当第3四半期連結累計期間において、新たな事業等のリスクの発生、または、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更はありません。
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループ(当社および連結子会社)が判断したものであります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
当第3四半期連結累計期間のわが国経済は、個人消費や設備投資が上向くなど景気は持ち直しの動きがみられましたが、資源価格が一段と高騰したほか円安が急激に進行し、先行きに対する不透明感が高まりました。世界経済は、各国で物価の上昇が進み、ウクライナ危機の長期化や中国の経済活動抑制などもあり減速感が強まっています。
このような経済環境のもと、当社グループは、企業理念“The Denka Value”を実現すべく、3つの成長ビジョン「スペシャリティーの融合体」「持続的成長」「健全な成長」を掲げ、2018年度より5か年の経営計画「Denka Value-Up」における2つの成長戦略「事業ポートフォリオの変革」と「革新的プロセスの導入」を推進し、業容の拡大と収益性向上に注力いたしました。また、2021年度からの2年間では、次期経営計画のありたい姿へ飛躍するための大切な準備期間と位置づけ、「社会にとってかけがえのない存在」になるための第一歩として、「事業」「環境」「人財」に関する3つの「Value-Up」に取り組んでおります。
この結果、当第3四半期連結累計期間の業績は、数量面では世界経済減速の影響を受け、主力製品の一部で需要が減少しましたが、原材料価格の上昇に応じた販売価格の見直しを行ったほか円安による手取り増があり、売上高は3,087億33百万円と前年同期に比べ247億55百万円(8.7%)の増収となりました。
利益面では、原燃料価格の上昇に応じた販売価格の改定を行いましたが、スペシャリティー化進展のためのコスト増があり、営業利益は260億60百万円(前年同期比61億21百万円減、19.0%減益)となり、経常利益は237億36百万円(前年同期比63億61百万円減、21.1%減益)となりました。親会社株主に帰属する四半期純利益は、ポートフォリオ変革としてセメント事業からの撤退を決定したことから特別損失を計上し、88億42百万円(前年同期比140億69百万円減、61.4%減益)となりました。
<電子・先端プロダクツ部門>
高純度導電性カーボンブラックは需要が堅調に推移したほか、販売価格の改定により増収となり、窒化ケイ素もxEV向けの需要が堅調に推移いたしました。一方、電子部品・半導体関連分野向け高機能フィルムや球状溶融シリカフィラーは、パソコン、スマートフォンなどの民生向け需要の減少により販売数量が減少しました。また、球状アルミナの販売も、xEVや5G関連向けは堅調に推移しましたが、民生向けの需要が減少し全体では前年を下回りました。このほか、自動車産業用向けの金属アルミ基板“ヒットプレート”やLED用サイアロン蛍光体“アロンブライト”も前年を下回りました。
この結果、当部門の売上高は697億91百万円(前年同期比36億30百万円(5.5%)増収)となり、営業利益は137億53百万円と前年同期に比べ41百万円(0.3%)の減益となりました。
<ライフイノベーション部門>
インフルエンザワクチンの出荷は生産能力を増強したことから前年を上回りました。一方、新型コロナウイルスの抗原迅速診断キットおよびインフルエンザウイルスとの同時診断キットは、感染の拡大に加え、地方自治体を通じた高齢者施設への配布や家庭や職場でのスクリーニング検査など需要の裾野が拡大し出荷量が増加しましたが、保険点数引き下げにより価格が大幅に下落し減収となりました。
この結果、当部門の売上高は387億74百万円(前年同期比26億16百万円(7.2%)増収)となりましたが、営業利益は115億38百万円と前年同期に比べ4億1百万円(3.4%)の減益となりました。
<エラストマー・インフラソリューション部門>
当部門はウクライナ危機に端を発した原燃料価格上昇の影響を大きく受けました。クロロプレンゴムは販売数量が前年を下回りましたが、原燃料価格の上昇に応じた販売価格の改定を行いました。このほか、肥料の販売は前年を上回り、特殊混和材の販売は概ね前年並みとなりました。一方、セメントは原燃料価格の上昇に対して価格転嫁が一部にとどまりました。
この結果、当部門の売上高は945億30百万円(前年同期比169億96百万円(21.9%)増収)となり、21百万円の営業損失(前年同期は営業損失11億64百万円)となりました。
<ポリマーソリューション部門>
スチレン系製品は原燃料価格の上昇に応じた販売価格の改定を進めました。数量面では、ABS樹脂や透明樹脂は自動車減産や中国経済減速の影響を受け減少し、デンカシンガポール社のMS樹脂はテレビやモニター向けの需要が減少しました。このほか、スチレンモノマーは定期修繕によるコストの増加があり、食品包材用シートおよびその加工品、合繊かつら用原糸“トヨカロン”の販売は前年を下回りました。
この結果、当部門の売上高は938億99百万円(前年同期比11億82百万円(1.3%)増収)となり、10億87百万円の営業損失(前年同期は営業利益62億67百万円)となりました。
<その他部門>
YKアクロス株式会社等の商社は取扱高が概ね前年並みとなりました。
この結果、当部門の売上高は117億37百万円(前年同期比3億29百万円(2.9%)増収)となり、営業利益は21億7百万円と前年同期に比べ5億80百万円(38.1%)の増益となりました。
当第3四半期連結会計期間末の総資産は、前連結会計年度末に比べ598億96百万円増加の6,175億42百万円となりました。流動資産は、棚卸資産の増加などにより前連結会計年度末に比べ584億17百万円増加の2,765億81百万円となりました。固定資産は、前連結会計年度末に比べ14億79百万円増加の3,409億61百万円となりました。
負債は、有利子負債の増加などにより前連結会計年度末に比べ481億89百万円増加の3,137億41百万円となりました。
非支配株主持分を含めた純資産は前連結会計年度末に比べ117億7百万円増加して3,038億1百万円となりました。
以上の結果、自己資本比率は前連結会計年度末の51.7%から48.6%となりました。
(2) 経営方針・経営戦略等
2022年11月、当社は新たなビジョンと2023~2030年度までの8ヵ年を対象とする次期経営計画「Mission 2030」を策定いたしました。人財・経営価値を高め、スペシャリティ・メガトレンド・サステナビリティの3要素をそなえた事業価値創造に集中するとともに、財務・非財務の双方に重点を置いた戦略を実行し、「Mission 2030」の実現を目指してまいります。
<ビジョン>
「Mission 2030」策定にあたり、長期的な視点でデンカの存在意義を明確にするために、4つの未来世界「サステナビリティ」、「進化するテクノロジー」、「世界的な人口増加」、「揺らぐ秩序」を想定し、全従業員が自分ごと化できる新たなビジョンを策定しました。

<次期経営計画「Mission 2030」>
ビジョンにおけるミッション達成のために、「Mission 2030」では事業、人財、経営の3つの価値創造を推進して、企業価値向上につなげます。
<主な2030年KPI目標>
(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(4) 研究開発活動
当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、113億26百万円であります。
当第3四半期連結累計期間における研究開発活動の状況の重要な変更は、次のとおりであります。
当社は、次世代に向けた新事業創出活動の強化および既存事業の持続的な発展を目的として、2022年4月1日付で「新事業開発部門」を新設するとともに、全社の研究・新事業開発体制を再編しております。
2023年度からスタートする次期経営計画を見据えて、研究開発のゴールはあくまでも新事業開発であることを再認識し、「新事業開発部門」の傘下に、主に基礎研究を担当する「デンカイノベーションセンター」をはじめ、事業構想からコンセプト検証、インキュベーション、事業化までの一連のプロセスを一貫して遂行する組織を配置し、新事業開発における責任・運営体制の明確化を進めてまいります。
また、従来、既存事業のスペシャリティー化を担当してきた各研究部は、各事業部門の傘下とし、責任体制の明確化と開発のスピードアップを進めてまいります。
(当社のセメント販売事業の会社分割による当社完全子会社への承継及び当該子会社株式の譲渡)
当社は、2022年10月25日開催の取締役会において、当社のセメント販売事業を、吸収分割(以下「本吸収分割」)の方法により当社の100%子会社として新たに設立する完全子会社(以下「新会社」)に承継させた上で、新会社の全株式を太平洋セメント株式会社(以下「太平洋セメント」)に譲渡(以下「本株式譲渡」といい、本吸収分割及び本株式譲渡を総称して「本取引」といいます。)することを決定し、同日付で太平洋セメントとの間で株式譲渡契約書を締結いたしました。なお、併せて2025年上期を目途とした石灰石の自社採掘及びセメント製造事業からの完全撤退を決議しております。
(1) 本取引の目的
当社は1954年よりセメント事業に参入し、新潟県糸魚川市の青海工場にて、隣接する黒姫山の豊富な石灰石資源のうち、カーバイド向けに使用できない純度やサイズの石を有効活用し、セメントの製造・販売を行ってきました。また、カーバイドやクロロプレンゴム等の工場内他製品の製造時に発生する副産物を、セメント原料に有効活用することで、独自のカーバイドチェーンを構築し、製品の競争力向上や工場のゼロエミッションを追求するとともに、社外の廃棄物受け入れによる地域社会の資源リサイクルにも貢献してまいりました。
しかし、近年では当社セメント事業は、主要販売先の北信越地区をはじめ国内セメント需要が低調に推移しているとともに、老朽化した設備の更新やカーボンニュートラルに向けた大型投資が不可避という厳しい局面に立たされています。そのため、経営計画「Denka Value-Up」において事業再構築が必要なコモディティー事業と位置付け、構造改革を検討してまいりましたが、この度、当社単独運営による今後の事業維持・成長は困難との結論に至りました。
太平洋セメントの100%子会社である明星セメント株式会社(以下「明星セメント」)は、当社の青海工場と同じく糸魚川市にセメント工場を有しています。そのため、明星セメントとの協業により、当社の石灰石採掘及びセメント製造事業撤退後、当社カーバイドチェーンにおける石灰石供給と副産物の有効活用は太平洋セメント及び明星セメントが担ってまいります。
加えて、当社は、従前から太平洋セメント及び明星セメントと黒姫山の石灰石鉱山の共同開発計画に取り組んでおり、その検討過程において双方の信頼関係が醸成されてきたという経緯もあり、本取引に合意いたしました。
当社は、経営計画「Denka Value-Up」におけるポートフォリオ変革の一環として、重点分野の「環境・エネルギー」「ヘルスケア」「高付加価値インフラ」へ経営資源を積極投入してきました。更に今後は、2023年度~2030年度の次期経営計画を見据え、M&Aや設備能力増強投資、ならびに社会課題の解決を目的とした新規事業の早期創出等による成長戦略を推進し、企業の持続的な成長を目指してまいります。
(2) 本吸収分割の効力発生日及び本株式譲渡の実行日
2023年3月31日(予定)
(3) 本吸収分割の概要
① 吸収分割の方法
当社を分割会社とし、新会社を承継会社とする吸収分割です。
② 吸収分割に係る割当ての内容
本吸収分割に際して、株式その他の金銭等の割当て及び交付はありません。
③ 本吸収分割に係る新株予約権及び新株予約権付社債に関する取扱い
該当事項はありません。
④ 会社分割により増減する資本金
本吸収分割による当社の資本金の増減はありません。
⑤ 承継会社が承継する権利義務
新会社は、本吸収分割の効力発効日において、別途吸収分割契約に定める当社セメント販売事業に関する資産、負債、契約上の地位及び権利義務等を承継いたします。
(4) 本吸収分割により新会社が承継する資産・負債の状況
① 分割する事業内容
セメント及びセメント関連製品の販売
② 分割する資産・負債の項目及び帳簿価格(2022年3月31日)
(注)上記金額は2022年3月31日時点の貸借対照表をもとに算出したものであり、実際に分割する資産・負債の金額は上記金額に効力発生日までの間に生じた増減を加除した金額となります。
(5) 本吸収分割後の新会社の概要
(6) 本株式譲渡の概要
① 譲渡する子会社の概要
前記「(5) 本吸収分割後の新会社の概要」に記載の通りです。
② 株式譲渡先の概要(2022年3月31日現在)
③ 譲渡株式数、譲渡金額及び譲渡前後の所有株式の状況