当期のわが国経済は、個人消費や住宅投資などが一進一退の動きとなったほか、輸出や生産も力強さを欠く状況が続き、景気は本格的な回復には至りませんでした。世界経済は、全体としては緩やかな回復基調となりましたが、中国やアジア新興国で景気が減速したほか、原油や資源価格の下落が資源国の景気に影響を及ぼすなど、不確実性が高まりました。
化学工業界におきましては、円安の継続やナフサ等の原材料価格の下落により、企業収益は概ね堅調となりました。
このような経済環境のもとで、当社グループは、国内外での拡販やコストの削減に努め業容の拡大と収益の確保に注力いたしましたが、連結売上高は3,698億53百万円と、原材料価格の下落に応じて石化関連製品の販売価格を見直ししたこともあり、前年同期に比べ141億25百万円(3.7%)の減収となりました。収益面では、円安による輸出製品の手取り増加や原燃料価格の下落による樹脂、加工製品の採算改善に加え、インフルエンザワクチンの増益やグループを挙げて取り組んだコスト総点検の成果などが収益拡大に寄与し、営業利益は306億34百万円(前年同期比65億87百万円増、27.4%増益)と過去最高益となり、売上高営業利益率は8.3%(2.0ポイント増)となりました。また、経常利益は270億22百万円(前年同期比27億35百万円増、11.3%増益)、親会社株主に帰属する当期純利益は194億72百万円(前年同期比4億51百万円増、2.4%増益)となり、それぞれ過去最高益を更新しました。
なお、当社では、平成28年5月11日付で、「インフラ・無機材料部門」の名称を「インフラ・ソーシャルソリューション部門」に変更いたしました。これにあわせ報告セグメント名称についても同日付で変更しておりますが、以下の営業概況説明では従来のセグメント名称で記載しております(新名称は括弧内に記載)。
セグメントの業績は、次の通りであります。
<エラストマー・機能樹脂>
クロロプレンゴムは、当社青海工場に加え、米国の子会社デンカパフォーマンスエラストマー社が11月1日より第2の生産拠点として事業を開始し、販売数量が増加し増収となりました。スチレンモノマーやABS樹脂、シンガポールの子会社デンカシンガポール社のポリスチレン樹脂等は、販売数量は順調に推移しましたが、原材料価格の下落に応じて販売価格を見直ししたため減収となりました。
この結果、当セグメントの売上高は、1,556億1百万円(前年同期比107億10百万円減(6.4%減))、営業利益は110億25百万円(前年同期比66億9百万円増(149.7%増))となりました。
<インフラ・無機材料>(インフラ・ソーシャルソリューション)
特殊混和材は販売数量が増加し増収となり、肥料などのアグリプロダクツ製品の販売も前年を上回りましたが、セメントや耐火物、鉄鋼用材料の販売は前年を下回りました。
この結果、当セグメントの売上高は、490億98百万円(前年同期比13億2百万円増(2.7%増))、営業利益は9億3百万円(前年同期比17億84百万円減(66.4%減))となりました。
<電子・先端プロダクツ>
LED用サイアロン蛍光体“アロンブライト”は販売数量が増加し増収となりましたが、電子部品・半導体の搬送用部材である“デンカサーモフィルムALS”等の機能フィルムや、電子回路基板および高信頼性放熱プレート“アルシンク”は、販売数量が減少し減収となりました。また、半導体封止材向け球状溶融シリカフィラーの販売も前年を下回りました。
この結果、当セグメントの売上高は、456億92百万円(前年同期比26億40百万円減(5.5%減))、営業利益は60億50百万円(前年同期比3億60百万円減(5.6%減))となりました。
<生活・環境プロダクツ>
医薬品は、子会社デンカ生研株式会社のインフルエンザワクチンが増収となりました。
加工製品では、合繊かつら用原糸“トヨカロン”や耐候性フッ素系アロイフィルム“DXフィルム”は、販売数量が増加し増収となり、食品包材用シートや子会社デンカポリマー株式会社の加工品の販売も堅調に推移しましたが、プラスチック雨どいや農業・土木用途向けのコルゲート管、工業用テープの販売は前年を下回りました。
この結果、当セグメントの売上高は、793億94百万円(前年同期比7億88百万円減(1.0%減))、営業利益は114億52百万円(前年同期比22億77百万円増(24.8%増))となりました。
<その他>
株式会社アクロス商事等の商社は取扱高が前年を下回りました。また、デンカエンジニアリング株式会社は完成
工事高が増加しました。
この結果、売上高は、400億65百万円(前年同期比12億88百万円減(3.1%減)、営業利益は11億44百万円(前年同期比1億51百万円減(11.7%減))となりました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、118億13百万円となり、前連結会計年度末と比べ26億55百万円
の増加となりました。なお、当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況は以下のとおりです。
営業活動によるキャッシュ・フローは、運転資金が改善したことなどにより、前年同期比84億56百万円収入増の
440億14百万円の収入になりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、設備投資の支払いは減少しましたが、新成長戦略に従って米国のクロロ
プレンゴム事業の譲受や独バイオ医薬品研究開発企業の株式取得による支払いがあったため、前年同期比75億29百
万円支出増の349億79百万円の支出となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、自己株式取得の支払いは15年度分の取得を一部年度内に前倒しで実施し
たことにより増加しましたが、国際協力銀行の海外M&A支援融資制度による調達を行ったことから、前年同期並
の73億48百万円の支出となりました。
なお、キャッシュ・フロー指標のトレンドは以下のとおりです。
| 平成24年3月 | 平成25年3月 | 平成26年3月 | 平成27年3月 | 平成28年3月 |
自己資本比率(%) | 42.3 | 43.1 | 43.5 | 46.9 | 47.7 |
時価ベースの自己資本比率(%) | 39.6 | 38.2 | 38.2 | 48.7 | 46.7 |
債務償還年数(年) | 4.1 | 2.8 | 4.4 | 3.4 | 2.8 |
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍) | 20.7 | 34.0 | 27.0 | 36.5 | 51.3 |
自己資本比率………………………………自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率………………株式時価総額/総資産
債務償還年数………………………………有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ……営業キャッシュ・フロー/利息支払額
(注) 1.いずれの指標も連結ベースの財務数値により算出しております。
2.株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。
3.有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。
当社グループの生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様ではなく、また受注生産形態をとらない製品がほとんどであるため、セグメントごとに生産規模および受注規模を金額あるいは数量で示すことは行っておりません。
このため「生産、受注及び販売の状況」については、「1.業績等の概要」におけるセグメントの業績に関連付けて記載しております。
(対処すべき課題)
当社は、昨年、創立100周年という大きな節目を迎えたことを機に、社名を「デンカ株式会社」に変更し、グロー
バル企業としての更なる成長と、次の100年に向けての「新たな創業」の第一歩を踏み出しました。
また、昨年度は、経営計画「Denka100」の3つの新成長戦略に沿った多くの具体的施策を、引き続き着実に実行
に移してまいりました。
「生産体制の最適化」では、ベトナムに“ビニテープ”と“カバーテープ”、中国・大連に“アルシンク”の新
工場をそれぞれ立ち上げたほか、特殊混和材事業では、東南アジア地域での展開を加速するため、マレーシアの建
設資材メーカーを子会社化いたしました。また、クロロプレンゴム事業では、米DuPont社より事業を譲り受け、日
米2拠点の生産体制といたしました。今後はこれを足がかりに、米国での当社全体のプレゼンス向上を目指してま
いります。
「徹底したコストの総点検」については、各事業所での地道な取組みの積み重ねにより、着実に成果が上がって
おります。特に、千葉工場においては、コンビナートにおける蒸気や電力の供給体制の最適化を図ることにより、
大幅な競争力の強化を実現いたしました。
「成長分野への資源集中と次世代製品開発」では、ドイツのバイオ医薬品研究開発企業であるIcon社を子会社化
することにより、ワクチンの新製法技術、検査試薬に用いる抗体製造技術を獲得いたしました。また、がん治療ウ
イルス製剤の実用化に向けた大量生産法の開発に着手したほか、遺伝子変異解析システムを用いた、がん治療法情
報提供事業の構築に向けた調査も進めております。さらに、当社の主要子会社であるデンカ生研では、ワクチン事
業の強化・拡大を図るべく皮内投与型インフルエンザワクチンの事業化に向けた臨床試験を開始したほか、新潟県
五泉市の鏡田工場において、かねてより建設中でありました新製造棟が竣工いたしました。これにより、新潟工場
ではワクチン、鏡田工場では検査試薬の一貫生産体制を構築いたしました。このように、将来大きく成長が見込ま
れております「健康」分野に対しては、今後も積極的な取組みを行ってまいります。
当社は、このたび、創立101周年を迎え、次の100年に向けデンカグループの企業活動の根幹をなす企業理念
“ The Denka Value ”を下記の通り刷新することといたしました。
デンカグループは、これからも社会からの期待と信頼に応えてまいります。
◇The Denka Value(企業理念)
The Denka Value(企業理念)は、最上位としての「Denkaの使命(Denka Mission)」と、グループ社員一人ひ
とりが行動する上での規範となる「Denkaの行動指針(Denka Principles)」から構成されます。
・Denkaの使命(Denka Mission)
化学の未知なる可能性に挑戦し、新たな価値を創造(つくる)ことで、社会発展に |
*コーポレートスローガン:「できるをつくる。」「Possibility of Chemistry.」
・Denkaの行動指針(Denka Principles)
わたしたちは、 |

経営計画「Denka100」の概要
3つの新成長戦略 |
|
数値目標 |
|
※文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであり、その達成を保証するものではありません。
(株式会社の支配に関する基本方針)
Ⅰ.基本方針の内容
当社は、石灰石資源と自家発電所を基盤としたカーバイドと化学肥料の生産を出発点として1915年(大正4年)に創業し、カーバイド化学により培った電炉技術・高温反応制御技術・有機合成技術などを基に無機化学から有機化学、さらには電子材料、樹脂加工や医薬等まで非常に幅広い事業領域を有するユニークな化学メーカーとして成長してまいりました。
このような歴史を有する当社事業は、原材料から最終製品に至るまでの工程が非常に長い製品や、多様な領域の自社技術を複合的に活用した製品が多いことを特徴としております。
また、これらの事業は、地道な研究開発や保安活動、長期的な視点に基づく設備投資や人材育成、取引先や地域社会との信頼関係などの長年にわたる努力の積み重ねの上に成立しています。換言すれば、多様な技術とそれを複合的に活用できる知識と経験を有する人材が当社の企業価値の源泉であり、脈々と受け継いできた経営資源や信頼関係が企業価値を支える基盤であると当社は認識しています。
グローバル化、情報化の進む昨今においては、経営環境の変化は早く、市場におけるニーズや経済構造の変化を見逃せば、立ちどころに事業基盤を失う時代になっております。わが国においても、企業の成長戦略としてM&A(企業の合併・買収)・業務提携が多用されるようになってきておりますが、当社取締役会もこのような市場原理に基づくダイナミズムの活用が社会および当社を含む企業の持続的成長と中長期的な企業価値の向上を図る一手段として重要なものであると認識しております。
また、当社は株式を上場している企業として、多様な価値観を有する株主の存在を認めており、大量買付けを含む当社の支配権の異動については株主の皆様が最終的な判断を下すべきものであると考えております。しかしながら、現実におこなわれてきた大量買付けの中には、対象となる会社の企業価値や株主共同の利益を毀損するおそれのあるものや、これに応じるか否かを判断するために十分な情報と時間が提供されないものなどがあり、すべての大量買付けを無条件に認めることは株主の皆様の付託を受けている経営者として、責任を全うしているとは言いがたいものと考えております。
当社取締役会は、当社の財務および事業の方針を支配する者は、当社の企業価値の源泉を十分に理解し、中長期的な視点に立って、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を継続的かつ持続的に確保、向上していく者である必要があると考えており、下記の項目に該当するような当社株式の大量買付け等に原則として反対することを表明いたします。
また、当社株式の大量買付け等が下記の項目に当てはまるか否かを当社または株主が判断するに足る十分な情報と時間を提供しないような場合にも、当社取締役会はそのような大量買付け等に原則として反対の立場をとることといたします。
このような要件に該当する当社株式の大量買付けがおこなわれようとした場合、当社取締役会は、当社の企業価値ひいては株主共同の利益が侵害されるのを防止するため、また、株主の皆様それぞれが納得のいく判断を下すことが可能となる環境を確保するため、法令、金融商品取引所等の諸規則および当社定款の定めが認める範囲内において必要かつ相当な対抗策を講じることを検討してまいります。当社取締役会は、当社株式の大量買付け等について日常的にチェック活動をおこない、株主共同の利益や企業価値を損なうことがないよう、機動的に対応していく所存です。
記
①下記に掲げる行為等により、当社の企業価値ひいては株主共同の利益に対する明白な侵害をもたらすおそれのある買付け等である場合
(ⅰ)株券等を買い占め、その株式等について当社または当社の関係者に対して高値で買取りを要求する行為
(ⅱ)当社の経営を一時的に支配して、当社の重要な資産等を廉価に取得する等当社の犠牲のもとに買付け者等の利益を実現する経営をおこなうような行為
(ⅲ)当社の資産を買付け者等やそのグループ会社等の債務の担保や弁済原資として流用する行為
(ⅳ)当社の経営を一時的に支配して、当社の事業に当面関係していない高額資産等を処分させ、その処分利益をもって、一時的な高配当をさせるか、一時的高配当による株価の急上昇の機会をねらって高値で売り抜ける行為
②強圧的二段階買付け(最初の買付けで全株式の買付けを勧誘することなく、二段階目の買付け条件を不利に設定し、あるいは明確にしないで、公開買付け等の株式買付けをおこなうことをいう。)等株主に株式の売却を事実上強要するおそれのある買付け等である場合
③当社取締役会に、当該買付け等に対する代替案を提示するために合理的に必要な期間を与えない買付け等である場合
④当社株主に対して、必要情報その他買付け等の内容を判断するために合理的に必要とされる情報を十分に提供しない買付け等である場合
⑤買付け等の条件(対価の価額・種類、買付け等の時期、買付け等の方法の適法性、買付け等の実行の蓋然性、買付け等の後の経営方針または事業計画等を含む。)が当社の本源的価値に鑑み不十分または不適当な買付け等である場合
⑥当社の企業価値を生み出すうえで必要不可欠な当社の従業員、取引先等との関係や当社のブランド力を損なうこと等により、当社の企業価値ひいては株主共同の利益に反する重大なおそれをもたらす買付け等である場合
⑦買付け者等の経営者または主要株主に反社会的勢力と関係を有する者が含まれている場合等、公序良俗の観点から買付け者等が当社の支配権を取得することが不適切である場合
Ⅱ.基本方針の実現に資する特別な取組みの概要
イ.基本的方針の実現に資する特別な取組み
当社は、持続的な成長と企業価値の向上を図るため、経営計画「Denka100」を推進しています。2013年(平成25年)4月からその戦略を見直しいたしました。目標年度を2017年(平成29年)として、業績の数値目標を達成するために「3つの新成長戦略」を設定し、それに基づいた多くの具体的施策を「攻め」の姿勢で積極的に実行してまいりました。
[3つの新成長戦略]
①生産体制の最適化
②徹底したコストの総点検
③成長分野への資源集中と次世代製品開発
[数値目標/2017年度]
連結営業利益 600億円以上
営業利益率 10%以上
海外売上高比率 50%以上
2014年(平成26年)には、同計画の最終成果である収益について、株主様への配分を定めた「株主還元方針」を策定するとともに、さらなる成長に向けて、M&Aなどの戦略投資の財源を明確化しております。
また、同計画達成のための経営体制を強化するとともに、ガバナンス体制を拡充して、経営の透明性と健全性をさらに向上させるため、社外取締役の増員(2名から3名に増員)および取締役会の人数の減員(取締役の定員を2名減員)を含めた新体制を第156回定時株主総会で決議いたしました。これにより、「守り」と「攻め」を兼ね備えた経営体制の強化を図ってまいります。
さらに、2015年(平成27年)の創立100周年を機に、全社員が心を一つにして同計画の達成に挑戦して行く決意を表すものとして、コーポレートロゴの一新およびコーポレートスローガンと社員の行動指針の制定をおこない、10月1日からの商号(社名)変更を第156回定時株主総会で決議いたしました。
ロ.基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務および事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組み
当社は、基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務および事業の方針を支配されることを防止するための取組みとして、過去、当社株式の大量取得行為に関する対応策(いわゆる事前警告型敵対的買収防衛策、以下「本プラン」という。)を導入した経緯がありますが、本プランの有効期限の終了をもって本プランを継続しないことを決議しております。
今後とも基本方針を遵守することで企業価値の向上と株主共同の利益の確保に努めてまいります。
Ⅲ.取締役会の判断およびその判断に係る理由
当社取締役会は、上記Ⅱ.イに記載した取組みは、中長期的な視点に立って、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を向上させることを目的として実施するものであり、当社の基本方針実現に資するものであると考えております。そして、これらの取組みは、株主の共同の利益に合致したものであり当社役員の地位の維持を目的としたものではありません。
当社グループの経営成績及び財務状況などに重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、次のようなものがあり
ます。但し、ここに記載した事項は、当社グループに関する全てのリスクを網羅したものではありません。
当社グループの経営成績は、自動車や電子部品、鉄鋼産業などの需要動向により影響を受けるほか、原油や基礎
石油化学製品などの原燃料市況ならびに為替の影響を受ける可能性があります。
当社グループは、顧客の信頼を第一に考え、安心して使用できる製品の提供に万全の対策を講じておりますが、
製造やサービスの提供は高度かつ複雑な技術の集積であり、また原材料の外部調達もあることなどから品質保証の
管理は複雑化しております。当社グループの製品やサービスに予期せぬ品質問題が発生した場合は当社グループの
業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
有利子負債につきましては、当連結会計年度末において1,245億96百万円(借入金依存度28.1%)であります。当
社グループでは、今後有利子負債の削減に努めてまいりますが、将来の金利変動により当社グループの業績と財務
状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
退職給付費用及び債務は、割引率等数理計算上で設定される前提条件や年金資産の期待収益率に基づいて算出さ
れておりますが、実際の結果が前提条件と異なる場合、または前提条件が変更された場合、費用及び計上される債
務に影響を及ぼします。近年の割引率の低下及び年金資産運用の悪化により当社グループの年金費用は増加してき
ておりますが、一層の割引率の低下や運用利回りの悪化は当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性
があります。
保有有価証券の市況変動につきましては、主に取引先との関係構築・維持のための政策上の投資として株式を保
有しておりますが、株式相場の大幅な下落または株式保有先の財政状態の悪化や倒産等により株式の評価が著しく
下落し、回復の可能性が望めない場合には、株式の減損処理及び評価損の発生により、当社グループの業績と財務
状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
繰延税金資産の回収可能性につきましては、将来の課税所得を合理的に見積り回収可能性を判断し繰延税金資産
を計上しておりますが、実際の課税所得が見積りと異なり回収可能性の見直しが必要となった場合、もしくは税率
の変更を含む税制の改正等があった場合には、繰延税金資産の取崩しが必要となり、当社グループの業績と財務状
況に悪影響を及ぼす可能性があります。
訴訟等につきましては、当社グループ倫理規定をはじめ各種社内規定に基づき、国内外の法令遵守はもちろんの
こと、当社グループの社会における信頼を維持・確保することに努めておりますが、広範な事業活動を行う中で訴
訟やその他の法律的手続きの対象となり、重要な訴訟等の提起を受けた場合には、当社グループの業績と財務状況
に悪影響を及ぼす可能性があります。
その他、国内外の経済・政治情勢、技術革新、産業事故、環境汚染および地震をはじめ、気候変動による異常気象や天候不順、自然災害等が、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
技術援助契約の概要
契約会社名 | 契約締結先 | 内容 | 対価 | 契約期間 | 契約年 |
デンカ㈱ (当社) | 独立行政法人物質・材料研究機構 (日本) | サイアロン蛍光体基本技術 | 実施料 | 平成16年9月1日~ 特許消滅日まで | 平成16年 |
デンカ㈱ (当社) | 独立行政法人物質・材料研究機構 (日本) | 赤色蛍光体およびそれを用いる発光デバイスに関わる特許の実施許諾 | 頭金 他に実施料 | 平成22年10月7日~ 特許消滅日まで | 平成24年 |
デンカ㈱ (当社) | 日亜化学工業㈱ (日本) | 赤色蛍光体およびそれを用いる発光デバイスに関わる特許の実施許諾 | 頭金 他に実施料 | 平成24年4月10日~ 特許消滅日まで | 平成24年 |
デンカ生研㈱ (連結子会社) | メディミューン (アメリカ) | ワクチン製造に用いるウイルス株の調整方法であるリバースジェネティスク法技術 | 頭金 他に実施料 | 平成21年9月20日開始 | 平成21年 |
デナールシラン㈱ (連結子会社) | 独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO) (日本) | トリクロルシラン製造技術 | 実施料 | 平成25年1月1日~ 平成29年12月31日 | 平成24年 |
デナールシラン㈱ (連結子会社) | エア・リキード (フランス) | モノシランガス取り扱いに関するノウハウ | 実施料 | 昭和63年4月1日~ 平成20年12月31日 以後1年ごとの自動更新 | 昭和63年 |
当社グループは、保有している固有のコア、基盤技術の深耕により既存事業を核とした環境、エネルギー、インフラ、健康市場など成長性のある周辺技術分野の高機能製品群の開発を進めるとともに、次世代新製品開発に取り組んでおります。
研究開発方針としてチャレンジ&オープンイノベーションを掲げ、2014年にオープンしたデンカイノベーションセンター本館を中核として、従来から進めてきたNIMS-DENKA次世代材料研究センターや、山形大学との包括共同研究をはじめ、多くの国内外産学官との連携、共同研究を進めており、引き続き積極的な外部連携強化を推進致します。
これらの研究開発、製品化をさらに加速するため、「研究推進部」と「新事業開発部」が緊密に連携し、社内外のオープンイノベーションを戦略的、効率的且つ、スピーディーに進めます。事業部門との連携をこれまで以上に強化し、市場の動向を直視し、次世代のニーズを確実に吸い上げ迅速に対応することで、早期の実需化につなげたいと考えております。
当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は117億87百万円、研究要員は755名であり、当連結会計年度に国内で出願された特許は137件、国内で登録された特許(実用新案を含む)は172件となりました。
当連結会計年度における各セグメント別の研究の目的、主要課題、研究成果および研究開発費は次のとおりであります。
(1) エラストマー・機能樹脂
透明樹脂、耐熱樹脂、シュリンクラベル用樹脂など特長あるスチレン系機能性樹脂分野では、生産技術の深耕、品質向上、新規用途展開並びに新高機能製品の開発を推し進め、シンガポール子会社の製造能力増強もそれらの拡販に寄与しております。またクロロプレンゴム、ERゴム、アセチレンブラック等の分野でも、海外市場を含めた事業拡大のために生産技術の強化を進めるとともに、特にクロロプレンゴムは世界トップシェア維持を確実なものとすべく従来の用途展開に加え、米国デュポン社よりクロロプレン事業を譲り受けたデンカパフォーマンスエラストマー(DPE)社のスタートを契機に北南米市場開拓強化を進めております。さらに、新用途開拓のために、新しい重合技術やポリマーアロイ技術を駆使した新グレード開発にチャレンジし、アセチレンブラックはリチウムイオン二次電池分野でのシェアアップの一環で、昨年8月商業運転を開始した千葉工場で超高純度かつ高機能品の拡充に取り組んでいます。
また本事業分野に関連して山形大学や上海交通大学、シンガポール国立研究機関など、国内外の研究機関と連携した多数の共同研究を進めており、新規事業創出を図っております。また当セグメントに係わる研究開発費は28億66百万円でした。
(2) インフラ・無機材料(インフラ・ソーシャルソリューション)
セメント・特殊混和材系分野では、長い歴史の中で培われた高温焼成反応などを駆使した粉体合成技術と構造解析、特性評価技術を基盤に、セメント・コンクリートの欠点を補い高い性能、機能を付与する製品開発に加えて、震災復興対応も含めた地盤改良用途や二酸化炭素排出量を削減する環境負荷低減技術などの環境対応製品の上市、さらなる技術開発も積極的に行っております。また昨今要求が高まっている社会資本などのメンテナンスに関する評価・対応技術など、単に材料だけでなく診断ソリューションの提供に踏み込んだ研究開発を進めております。
肥料・無機製品分野では、今後欧州の排ガス規制強化などによる需要増が期待されるアルミナ繊維の生産技術の高度化と自動車用途などの展開を目指した高機能、高性能製品開発に注力するとともに、大学・公的研究機関と連携した新肥料や新規農法の開発など、事業体質強化に向けた研究開発に注力しております。当セグメントに係わる研究開発費は15億92百万円でした。
(3) 電子・先端プロダクツ
電子部材分野では、市場の伸びが期待されるパワーモジュール、LED向けなどの回路基板や放熱材料について、当社固有のセラミックス技術や有機・無機ハイブリッド放熱材料技術をさらに進化させ、市場に対しトータル・サーマル・ソリューションを提案すべく各種高機能材料、製品開発研究を産学官とも連携し、推し進めています。さらに、接着剤関係ではハードロックSGA(高機能構造用接着剤)は積極的な海外展開を含め、新グレード、新用途開発をはじめ紫外線硬化型接着剤技術を応用した特殊高機能性接着剤の新製品開発や市場開拓を推進しております。さらに各種電子部品、製品製造プロセスの著しい生産性向上を可能にする仮固定接着剤テンプロックやソーラーロックが急速な立ち上がりを見せつつある中、更なる拡販に向けた加工技術の開発、有機ELなど新規市場へ向けたソリューション提案にも注力しています。
電子包材分野では、当社が有する樹脂素材開発技術、無機・有機複合材料設計技術に加え、シートやフィルムの各種先端加工技術を活かし、電子部品搬送テープ、半導体ウェハやパッケージの保護・仮固定用粘着テープなど、市場における最先端ニーズに呼応した新規製品をタイムリーに市場に供給すべく開発を進めております。
機能性セラミックス分野では、半導体封止材用球状シリカで更なる高性能化を追求するとともに、LED向け蛍光体の特性向上や新規用途開発、放熱材料用途に加え化粧品用途への展開が進むBN粉、放熱材料や半導体封止用途向け球状アルミナをはじめとしたナノフィラーをはじめとする機能性粉体群の開発に取り組んでいます。当セグメントに係わる研究開発費は34億9百万円でした。
(4) 生活・環境プロダクツ
包装資材、建材、産業資材分野の樹脂加工製品では、太陽光発電や太陽電池向け耐候性フィルムや黒人女性の頭髪用の付け毛用合成繊維などの製品群開発を引き続き推進いたします。また、コーポレート研究所であるポリマー・加工技術研究所を中核としたシート・フィルムの製膜技術、ラミネーション技術、精密塗工技術など各種加工技術の高度化など、当社グループ全体のポリマー・加工技術の新たな研究開発を加速するとともに、自社素材の活用を含めて関連グループ会社との連携を強化することで、多岐に渡る当社グループの樹脂加工製品の新規用途展開並びにそれらに適合した特性改善、新製品開発を積極的に進め、更なる事業拡大を図っております。
医薬品関連分野では、デンカイノベーションセンターのライフイノベーション研究所を中心に、当社独自の培養精製技術により開発した高分子ヒアルロン酸の「膝関節機能改善剤」のシェア拡大、新用途開発、開拓や、新たな医薬品開発の為の基礎研究として植物遺伝子組み換え技術を用いて抗体やワクチン抗原を産出するアイコン社の技術を用い、新たなワクチン・検査試薬の開発にも注力するなど医薬品関連分野における新しい価値を創造し、新事業創出を進めてまいります。
デンカ生研㈱では、安全かつ有効な高品質ワクチンの開発および社会的損失が大きい感染症の検査に必要な細菌検査試薬やウィルス検査試薬、健康管理に欠かせない臨床生化学検査試薬や免疫検査試薬の新技術、新製品開発を推進しています。また、がんのウィルス療法という新しい分野を開拓する画期的な治療薬として期待されているウィルス製剤G47Δの実用化へ向けた大量生産法の開発に着手しています。
デンカグループ全体の当セグメントに係わる研究開発費は38億89百万円でした。
(5) その他
産業設備の設計・施工等を行なっているデンカエンジニアリング㈱が、効率的な粉体の空気輸送設備の技術開発や廃水設備等の研究開発をおこなっている他、各事業所に設置している生産技術室を中心に、研究段階から事業化を見据えたプロセス設計、開発の充実を図っています。その他事業に係わる研究開発費は29百万円でした。
文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(平成28年6月22日)現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に準拠して作成されております。連結財務諸表の作成にあたっては、重要な会計方針と合理的と考えられる見積りに基づき、収益、費用、資産、負債の計上について判断しております。
当社グループの連結財務諸表の作成においては、例えば一般債権に対する貸倒引当金の引当については主として過去の貸倒実績率を、繰延税金資産の計上については将来の税務計画を、退職給付債務については、昇給率、割引率などを使用して見積っておりますが、見積りにつきましては不確実性があるため、実際の結果と異なる場合があります。
(2) 財政状態
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ17億4百万円減少の4,438億64百万円となりました。流動資産は、売上債権の減少などにより前連結会計年度末に比べ86億21百万円減少の1,618億76百万円となりました。固定資産は、ドイツのバイオ医薬品研究開発企業であるIcon Genetics GmbHの買収に伴うのれんの増加などにより前連結会計年度末に比べ69億17百万円増加の2,819億88百万円となりました。
負債は、仕入債務の減少などにより前連結会計年度末に比べ69億77百万円減少の2,277億93百万円となりました。
非支配株主持分を含めた純資産は前連結会計年度末に比べ52億73百万円増加して2,160億71百万円となりました。
以上の結果、自己資本比率は前連結会計年度末の46.9%から47.7%となり、1株当たり純資産は455円94銭から473円35銭となりました。
(3) 経営成績
当連結会計年度の経営成績およびキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 1.業績等の概要」の「(1)業績」および「(2)キャッシュ・フロー」に記載のとおりです。
(4) 今後の見通し
今後の見通しにつきましては、わが国経済は、円高や海外景気の下振れによる影響などの懸念材料はあるもの
の、各種経済政策の効果もあり、緩やかな回復に向かうことが予想されます。世界経済は、米国、欧州では緩やか
な景気回復が期待される一方、アジアでは中国経済の景気減速の影響が引き続き予想され、先行きは不透明な状況
です。
このような経営環境のもと、当社グループは引き続き「Denka100」の新成長戦略である「生産体制の最適化」
「徹底したコストの総点検」「成長分野への資源集中と次世代製品開発」に従い、将来に向けた多くの具体的施策を実行に移しており、早期に確かな実績へと結びつけてまいります。