第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1)  経営の基本方針

当社グループは、企業理念である「素材と機能の可能性を追求し、化学の力で新しい幸せをあなたへ届けます。」に基づき、既存事業の拡大と新たな柱となる新製品・新事業の創出により持続的な成長を目指しております。

 

(2)  経営環境

当社グループを取りまく経営環境につきましては、コロナのオミクロン株による患者数の増加やロシアのウクライナへの軍事侵攻などが、サプライチェーンに混乱を生じさせ、スマートフォンの生産数量が減少するなど、企業活動に大きな影響を与えました。さらに、ロシアに対する経済制裁もあり、エネルギー、食料および鉱物資源の不足や円安が、原燃料や輸入製品の価格を急騰させ、企業収益や家計を圧迫する事となりました。

なお、今後の見通しにつきましては、ウクライナ情勢、コロナの変異株、インフレおよび金利動向などの不確実性により、先行きの不透明感が高い状況が続くと予想されます。

 

(3)  中期的な経営戦略および会社の対処すべき課題

当社グループは、2023年から2025年の3年間を対象とする2025年中期経営計画「Leap Forward to the Next 2025」を策定いたしました。この中期経営計画では研究開発と設備投資に一層の経営資源を投入し、特異な研究開発力のさらなる強化と生産基盤の強化を実現します。これにより、ユニークで付加価値の高い事業の一層の拡大を図り、激しい事業環境の変化にも揺るがない事業基盤を築いていくこととしました。

 

①中期経営計画の基本方針

(ア)新製品・新技術の開発力強化

研究開発力をさらに強化することで、モビリティ、電子材料、メディカルケアを注力分野として競争力のある独創的な製品や技術を継続的に生み出し、当社グループの将来を担う新事業を実績化する。

(イ)海外売上高の拡大

世界で成長が期待される市場での生産、販売活動を展開し、高付加価値製品のシェア拡大を図る。

(ウ)持続可能な社会の実現に貢献

当社グループ内での温室効果ガス(GHG)排出削減への注力に加え、社会における環境課題の解決に資する製品や技術の提供により、持続可能な社会の実現に貢献する。GHG排出削減にあたっては、きめ細かな取組みで着実に実施する。

 

②重要施策

(ア)伸ばす事業に経営資源を積極投入し国内外での展開を加速

既存事業の中の強化すべき事業、新規事業にメリハリをつけて経営資源を投入する。前中計でのシェア拡大の取組みを継続しつつ、将来を担うセルロースナノファイバー製品、メディカルケア製品を早期に市場投入し実績化を図る。また海外では、米国、中国、東南アジアを中心とした需要旺盛な市場でのモビリティ、半導体、電池、5G分野向け材料の事業体制を拡充することにより、ポリマー・オリゴマー、接着材料、高機能材料事業を中心とした高付加価値製品の海外取引高を拡大させる。

(イ)研究開発力の強化

事業の拡大、新規事業の開発を加速するため、研究開発力の強化に積極的に経営資源を投入する。この一環として、スタートアップ企業との協働も積極的に進める。また、顧客のそばでユーザーとともに研究を行うことで開発をスピードアップさせるため、首都圏に研究拠点を設置する。

 

(ウ)デジタルトランスフォーメーション(DX)推進を浸透・拡大

DXを推進し、MI(マテリアルズインフォマティクス)や分子シミュレーションの活用、スマートファクトリー化、AI活用、デジタル人材育成などを進め、グループの競争力と体質の両面を強化する。

(エ)先見性を持った人材の確保と育成

仕事に対するモチベーション向上を意図した人事制度を実施するとともに、専門人材を積極的に採用する。さらに海外人材の登用やリスキリング計画を策定・実施することで、多様化する社会に対応した人材の確保と育成を図る。

(オ)サステナブル経営の推進

2050年カーボンニュートラルを目指したGHG排出削減ロードマップを実現するため、生産効率の向上によるエネルギー消費の削減に取組むほか、調達面でもグリーンエネルギー発電導入などの施策を実行する。また、エコプロダクツの開発を進め、顧客の環境課題の解決に資する製品・技術の提供に注力する。

 

③2025年中期経営計画「Leap Forward to the Next 2025」数値目標

 

2025年計画

連結売上高

1,830億円

連結営業利益(売上高営業利益率)

200億円(11.0%)

EBITDA(金利、税金、減価償却前利益)

320億円

設備投資額(2023年~2025年累計額)

680億円

高付加価値製品売上高比率

48%

研究開発費増額(2022年比)

20%増

海外売上高拡大(2022年比)

30%増

GHG排出削減(2013年比)

△35%

女性管理職比率

5%

1株当たり純利益(EPS)

153円

総資産経常利益率(ROA)

8.2%

自己資本当期純利益率(ROE)

7.3%

 

 

(ア)設備投資計画

高付加価値製品の製造設備増強、研究設備の拡充に加え、物流施設等のインフラ整備、サステナビリティ関連にも注力し、2023年から2025年までの3年間の累計で680億円の投資を計画する。

(イ)資本政策

一層の資本効率向上を目指し、次の施策を計画する。

・投下資本利益率(ROIC)を利用した事業管理手法を早期に導入し、資産効率を意識した事業運営を促進する。

・株主還元については、連結配当性向30%、総還元性向50%を目途としつつ、その上を目指す。また、2025年中期経営計画では200億円程度の自己株式の取得を計画し、株式価値の向上を図る。

 

2 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、当社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは以下のとおりです。ただし、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のあるリスクは、これらに限定されるものではありません。

当社グループは、グループリスク管理規程を定め、リスクの洗い出しや評価、対策の策定、対策状況のチェックなどを定期的に行うとともに、以下に記載する各リスクへの対応策を実施していますが、リスクが顕在化する確率および顕在化した場合の影響を完全に抑制できるわけではありません。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

(1) 自然災害の発生

当社グループは、国内外に生産・営業拠点を有し、当該拠点が地震、台風、火山噴火、豪雨、竜巻、突風、洪水、津波、高潮などの自然災害に被災した場合、建屋・設備の損壊、操業・事業活動の停止といった被害が発生する可能性があります。

特に、東海地震、東南海地震または南海地震が発生した場合、主要な生産拠点である当社の名古屋工場をはじめ、東海地方、近畿地方および四国地方の周辺に存在する当社グループの生産・営業拠点で大きな損害が発生する可能性があります。また、首都直下地震が発生した場合、当社の本社をはじめ、関東地方の周辺に存在する当社グループの生産・営業拠点で大きな損害が発生する可能性があります。

各拠点では、耐震工事の実施、地震・火災を想定した定期防災訓練、地震・火災・風水害に備えた保険加入といった対策を講じています。

 

(2) 事故の発生

当社グループの主な事業は化学製品の製造であり、国内外の工場では設備トラブルやヒューマンエラーなどによって、火災、爆発、化学物質の漏えいといった事故が発生し、建屋・設備の損壊、操業・事業活動の停止、被災者・地域への賠償などが発生する可能性があります。

各工場では、緊急時自動停止装置の設置、設備の新設・変更時に保安防災等を審議する防災会議の実施、定期的な防災訓練および事故に備えた保険加入といった対策を講じています。

 

(3) 市場ニーズの変化、競争激化

当社グループの事業は5つのセグメントで構成され、産業の基礎素材となる汎用化学製品から一般消費者向けの最終製品まで幅広い製品群を有し、景気の変動に影響され難いバランスのよい事業構造を築いています。一方、広範な産業および地域に製品を供給しているため、世界的または地域的な需給環境の変動、代替素材の登場、供給先の購買方針の変更、競合他社の販売価格等によって、当社グループの製品の販売数量および販売価格が大幅に変動する可能性があります。

特に、基幹化学品事業を中心とした汎用化学製品は、性質・性能面において他社製品との差別化が困難なものが多く、激化する価格競争の環境下においては、同等の製品をより低価格で販売可能な競合他社に対して、当社グループが優位性を維持できなくなる可能性があります。

一方、ポリマー・オリゴマー事業、接着材料事業、高機能材料事業を中心とした高付加価値製品は、当社グループが注力するモビリティやエレクトロニクスといった分野・顧客の需要動向によって、販売数量および販売価格が大幅に変動する可能性があります。

なお、当社グループは、中期経営計画「Leap Forward to the Next 2025」で「高付加価値製品の拡大」を数値目標として掲げ、2025年には高付加価値製品比率(売上高比)を48%へ上昇させることを目標にしています。

 

(4) 各種規制・法改正・貿易制限・国際関係悪化等

当社グループは日本国内だけでなく、アメリカ、中国、台湾、香港、シンガポール、タイ、韓国に生産・営業拠点を有するとともに、グローバルな販売・調達活動を行っています。したがって、日本の独占禁止法、不正競争防止法、下請法、金融商品取引法、外為法、輸出取引規制、労働法、税法、化学物質関連規制等および関連する諸外国・地域の各種法令等の違反、解釈変更、当局との見解相違などが生じることにより、操業・事業活動の停止、刑事罰・課徴金、訴訟等が発生する可能性があります。

 

また、こうした法令等は、制度改革、規制緩和・強化、貿易制限によって変更され、対応費用の発生や違反リスクの増加を招く可能性があります。

当社グループは、化学物資関連規制に対しては特に重視し、本社および製造拠点の環境保安・品質保証部門等が連携して違反を防止する体制を整えています。また、他の法令等についても、「第4 [提出会社の情報] 4 [コーポレート・ガバナンスの状況等] (1) [コーポレート・ガバナンスの概要]」に記載のコンプライアンス委員会によって、当社グループ全体のコンプライアンスの実践状況を監督・調査しています。

また、現在、国際的な緊張状態が高まりをみせています。当社グループでは、専門家や政府関係機関等から情報を収集し、適宜必要な対策を講じております。

 

(5) 固定資産の減損

当社グループは、主に化学製品の製造のため、土地や機械装置をはじめ多額の固定資産を保有しています。また、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上のため、積極的な設備投資を行うとともに、第三者との間で合弁事業、戦略的提携、事業買収等を行うことがあります。中期経営計画「Leap Forward to the Next 2025」では、2023年から2025年の3年間累計で680億円の設備投資を行うことを目標にしています。

こうした設備投資等は、資本コストを十分に精査したうえで意思決定しますが、経営環境の著しい悪化等による収益性の低下、市場価格の下落、シナジー効果の減少等によって、減損損失が発生する可能性があります。

 

(6) 製造物責任、リコール、品質不良等

当社グループが製造・販売する製品の欠陥・品質不良に起因して、顧客および第三者に対して損害を与えた場合、損害賠償やリコールに要する費用などが発生するとともに、当該製品の販売が減少する可能性があります。

当社グループは、顧客要求事項および適用される法令・規制要求事項を満たした製品を供給すべく、各製造拠点で品質検査を実施し、要求事項に適応できる体制を整備しております。また、生産物賠償責任保険への加入によって、損害が発生した場合の影響を抑える対策を講じています。

 

(7) 情報漏えい

当社グループは、経営上、営業上および技術上の重要な情報ならびに従業員等の個人情報を保有しています。取引先関係者や従業員等が故意または過失によって当該情報を漏えいさせた場合、または、悪意を持った第三者が当社グループの情報管理サーバー等に侵入して情報を不正に取得した場合、経営上、営業上および技術上の優位性の低下、情報の漏えいによる制裁・賠償金および当該情報の奪還に要する費用発生といった損害が発生する可能性があります。

当社グループは、重要な情報を共有する取引先関係者とは秘密保持契約を締結し、従業員には教育によって管理意識や取扱いルールの浸透を図ることで、情報漏えいの発生を防止しています。また、コンピュータウイルスへの対策など、情報セキュリティ対策の継続的な改善を行っています。

 

(8) 原燃料・資材等の高騰、原油・ナフサ価格の変動

原燃料・資材等の高騰は、当社グループの製造コストの上昇につながります。特に、原油・ナフサ価格の高騰は、基幹化学品事業のアクリルモノマー製品をはじめとした製造コストの上昇の要因となり、当該変動を反映した販売価格の是正および合理化が十分に実施できなかった場合、当社グループの利益を圧迫する可能性があります。

一方、原油・ナフサ価格の下落は、当社グループの販売価格が低下する要因になるとともに、棚卸資産にかかる評価損失を発生させる可能性があります。

原油・ナフサ価格に連動した適正な製造コストおよび販売価格となるように、国内の取引先を中心に価格フォーミュラを取り決めていますが、価格が乱高下する場面や海外の競争市場では、こうした対策が機能しない可能性もあります。

 

(9) 感染症・伝染病

隔離・行動制限が必要な感染症・伝染病が広範囲に流行した場合、経済活動の全般的な停滞に加え、当社グループの販売先や調達先の事業活動および物流が中断されることで、当社グループの操業・事業活動も制限される可能性があります。また、当社グループの従業員に感染が拡大した場合、操業が一時的に停止する可能性があります。

 

現在、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大が継続しています。当社グループは、テレワークの実施や消毒液等の感染予防品の設置、新型コロナウイルスに関する行動指針の策定によって、感染拡大を防止するとともに安全かつ継続的な操業・事業活動ができる体制を構築しています。

 

(10)原燃料供給の停止、サプライチェーンの切断

当社グループは、コストダウンと調達の安定性のバランスを念頭において事業を行っていますが、調達先の事故、生産停止、倒産などの事情によって、製造に不可欠な原燃料が調達できない場合、当社グループの操業が停止する可能性があります。

複数購買の実施および調達先との継続的なコミュニケーション等を図り、安定的な供給体制の構築に努めています。

 

(11)環境汚染、サステナビリティの要請

当社グループは、環境保全にかかる法令を遵守するとともに、二酸化炭素排出量の削減目標公表や環境負荷物質の自主管理値設定による管理徹底など、環境に配慮した事業活動を行っていますが、化学工場である以上、土壌・大気・水質等に関する汚染が発見され、生産活動の中断や補償費用が発生する可能性があります。また、SDGsやESG投資に代表されるように、持続的な社会発展のため、エネルギー多消費型産業である化学事業においても、二酸化炭素のさらなる排出量削減をはじめとした社会的な要求に応えることが強く求められています。

当社グループは、社長を議長とする「サステナビリティ推進会議」を中心として、温室効果ガス排出量、エネルギー使用量、廃棄物および環境負荷物資の削減にいっそう取り組んでいきます。特に、温室効果ガス排出量削減に関しては、2021年に削減目標を従来から引き上げ、「2030年に2013年比50%削減(205千トン)」、「2050年にカーボンニュートラル(実質ゼロ)」を目標としたロードマップを作成しています。また、サプライチェーンを含めた3つの区分(Scope1-3)での温室効果ガス排出量を算定し、TCFDガイダンスに沿ったシナリオ分析により、気候変動が当社の事業に及ぼすリスクと機会を把握し、今後の対応について明確にしています。

 

(12)為替の変動

当社グループは、海外からも原材料を輸入するとともに、日本国内で製造した製品を海外に輸出していますが、原材料の輸入高は製品の輸出高を上回っています。したがって、外国通貨に対して円安が進行した場合、全体として費用が増加することになります。ただし、円安が進行する場合、一般的に日本国内の輸出産業は国際競争力が高まり、当社グループが販売する製品の需要も喚起されやすくなります。

また、中期経営計画「Leap Forward to the Next 2025」では、積極的な海外展開を推進することにより、2025年までに海外売上高比率を2022年比で30%増とすることを目指しており、計画の進捗によっては、リスクの内容は変化する可能性があります。

リスクへの対応策として、輸出や海外関係会社からの配当によって獲得した外国通貨を輸入による支払いにあてるよう資金計画を組むといった対策を講じています。

 

(13)人権・コンプライアンスリスクの発生

当社グループ内またはサプライチェーン上の人権課題やコンプライアンス違反に対して当社が適切な対応を取れなかった場合には、行政罰や顧客との取引停止、社会的信頼の喪失につながる可能性があります。

当社グループでは、国際的な原則に基づき「東亞合成グループ人権方針」を策定するとともに、「サステナブル調達ガイドライン」を定めて取引先に当社の考えを示しています。また、ハンドブックの作成等により従業員へのコンプライアンス教育を行っています。これらを通じて、人権・コンプライアンスリスクの抑制に努めています。

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)  経営成績等の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態および経営成績の状況

当連結会計年度(2022年1月1日から2022年12月31日まで)の世界経済は、コロナのオミクロン株による患者数の増加やロシアのウクライナへの軍事侵攻により、サプライチェーンに混乱が生じました。また、ロシアに対する経済制裁もあり、エネルギー、食料および鉱物資源の不足が歴史的なインフレを引き起こし、各国が厳しい金融引き締めを余儀なくされるなど、様々な方面に大きな影響が生じました。

わが国経済は、デフレ脱却を目標とした金融緩和策の維持により円安が進み、原燃料や輸入製品の価格が急騰し、企業収益や家計を圧迫する事となりました。

このような情勢下、当社グループでは販売価格の修正やコストダウンを推し進めました。しかし、自動車やスマートフォンおよびその周辺産業での減産が続いたため、総じて販売数量は減少し、当連結会計年度の業績は、売上高は1,608億2千5百万円(前年度比2.9%増収)、営業利益は143億8千2百万円(前年度比18.6%減益)、経常利益は164億4千6百万円(前年度比13.4%減益)、親会社株主に帰属する当期純利益は124億9千4百万円(前年度比9.3%減益)となりました。なお、収益認識会計基準等の適用により、売上高は79億4千万円減少し、営業利益は9千4百万円減少しております。

 

セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。

なお、当連結会計年度から、報告セグメントの区分を一部変更しており、前連結会計年度との比較・分析は変更後の区分に基づいて記載しております。

 

基幹化学品事業

電解製品は、販売数量は減少いたしましたが、原燃料価格上昇に応じた販売価格改定により増収となりました。アクリルモノマー製品は、販売数量は減少いたしましたが、原燃料価格上昇に応じた価格改定により増収となりました。工業用ガスは、原燃料価格上昇に応じた価格改定をいたしましたが、販売数量の減少により減収となりました。これらの結果、当セグメントの売上高は742億2千5百万円(前年度比5.6%増収)となりました。なお、収益認識会計基準等の適用により、売上高は22億4千6百万円減少しております。

営業利益は、原燃料価格上昇に応じた販売価格改定をいたしましたが、販売数量の減少により、66億9千1百万円(前年度比16.3%減益)となりました。なお、収益認識会計基準等の適用により、営業利益は1百万円増加しております。

 

ポリマー・オリゴマー事業

アクリルポリマーは、自動車関連向け製品の販売数量減により、減収となりました。アクリルオリゴマーは、ディスプレー関連向けの販売数量が減少いたしましたが、円安の影響で前年並みの売上高となりました。高分子凝集剤は、輸出も含め全般的に販売数量が増加し、原燃料価格上昇に応じた販売価格改定もあり、増収となりました。これらの結果、当セグメントの売上高は358億7百万円(前年度比2.6%増収)となりました。なお、収益認識会計基準等の適用により、売上高は21億5千万円減少しております。

営業利益は、販売数量減の影響が大きく、42億5千8百万円(前年度比19.3%減益)となりました。なお、収益認識会計基準等の適用により、営業利益は1億3千万円減少しております。

 

接着材料事業

家庭用は、ホームセンターなどでの来店客数減少の影響を受け、販売数量は微減となりましたが、円安の影響もあり増収となりました。機能性接着剤は、スマートフォンの生産数量減の影響を受け大幅に販売数量が減少したため、減収となりました。これらの結果、当セグメントの売上高は111億3千4百万円(前年度比1.8%減収)となりました。なお、収益認識会計基準等の適用により、売上高は4億6千1百万円減少しております。

営業損益は、機能性接着剤の販売数量減や減価償却費、海外での広告宣伝費および研究開発費の増加により、前年同期に比べ11億円減少し2億5千5百万円の損失となりました。なお、収益認識会計基準等の適用により、営業損失は5百万円増加しております。

 

高機能材料事業

高純度無機化学品は、半導体向け製品の販売数量増により増収となりました。無機機能材料は、スマートフォンの減産の影響を受け電子部品向けイオン捕捉剤は販売数量減となりましたが、抗菌剤や消臭剤の販売数量増により増収となりました。これらの結果、当セグメントの売上高は104億6千6百万円(前年度比7.0%増収)となりました。なお、収益認識会計基準等の適用により、売上高は1億3百万円増加しております。

営業利益は、減価償却費およびヘルスケア関係やセルロースナノファイバーの技術研究費の増加により、23億6千1百万円(前年度比3.6%減益)となりました。なお、収益認識会計基準等の適用により、営業利益は4千2百万円増加しております。

 

樹脂加工製品事業

管工機材製品は、原燃料価格上昇に応じた販売価格改定により増収となりました。ライフサポート製品は、歩行車などの新製品が好調で増収となりました。建材・土木製品は、販売数量減となりましたが、原燃料価格上昇に応じた販売価格改定により、前年並みの売上高となりました。エラストマーコンパウンドは、自動車向けおよび医療用向けの販売数量増により増収となりました。これらの結果、当セグメントの売上高は277億5千4百万円(前年度比6.2%増収)となりました。なお、収益認識会計基準等の適用により、売上高は7億6百万円減少しております。

営業利益は、原燃料価格上昇に応じた販売価格の改定と管工機材製品での利益重視の販売により、17億5千9百万円(前年度比22.7%増益)となりました。なお、収益認識会計基準等の適用による営業利益への影響はありません。

 

その他の事業

輸送事業、商社事業などにより構成される当セグメントは、売上高は14億3千6百万円(前年度比62.7%減収)となりました。なお、収益認識会計基準等の適用により、売上高は24億7千8百万円減少しております。

営業損益は、4億3千4百万円の損失となりました。なお、収益認識会計基準等の適用により、営業損失は2百万円増加しております。

 

財政状態につきましては、当社グループの当連結会計年度末の資産合計は、「現金及び預金」が減少したものの、「土地」および「棚卸資産」が増加しましたため、前連結会計年度末に比べ61億7千9百万円、2.4%増加し、2,651億3千5百万円となりました。

負債合計は、「未払法人税等」が減少したものの、未払金の増加により流動負債の「その他」などが増加しましたため、前連結会計年度末に比べ19億8千5百万円、3.8%増加し、543億2千8百万円となりました。

純資産合計は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により「利益剰余金」が増加しましたため、前連結会計年度末に比べ41億9千4百万円、2.0%増加し、2,108億7百万円となり、自己資本比率は77.7%となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ16億6千4百万円減少し、当連結会計年度末には448億3千9百万円となりました。

 

営業活動によるキャッシュ・フローは、棚卸資産および法人税等の支払額が増加し、さらに税金等調整前当期純利益が減少しましたため、前連結会計年度に比べ支出が102億3千万円増加し、109億8千8百万円の収入となりました。

投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出が増加しましたものの、定期預金による運用額が減少しましたため、前連結会計年度に比べ支出が66億5千9百万円減少し、35億7千9百万円の支出となりました。

財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払額および自己株式の取得による支出が増加しましたため、前連結会計年度に比べ支出が8億1千9百万円増加し、94億6千4百万円の支出となりました。

 

なお、キャッシュ・フローに関する指標は以下のとおりです。

 

(参考)当社グループのキャッシュ・フロー指標の推移

 

2020年12月

2021年12月

2022年12月

自己資本比率(%)

79.8

77.9

77.7

時価ベースの自己資本比率(%)

64.1

55.8

50.8

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)

0.6

0.5

1.0

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

225.5

218.8

112.4

 

(注) 1  各指標は、いずれも連結ベースの財務数値を用いて、以下の計算式により算出しております。

自己資本比率:自己資本/総資産

時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い

2  株式時価総額は、期末株価終値×自己株式控除後の期末発行済株式数により算出しております。

3  有利子負債は、連結貸借対照表上に計上されている負債のうち、利息を支払っている負債(リース債務を除く)を対象としております。

4  営業キャッシュ・フローおよび利払いは、連結キャッシュ・フロー計算書に計上されている「営業活動によるキャッシュ・フロー」および「利息の支払額」を用いております。

③生産、受注および販売の実績

(イ) 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

金額(百万円)

前年度比(%)

基幹化学品事業

71,819

13.0

ポリマー・オリゴマー事業

31,591

△1.5

接着材料事業

10,738

4.9

高機能材料事業

9,828

4.5

樹脂加工製品事業

25,442

3.0

合計

149,421

6.8

 

(注) 1  その他の事業につきましては、主としてサービス業ですので記載しておりません。

2  金額は、販売価格により算出しております。

 

(ロ) 受注状況

当社および各社は受注生産はほとんど行わず、主として見込み生産であります。

 

(ハ) 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

金額(百万円)

構成比(%)

前年度比(%)

基幹化学品事業

74,225

46.2

5.6

ポリマー・オリゴマー事業

35,807

22.3

2.6

接着材料事業

11,134

6.9

△1.8

高機能材料事業

10,466

6.5

7.0

樹脂加工製品事業

27,754

17.3

6.2

その他の事業

1,436

0.8

△62.7

合計

160,825

100.0

2.9

 

(注) 総販売実績に対し10%以上に該当する販売先はありません。

(2)  経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①重要な会計方針および見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。連結財務諸表の作成においては、過去の実績や状況に応じ合理的だと考えられる様々な要因に基づき見積りおよび判断を行っておりますが、見積りにつきましては不確実性があるため、実際の結果と異なる場合があります。

連結財務諸表で採用する重要な会計方針および会計上の見積りは、「第5[経理の状況]1[連結財務諸表等](1)[連結財務諸表][注記事項](連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)および(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

②当連結会計年度の経営成績の状況に関する認識および分析・検討内容

当社グループの当連結会計年度の売上高は、販売価格の修正もあり1,608億2千5百万円(前年度比2.9%増収)となりました。

営業利益は、販売数量が減少した影響を受け143億8千2百万円(前年度比18.6%減益)、経常利益は164億4千6百万円(前年度比13.4%減益)となりました。なお、セグメントごとの売上高と営業利益につきましては、(1)経営成績等の概要 ①財政状態および経営成績の状況をご参照ください。

また、特別損益で投資有価証券売却益が発生し、親会社株主に帰属する当期純利益は124億9千4百万円(前年度比9.3%減益)となりました。なお、収益認識会計基準等の適用により、売上高は79億4千万円減少し、営業利益は9千4百万円減少しております。

 

当社グループの資本の財源および資金の流動性については、必要資金は自己資金のほか、金融機関からの借入などで確保しています。2023年は、名古屋工場での物流センター取得などの設備投資および自己株式の取得を予定しており、主に自己資金を充当する予定です。また、必要に応じて、当社グループの財政状態および市場環境等を考慮しながら、金融機関からの借入や資本市場からの資金調達などを総合的に勘案し、最適な方法で資金調達を実施する予定です。当社グループの資金の流動性については、グループ内資金の効率的な活用と金融費用の削減を目的にキャッシュ・マネジメント・システムを導入しており、グループ全体の資金効率化を図っています。また、緊急時の資金調達手段の確保を目的として、一部の取引銀行と当座貸越契約を締結しており、代替調達手段を備えております。

 

 

③経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

2020年から2022年を対象期間とする中期経営計画「Stage up for the Future」の数値目標に対する結果は以下のとおりです。

(単位:億円)

 

2020年

実績

2021年

実績

2022年

実績

2022年

計画

売上高

1,333

1,563

1,687

1,630

営業利益

123

176

144

170

EBITDA

221

282

249

270

高付加価値製品比率(売上高)

43.3%

43.8%

43.6%

47.0%

設備投資額(累計額)※1

118

367

627

440

海外売上高

221

290

314

325

1株当たり純利益(円)

62.43

108.14

101.31

106.00

総資産経常利益率

5.3%

7.6%

6.3%

7.0%

 

 

※1 設備投資額は認可ベースの数値

※2 収益認識に関する会計基準未適用の数値

 

当連結会計年度は、サプライチェーンの混乱や歴史的なインフレの発生とともに、厳しい金融引き締めがおこなわれるなど、様々な方面に大きな影響が生じました。また、円安が進むことで原燃料や輸入製品の価格が急騰し、企業収益や家計を圧迫する事となりました。このような情勢下、当社グループでは販売価格の修正やコストダウンを推し進めましたが、総じて販売数量は減少し、売上高は前年を上回ったものの営業利益・経常利益・純利益は前年を下回りました。このため、中期経営計画の最終年度である2022年は、売上高および成長のための設備投資額が、数値目標を達成する結果となりました。

 

4 【経営上の重要な契約等】

技術導入契約

契約会社名

契約の相手方

契約の内容

許可年月日

契約期間

対価の支払

東亞合成㈱
(当社)

アメリカ

S.C.ジョンソンポリマー社 ※

 

SGO技術導入および共同技術開発

1998年5月20日

調印日から10年および自動継続

(1) 契約時一定額の一時金

(2) 純販売金額によるロイヤリティ

 

※  なお、現在の契約の相手方は、BASF社(ドイツ)となっております。

 

5 【研究開発活動】

当社グループは、高付加価値事業の拡大とともに、将来を支える「第4の柱」事業を含む新事業の創出を中期経営計画に掲げています。新事業の創出については、当社グループのコア技術を起点として、従来の事業領域を超えた新規キーマテリアルやサービスを新たなビジネスユニットとして複数創出することを目指しています。また、研究開発機能強化の一環としてオープンイノベーションを推進し、スタートアップ企業との協働や、産学連携による共同研究に積極的に取り組んでいます。

当連結会計年度の当社グループ全体の研究開発費は4,748百万円です。

以下、セグメント別に説明いたします。

 

(1) 基幹化学品事業

当社グループの基幹事業である電解事業につきましては、大幅な電力消費削減を目指した高効率電解槽技術の採用およびグリーン電力活用について検討を進めています。

また、アクリル事業モノマープラントにおいては、高度制御活用によるプラントのエネルギー効率向上、運転操作回数低減等、最適運転システムの構築を検討し、一部プラントで実証まで完了しました。今後他プラントへの展開を計画しています。

当セグメントに係る研究開発費は79百万円です。

 

(2) ポリマー・オリゴマー事業

アクリルポリマーを中心に機能性高分子材料の研究開発に取り組み、自動車や電子材料関連製品、化粧品分野など、幅広い分野に対応した製品開発を推進しています。また、建材関係では、コンクリートの劣化を防ぎ建物を強靭化、長寿命化できる外壁保護剤や工法の開発・改良に注力し、環境問題や建物の資産価値向上に貢献しています。さらに、光硬化型樹脂に関しては、新規オリゴマーの開発のほか、高付加価値製品の研究開発に取り組んでいます。

当セグメントに係る研究開発費は1,049百万円です。

 

(3) 接着材料事業

「アロンアルフア」で知られる瞬間接着剤については、さらなる用途拡大を目指し、高機能化製品の開発に注力しています。その他にも、各種機能性接着剤の製品開発に精力的に取り組み、電子材料、自動車、住宅建材など多岐の分野への展開を推進しています。

当セグメントに係る研究開発費は1,396百万円です。

 

(4) 高機能材料事業

独自の技術を活用した無機機能材料の研究開発を推進しています。無機イオン捕捉剤などの電子材料用添加剤のほか、環境アメニティ分野では、消臭剤、抗菌・抗ウイルス剤などの開発に加え、これらの加工技術についても注力検討しています。その他、半導体、電子材料に不可欠な材料として、高純度液化塩化水素、高純度アルカリ、高品位過塩化鉄液などを取り扱っています。

当セグメントに係る研究開発費は646百万円です。

 

(5) 樹脂加工製品事業

当社連結子会社のアロン化成株式会社では、同社の強みとする「製品開発力」「プラスチック加工技術」および「市場開拓力」を活かし、管材・建材事業、ライフサポート事業およびエラストマー事業を中心とした樹脂加工製品の研究開発を行っております。

当セグメントに係る研究開発費は656百万円です。

 

(6) その他の事業

研究開発全般のレベルアップを目指し、基盤技術研究所では、分析・評価技術の向上、新規材料の設計、物性・構造解析およびマテリアルズ・インフォマティクス(MI)に取り組んでおります。また、先端科学研究所では、京都大学iPS細胞研究所、東京大学大学院農学生命科学研究科をはじめ多くの研究機関との共同研究など、機能性ペプチドを用いたバイオテクロノロジー関連分野の研究開発に取り組んでおります。

当セグメントに係る研究開発費は920百万円です。