第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループは、「会社の永遠の発展を追求し、地球環境との調和を図りながら適正な利益を確保することにより、株主、ユーザー、従業員と共に繁栄する企業を目指して持続可能な社会づくりに貢献する。」を経営の理念としております。これを実現するために、当社独自の技術と心のこもったサービスでユーザーの期待に応え、誠意・創造性・迅速な対応・自然との調和をモットーに、信頼される企業を築き上げるべく全社をあげて事業の発展に取り組んでまいります。

 

(2) 中長期的な会社の経営戦略と対処すべき課題

当社グループは、2022年度より、新中期経営計画をスタートさせております。本計画においては、精密化学品事業の拡大推進と競争力を育成するとともに、新事業創出による成長基盤の強化を目標としております。2024年度の連結売上高1,000億円達成を目標とし、「精密化学品事業の拡大推進」、「生産技術力の底上げ」、「人材育成充実」、「社会的価値向上」を図ってまいります。

 また、「安全第一主義」、「稼ぐ関東電化の実現」、「全員開発」を企業活動の基本課題とし、2030年のありたい姿を見据え、安定した経営基盤のもと、安全で働きがいを実感できる環境を提供し、独自性・優位性のある製品で世界最先端の技術を支え、サステナブルな社会に貢献する「創造的開発型企業」を目指してまいります。

 

① 基本戦略
本中期経営計画の3ヵ年を「持続的成長と競争力育成期間」と位置づけ、当社グループの主力事業である精密化学品事業の更なる飛躍に向けた事業ポートフォリオ改革の実現に努めてまいります。
また、2050年カーボンニュートラルに向けた投資計画を立案し、低炭素・循環型社会に向けた取り組みを強化し、環境配慮型製品の開発、販売に注力してまいります。

 

② 重点戦略
ア 精密化学品事業の拡大推進

a.市場成長に対応する能力増強(半導体・液晶向け特殊ガス、電池材料)

b.顧客が求める(高性能、低GWP※)半導体ガス製品の市場投入

c.海外拠点との有機的連携

d.半導体ガス製品、電池材料製品の開発力強化

e.原料から最終製品までのグループ内一貫生産体制構築

※GWP:Global Warning Potential(地球温暖化係数)の頭文字。二酸化炭素を基準にして、ほかの温室効果ガスがどれだけ温暖化する能力があるか表した数字。

イ 生産技術力の底上げ

a.DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進による生産性向上

b.品質保証能力の向上

ウ 人材育成充実

a.人材開発、戦略的教育プログラムの導入

b.社員のwell-being追及(働きがいを実感)

c.ジェンダー、多様性の推進

エ 社会的価値向上

a.サステナビリティに対する活動推進

b.エネルギー多消費型製品事業の縮小と脱炭素への取組強化

c.リサイクルの推進

 

 

③ 前記の重点戦略を達成するための個別戦略
ア 精密化学品事業

半導体・液晶向け特殊ガスにおいては、デジタル社会の進展を受けて長期的な成長が期待できる最先端エッチング・低GWP値ガスへの要望に応え、投資・開発を加速させていきます。

また、技術をリードすることにより成長を継続させ、需要の広がりとともに製造拠点の分散化・BCP対策を進め、顧客のニーズに応えていきます。

電池材料においては、EV需要の急増を受け供給数量の大幅な拡大を要請されています。今後、増産投資を継続していくとともに生産性の高い最先端の技術を開発し、より一層のコストダウンを進め顧客需要に応えていきます。

また、開発を進めている使用済みリチウムイオン2次電池からリチウムを再資源化する技術を世界規模で実現し、脱炭素・循環型社会に貢献していきます。

イ 基礎化学品事業

基礎化学品事業は、当社の基盤事業として原料供給機能の強化とキャッシュ・フローの最大化を図っていきます。

ウ 鉄系事業

鉄系事業は、成長率の高い地域と製品に経営資源を集中させていきます。

また、グローバル展開を加速させ、再び成長軌道に乗せる事業展開を図っていきます。

エ 研究開発

研究開発部門は、新規製品の継続的な投入を果たし、「2024年度開発品売上高:50億円」を目指し取り組んでいきます。

開発重点テーマ

a.新事業開発分野<先端技術を支える材料>

・新電池材料、半導体材料、フッ化物、塩化物

・医療用材料

・通信用材料としての低誘電率材料

b.生産技術の開発<既存事業・新事業を支える技術>

・リサイクル(リチウム、リン、フッ素、タングステン他)

・環境改善技術(電解技術活用による省エネ、サステナビリティ)

・マテリアルズ・インフォマティクス(MI)計算ソフトによる開発支援

・既存事業の周辺技術、フッ素系ガスの原料製造、新製造技術

 

④ 財務戦略

内部留保資金は、自己資本比率50%を目途に財務の健全性を確保しつつ、経営基盤の強化や成長分野への投資に優先して使用します。配当につきましては、配当性向20%を目安に適正な配当を継続して実施し、資本コストを意識した経営に努めます。

 

⑤ カーボンニュートラルに向けた取組み
ア 2030年に向けたビジョン

精密化学品の拡大を一層進めることにより成長を加速するとともに、温室効果ガス排出の削減と脱炭素に向けた技術開発を進め、サステナブルな社会に貢献する「創造的開発型企業」へ成長する。

イ 主な取組み方針

a.精密化学品事業の成長を果たしながら、CO2排出原単位を改善

b.再生可能エネルギーの投入

c.プロダクトミックスによるCO2排出削減

d.環境配慮型製品の開発推進

ウ CO2排出量削減目標(2030年度)

2013年度比30%削減を目標とする。(Scope1、Scope2対象)

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において、当社グループが判断したものであります。

 

(1) サステナビリティ方針

当社グループは、2022年5月に気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言への賛同を表明し、TCFD提言に即したシナリオ分析とそれを受けた対応策について検討の上、気候変動への取り組みに関して情報開示を進めるとともに、経営の強靭化とサステナブルな国際社会の実現に貢献してまいります。

当社グループはこれまでも、環境配慮型製品の開発、温室効果ガス排出量削減等により地球環境の保全に努めており、第12次中期経営計画においても独自性・優位性ある製品で世界最先端の技術を支え、サステナブルな社会に貢献する「創造的開発型企業」を目指しております。

 

(2) ガバナンス

当社グループは、気候変動への対応を含むサステナビリティを経営方針の中核に掲げており、その推進のため、社長を委員長とするサステナビリティ推進委員会を設置しております。重要なテーマである気候変動問題については、サステナビリティ推進委員会の下に地球環境対策部会を設けており、温室効果ガス排出量削減をはじめとする気候変動への対応に関する内容を扱っております。気候変動に関連する情報はサステナビリティ推進委員会および地球環境対策部会に集約され、課題目標について審議・決定しております。議論された内容は定期的(年2回以上を目途)に取締役会に報告するとともに、取締役会において承認された内容は中期経営計画や年度計画に反映してまいります。また、気候変動への対応に関する計画の進捗状況はサステナビリティ推進委員会にてモニタリング・管理しており、進捗を継続的に監督してまいります。

 


 

 

(3) 戦略

当社グループでは、サステナビリティ推進委員会および地球環境対策部会が主体となって気候変動によるリスクや機会の特定、事業への影響度の評価を行っております。リスクや機会を評価するにあたっては、国際エネルギー機関(IEA)や気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が公表する複数のシナリオを用いてシナリオ分析を実施しております。今後、分析には以下の2つの将来世界観を想定し、2030年時点の影響を考察してまいります。

 


 

<2℃(1.5℃)シナリオ分析>

2℃(1.5℃)シナリオにおける分析では、脱炭素社会への移行のため様々な政策や規制が導入されることが想定されており、当社グループにおいては特に炭素税導入による財務的影響、および温暖化係数の高い製品(高GWP製品)の需要低下による当社製品売り上げの低下がリスクになり得ると捉えております。

一方で、気候変動に対する意識の高まりから、脱炭素社会実現の一端を担うEV(電気自動車)に不可欠なリチウムイオン電池の市場が拡大することが予想され、それに伴い当社が供給するリチウムイオン電池に必要不可欠な材料の需要も高まり、大きな機会となり得ると捉えております。今後、これらリスク及び機会を定性・定量の両面で評価し、対応策を検討してまいります。

<4℃シナリオ分析>

4℃シナリオにおける分析では、異常気象の頻発化および激甚化が想定されており、当社グループにおいては国内拠点での洪水被害が最も大きなリスクであると捉えております。またそれに伴う拠点の営業停止による損害もリスクとして捉えております。今後、これらリスクを定性・定量の両面で評価し、対応策を検討してまいります。

 


 

 

また当社における、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針は、以下の通りです。

 

イ、基本方針

当社は、人こそが企業価値向上の源泉であると考え、人材の育成と社内環境の整備に取り組んでまいりました。また、2022年度を初年度とする中期経営計画においても、「人材育成充実」を重点戦略の一つに位置づけ、人材育成と社内環境整備に引き続き注力しております。

「採用」「教育」「社内環境整備」についての基本的考え方(取組状況を含む)は以下のとおりです。

 

ロ、採用の基本的考え方

変化の激しい経営環境にあって、今後の企業経営の鍵は多様な人材の確保とその育成・登用にあると当社は考えております。現在、当社は、「女性採用」「外国人・中途採用」「障がい者雇用」などに取り組んでおります。

a. 女性採用

従来は総合職の採用が男性に偏っていたため、現在の女性管理職の割合は極めて小さくなっておりますが、以下を目標として、積極的に女性総合職採用に取り組んでおります(2018年~2022年の総合職新卒採用に占める女性比率26%)

・2030年までに幹部職における女性比率を2020年度(2%)の2倍にする

・総合職新卒採用における女性比率30%以上を目指す

b. 外国人・中途採用

外国人については、従来から国籍にとらわれず採用・登用しております。中途採用も継続的に実施しております。(採用者に占める中途採用者実績 2022年/63%)

c. 障がい者雇用

工場においては、多目的トイレの設置等バリアフリー化を推進しております。

本社においては、業務サポート室を設置し、障害者が働きやすい環境を整え、雇用促進につなげています。

なお、障害者雇用率は2.03%(2023年6月1日)です。

 

ハ、教育の基本的考え方

当社が担う社会的使命と業務特性を自覚し、たゆまぬ研鑽を継続する社員を育成することを目的とし、自分のもてる能力を伸ばすことができるよう支援、育成しております。

なお、社員教育および研修の強化を図るため、それを専管する部署として人材開発室を新設しました(2023年6月)。

a. 階層別社員研修

ステージ毎に必要な研修を実施しております。

入社前・入社時研修、入社半年後フォローアップ研修、社員5級昇格時(主任研修)、社員6級昇格時(通信教育・管理者基礎コース)、社員7級昇格時(課題形成実践研修)、幹部職1級昇格時(新任幹部職研修)

b. 専門・選択型研修

語学研修、日商簿記や甲種危険物取扱者等の資格取得に向けた支援を行っています。

c. その他

その他、海外・国内留学制度を設けております。また、工場等各事業所においては、安全、環境、品質等についての現場研修を実施しております。

 

ニ、社内環境整備についての基本的考え方

安全で働きがいを実感できる職場環境を築くとともに、人権を尊重し、ハラスメント等のない職場環境の確保に取り組んでいます。各工場で毎月行われている安全衛生委員会を通じ、労働組合の協力のもと、安全で働きやすい職場環境づくりに取り組んでいます。

 

a. 安全への取り組み

当社では「安全第一主義」のもと、当社独自の安全行動基準を定め、無事故・無災害を目指し全員参加で安全活動に取り組んでいます。両工場に「危険体感設備」を設置し、危険状態を自ら体験し作業の中に潜む危険源を見抜く力を養います。

b. 健康への取り組み

当社では社員の心身の健康の確保が重要であると考え、ハラスメントのない職場や職場環境の改善、定期健康診断の実施やストレスチェックにおける受診率の向上およびインフルエンザ予防接種の一部負担等を実施しています。また、定期健康診断の結果、再検査が必要な場合や所見がある場合は、費用の全額を会社負担として、二次検査の受診を推奨しています。

 

ホ、その他

a. 定年延長

当社においては、社員はエイジレスでモチベーション高く働き、会社はそれに対して処遇するという目的で、2022年度より、給与体系を維持しながら65歳定年延長を実施しております。その後においても、その経験等が必要な場合は、70歳まで再雇用する制度も設けております。

b. 給与改定

当社においては、物価が上昇する中、社員のモチベーションアップのため、2023年度はベースアップ(定昇込5.0%)を実施しております。

 

(4) リスク管理

当社グループでは、気候変動への対応にあたっては、サステナビリティ推進委員会および地球環境対策部会において、想定される気候変動リスクを明らかにしたうえで、シナリオ分析等の手法を用いてリスクや機会の評価をしてまいります。また、省エネルギー対策など気候変動対策にも関わってくるリスクやそのほかESG重要課題ついては、必要に応じて他の委員会と連携し、対応してまいります。労働環境やガバナンスについてはコンプライアンス・リスク管理委員会が、品質保証や廃棄物削減、省エネルギー対策についてはRC推進会議がそれぞれ担当しており、継続的に情報を収集し、リスク管理を行っております。審議内容については定期的に取締役会に報告するとともに、討議した対応策を事業活動に反映し、リスク管理を行ってまいります。

 


 

 

(5) 指標と目標

当社グループの気候変動リスクを管理する指標として、2013年度を基準年とした温室効果ガス排出削減量を採用し、管理しております。但し、その大部分は当社に由来するものとなります。当社における温室効果ガス排出削減への取り組みは以下の通りです。

<従来からの取り組み>

当社では、2009年より製造プラントから排出される温室効果ガスの除害設備を導入し、非エネルギー由来の温室効果ガス排出削減に取り組み大きな成果を上げ、2022年度には2013年度比で99.3%削減(CO2換算)しました。更に気候変動に対し積極的に取り組むため、エネルギー由来の温室効果ガスについても、排出削減に注力し、2022年度においては生産効率の改善を進めることでエネルギー由来の温室効果ガスの排出量を2013年度比で10.6%削減しました。その結果、温室効果ガス全体で86.0%削減(CO2換算)を達成しています。

<カーボンニュートラルに向けた新たな取り組み>

2022年度より実施している第12次中期経営計画「Dominate 1000」の重点戦略の一つに社会的価値の向上を掲げ、サステナビリティに対する活動推進、エネルギー多消費型製品の縮小と脱炭素への取り組み強化およびリサイクルの推進に取り組んでおります。

そしてサステナブルな社会づくりに貢献するため、 エネルギー由来の2030年の温室効果ガス排出量(Scope1,2)を2013年基準で30%削減する長期目標を新たに設定し、2050年カーボンニュートラルの実現を目指し温室効果ガス排出量の削減を加速してまいります。

 


 

 

<2030年に向けた取り組み>

「精密化学品の拡大を一層進めることにより成長を加速するとともに、温室効果ガス排出量の削減と脱炭素に向けた技術開発を進め、サステナブルな社会に貢献する創造的開発型企業」というビジョンを掲げ、主な取り組み方針としては下記施策を実施してまいります。

① 精密化学品事業の成長を果たしながら、CO2排出原単位を改善

② 再生可能エネルギーの導入

③ プロダクトミックス(+生産性向上ポートフォリオ改革)

④ 環境配慮型製品の開発推進

 


 


 

また、当社では、上記「(3) 戦略」において記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は、次の通りであります。

指標

目標

実績(当連結会計年度)

男性の育児休暇取得

毎年1名以上

5名

女性の育児休暇取得

90%以上

100%

有給休暇取得率

80%以上

78%

 

 

 

3 【事業等のリスク】

当社グループの経営成績および財務状況等に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

なお、ここに記載した事項は、有価証券報告書提出日現在において、当社グループがリスクとして判断したものですが、当社グループに係る全てのリスクを網羅したものではありません。

 

(1) 事業環境の変化

当社グループの主力製品は半導体・液晶用フッ素系製品であります。半導体・液晶業界は循環的な市況変動が大きい業界であり、需給環境に大きな変化があった場合、業績に影響を与える可能性があります。また、当社グループ製品の川下における技術革新により、関係する製品に対する需要そのものがなくなる可能性があります。

(2) 競争の激化

当社グループは、韓国・中国・台湾等のメーカーとの激しい競争を繰り広げております。競争力の維持・強化に向けた様々な取り組みを進めておりますが、当社製品の技術・品質面での優位性がなくなり、競合メーカーとの価格競争となった場合には、販売シェアのダウンまたは販売価格低下により、業績に影響を与える可能性があります。

(3) 海外事業活動

当社グループは、東アジアを中心に海外事業活動を強化しておりますが、予期しない法令または規制の変更、政治および社会情勢の変化、テロ、感染症等のリスクがあり、これらのリスクが発生した場合、業績に影響を与える可能性があります。

(4) 原燃料価格の変動および調達状況

当社グループは、電力が最大の原材料であります。また、当社グループは、原材料として、リチウム化合物、無水フッ酸、タングステン、工業塩、エチレン、重油等を購入しております。製造にあたっては、効率的な資材購入と製品価格への転嫁を図っておりますが、電力をはじめ原燃料の価格変動や調達状況が、業績に影響を与える可能性があります。

(5) 新規製品の開発の遅れ

当社グループは、収益の柱となるような新規製品の開発に経営資源を投入しておりますが、開発が計画どおりに進捗しない場合や、開発した製品が市場投入時に市場ニーズにマッチしない場合には、業績に影響を与える可能性があります。

(6) 事故災害

当社グループは、安全には万全を期しておりますが、万一、当社工場にて大規模事故災害が発生した場合には、社会的信用の失墜、補償などの費用の発生、生産活動停止に伴う機会損失等により、業績に影響を与える可能性があります。

(7) 製造・品質トラブル

当社グループは、安定運転、品質の維持に努めておりますが、製造トラブルや品質トラブルが発生し、その回復に時間がかかる場合には、業績に影響を与える可能性があります。また、生産物賠償責任保険には加入しておりますが、この保険が最終的に負担する全ての費用を十分にカバーできない可能性があります。

(8) 情報セキュリティ

当社グループでは、情報セキュリティ基本方針、情報セキュリティガイドライン、社内情報管理規程等を制定し、各種セキュリティ対策を実施するほか、社員教育を継続的に実施するなど、ハード、ソフト双方から情報管理の徹底に努めておりますが、外部攻撃、不正アクセス、コンピューターウィルスの感染等により、システム障害、機密情報・個人情報の漏洩が発生した場合、当社グループへの信用および業績に影響を与える可能性があります。

 

(9) 気候変動

当社グループでは、気候変動による事業活動への影響を「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の提言に基づいて分析を行いました。

4℃シナリオにおける分析においては、異常気象の頻発化および激甚化により、国内拠点での洪水被害、およびそれに伴う営業停止による損害発生の可能性があります。

2℃(1.5℃)シナリオにおける分析においては、脱炭素社会への移行のための政策の一つとして炭素税をはじめとするカーボンプライシングが導入されることによりコストが上昇する可能性、ならびに特殊ガス製品のうち温暖化係数の高い製品の需要低下により業績に影響を与える可能性があります。

(10) 自然災害

当社グループは、地震等の自然災害や感染症の流行に対しては各種訓練や防災対策、事業継続対策は行っておりますが、災害等により製造拠点等が影響を受けた場合には、業績に影響を与える可能性があります。

(11) 既知および未知の感染症の感染拡大

新型コロナウイルスについては国民の生命および健康に重大な影響を与えるおそれがある状態を脱したと言えるものの、今後も既知および未知の感染症が世界的に流行する可能性があります。

感染拡大した場合に、当社グループでは、従業員の感染、物流網の停滞、原材料調達の遅延、生産活動の停止により業績に影響を与える可能性があります。また、顧客の事業活動の停止や生産計画の見直しにより当社製品の需要が減少した場合、売上高が減少し、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

(12) 固定資産の減損

当社グループは、製造設備など多数の固定資産を有しておりますが、今後、各製品において事業収益性が大幅に悪化した場合や、保有資産の時価が著しく低下した場合等は、減損損失の計上が必要となり、業績に影響を与える可能性があります。

(13) 環境規制

当社グループは、化学物質を取り扱う企業として環境対策に万全を期しておりますが、万一、有害物質が社外に流出した場合には、社会的信用の失墜、補償などの費用の発生、生産活動停止に伴う機会損失等により、業績に影響を与える可能性があります。また、当社グループは、土壌・地下水汚染、大気汚染、水質汚濁、廃棄物処理等各種の環境規制に服しています。これらの規制の動向等により、過去、現在および将来の当社グループの事業活動に関し、法的または社会的責任の観点から対応を行う場合は、業績に影響を与える可能性があります。

(14) 資金調達

当社グループは、金融機関から資金を調達しております。種々の借入条件を組み合わせることで、急激な金利変動に備えておりますが、金利が大幅に上昇した場合は金利負担が増加し、業績に影響を与える可能性があります。

(15) 法令・規制

当社グループは、事業活動を行うにあたって、各種の法令・規制に服しております。グループをあげてコンプライアンスの遵守に注力しておりますが、重大な法令違反があった場合には、業績に影響を与える可能性があります。

(16) 知的財産の保護

当社グループは、事業の優位性確保のため、新規開発技術の特許保護を重視する戦略をとっておりますが、開発した技術やノウハウの外部への流失や、知的財産権についての係争により、業績に影響を与える可能性があります。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

① 業績

当連結会計年度におけるわが国経済は、各種政策の効果により緩やかな持ち直しの動きが見られたものの、原燃料価格の上昇や急速な為替変動等もあり、依然として厳しい状況にありました。海外においても、ウクライナ情勢の長期化や金融資本市場の変動等による景気の下振れリスクに留意する必要があり、先行き不透明な状況が続きました。

化学工業におきましても、原燃料価格や物流費の上昇に加え、半導体・電子材料業界の生産調整の影響等もあり、引き続き厳しい事業環境にありました。

このような情勢下におきまして、当社グループは、基礎化学品事業、精密化学品事業および鉄系事業の収益力を強化するとともに、当社の強みであるフッ素関連技術を活かした新規製品の開発に取り組んでまいりました。

当期の売上高は、主に精密化学品事業部門が増収となったため、786億75百万円と前期に比べ163億88百万円、26.3%の増加となりました。損益につきましては、原燃料費や減価償却費は増加したものの、主に精密化学品事業部門の増収効果により、経常利益は、136億79百万円と前期に比べ25億34百万円、22.7%の増加となり、親会社株主に帰属する当期純利益は、93億82百万円と前期に比べ16億20百万円、20.9%の増加となりました。

 

なお、セグメント別の概況は、次のとおりであります。

 

ア.基礎化学品事業部門

(無機製品)

か性ソーダおよび塩酸は、販売数量は減少したものの価格修正効果により、前期に比べ増収となりました。

(有機製品)

トリクロールエチレンおよびパークロールエチレンは、販売数量は減少したものの価格修正効果により、前期に比べ増収となりました。

以上の結果、基礎化学品事業部門の売上高は、94億09百万円となり、前期に比べ14億42百万円、18.1%の増加となりました。営業損益につきましては、営業利益3億25百万円となりました(前期は営業損失69百万円)。

 

イ.精密化学品事業部門

(特殊ガス製品)

三フッ化窒素は、販売数量は減少したものの価格修正効果により、前期に比べ増収となりました。六フッ化タングステンおよびヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンは、販売数量の増加により、前期に比べ増収となりました。

(電池材料製品)

六フッ化リン酸リチウムは、価格修正効果により、前期に比べ増収となりました。

以上の結果、精密化学品事業部門の売上高は、639億43百万円となり、前期に比べ149億43百万円、30.5%の増加となりました。営業損益につきましては、営業利益114億50百万円となり、前期に比べ14億07百万円、14.0%の増加となりました。

 

ウ.鉄系事業部門

複写機・プリンターの現像剤用であるキャリヤーは、新規製品への切り替えが進んだため、前期に比べ増収となりました。鉄酸化物は、着色剤の販売減少により、前期に比べ減収となりました。

以上の結果、鉄系事業部門の売上高は、26億66百万円となり、前期に比べ86百万円、3.4%の増加となりました。営業損益につきましては、営業利益6億85百万円となり、前期に比べ1億45百万円、27.0%の増加となりました。

 

 

エ.商事事業部門

商事事業につきましては、化学工業薬品の販売減少により、前期に比べ減収となりました。

以上の結果、商事事業部門の売上高は、7億46百万円となり、前期に比べ91百万円、10.9%の減少となりました。営業損益につきましては、営業利益1億99百万円となり、前期に比べ4百万円、2.6%の増加となりました。

 

オ.設備事業部門

化学設備プラントおよび一般産業用プラント建設の売上高は、請負工事の増加により前期に比べ増収となりました。

以上の結果、設備事業部門の売上高は、19億08百万円となり、前期に比べ6百万円、0.4%の増加となりました。営業損益につきましては、営業利益6億02百万円となり、前期に比べ2億22百万円、58.7%の増加となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末(以下「前期末」という)に比べ43億85百万円減少し、219億87百万円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動により獲得した資金は、72億91百万円となりました(前年同期は111億76百万円の資金の獲得)。これは主に、税金等調整前当期純利益が134億25百万円、減価償却費が76億97百万円となったことにより増加した一方で、棚卸資産の増加額が105億55百万円、法人税等の支払額が41億06百万円、売上債権の増加額が34億79百万円となったことにより減少したものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動により使用した資金は、166億27百万円となりました(前年同期は111億20百万円の資金を使用)。これは主に、精密化学品事業の成長投資及び維持投資に伴う有形固定資産の取得によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動により獲得した資金は、44億24百万円となりました(前年同期は24億16百万円の資金の獲得)。これは主に、長期借入金の返済による支出が59億11百万円となった一方で、長期借入れによる収入が120億80百万円となったことによるものであります。なお、長期借入れによる収入につきましては、主に精密化学品事業の成長投資及び維持投資に使用予定であります。

 

 

③ 生産、受注及び販売の状況

ア.生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(百万円)

前年同期比(%)

基礎化学品事業

8,318

15.0

精密化学品事業

59,931

35.1

鉄系事業

2,698

△3.8

設備事業

4,743

15.1

合計

75,692

29.3

 

(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。

2.金額は、基本的に販売価格によっておりますが、設備事業の金額は、当連結会計年度の製造費用によっております。

 

イ.受注状況

当連結会計年度の設備事業の受注状況を示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

設備事業

2,181

1.4

1,460

28.0

合計

2,181

1.4

1,460

28.0

 

(注) セグメント間取引については、相殺消去しております。

 

ウ.販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

基礎化学品事業

9,409

18.1

精密化学品事業

63,943

30.5

鉄系事業

2,666

3.4

商事事業

746

△10.9

設備事業

1,908

0.4

合計

78,675

26.3

 

(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。

2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

三菱ケミカル株式会社

14,072

17.9

Samsung Electronics Co., Ltd.

12,144

19.5

14,035

17.8

キオクシア株式会社

7,888

10.0

 

(注) 前連結会計年度の三菱ケミカル株式会社およびキオクシア株式会社に対する販売実績は、当該販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10未満のため記載を省略しております。

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

文中における将来に関する記述は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

① 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成にあたっては、会計上の見積りを行う必要があり、特に以下の事項は、経営者の会計上の見積りの判断が財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼすと考えております。

(繰延税金資産)

当社グループは、繰延税金資産について、回収可能性の判断にあたり、現時点で入手可能な情報に基づいた将来の課税所得を見積り、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ課税所得が減少した場合、繰延税金資産が取り崩されて税金費用が増加する可能性があります。

(退職給付費用)

退職給付費用および債務の計算は、数理計算上で設定される前提条件に基づき算出されております。これらの前提条件には、割引率、利息費用、年金資産の長期期待運用収益率、死亡率などの要素が含まれております。実際の結果がこれらの前提条件と異なる場合、または前提条件が変更された場合、当社グループの退職給付費用および債務に影響を与える可能性があります。

 

② 財政状態の分析

当連結会計年度末の総資産は1,307億62百万円となり、前期末に比べ208億60百万円増加しました。

(流動資産)

流動資産は729億19百万円で、前期末に比べ112億14百万円増加しました。その主な要因は、現金及び預金が43億72百万円減少した一方で、棚卸資産が107億79百万円、受取手形、売掛金及び契約資産が36億39百万円増加したためであります。

(固定資産)

固定資産は578億42百万円で、前期末に比べ96億46百万円増加しました。その主な要因は、有形固定資産が91億82百万円増加したためであります。なお、有形固定資産の増加につきましては、主に精密化学品事業の成長投資及び維持投資によるものであります。

(流動負債)

流動負債は336億80百万円で、前期末に比べ64億14百万円増加しました。その主な要因は、流動負債のその他が31億94百万円、支払手形及び買掛金が15億52百万円増加したためであります。

(固定負債)

固定負債は283億08百万円で、前期末に比べ55億80百万円増加しました。その主な要因は、長期借入金が54億25百万円増加したためであります。受取手形割引高及び社債を含む有利子負債の残高 は377億94百万円となり、前期末に比べ68億82百万円の増加となりました。

(純資産)

純資産合計は687億74百万円となり、前期末に比べ88億65百万円増加しました。その主な要因は、利益剰余金が親会社株主に帰属する当期純利益により80億02百万円増加したためであります。

 

③ 経営成績の分析

当連結会計年度の売上高は786億75百万円となり、前期に比べ163億88百万円、26.3%の増加となりました。これは、主に当社が成長基盤事業と位置付けている精密化学品事業の価格修正効果によるものです。

なお、事業別の売上の概要につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①業績」に記載のとおりであります。

売上原価は、原材料価格の上昇等により136億86百万円増加しました。また、販売費及び一般管理費は減価償却費や環境整備費等が増加しました。以上の結果、営業利益は129億47百万円となり、前期に比べ17億82百万円、16.0%の増加となりました。

 

営業外収益は試作品売却益を計上したこと等により4億69百万円増加しております。また、営業外費用は試作品売却損が減少したこと等により2億81百万円減少しております。以上の結果、経常利益は136億79百万円となり、前期に比べ25億34百万円、22.7%の増加となりました。

特別利益は前期に投資有価証券売却益を計上したことにより1億31百万円減少しております。特別損失は固定資産除却損が増加したこと等により1億37百万円増加しております。以上の結果、税金等調整前当期純利益は134億25百万円となりました。法人税等および非支配株主に帰属する当期純利益を控除した親会社株主に帰属する当期純利益は93億82百万円となり、前期に比べ16億20百万円、20.9%の増加となりました。

 

④ 資本の財源および資金の流動性

ア.キャッシュ・フローの分析

当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

イ.資金需要

当社グループの主な資金需要は、設備投資、関係会社貸付金等の長期資金ならびに原材料の購入、製造費用、販売費及び一般管理費等の運転資金であります。

資金調達の方法及び状況ならびに資金の主要な使途を含む資金需要の動向につきましては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(2)中長期的な会社の経営戦略と対処すべき課題 ④ 財務戦略」に記載のとおりであります。

ウ.財務政策

長期資金については自己資金のほかに金融機関からの長期借入、短期資金については自己資金のほかに金融機関からの短期借入による調達を基本としております。また、運転資金の効率的な調達・安定性に配慮し、取引銀行との間でコミットメントライン契約を締結しております。

なお、当社グループは、事業活動に必要な資金を安定的に確保することを基本方針としており、財務状況や金融・経済情勢に応じて最適と判断した手段により資金を調達しております。

 

⑤ 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、2022年度を初年度とする第12次中期経営計画(3ヵ年)において、最終年度の連結経営指標について以下の数値目標を設定しております。

数値目標(最終年度の連結経営指標)

 

第12次中期経営計画

売上高

1,000億円

営業利益

150億円

自己資本比率

50%以上

ROE

12%以上

 

第12次中期経営計画の1年目にあたる当連結会計年度の売上高は786億75百万円、営業利益は129億47百万円となりました。なお、第12次中期経営計画の目標達成に向けた経営戦略と課題につきましては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)中長期的な会社の経営戦略と対処すべき課題」に記載のとおりであります。

 

5 【経営上の重要な契約等】

(1) 技術援助契約

契約会社名

相手先

契約締結年月日

契約内容

有効期間

関東電化工業株式会社

MEXICHEM FLUOR INC.

2023年1月19日

電池材料製造技術のライセンス契約

ロイヤリティ支払期間満了まで

 

 

 

6 【研究開発活動】

2022年4月から始まりました第12次中期経営計画におきましては、サステナブルな次世代事業の技術開発を方針に掲げ、当社独自の技術によるケミカルチェーンの創生、省エネルギー・高効率生産プロセス技術の開発、環境対応技術・リサイクル技術の開発強化を目標に設定して活動を実施しております。

2022年度の具体的な活動内容として、半導体・液晶製造用特殊ガスの開発に関しては、事業本部半導体材料開発部に製造-販売-開発を集約して顧客密着型の活動を行ってまいりました。電池材料に関しては、事業本部精密化学品開発部、総合開発センター水島開発室および水島工場技術開発部門が連携して製品・技術開発を実施してまいりました。鉄系材料の開発に関しては、精密化学品第1部と総合開発センター渋川開発室が連携して開発に努めてまいりました。基礎化学品事業分野の新規製品開発および有機機能材料製品の開発については、市場開発部が中心となり、自社技術を深耕した新製品の市場投入に向けた活動を行ってまいりました。次世代事業分野においては、テーマの探索活動および研究開発計画の立案から評価までの統括管理を開発企画部が遂行してまいりました。研究・知的財産部は、開発戦略に沿った特許権利網の構築に取り組んでまいりました。

この第12次中期経営計画実行期間にあたる当連結会計年度の研究開発投資額は、1,148百万円でありました。

 

次に、今後の研究開発活動の方向性を説明します。  

既存事業の強化を目的に、半導体・液晶製造用特殊ガスと電池材料については事業本部と連携することにより新製品開発のスピードアップを図っていきます。それと並行して、次世代事業創出のための基礎検討を推進します。具体的には半導体産業、エネルギー関係、医療および環境対応分野において、当社の優位性・独自性を活かした製品・技術開発を目指してまいります。

さらには、環境対応を意識したリサイクル技術の開発について、LCA(ライフサイクルアセスメント)の構築を目指し、環境に配慮した3R(Reduce、Reuse、Recycle)活動を加速してまいります。また、PFAS(ペルフルオロアルキル化合物およびポリフルオロアルキル化合物)に関連した法規制の動向に焦点をあてて情報収集に努めてまいります。

以下、各テーマにおける研究開発活動の概要を示します。

 

(1) 半導体・液晶製造用の特殊ガス

現在、半導体・液晶市場ではNF3(三フッ化窒素)、CF4(四フッ化炭素)、およびWF6(六フッ化タングステン)等の各種フッ素系特殊ガスが、シリコン基板表面に回路パターンを刻むエッチング用途、および製造装置内面のクリーニング用途に使用されています。当社は独自の技術によりこれらの特殊ガス製品を開発してまいりました。年々微細化が進む半導体分野においては、微細エッチング用のガスとして、C4F6(ヘキサフルオロ-1,3-ブタジエン)、COS(硫化カルボニル)やCH3F(モノフルオロメタン)等を開発し、市場に提供してまいりました。さらに、近年の3D化や地球温暖化防止に対応する新規ガスや、配線用途およびパワー半導体用途の新規材料開発にも注力しております。また、世界有数の製造能力と品質とを合わせもつ半導体・液晶用特殊ガスメーカーである当社では、顧客に密着したタイムリーな開発を促進するため、2017年に韓国に拠点を設置し、COS等の生産を開始しております。また、半導体材料評価設備を導入中であり、評価体制の構築を目指してまいります。

 

(2) 電池材料

リチウムイオン二次電池(LiB)業界では、今後の飛躍的な成長が期待される車載用等の大型電池分野をターゲットに更なる高容量化、長寿命化、難燃化等の研究が盛んに行われており、当社でもLiB用電解質LiPF6(六フッ化リン酸リチウム)の開発に成功し、1997年より製造販売を開始しました。また、LiPF6に続く新製品として、LiBF4(ホウフッ化リチウム)を2017年4月より市場に投入したことに続き、2022年4月にLiPO2F2(ジフルオロリン酸リチウム)の上市を行いました。現在、高性能電解液用の各種添加剤の開発、および次世代電池材料の探索を行っており、ラインナップ強化を図っていく計画です。

さらに、社内外の部門と連携して電池材料のリサイクル技術の開発にも着手しました。これらを手掛けることで電池材料事業の拡大を目指してまいります。

 

 

(3) 鉄系材料

当社では、導電性の鉄、フェライト、マグネタイト等のコア材表面に各種絶縁性樹脂をコーティングした現像剤用キャリヤーを複写機、プリンター等画像形成装置市場に提供しております。さらに、当社においてこれまでに培ってきた技術を活かした新規材料の開発、およびその用途開拓を推進することで鉄系事業の拡大を目指します。

 

(4) 基礎化学品

基礎化学品事業の収益力強化を目的に、新規製品の開発に着手しております。環境規制対象となっている既存製品の代替を目指し、鋭意検討を進めております。

 

(5) 有機機能性材料

当社が得意とするフッ素化技術をはじめ様々な有機合成技術を活用した展開を目的とした事業展開を進めております。将来の収益性を確保していくために自社原材料や技術を用いた当社独自の付加価値を加えた新製品開発を推進することで、事業拡大を目指してまいります。

 

(6) 次世代事業

当社の独自性を活かし、競合他社に対して優位性を発揮できる新規材料の創出と、当社の基盤技術から派生する新しい技術開発を推進しております。

さらに、新規コア事業の創出を目的に、半導体産業、エネルギー関係、環境対応製品および医療分野における当社の独自技術を活かした製品開発に長期的視点で取り組んでおります。

また、サステナブルな技術開発につながるテーマの探索を行う目的で、環境対応技術やリサイクル技術の開発に焦点を合わせて、自社内外部門との連携により推進して参ります。

 

(7) 研究開発の効率化

研究開発の効率化に関する施策は、以下の通りです。

新製品探索を強く推進していくため、社外の開発コンサルタントを導入することにより、当社の強みを引き出すとともに、かつ市場が求める製品を探し当てる目利き力の育成・強化を図っております。

自由な発想で独創的な開発テーマを行えるように、業務時間のうちの20%を自由な創造的開発活動の時間に充当した「20%ルール」の運用を継続しております。

AIによる材料設計プラットフォームを構築し、開発テーマへの展開や、計算ソフトによる分子設計や物性予測による開発支援を行っております。

また、昨今のコロナ禍において、顧客とのオンライン面談や、学会・セミナーへのオンライン参加を積極的に実施しております。

その他、社内外の開発リソースの効率的な運用による開発促進を目的に、大学など外部研究機関との共同開発も積極的に推進しております。