文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、「化学の革新を通して、幸せを実現し、社会に貢献する」という企業理念のもと、事業を通じた社会価値の創出や社会課題解決に取り組んでいます。当社グループが目指す持続可能な社会と、その社会における存在意義(パーパス)を定義し、2025年5月に「東ソーグループサステナビリティ基本方針」を策定しました。
この「東ソーグループサステナビリティ基本方針」のもと、サステナビリティ経営及び持続可能な社会の実現に向けた活動を推進してまいります。
「東ソーグループサステナビリティ基本方針」
東ソーグループは、「地球とヒトがいつまでも幸せで快適に暮らせる社会」の実現にむけて、「地球とヒトの快適な暮らしのパートナー」としての存在意義を発揮していくことで、社会課題の解決により持続的な成長を目指します。
そのために、化学の革新を通じて、また、その価値創出を実現できる組織へ進化しながら、盤石な経営基盤の構築と責任ある経営を推進していきます。
1.地球環境の保全と持続可能な社会の実現
気候変動対応をはじめ、事業活動が地球環境に及ぼす環境負荷の最小化にバリューチェーン全体
で継続的に取り組むことで、地球とヒトがいつまでも幸せで快適に暮らせる社会を実現します。
2.事業を通じた社会課題解決と持続可能な企業成長
化学を基盤とした独自の技術を深め、世界の事業パートナーとの協創を通じて社会課題を解決し、
人々の幸福に貢献する革新的で信頼性のある製品・サービスの提供により東ソーグループの持続
的な成長を目指します。
3.自由闊達な企業風土の継承・発展
従業員の挑戦を応援し、働きがいがあり活力にあふれる企業風土と、風通しが良く人権及び多様性
を尊重した職場環境を実現します。
4.安全・安定操業の確保
事業活動にかかわる人々の安全・健康と安定操業が、経営の大前提であることを認識し、安全文化
の醸成と安全基盤の強化に真摯に取り組みます。
5.誠実な企業活動の追求
コンプライアンスを徹底し、対話と協働を基本とする誠実で透明性の高い企業活動を通じて、ステ
ークホルダーから信頼されるグローバルな企業グループを実現します。
(2)経営環境及び対処すべき課題
[2025~2027年度 中期経営計画]
当社は、2025年5月に、2027年度を最終年度とする3ヶ年の中期経営計画を公表いたしました。当該計画の概要につきましては以下のとおりです。
1.事業ポートフォリオ
当社の事業構造・戦略をより的確に示す目的から、当社グループの事業を以下の2つの区分へ再定義いたします。
1)チェーン事業
概要: 食塩電解・ナフサ熱分解を起点としたプロダクトチェーンで構成される事業群
強み: 高度に統合された高効率なプロダクトチェーンが強みであり、また塩素を原料とした
参入障壁の高いユニークな誘導品を多数保有
2)先端事業
概要: 他の事業と設備上は直接のつながりがない事業群で、先端的な技術や製品を取り扱う
強み: 成長市場である医薬・半導体業界での強固なポジションが強みであり、またチェーン事業
のインフラ・原料等の利用により収益性を向上


2.2030年度に向けた中長期での経営課題と目標
1)経営課題
・「成長」と「脱炭素」 の両立
- CO2の排出を抑えつつ、収益を拡大できる事業構造への変革を進める
・チェーン事業: 塩素の高付加価値化による収益の安定・拡大
・先端事業 : 大型の新規事業創出による収益基盤の拡大
2)数値目標
・営業利益1,700億円
・CO2排出量30%削減(2018年度比)
3.2025~2027年度 中期経営計画
1)経営基本方針
2)数値目標
(億円)

≪事業別業績目標≫ (億円)

3)設備投資計画
2025~2027年度3ヵ年累計で2,200~2,500億円(支払いベース)の設備投資を計画しております。本中計期間は、チェーン事業の強化に重点的に資金を配分する計画です。

4)株主還元
本中計期間は、資本効率の改善に向け、株主還元を強化いたします。

2025~2027年度 中期経営計画の詳細につきましては、当社ウェブサイトに掲載の説明資料をご参照ください。
≪注意事項≫
本資料の計画は、現時点で入手可能な情報に基づき判断した予想です。従いまして、今後の国内外の経済情勢や予
測不可能な要素等により、実際の業績は計画値と大幅に異なる可能性があります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組の状況は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
ガバナンス
事業を通じて社会課題を解決し、環境・社会・経済の価値を生み出すサステナビリティ経営を目指し、従来からのCSR基本方針をサステナビリティ基本方針へ変更しました。これに伴い、取締役会の下に設置していた「CSR委員会」を「サステナビリティ推進委員会」に変更し、引き続きサステナビリティに関する事案を管理していきます。
取締役会の監督のもとサステナビリティ推進委員会は社長執行役員を委員長とし、経営会議メンバー、事業所長、セクター長、全社委員会委員長、本社管理部門長で構成されています。
サステナビリティ推進委員会では、サステナビリティ基本方針の策定、マテリアリティとKPIの審議・勧告及び承認、サステナビリティ活動推進のための諸施策の審議及び部門間の調整、重要な報告事項及び情報開示活動方針の審議などを行い、取締役会に報告してモニタリングされています。サステナビリティ推進委員会を補完する「サステナビリティ推進連絡会」、同委員会、同連絡会の事務局として「サステナビリティ推進室」を設置しています。
図1 サステナビリティマネジメント推進体制

戦略
東ソーグループは、サステナビリティ基本方針に基づき、サステナビリティ推進委員会の下でマテリアリティの解決に向けた活動を推進しています。
2022~2024年度のCSR重要課題は、リスクと機会になりうる社会課題から自社への影響も大きい9つの分野を選定し、あわせてKPIを設定しました。重要課題の選定段階において、社内での議論に加え、社外評価として社外取締役及び投資機関、CSRコンサルタント、非営利法人の意見・コメントを集約し、重要課題の決定に反映しています。
2025~2027年度の新規マテリアリティは、財務に影響する非財務課題や時代の変化への対応などを考慮し、従来のCSR重要課題をアップデートする形で分野を選定し、あわせてKPIを設定しました。
2022~2024年度CSR重要課題の特定ステップ
ステップ1
持続可能な社会への貢献と東ソーグループが持続的に成長していくための、リスクと機会になり得る重要課題候補を、国際ガイドライン(ISO26000※1、GRIスタンダード※2)や社会要請を勘案して抽出しました。
※1 ISO(国際標準化機構)による組織の社会的責任に関する国際規格
※2 国際NGOのGlobal Reporting Initiativeによるサステナビリティ報告に関する枠組み
ステップ2
社会の持続可能な発展へのインパクトと東ソーグループの持続的成長へのインパクトの視点で、社内と社外※3による、重要課題候補の定量的な重要度評価を実施しました。
※3 社外評価:社外取締役及び投資機関(4機関)、CSRコンサルタント、非営利法人など
ステップ3
重要度評価に加え、2021年までのCSR活動の成果と東ソーグループへの社会からの期待を鑑み、①~③の考えから重要課題9課題を特定しました。
①社会への持続可能な発展へのインパクトと東ソーグループの持続的成長へのインパクトの双方の重要性が高い課題
②社会の持続可能な発展へのインパクトの重要性が高い課題
③東ソーグループがこれまで積極的に活動してきた課題
ステップ4
特定した9課題の解決に向け、ステークホルダーからの信頼と東ソーグループの持続的成長につながる24項目のKPIを設定しました。
承認
CSR委員会と取締役会で審議
2025~2027年度マテリアリティの特定ステップ
ステップ1
事業を通じて社会課題を解決し、環境・社会・経済の価値を生み出す経営へ進化させるべく、前期CSR重要課題をもとに現在の東ソーグループの課題を見直すにあたり、以下の内容をCSR推進連絡会にて議論し、設定をしました。
①当社が積極的に解決すべき社会課題
②当社が目指す持続的な社会
③上記②における当社の存在意義(パーパス)
④上記③の存在になるための、目下の到達点であるありたい姿(ビジョン)
ステップ2
上記④を実現するにあたってのマテリアリティを検討しました。検討に際して、既存の重要課題における課題や達成度合いを考慮しました。
ステップ3
CSR推進連絡会メンバーによるステップ2の素案の策定を基に、社長・専務及び社外取締役の意見を考慮して、11のマテリアリティへと特定を行いました。
ステップ4
特定した11のマテリアリティの解決に向け、ステークホルダーからの信頼と東ソーグループの持続的成長につながる39項目のKPIを設定しました。
承認
CSR委員会の審議を経て、取締役会にて承認しました。
図2 特定ステップ

リスク管理
サステナビリティ推進委員会(2024年度まで:CSR委員会)を補完する「サステナビリティ推進連絡会(2024年度まで:CSR推進連絡会)」は、設定されたマテリアリティ・KPIにかかわる全ての管理部門と事業部からのメンバーで構成され、マテリアリティを「機会創出」と「リスク対応」の観点で整理をしています。
サステナビリティ推進委員会と取締役会で目標の達成度を確認して、毎年の活動目標を定めています。2024年度はCSR委員会を2回開催し、前年度のCSR重要課題・KPIの実績を審議、当年に取り組んでいる重要課題の進捗状況の審議を行いました。また、2025年度からのサステナビリティ経営への変換にともない新たに策定するサステナビリティ基本方針、及び新たに設定するマテリアリティ・KPIを審議しました。これら審議内容は、取締役会に上程し承認されました。
また、各委員会では、サステナビリティを支援するためより具体的なリスクや機会が議論されています。
図3 各委員会

指標と目標
2022~2024年度のCSR重要課題・KPI・目標に対する達成度は次の通りの見込みです。なお、最終確定実績は、後日発行の統合報告書を参照ください。
図4 2022~2024年度 CSR重要課題・KPI・目標・結果

2025~2027年度のマテリアリティ・KPI・目標は、次の通り設定しました。
図5 2025~2027年度 マテリアリティ・KPI・目標

(2) 重要なサステナビリティ項目
マテリアリティも踏まえ、東ソーグループにおいて重要なサステナビリティ項目として、化学品製造の重要なエネルギー源である自家火力発電に関連する「気候変動問題への対応」と、企業価値向上に必須となる「人的資本」の2つについて以下に詳細を示します。
①気候変動問題への対応
ガバナンス
東ソーグループの気候変動問題への対応は、サステナビリティ推進委員会においてマテリアリティ等を設定し、取締役会の承認を得て実行しています。具体的な施策はCO2削減・有効利用推進委員会、中央エネルギー管理委員会を中心に推進しています。また、気候変動に関連する社会動向、規制要件やリスク管理などの情報収集及びグループ会社を含む社内への情報共有を進めています。
活動に関する事項は適宜、取締役会に報告し、承認を受けるとともに、必要に応じて指示を受けています。
図6 推進体制図

東ソーグループは事業活動を通じたGHG排出量削減への貢献が、中長期的な成長における最重要課題と認識し、省エネルギーや燃料転換によるCO2排出削減、CO2の有効利用に向けた技術検討を推進しています。
日本のエネルギー政策、技術革新、CO2フリー燃料の流通などの動向を踏まえながら、脱炭素社会に向けた諸施策をタイムリーに実施していきます。
1. 省エネルギーの推進
新規投資におけるGHG排出量の増減を内部炭素価格を用いて費用換算することで、投資判断の材料とし、省エネの取り組みを加速させます。
2. 使用エネルギーの脱炭素化
自家用火力発電の燃料をGHG排出量の多い石炭から段階的な転換(バイオマス、アンモニア、水素など)を進め、あわせて再生可能エネルギーの導入の取り組みを強化し、使用エネルギーの脱炭素化を推進します。
3. CO2の回収・有効利用
発電設備や製造プロセスから発生するCO2を分離・回収し、ポリウレタン原料などに有効利用する技術開発を外部研究機関や国の支援も受け、進めていきます。
4.GHG排出量削減に向けた投資
上記1~3の対応のため、従来の設備投資に加えて2022年度から2030年度に向けて約1,200億円のGHG排出量削減投資を行う方針です。そのうち、2022年度からの3年で約600億円の投資を決定しています。
<主な投資案件>
①南陽事業所にバイオマス発電設備を新設
→投資額:約400億円、CO2排出削減量約50万トン、2026年4月 商業運転開始予定
②南陽事業所の一酸化炭素(CO)製造設備でのCO2回収・原料使用
→投資額:約60億円、CO2排出削減量約2万トン(CO2回収量 約4万トン)、2024年11月 運転開始
GHG排出削減や有効利用に関する総合的なリスク管理は、CO2削減・有効利用推進委員会が担当しており、必要に応じて取締役会に諮り承認、指示を受けています。同委員会では、CO2排出削減及び化学品原料としての有効活用に関わる戦略立案、課題整理、方針策定、調査・解析及び進捗管理などを推進しています。
GHG排出量目標(GHG排出量削減方針)
●2030年度までに東ソーグループにおけるGHG排出量(スコープ1+2)を2018年度比で30%削減
●2050年カーボンニュートラルへの挑戦
気候変動問題に伴う移行リスク、物理的リスク、気候関連の機会、資本配分などの指標は、シナリオ分析(定量)を通じて解析していきます。また内部炭素価格(6,000円/t-CO2)を適用しており、CO2排出量の増加あるいは減少する設備投資の採算計算に活用して投資判断の材料とすることで、GHG排出量の低減に資する設備投資の促進を図っています。
図7 GHG排出量グラフ

※1 「その他のGHG」は、N2O、CH4、SF6、HFCの合計値。
※2 省エネ法・温対法改正により見直し
②人的資本
当社グループは、「2030年度の営業利益1,700億円」と「2018年度比でGHG排出量30%削減」という2つの目標を掲げ、「成長と脱炭素の両立」の実現を目指す中長期経営方針「Vision2030」を推進しています。
「Vision2030」を達成し、企業価値を持続的に高め、ステークホルダーからの信頼を得続けるためには、企業の基盤・根幹を支える経営資源である「人的資本」が最も重要だと考えています。従業員は企業価値創出の源泉であり、「成長と脱炭素の両立」という困難な課題に挑むうえで欠かせない存在です。
私たちは、従業員の自律的な成長を促し、仕事と生活を両立しながら、それぞれが持つ力を最大限に発揮できる企業を目指しています。そのために、「社会の変化に対応し、多様な価値観を受け入れ、自ら考え行動できる『自律型人材』の育成」、そして「働きがいがあり、多様性を尊重する、風通しの良い職場環境の醸成」に取り組んでいます。
今後も、さまざまな制度や施策を通じて、多様な「働きやすさ」の整備と、多様な「働きがい」の創出を実現していきます。
ガバナンス
重要な人事施策、組織の新設・改編や役職の任免の実施等については、経営会議に付議し、協議と決裁を行っています。特に重要な事案については、取締役会に付議し、承認を得ています。また活動に関する事項は、定期的に取締役会に報告を行い、必要に応じて指示を受けています。
また、サステナビリティ推進委員会及び取締役会で承認されたマテリアリティの一つとして「人的資本経営の推進」を定め、企業最大の資源である人材の自律的な成長を促し、従業員が仕事と生活を両立しながら持てる能力を十分に発揮できる働きやすい環境をつくることに取り組んでおります。また活動に関する事項は、定期的にサステナビリティ推進委員会及び取締役会に報告を行い、必要に応じて指示を受けています。
戦略
「人材育成方針」
当社は就労期間の長期化(人生100年時代)、デジタル化の進展(AI、IoT等)など社会に大きな変化が生じている中、多様な価値観を受け入れ、自ら考え行動できる人材を育成することが持続的な企業価値の向上に不可欠と考えています。こうした認識を踏まえ、当社の人材育成の基本方針は、環境の変化に対応するために自身のありたい姿を描き、その実現に向けて、学び・やり抜く意欲を持ち続けられる『自律型人材(※)』を育成することと定めています。
社内教育体系は人材育成の基本方針に基づき、受動的な研修から能動的・持続的に学ぶ仕組みへ改め、従業員の自主性や主体性を引き出すことを狙いとしています。
また、社内にキャリアサポートグループを設立し、従業員が理想とするキャリアやライフスタイルを選択することをサポートする体制を整えています。
(※)自律型人材の定義:組織の内外に限らず、いかなる環境下であっても、自ら仕事や役割を創り、周りを巻き込んで結果を出す人材
図8 自律型人材育成の概念図

図9 社内教育体系

「社内環境整備方針」
当社は新しい価値を創造するためには、多様な人材や価値観を積極的に取り入れることが重要であると考えています。多様な人材が活躍するためには、それぞれの働き方を尊重し、仕事と生活を両立しながら長く安心して健康に働くことができる環境づくりが大切であり、①業務を効率化し、ワークライフバランスを実現する働き方改革、②従業員の多様なライフスタイルと仕事の両立支援制度の充実、③従業員本人の健康づくりをサポートする健康経営を推進しています。
図10 社内環境整備方針

当社の人材育成方針及び社内環境整備方針に関する具体的な考え方や取り組み状況等の詳細については、当社Webサイトをご参照ください。
https://www.tosoh.co.jp/csr/social/human_resources/
https://www.tosoh.co.jp/csr/social/diversity/
https://www.tosoh.co.jp/csr/social/worklife/
リスク管理
企業の最大の資産は「人材」であり、持続的に成長し価値を生み出し続けるためには「働きがいのある企業」であることが重要です。少子高齢化や雇用の流動化が進展する中、企業として採用競争力が低下して優秀な人材の獲得が期待どおり進まないこと、離職によって組織の総合力が低下することが大きなリスクであると考えています。従業員に成長の機会を提供し、安心して働き続けることのできる職場環境を醸成することで、リスクの低減に取り組んでいます。
指標と目標
上記「戦略」において記載した、人材育成方針及び社内環境整備方針に係る指標として、2022~2024年度においては、CSR重要課題「ダイバーシティ&インクルージョン」に対応したKPIを設定し、進捗管理を行いました。
(注)1 女性活躍推進法の規定に基づき算出したものであります。
2 育児・介護休業法の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労
働者の福祉に関する法律施行規則」(1991年労働省令第25号)第71条の6第1号にお
ける育児休業等の取得割合を算出したものであります。
3 2024年7月~2025年3月の実績をもとにした2024年7月~2025年6月の見込数値であり
ます。
(注)上記の指標について、当社においては、関連する指標のデータ管理とともに、具体的な取組みが行われているものの、連結グループに属する全ての会社では行われてはいないため、連結グループにおける記載が困難であります。このため目標及び実績は、連結グループにおける主要な事業を営む提出会社のものを記載しております。
また、2025~2027年度の新マテリアリティ「人的資本経営の推進」に関するKPI・目標については、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組」に記載しております。
当社の人的資本に関する詳細データについては、当社Webサイトをご参照ください。
https://www.tosoh.co.jp/csr/data/
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 製品・原燃料の国際市況の変動
当社グループでは、石油化学事業、クロル・アルカリ事業を中心に、ナフサや製品等の市況変動の影響を受ける製品を有しており、それらは製品価格変動リスクに晒されております。また、ナフサ、石炭等の原燃料についても多くが市況変動に伴う購入価格変動リスクに晒されており、急激な原燃料価格の高騰に対し、製品市況が連動して上昇しない場合や製品価格の是正が適切に行われない場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に重大な影響を与える可能性があります。
(2) 在庫評価の影響
当社グループは、棚卸資産の評価方法及び評価基準について、主として総平均法による原価法を採用しております。そのため、ナフサや石炭等の原燃料価格が在庫単価に比べて下落する局面においては、期初の相対的に高価な在庫の影響により売上原価が押上げられるなど、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。また、収益性の低下に基づく簿価切下げを行った場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(3) 国内外の経済情勢・需要変動、競合
国内外の顧客や市場の動向、経済情勢の変動により、当社グループの製品マーケットの縮小や市況の下落が生じた場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。また、競合他社による生産能力増強や低価格販売などの事業展開により、当社グループの製品マーケットのシェア低下や需給バランスが崩れることによる製品価格の下落が生じた場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(4) 企業買収・資本提携及び事業再編
当社グループは、事業の拡大・効率化や競争力強化を目的として国内外における企業買収、資本提携を実施しております。当社グループ及び出資先企業を取り巻く事業環境の変化により、活動が円滑に進まない、あるいは当初期待した効果が得られないなどの場合には、のれんの減損処理を行う必要が生じる等、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
また、不採算事業からの撤退や関係会社の整理等の事業再編を行った場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(5) 為替レートの変動
当社グループは、国内で製造した製品の一部を海外へ輸出しており、原燃料の大半は海外から輸入しております。大幅な為替レートの変動は、外貨建取引、外貨建資産・負債、更には海外グループ会社の財務諸表の円換算額にも影響を及ぼすこととなり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(6) 海外での事業活動
当社グループは、製品の輸出及び海外における現地生産等、幅広く海外での事業活動を行っております。しかしながら、戦争・テロ・その他の要因による社会的又は政治的混乱、社会インフラの未整備、人材の採用・確保の困難といったリスクが存在しており、このようなリスクが顕在化し海外での事業活動に支障が生じた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
また、米国政府による関税措置に関しては、当社グループの売上に占める同国への輸出額は少なく、直接的な影響は限定的と考えておりますが、当社グループの販売先が同国の関税措置により生産・販売を減少させるなどの間接的な影響を受けた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(7) 原燃料の調達
当社グループは、生産活動に必要な原燃料を国内外から調達しており、原燃料の調達先の多様化、中長期的契約の締結、あるいはスポット市場からの購入により長期的、安定的な調達に取り組んでおります。しかしながら、特定の地域やサプライヤーに依存している原燃料もあるため、その供給者における災害・事故等による調達への支障が発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(8) 金利変動
当社グループは、大型投資・M&Aをタイムリーに実行できる強固な財務基盤を維持することを財務方針とし、戦略的投資とのバランスを考慮しつつ、有利子負債の削減や金融収支の改善に努めておりますが、今後金利が上昇した場合には支払利息が増加し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(9) 環境関連等法的規制
当社グループは、環境保全と安全及び健康の確保が経営の最重要課題であると認識し、事業活動を行っております。しかしながら、今後環境等に関する国内外の法的規制の強化あるいは社会的責任の要請等により、事業活動の制限、若しくは追加の設備投資や新たな費用が発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(10) 気候変動
パリ協定が採択されたのを機に気候変動や地球温暖化の原因とされる温室効果ガスの排出削減を目的とした取り組みが世界的に進められております。当社グループは、「CO2削減・有効利用推進委員会」を立ち上げ、CO2の削減や有効利用に向けた技術改善を推進しておりますが、今後CO2等の排出や化石燃料の利用に関連して数量規制や税の賦課が導入された場合や化石燃料由来ではない代替品の出現等で石油関連製品の需要が減少した場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
また、気候変動による極端な気象現象(台風、洪水等)の発生で生産設備や輸送に使用する道路等が被害を受けた場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(11) 事故・災害・感染症
当社グループは、日常的及び定期的な設備の点検・保守、安全関連投資等を実施し、設備事故等の発生の未然防止に努めております。しかしながら、自然災害、不慮の事故などの影響を完全に防止し、軽減することは出来ません。万一、事故・災害により、製造設備停止に伴う損失、工場周辺地域への被害補償に伴う費用、多額の設備補修費等が発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
また、当社グループが事業活動を展開する国や地域において、新型コロナウイルスやインフルエンザ等の感染症が発生・拡大し、生産や営業活動を停止せざるを得なくなった場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(12) 設備投資
当社グループは、今後の需要予測、損益等を総合的に勘案して、戦略的に設備投資を実施しております。しかしながら、人手不足による建設費・物流費の高騰などにより実際の投資額が予定額を大幅に上回った場合や、製品・原燃料市況の変化等により計画通りの収益が得られなかった場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(13) 品質問題
当社グループは、製品の品質保証体制を確立し、製造物賠償責任保険も付保しております。しかしながら、製品に予期せぬ欠陥が発生した場合には、社会的信用の低下や製品の販売中止等に繋がり、更に訴訟が提起される事態に発展することも想定されます。このような場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(14) 訴訟
当社グループは、東ソーグループ行動指針の制定を行い、国内外の法令遵守に努めております。しかしながら、広範な事業活動を行う中、訴訟、その他の法律的手続きの対象となるリスクがあり、重要な訴訟等の提起を受ける可能性があります。現在及び将来の事件での帰趨を予測することは困難でありますが、裁判等において不利益な決定や判決がなされた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(15) 知的財産
当社グループは、知的財産権の重要性を認識し、国内外において、知的財産の権利化、第三者が保有する知的財産権の侵害防止に取り組んでおります。しかしながら、広範囲に事業を展開する中で、当社グループの知的財産権が侵害される可能性や第三者が保有する知的財産権を侵害する可能性があり、こうした場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(16) 技術革新
当社グループは、急激な国内産業構造の変化及び国際的な社会課題が変化する中、基盤事業の強化・拡大と当社の持続的成長への新規事業の創出に向けて、積極的な研究開発を展開しております。特に機能商品事業においては、技術革新のスピードが著しく、タイムリーに新製品を開発・提供していく必要があると考えております。しかしながら、顧客ニーズに適合して継続的に新製品の開発・提供ができない場合、あるいは他社において画期的な技術革新がなされた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(17) 情報セキュリティ
当社グループは、サイバー攻撃に対し様々な防御策を講じておりますが、事業所のプラント制御系システムや基幹システムに問題が発生した場合には、重要な業務の中断を余儀なくされ、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
また、機密情報や個人情報の適切な管理に努めており、EU一般データ保護規則(GDPR)に対しても適切に対応しております。しかしながら、不測の事態により外部へ情報が漏洩した場合には、社会的信用や競争力の低下を招き、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(18) 固定資産の減損
当社グループは、固定資産の減損に係る会計基準を適用しておりますが、今後各製品において事業収益性の大幅な悪化や不動産価格の下落等があった場合には減損損失が発生し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(19) 有価証券の評価
当社グループは、主に取引関係の維持・発展などを目的に取引先の有価証券を保有しておりますが、当社グループが保有する有価証券の大幅な市場価格の下落、又は株式保有先の財政状態の悪化により有価証券の評価が著しく下落した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(20) 繰延税金資産の取崩し
当社グループは、税務上の繰越欠損金及び将来減算一時差異に対して、将来の課税所得を合理的に見積もり回収可能性を検討した上で繰延税金資産を計上しておりますが、実際の課税所得が見積りと異なり回収可能性の見直しが必要となった場合、又は税率変更を含む税制の改正等があった場合には、繰延税金資産の取崩しが必要となり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(21) 退職給付関係
当社グループの退職給付債務及び退職給付費用は、年金数理計算上使用される各種の基礎率と年金資産の運用利回り等に基づき算出されております。年金資産の時価の変動、金利の変動、退職金・年金制度の変更等に伴う退職給付債務及び退職給付費用の変動が、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(22) 工事契約に係る一定期間にわたり収益を認識する取引の収益計上
当社グループのエンジニアリング事業の工事契約において、財又はサービスに対する支配が顧客に一定の期間にわたり移転する場合には、財又はサービスを顧客に移転する履行義務を充足するにつれて、一定の期間にわたり収益を認識しておりますが、工事収益総額、工事原価総額及び連結会計年度末における進捗度を合理的に見積もる必要があります。工事案件ごとに継続的に見積総原価や予定工事期間の見直しを実施する等適切な原価管理に取り組んでおりますが、それらの見直しが必要になった場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(1)財政状態の状況
(単位:億円)
※有利子負債はリース債務を含んでおります。
総資産は、有形固定資産の増加等により、前連結会計年度末に比べ373億円増加し1兆3,273億円となりました。有形固定資産の増加は、バイオマス発電所、CO2回収及び原料化設備の建設等の設備投資によるものです。
負債は、長期借入金の増加等がありましたが、短期借入金、その他負債の減少等により、前連結会計年度末に比べ63億円減少し4,249億円となりました。その他負債の減少は、未払法人税等の減少等によるものです。
純資産は、配当金の支払い等がありましたが、親会社株主に帰属する当期純利益の計上に加え、為替換算調整勘定の増加等により、前連結会計年度末に比べ437億円増加し9,024億円となりました。
(2)経営成績の状況
① 事業全体及びセグメント情報に記載された区分ごとの状況
(単位:億円)
〈参考〉為替、海外製品市況
当連結会計年度の世界経済は、米国経済でのインフレの落ち着きによる実質所得の持ち直しを背景に底堅い成長を維持してきたものの、中国の不動産不況や緊迫する中東・ウクライナ情勢の長期化、また、欧州主要国の政治不安等による景気の減速が懸念されるなど、先行きが不透明な状況が続きました。国内経済についても、物価の上昇に伴う賃金の上昇があったものの個人消費は力強さに欠ける状況でした。
このような情勢下、当社グループは、経営課題である「成長」と「脱炭素」の両立の実現に向けて、全部門・全部署が一丸となって取り組んでおります。
石油化学事業では、安定操業・安定供給、差別化・高付加価値化、環境対応について取り組んでおります。オレフィン製品においては、中京地区唯一となるナフサクラッカーの安全・安定操業を最優先しながら、高稼働の維持を目指し、各留分の高付加価値化を進めております。また、GHG排出量削減目標の達成に向けて、エネルギーの効率化やCO2フリー燃料の活用の検討などCO2の排出量削減に取り組んでいます。ポリマー製品においては、自動車や半導体、メディカル、食品向けなど幅広い需要があります。中国を中心としたアジアの新増設により競争が激化する中、誘導品として付加価値を高める特殊化路線の深化と環境対応製品の拡充に取り組み、事業の継続性を高めてまいります。また、中長期的な市場の成長が期待されているクロロプレンゴムは生産能力の増強を検討しています。
クロル・アルカリ事業では、中国の需要低迷がアジア全域に波及し市場が停滞しております。また、脱炭素燃料の確保とそれに伴うコストアップが今後の大きな課題です。一方、インド、東南アジアでの需要増加も見込まれています。化学品の製品は、エネルギー多消費型産業であることから、エネルギーの多様化や省エネルギーを進め、CO2排出量削減に取り組んでいます。南陽事業所においてバイオマス発電所の建設を進めており、2026年からの稼働予定です。東南アジアでの需要が拡大しているジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)は、ベトナムにトーソー・ベトナム・ポリウレタン Co.,Ltdを設立し粗MDIスプリッターの建設を進めております。また、CO2削減と有効利用のために建設していたCO2回収および原料化設備が2024年11月に稼働を開始し、本設備で回収したCO2はMDI等の原料として使用します。需要が伸長しているヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)誘導品では、生産能力増強を決定し、製品の安定供給を図るとともに、事業の拡大と収益力の強化を図っていきます。
機能商品事業では、成長分野かつ競争優位にある製品への能力増強の投資を行うとともに、新規事業を育成し、収益基盤の拡充を図っています。エチレンアミンにおいては、ローアミンとハイアミンのうち、需給がタイトに推移すると見込まれるハイアミン中心の事業展開を進める中、ローアミンを原料にハイアミンを製造する設備の新設を検討しています。2023年に製造設備の能力増強が完工した臭素ですが、グローバルな需要動向を見ながら更なる能力増強を検討しております。2022年に南陽事業所での能力増強を決定し、建設を進めている分離精製剤においては、バイオ医薬品向けの需要が拡大しているため四日市事業所での製造設備新設を着工しました。南陽事業所での増強、四日市事業所での新設により分離精製剤の事業拡大とともに安定供給体制の構築を図ります。将来の半導体市場拡大に対応するため、半導体製造装置に使われる石英ガラスや半導体積層用の薄膜材料の能力増強を実施しており、将来の利益貢献を見込んでおります。また、薄膜材料においては、照明向けLEDや小型急速充電器向け部品で使用される半導体向けの窒化ガリウムスパッタリングターゲット材を上市しました。
エンジニアリング事業では、半導体市場の拡大が見込まれる中、水処理装置の需要も拡大が見込まれています。エンジニアリング事業の中核であるオルガノ株式会社は、国内外で大型プロジェクトの受注・納入活動を進めるとともに、プラントエンジニアリングプロセスの効率化を目指したDX関連の投資や、グローバルでの人材育成・活用施策の推進など生産・納入キャパシティの増強に取り組んでまいりました。また、次世代の技術や新たな事業の創出を目指した研究開発活動の拡充を進めました。
このような情勢下、当社グループの連結業績については、売上高は、需要増加や前年の四日市事業所プラントトラブル要因解消、南陽事業所の定期修繕差異に伴う生産量の増加により販売数量が増加したことに加え、円安やナフサ価格上昇に伴い販売価格が上昇したことから、1兆634億円と前連結会計年度に比べ577億円(5.7%)の増収となりました。営業利益は、販売数量の増加やエンジニアリング事業の売上拡大により、989億円と前連結会計年度に比べ191億円(23.9%)の増益となりました。営業外損益は41億円の利益となり、為替差損益の悪化により前連結会計年度に比べ120億円の減益となりました。経常利益は1,030億円と前連結会計年度に比べ71億円(7.4%)の増益となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、580億円と前連結会計年度に比べ7億円(1.2%)の増益となりました。
セグメント別の経営成績は、次のとおりであります。
<売上高分析> (単位:億円)
<営業利益分析> (単位:億円)
石 油 化 学 事 業
エチレンは、前連結会計年度に四日市事業所プラントのトラブル影響があったことから生産量は増加し、出荷数量が増加しました。また、ナフサ価格の上昇により、エチレン及びプロピレンの販売価格は上昇しました。キュメンは、出荷数量が増加し、海外市況上昇及び為替の影響を受けて販売価格が上昇しました。
ポリエチレン樹脂の内需は、前連結会計年度並みの出荷数量で推移しましたが、原料ナフサの上昇による値上げを実施したため販売価格は上昇しました。輸出は、EVA樹脂を中心に海外市況が悪化しているため、出荷数量が減少しました。クロロプレンゴムは、地域ごとに濃淡はあるものの需要が回復し始めており出荷数量が増加しました。
この結果、売上高は前連結会計年度に比べ211億円(11.5%)増加し2,048億円となり、営業利益は、クロロプレンゴム、エチレン等の販売数量増加やポリエチレン樹脂の交易条件改善により、前連結会計年度に比べ36億円(33.1%)増加し143億円となりました。
ク ロ ル ・ ア ル カ リ 事 業
苛性ソーダは、南陽事業所の定期修繕差異に伴う生産量の増加により出荷が増加し、海外市況の上昇及び円安により輸出価格は上昇しました。塩化ビニルモノマーは、南陽事業所の定期修繕差異に伴う生産量の増加により出荷が増加しましたが、海外市況の下落を受けて販売価格は下落しました。塩化ビニル樹脂は、主に国内出荷が減少しました。海外市況は下落しましたが、円安により販売価格は上昇しました。
セメントは、需要低調により出荷が減少しました。
MDIは、出荷が増加し、海外市況の持ち直しと円安により販売価格が上昇しました。HDI系硬化剤は、世界的な需要低迷を背景に市況が下落し、販売数量・価格が下落しました。
この結果、売上高は前連結会計年度に比べ139億円(3.9%)増加し3,734億円となり、営業利益は、市況上昇や為替の影響等により苛性ソーダとMDIの交易条件が改善したことから、前連結会計年度に比べ59億円(163.7%)増加し95億円となりました。
機 能 商 品 事 業
エチレンアミンは、需要が回復しアジア地域を中心に出荷が増加しましたが、海外市況の下落に伴い販売価格は下落しました。
計測関連商品は、米国及び中国向けで液体クロマトグラフィー用充填剤の出荷が増加しました。診断関連商品は、国内外で自動ヘモグロビン分析装置用の関連試薬の出荷が増加しました。
ハイシリカゼオライトは、自動車用途を中心に出荷が減少し、構成差等により販売価格は下落しました。ジルコニアは、装飾用途・歯科用途で出荷が減少しましたが、円安により販売価格は上昇しました。石英ガラスは、半導体需要の低調により出荷が減少しましたが、円安及び価格是正により販売価格は上昇しました。電解二酸化マンガンは、国内及びアジア地域での出荷が増加しました。
この結果、売上高は前連結会計年度に比べ108億円(4.2%)増加し2,705億円となり、営業利益は、固定費の増加はあるものの、計測関連商品やエチレンアミンの販売数量増加、為替の影響により、前連結会計年度に比べ7億円(1.9%)増加し386億円となりました。
エ ン ジ ニ ア リ ン グ 事 業
水処理エンジニアリング事業は、電子産業分野を中心に大型プラント案件の工事が順調に進捗したことや、設備保有型サービスや各種メンテナンスなどソリューション案件が好調に推移したことから、売上高が増加しました。
建設子会社の売上高は前連結会計年度並みとなりました。
この結果、売上高は前連結会計年度に比べ123億円(7.9%)増加し1,693億円となり、営業利益は前連結会計年度に比べ89億円(36.1%)増加し336億円となりました。
そ の 他 事 業
運送・倉庫、検査・分析、情報処理等その他事業会社の売上高は減少しました。
この結果、売上高は前連結会計年度に比べ5億円(1.1%)減少し454億円となり、営業利益は前連結会計年度に比べ0億円(0.3%)減少し29億円となりました。
[2022~2024年度 中期経営計画の振り返り]
2024年度は、2022年度より開始した3ヶ年の中期経営計画の最終年度にあたりますが、計画で掲げた数値目標はいずれも未達となりました。
主にはクロル・アルカリ事業において中国の不動産不況に端を発した主要製品の海外市況下落が想定以上となったこと、また機能商品事業において半導体市場が最先端分野を除きマイナス成長となり電子材料の需要が低迷したことが要因となります。
また、3ヶ年累計の設備投資額は、電子材料やバイオ医薬向け分離精製剤の能力増強等、成長分野での投資額を上乗せしたことで、当初計画の2,000億円を上回る2,218億円となりました。

利益目標未達のなか、設備投資額は計画を上回りフリー・キャッシュ・フローはマイナスとなりましたが、将来の収益見通しや内部留保の状況等を勘案して、株主還元を充実させるべく増配を実施いたしました。

③ 生産、受注及び販売の状況
(単位:百万円)
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 原則として、生産金額は、生産総量から自家使用量を差引いた販売向け生産量に、当連結会計年度中の平均販売単価を乗じて算出しております。
主として見込み生産であります。
(単位:百万円)
(注) セグメント間取引については、相殺消去しております。
①当連結会計年度のキャッシュ・フローの概況
(単位:億円)
現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ101億円減少し、1,388億円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、1,062億円の収入となりました。税金等調整前当期純利益が増加したものの、法人税等の支払額の増加等により、前連結会計年度に比べ107億円収入が減少いたしました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、816億円の支出となりました。設備投資による支出の増加等により、前連結会計年度に比べ216億円支出が増加いたしました。
この結果、フリー・キャッシュ・フローは前連結会計年度に比べ、324億円収入が減少し、247億円の収入となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、379億円の支出となりました。配当金の支払額の増加等により、前連結会計年度に比べ67億円支出が増加いたしました。
なお、当連結会計年度の設備投資の資金調達は主に自己資金及び借入金により賄っております。
②資金の主要な使途を含む資金需要の動向
事業から創出される営業キャッシュ・フローを主な財源とし、設備投資、M&A等の戦略投資、更には株主への還元等に資金を配分してまいります。
2027年度を最終年度とする中期経営計画においては、3ヶ年累計で2,200~2,500 億円の設備投資を計画しており、チェーン事業の収益基盤強化に重点的に配分する予定です。また、株主還元は総還元性向50%を基本とし、追加的株主還元として3ヶ年で500億円の自己株式取得を予定しております。
なお、当連結会計年度末現在における今後1年間の資本的支出の予定及びその資金の調達源等については、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」に記載しております。
③フリー・キャッシュ・フロー
当社は、フリー・キャッシュ・フローを営業活動により獲得されたキャッシュ・フローと投資活動に支出されたキャッシュ・フローの合計として定義しております。当社はこの指標を戦略的投資又は負債返済に充当可能な資金の純額、あるいは、資金調達にあたって外部借入への依存度合を測る目的から、投資家に有用な指標と考えており、次の図のとおりフリー・キャッシュ・フローを算出しております。

④財務の方針及び資金調達の状況
当社は、事業の維持拡大に必要な資金を安定的に確保するため、内部資金と金融機関からの外部借入を活用しております。今後大型の設備投資やM&Aが発生する場合には、資金調達の多様化や資本効率の向上を踏まえ負債の活用を進めてまいりますが、タイムリーな資金調達が実行できるよう強固な財務基盤の維持に努めてまいります。
また当社は、資金需要に対する機動的な対応と金融情勢変化やチェーン事業における原料や製品の市況変動の影響による財務の悪化に備え、一定程度の現預金の保有は必要と考えております。
2024年度末時点で当社の自己資本比率は62.3%、有利子負債は1,858億円、現金及び預金は1,415億円、ネットDEレシオは0.05、信用格付けは「A+」となっております。

※有利子負債はリース債務を含んでおります。
⑤株主還元の方針
株主還元の方針については、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」をご参照ください。

(参考)
(注)1株当たり配当金は、併合後(2→1株)の金額に置換え
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するにあたり重要となる会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 4 会計方針に関する事項」に記載しております。
「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載している在庫評価の影響、固定資産の減損、有価証券の評価、繰延税金資産の取崩し、退職給付関係、工事契約に係る一定期間にわたり収益を認識する取引の収益計上に関して、過去の実績や状況に応じて合理的だと考えられる様々な要因に基づき、見積り及び判断を行い、その結果を資産・負債の帳簿価額及び収益・費用の金額に反映しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
・ 当社は、太平洋セメント株式会社にセメントの全面的な販売委託をしております。
・ 当社の塩化ビニル樹脂事業に関する合弁契約
当社は、デンカ株式会社との間で塩化ビニル樹脂に係る合弁契約を締結しております。同契約に基づいて、当社の子会社である大洋塩ビ株式会社において、塩化ビニル樹脂の製造・販売・研究を行い、当社主導で運営しております。
急激な国内産業構造の変化および国際的な社会課題が変化する中、CSV(*)を意識した研究開発を基本方針とし、基盤事業の強化・拡大と当社の持続的成長への新規事業の創出に向けて、当社の研究開発部門およびオルガノ株式会社の開発センターが中心となった研究開発活動を推進しております。
(*)Creating Shared Valueの略。社会課題を解決する「社会的価値」と企業が追求する「経済的価値」を両立させる考え方。
社会課題や成長分野への取り組み、研究のデジタルトランスフォーメーション等への対応、部門間の連携強化を目的として、当社では2024年6月に研究開発体制を再編いたしました。具体的には、全研究部門を統括する研究本部を社長直轄の組織として新設し、研究本部の下に3つの機能別研究センターを設置いたしました。先端融合研究センター(先端材料研究所、ライフサイエンス研究所)では先端材料および健康・医療事業分野、石化・高分子研究センター(高分子材料研究所、ウレタン研究所)では石油化学、ポリマー、ウレタン事業分野、機能材料研究センター(無機材料研究所、有機材料研究所)では機能商品事業分野の研究開発を担っております。MIセンターでは研究開発効率化のためのMI技術構築を進めております。
また、当社グループ全体の生産技術、エンジニアリングの拠点である技術センターでは各製品に関わるプロセス開発を担っております。さらに、オルガノ株式会社の開発センターではエンジニアリング事業分野の研究開発を担っております。
また、高度専門職を志向する風土を社内に醸成し、高度な専門性を有する研究者の育成を促進するため、2024年4月より高度専門職制度を新設しました。
技術革新が急速に進む中、当社グループ単独での研究開発を補完すべく、オープンイノベーションにも積極的に取り組んでおり、国内外の研究機関との共同研究、大学との社会連携講座の開設、さらには、ベンチャーキャピタルファンド投資や米国への研究員派遣により、技術情報収集力の強化と外部技術の獲得を進めております。特に、社会的課題であるCO2の分離回収や有効利用技術の検討を進めるため、国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)に関わるプロジェクトに参画しております。中でもNEDOの「グリーンイノベーション基金事業/CO2等を用いたプラスチック原料製造技術開発」において、CO2排出量削減とその利用を目的にCO2からのポリウレタン原料製造技術の検討を進めております。
また、研究開発体制の強化として、四日市事業所の研究本館・カスタマーラボ棟、南陽事業所の研究本館・ベンチ棟に引き続き、東京研究センターにおいても新研究棟、カスタマーサポート棟が、2025~2026年度の竣工に向けて作業が進められております。
一方、効率的な材料開発を目的としたマテリアルズ・インフォマティクス(MI)の推進部門として、2023年4月にMIセンターを設立いたしました。電子実験ノートや自動実験設備の活用により、社内データベースの構築を進めております。更に、大型計算機を用いた材料シミュレーションや機械学習により、当社研究開発の加速に貢献しております。またMI技術の更なる活用を促進するため、自己学習教材の導入など研究員へのMI教育も進めております。
当連結会計年度における当社グループ全体での研究開発要員は約1,140名であり、研究開発費は約
セグメント別の主な研究開発活動の状況を概観すると、次のとおりであります。
石油化学事業
石油化学事業に関しては、既存ポリマー製品の改良、周辺技術の強化および新規ポリマー材料の開発を推進しております。
ポリエチレン関連では、半導体の製造に用いる高純度薬液容器向けにクリーン性を一層向上したグレードを開発し市場評価が進んでいます。また、通常では困難な複合プラスチックの繰り返しリサイクルを可能とする改質剤「メルセン®-S」を開発し、販売しております。PPS関連では、新規に開発した金属接着性に優れるグレードがEV関連部品で採用されております。
一方、CR、CSM、ペースト塩ビ、石油樹脂の機能性ポリマーについても、より付加価値の高い製品の開発を継続しており、CRは医療向け手袋グレードの開発に注力しております。また、2022年度まで参画していたNEDOの助成事業「炭素循環社会に貢献するセルロースナノファイバー(CNF)関連技術開発」を活用した新製品を上市し、社会実装しております。
電子関連への展開としては、液晶および有機ELディスプレイ用光学材料など、当社独自コンセプトに基づく新規ポリマー材料の開発を積極的に進めております。
なお、本事業分野における研究開発費は約
クロル・アルカリ事業
クロル・アルカリ事業に関しては、ビニル・イソシアネート・チェーン関連技術の更なる強化へ向けて継続的な製造技術の革新に取り組んでおります。具体的には、塩ビモノマーの原料となる二塩化エタンを製造するオキシ塩素化工程において、活性・選択性・耐久性の全てに優れ、世界をリードする独自触媒への転換を進めております。また、電解関連においても、食塩電解の継続的な技術改良による省エネルギー化に取り組んでおります。
ポリウレタン関連では、原料であるイソシアネートの機能性向上と製造プロセスの開発、機能性ポリオールの開発、および、ポリウレタンフォーム、エラストマーおよびコーティングを始めとするウレタン関連製品の処方開発に積極的に取り組むと共に、他の事業分野との連携による開発にも注力しております。具体的には、軽量で快適な乗り心地性を実現する自動車用All―MDI系シートクッションや、高い断熱性を長期間維持できる断熱材の開発に進展がありました。また、コーティング・合皮用途においては、成形加工エネルギー削減に貢献するウレタン樹脂やポリカーボネートポリオール、低粘度や低温硬化性を特徴とする硬化剤等、環境ニーズに適合した高付加価値製品の開発を積極的に進めております。なかでも開発品である低温硬化ブロックイソシアネートは、従来よりも低温である80℃で硬化可能なポリウレタン塗料用硬化剤として、塗装工程での熱エネルギー削減効果が認められ、公益社団法人新化学技術推進協会グリーン・サステイナブル ケミストリー ネットワーク会議の主催する第23回グリーン・サステイナブル ケミストリー賞奨励賞を受賞しました。
なお、本事業分野における研究開発費は約
機能商品事業
機能商品事業に関しては、ライフサイエンス、電子材料、環境・エネルギーなどに関する研究開発を実施しております。
ライフサイエンス関連における免疫診断事業関連では次世代装置と試薬の開発、遺伝子検査事業関連では感染症診断のための新規製品開発を進めております。分離精製剤事業関連では、急速に市場が成長しているバイオ医薬品(抗体医薬品、遺伝子治療用ベクター、細胞医薬品)の分離剤や分析用液体クロマトグラフィーカラムの開発に注力しており、世界初の抗体医薬品活性分析用カラムの実用化に続き、製造用ゲルの開発を進めております。さらに、バイオプロセス上流工程向けの細胞培養器材等の新規製品開発に鋭意取り組んでおります。
また、セラミックス材料の開発では、歯科用透光感ジルコニアや装飾用カラージルコニアの新グレード開発を加速させると共に、東京大学に設置した社会連携講座を継続し、次世代ジルコニアの創出を目指しています。
電子材料関連におけるディスプレイ関連では、低消費電力化・高画質化を達成する有機EL用材料、更に半導体関連では、高品位スパッタリングターゲット、将来の半導体素子の微細化に対応した次世代配線用の有機金属化合物、次世代半導体製造装置用の高機能石英部材などの開発を推進しております。また、LEDやパワーデバイスの製造プロセスを刷新可能なGaNスパッタリングターゲットを開発し、今年度出荷を開始いたしました。プリンテッドエレクトロニクス関連では、塗布型有機半導体材料、光硬化型絶縁材料、親撥処理膜材料、保護層材料等の一連の材料開発を産学連携で進めております。
環境・エネルギー関連では、今後も需要拡大が予想されるリチウム二次電池関連の材料開発、コンデンサの高容量化に寄与する新規導電性高分子(セルフトロン®)の開発が進展しており、セルフトロンでは新たに薄型太陽電池の電極に利用可能な無機フィラー複合化グレードを開発し、市場展開を開始しました。また、電池向け用途に、規制リスク懸念のある既存材料と代替可能なマンガン含有正極向けバインダーを開発しました。さらに、自動車排ガス浄化触媒用ゼオライトの開発では、脱硝性能、触媒耐久性の改良を進めています。更には、カーボンニュートラル触媒用や水質・大気浄化用のゼオライト設計にも取り組んでおります。アミン誘導体としてはVOC低減に有効なウレタン発泡触媒(RZETA®)の拡販が進展するとともに、工場等から排出されるCO2の回収に利用する高性能CO2回収アミンを開発し、南陽事業所に導入しました。さらに、重金属処理剤(飛灰処理用、排水処理用)については新グレードを開発し、上海にある技術サービス拠点と連携し、中国での拡販活動に注力しています。
なお、本事業分野における研究開発費は約
エンジニアリング事業
エンジニアリング事業に関しては、オルガノ株式会社の開発センターを中心に開発を行っています。
水処理エンジニアリング関連では、半導体をはじめとした電子産業分野で求められる超純水や溶剤・薬液などの更なる高度化に向けた分離精製技術、高度分析技術の開発や、サステナビリティ課題に対して水・有価物回収技術、省エネルギーシステム、及びセンシング技術等の開発に取り組んでおり、超純水の水質を高感度で測定可能なモニタリング装置(UPW-ICA)を開発しました。また、水処理設備の運転状況を監視し、管理の省力化や廃棄物・CO2削減に寄与するセンシングシステム(オルスマートシリーズ)を開発しました。加えて、電子産業向け溶剤の高純度化や、エンジニアリング業務の効率化に寄与する技術開発を推進しました。
機能商品関連では、水処理薬品、新規機能材、ラボ・医療機関向け小型超純水製造装置、食品加工向けの食品添加物・素材などの開発を行い、冷却水向け高機能薬剤(オルリッチecoシリーズ)、およびセンシング技術(オルチェイサーⅤ)を開発しました。加えて、水処理用分離膜向け高機能薬剤の研究開発を推進しました。
なお、本事業分野における研究開発費は約