第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1)業績

当連結会計年度の世界経済は、米国では景気回復が続きましたものの、欧州では力強さを欠く展開となり、アジア地域などの新興国では景気減速の傾向が見られました。また、日本経済は、雇用情勢の改善などを背景に個人消費が底堅く推移したほか、設備投資に持ち直しの動きが見られるなど、緩やかな回復基調をたどりました。

このような状況のもとで、当社グループは、世界の幅広い顧客への積極的な販売活動を展開するとともに、技術や品質の向上のほか特長ある製品の開発にも鋭意取り組んでまいりました。また、海外新工場の早期戦力化、国内外の製造拠点の拡充、原材料の安定的な確保にも注力するなど、強固な事業基盤の構築に努めてまいりました。

当連結会計年度の業績といたしましては、売上高は、前期に比べ1.9%(242億6千4百万円)増加し、1兆2,798億7百万円となりました。営業利益は、前期に比べ12.5%(231億9千6百万円)増加し、2,085億2千5百万円となり、経常利益も、前期に比べ11.1%(219億8千万円)増加し、2,200億5百万円となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益は、前期に比べ15.7%(202億3千4百万円)増加し、1,488億4千万円となりました。

 

セグメントの業績は、次のとおりであります。

 

塩ビ・化成品事業

塩化ビニルは、北米需要が業界全体で対前年比2%低減したにもかかわらず、米国のシンテック社は、国内販売を伸長させるとともに、世界中の顧客への積極的な販売に努めたことから、出荷は堅調に推移しました。オランダのシンエツPVC社は、前年度後半に原料調達先で生じた設備トラブルの影響を受けました。また、国内事業は、輸出が伸長したものの、住宅関連向けは振るいませんでした。

当事業の売上高は、前期に比べ2.4%(109億5千5百万円)減少し4,417億1百万円となり、セグメント利益(営業利益)は、前期に比べ11.1%(55億7千4百万円)減少し446億9千万円となりました。

 

シリコーン事業

シリコーンは、国内では、電気、電子向けの一部で需要の鈍化が見られましたものの、化粧品や自動車向けなど幅広い分野で出荷が堅調でした。海外でも、欧米のほか東南アジア向けの高機能製品が好調に推移しました。

当事業の売上高は、前期に比べ5.8%(103億1千万円)増加し1,877億4千8百万円となり、セグメント利益(営業利益)は、前期に比べ24.2%(80億8千6百万円)増加し415億円となりました。

 

機能性化学品事業

セルロース誘導体は、国内では、医薬用製品や建材用製品の出荷が堅調でした。ドイツのSEタイローズ社は、塗料用製品を中心に順調に推移しました。また、豪州シムコア社の金属珪素は、出荷が堅調に推移しました。

当事業の売上高は、前期に比べ4.0%(45億2百万円)増加し1,168億4千9百万円となり、セグメント利益(営業利益)は、前期に比べ19.1%(29億1千2百万円)増加し181億9千万円となりました。

 

半導体シリコン事業

半導体シリコンは、スマートフォンをはじめとする電子機器需要の減速に伴い、ロジックデバイスの在庫調整の影響を受けましたが、メモリデバイス向けは総じて堅調に推移しました。

当事業の売上高は、前期に比べ5.8%(133億1千万円)増加し2,433億2千6百万円となり、セグメント利益(営業利益)は、前期に比べ31.7%(113億2百万円)増加し469億1千1百万円となりました。

 

電子・機能材料事業

希土類磁石は、産業機器向けが振るいませんでしたが、ハイブリッド車をはじめとする自動車向けが堅調に推移しました。フォトレジスト製品は、ArFレジストや多層レジスト材料が底堅く推移し、マスクブランクスは出荷を大きく伸長させました。また、LED用パッケージ材料は堅調に推移し、光ファイバー用プリフォームも出荷が好調でした。

当事業の売上高は、前期に比べ1.8%(32億6千万円)増加し1,867億6千5百万円となり、セグメント利益(営業利益)は、前期に比べ11.4%(52億4千5百万円)増加し514億5千3百万円となりました。

 

その他関連事業

信越ポリマー社の自動車用入力デバイスや半導体ウエハー関連容器が、好調に推移しました。また、信越エンジニアリング社のエンジニアリング事業も底堅く推移しました。

当事業の売上高は、前期に比べ3.9%(38億3千6百万円)増加し1,034億1千5百万円となり、セグメント利益(営業利益)は、前期に比べ16.7%(8億5百万円)増加し56億3千1百万円となりました。

(2)キャッシュ・フロー

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に対して15.0%(637億5千7百万円)増加し、4,876億4百万円となりました。

 

営業活動によるキャッシュ・フロー

 当連結会計年度の営業活動の結果得られた資金は2,816億4千3百万円(前期比381億8千4百万円増加)となりました。これは、税金等調整前当期純利益2,200億5百万円、減価償却費1,004億6千6百万円、売上債権の減少額201億8千万円などにより資金が増加した一方、法人税等の支払額736億3千5百万円などで資金が減少したことによるものであります。

 

投資活動によるキャッシュ・フロー

 当連結会計年度の投資活動の結果使用した資金は1,665億9千9百万円(前期比5億4千3百万円減少)となりました。これは、有価証券の取得による支出1,909億1百万円、有形固定資産の取得による支出1,472億2千7百万円、定期預金の増加額795億5千5百万円などにより資金が減少した一方、有価証券の償還による収入2,651億4千6百万円などで資金が増加したことによるものであります。

 

財務活動によるキャッシュ・フロー

 当連結会計年度の財務活動の結果使用した資金は389億4千1百万円(前期比46億4百万円減少)となりました。これは、配当金の支払額447億2千万円などによるものであります。

2【生産、受注及び販売の状況】

(1)生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

塩ビ・化成品事業

434,154

(-)   2.2

シリコーン事業

180,193

5.7

機能性化学品事業

116,891

4.6

半導体シリコン事業

247,645

7.7

電子・機能材料事業

182,589

0.5

その他関連事業

60,849

10.8

合計

1,222,323

2.5

(注)1.生産金額は期中販売価格により算出したものであります。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2)受注状況

 当社グループ(当社及び連結子会社)は主として見込み生産を行っているため、受注状況を記載しておりません。

(3)販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

塩ビ・化成品事業

441,701

(-)   2.4

シリコーン事業

187,748

5.8

機能性化学品事業

116,849

4.0

半導体シリコン事業

243,326

5.8

電子・機能材料事業

186,765

1.8

その他関連事業

103,415

3.9

合計

1,279,807

1.9

(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

3【対処すべき課題】

塩化ビニル事業では、米国シンテック社が、主要原料であるエチレンの生産工場の建設に取り組み、原料からの一貫生産体制の拡充を進めます。米国の有利な原料事情を活かし、また、世界の需要動向を的確に見極めた営業戦略により、今後も世界最大の塩化ビニル樹脂メーカーとしての地位を、盤石なものとしてまいります。

半導体シリコン事業では、国内外の製造拠点から全世界の顧客に向け、高品質製品の安定供給を行い、あらゆるデバイス需要に的確に対応してまいります。また、先端デバイス向けウエハーの研究開発強化や生産性の向上などの方策を講じることにより、競争力を強化してまいります。

シリコーン事業では、拡大が見込まれる高機能製品の需要を着実に取り込むため、国内製造拠点の能力増強を進めています。また、タイ工場の大幅な増強を行うなど、世界中の顧客への供給体制の拡充に取り組んでいます。さらに、研究棟を増設したシリコーン電子材料技術研究所や新たに開設した米国のテクニカルセンターを活用し、研究開発の強化を進めております。これらの取組みにより、国内外においてさらなる事業拡大をはかってまいります。

希土類磁石事業では、原料の自社リサイクルや調達先の多様化をはかり、引き続き原材料の安定調達に努めてまいります。また、ベトナムで建設中の製品工場を早期に戦力化し、安定供給体制の構築を進め、自動車向けを中心に拡大している国内外の需要に応えてまいります。

その他の事業につきましても、米国の塗料用セルロース工場や中国で増強を進めている光ファイバー用プリフォーム工場のほか、台湾で建設中のフォトレジスト工場や福井県で建設中のマスクブランクス工場などの拠点を活かし、世界市場でのさらなる飛躍をめざしてまいります。

さらに、将来の柱となる事業を生み出すため、世界の新しいニーズを先取りした独自性のある新規製品の研究開発と事業化を加速させるとともに、M&Aなども視野に入れた新しい事業の開拓にも注力してまいります。

また、安全確保、環境保全、コンプライアンスなどの企業の社会的責任を果たし、引き続き企業価値の最大化に努めてまいります。

 株式会社の支配に関する基本方針について

(1)当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針(以下、「本基本方針」といいます。)

 当社グループは、「塩ビ・化成品事業」、「シリコーン事業」、「機能性化学品事業」、「半導体シリコン事業」、「電子・機能材料事業」、「その他関連事業」を営んでおりますが、当社及び関係会社が製造、販売等を分担し、相互に協力して、事業活動を展開しております。当社グループの経営には、これらの事業に関する幅広い知識と豊かな経験、並びに、世界各国の顧客、従業員及び取引先などのステークホルダーとの間に築かれた関係についての十分な理解が欠かせません。当社は、当社の企業価値の最大化に資する者が当社の財務及び事業の方針の決定を支配すべきであると考えておりますが、当社株式に対する大規模買付行為がなされた場合に、これに応じて当社株式の売却を行うか否かの最終的な判断は株主の皆様に委ねられるべきものであると理解しております。但し、そのためには、当該買付行為に関する十分な情報が、買付行為を行う者及び当社の双方から、株主の皆様に提供されることが重要であると考えます。

 一方、大規模買付行為の中には、当社企業価値ひいては株主の皆様の共同の利益を著しく損なうと判断されるものもあり得ますことから、このような買付行為に対しては、取締役の善管注意義務に基づき、当社取締役会が適切と考える方策をとることも必要であると考えます。

(2)当社グループの企業価値向上に向けた取組みについて

(「当社の財産の有効な活用、適切な企業集団の形成その他の本基本方針の実現に資する特別な取組み」)

①経営方針

 当社グループは、安全をいかなる場合でも最優先とし、公正な企業活動を行い、素材と技術を通じて暮らしや産業、社会に貢献することにより企業価値を高め、株主の皆様のご期待にお応えしていくことをめざしております。そのために、世界最高水準の技術や品質の追求とともに生産性の向上に絶え間なく努めながら、世界中の顧客と安定した取引関係を築き、経済情勢や市況の変化に的確に対応できる経営を進めております。

②具体的な取組み

 当社グループの企業価値向上に向けた具体的な取組みの内容は、前記 3「対処すべき課題」の1行目から20行目までに記載のとおりです。

 このような取組みは、いずれも当社グループの企業価値を向上させ、その結果、当社の企業価値ひいては株主の皆様の共同の利益を著しく損なう当社株式の大規模買付行為がなされるリスクを低減するものと考えられますことから、本基本方針に沿うものであると考えます。また、これらの取組みは当社グループの企業価値を向上させるものですから、当社の株主の皆様の共同の利益を損なうものではなく、また、当社役員の地位の維持を目的とするものではないことは明らかであると考えます。

(3)大規模買付行為への対応方針
(「本基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組み」)

 当社は、株主の皆様や投資家の皆様に対して積極的なIR活動を進めておりますものの、大規模買付行為(特定株主グループの議決権割合を20%以上とすることを目的とする当社株券等の買付行為、又は結果として特定株主グループの議決権割合が20%以上となる当社株券等の買付行為をいい、かかる買付行為を行う者を以下、「大規模買付者」といいます。)の開始時に、大規模買付者が提示する買付対価が適切か否かを株主の皆様が的確にご判断なさるためには、大規模買付者及び当社の双方から適切かつ十分な情報が提供されることが不可欠です。そこで、当社は、平成20年6月27日開催の第131回定時株主総会におけるご承認をもって現行の大規模買付行為への対応方針(以下、「本対応方針」といいます。)を導入し、その後、毎年の定時株主総会におけるご承認をもって、本対応方針を継続しております。

①大規模買付ルールの内容

 当社が設定する「事前の情報提供に関するルール」(以下、「大規模買付ルール」といいます。)の骨子は、(ⅰ)事前に大規模買付者が当社取締役会に対して必要かつ十分な情報(以下、「本必要情報」といいます。)を提供し、(ⅱ)大規模買付行為は、当社取締役会による一定の評価・検討期間の経過後にのみ開始される、というものです。

イ.本必要情報の提供

 大規模買付者には、まず、大規模買付行為の開始前に、当社代表取締役宛に、大規模買付者の名称、住所、設立準拠法、代表者の氏名、国内連絡先及び開始する大規模買付行為の内容並びに大規模買付ルールに従う旨の意向を明示した書面を提出いただくこととします。当社は、当該書面の受領後10営業日以内に、大規模買付者に対して、当初提供いただくべき本必要情報のリストを交付いたします。なお、当初提供していただいた情報を詳細に検討したうえで、当該情報だけでは十分ではないと認められる場合には、当社取締役会は、大規模買付者に対して本必要情報が揃うまで追加的な情報提供を要求いたします。

ロ.評価・検討期間の設定

 次に、当社取締役会は、大規模買付行為に関する評価・検討の難易度に応じて、大規模買付者が本必要情報の提供を完了した後、60日間(対価を現金(円貨)のみとする公開買付けによる当社全株式の買付の場合)又は90日間(その他の大規模買付行為の場合)を取締役会による評価、検討、交渉、意見形成、代替案立案のための期間(以下、「取締役会評価・検討期間」といいます。)として確保されるべきものと考えます。従って、大規模買付行為は、取締役会評価・検討期間の経過後にのみ開始されるものとします。取締役会評価・検討期間中、当社取締役会は独立の外部専門家(証券会社、投資銀行、フィナンシャル・アドバイザー、弁護士、公認会計士、コンサルタント等の専門家)の意見を聴取しつつ、本必要情報を十分に評価・検討し、当社取締役会としての意見を慎重にとりまとめ、公表します。また、必要に応じ、大規模買付者との間で大規模買付行為に関する条件改善について交渉し、当社取締役会として株主の皆様に対し代替案を提示する場合もあります。

ハ.独立委員会の設置及びその構成

 本対応方針の運用に係る取締役会の恣意的な判断を排除し、判断の公正さを担保するための機関として、独立委員会を設置しております。本対応方針では、後述の② イ.及び② ロ.において、対抗措置発動にかかる客観的な要件を定めておりますが、② イ.に記載の対抗措置をとる場合、並びに、② ロ.に記載の例外的対応をとる場合など、本対応方針の運用に関する重要な判断にあたっては、原則として独立委員会に諮問することとし、当社取締役会はその勧告を最大限尊重するものとします。

 独立委員会の委員は3名以上とし、公正で中立的な判断を可能とするため、当社の業務執行取締役から独立している当社社外取締役及び当社社外監査役、並びに、弁護士、公認会計士、税理士、学識経験者、経営経験豊富な企業経験者など社外有識者の中から選任いたします。なお、第138回定時株主総会終了後の取締役会において、当社社外取締役の福井俊彦、小宮山 宏、金子昌資、宮﨑 毅の4氏が独立委員会の委員として選任されました。

②大規模買付行為が実施された場合の対応

イ.大規模買付者が大規模買付ルールを遵守しない場合

 大規模買付者が、大規模買付ルールを遵守しなかった場合には、当社取締役会は、当社企業価値ひいては株主の皆様の共同の利益を守るため、新株予約権の発行等、会社法その他の法律及び当社定款が認める対抗措置をとり、大規模買付行為に対抗する場合があります。

ロ.大規模買付者が大規模買付ルールを遵守した場合

 大規模買付者が大規模買付ルールを遵守した場合には、原則として大規模買付行為に対する対抗措置はとりません。大規模買付者の買付提案に応じるか否かは、株主の皆様において、当該買付提案及び当社が提示する当該買付提案に対する意見、代替案等をご考慮の上、ご判断いただくことになります。但し、大規模買付ルールが遵守されている場合であっても、当該大規模買付行為が当社企業価値ひいては株主の皆様の共同の利益を著しく損なうと判断される場合には、取締役の善管注意義務に基づき、当社取締役会は当社企業価値ひいては株主の皆様の共同の利益の保護のために、適切と考える方策をとることがあります。これは、大規模買付行為に対し、当社取締役会として例外的に対応するものであります。

③本対応方針の有効期限

 本対応方針の有効期限は、平成28年6月開催予定の当社第139回定時株主総会終結の時までといたします。

(4)本対応方針が本基本方針に沿うものであり、株主の皆様の共同の利益を損なうものではないこと、当社役員の地位の維持を目的とするものではないこと

①本対応方針が本基本方針に沿うものであること

 本対応方針は、大規模買付ルールとして、大規模買付者が当社取締役会に対して大規模買付行為に係る必要かつ十分な情報の提供を事前に行うべきこと、及び、当該大規模買付行為は取締役会評価・検討期間の経過後にのみ開始されるべきことを定め、これらを遵守しない大規模買付者に対しては当社取締役会が対抗措置を講ずることがある旨を規定しております。
 一方、本対応方針は、大規模買付ルールが遵守されている場合でも、大規模買付行為が当社企業価値ひいては株主の皆様の共同の利益を著しく損なうと判断される場合には、当社取締役会は、適切と考える対抗措置を講ずることがある旨を規定しております。
 以上のとおり、本対応方針は、本基本方針を実現するためのものであり、本基本方針の内容に沿ったものであります。

②本対応方針が株主の皆様の共同の利益を損なうものではないこと

 本対応方針は、大規模買付行為に応じて当社株式の売却を行うか否かの最終的な判断は株主の皆様に委ねられるべきものであるとの認識を踏まえ、株主の皆様が大規模買付行為に対する応否を適切に決定するために必要かつ十分な情報の提供を受ける機会を確保することを目的としつつ、株主の皆様の共同の利益を著しく損なうと判断される大規模買付行為に対しては、当社取締役会として適切と考える対抗措置を講ずることがある旨を規定しております。よって、本対応方針は、株主の皆様の共同の利益の確保・向上を目的とするものであり、決してこれを損なうものではありません。

③本対応方針が当社役員の地位の維持を目的とするものではないこと

 前述のとおり、本対応方針は株主の皆様の共同の利益の確保・向上を目的とするものであり、その導入・継続は、当社取締役会の判断のみではできず、株主の皆様の承認を要することとなっております。
 また、本対応方針では、当社取締役会による対抗措置発動に係る要件が客観的に定められ、事前に公表されております。さらに、本対応方針では、当社取締役会による大規模買付行為に関する評価、検討、交渉、意見形成等に際しては、独立の外部専門家(証券会社、投資銀行、フィナンシャル・アドバイザー、弁護士、公認会計士、コンサルタント等の専門家)の意見を聴取することとされており、また、対抗措置の発動に際しては、公正で中立的な判断を可能とするため、当社の業務執行取締役から独立している委員で構成される独立委員会へ諮問し、当社取締役会はその判断を最大限に尊重することとされております。
 以上のとおり、本対応方針には当社役員の恣意的な判断を排除するための仕組みが内包されておりますことから、当社役員の地位の維持を目的として対抗措置が発動されることはありません。

(注)本対応方針の有効期限は、平成28年6月29日開催の当社第139回定時株主総会終結の時までとなっており、当社は平成28年5月20日開催の取締役会において、本対応方針を継続しないことといたしました。なお、当社は、引き続き、当社グループの企業価値向上に向けた取組みを進めるとともに、当社株券等について大規模買付行為が行われた際には、積極的な情報収集及び情報提供に努め、株主の皆様の検討のための時間の確保に努める等、法令及び定款の許容する範囲内において、適切な措置を講じてまいります。

4【事業等のリスク】

 当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の経営成績、財政状態およびキャッシュ・フロー等の業績に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。

 当社グループにおいては、これらのリスクの発生を防止、分散、あるいはヘッジすることによりリスクの軽減を図っております。しかし、予想を超える事態が生じた場合には、当社グループの業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 なお、記載した事項は、当連結会計年度末(平成28年3月31日)現在において当社グループが判断したものでありますが、当社グループに関する全てのリスクを網羅したものではありません。

① 経済動向および製品市況による影響

当社グループ製品の主要な市場がある国および地域の経済環境の動向は、当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。また、主要製品の中には、世界的な需給環境により大きな価格変動が起きるものもあります。当社グループは事業の多角化・グローバル化等によってそのリスクをヘッジしておりますが、製品の需要が減少あるいは価格競争が激化した場合、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

② 為替相場の変動による影響

平成28年3月期の当社グループ連結売上高の海外売上高比率は74%となっており、今後も高い水準で推移するものと思われます。在外連結子会社等の財務諸表項目の円換算額は、為替相場に左右され、大幅な変動が生じた場合、当社グループ全体の業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。また、外国通貨建て取引についても、為替予約等によりリスクを軽減させる措置を講じておりますが、同様な可能性があります。

③ 自然災害・事故災害の影響

当社グループは、生産活動の中断により生じる損害を最小限に抑えるため、製造設備に対し定期的な防災点検及び設備保守、また、安全のための設備投資等を行うとともに、生産拠点の複数化に努めております。しかしながら、突発的に発生する災害や天災、不慮の事故等の影響で、製造設備等が損害を被った場合は、当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

④ 公的規制

当社グループが事業活動を行っている国及び地域では、投資に関する許認可や輸出入規制のほか、商取引、労働、特許、租税、為替等の各種関係法令の適用を受けています。これらの法令の改変は、当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

⑤ 資材等の調達

 当社グループの生産活動には、種々の原材料を使用しており、原材料ソースの多様化により安定的な調達に努めておりますが、これらについて供給の逼迫や遅延、また、それに伴う価格上昇等が生じた場合、当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

⑥ 新製品の開発

 当社グループの主要販売先の一つであるエレクトロニクス業界は、技術的な進歩が急速であり、当社では常に技術革新に対応できる最先端の材料開発に努めております。しかしながら、当社グループが業界と市場の変化に的確に対応できなかった場合、当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

⑦ 環境問題について

 各種の化学物質を取り扱う当社グループは、環境に関する各種法律、規制を遵守するとともに、地球温暖化防止に向けた省エネルギーや環境影響物質の排出抑制に積極的に取り組んでおります。しかしながら、環境に関する規制が予測を超えて厳しくなり、大きな新たな設備投資等の必要が生じた場合、当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

⑧ 製造物責任

当社グループでは、製品の特性に応じた最適な品質の確保に全力を挙げて取り組んでいますが、予期せぬ事情により品質問題が発生した場合、当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

5【経営上の重要な契約等】

技術提携契約

契約会社名

契約相手先

契約発効日

契約の内容

信越化学工業株式会社(当社)

日立金属株式会社(日本)

平成26年7月9日

希土類磁石の製造・使用・販売に関する特許の実施権を相互に許諾している。

 

 

 

6【研究開発活動】

 当社グループ(当社及び連結子会社)は、現有事業分野の研究では国際競争力を強化し、技術・品質・コストでトップを目指すこと、新規事業分野では独自技術を追求し、早期事業化を目指すことを研究開発の基本方針として、計画的、効率的かつ迅速な研究開発を行っております。特に新規分野では、エネルギー関連、半導体周辺材料、光・通信関連、ヘルスケアー関連、ワイドギャップ材料等5分野の研究開発を推進しております。
 当社グループの主な研究拠点は、当社の6研究所即ち塩ビ・高分子材料研究所(茨城県)、シリコーン電子材料技術研究所(群馬県)、精密機能材料研究所(群馬県)、合成技術研究所(新潟県)、新機能材料技術研究所(新潟県)および磁性材料研究所(福井県)、ならびに信越ポリマー(株)の研究開発センター(埼玉県)、信越半導体(株)の半導体磯部研究所(群馬県)と半導体白河研究所(福島県)、ドイツのSEタイローズ社などであります。

 

(1)塩ビ・化成品事業

 塩化ビニルに関する研究は塩ビ・高分子材料研究所で行っております。同研究所は、米国、欧州にも展開する塩化ビニル事業での世界の研究センターとしての役割を担っております。

 

(2)シリコーン事業

  シリコーンに関する研究はシリコーン電子材料技術研究所を主に一部合成技術研究所でも実施しております。

 

(3)機能性化学品事業

 セルロース誘導体に関する研究は合成技術研究所及びドイツSEタイローズ社で行っております。

 

(4)半導体シリコン事業

半導体シリコンに関する研究は信越半導体(株)の2つの研究所で実施され、シリコンウエハーの生産技術の向上、更なる品質の向上、デバイスの微細化進展に対応する最先端の技術開発に取り組んでおります。また、デバイスの更なる低消費電力、高速化に対応する薄膜SOIウエハー及びFZウエハーなど将来有望視される次世代向け技術開発にも取り組んでおります。化合物半導体では、超高輝度4元系(AlInGaP)の赤色LED用エピタキシャルウエハー及びチップの製品化において高い評価を得ており、更なる高輝度化、高信頼性、多色化等の高機能を目指した新製品の開発を進めております。また、一般用LED照明の色調改善や植物育成用照明用途への赤色LED採用が進められており、この分野へも注力していきます。

 

(5)電子・機能材料事業

電子産業用有機材料はシリコーン電子材料技術研究所で、電子産業用希土類磁石は磁性材料研究所で研究が行われております。また、半導体製造プロセスで使用されるKrFおよびArFエキシマ用フォトレジストは新機能材料技術研究所で開発されました。フォトレジストは、ネガ現像のArF液浸レジスト、多層材料の性能改善を実施し、10nm世代の開発が最終段階を迎えております。また、7nmの基礎検討が開始され、7nm以細の候補リソ技術のEUV用レジスト開発にも取り組んでおります。同じく半導体製造プロセスで使用されるマスクブランクスも新機能材料技術研究所で開発しており、耐照射性に優れたArFハーフトーンブランクス及び10nmデザインルール用新構造ブランクスの主要顧客へのサンプル出荷が始まり顧客認定作業は最終段階、今後は7nm世代向けの開発に注力していきます。合成石英製品のうち、光ファイバー用プリフォームは精密機能材料研究所、半導体用マスク基板や液晶用大型マスク基板は合成技術研究所が担当しております。酸化物単結晶及び超高純度窒化ホウ素に関する研究は精密機能材料研究所が担当しております。光ファイバー用プリフォームでは、世界トップレベルの品質を維持向上すべく、光通信分野での積極的な研究開発を進めております。レア・アース、一般用希土類磁石は磁性材料研究所で研究を実施しております。希土類磁石は、環境に優しいハイブリッドカーや風力発電のモーター用として採用され、需要の伸びが期待されます。また、液状フッ素ゴムの開発はシリコーン電子材料技術研究所で行われており、自動車や電子部品、事務機での需要が伸びております。

 

(6)その他関連事業

 信越ポリマー(株)では、塩化ビニル、シリコーンなどの加工技術の開発を行っております。

  当連結会計年度における当社グループ全体の研究開発費は53,165百万円であります。このなかには、複数事業部門に関する研究および現有事業に関連を持たない研究も多数含まれていることから、セグメント別の研究開発費は記載しておりません。

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績の分析

当連結会計年度(平成27年4月1日~平成28年3月31日)の当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の売上高は1兆2,798億円、営業利益2,085億円、経常利益2,200億円、親会社株主に帰属する当期純利益1,488億円となり、いずれも前連結会計年度を上回りました。

売上高及び営業利益につきましては、「第2〔事業の状況〕1〔業績等の概要〕(1)業績」に記載した通り、半導体シリコン事業が、スマートフォンをはじめとする電子機器需要の減速に伴い、ロジックデバイスの在庫調整の影響を受けましたが、メモリデバイス向けは総じて堅調に推移したことなどにより、増収・増益となりました。

純営業外損益につきましては、受取配当金45億円、受取利息40億円などにより、115億円の純利益となりました。

 

(2)財政状態の分析

① 資産、負債及び純資産の状況

当連結会計年度末(以下「当期末」という。)の総資産は、前連結会計年度末(以下「前期末」という。)に比べて578億円増加し、2兆5,101億円となりました。主に現金及び預金が増加したことによるものです。

当期末負債合計額は、前期末に比べ100億円減少し、4,296億円となりました。

また、当期末純資産は、円高の影響により為替換算調整勘定が減少したものの、親会社株主に帰属する当期純利益1,488億円により利益剰余金が増加した結果、2兆805億円となりました。
  この結果、自己資本比率は79.9%から0.9ポイント増加し、80.8%となり、1株当たり純資産額は、前期に比べ158円68銭増加し、4,761円48銭となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

当期末の現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は4,876億円となり、前期末に比べ638億円増加しました。

税金等調整前当期純利益、減価償却費など、営業活動による資金の増加は、2,816億円となりました。一方、設備投資等による支払などにより、投資活動による資金の減少は1,666億円となりました。また、配当金の支払など、財務活動による資金の減少は389億円となりました。