第2 【事業の状況】

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(経営方針、経営環境及び対処すべき課題)

当社は、企業理念“ The Denka Value ”を実現すべく、2018度より5ヵ年の経営計画「Denka Value-Up」をスタートさせました。

初年度にあたる2018年度は、「Denka Value-Up」で定めた3つの成長ビジョンである「スペシャリティーの融合体」「持続的成長」「健全な成長」と、2つの成長戦略である「事業ポートフォリオの変革」「革新的プロセスの導入」に則った施策を着実に実行してまいりました。

具体的な取組みとして、まず、重点分野の一つである「ヘルスケア」分野では、主要グループ会社であるデンカ生研株式会社において、インフルエンザワクチンの製造設備を現在の供給能力の2倍に増強することを決定したほか、インフルエンザウイルスの迅速検査キット「クイックナビ™-Flu2」専用のデンシトメトリー(光学密度測定)分析装置「クイックナビリーダー™」を、2018年10月に新発売いたしました。今後も、デンカグループは、予防・診断・治療それぞれの領域で先進的な技術を展開し、世界の人々のQOL(Quality of life)向上に貢献してまいります。
また、「環境・エネルギー」分野では、自動車業界の電動化に伴う放熱材料のグローバルな需要拡大に迅速に対応すべく、大牟田工場とシンガポールに総額80億円を投じて、セラミックス基板および球状アルミナの生産能力を増強する決定をいたしました。これにより、世界中で普及が進む電気自動車などの環境対応車を中心とした放熱材料市場を強力に牽引してまいります。

一方、世界情勢に目を向けますと、米中貿易摩擦の激化やBREXITに代表される保護主義の高まり等に加え、自然災害の常態化により、まさに激動の時代を迎えております。昨日まで常識であったことが、今日、突然非常識となる世の中にあって、持続的に成長するためには、グローバルなメガトレンドを的確に捉え、経営計画「Denka Value-Up」を強力に推進していく必要があります。

そのために、次の二つの「変革」を断行することとしました。

第一の「変革」は、2020年4月1日付で実施することを決定したデンカグループの二つの再編です。一つ目の再編は、デンカ生研株式会社とデンカを合併し、ヘルスケア事業を統合いたします。デンカ生研は、長年にわたりデンカグループの同事業の中核を担ってまいりました。同事業をデンカグループのコア事業として経営を完全に統合することで、ガバナンスの強化、迅速な意思決定、組織面での強化を実現し、同事業の一層の発展を図ります。二つ目の再編は、ともにグループ商社である株式会社アクロス商事と株式会社YKイノアスの統合です。この統合により、両社が保有する経営資源の有効活用と販売面でのシナジーの最大化をグローバルに実現し、一層存在感のある化学系商社へと発展することを期待しております。

第二の「変革」は、「Denka Value-Up」達成に不可欠であるスペシャリティー人財確保を目的とした、人事面での改革の実行です。職群制度や人事評価制度の見直しに加えて、人財育成プログラムの充実化やダイバーシティの推進等を通じて、デンカグループの多様な人財が存分に能力を発揮し、会社とともに成長できる環境を整備してまいります。

今後とも、ステークホルダーのみなさまから信頼され、成長し続けるためには、「安全最優先」「環境への配慮」「品質の確保」「人財の育成、活用」「社会貢献」「コーポレート・ガバナンス」といった、「ESG」の視点を重視した経営が基盤であるとの認識のもと、スペシャリティー企業を目指して邁進いたします。そしてこれらの取組みが、企業理念“ The Denka Value ”の実現、さらには国連のSDGsが掲げる目標の達成につながるものと考えております。
 

 

 

◇The Denka Value(企業理念)

The Denka Value(企業理念)は、最上位としての「Denkaの使命(Denka Mission)」と、グループ社員一人ひ
とりが行動する上での規範となる「Denkaの行動指針(Denka Principles)」から構成されます。

The Denka Valueは経営企画を含むすべての企業活動の上位概念であり、当社は、このThe Denka Valueを実践することで、社会からの期待と信頼に応えることを目指しております。

 

・Denkaの使命(Denka Mission)

 

化学の未知なる可能性に挑戦し、新たな価値を創造(つくる)ことで、社会発展に
貢献する企業となる。

 

  *コーポレートスローガン:「できるをつくる。」「Possibility of Chemistry.」

 

   ・Denkaの行動指針(Denka Principles)

 

わたしたちは、
一、「誠意」と「チャレンジ精神」で、果敢に難題に挑みます
一、「未来」に向け、今何をすべきかを考え、行動します
一、「創造」溢れるモノづくりを通して、お客様へ新たな価値と感動を届けます
一、「環境」に配慮し、「安全」優先の明るい職場をつくります
一、「信頼」される企業としての誇りを持ち、より良い社会作りに貢献します

 


 

 

(ご参考)
新経営計画「Denka Value-Up」 ~Specialty-Fusion Companyを目指して~
 
 2017年11月、デンカは2018年度から2022年度までの5ヵ年の新経営計画「Denka Value-Up」を策定いたしました。
 前経営計画「Denka100」では、「生産体制の最適化」「徹底したコストの総点検」「成長ドライバーへの集中と次世代製品開発」の3つの成長戦略を立て、重点分野である「健康、環境・エネルギー、インフラ」を中心に、計画前と比べて着実に成長への種まきとして積極的な投資を行い、個々の事業の収益力向上の基盤固めを進めてきました。
 新経営計画「Denka Value-Up」では、企業の成長持続に必要不可欠な「安全最優先」「環境への配慮」「人財の育成・活用」「社会貢献」を基本精神に掲げ、グローバルで飛躍的な成長を遂げるための新たな成長戦略により、当社が「スペシャリティーの融合体“Specialty-Fusion Company”」となり、持続的且つ健全な成長を目指します。
 
新経営計画「Denka Value-Up」の概要
1.成長ビジョン
(1)世界に存在感を示すスペシャリティーの融合体“Specialty-Fusion Company”となる。
 グローバルマーケットで卓越した競争力を有する、スペシャリティーな事業・製品・技術・人財が融合した企業を目指す。
(2)革新的プロセスによる飛躍的な生産性向上で持続的成長“Sustained Growth”を目指す。
 IoT/AIなどの最先端デジタル技術や業務の本質追求による革新的プロセスで、飛躍的な生産性向上を図り、いかなる外部環境であっても持続的に成長していく企業を目指す。
(3)働き方改革推進による健全な成長“Sound Growth”の実現。
 多様なワークライフに応える労働環境を整備し、働く人びととともに、ステークホルダーの幸せを追求し、企業として健全な成長を目指す。
 
2.数値目標



※スペシャリティーの定義
 独自性と高付加価値を兼ね備え、外部環境に左右されにくく、トップクラスのシェアを有する事業、及び近い将来その可能性を有する事業(ヘルスケア、環境・エネルギー、高付加価値インフラ、基盤事業の中でも新しいグレードやソリューションとの組み合わせによりスペシャリティーへ転換した事業)
 
 

 

3.成長戦略
(1)事業ポートフォリオの変革

①スペシャリティー事業の成長加速化 

重点3分野への経営資源集中を図り、積極的な戦略投資(M&Aや事業提携、R&D強化、人的リソースの集中など)により数値目標の達成を目指す。
◇ヘルスケア
<方針>予防・早期診断に加え、がん・遺伝子領域への展開を通じ、世界の人々のQuality of Lifeの向上に貢献。
◇環境・エネルギー

<方針>ゼロエミッションや自動運転化など新たなトレンドへ、先端無機材料を中心とした当社コア技術を活かし た製品開発により、クリーンで安全な未来社会を実現。

◇高付加価値インフラ
<方針>最先端材料・ソリューションの提供による世界の高度インフラ整備ニーズに対応。

 

②基盤事業のスペシャリティー化

<方針>外部環境の影響を受けにくいスペシャリティーグレードの比率拡大、ソリューションビジネスへのシフト。
 

③コモディティー事業の位置付け再定義

<方針>スペシャリティー化への転換が難しいコモディティー事業は、新経営計画「Denka Value-Up」をグループ全体で推進していくための組織である「Denka Value-Up推進室」でその位置付けを再定義し、戦略の再構築を推進。

 

(2)革新的プロセス
 従来のやり方の単なる踏襲ではなく、最先端のICT導入、業務の本質追及、プロセス標準化などを進め、革新的生産性の向上、新事業創出、働き方改革、ダイバーシティ推進を図る。
 ①生産プロセス改革
  ・ICTを駆使した次世代型スマート工場へ再生
  ・データプラットフォームの構築と管理のリアルタイム化
  ・ 生産性向上と高度な操業安定化の実現
 ②研究開発プロセス
  ・スペシャリティー志向の研究開発を目指すテーマ設定
  ・ICTの活用による研究開発支援システムの構築
  ・戦略的キャリアパスによる多様性を持つ人財の育成
 ③業務プロセス改革
  ・未来型オフィスによる社内コラボレーションの活性化
  ・業務の生産性向上(定型作業省力化、会議パフォーマンス向上など)
  ・仕事の場所を選ばない環境の整備
  ○働き方改革/ダイバーシティ
      ・時間の“量”から“質”へのシフトチェンジ
   ・Quality of lifeを向上
   ・多様な人財によるイノベーション創出
 
 

 

4.投融資計画
  5ヵ年合計 2,000億円
   内 戦略投資  750億円 (150億円/年)
       M&A等    600億円
       プロセス改革 150億円
        通常投資 1,250億円 (250億円/年)
 

5.株主還元
  総還元性向 50%を継続
   還元方法は配当を重視し、自己株式は株価推移などに応じ、機動的に実施
    ※総還元性向=(配当+自己株式取得)÷連結当期純利益

 

※文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであり、その達成を保証するものではありません。

 

 

 

(株式会社の支配に関する基本方針)

当社は、当社の企業理念である“The Denka Value”のもと、収益力や業容の拡大による事業基盤の強化を図る一方、社会の信頼と共感を得られる企業であり続けようとする姿勢をさらに徹底することで、中長期的な観点から当社の企業価値ひいては株主共同の利益を向上させるよう努めております。

また、この基本方針のもと、経営計画「Denka Value-Up」(2018年度から5年間)を策定し、持続的かつ健全な成長の実現に取り組んでおります。

当社は、いわゆる買収防衛策は定めておりませんが、当社の企業価値を毀損するおそれのある大量買付けや、これに応じるか否かを判断するために株主の皆様に十分な情報と時間が提供されない大量買付けなどについては、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を損ねることのないよう、法令等、金融商品取引所の規則などが認める範囲内において適切に対応してまいります。

 

 

 

 

 

2 【事業等のリスク】

当社グループの経営成績及び財務状況などに重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、次のようなものがあります。ただし、ここに記載した事項は、当社グループに関する全てのリスクを網羅したものではありません。

当社グループの経営成績は、自動車や電子部品、鉄鋼産業などの需要動向により影響を受けるほか、原油や基礎石油化学製品などの原燃料市況ならびに為替の影響を受ける可能性があります。

当社グループは、顧客の信頼を第一に考え、安心して使用できる製品の提供に万全の対策を講じておりますが、製造やサービスの提供は高度かつ複雑な技術の集積であり、また原材料の外部調達もあることなどから品質保証の管理は複雑化しております。当社グループの製品やサービスに予期せぬ品質問題が発生した場合は当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

有利子負債につきましては、当連結会計年度末において1,121億34百万円(借入金依存度23.2%)であります。当社グループでは、今後有利子負債の削減に努めてまいりますが、将来の金利変動により当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

退職給付費用及び債務は、割引率等数理計算上で設定される前提条件や年金資産の期待収益率に基づいて算出されておりますが、実際の結果が前提条件と異なる場合、または前提条件が変更された場合、費用及び計上される債務に影響を及ぼします。近年の割引率の低下及び年金資産運用の悪化により当社グループの年金費用は増加してきておりますが、一層の割引率の低下や運用利回りの悪化は当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

保有有価証券の市況変動につきましては、主に取引先との関係構築・維持のための政策上の投資として株式を保有しておりますが、株式相場の大幅な下落または株式保有先の財政状態の悪化や倒産等により株式の評価が著しく下落し、回復の可能性が望めない場合には、株式の減損処理及び評価損の発生により、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

繰延税金資産の回収可能性につきましては、将来の課税所得を合理的に見積り回収可能性を判断し繰延税金資産を計上しておりますが、実際の課税所得が見積りと異なり回収可能性の見直しが必要となった場合、もしくは税率の変更を含む税制の改正等があった場合には、繰延税金資産の取崩しが必要となり、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

訴訟等につきましては、当社グループ倫理規定をはじめ各種社内規定に基づき、国内外の法令遵守はもちろんのこと、当社グループの社会における信頼を維持・確保することに努めておりますが、広範な事業活動を行う中で訴訟やその他の法律的手続きの対象となり、重要な訴訟等の提起を受けた場合には、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

その他、国内外の経済・政治情勢、技術革新、産業事故、環境汚染および地震をはじめとした自然災害等が、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。

① 財政状態及び経営成績の状況

当期のわが国経済は、個人消費の持ち直しや設備投資が増加するなど、景気は緩やかに回復しましたが、期後半には輸出や生産の一部に弱さがみられました。世界経済は、米国を中心に全体としては緩やかな回復基調が続きましたが、米中貿易摩擦の顕在化や英国のEU離脱問題など、先行きに対する懸念が高まりました。

化学工業界におきましては、原材料価格の上昇などがありましたが、企業収益は総じて堅調に推移しました。

このような経済環境のもとで、当社グループは、企業理念“ The Denka Value ”を実現すべく、2018年度より5ヵ年の新経営計画「Denka Value-Up」をスタートいたしました。そして、「Denka Value-Up」の3つの成長ビジョン「スペシャリティーの融合体」「持続的成長」「健全な成長」に基づき、2つの成長戦略である「事業ポートフォリオの変革」と「革新的プロセスの導入」を推進し、業容の拡大と収益の確保に注力いたしました。この結果、新経営計画の初年度となる当期の業績は、原材料価格の上昇に応じた販売価格の改定や、電子・先端プロダクツ製品を中心とした販売数量の増加により、売上高は4,131億28百万円と前年同期に比べ174億98百万円(4.4%)の増収となり、過去最高を更新しました。収益面では、スチレンモノマーの定期修繕や、ヘルスケア分野などで将来に向けた先行投資による費用負担が増加しましたが、販売数量の増加や交易条件の改善により、営業利益は342億28百万円(前年同期比5億76百万円増、1.7%増益)、経常利益は328億11百万円(前年同期比13億11百万円増、4.2%増益)、親会社株主に帰属する当期純利益は250億46百万円(前年同期比20億10百万円増、8.7%増益)となり、それぞれ2期連続で過去最高益を更新しました。

 

セグメントの経営成績は、次の通りであります。
 なお、2018年4月1日付で、高純度導電性カーボンブラック「デンカブラック」を、従来の「エラストマー・機能樹脂部門」から「電子・先端プロダクツ部門」に変更しており、以下の営業概況説明では、前年同期の数値を変更後の区分方法により作成し記載しております。

 

<エラストマー・機能樹脂>

クロロプレンゴムは、米国の子会社デンカパフォーマンスエラストマー社が寒波の影響により減産となり販売数量は減少しましたが、販売価格の改定が進み増収となりました。また、シンガポールの子会社デンカシンガポール社のポリスチレン樹脂、MS樹脂は販売数量が増加し増収となり、ABS樹脂の販売は堅調に推移しました。

この結果、当セグメントの売上高は1,792億37百万円(前年同期比91億27百万円増(5.4%増))、営業利益は141億76百万円(前年同期比12億35百万円減(8.0%減))となりました。

 

<インフラ・ソーシャルソリューション>

特殊混和材や、農業・土木用途向けのコルゲート管、耐火物・鉄鋼用材料の販売は堅調に推移しましたが、一方でセメントは販売価格の是正が遅れ、肥料の出荷は低迷しました。また、一部の製品では台風など自然災害の影響による出荷減がありました。

この結果、当セグメントの売上高は548億46百万円(前年同期比17億円増(3.2%増))、営業損失は2億74百万円(前年同期は営業利益1億89百万円)となりました。

 

<電子・先端プロダクツ>

電子回路基板および高信頼性放熱プレート“アルシンク”や、放熱材料向け球状アルミナは、販売数量が増加し増収となりました。また、高純度導電性カーボンブラックはリチウムイオン二次電池向けや高圧送電ケーブル向けの販売数量が伸長し増収となりました。一方、電子部品・半導体の搬送用部材である“デンカサーモフィルムALS”等の機能フィルムや、LED用サイアロン蛍光体“アロンブライト”の販売は前年を下回りました。

この結果、当セグメントの売上高は671億13百万円(前年同期比44億99百万円増(7.2%増)、営業利益は117億89百万円(前年同期比8億80百万円増(8.1%増))となりました。

 

<生活・環境プロダクツ>

プラスチック雨どいや工業用テープの販売は増収となり、食品包材用シートやデンカポリマー株式会社の加工品の販売も堅調に推移しました。このほか、合繊かつら用原糸“トヨカロン”の販売は前年同期並となりましたが、耐候性フッ素系アロイフィルム“DXフィルム”は前年を下回りました。

この結果、当セグメントの売上高は390億34百万円(前年同期比19億46百万円減(4.7%減)、営業利益は8億89百万円(前年同期比71百万円増(8.8%増))となりました。

 

<ライフイノベーション>

デンカ生研株式会社の試薬は国内、輸出とも販売数量が増加し増収となり、インフルエンザワクチンの出荷も前年を上回りました。

この結果、当セグメントの売上高は341億4百万円(前年同期比17億66百万円増(5.5%増)、営業利益は63億円(前年同期比7億59百万円増(13.7%増))となりました。

 

<その他>

株式会社アクロス商事等の商社は取扱高が前年を上回り、デンカエンジニアリング株式会社は完成工事高が増加しました。

この結果、売上高は387億91百万円(前年同期比23億51百万円増(6.5%増))、営業利益は13億22百万円(前年同期比5億63百万円増(74.3%増))となりました。

 

当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ100億28百万円増加の4,838億27百万円となりました。流動資産は、棚卸資産の増加などにより前連結会計年度末に比べ66億円増加の1,907億30百万円となりました。固定資産は有形固定資産の増加などにより、前連結会計年度末に比べ34億27百万円増加の2,930億97百万円となりました。

負債は、有利子負債の増加などにより、前連結会計年度末に比べ23億26百万円増加の2,333億46百万円となりました。

非支配株主持分を含めた純資産は前連結会計年度末に比べ77億1百万円増加の2,504億81百万円となりました。

以上の結果、自己資本比率は前連結会計年度末の50.5%から51.0%となり、1株当たり純資産は2,727円94銭から2,839円16銭となりました。

 

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、138億89百万円となり、前連結会計年度末と比べ2億11百万円の減少となりました。なお、当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況は以下のとおりです。

営業活動によるキャッシュ・フローは、運転資金の増加などにより、前年比161億15百万円収入減の326億60百万円の収入となりました。
 投資活動によるキャッシュ・フローは、設備投資の支払いは増加したものの、前年に独バイオ医薬品研究開発企業の株式取得による支払いがあったため、前年比31億21百万円支出減の261億76百万円の支出となりました。
 財務活動によるキャッシュ・フローは、株主還元の支払が増加しているものの、短期借入金と社債の発行による収入が増加し、前年比74億49百万円支出減の84億8百万円の支出となりました。

 

なお、キャッシュ・フロー指標のトレンドは以下のとおりです。

 

2015年3月

2016年3月

2017年3月

2018年3月

2019年3月

自己資本比率(%)

46.9

47.7

49.1

50.5

51.0

時価ベースの自己資本比率(%)

48.7

46.7

56.2

65.9

57.3

債務償還年数(年)

3.4

2.8

2.9

2.2

3.4

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

36.5

51.3

48.2

77.1

42.6

 

自己資本比率………………………………自己資本/総資産

時価ベースの自己資本比率………………株式時価総額/総資産

債務償還年数………………………………有利子負債/営業キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ……営業キャッシュ・フロー/利息支払額

(注) 1.いずれの指標も連結ベースの財務数値により算出しております。

2.株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。

3.有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。

 

 

③生産、受注及び販売の実績

当社グループの生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様ではなく、また受注生産形態をとらない製品がほとんどであるため、セグメントごとに生産規模および受注規模を金額あるいは数量で示すことは行っておりません。

このため「生産、受注及び販売の実績」については、「①財政状態及び経営成績の状況」におけるセグメントの経営成績に関連付けて記載しております。

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2019年6月20日)現在において当社グループが判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に準拠して作成されております。連結財務諸表の作成にあたっては、重要な会計方針と合理的と考えられる見積りに基づき、収益、費用、資産、負債の計上について判断しております。

当社グループの連結財務諸表の作成においては、例えば一般債権に対する貸倒引当金の引当については主として過去の貸倒実績率を、繰延税金資産の計上については将来の税務計画を、退職給付債務については、昇給率、割引率などを使用して見積っておりますが、見積りにつきましては不確実性があるため、実際の結果と異なる場合があります。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

(a) 経営成績について

 当社は、2018年度より5ヵ年の新経営計画「Denka Value-Up」をスタートいたしました。
そして「Denka Value-Up」における3つの成長ビジョン「スペシャリティーの融合体」「持続的成長」「健全な成長」に基づき、2つの成長戦略である「事業ポートフォリオの変革」と「革新的プロセスの導入」を推進し、2018年度は積極的な投資と個々の事業の収益向上を進めてまいりました。
 その結果、当連結会計年度の経営成績は、自然災害や中国をはじめとした世界経済の成長減速に伴う販売の減少等もあり、期初予想の営業利益には届きませんでしたが、売上高、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益とも、それぞれ2期連続で過去最高を更新しました。また、成長分野であるリチウムイオンバッテリー、放熱用途等の自動車電動化関連製品、ヘルスケア分野などのスペシャリティー事業は期待通りの伸長となっており、順調な進捗を見込んでおります。
 エラストマー・機能樹脂部門は、スチレンモノマーの定期修繕があったため、前年に比べ減益となりました。
 インフラ・ソーシャルソリューション部門は、セメントでは物流合理化や産廃収入増加に努めましたが、値上げ交渉が難航し、また、自然災害で出荷減となった製品もあり、前年比減益となりました。
 電子・先端プロダクツ部門は、当連結会計年度後半頃からの需要減少・在庫調整などの影響を受けたものの、セラミックス回路基板や、球状アルミナ、デンカブラックなどの出荷増により、前年に比べ増益となりました。
 生活・環境プロダクツ部門は、耐候性フッ素アロイフィルムのDXフィルムの販売は減少しましたが、その他の製品の販売は堅調に推移し、前年に比べ増益となりました。
 ライフイノベーション部門は、インフルエンザワクチンや各種検査試薬の販売が増加し、前年に比べ増益となりました。

 

(b) 資本の財源及び資金の流動性について

当社グループは、将来の安定的な成長を持続するためには、良好な財務バランスを維持することが重要と考えており、資金需要に見合った資金調達を行うことを基本的な方針としております。
 当社グループの資金需要のうち主なものは、運転資金、設備投資資金等であり、必要資金の調達については、自己資金を主とし、運転資金の一部を短期借入金やコマーシャル・ペーパーによって、設備資金等の長期資金の一部を長期借入金や社債によって外部調達しております。
 資金の流動性については、適正な水準の現預金を保持した上で、不測の事態に対応するため、取引金融機関と貸出コミットメント契約を締結することで流動性を確保しております。

 

当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況に関する認識及び分析は次のとおりです。
 当連結会計年度は、積極的な設備投資による支出があったほか、新経営計画「Denka Value-Up」における株主還元の基本方針「総還元性向50%」に基づいた株主還元を実施いたしました。

この結果、当連結会計年度末の有利子負債残高は前連結会計年度末に比べ38億65百万円増加し1,121億34百万円となりました。自己資本比率は前連結会計年度末に比べ0.5%改善し、51.0%となりました。

 

4 【経営上の重要な契約等】

技術援助契約の概要

契約会社名

契約締結先

内容

対価

契約期間

契約年

デンカ㈱

(当社)

独立行政法人物質・材料研究機構

(日本)

サイアロン蛍光体基本技術

実施料

2004年9月1日~

特許消滅日まで

2004年

デンカ㈱

(当社)

独立行政法人物質・材料研究機構

(日本)

赤色蛍光体およびそれを用いる発光デバイスに関わる特許の実施許諾

頭金

他に実施料

2010年10月7日~

特許消滅日まで

2012年

デンカ㈱

(当社)

日亜化学工業㈱

(日本)

赤色蛍光体およびそれを用いる発光デバイスに関わる特許の実施許諾

頭金

他に実施料

2012年4月10日~

特許消滅日まで

2012年

デンカ生研㈱

(連結子会社)

メディミューン

(アメリカ)

ワクチン製造に用いるウイルス株の調整方法であるリバースジェネティスク法技術

頭金

他に実施料

2009年9月20日開始

2009年

デナールシラン㈱

(連結子会社)

独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)

(日本)

トリクロルシラン製造技術

実施料

2018年1月1日~

2022年12月31日

2017年

デナールシラン㈱

(連結子会社)

エア・リキード

(フランス)

モノシランガス取り扱いに関するノウハウ

実施料

1988年4月1日~

2008年12月31日

以後1年ごとの自動更新

1988年

 

 

 

5 【研究開発活動】

当社グループは、保有している固有の基盤技術の深耕による既存事業を核とし、重点3分野『ヘルスケア』『環境・エネルギー』『高付加価値インフラ』における高機能製品群の開発を進めるとともに、次世代新製品開発および新事業創出に取り組んでおります。

研究開発方針としてチャレンジ&オープンイノベーションを掲げ、デンカイノベーションセンターをベースとして、多くの国内外産学官とのコラボレーション研究を推進しております。物質材料研究機構(NIMS)とのNIMS-Denka次世代材料研究センター、山形大学および新潟大学との包括共同研究を展開する等、引き続き積極的な外部連携強化を推進致します。

これらの研究開発、製品化をさらに加速するため、「研究推進部」と「新事業開発部」が緊密に連携し、社内外のオープンイノベーションを戦略的、効率的且つ、スピーディーに進めます。事業部門との連携をこれまで以上に強化し、市場の動向を直視し、次世代の市場ニーズに確実かつ迅速に対応することで、早期の実需化につなげたいと考えております。

また、研究開発ではESG(環境・社会・統治)の視点を常に意識し、国連が提唱する持続可能な開発目標(SDGs)の達成に貢献する研究テーマに注力致します。

 

当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は14,562百万円、研究要員は807名であり、当連結会計年度に国内で出願された特許は214件、国内で登録された特許(実用新案を含む)は97件となりました。

当連結会計年度における各事業部門別の研究の目的、主要課題、研究成果および研究開発費は次のとおりであります。

 

(1)エラストマー・機能樹脂

透明樹脂、耐熱樹脂、シュリンクラベル用樹脂など特長あるスチレン系機能性樹脂分野では、生産技術の深耕、品質向上、新規用途展開並びに新規な高機能性樹脂の開発をシンガポール子会社と一体となり推進しております。また、クロロプレンゴム、ERゴムなどのエラストマー分野においても、海外市場を含めた事業拡大のために、スペシャリティー製品の開発および生産技術の強化を進めております。特にクロロプレンゴムは世界トップシェア維持を確実なものとすべく、従来の用途展開を推進するとともに、米国デュポン社よりクロロプレン事業を譲り受けたデンカパフォーマンスエラストマー(DPE)社と研究開発、生産技術を含む総合的なシナジーを推進しております。また、エラストマー加工技術を保有するデンカエラストリューション (旧シー・アール・ケイ)社との連携も強化しています。

さらに、新規用途展開のために、新しい重合技術やポリマーアロイ技術を駆使した新規高分子材料の開発にチャレンジし、新規機能性樹脂の市場開発や高機能エラストマーの材料開発を進めています。

エラストマー分野における大きな成果として、耐油性や動的環境下での耐屈曲疲労性に優れる新規高機能エラストマーEvolmer®を開発し、2018年度に市場投入致しました。

当セグメントに係わる研究開発費は3,270百万円でした。

 

(2)インフラ・ソーシャルソリューション

セメント・特殊混和材分野では、高温焼成反応などを活用した粉体合成技術と特性評価技術を基盤に、コンクリートの高機能化や建設構造物の長寿命化など社会の多様なニーズに応える研究開発を推進しております。二酸化炭素排出量を削減する環境対応製品の技術開発を進めており、さらに製品を使用・施工する機械を含めたトータルシステムの開発と事業化、また社会資本の維持補修に関する診断技術など、診断ソリューションの研究開発を進めております。特殊混和材は海外事業展開にも注力しており、主にアジア地域にて現地のニーズを吸い上げた製品開発を進めております。

無機製品分野では、耐火物として実績のあるアルミナ繊維の自動車分野への展開に向けた研究開発を行っており、高機能、高性能製品開発と生産技術向上を進めております。

アグリプロダクツ分野では従来の肥料事業のみならず、次世代農業資材の開発から圃場の維持管理技術、栽培技術および施肥技術をベースにした農業ソリューションビジネスへの展開を目指しております。また、新たな取り組みとして、腐植酸を使用した肥料「アヅミン」の製造販売で蓄積した技術を基盤に、オープンイノベーション等によるバイオスティミュラト製品の開発を推進してまいります。

当セグメントに係わる研究開発費は1,739百万円でした。

 

(3) 電子・先端プロダクツ

電子部材分野では、市場の伸びが期待されるパワーモジュール、車両電動化向けなどの電子回路基板や放熱材料について、当社固有のセラミックス技術や有機・無機ハイブリッド放熱材料技術をさらに進化させ、多様なニーズに合致するソリューションを提供すべく各種高機能材料の研究開発を産学官と連携し推進しています。

接着剤分野では、ハードロックSGA(高機能構造用接着剤)の積極的な海外展開を含め、新グレード、新規用途開発を推進するとともに、ハードロックOP/UVでは紫外線硬化技術を応用した特殊高機能接着剤の新製品開発や有機EL製造プロセスへの適用など、新規市場開拓にも注力しています。

高機能フィルム分野では、当社が保有する樹脂素材技術、無機・有機複合材料設計技術に加え、シートやフィルムの先端加工技術を活かし、電子部品・半導体搬送テープ、半導体ウェハやパッケージの保護・仮固定用粘着テープなど、市場における最先端ニーズに対応した新規製品をタイムリーに市場に供給すべく開発を進めております。

先端機能材料分野では、半導体封止材向け球状シリカ、放熱材料向け球状アルミナの高性能化を追求するとともに、液晶ディスプレイに用いる白色LED向けサイアロン蛍光体や放熱材料に加え化粧品用途への展開が進むBN粉の更なる特性向上、先進的な各種機能性粉体の開発を推進しています。

特殊導電材料分野では、高純度で導電性に優れるアセチレンブラックのリチウムイオン二次電池市場での事業拡大を目指し、超高純度かつ高機能な製品の開発と事業化に取り組んでいます。また、国内外の研究機関と多数の共同研究を進め、開発促進を図っております。

当セグメントに係わる研究開発費は3,886百万円でした。

 

(4)生活・環境プロダクツ

住設資材、生活・産業資材、環境製品、生活包材の各分野に展開する樹脂加工製品においては、耐光性フィルムやそれに続く高機能性フィルム・シート、工業用や自動車用の高機能テープ、市場のトレンドにマッチした頭髪用合成繊維、食品包装用の耐油性透明シート、電子レンジ対応容器等に用いる耐熱性透明シートなどの製品群の開発を引き続き推進しております。

また、コーポレート研究所であるポリマー・加工技術研究所を中核として、配合技術による機能性付与や、シート・フィルムの製膜、成形、ラミネーション、精密塗工など各種加工技術の高度化を推進するなど、当社グループ全体のポリマー・加工技術の研究開発を加速することに加え、自社素材の活用を含めて関連グループ会社との連携を強化しています。これにより当社グループの樹脂加工製品の新規用途展開、特性改善、および新製品開発を積極的に進め、更なる事業拡大を図っております。

当セグメントに係わる研究開発費は1,226百万円でした。

 

(5) ライフイノベーション

ヘルスケア分野では、ライフイノベーション研究所(東京都町田市)、デンカ生研(新潟県五泉市)、Denka Life Innovation Research (DLIR, シンガポール)およびIcon Genetics(独)の4拠点体制で、ニーズ優先の研究開発に取り組んでいます。グローバルな視点で最先端の技術を積極的に導入しつつ、スペシャリティー事業の成長加速化を進めるため、予防・早期診断の取り組みに加えて、がん領域および遺伝子領域をキーワードとする新規事業展開のための研究開発を推進します。

当社グループでは、2017年2月に米KEW社から導入したがん遺伝子変異検査技術について、国内大学医学部など研究施設とのコラボレーションを推進しつつ、薬事承認申請をめざした取り組みを、デンカ、KEW社、および両社のJVであるデンカ・キュー・ジェノミクスの連携により進めています。またデンカ生研では、ウイルス製剤「G47Δ(デルタ)」の製造設備が竣工し、実用化へ向けた大量生産法の開発を進めております。これにより、がんウイルス療法という新たな医療技術の開拓を進めます。

さらに、遺伝子領域においては、感染症分野を対象として、戦略的パートナーである台湾PlexBio社と協業し、同社の保有する遺伝子法をベースとした迅速かつ簡便に同時多項目の細菌同定を可能とする測定技術IntelliPlexTMシステムを活用し、2022年度の上市を目標に敗血症の検査薬の開発にも取り組んでいます。

また、Icon Genetics社が保有する、遺伝子組み換え技術を駆使した植物によるタンパク産生技術magnICON ®を抗体・ワクチン抗原等の高分子タンパク質産生に活用し、ノロウィルスワクチン等の新規ワクチンや体外診断用医薬品の開発を進めています。

既存技術周辺においても、引き続きデンカ生研が中心となり、ライフイノベーション研究所とも協働し、高品質ワクチンの開発、および感染症検査試薬や健康管理に欠かせない臨床生化学検査試薬や免疫検査試薬の新技術、新製品開発を推進しています。

当セグメントに係わる研究開発費は4,012百万円でした。

 

 (6)その他事業

産業設備の設計・施工等を行なっているデンカエンジニアリング㈱では効率的な粉体の空気輸送設備の技術開発や廃水設備等の研究開発をおこなっている他、各事業所に設置している生産技術部を中心に、研究段階から事業化を見据えたプロセス設計、開発の充実を図っています。

その他事業に係わる研究開発費は426百万円でした。