当連結会計年度におけるわが国経済は、政府の経済政策を背景に企業収益や雇用情勢の改善が見られるなど、緩やかな回復基調が続きました。一方、海外においては、中国ならびにアジア新興国経済の減速のほか、米国新政権の政策や英国のEU離脱が経済に与える影響も懸念されるなど、先行き不透明な状況のまま推移いたしました。
化学工業におきましては、原油価格の下落に伴い原燃料費用は低下したものの、引き続き厳しい事業環境にありました。
このような情勢下におきまして、当社グループは、基礎化学品事業、精密化学品事業および鉄系事業の収益力を強化するとともに、当社の強みであるフッ素関連技術を活かした新規製品の開発に取り組んでまいりました。
当期の売上高は、精密化学品事業部門が販売数量の増加と価格修正効果により増収となったため、460億42百万円と前期に比べ30億35百万円、7.1%の増加となりました。損益につきましては、経常利益は94億16百万円と前期に比べ6億46百万円、7.4%の増加となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、前期に繰延税金資産を計上したこともあり、66億86百万円と前期に比べ13億81百万円、17.1%の減少となりました。
セグメント別の概況は、次のとおりであります。
(無機製品)
か性ソーダは、販売価格の低下により、前期に比べ減収となりました。塩酸は、販売数量の減少により、前期に比べ減収となりました。
(有機製品)
塩素系有機製品につきましては、トリクロールエチレンおよびパークロールエチレンは、販売数量の減少と販売価格の低下により、前期に比べ減収となりました。
以上の結果、基礎化学品事業部門の売上高は、59億56百万円となり、前期に比べ6億06百万円、9.2%の減少となりました。営業損益につきましては、営業利益1億80百万円となり、前期に比べ1百万円、0.8%の減少となりました。
(特殊ガス製品)
半導体・液晶用特殊ガス類につきましては、三フッ化窒素は販売数量の減少と販売価格の低下により、前期に比べ減収となりました。六フッ化タングステンは、販売数量の増加により、前期に比べ増収となりました。
(電池材料製品)
電池材料の六フッ化リン酸リチウムは、販売数量の増加と価格修正効果により、前期に比べ増収となりました。
以上の結果、精密化学品事業部門の売上高は、329億51百万円となり、前期に比べ28億31百万円、9.4%の増加となりました。営業損益につきましては、営業利益82億49百万円となり、前期に比べ3億94百万円、5.0%の増加となりました。
複写機・プリンターの現像剤用であるキャリヤーは、販売数量の増加により、前期に比べ増収となりました。鉄酸化物は、着色剤の販売数量の増加により、前期に比べ増収となりました。
以上の結果、鉄系事業部門の売上高は、26億94百万円となり、前期に比べ2億82百万円、11.7%の増加となりました。営業損益につきましては、営業利益5億68百万円となり、前期に比べ1億27百万円、29.0%の増加となりました。
商事事業につきましては、化学工業薬品の販売減少により、前期に比べ減収となりました。
以上の結果、商事事業部門の売上高は、21億01百万円となり、前期に比べ16百万円、0.8%の減少となりました。営業損益につきましては、営業利益1億45百万円となり、前期に比べ28百万円、16.6%の減少となりました。
化学設備プラントおよび一般産業用プラント建設は、請負工事の増加により、前期に比べ増収となりました。
以上の結果、設備事業部門の売上高は、23億38百万円となり、前期に比べ5億44百万円、30.3%の増加となりました。営業損益につきましては、営業利益4億45百万円となり、前期に比べ3億15百万円、243.2%の増加となりました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前期末に比べ25億33百万円減少し、102億42百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により獲得した資金は、67億53百万円となりました(前年同期は107億49百万円の資金の獲得)。これは主に、税金等調整前当期純利益が93億09百万円、減価償却費が28億74百万円、仕入債務の増加額が10億85百万円となったことにより増加した一方で、法人税等の支払額が30億71百万円、たな卸資産の増加額が21億24百万円、売上債権の増加額が17億22百万円となったことにより減少したものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により使用した資金は、65億30百万円となりました(前年同期は29億26百万円の資金を使用)。これは主に、有形固定資産の取得によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により使用した資金は、25億61百万円となりました(前年同期は64億06百万円の資金の使用)。これは主に、長期借入れによる収入が22億63百万円となった一方で、長期借入金の返済による支出が45億36百万円、配当金の支払額が4億59百万円となったことによるものであります。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
生産高(百万円) |
前年同期比(%) |
|
基礎化学品事業 |
6,004 |
△5.9 |
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精密化学品事業 |
29,627 |
8.2 |
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鉄系事業 |
2,682 |
6.4 |
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設備事業 |
4,972 |
63.5 |
|
合計 |
43,287 |
10.0 |
(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.金額は、基本的に販売価格によっておりますが、設備事業の金額は、当連結会計年度の製造費用によっております。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
当連結会計年度の設備事業の受注状況を示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
受注高(百万円) |
前年同期比(%) |
受注残高(百万円) |
前年同期比(%) |
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設備事業 |
2,152 |
△13.9 |
1,409 |
△12.0 |
|
合計 |
2,152 |
△13.9 |
1,409 |
△12.0 |
(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
販売高(百万円) |
前年同期比(%) |
|
基礎化学品事業 |
5,956 |
△9.2 |
|
精密化学品事業 |
32,951 |
9.4 |
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鉄系事業 |
2,694 |
11.7 |
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商事事業 |
2,101 |
△0.8 |
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設備事業 |
2,338 |
30.3 |
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合計 |
46,042 |
7.1 |
(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
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相手先 |
前連結会計年度 (自 平成27年4月1日 至 平成28年3月31日) |
当連結会計年度 (自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日) |
||
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金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
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Samsung Electronics Co., Ltd. |
6,971 |
16.2 |
6,818 |
14.8 |
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
当社グループは、平成28年度より、新中期経営計画をスタートさせております。本計画においては、平成30年9月に迎える創立80周年を見据えて、外部環境の変化に耐え得る強靭な企業体質づくりにより更なる成長を目指すとともに、普遍的なものづくり力と技術的ソリューションを提案することにより間断なく新規製品を開発し市場に提供する「創造的開発型企業」を目指してまいります。
上記3課題を当社の企業活動の基本課題と位置づけ、全社員が安全・利益・改善・開発を常に意識した横断的な基礎体力強化活動の推進を図ってまいります。
主力製品がライバル企業に負けることなく、既存製品がいつまでも利益を上げ続けられるように、常に生産革新と省力化による生産性の向上を図ってまいります。
当社の事業戦略と連動した研究開発を強化していくとともに、研究開発を行う当事者が成功へのストーリーを意識し語れるような研究開発の推進を図ってまいります。
事業の成長戦略と財務のバランスを取った効率的な経営資源の配分を実施し、財務体質の強化を図るとともに、為替変動リスクを低減するために海外生産拠点の新設も検討いたします。
(以下「本基本方針」といいます。)
当社は、公開会社として当社株式の自由な売買を認めております。従いまして、「当社の財務および事業の方針の決定を支配する者」を誰にするかは、最終的には株主の皆様のご意向が反映されるべきものと考えており、当社株券等の大規模買付行為につきましても、当社の企業価値ひいては株主共同の利益の中長期的な確保・向上の観点から、不適切または不十分なものでない限り、これを否定するものではありません。
しかしながら、大規模買付者のなかには、当社取締役会や株主に対して、当該大規模買付者が「当社の財務および事業の方針の決定を支配する者」として適切か否かを判断するための十分な情報や時間を提供しない者もないとはいえません。また、大規模買付行為の目的等から見て、当社の企業価値ひいては株主共同の利益に対して明白な侵害をもたらすものや、株主に対して当社株券等の売却を事実上強要するもの等、当社の企業価値ひいては株主共同の利益の中長期的な確保・向上の観点から、不適切または不十分な者もないとはいえません。
以上より、当社取締役会は、大規模買付者に対して、当社が設定し事前に開示する一定のルール(以下「大規模買付ルール」といいます。)に従って、当該買付行為を開始するよう要請しております。
当社は、経営方針として、「会社の永遠の発展を追求し、適正な利益を確保することにより、株主、ユーザー、従業員と共に繁栄する企業を目指して豊かな社会づくりに貢献する。これを実現するために、当社独自の技術と心のこもったサービスでユーザーの期待に応え、誠意・創造性・迅速な対応・自然との調和をモットーに信頼される関東電化を築き上げる。」ことを掲げております。つまり、当社は、「企業価値を高めるとともに豊かな社会づくりに貢献する」ことを企業目標にしており、この実現のために、株主、地域社会、ユーザー、従業員等のステークホルダーの皆様と良好な関係を築くことに取り組んでおります。
また、当社の企業価値の源泉は、地道な研究活動から生み出される「当社独自の技術」であり、その土台は、「人を大切にする企業風土」と「まじめで誠実な従業員」と考えております。一方、昭和13年の会社設立以来、電解等の専門技術やノウハウ、とりわけ、高純度のフッ素を効率よく大量に発生させるフッ酸電解技術、および、電池材料、液晶材料、医農薬等幅広い応用分野を持つフッ素関連技術についての知識を蓄積し、今日に至っております。今後も、人材力を高めつつ、蓄積された専門技術等を活かして「当社独自の技術」を生み出し続け、企業価値を高めるとともに豊かな社会づくりに貢献してまいりたいと考えております。
当社は、本基本方針に沿って、当社の企業価値ひいては株主共同の利益の中長期的な確保・向上を目的として、平成27年6月26日開催の株主総会において、「当社株券等の大規模買付行為への対応方針(買収防衛策)」(以下「本対応方針」といいます。)を決定し、そのなかで「大規模買付ルール」を定めております。その骨子は、ア.当社は、大規模買付者に対して大規模買付行為に関する必要かつ十分な情報の提供を求め、イ.当社取締役会のための一定の評価期間を確保した上で、ウ.当社取締役会が株主の皆様に当社経営陣の計画、代替案等の提示や、大規模買付者との交渉を行い、エ.当該大規模買付行為に対し対抗措置を発動するか否かについて原則として株主の皆様の意思を確認するための株主総会等を開催する手続を定め、かかる株主の皆様の意思を確認する機会を確保するため、大規模買付者には、ア.からエ.の手続が完了するまで大規模買付行為の開始をお待ちいただくことを要請する、というものです。
(注) なお、本対応方針の詳細については、当社ホームページ
http://www.kantodenka.co.jp/06ir/fr2015/news20150515_1.pdf をご参照ください。
本対応方針は、大規模買付者が大規模買付行為に関する必要かつ十分な情報を当社取締役会に事前に提供すること、および当社取締役会のための一定の評価期間が経過し、株主の皆様に当社取締役会が対抗措置をとることの是非を、原則として株主総会等において直接的に確認した後にのみ当該大規模買付行為を開始することを求め、これを遵守しない大規模買付者に対して当社取締役会が対抗措置を講じることがあることを明記しています。また、大規模買付ルールが遵守されている場合であっても、当社の企業価値ひいては株主共同の利益の中長期的な確保・向上の観点から、不適切または不十分なものと当社取締役会が判断した場合、原則として当社株主総会等における株主の皆様のご判断に基づいて、かかる大規模買付者に対して対抗措置を講じることがあることを明記しています。このように本対応方針は、本基本方針の考え方に沿って設計されたものであります。
本対応方針は、本基本方針の考え方に沿って設計され、当社株主の皆様が大規模買付行為に応じるか否かを判断するために必要な情報や当社取締役会の意見の提供、代替案の提示を受ける機会の提供を保障し、最終的には大規模買付行為の提案を受けた時点における株主の皆様により対抗措置の発動の是非を判断していただくことを目的としております。本対応方針によって、当社株主および投資家の皆様は適切な投資判断を行うことができますので、本対応方針は当社株主の共同の利益を損なうものではなく、むしろその利益に資するものであります。
本対応方針は、大規模買付行為を受け入れるか否かが最終的には当社株主の皆様の判断に委ねられるべきことを大原則としつつ、当社株主共同の利益を守るために必要な範囲で大規模買付ルールの遵守の要請や対抗措置の発動を行うものです。本対応方針は当社取締役会が対抗措置を発動する場合を事前かつ詳細に開示しており、当社取締役会による対抗措置の発動はかかる本対応方針に従って行われます。また、大規模買付行為に関して当社取締役会が対抗措置をとる場合には、原則として、株主総会等を開催して株主の判断を仰ぐこととしており、例外的に取締役会決議限りで判断を行う場合その他本対応方針に係る重要な判断に際しては、必要に応じて外部専門家等の助言を得るとともに、当社の業務執行を行う経営陣から独立している委員で構成される特別委員会へ諮問し、同委員会の勧告を最大限尊重するものとされています。このように、本対応方針には、当社取締役会による適正な運用を担保するための手続きも盛り込まれています。以上から、本対応方針が当社役員の地位の維持を目的とするものでないことは明らかであります。
当社グループの経営成績および財務状況等に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、ここに記載した事項は、有価証券報告書提出日現在において、当社グループがリスクとして判断したものですが、当社グループに係る全てのリスクを網羅したものではありません。
当社グループの主力製品は半導体・液晶用フッ素系製品であり、半導体・液晶業界の動向が、業績に影響を与える可能性があります。また、当社グループ製品の川下における技術革新により、関係する製品に対する需要そのものがなくなる可能性があります。
当社グループは、韓国・中国・台湾メーカーとの激しい競争を繰り広げております。当社製品の技術・品質面での優位性がなくなり、韓国・中国・台湾メーカーとの価格競争となった場合には、販売シェアのダウンまたは販売価格低下により、業績に影響を与える可能性があります。
当社グループは、電力が最大の原材料であります。また、当社グループは、原材料として、リチウム化合物、無水フッ酸、工業塩、エチレン、重油等を購入しております。製造にあたっては効率的な資材購入と製品価格への転嫁を図っておりますが、電力をはじめ原燃料の価格変動や調達状況が、業績に影響を与える可能性があります。
当社グループは、収益の柱となるような新規製品の開発に経営資源を投入しておりますが、開発が計画どおりに進捗しない場合や、開発した製品が市場投入時に市場ニーズにマッチしない場合には、業績に影響を与える可能性があります。
当社グループは、安全には万全を期しておりますが、万一、当社工場にて大規模事故災害が発生した場合には、社会的信用の失墜、補償などの費用の発生、生産活動停止に伴う機会損失等により、業績に影響を与える可能性があります。
当社グループは、安定運転、品質の維持に努めておりますが、製造トラブルや品質トラブルが発生し、その回復に時間がかかる場合には、業績に影響を与える可能性があります。
当社グループは、地震等の自然災害や感染症の流行に対しては各種訓練や防災対策、事業継続対策は行っておりますが、災害等により製造拠点等が影響を受けた場合には、業績に影響を与える可能性があります。
当社グループは、化学物質を取り扱う企業として環境対策に万全を期しておりますが、万一、有害物質が社外に流出した場合には、社会的信用の失墜、補償などの費用の発生、生産活動停止に伴う機会損失等により、業績に影響を与える可能性があります。また、当社グループは、土壌・地下水汚染、大気汚染、水質汚濁、廃棄物処理等各種の環境規制に服しています。これらの規制の動向等により、過去、現在および将来の当社グループの事業活動に関し、法的または社会的責任の観点から対応を行う場合は、業績に影響を与える可能性があります。
当社グループは、金融機関から資金を調達しております。金利スワップによるヘッジは行っておりますが、金利が大幅に上昇した場合は金利負担が増加し、業績に影響を与える可能性があります。
当社グループは、事業活動を行うにあたって、各種の法令・規制に服しております。グループをあげてコンプライアンスの遵守に注力しておりますが、重大な法令違反があった場合には、業績に影響を与える可能性があります。
当社グループは、事業の優位性確保のため、新規開発技術の特許保護を重視する戦略をとっておりますが、開発した技術やノウハウの外部への流失や、知的財産権についての係争により、業績に影響を与える可能性があります。
特記すべき事項はありません。
平成28年4月より3ケ年にわたる第10次中期経営計画をスタートさせました。
平成31年3月までの、この中期経営計画期間におきましては、「安全第一主義」、「稼ぐ関東電化」、「全員参加」の3つを、当社企業活動の基本課題として位置づけ、間断なく新製品を市場に提供する「創造的開発企業」を目指して進めております。
この方針に基づき、研究開発部門としましては重点目標として「新規製品の早期創出」を掲げて取り組んでおります。これは即ち、この中期経営計画実行期間内の早期に、次の収益の柱となる新規製品を創出し、育成していきたいという主旨であります。そのため、この目標を是が非でも達成してまいりたく、経営資源を投入して進めているところであります。
この第10次中期経営計画実行期間の初年度にあたる当連結会計年度の研究開発投資額は、12億43百万円でありました。
次に、主要研究テーマの概要及び今後の方向性を以下に説明いたします。研究テーマは、半導体・液晶製造用の特殊ガス、電池材料、有機ファインケミカルズ、機能性フッ素系樹脂、鉄系材料・無機ナノ材料の主要5テーマであります。更に、これら以外の分野における新材料の探索にも積極的に取り組んでおります。
現在、市場では半導体・液晶製造用ガスとして三フッ化窒素、四フッ化炭素、六フッ化エタン及び三フッ化塩素等の特殊ガスが使用されております。当社はこのような各種フッ素系ガス製品を、独自の特徴ある技術により開発し、世界でも有数の製造能力と品質とを合わせもつ半導体・液晶用特殊ガスメーカーであります。上記各種製品の用途としては主に、半導体基板の表面に回路パターンを刻むエッチング用と、半導体製造装置や液晶製造装置の内面を清浄にするためのクリーニング用とがあります。半導体分野の定説となっているムーアの法則に従って、年々微細化が進む中、当社では微細エッチング用のガスであるヘキサフルオロ-1,3-ブタジエン等を開発し、平成18年より市場に提供してまいりました。また、最近の3D化等の新技術や地球温暖化防止に対応すべく新規ガスの開発に注力しております。
リチウムイオン二次電池(LiB)は、今後の飛躍的な成長が期待される車載用等の大型電池分野をターゲットに更なる高容量化、長寿命化、難燃化等の研究が盛んに行われております。当社も、LiB用電解質として六フッ化リン酸リチウムの開発に成功し、この分野に参入いたしました(平成9年)。また一方、六フッ化リン酸リチウムに続くLiB用の新しい電解質の開発も進める中で、ホウフッ化リチウムの市場投入を平成29年4月より開始するための準備を当年度において完了しました。
さらに、当社が得意とするフッ素化技術を利用して、高性能電解液用添加剤や新規電池材料の開発を推進するとともに、次世代電池材料についても探索を行なっております。
当社が得意とするフッ素化技術をはじめ様々な有機合成技術を活用して、フッ素原子を含有する有機化合物を中心に、高付加価値化合物の開発に取り組んでおります。平成17年7月には水島工場内に多目的拡大設備を建設し、医農薬中間体・液晶材料などの生産を開始いたしました。また、受託合成にも積極的に取り組んでおり、平成25年12月には、数件の受託合成テーマをひと括りとした「有機機能性材料事業」を立ち上げ、市場に提供しております。今後は、当社が得意とする技術を駆使して当社オリジナル製品を開発するとともに、海外展開を含め、更に事業の拡大を促進させてまいります。
撥水撥油性を特徴とするフッ素系高分子材料分野には平成9年から参入し、耐候性や防汚性に優れたフッ素樹脂「エフクリア」(平成16年商標登録)を開発し、その特性を活かした市場開発を進めております。以降、ニッチな分野での採用件数は徐々に伸びており、現在では特にその防汚性を活かしたユーザー毎の各種材質(住宅建材:バス、キッチン等)向けトップコートなどを中心に海外への展開も検討しております。さらに耐久性や耐擦傷性、防汚性等の市場ニーズにマッチングする特性を兼ね備えた高グレード品の開発や新規用途の開拓(機能性フィルム用等)を顧客に密着する形で推進しております。
渋川開発研究所では、複写機、プリンター等画像形成装置向けの現像剤用キャリヤーの開発に、製造部門、営業部門と連携して取り組んでおります。キャリヤーとは、静電荷像現像方式の複写機等で使用される粉体材料であり、複写機内でトナーを搬送する役割をしております。平均粒径30~100μmの導電性の鉄、フェライト、マグネタイト等をコア材とし、その表面に絶縁性の各種樹脂をコーティングして製造しております。
一方、市場ニーズに即した新規鉄系材料の探索も進めており、長年に亘り培ってきた微細化技術を利用し、鉄系以外の材料も含めた無機ナノ材料を開発中であります。現在、フッ素系高分子材料と無機ナノ材料とを複合化した新しいコンポジット材料の開発も進めており、多方面への用途展開を目指しております。
基礎研究所では、5~10年先の新規コア事業の創出を目的に、中長期的な視点で、エネルギー及び電子・情報通信等の成長分野へ研究を進めております。平成26年度からは、上述の研究企画部と一体となり、大学等の外部研究機関と連携しながら、当社独自のフッ素化技術や有機・無機合成技術を基盤に新規技術や製品の開発を推進しておりますが、平成29年4月からは開発期間の短縮により効率化を図ることを計画しております。
文中における将来に関する記述は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
当連結会計年度末の総資産は607億90百万円となり、前連結会計年度末(以下「前期末」という)に比べ78億30百万円増加しました。
(流動資産)
流動資産は332億82百万円で、前期末に比べ12億69百万円増加しました。その主な要因は、現金及び預金が26億46百万円減少した一方で、受取手形及び売掛金が16億88百万円、仕掛品が13億69百万円増加したためであります。
(固定資産)
固定資産は275億08百万円で、前期末に比べ65億60百万円増加しました。その主な要因は、有形固定資産が50億38百万円、投資有価証券が17億37百万円増加したためであります。
(流動負債)
流動負債は216億44百万円で、前期末に比べ21億34百万円増加しました。その主な要因は、1年内返済予定の長期借入金が6億60百万円、未払法人税等が4億41百万円減少した一方で、流動負債その他が18億16百万円、支払手形及び買掛金が9億81百万円、短期借入金が4億12百万円増加したためであります。
(固定負債)
固定負債は59億77百万円で、前期末に比べ14億19百万円減少しました。その主な要因は、長期借入金が16億12百万円減少したためであります。受取手形割引高及び社債を含む有利子負債の残高は128億25百万円となり、前期末に比べ17億47百万円の減少となりました。
(純資産)
純資産合計は331億69百万円となり、前期末に比べ71億15百万円増加しました。その主な要因は、利益剰余金が当期純利益により62億26百万円、その他有価証券評価差額金が10億23百万円増加したためであります。
当連結会計年度の売上高は460億42百万円となり、前期に比べ30億35百万円、7.1%の増加となりました。これは、基礎化学品事業部門および商事事業部門が減収となった一方で、精密化学品事業部門が販売数量の増加と価格修正効果により増収となったためであります。なお、事業別の売上の概要につきましては、「1 業績等の概要(1) 業績」に記載しております。
売上原価は、原材料価格が低下した一方、販売数量の増加や減価償却費等の固定費の増加があったため、全体としては増加となりました。また、販売費及び一般管理費は研究開発費等が増加しました。以上の結果、営業利益は93億64百万円となり、前期に比べ7億12百万円、8.2%の増加となりました。
営業外収益は前期に計上した保険解約返戻金がなくなったことや試作品等売却代が減少したこと等により1億28百万円減少しております。また、営業外費用はデリバティブ評価損が発生した一方で、支払利息や雑損失が減少したこと等により、61百万円減少しております。以上の結果、経常利益は94億16百万円となり、前期に比べ6億46百万円、7.4%の増加となりました。
特別利益は投資有価証券売却益を計上したために、60百万円増加しております。特別損失は前期に計上した減損損失がなくなったこと等により、60百万円減少しております。以上の結果、税金等調整前当期純利益は93億09百万円となりました。法人税等および非支配株主に帰属する当期純利益を控除した親会社に帰属する当期純利益は66億86百万円となり、前期に比べ13億81百万円、17.1%の減少となりました。
当連結会計年度の営業活動により獲得した資金は、67億53百万円となりました(前年同期は107億49百万円の資金の獲得)。これは主に、税金等調整前当期純利益が93億09百万円、減価償却費が28億74百万円、仕入債務の増加額が10億85百万円となったことにより増加した一方で、法人税等の支払額が30億71百万円、たな卸資産の増加額が21億24百万円、売上債権の増加額が17億22百万円となったことにより減少したものであります。投資活動により使用した資金は、65億30百万円となりました(前年同期は29億26百万円の資金を使用)。これは主に、有形固定資産の取得によるものであります。財務活動により使用した資金は、25億61百万円となりました(前年同期は64億06百万円の資金の使用)。これは主に、長期借入れによる収入が22億63百万円となった一方で、長期借入金の返済による支出が45億36百万円、配当金の支払額が4億59百万円となったことによるものであります。
以上の結果、現金及び現金同等物の残高は、前期末に比べ25億33百万円減少し、102億42百万円となりました。