ、世界をリードする独自触媒への転換を進めております。また、電解関連においても、食塩電解の継続的な技術改良による省エネルギー化に取り組んでおり、開発した活性陰極による省エネルギー化技術は日本ソーダ工業会の2022年度技術賞を受賞しました。
ポリウレタン関連では、原料であるイソシアネートの機能性向上と製造プロセスの開発、機能性ポリオールの開発、および、ポリウレタンフォーム、エラストマーおよびコーティングを始めとするウレタン関連製品の処方開発に積極的に取り組むと共に、他の事業分野との連携による開発にも注力しております。具体的には、軽量で快適な乗り心地性を実現する自動車用AII-MDI系シートクッションや、高い断熱性を長期間維持できる断熱材の開発に進展がありました。また、コーティング・合皮用途においては、成形加工エネルギー削減に貢献するウレタン樹脂やポリカーボネートポリオール、低粘度や低温硬化性を特徴とする硬化剤等、環境ニーズに適合した高付加価値製品の開発を積極的に進めております。
なお、本事業分野における研究開発費は約
機能商品事業
機能商品事業に関しては、ライフサイエンス、環境・エネルギー、電子材料などに関する研究開発を実施しております。
ライフサイエンス関連における免疫診断事業関連では次世代装置と試薬の開発、遺伝子検査事業関連では感染症診断のための新規製品開発を進めております。分離精製剤事業関連では、急速に市場が成長しているバイオ医薬品(抗体医薬品、ウイルス医薬品、細胞医薬品)の分離剤や分析用液体クロマトグラフィーカラムの開発に注力しており、世界初の抗体医薬品活性分析用カラムの実用化に続き、製造用ゲルの開発を進めております。さらにウイルス医薬品、細胞医薬品向けの分析カラムや分析装置、バイオプロセス上流工程向けの細胞培養器材等の新規製品開発に鋭意取り組んでおります。
また、セラミックス材料の開発では、歯科用透光感ジルコニアや装飾用カラージルコニアの新グレード開発を加速させると共に、東京大学に設置した社会連携講座を継続し、次世代ジルコニアの創出を目指しています。
環境・エネルギー関連では、今後も需要拡大が予想されるリチウム二次電池の材料開発、コンデンサの高容量化に寄与する新規導電性高分子(セルフトロン®)の開発が進展しており、セルフトロンでは新たに有機溶剤に溶けるグレードを開発し、市場展開を開始しました。また、自動車排ガス浄化触媒用ゼオライトの開発では、脱硝性能、触媒耐久性の改良を進めると同時にゼオライトの革新的・高効率合成プロセス構築を東京大学との社会連携講座で推進しています。更には、水質・大気浄化用のゼオライト設計にも取り組んでおります。アミン誘導体としてはVOC低減に有効なウレタン発泡触媒(RZETA®)の拡販が進展するとともに、工場等から排出されるCO2の回収に利用する高性能CO2回収アミンを開発し、南陽事業所に導入することが決まりました。さらに、重金属処理剤(飛灰処理用、排水処理用)については新グレードを開発し、上海にある技術サービス拠点と連携し、中国での拡販活動に注力しています。
電子材料関連におけるディスプレイ関連では、低消費電力化・高画質化を達成する有機EL用材料、更に半導体関連では、高品位スパッタリングターゲット、将来の半導体素子の微細化に対応した次世代配線用の有機金属化合物、次世代半導体製造装置用の高機能石英部材などの開発を推進しております。また、LEDやパワーデバイスの製造プロセスを刷新可能なGaNスパッタリングターゲットの上市を決定いたしました。プリンテッドエレクトロニクス関連では、塗布型有機半導体材料、光硬化型絶縁材料、親撥処理膜材料、保護層材料等の一連の材料開発を産学連携で進めております。
なお、本事業分野における研究開発費は約
エンジニアリング事業
エンジニアリング事業に関しては、オルガノ株式会社の開発センターを中心に開発を行っています。
水処理エンジニアリング関連では、半導体をはじめとした電子産業分野で求められる超純水や溶剤・薬液などの更なる高度化に向けた分離精製技術、高度分析技術の開発や、サステナビリティ課題に対して水・有価物回収技術、省エネルギーシステム、及びセンシング技術等の開発に取り組んでおり、薬品使用量の削減につながる大流量電気再生式脱塩装置(EDI)や、水処理装置の運転状況を監視して使用薬品量を自動でコントロールし、設備管理の省力化・廃棄物やCO2削減に寄与するセンシングシステムを開発しました。また高度な膜処理技術を利用した有価物回収システムを開発しました。加えて、前連結会計年度より稼働している新実験棟を活用し、最先端半導体工場向け次世代型超純水製造技術の開発を進め、その評価のため超純水や薬液中の不純物を高感度で測定する技術の開発を行いました。
機能商品関連では、水処理薬品、新規機能材、ラボ・医療機関向け小型超純水製造装置、食品加工向けの食品添加物・素材などの開発を行い、水処理用分離膜向け高機能薬剤、冷却水向け高機能薬剤、およびセンシング技術の研究開発を推進しました。
なお、本事業分野における研究開発費は約