(経営方針、経営環境及び対処すべき課題)
当社は、企業理念“The Denka Value”を実現すべく、5ヵ年の経営計画「Denka Value-Up」を2018年度より強力に推進しております。4年目である2021年度の具体的な取り組みについて、その一例をご紹介いたします。
まず、「環境・エネルギー」分野では、大牟田工場に50億円の戦略投資を行い、次世代の高機能球状フィラー製造設備を増強することを決定いたしました。これにより、第5世代移動通信システムである5Gや次世代自動車であるxEV向け機能性フィラー製品群を拡充いたします。また、5G・xEV向けでは放熱シートについても新規生産設備を渋川工場に導入し、生産能力を約2倍に増強することを決定いたしました。今後は、同工場を大牟田工場とともに電子材料の中核生産拠点と位置づけ、自動生産プロセスの導入や、同工場内にある研究開発部門を強化し、車載・通信で求められる高熱伝導性・高耐熱性等を持ち合わせた次世代スペシャリティー製品の開発にも注力いたします。さらに、シンガポールの子会社において、2022年4月に放熱材料向け球状アルミナの生産設備が竣工し、本格稼働を開始するとともに、5月には半導体封止材向け充填用フィラーとして使用される球状シリカの生産能力を増強することも決定いたしました。当社は、このように「環境・エネルギー」分野において、国内・海外生産拠点の一層のスペシャリティー化を推進しております。
次に、「ヘルスケア」分野では、当社が東京大学医科学研究所の藤堂具紀教授とともに商用製剤生産技術の開発を進めてきたがん治療用ウイルスG47Δ(デルタ)製剤「製品名;デリタクト®注」(一般名:テセルパツレブ)について、2021年11月より第一三共株式会社が国内での販売を開始いたしました。当社は同社より委託を受けて本製剤の製造を担ってまいります。また、五泉事業所・新潟工場に、インフルエンザワクチンの原液を製造する新棟が竣工し、2022年3月より稼働を開始しております。これにより、生産能力が倍増し、市場にいち早く多くのワクチンを供給できる体制を確立いたしました。さらに、同事業所・鏡田工場に、約110億円の戦略投資を行い、世界の感染症対策に貢献すべく抗原検査キットを含む検査試薬製品の生産能力増強およびデジタライゼーションによるコスト競争力強化を図ることも決定いたしました。
2021年度は、引き続き新型コロナウイルスの影響を大きく受けた1年でした。さらに、2022年2月にはロシアによるウクライナへの侵攻もあり、世界的にサプライチェーンの混乱に拍車がかかりましたが、当社は、上述の通り、経営計画「Denka Value-Up」における取り組みを着実に推進した結果、期初の目標には及ばなかったものの、営業利益は2期連続で過去最高益を更新することができました。
2022年度はいよいよ経営計画「Denka Value-Up」の最終年度となります。今までの4年間で積み上げてきた成果を基盤として、2021年度より新たに取り組んでいる「3つのValue-Up」に引き続き注力してまいります。
1つ目は、「事業Value-Up」です。常にメガトレンドを意識し、「Denka Value-Up」の中核戦略である「スペシャリティー化」を、それぞれの事業分野において追求するとともに、事業ポートフォリオの最適化を推進いたします。
2つ目は、「環境Value-Up」です。環境負荷低減を経営の根幹と位置づけ、2030年に温室効果ガス排出量50%削減(2013年比)、2050年のカーボンニュートラル達成を目指しております。そのために、事業ポートフォリオ改革、製造プロセス革新、再生可能エネルギーの導入拡大等の施策を着実に進めてまいります。
3つ目は、「人財Value-Up」です。「仕事をすることにより成長が実感できる会社」を目指し、研修制度の充実化、職場環境の整備、ダイバーシティ推進等の施策を実施してまいります。
前述の通り、2022年度は経営計画「Denka Value-Up」の最終年度を迎えます。5年間の集大成として、最後の直線を全社が一丸となって走りぬくとともに、SDGsを羅針盤に「誰よりも上手な仕事で全ての人がより良く生きる世界をつくる、社会にとってかけがえのない企業」となることを目指してまいります。
※「デリタクト」は第一三共株式会社の登録商標です。
◇The Denka Value(企業理念)
The Denka Value(企業理念)は、最上位としての「Denkaの使命(Denka Mission)」と、グループ社員一人ひ
とりが行動する上での規範となる「Denkaの行動指針(Denka Principles)」から構成されます。
The Denka Valueは経営企画を含むすべての企業活動の上位概念であり、当社は、このThe Denka Valueを実践することで、社会からの期待と信頼に応えることを目指しております。
・Denkaの使命(Denka Mission)
*コーポレートスローガン:「できるをつくる。」「Possibility of Chemistry.」
・Denkaの行動指針(Denka Principles)

(ご参考)
経営計画「Denka Value-Up」 ~Specialty-Fusion Companyを目指して~
2017年11月、デンカは2018年度から2022年度までの5ヵ年の経営計画「Denka Value-Up」を策定いたしました。
前経営計画「Denka100」では、「生産体制の最適化」「徹底したコストの総点検」「成長ドライバーへの集中と次世代製品開発」の3つの成長戦略を立て、重点分野である「健康、環境・エネルギー、インフラ」を中心に、計画前と比べて着実に成長への種まきとして積極的な投資を行い、個々の事業の収益力向上の基盤固めを進めてきました。
新経営計画「Denka Value-Up」では、企業の成長持続に必要不可欠な「安全最優先」「環境への配慮」「人財の育成・活用」「社会貢献」を基本精神に掲げ、グローバルで飛躍的な成長を遂げるための新たな成長戦略により、当社が「スペシャリティーの融合体“Specialty-Fusion Company”」となり、持続的且つ健全な成長を目指します。
また、2021年5月には「Denka Value-Up」の中間レビューを行い、今後2年間で注力する取り組みと、2022年度の数値目標を決定いたしました。
経営計画「Denka Value-Up」中間レビューの概要
<数値目標>
・営業利益・利益率・スペシャリティー化率:

<スペシャリティーの定義>
・ESGの取り組みに整合し、独自性と高付加価値を兼ね備え、外部環境に左右されにくくトップクラスのシェ
アを有する事業、及び近い将来その可能性を有する事業。
・なおヘルスケア、環境・エネルギー、高付加価値インフラの重点3分野に加え、18年度より機能樹脂を中心とし
た基盤事業のスペシャリティー化を図っている。
<利益配分>
・投資:戦略投資を積極的に推進
5カ年計画:2,000億円(戦略投資750億円・通常投資1,250億円)
5カ年見込:2,100億円(戦略投資850億円・通常投資1,250億円)
・株主還元:2021年度、2022年度も当初計画通り「総還元性向50%を基準とする」を継続
※総還元性向=(配当+自己株式取得)÷連結当期純利益
<当社のありたい姿実現に向けた今後2年間の取り組み>
デンカでなければ出来ない方法で、SDGs を羅針盤とした様々な社会課題の解決に挑戦し、社員とステークホルダーが誇りに思い、「社会にとってかけがえのない存在」となる、その第一歩として、3つの「Value-Up」の取り組みに注力する。
Ⅰ.事業Value-Up
「誰よりも上手にできる仕事への集中」によるポートフォリオ変革と、更なるスペシャリティー化の実現
(1) ポートフォリオ変革
① スペシャリティー事業の成長加速
② 基盤事業のスペシャリティー化・コモディティー事業の位置付け再定義
再構築が必要な事業については、残り2年間で確実にポートフォリオ変革の目途を付ける。
(2)革新的プロセス
Ⅱ.環境Value-Up
経営の根幹に環境経営を位置付け、温室効果ガス排出量2030年度に50%削減(2013年度比)、2050年度カーボンニュートラル実現を追求
<取り組み>
① ポートフォリオ変革
② クリーンエネルギー利用拡大や高効率ガスタービン発電の導入
③ 環境貢献製品や環境負荷低減技術
④ CCUS(二酸化炭素の回収・貯留・有効利用技術)の開発と実装展開
⑤ ケミカルリサイクル技術
⑥ 製品ライフサイクル(LCA)全体の温室効果ガス排出量削減
Ⅲ.人財Value-Up
人財教育、ダイバーシティ、健康などの人財戦略を最重要と位置付け、社員が働きがいや仕事を通じた成長を実感出来る企業に
<取り組み>
① 「スペシャリティー人財の確保」、「ダイバーシティの推進」「働き方改革」のKPI 設定
② 評価・採用・育成・労働環境等の制度改革
③ 将来の経営幹部候補早期育成への人財教育と大胆な組織・人財の新陳代謝
④ 健全な成長に向け、社員が存分に能力を発揮できる環境づくり等、健康経営の推進
※文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであり、その達成を保証するものではありません。
(株式会社の支配に関する基本方針)
当社は、当社の企業理念である“The Denka Value”のもと、収益力や業容の拡大による事業基盤の強化を図る一方、社会の信頼と共感を得られる企業であり続けようとする姿勢をさらに徹底することで、中長期的な観点から当社の企業価値ひいては株主共同の利益を向上させるよう努めております。
また、この基本方針のもと、経営計画「Denka Value-Up」(2018年度から5年間)を策定し、持続的かつ健全な成長の実現に取り組んでおります。
当社は、いわゆる買収防衛策は定めておりませんが、当社の企業価値を毀損するおそれのある大量買付けや、これに応じるか否かを判断するために株主の皆様に十分な情報と時間が提供されない大量買付けなどについては、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を損ねることのないよう、法令等、金融商品取引所の規則などが認める範囲内において適切に対応してまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。ただし、ここに記載した事項は、当社グループに関する全てのリスクを網羅したものではなく、現時点では予見出来ないまたは重要と見なされていないリスクの影響を将来的に受ける可能性があります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)外部事業環境等
当社グループの経営成績は、自動車や電子部品などの需要動向により影響を受けるほか、原油や基礎石油化学製品などの原燃料市況ならびに為替相場の変動の影響を受ける可能性があります。当社グループは、経営計画「Denka Value-Up」の成長戦略に基づき、事業のスペシャリティー化を推進し、外部環境に左右されにくい企業体質への転換を進めております。
(2)品質、製造物責任
当社グループは、社会および顧客の信頼を第一に考え、安心して使用できる製品の提供のため、各事業セグメントに品質保証部門をそれぞれ設置し、当社および主要子会社における全事業所の対象製品において継続的な品質改善に努め、ISO品質マネジメントシステム規格の認証を取得するなど、万全の対策を講じております。しかしながら、製品やサービスの提供は高度かつ複雑な技術の集積であり、また原材料の外部調達もあることなどから品質保証の管理は複雑化しております。当社グループの製品やサービスに予期せぬ品質問題が発生した場合は当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(3)事故・自然災害
当社グループは、安全最優先をすべての事業活動の基盤と位置付けており、リスクアセスメントの統一基準整備と現場への展開、安全対策に関わる設備投資の推進、安全教育施設の充実と教育者の育成など、すべての現場で災害を起こさないための総合的な対策を進めております。しかしながら、重大な産業事故や、地震、気候変動による急性の豪雨および大型台風などの自然災害が発生した場合、従業員や第三者への人的、物的な損害、生産設備の損壊や生産停止等が生じるリスクがあり、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(4)環境
当社グループは、環境に関する各種法律、規制を遵守するとともに、パリ協定および日本政府が掲げる目標を念頭に、2050年のカーボンニュートラル達成に向けた温室効果ガスの排出量削減に関する中長期目標を定め、自家水力発電所建設などを通じたクリーンエネルギーの利用拡大、温室効果ガスを回収・固定化・有効利用する革新技術の開発、製品のライフサイクルを通じた地球温暖化ガスの排出削減、グループ各工場の環境負荷物質排出削減など、環境負荷の低減に取り組んでおります。しかしながら、環境に関する規制の強化やカーボンプライシング(炭素税・排出権取引)が発動された場合、事業活動の制限や対応費用の負担等が発生し、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(5)海外事業展開
当社グループは、アジア、米国、欧州等の国および地域に進出し、現地生産や販売をおこなうなど、海外展開を推進しております。海外での事業活動には予期できない法律や制度の変更、労使や人材確保の問題、テロや戦争などによる社会的混乱等のリスクが内在しており、これらのリスクが発生した場合、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(6)財務
当社グループは、将来の安定的な成長を持続するため、良好な財務バランスを維持することが重要と考えており、資金需要に見合った資金調達を行うことを基本的な方針としております。資金の流動性については、適正な水準の現預金を保持した上で、不測の事態に対応するため、取引金融機関と貸出コミットメント契約を締結することで流動性を確保しております。また、長期借入金の金利を固定化する等、金利変動リスクの低減を図っております。しかしながら、金融環境が急激に悪化した場合、資金調達リスクや金利の上昇等が発生し、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(7)固定資産の減損
当社グループは、固定資産の減損に係る会計基準を適用しております。当社グループが保有する固定資産について、事業環境の著しい悪化による収益性の低下等があった場合には、減損損失が発生し、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(8)訴訟等
当社グループは、倫理規定をはじめ各種社内規定に基づき、国内外の法令遵守はもちろんのこと、当社グループの社会における信頼を維持・確保することに努めておりますが、広範な事業活動を行う中で訴訟やその他の法律的手続きの対象となり、重要な訴訟等の提起を受けた場合には、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
なお、訴訟等については「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (2) その他 ② 訴訟」をご参照下さい。
(9)新型コロナウイルス等の感染症
当社グループは、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、顧客、従業員、関係先等の安全・安心を第一に考え、国内の事業所においては政府指導に基づいたテレワーク(在宅勤務)の原則化等の対応のほか、海外の事業所では各国の状況にあわせた感染防止対策をおこなっております。
今後、事態の長期化または更なる感染拡大が進行した場合には、ロックダウンなどによる活動の制限、サプライチェーンの停滞、世界経済の悪化などにより、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(10)ロシア・ウクライナ情勢
当社グループはESG基本方針に則り、人権の尊重やサステナビリティの観点から、ロシア・ウクライナ情勢に対する国際社会の動きや日本政府の方針を尊重すると共に、日本政府を含むステークホルダーと建設的な対話に努め、適切に対応してまいります。
今後、現下の情勢が長期化した場合には、一部原料の調達難に伴う操業への影響、およびナフサ・天然ガス・石炭など原燃料価格の継続的な高騰などにより、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
その他、国内外の経済・政治情勢、技術革新、株式相場の変動、繰延税金資産の取崩し等が、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。
当期のわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の再拡大により個人消費や輸出などで一進一退の状況が続き、景気は力強さに欠ける動きとなりました。また、世界経済は、依然として感染症の影響が残るなか、全体としては回復に向かいましたが、年明け以降ロシアによるウクライナ侵攻の影響により資源価格が高騰したほか、物流の混乱も深刻化するなど、先行きに対する懸念が高まりました。
このような経済環境のもと、当社グループは、企業理念“The Denka Value”を実現すべく、3つの成長ビジョン「スペシャリティーの融合体」「持続的成長」「健全な成長」を掲げ、2018年度より5か年の経営計画「Denka Value-Up」における2つの成長戦略「事業ポートフォリオの変革」と「革新的プロセスの導入」を推進し、業容の拡大と収益性向上に注力いたしました。また、2021年度からの2年間では、次期経営計画のありたい姿へ飛躍するための大切な準備期間と位置づけ、「社会にとってかけがえのない存在」になるための第一歩として、「事業」「環境」「人財」に関する3つの「Value-Up」に取り組んでおります。
この結果、当期の業績は、感染症で落ち込んだ需要が全般的に回復したことに加え、重点成長事業の電子・先端プロダクツ製品や新型コロナウイルス抗原迅速診断キットが伸長し、販売数量が増加しました。このほか、原燃料価格の上昇に応じた販売価格の見直しを行い、売上高は3,848億49百万円と前年同期に比べ304億58百万円(8.6%)の増収となりました。利益面では、スペシャリティー製品の伸長により、営業利益は401億23百万円(前年同期比53億93百万円増、15.5%増益)と過去最高益となり、売上高営業利益率は10.4%(0.6ポイント増)となりました。また、経常利益は364億74百万円(前年同期比43億31百万円増、13.5%増益)、親会社株主に帰属する当期純利益は260億12百万円(前年同期比32億27百万円増、14.2%増益)となり、それぞれ過去最高を更新しました。
なお、2021年4月1日付で、報告セグメントを従来の5部門から「電子・先端プロダクツ部門」、「ライフイノベーション部門」、「エラストマー・インフラソリューション部門」、「ポリマーソリューション部門」の4部門に変更しており、当期の比較・分析は変更後の区分によって行っております。
セグメントの経営成績は、次の通りであります。
球状アルミナや高純度導電性カーボンブラックはxEV関連を中心に販売が伸長しました。また、電子部品・半導体関連分野向け高機能フィルムや球状溶融シリカフィラーは5G関連やデータセンターなどの世界的な需要の拡大により好調に推移しました。このほか、自動車産業用向けの金属アルミ基板“ヒットプレート”や工業用テープの販売は増加し、LED用サイアロン蛍光体“アロンブライト”の販売も概ね堅調となりましたが、高信頼性放熱プレート“アルシンク”は電鉄向けの需要が低調となりました。
この結果、当部門の売上高は901億52百万円(前年同期比124億3百万円(16.0%)増収)となり、営業利益は186億56百万円と前年同期に比べ44億46百万円(31.3%)の増益となりました。
新型コロナウイルスの抗原迅速診断キット“クイックナビ™-COVID19 Ag”は、感染症対策の一環として迅速な抗原検査体制の充実を図る厚生労働省の配布事業に供給したほか、年明け以降の感染症の再拡大により販売数量が増加しました。また、その他の試薬についても国内、輸出とも順調な販売となりました。一方、インフルエンザワクチンは、世界的な新型コロナウイルスワクチンの増産により生産用資材が不足したことに加え、ワクチン製造株の増殖性等の影響により生産数量が前年を下回ったことから、出荷が前年を下回りました。
この結果、当部門の売上高は460億98百万円(前年同期比31億51百万円(7.3%)増収)となり、営業利益は154億95百万円と前年同期に比べ6億58百万円(4.4%)の増益となりました。
クロロプレンゴムの販売は、世界経済の回復とともに産業用途や自動車用途など全般的に需要が増加に転じ前年を上回りましたが、米国の子会社デンカパフォーマンスエラストマー社はハリケーン「アイダ」による上流サプライチェーンの混乱があり、生産停止を余儀なくされるなど影響を受けました。また、セメントは原燃料価格高騰に対して価格転嫁が一部にとどまったほか、特殊混和材の販売も前年を下回りました。
この結果、当部門の売上高は1,068億79百万円(前年同期比150億27百万円(16.4%)増収)となり、34億73百万円の営業損失(前年同期は営業損失35億53百万円)となりました。
<ポリマーソリューション部門>
ABS樹脂、デンカシンガポール社のMS樹脂やスチレンモノマーの販売は堅調に推移しました。また、合繊かつら用原糸“トヨカロン”や雨どい、食品包材用シートおよびその加工品の販売は概ね順調となりました。
この結果、当部門の売上高は、原材料価格の上昇に応じた販売価格の見直しもあり、1,265億78百万円(前年同期比166億94百万円(15.2%)増収)となり、営業利益は79億5百万円と前年同期に比べ4億94百万円(5.9%)の減益となりました。
YKアクロス株式会社等の商社は、需要の回復により取扱高は増加しましたが、収益認識に関する会計基準の適用により減収となりました。
この結果、当部門の売上高は151億40百万円(前年同期比168億18百万円(52.6%)減収)となり、営業利益は19億4百万円と前年同期に比べ11億85百万円(165.0%)の増益となりました。
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ316億10百万円増加の5,576億46百万円となりました。流動資産は、棚卸資産の増加などにより前連結会計年度末に比べ174億37百万円増加の2,181億64百万円となりました。固定資産は有形固定資産の増加などにより、前連結会計年度末に比べ141億72百万円増加の3,394億82百万円となりました。
負債は、仕入債務の増加などにより、前連結会計年度末に比べ95億53百万円増加の2,655億52百万円となりました。
非支配株主持分を含めた純資産は前連結会計年度末に比べ220億57百万円増加の2,920億94百万円となりました。
以上の結果、自己資本比率は前連結会計年度末の50.8%から51.7%となり、1株当たり純資産は3,101円92銭から3,345円34銭となりました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、202億9百万円となり、前連結会計年度末と比べ57億円の減少となりました。なお、当連結累計期間におけるキャッシュ・フローの状況は以下のとおりです。
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益の増加などにより、426億30百万円の収入となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、設備投資の支払などにより、368億39百万円の支出となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、株主還元による支払などにより、123億41百万円の支出となりました。
なお、キャッシュ・フロー指標のトレンドは以下のとおりです。
自己資本比率………………………………自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率………………株式時価総額/総資産
債務償還年数………………………………有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ……営業キャッシュ・フロー/利息支払額
(注) 1.いずれの指標も連結ベースの財務数値により算出しております。
2.株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。
3.有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。
当社グループの生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様ではなく、また受注生産形態をとらない製品がほとんどであるため、セグメントごとに生産規模および受注規模を金額あるいは数量で示すことは行っておりません。
このため「生産、受注及び販売の実績」については、「①財政状態及び経営成績の状況」におけるセグメントの経営成績に関連付けて記載しております。
文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当社グループの当連結会計年度における財政状態及び経営成績は、国内では、新型コロナウイルス感染症の再拡大により個人消費や輸出などで一進一退の状況が続き、景気は力強さに欠ける動きとなりました。また、世界経済は、依然として感染症の影響が残るなか、全体としては回復に向かいましたが、年明け以降ロシアによるウクライナ侵攻の影響により資源価格が高騰したほか、物流の混乱も深刻化するなど、先行きに対する懸念が高まりました。
このような経済環境のもと、当社グループは、企業理念“The Denka Value”を実現すべく、3つの成長ビジョン「スペシャリティーの融合体」「持続的成長」「健全な成長」を掲げ、2018年度より5か年の経営計画 「Denka Value-Up」における2つの成長戦略「事業ポートフォリオの変革」と「革新的プロセスの導入」を推進し、業容の拡大と収益性向上に注力いたしました。また、2021年度からの2年間では、次期経営計画のありたい姿へ飛躍するための大切な準備期間と位置づけ、「社会にとってかけがえのない存在」になるための第一歩として、「事業」「環境」「人財」に関する3つの「Value-Up」に取り組んでおります。
この結果、当期の業績は、感染症で落ち込んだ需要が全般的に回復したことに加え、重点成長事業の電子・先端プロダクツ製品や新型コロナウイルス抗原迅速診断キットが伸長し、販売数量が増加しました。このほか、原燃料価格の上昇に応じた販売価格の見直しを行い、売上高は増収となりました。利益面では、スペシャリティー製品の伸長により、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益は、それぞれ過去最高を更新しました。
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識および分析・検討内容は、以下のとおりであります。なお、2021年4月1日付で、報告セグメントを従来の5部門から「電子・先端プロダクツ部門」、「ライフイノベーション部門」、「エラストマー・インフラソリューション部門」、「ポリマーソリューション部門」の4部門に変更しており、当期の比較・分析は変更後の区分によって行っております。
電子・先端プロダクツ部門は、球状アルミナ、高純度導電性カーボンブラックがxEV関連を中心に販売が伸長し、電子部品・半導体搬送用部材の高機能フィルムや球状溶融シリカフィラーが5G関連やデータセンターの世界的な需要拡大により好調に推移したことなどにより、大幅な増益となりました。
ライフイノベーション部門は、インフルエンザワクチンの出荷が前年を下回ったものの、新型コロナウイルスの抗原迅速診断キット“クイックナビ™-COVID19 Ag”やその他検査試薬の販売数量が前年を上回ったことなどにより、増益となりました。
エラストマー・インフラソリューション部門は、クロロプレンゴムの販売が世界経済の回復とともに需要が増加に転じ前年を上回りましたが、米国の子会社デンカパフォーマンスエラストマー社におけるハリケーン「アイダ」による影響や、セメントが原燃料価格高騰に対して価格転嫁が一部にとどまったことなどにより、前年に引き続き営業損失となりました。
ポリマーソリューション部門は、ABS樹脂、MS樹脂やスチレンモノマーの販売が堅調に推移し、また原材料価格の上昇に応じた販売価格の見直しもあり、前年並みの利益となりました。
当社グループの当連結会計年度におけるキャッシュ・フローは、営業活動によるキャッシュ・フローは426億30百万円の収入となりましたが、経営計画「Denka Value-Up」における2つの成長戦略である「事業ポートフォリオの変革」と「革新的プロセスの導入」にもとづく積極的な投資による支出をおこない、また株主還元方針にもとづく配当を実施した結果、当連結会計年度末のネット有利子負債残高は前連結会計年度末に比べ45億41百万円増加し1,168億22百万円となりました。なお、自己資本比率は51.7%、ネットD/Eレシオは0.40倍と引き続き良好な財政状態を維持しているものと判断しております。
資本の財源及び資金の流動性については、当社グループでは将来の安定的な成長を持続するため、良好な財務バランスを維持することが重要と考えており、資金需要に見合った資金調達を行うことを基本的な方針としております。
当社グループの資金需要のうち主なものは、運転資金、設備投資資金等であり、必要資金の調達については、自己資金を主とし、運転資金の一部を短期借入金やコマーシャル・ペーパーによって、設備資金等の長期資金の一部を長期借入金や社債によって外部調達しております。
資金の流動性については、適正な水準の現預金を保持した上で、不測の事態に対応するため、取引金融機関と貸出コミットメント契約を締結することで流動性を確保しております。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に準拠して作成されております。連結財務諸表の作成にあたっては、重要な会計方針と合理的と考えられる見積りに基づき、収益、費用、資産、負債の計上について判断しております。
当社グループの連結財務諸表の作成においては、例えば一般債権に対する貸倒引当金の引当については主として過去の貸倒実績率を、繰延税金資産の計上については将来の税務計画を、退職給付債務については、昇給率、割引率などを使用して見積っておりますが、見積りにつきましては不確実性があるため、実際の結果と異なる場合があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、主なものは以下のとおりであります。
なお、新型コロナウイルス感染症拡大の影響については、その収束時期等を正確に予想することが困難ではありますが、当社グループは、翌連結会計年度においても一定の影響が継続するとの前提に基づいて会計上の見積りをおこなっております。しかしながら、新型コロナウイルス感染症拡大による影響は、世界経済に与える影響をはじめ不確定要素が多いことから、翌連結会計年度の当社の財政状態、経営成績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(a)固定資産(のれんを含む)
当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産または資産グループについて、当該資産または資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローを見積り、その総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、減損損失として計上しております。また、年次の減損テストが必要な場合、のれんを含む資産グループの公正価値を算定し、その帳簿価額が公正価値を超過する場合には、公正価値まで減額を行います。将来キャッシュ・フローの見積りにあたっては、事業計画をもとに最新の事業環境に関する情報等を反映しているほか、必要に応じて外部専門家による評価を活用しております。
減損損失の認識及び測定に当たっては、慎重に検討をおこなっておりますが、将来の予測不能な事業環境の著しい悪化等により見直しが必要となった場合、減損損失が発生する可能性があります。
(b)繰延税金資産の回収可能性
繰延税金資産の回収可能性は、収益力もしくはタックス・プランニングに基づく将来の課税所得の十分性により判断しており、課税所得の算定にあたっては、各納税主体の事業計画をもとに最新の事業環境に関する情報等を反映し見積っております。
当該見積り及び当該仮定について、将来の予測不能な経営環境の著しい悪化等により見直しが必要となった場合、評価性引当額が変動し損益に影響を及ぼす可能性があります。
(c)退職給付債務の算定
当社グループでは、簡便法を採用している連結子会社を除き、確定給付制度の退職給付債務および関連する勤務費用について、数理計算上の仮定を用いて算定しております。数理計算上の仮定には、割引率、昇給率、期待運用収益率等の計算基礎があり、これらの計算基礎については、例えば期待運用収益率であれば前提となる企業年金の運用方針などを、定期的かつ合理的な見直しをおこなっております。
当該見積り及び当該仮定について、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、退職給付債務および関連する勤務費用が変動する可能性があります。
技術援助契約の概要
当社グループは、「チャレンジ&オープンイノベーション」をスローガンに、既存事業の強化、拡大を図るとともに、特に重点3分野である『ヘルスケア』『環境・エネルギー』『高付加価値インフラ』において、グローバルな視点で市場密着型の新しいニーズを把握し、複数の異種技術の融合により、新たな価値、次世代新規事業・製品の創出を加速していきます。そのために、組織の境界、領域を超えたデンカグループ全体のシナジー効果を発揮すべく、グループの総合力を活かす研究開発を推進しております。
デンカイノベーションセンターを中核拠点として、多くの国内外産学官とのオープンイノベーションを推進しております。物質材料研究機構(NIMS)とのNIMS-Denka次世代材料研究センター、山形大学および新潟大学との包括共同研究を展開する等、引き続き積極的な外部連携強化を推進致します。
これらの研究開発、製品化をさらに加速するため、「研究推進部」と「新事業開発部」が緊密に連携し、社内外のオープンイノベーションを戦略的、効率的且つ、スピーディーに進めます。事業部門との連携をこれまで以上に強化し、市場の動向を直視し、次世代の市場ニーズに確実かつ迅速に対応することで、早期の実需化につなげたいと考えております。
また、ESG(環境・社会・統治)の視点を常に意識し、国連が提唱する持続可能な開発目標(SDGs)を羅針盤として研究開発に注力致します。
当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は
当連結会計年度における各事業部門別の研究の目的、主要課題、研究成果および研究開発費は次のとおりであります。
(1)電子・先端プロダクツ
電子部材分野では、市場が拡大するパワーモジュール、車両電動化向けなどの電子回路基板や放熱材料について、当社固有のセラミックスの開発技術や有機・無機材料の複合化技術をさらに進化させ、多様なニーズに合致するソリューションを提供すべく、高機能材料や新規部材の研究開発を産学官との連携も行いながら推進しております。
接着剤分野では、ハードロックSGA(高機能構造用接着剤)の新グレード、新規用途開発を推進するとともに、ハードロックOP/UVでは紫外線硬化技術を応用した特殊高機能接着剤の新製品開発や有機EL製造プロセスへの適用など新規市場開拓にも注力しております。
高機能フィルム分野では、当社保有の樹脂素材技術、有機・無機複合材料設計技術に加え、シートやフィルムの先端加工技術を活かし、電子部品・半導体搬送テープ、半導体ウェハやパッケージの保護・仮固定用粘着テープや5Gの伝送損失低減フィルムなど、最先端ニーズに対応した新規製品を供給すべく開発を進めております。
先端機能材料分野では、半導体封止材向け球状シリカ、放熱材料向け球状アルミナ等のフィラーの高性能化を行うとともに、液晶ディスプレイ・照明に用いるLED向けサイアロン蛍光体や放熱材料の特性向上に加え、5Gに対応する低誘電正接シリカなど先進的な各種機能性セラミックス粉体の開発を推進しております。
特殊導電材料分野では、高純度で導電性に優れるカーボンブラックのxEVに搭載されるリチウムイオン二次電池市場での事業拡大を目指し、最先端ニーズに対応した超高純度かつ高機能な新製品の開発と事業化に取り組んでおります。また、複数の研究機関とのオープンイノベーションを進め、開発促進を図っております。
当セグメントに係わる研究開発費は
(2)ライフイノベーション
ヘルスケア分野では、ライフイノベーション研究所(東京都町田市)、五泉事業所(新潟県五泉市)、Denka Life Innovation Research (シンガポール)、Icon Genetics(ドイツ)の4拠点体制で、(ポテンシャル)ニーズ優先の研究開発に取り組んでおります。グローバルな視点で最先端の技術を積極的に導入しつつ、スペシャリティー事業の成長加速化を進めるため、予防・早期診断の取り組みに加え、がん領域および遺伝子領域をキーワードとする新規事業展開のための研究開発を推進しております。
2017年2月に米KEW社から導入したがん遺伝子変異検査技術について、薬事承認申請をめざした取り組みを、デンカ、KEW社、および両社のJVであるデンカ・キュー・ジェノミクスの連携により進めております。これに加えて、新潟大学と情報科学を駆使したデータ解析に関する共同研究を実施したほか、九州大学と次世代がんゲノム検査につながる共同研究を進めております。
また五泉事業所では、がん治療用ウイルス製剤「G47Δ(デルタ)」の実用化へ向けた大量生産技術の開発を進め、6月に製造販売業者である第一三共株式会社が製造販売承認を取得いたしました。これにより、がんウイルス療法という新たな医療技術の開拓を進めます。
さらに、戦略的パートナーである台湾PlexBio社の保有する迅速かつ簡便に同時多項目の細菌同定を可能とする測定技術IntelliPlex™を活用し、感染症領域での遺伝子検査システムの開発を推進しており、敗血症の検査薬は2023年度の上市を目標に取り組んでおります。
また、Icon Genetics社が保有する、遺伝子組み換え技術を駆使した植物によるタンパク産生技術magnICON ®を抗体・ワクチン抗原等の高分子タンパク質産生に活用し、ノロウイルスワクチン等の新規ワクチンや体外診断用医薬品原料の開発を進めており、ノロウイルスワクチンにつきましては、欧州ベルギーにて実施していた治験第Ⅰ相が終了し、ワクチンの安全性と免疫原性が確認できました。また、同技術の将来展開を見据え、Icon社周辺に新施設を建設すべく引き続き検討を進めております。
既存技術周辺においても、当社グループの開発リソースを集結させ、高品質ワクチンの開発、および感染症検査試薬や健康管理に欠かせない臨床生化学検査試薬や免疫検査試薬の新技術・新製品開発を推進しております。感染症分野では、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の診断のために、抗原定性POCTを開発・上市し、更に高感度や短時間化などの改良を進めると共に抗体を検出するキットなどの開発に注力しております。
当セグメントに係わる研究開発費は
(3) エラストマー・インフラソリューション
クロロプレンゴム、ERゴムなどのエラストマー分野においては、海外市場を含めた事業拡大のために、スペシャリティー製品の開発および生産技術の強化を進めております。特にクロロプレンゴムは世界トップシェア維持を確実なものとすべく、独自の技術で差別化した新規グレードを開発してラテックス事業の拡大を推進するとともに、米国デンカパフォーマンスエラストマー(DPE)社との、研究開発、生産技術を含む総合的なシナジー効果による一体運営の強化を図っています。また、エラストマー加工技術を保有するデンカエラストリューション社との連携も強化しております。
セメント・特殊混和材分野では、従来からの鉄道や道路などのトンネル建設向けコンクリート混和材に加え、コンクリート製品の製造時に二酸化炭素を吸収・固定化できる環境対応技術、3Dプリンティングやコンクリート二次製品の生産性向上といった省力化に繋がる技術、老朽箇所を修繕し、構造物の長寿命化に貢献する技術といった、次世代型技術・製品の技術開発と事業化に注力しております。また社会資本の維持補修に関する調査・診断ソリューションの研究開発として、3Dデジタル計測技術を活用した文化財等を含む建築構造物の設計・維持管理への応用展開に取り組んでおります。
無機製品分野では、無機材料設計の基盤技術を応用し、結晶質アルミナ短繊維と多孔質セラミック材料を複合した耐火炉用高断熱ボードを開発し、事業化を進めております。また、JSP社のビーズ法発泡ポリスチレン技術と当社の無機材料設計技術を融合した、不燃性・遮熱性・断熱性を併せ持つ軽量・不燃ボードを共同開発し、木造多層建築物等への適用を目指しております。
アグリプロダクツ分野では次世代農業資材の開発から圃場の維持管理技術、栽培技術および施肥技術をベースにした農業ソリューションビジネスへの展開を目指しております。次世代農業資材としては、従来の肥料開発で蓄積した製品技術と、遺伝子発現解析技術を基盤とした、高機能性バイオスティミュラント製品の開発を推進しております。
当セグメントに係わる研究開発費は
(4)ポリマーソリューション
透明樹脂、耐熱樹脂、シュリンクラベル用樹脂など、特長あるスチレン系機能性樹脂の分野では、市場トレンドにマッチした新規用途展開並びに新規な高機能性樹脂の開発、そして更なる品質向上や生産技術の深耕をシンガポール子会社と一体となり推進しております。
さらに、新しい重合技術やポリマーアロイ技術を駆使した新規高分子材料の開発にチャレンジし、新規機能性樹脂の開発に取り組んでおります。
機能樹脂分野においては、ABS樹脂の耐熱性付与剤であるデンカIP®に関して、塗装性等の特性に優れる新規グレードデンカIPXシリーズを実績化しました。更に、他の樹脂系へ適用可能な新規耐熱性付与剤の開発を進めております。光学用途では、液晶テレビの高輝度化・高精細化に対応した導光板用透明樹脂の開発を推進中です。併せて、環境対応にフォーカスした各種研究テーマも進めております。
樹脂加工製品分野においては、市場のトレンドにマッチした頭髪用合成繊維、食品包装用の耐熱耐油性透明シート、電子レンジ対応容器等に用いる耐熱性透明シート、産業用高機能フィルムなどの製品群の開発を引き続き推進しております。
食品包装材料分野においては、環境負荷低減ニーズへの対応と食品容器としての更なる高機能化に注力しており、容器の軽量化に寄与する高強度薄肉シートを実績化しました。更に、バイオマス材料の活用等による各種環境対応新規製品、電子レンジ耐性や幅広い食材に対応可能な容器に寄与する製品、フードロス低減に対応した製品の開発を進めております。産業用高機能フィルム分野に関しても環境負荷低減ニーズに対応した製品の開発を進めています。頭髪用合成繊維分野に関しては、市場における最先端のトレンドにマッチした製品の開発を進めています。
当セグメントに係わる研究開発費は
(5) その他事業
産業設備の設計・施工等を行なっているデンカエンジニアリング㈱では効率的な粉体の空気輸送設備の技術開発や廃水設備等の研究開発をおこなっている他、各事業所に設置している生産技術部を中心に、デジタル技術を活用して生産性向上について検討する等、研究段階から事業化を見据えたプロセス設計、開発の充実を図っております。
その他事業に係わる研究開発費は