(経営方針、経営環境及び対処すべき課題)
当社は、企業理念“The Denka Value”を実現すべく、5ヵ年の経営計画「Denka Value-Up」を2018年度より強力に推進しております。
2年目である2019年度の具体的な取組みとしては、まず、「ヘルスケア」分野では、戦略パートナーである台湾のPlexBio社とのアライアンス強化を目的として、同社が実施する第三者割当増資の引き受けにより同社株式の33.4%を取得しました。本出資により、同社が開発したIntelliPlexTMシステムの持つ「同時多項目測定」などの特長と当社のリソースを最大限活かし、診断分野における技術革新を進めてまいります。
また、「電子先端」分野では、今後急速な進展が見込まれるメガトレンド、すなわちゼロ炭素社会を目指したxEVに代表される自動車産業や5Gなどの電子・電気産業に対し、アセチレンブラック、窒化ケイ素、ANプレート、SNプレート、球状シリカ・アルミナ、蛍光体といった当社の主力製品が、メガトレンドには欠くことの出来ない高機能製品として、社会ならびに地球環境保全に貢献しております。今後も、日本だけに留まらず世界に向け、製品展開を進めてまいります。
さらに、「機能樹脂」分野では、シンガポールの子会社におけるポリスチレンの生産を停止し、約27億円を投じて生産設備の改造をおこない、MS樹脂の能力増強をおこなうことを決定しました。MS樹脂は、需要が急増しているバックライト用導光板をはじめとした光学用途やアジア太平洋地域において成長著しい化粧品用容器などの非光学用途の拡大もあり、現在、供給能力が不足している状況です。当社はMS樹脂のリーディングカンパニーとして拡大する需要に対応すべく、供給過剰状態にあるポリスチレンの既存生産設備を改造することにより、MS樹脂の生産能力を倍増し、スペシャリティー化を推進します。
昨今の経済情勢は、米中貿易摩擦などの地政学的な要因に起因する世界経済の低迷や、度重なる自然災害、年が明けてからの中東不安、そして足元の新型コロナウイルスの世界的蔓延に見舞われ、まさに国難とも称される状況にあります。このような中、当社は、メガトレンドを視野においたスペシャリティー化と、先端的デジタル技術の導入によるプロセス革新に向けた戦略投資を確実に実施してきております。また、ワークライフバランスやダイバーシティの推進など働き方改革の推進にも注力いたしました。今後とも、いかなる市場環境の変化があっても持続的に成長し続ける先進的な企業体質に生まれ変わることこそが「Denka Value-Up」の目標であることを、改めて全グループに浸透させてまいります。
さて、先ほども触れました通り、新型コロナウイルスが世界を脅かしております。本年4月1日にデンカと経営統合いたしましたデンカ生研株式会社は、長年にわたりワクチンや検査試薬を通じて日本の防疫の一翼を担っており、このたびも、新型コロナウイルス感染症の簡易検査キットの開発にいち早く着手しております。今後は、本年度内に最大1日10万検査分の量産体制構築を目指してまいります。また、本年4月には日本政府の要請を受け、新型コロナウイルス感染症の患者を対象とした抗インフルエンザウイルス薬「アビガン®錠」(一般名:ファビピラビル)の原料となるマロン酸ジエチルを供給することを決定しております。
今般の危機は、大きなリスクではありますが、これを機に業務の一層の効率化を進め、“変革と連携”をキーワードに、ぶれることなく「Denka Value-Up」を推進することでこの国難を克服すべく、全グループ一丸となって取り組んでまいります。
また、当社はESG経営強化の視点から、パリ協定が目指す地球温暖化の抑止に向けた環境負荷低減への取り組みとして、温室効果ガスの排出量削減に関する中長期目標を策定しました。本目標は、2013年度を基準とし、2030年には基準年の26%、2050年には85%の温室効果ガス排出量削減をおこなうものであり、2019年度の実績は218万t-CO2/y(2013年度比△11.8%)でした。
本年1月27日までに、当社の米国子会社であるDenka Performance Elastomer LLCが、米国ルイジアナ州において、複数の訴訟の提起を受けております。本件は、同社工場周辺に居住する複数の住人が、同社のクロロプレンゴム製造工場から排出されたクロロプレンモノマーによって身体的、財産的、精神的損害を被っているとして、損害賠償を請求しているもので、同社は訴状の内容を精査したうえで、適切に対処してまいる所存です。
なお、同社は、法令上のクロロプレンモノマーの排出基準を遵守して操業しているほか、同物質の大幅な排出削減を実施いたしました。加えて、同社は、米国環境保護庁による同物質に対する毒性評価の見直しを同庁に求め、同社が提出した評価手法を同庁が受入れ、検証される見込みです。その他、現時点で同社の操業において本件訴訟による特段の影響は生じておりません。
*「アビガン」は富士フイルム富山化学株式会社の登録商標です。
◇The Denka Value(企業理念)
The Denka Value(企業理念)は、最上位としての「Denkaの使命(Denka Mission)」と、グループ社員一人ひ
とりが行動する上での規範となる「Denkaの行動指針(Denka Principles)」から構成されます。
The Denka Valueは経営企画を含むすべての企業活動の上位概念であり、当社は、このThe Denka Valueを実践することで、社会からの期待と信頼に応えることを目指しております。
・Denkaの使命(Denka Mission)
*コーポレートスローガン:「できるをつくる。」「Possibility of Chemistry.」
・Denkaの行動指針(Denka Principles)

(ご参考)
経営計画「Denka Value-Up」 ~Specialty-Fusion Companyを目指して~
2017年11月、デンカは2018年度から2022年度までの5ヵ年の経営計画「Denka Value-Up」を策定いたしました。
前経営計画「Denka100」では、「生産体制の最適化」「徹底したコストの総点検」「成長ドライバーへの集中と次世代製品開発」の3つの成長戦略を立て、重点分野である「健康、環境・エネルギー、インフラ」を中心に、計画前と比べて着実に成長への種まきとして積極的な投資を行い、個々の事業の収益力向上の基盤固めを進めてきました。
新経営計画「Denka Value-Up」では、企業の成長持続に必要不可欠な「安全最優先」「環境への配慮」「人財の育成・活用」「社会貢献」を基本精神に掲げ、グローバルで飛躍的な成長を遂げるための新たな成長戦略により、当社が「スペシャリティーの融合体“Specialty-Fusion Company”」となり、持続的且つ健全な成長を目指します。
経営計画「Denka Value-Up」の概要
1.成長ビジョン
(1)世界に存在感を示すスペシャリティーの融合体“Specialty-Fusion Company”となる。
グローバルマーケットで卓越した競争力を有する、スペシャリティーな事業・製品・技術・人財が融合した企業を目指す。
(2)革新的プロセスによる飛躍的な生産性向上で持続的成長“Sustained Growth”を目指す。
IoT/AIなどの最先端デジタル技術や業務の本質追求による革新的プロセスで、飛躍的な生産性向上を図り、いかなる外部環境であっても持続的に成長していく企業を目指す。
(3)働き方改革推進による健全な成長“Sound Growth”の実現。
多様なワークライフに応える労働環境を整備し、働く人びととともに、ステークホルダーの幸せを追求し、企業として健全な成長を目指す。
2.数値目標

※スペシャリティーの定義
独自性と高付加価値を兼ね備え、外部環境に左右されにくく、トップクラスのシェアを有する事業、及び近い将来その可能性を有する事業(ヘルスケア、環境・エネルギー、高付加価値インフラ、基盤事業の中でも新しいグレードやソリューションとの組み合わせによりスペシャリティーへ転換した事業)
3.成長戦略
(1)事業ポートフォリオの変革
①スペシャリティー事業の成長加速化
重点3分野への経営資源集中を図り、積極的な戦略投資(M&Aや事業提携、R&D強化、人的リソースの集中など)により数値目標の達成を目指す。
◇ヘルスケア
<方針>予防・早期診断に加え、がん・遺伝子領域への展開を通じ、世界の人々のQuality of Lifeの向上に貢献。
◇環境・エネルギー
<方針>ゼロエミッションや自動運転化など新たなトレンドへ、先端無機材料を中心とした当社コア技術を活かし た製品開発により、クリーンで安全な未来社会を実現。
◇高付加価値インフラ
<方針>最先端材料・ソリューションの提供による世界の高度インフラ整備ニーズに対応。
②基盤事業のスペシャリティー化
<方針>外部環境の影響を受けにくいスペシャリティーグレードの比率拡大、ソリューションビジネスへのシフト。
③コモディティー事業の位置付け再定義
<方針>スペシャリティー化への転換が難しいコモディティー事業は、経営計画「Denka Value-Up」をグループ全体で推進していくための組織である「Denka Value-Up推進室」でその位置付けを再定義し、戦略の再構築を推進。
(2)革新的プロセス
従来のやり方の単なる踏襲ではなく、最先端のICT導入、業務の本質追及、プロセス標準化などを進め、革新的生産性の向上、新事業創出、働き方改革、ダイバーシティ推進を図る。
①生産プロセス改革
・ICTを駆使した次世代型スマート工場へ再生
・データプラットフォームの構築と管理のリアルタイム化
・ 生産性向上と高度な操業安定化の実現
②研究開発プロセス
・スペシャリティー志向の研究開発を目指すテーマ設定
・ICTの活用による研究開発支援システムの構築
・戦略的キャリアパスによる多様性を持つ人財の育成
③業務プロセス改革
・未来型オフィスによる社内コラボレーションの活性化
・業務の生産性向上(定型作業省力化、会議パフォーマンス向上など)
・仕事の場所を選ばない環境の整備
○働き方改革/ダイバーシティ
・時間の“量”から“質”へのシフトチェンジ
・Quality of Lifeを向上
・多様な人財によるイノベーション創出
4.投融資計画
5ヵ年合計 2,000億円
内 戦略投資 750億円 (150億円/年)
M&A等 600億円
プロセス改革 150億円
通常投資 1,250億円 (250億円/年)
5.株主還元
総還元性向 50%を継続
還元方法は配当を重視し、自己株式は株価推移などに応じ、機動的に実施
※総還元性向=(配当+自己株式取得)÷連結当期純利益
※文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであり、その達成を保証するものではありません。
(株式会社の支配に関する基本方針)
当社は、当社の企業理念である“The Denka Value”のもと、収益力や業容の拡大による事業基盤の強化を図る一方、社会の信頼と共感を得られる企業であり続けようとする姿勢をさらに徹底することで、中長期的な観点から当社の企業価値ひいては株主共同の利益を向上させるよう努めております。
また、この基本方針のもと、経営計画「Denka Value-Up」(2018年度から5年間)を策定し、持続的かつ健全な成長の実現に取り組んでおります。
当社は、いわゆる買収防衛策は定めておりませんが、当社の企業価値を毀損するおそれのある大量買付けや、これに応じるか否かを判断するために株主の皆様に十分な情報と時間が提供されない大量買付けなどについては、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を損ねることのないよう、法令等、金融商品取引所の規則などが認める範囲内において適切に対応してまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。ただし、ここに記載した事項は、当社グループに関する全てのリスクを網羅したものではなく、現時点では予見出来ないまたは重要と見なされていないリスクの影響を将来的に受ける可能性があります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)外部事業環境等
当社グループの経営成績は、自動車や電子部品などの需要動向により影響を受けるほか、原油や基礎石油化学製品などの原燃料市況ならびに為替相場の変動の影響を受ける可能性があります。当社グループは、経営計画「Denka Value-Up」の成長戦略に基づき、事業のスペシャリティー化を推進し、外部環境に左右されにくい企業体質への転換を進めております。
(2)品質、製造物責任
当社グループは、社会および顧客の信頼を第一に考え、安心して使用できる製品の提供のため、各事業セグメントに品質保証部門をそれぞれ設置し、当社および主要子会社における全事業所の対象製品において継続的な品質改善に努め、ISO品質マネジメントシステム規格の認証を取得するなど、万全の対策を講じております。しかしながら、製品やサービスの提供は高度かつ複雑な技術の集積であり、また原材料の外部調達もあることなどから品質保証の管理は複雑化しております。当社グループの製品やサービスに予期せぬ品質問題が発生した場合は当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(3)事故・自然災害
当社グループは、安全最優先をすべての事業活動の基盤と位置付けており、リスクアセスメントの統一基準整備と現場への展開、安全対策に関わる設備投資の推進、安全教育施設の充実と教育者の育成など、すべての現場で災害を起こさないための総合的な対策を進めております。しかしながら、重大な産業事故や、地震、気候変動による急性の豪雨および大型台風などの自然災害が発生した場合、従業員や第三者への人的、物的な損害、生産設備の損壊や生産停止等が生じるリスクがあり、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(4)環境
当社グループは、環境に関する各種法律、規制を遵守するとともに、パリ協定が掲げる目標を念頭に温室効果ガスの排出量削減に関する中長期目標を定め、自家水力発電所建設などを通じたクリーンエネルギー利用拡大、製品のライフサイクルを通じた地球温暖化ガスの排出削減、グループ各工場の環境負荷物質排出削減など、環境負荷の低減に取り組んでおります。しかしながら、環境に関する規制が強化された場合、事業活動の制限や対策費用の増加等が発生し、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(5)海外事業展開
当社グループは、アジア、米国、欧州等の国および地域に進出し、現地生産や販売をおこなうなど、海外展開を推進しております。海外での事業活動には予期できない法律や制度の変更、労使や人材確保の問題、テロや戦争などによる社会的混乱等のリスクが内在しており、これらのリスクが発生した場合、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(6)財務
当社グループは、将来の安定的な成長を持続するため、良好な財務バランスを維持することが重要と考えており、資金需要に見合った資金調達を行うことを基本的な方針としております。資金の流動性については、適正な水準の現預金を保持した上で、不測の事態に対応するため、取引金融機関と貸出コミットメント契約を締結することで流動性を確保しております。また、長期借入金の金利を固定化する等、金利変動リスクの低減を図っております。しかしながら、金融環境が急激に悪化した場合、資金調達リスクや金利の上昇等が発生し、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(7)固定資産の減損
当社グループは、固定資産の減損に係る会計基準を適用しております。当社グループが保有する固定資産について、事業環境の著しい悪化による収益性の低下等があった場合には、減損損失が発生し、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(8)訴訟等
当社グループは、倫理規定をはじめ各種社内規定に基づき、国内外の法令遵守はもちろんのこと、当社グループの社会における信頼を維持・確保することに努めておりますが、広範な事業活動を行う中で訴訟やその他の法律的手続きの対象となり、重要な訴訟等の提起を受けた場合には、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
なお、訴訟等については「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (2) その他 ② 訴訟」をご参照下さい。
(9)新型コロナウイルス等の感染症
当社グループは、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、顧客、従業員、関係先等の安全・安心を第一に考え、国内の事業所においては政府指導に基づいたテレワーク(在宅勤務)の原則化等の対応のほか、海外の事業所では各国の状況にあわせた感染防止対策をおこなっております。
今後、事態の長期化または更なる感染拡大が進行した場合には、ロックダウンなどによる活動の制限、サプライチェーンの停滞、世界経済の悪化などにより、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
その他、国内外の経済・政治情勢、技術革新、株式相場の変動、繰延税金資産の取崩し等が、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。
当期のわが国経済は、個人消費の伸び悩みや輸出の減少に加え、年明け以降には新型コロナウィルス感染症の影響により景気が大幅に下押しされるなど、厳しい状況となりました。世界経済は、緩やかな回復が続いておりましたが、米中貿易摩擦や英国のEU離脱問題の長期化に加え、2020年に入り感染症の世界的大流行により中国や欧米を中心に経済活動が停滞し、急速に減速しました。
化学工業界におきましても、ナフサ等の原材料価格は下落しましたが、期後半には国内外で需要が低迷し、企業収益は減少しました。
このような経済環境のもとで、当社グループは、企業理念“ The Denka Value ”を実現すべく、経営計画「Denka Value-Up」の成長ビジョン、成長戦略にもとづき、業容の拡大と収益の確保に注力いたしました。この結果、当期の業績は、車両電動化関連やヘルスケア分野で販売数量が増加しましたが、一部製品で原材料価格の下落に応じた販売価格の見直しをおこなったこと、および米中貿易摩擦や期後半のコロナ禍による需要減を受けた販売数量の減少があったこともあり、売上高は3,808億3百万円と前年同期に比べ323億24百万円(7.8%)の減収となりました。利益面では、販売数量の減少に加えて、ヘルスケア分野などで将来に向けた先行投資による費用負担が増加したことにより、営業利益は315億87百万円(前年同期比26億41百万円減、7.7%減益)となり、売上高営業利益率は8.3%となりました。また、経常利益は300億34百万円(前年同期比27億76百万円減、8.5%減益)、親会社株主に帰属する当期純利益は227億3百万円(前年同期比23億42百万円減、9.4%減益)となりました。
セグメントの経営成績は、次の通りであります。
<エラストマー・機能樹脂>
クロロプレンゴムは、全体的に需要が減退したため販売数量が減少し減収となりました。また、スチレンモノマーやABS樹脂、シンガポールの子会社デンカシンガポール社のポリスチレン樹脂、MS樹脂の販売は概ね堅調に推移しましたが、原材料価格の下落に応じた販売価格の見直しを行ったことから減収となりました。
この結果、当セグメントの売上高は1,493億25百万円(前年同期比299億12百万円減(16.7%減))、営業利益は109億3百万円(前年同期比32億72万円減(23.1%減))となりました。
<インフラ・ソーシャルソリューション>
特殊混和材は出荷増および価格改定により増収となり、農業・土木用途向けのコルゲート管は概ね堅調に推移しましたが、セメントや肥料、耐火物・鉄鋼用材料の販売は前年を下回りました。
この結果、当セグメントの売上高は548億2百万円(前年同期比44百万円減(0.1%減))、営業利益は2億59百万円(前年同期は営業損失2億74百万円)となりました。
<電子・先端プロダクツ>
球状アルミナや高純度導電性カーボンブラックなどの車両電動化関連製品は販売数量が増加し増収となり、電子回路基板および高信頼性放熱プレート“アルシンク”、LED用サイアロン蛍光体“アロンブライト”の販売も好調に推移しました。一方、電子部品・半導体の搬送用部材である“デンカサーモフィルムALS”等の機能フィルムや球状溶融シリカフィラーの販売は前年を下回りました。
この結果、当セグメントの売上高は680億28百万円(前年同期比9億14百万円増(1.4%増))、営業利益は124億23百万円(前年同期比6億33百万円増(5.4%増))となりました。
<生活・環境プロダクツ>
プラスチック雨どいおよび工業用テープの販売は堅調に推移し、食品包材用シートやデンカポリマー株式会社の加工品も概ね前年並みとなりましたが、合繊かつら用原糸“トヨカロン”の販売数量は前年を下回りました。
この結果、当セグメントの売上高は369億73百万円(前年同期比20億60百万円減(5.3%減))、営業利益は1億9百万円(前年同期比7億80百万円減(87.7%減))となりました。
<ライフイノベーション>
デンカ生研株式会社の試薬は国内、輸出とも販売数量が増加し増収となり、インフルエンザワクチンの出荷も前年を上回りました。
この結果、当セグメントの売上高は355億10百万円(前年同期比14億5百万円増(4.1%増)、営業利益は69億64百万円(前年同期比6億63百万円増(10.5%増))となりました。
<その他>
株式会社アクロス商事等の商社は取扱高が減少し、デンカエンジニアリング株式会社の完成工事高も前年を下回りました。
この結果、当セグメントの売上高は361億63百万円(前年同期比26億27百万円減(6.8%減))、営業利益は10億33百万円(前年同期比2億88百万円減(21.8%減))となりました。
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ176億20百万円増加の5,014億48百万円となりました。
流動資産は、現金及び預金の増加などにより前連結会計年度末に比べ77億22百万円増加の1,984億52百万円となりました。固定資産は有形固定資産の増加などにより、前連結会計年度末に比べ98億98百万円増加の3,029億95百万円となりました。
負債は、有利子負債の増加などにより、前連結会計年度末に比べ140億88百万円増加の2,474億34百万円となりました。
非支配株主持分を含めた純資産は前連結会計年度末に比べ35億32百万円増加の2,540億14百万円となりました。
以上の結果、自己資本比率は前連結会計年度末の51.0%から50.0%となり、1株当たり純資産は2,839円16銭から2,906円95銭となりました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、291億70百万円となり、前連結会計年度末と比べ152億81百万円の増加となりました。なお、当連結累計期間におけるキャッシュ・フローの状況は以下のとおりです。
営業活動によるキャッシュ・フローは、運転資金の減少などにより、前年比92億93百万円収入増の419億54百万円の収入となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、設備投資の支払いの増加などにより、前年比101億26百万円支出増の363億3百万円の支出となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金が増加し、前年比179億52百万円支出減の95億44百万円の収入となりました。
なお、キャッシュ・フロー指標のトレンドは以下のとおりです。
自己資本比率………………………………自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率………………株式時価総額/総資産
債務償還年数………………………………有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ……営業キャッシュ・フロー/利息支払額
(注) 1.いずれの指標も連結ベースの財務数値により算出しております。
2.株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。
3.有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。
当社グループの生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様ではなく、また受注生産形態をとらない製品がほとんどであるため、セグメントごとに生産規模および受注規模を金額あるいは数量で示すことは行っておりません。
このため「生産、受注及び販売の実績」については、「①財政状態及び経営成績の状況」におけるセグメントの経営成績に関連付けて記載しております。
文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当社グループの当連結会計年度における財政状態及び経営成績は、国内では、個人消費の伸び悩みや輸出の減少に加え、年明け以降には新型コロナウイルス感染症の影響により景気が大幅に下押しされるなど、厳しい状況となりました。世界経済は、緩やかな回復が続いておりましたが、米中貿易摩擦や英国のEU離脱問題の長期化に加え、2020年に入り感染症の世界的大流行により中国や欧米を中心に経済活動が停滞し、急速に減速しました。化学工業界におきましても、ナフサ等の原材料価格は下落しましたが、期後半には国内外で需要が低迷し、企業収益は減少しました。
このような経済環境のもとで、当社グループは、企業理念“ The Denka Value ”を実現すべく、経営計画「Denka Value-Up」の成長ビジョン、成長戦略にもとづき、業容の拡大と収益の確保に注力いたしました。
この結果、当期の業績は、車両電動化関連やヘルスケア分野で販売数量が増加しましたが、一部製品で原材料価格の下落に応じた販売価格の見直しを行ったこと、および米中貿易摩擦や期後半のコロナ禍による需要減を受けた販売数量の減少があったこともあり、売上高は前期比減収となりました。利益面では、販売数量の減少に加えて、ヘルスケア分野などで将来に向けた先行投資による費用負担が増加したことにより、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益とも前期比減益となり、目標としていた3期連続の過去最高益の更新は、残念ながら実現することはできませんでした。
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識および分析・検討内容は、以下のとおりであります。
エラストマー・機能樹脂部門は、スチレンモノマーの定期修繕がなく、シンガポールの子会社デンカシンガポール社のポリスチレン樹脂、MS樹脂の収支スプレッドが改善しましたが、クロロプレンゴムの需要減に伴う販売数量の減少などにより前年に比べ減益となりました。
インフラ・ソーシャルソリューション部門は、製品の価格改定が進み、また特殊混和材の販売数量の増加などにより、前年に比べ増益となりました。
電子・先端プロダクツ部門は、生産体制の強化に伴う固定費負担の増加がありましたが、球状アルミナ、デンカブラックなどの車両電動化関連製品の販売数量の増加などにより、前年に比べ増益となりました。
生活・環境プロダクツ部門は、合繊かつら用原糸“トヨカロン”の販売数量の減少などにより、前年に比べ減益となりました。
ライフイノベーション部門は、先行投資による費用負担の増加がありましたが、インフルエンザワクチンや各種検査試薬の販売数量が増加し、前年に比べ増益となりました。
当社グループの当連結会計年度におけるキャッシュ・フローは、営業活動によるキャッシュ・フローは419億54百万円の収入となりましたが、経営計画「Denka Value-Up」における2つの成長戦略である「事業ポートフォリオの変革」と「革新的プロセスの導入」にもとづく積極的な投資による支出をおこない、また株主還元方針にもとづく配当及び自己株式の取得を実施した結果、当連結会計年度末のネット有利子負債残高は前連結会計年度末に比べ69億36百万円増加し1,051億68百万円となりました。なお、自己資本比率は50.0%、ネットD/Eレシオは0.42倍と引き続き良好な財政状態を維持しているものと判断しております。
資本の財源及び資金の流動性については、当社グループでは将来の安定的な成長を持続するため、良好な財務バランスを維持することが重要と考えており、資金需要に見合った資金調達を行うことを基本的な方針としております。
当社グループの資金需要のうち主なものは、運転資金、設備投資資金等であり、必要資金の調達については、自己資金を主とし、運転資金の一部を短期借入金やコマーシャル・ペーパーによって、設備資金等の長期資金の一部を長期借入金や社債によって外部調達しております。
資金の流動性については、適正な水準の現預金を保持した上で、不測の事態に対応するため、取引金融機関と貸出コミットメント契約を締結することで流動性を確保しております。なお、新型コロナウイルス感染拡大の影響によるリスクへの対応として、2020年3月より現預金の水準を引き上げており、事態が収束するまでは、この対応を継続する予定です。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に準拠して作成されております。連結財務諸表の作成にあたっては、重要な会計方針と合理的と考えられる見積りに基づき、収益、費用、資産、負債の計上について判断しております。
当社グループの連結財務諸表の作成においては、例えば一般債権に対する貸倒引当金の引当については主として過去の貸倒実績率を、繰延税金資産の計上については将来の税務計画を、退職給付債務については、昇給率、割引率などを使用して見積っておりますが、見積りにつきましては不確実性があるため、実際の結果と異なる場合があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
なお、当社は、新型コロナウイルス感染拡大の影響が、2020年度第2四半期(2020年7月1日から2020年9月30日まで)以降徐々に収束に向かい、第3四半期(2020年10月1日から2020年12月31日まで)以降は正常化するとの前提に基づいて、会計上の見積りをおこなっておりますが、新型コロナウイルス感染症拡大による影響は、世界経済に与える影響をはじめ不確定要素が多いことから、翌連結会計年度の当社の財政状態、経営成績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(a)固定資産(のれんを含む)
当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産または資産グループについて、当該資産または資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローを見積り、その総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、減損損失として計上しております。将来キャッシュ・フローの見積りにあたっては、事業計画をもとに最新の事業環境に関する情報等を反映しているほか、必要に応じて外部専門家による評価を活用しております。
減損損失の認識及び測定に当たっては、慎重に検討をおこなっておりますが、将来の予測不能な事業環境の著しい悪化等により見直しが必要となった場合、減損損失が発生する可能性があります。
(b)繰延税金資産の回収可能性
繰延税金資産の回収可能性は、収益力もしくはタックス・プランニングに基づく将来の課税所得の十分性により判断しており、課税所得の算定にあたっては、各納税主体の事業計画をもとに最新の事業環境に関する情報等を反映し見積っております。
当該見積り及び当該仮定について、将来の予測不能な経営環境の著しい悪化等により見直しが必要となった場合、評価性引当額が変動し損益に影響を及ぼす可能性があります。
(c)退職給付債務の算定
当社グループでは、簡便法を採用している連結子会社を除き、確定給付制度の退職給付債務および関連する勤務費用について、数理計算上の仮定を用いて算定しております。数理計算上の仮定には、割引率、昇給率、期待運用収益率等の計算基礎があり、これらの計算基礎については、例えば期待運用収益率であれば前提となる企業年金の運用方針などを、定期的かつ合理的な見直しをおこなっております。
当該見積り及び当該仮定について、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、退職給付債務および関連する勤務費用が変動する可能性があります。
技術援助契約の概要
当社グループは、「チャレンジ&オープンイノベーション」をスローガンに、既存事業の強化、拡大を図るとともに、特に重点3分野である『ヘルスケア』『環境・エネルギー』『高付加価値インフラ』において、グローバルな視点で市場密着型の新しいニーズを把握し、複数の異種の技術の融合により、新たな価値、次世代新規事業・製品の創出を加速していきます。そのために、組織の境界、領域を超えたデンカグループ全体のシナジー効果を発揮すべく、グループの総合力を活かす研究開発を推進しております。
デンカイノベーションセンターを中核拠点として、多くの国内外産学官とのオープンイノベーションを推進しております。物質材料研究機構(NIMS)とのNIMS-Denka次世代材料研究センター、山形大学および新潟大学との包括共同研究を展開する等、引き続き積極的な外部連携強化を推進致します。
これらの研究開発、製品化をさらに加速するため、「研究推進部」と「新事業開発部」が緊密に連携し、社内外のオープンイノベーションを戦略的、効率的かつ、スピーディーに進めます。事業部門との連携をこれまで以上に強化し、市場の動向を直視し、次世代の市場ニーズに確実かつ迅速に対応することで、早期の実需化につなげたいと考えております。
また、研究開発ではESG(環境・社会・統治)の視点を常に意識し、国連が提唱する持続可能な開発目標(SDGs)の達成に貢献する研究テーマに注力致します。
当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は
当連結会計年度における各事業部門別の研究の目的、主要課題、研究成果および研究開発費は次のとおりであります。
(1)エラストマー・機能樹脂
クロロプレンゴム、ERゴムなどのエラストマー分野においては、海外市場を含めた事業拡大のために、スペシャリティー製品の開発および生産技術の強化を進めております。特にクロロプレンゴムは世界トップシェア維持を確実なものとすべく、従来の用途展開を推進するとともに、米国デンカパフォーマンスエラストマー(DPE)社と研究開発、生産技術を含む総合的なシナジーを推進しております。また、エラストマー加工技術を保有するデンカエラストリューション社との連携も強化しております。
また、透明樹脂、耐熱樹脂、シュリンクラベル用樹脂など、特長あるスチレン系機能性樹脂の分野では、生産技術の深耕、品質向上、新規用途展開並びに新規高機能性樹脂の開発をシンガポール子会社と一体となり推進しております。
さらに、新規用途展開のために、新しい重合技術やポリマーアロイ技術を駆使した新規高分子材料の開発にチャレンジし、高機能エラストマーや新規機能性樹脂の開発を進めております。エラストマー分野においては、耐油性や動的環境下での耐屈曲疲労性に優れる新規高機能エラストマーEvolmer®の市場開発を推進するとともに、アクリル系ではこれまで困難であった約190℃の温度領域下での耐熱性を具現化したアクリル系ベースの高耐熱特殊エラストマーを新たに開発致しました。
一方、機能樹脂分野においては、ABS樹脂の耐熱性付与剤であるデンカIP®に関して、塗装性等の特性に優れる新規グレードデンカIPXシリーズを開発し、本格販売を開始致しました。併せて、環境対応にフォーカスした各種研究テーマも推進しております。
当セグメントに係わる研究開発費は
(2)インフラ・ソーシャルソリューション
セメント・特殊混和材分野では、高温焼成反応などを活用した粉体合成技術と特性評価技術を基盤に、コンクリートの高機能化や建設構造物の長寿命化など社会の多様なニーズに応える研究開発を推進しております。二酸化炭素排出量を削減する環境対応製品の技術開発を進めており、さらに製品を使用・施工する機械を含めたトータルシステムの開発と事業化、また社会資本の維持補修に関する診断技術など、診断ソリューションの研究開発を進めております。特殊混和材は海外事業展開にも注力しており、主にアジア・欧州地域にて現地のニーズを吸い上げた製品開発を進めております。
無機製品分野では、JSP社のビーズ法発泡ポリスチレン技術と当社の無機材料設計技術との融合により、不燃性・遮熱性・断熱性を併せ持つ軽量・不燃ボードを共同開発し、木造多層建築や他の構造物等への適用を目指しております。
アグリプロダクツ分野では従来の肥料事業のみならず、次世代農業資材の開発から圃場の維持管理技術、栽培技術および施肥技術をベースにした農業ソリューションビジネスへの展開を目指しております。また、農産物の生産拡大を支援するバイオスティミュラント製品の開発においては、肥料「アヅミン」の製造販売で蓄積した技術を基盤に、腐植酸製品の更なる高機能化を推進しております。
当セグメントに係わる研究開発費は
(3) 電子・先端プロダクツ
電子部材分野では、市場の伸びが期待されるパワーモジュール、車両電動化向けなどの電子回路基板や放熱材料について、当社固有のセラミックス技術や有機・無機ハイブリッド材料技術をさらに進化させ、多様なニーズに合致するソリューションを提供すべく各種高機能材料や部材の研究開発を産学官と連携し推進しております。
接着剤分野では、ハードロックSGA(高機能構造用接着剤)の積極的な海外展開を含め、新グレード、新規用途開発を推進するとともに、ハードロックOP/UVでは紫外線硬化技術を応用した特殊高機能接着剤の新製品開発や有機EL製造プロセスへの適用など新規市場開拓にも注力しております。
高機能フィルム分野では、当社が保有する樹脂素材技術、無機・有機複合材料設計技術に加え、シートやフィルムの先端加工技術を活かし、電子部品・半導体搬送テープ、半導体ウェハやパッケージの保護・仮固定用粘着テープなど、市場における最先端ニーズに対応した新規製品をタイムリーに市場に供給すべく開発を進めております。
先端機能材料分野では、半導体封止材向け球状シリカ、放熱材料向け球状アルミナの高性能化や5Gを想定した新素材の開発を行うとともに、液晶ディスプレイに用いる白色LED向けサイアロン蛍光体や放熱材料に加え化粧品用途への展開が進むBN粉の更なる特性向上など、先進的な各種機能性セラミックス粉体の開発を推進しております。
特殊導電材料分野では、高純度で導電性に優れるアセチレンブラックのリチウムイオン二次電池市場での事業拡大を目指し、最先端ニーズに対応した超高純度かつ高機能な新製品の開発と事業化に取り組んでおります。また、国内外の研究機関とのオープンイノベーションを進め、開発促進を図っております。
当セグメントに係わる研究開発費は
(4)生活・環境プロダクツ
生活・環境に関わる各分野に展開する樹脂加工製品においては、工業用、産業用高機能性フィルム・シート、工業用や自動車用の高機能テープ、市場のトレンドにマッチした頭髪用合成繊維、食品包装用の耐油性透明シート、電子レンジ対応容器等に用いる耐熱性透明シートなどの製品群の開発を引き続き推進しております。
また、コーポレート研究所であるポリマー・加工技術研究所を中核拠点として、配合技術による機能性付与や、シート・フィルムの製膜、多層成形、ラミネーション、精密塗工など各種加工技術の高度化を推進するなど、当社グループ全体のポリマー・加工技術の研究開発を加速するとともに、関連グループ会社との連携を強化しております。これにより当社グループの樹脂加工製品の新規用途展開、特性改善、および新製品開発を積極的に進め、更なる事業拡大を図っております。
本事業分野のうち、特に食品包装材料分野においては、環境負荷低減ニーズに対応し、シートの薄肉化、バイオマス材料の活用等を含めた各種新規製品の開発を進めております。
当セグメントに係わる研究開発費は
(5) ライフイノベーション
ヘルスケア分野では、ライフイノベーション研究所(東京都町田市)、デンカ生研(新潟県五泉市)、Denka Life Innovation Research (DLIR, シンガポール)およびIcon Genetics(独)の4拠点体制で、(ポテンシャル)ニーズ優先の研究開発に取り組んでおります。グローバルな視点で最先端の技術を積極的に導入しつつ、スペシャリティー事業の成長加速化を進めるため、予防・早期診断の取り組みに加えて、がん領域および遺伝子領域をキーワードとする新規事業展開のための研究開発を推進しております。
当社グループでは、2017年2月に米KEW社から導入したがん遺伝子変異検査技術について、薬事承認申請をめざした取り組みを、デンカ、KEW社、および両社のJVであるデンカ・キュー・ジェノミクスの連携により進めております。これに加えて、九州大学に共同研究部門を設置して、次世代がんゲノム検査につながる研究を開始致します。またデンカ生研では、ウイルス製剤「G47Δ(デルタ)」の製造設備が竣工し、実用化へ向けた大量生産法の開発を進めております。これにより、がんウイルス療法という新たな医療技術の開拓を進めます。
さらに、戦略的パートナーである台湾PlexBio社の保有する迅速かつ簡便に同時多項目の細菌同定を可能とする測定技術IntelliPlexTMを活用し、感染症領域での遺伝子検査システムの開発を推進しており、敗血症の検査薬は2022年度の上市を目標に取り組んでおります。
また、Icon Genetics社が保有する、遺伝子組み換え技術を駆使した植物によるタンパク産生技術magnICON ®を抗体・ワクチン抗原等の高分子タンパク質産生に活用し、ノロウィルスワクチン等の新規ワクチンや体外診断用医薬品の開発を進めております。同技術の将来展開を見据え、Icon社周辺に新施設建設用地を確保致しました。
既存技術周辺においても、当社グループの開発リソースを集結させ、高品質ワクチンの開発、および感染症検査試薬や健康管理に欠かせない臨床生化学検査試薬や免疫検査試薬の新技術、新製品開発を推進しております。感染症分野では、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の診断のために、抗原や抗体を迅速かつ簡易に検出するキットなどの開発に注力しております。
当セグメントに係わる研究開発費は
(6)その他事業
産業設備の設計・施工等を行なっているデンカエンジニアリング㈱では効率的な粉体の空気輸送設備の技術開発や廃水設備等の研究開発をおこなっている他、各事業所に設置している生産技術部を中心に、デジタル技術を活用して生産性向上について検討する等、研究段階から事業化を見据えたプロセス設計、開発の充実を図っております。
その他事業に係わる研究開発費は