第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1)業績

当連結会計年度の世界経済は、米国と欧州では景気の回復が見られましたものの、日本では経済成長が微増にとどまりました。中国では経済成長の緩やかな減速が続き、他の新興国でも景気に弱さが見られました。また、日本の製造業は、昨年11月末から円安傾向となりましたものの、当年度は総じて円高進行の影響を受けました。

このような状況のもと、当社グループは、継続的な業績の伸長を達成すべく、

(ⅰ)顧客との関係を深耕し、かつ顧客層を世界でさらに拡張し、

(ⅱ)顧客に密着した製品開発、品質の向上と技術における差別化を絶えず遂行し、

(ⅲ)厳格なコスト管理を継続してまいりました。

その結果、当連結会計年度の業績は、主として円高の影響により減収となりましたが、増益を達成することができました。売上高は、前期に比べ3.3%(424億2百万円)減少し、1兆2,374億5百万円となりました。営業利益は、前期に比べ14.4%(300億9千2百万円)増加し、2,386億1千7百万円となり、経常利益は、前期に比べ10.1%(221億2千8百万円)増加し、2,421億3千3百万円となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益は、前期に比べ18.2%(270億7千2百万円)増加し、1,759億1千2百万円となりました。

 

セグメントごとの業績は、次のとおりであります。

 

塩ビ・化成品事業

塩化ビニルは、米国のシンテック社が増強した生産能力を活かし、北米内外で業界の伸びを上回る販売を実現したことで、二桁増益を達成しました。欧州のシンエツPVC社は、安定した操業を続け、出荷は堅調に推移しました。国内事業は、国内外ともに販売量を伸ばし採算は改善しました。

その結果、当セグメントの売上高は、前期に比べ6.8%(301億1百万円)減少し4,116億円となり、営業利益は、前期に比べ19.0%(84億9千6百万円)増加し531億8千6百万円となりました。

 

シリコーン事業

シリコーンは、国内では、化粧品向けや車載向けの出荷が好調に推移しました。海外では、汎用品が期前半に市場価格低迷の影響を受けましたが、米国や中国、東南アジア向けの機能製品の出荷が堅調でした。

その結果、当セグメントの売上高は、前期に比べ4.5%(84億7千3百万円)減少し1,792億7千5百万円となり、営業利益は、前期に比べ2.5%(10億4千9百万円)増加し425億4千9百万円となりました。

 

機能性化学品事業

セルロース誘導体は、国内では、建材用製品が振るいませんでしたが、医薬用製品が好調な出荷を継続しました。欧州のSEタイローズ社は、塗料用製品や建材用製品が総じて順調に推移しました。豪州シムコア社の金属珪素は、市場価格下落の影響を受けましたが、出荷は堅調でした。

その結果、当セグメントの売上高は、前期に比べ7.5%(87億9千1百万円)減少し1,080億5千8百万円となり、営業利益は、前期に比べ22.2%(40億4千3百万円)増加し222億3千3百万円となりました。

 

半導体シリコン事業

半導体シリコンは、メモリデバイス向けが堅調に推移するとともに、ロジックデバイス向けもスマートフォン用をはじめ幅広い分野の需要に支えられ、出荷は好調に推移しました。

その結果、当セグメントの売上高は、前期に比べ3.8%(92億8千6百万円)増加し2,526億1千2百万円となり、営業利益は、前期に比べ19.4%(90億8千万円)増加し559億9千1百万円となりました。

 

電子・機能材料事業

希土類磁石は、ハードディスクドライブ向けが振るいませんでしたが、ハイブリッド車をはじめとする自動車向けが堅調でした。フォトレジスト製品はArFレジストや多層レジスト材料が底堅く推移するとともに、マスクブランクスは好調な出荷となりました。LED用パッケージ材料は一部顧客での生産調整の影響を受けましたが、光ファイバー用プリフォームは堅調な出荷を継続しました。

その結果、当セグメントの売上高は、前期に比べ0.6%(11億7千3百万円)増加し1,879億3千8百万円となり、営業利益は、前期に比べ7.3%(37億5千6百万円)増加し552億9百万円となりました。

 

加工・商事・技術サービス事業

  (注)当セグメントの名称を、当連結会計年度から、事業内容をより明確にするため、従来の「その他関連

     事業」から「加工・商事・技術サービス事業」に変更いたしました。なお、当セグメントに属する製

     品・サービスに変更はありません。

 

信越ポリマー社の自動車用入力デバイスや半導体ウエハー関連容器が、好調に推移しました。

その結果、当セグメントの売上高は、前期に比べ5.3%(54億9千6百万円)減少し979億1千9百万円となり、営業利益は、前期に比べ70.2%(39億5千3百万円)増加し95億8千4百万円となりました。

 

(2)キャッシュ・フロー

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に対して50.4%(2,457億1百万円)増加し、7,333億6百万円となりました。

 

営業活動によるキャッシュ・フロー

 当連結会計年度の営業活動の結果得られた資金は2,908億7千2百万円(前期比92億2千9百万円増加)となりました。これは、税金等調整前当期純利益2,421億3千3百万円、減価償却費930億8千7百万円などにより資金が増加した一方、法人税等の支払額628億9千5百万円、売上債権の増加額235億1百万円などで資金が減少したことによるものであります。

 

投資活動によるキャッシュ・フロー

 当連結会計年度の投資活動の結果、資金は12億8千1百万円増加(前期は1,665億9千9百万円の使用)しました。これは、有形固定資産の取得による支出1,348億9千7百万円、有価証券の取得による支出740億1百万円などにより資金が減少した一方、有価証券の償還による収入1,863億8千1百万円、定期預金の純減額302億8千9百万円などで資金が増加したことによるものであります。

 

財務活動によるキャッシュ・フロー

 当連結会計年度の財務活動の結果使用した資金は371億9千9百万円(前期比17億4千2百万円減少)となりました。これは、配当金の支払額489億8千7百万円などによるものであります。

2【生産、受注及び販売の状況】

(1)生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

塩ビ・化成品事業

413,296

(-)  4.8

シリコーン事業

172,363

(-)  4.3

機能性化学品事業

104,107

(-)  10.9

半導体シリコン事業

243,298

(-)  1.8

電子・機能材料事業

187,645

2.8

加工・商事・技術サービス事業

60,587

(-)  0.4

合計

1,181,299

(-)  3.4

(注)1.生産金額は期中販売価格により算出したものであります。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2)受注状況

 当社グループ(当社及び連結子会社)は主として見込み生産を行っているため、受注状況を記載しておりません。

(3)販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

塩ビ・化成品事業

411,600

(-)  6.8

シリコーン事業

179,275

(-)  4.5

機能性化学品事業

108,058

(-)  7.5

半導体シリコン事業

252,612

3.8

電子・機能材料事業

187,938

0.6

加工・商事・技術サービス事業

97,919

(-)  5.3

合計

1,237,405

(-)  3.3

(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

3【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下の通りであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末(平成29年3月31日)現在において当社グループが判断したものであります。

(1)会社の経営の基本方針

当社は、安全をいかなる場合でも最優先とし、公正な企業活動を行い、素材と技術による価値の創造を通じて暮らしや社会と産業に貢献することで、株主の皆さまのご期待にお応えしていくことを目指しております。そのために、世界最高水準の技術や品質の追求とともに生産性の向上に絶え間なく努めながら、世界中の顧客と安定した取引関係を築き、経済情勢や市況の変化に的確に対応できる経営を進めております。

(2)目標とする経営指標、中長期的な会社の経営戦略

当社の主要製品の中には、市況をはじめとした事業環境の変化の影響を受ける製品があります。短期間で急変する市況の中で各事業の経営を行うためには、外部環境の変化に速やかに対応していくことが必要です。前項の「会社の経営の基本方針」に記載しました方針をもとに、毎日、毎月そして毎年の経営を着実に行い、実績を積み重ねながら、売上、収益を成長させていくことに注力しています。

(3)経営環境及び対処すべき課題

世界経済は、多くの不確定要因をかかえており、予断を許しません。

このような状況のもとで、当社グループは、世界の市場を見据え、需要動向を的確に捉えた販売活動を積極的に展開するとともに、世界の最適地での製造拠点の建設や既存設備の増強による事業展開を一段と加速させてまいります。また、生産性と品質の向上に一層注力するとともに、顧客に価値ある製品開発と製品の安定供給に努めてまいります。そのために、健全な財務内容を保ちつつ、かつそれを活かして、適時適切な投資を遂行してまいります。

塩化ビニル事業では、米国シンテック社が、増強された生産能力を活用するとともに、主要原料であるエチレンの生産工場の建設に引き続き取り組み、原料からの一貫生産体制のさらなる強化に努めています。米国の有利な原料事情を活かし、また、世界の需要動向を的確に見極めた営業戦略により、今後も世界最大の塩化ビニル樹脂メーカーとしての地位を、盤石なものとしてまいります。

半導体シリコン事業では、国内外の製造拠点から全世界の顧客に向け、高品質製品の安定供給を行い、あらゆるデバイス需要に的確に対応してまいります。また、先端デバイス向けウエハーの研究開発強化や生産性の向上などの方策に鋭意取り組み、競争力を強化してまいります。

シリコーン事業では、国内拠点の能力増強を進め、拡大が見込まれる高機能製品の需要を着実に取り込むとともに、タイ工場の大幅な増強を行うなど、世界中の顧客への供給体制の拡充に取り組んでいます。さらに、研究棟を増設したシリコーン電子材料技術研究所や米国のテクニカルセンターを活用し、研究開発の強化を進めております。これらの取組みによって研究、製造、営業が一体となり、国内外においてさらなる事業拡大をはかってまいります。

希土類磁石事業では、原材料の安定調達のため、自社リサイクルや調達先の多様化をはかっています。また、稼働を開始したベトナムの製品工場を活用することで、海外生産拠点の最適化や安定供給体制の構築を進め、自動車向けを中心に拡大している国内外の需要に応えてまいります。

その他の事業につきましても、米国の塗料用セルロース工場や中国の光ファイバー用プリフォーム新工場のほか、武生工場において新たに建設したマスクブランクス工場や台湾で建設中のフォトレジスト工場などの拠点を活かし、世界市場でのさらなる飛躍を目指してまいります。

さらに、将来の柱となる事業を生み出すため、世界の新しいニーズを先取りした独自性のある新規製品の研究開発と事業化を加速させるとともに、M&Aなども視野に入れた新しい事業の開拓にも注力してまいります。

また、安全確保、環境保全、コンプライアンスなどの企業の社会的責任を果たし、引き続き企業価値の最大化に努めてまいります。

4【事業等のリスク】

 当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の経営成績、財政状態およびキャッシュ・フロー等の業績に影響を及ぼす可能性のあるリスクには、以下のようなものがあります。

 当社グループにおいては、これらのリスクの発生を防止、分散、あるいはヘッジすることによりリスクの軽減を図っております。しかし、予想を超える事態が生じた場合には、当社グループの業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 なお、記載した事項は、当連結会計年度末(平成29年3月31日)現在において当社グループが判断したものでありますが、当社グループに関する全てのリスクを網羅したものではありません。

① 経済動向および製品市況による影響

当社グループ製品の主要な市場がある国および地域の経済環境の動向は、当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。また、主要製品の中には、世界的な需給環境により大きな価格変動が起きるものもあります。当社グループは事業の多角化・グローバル化等によってそのリスクをヘッジしておりますが、製品の需要が減少あるいは価格競争が激化した場合、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

② 為替相場の変動による影響

平成29年3月期の当社グループ連結売上高の海外売上高比率は72%となっており、今後も高い水準で推移するものと思われます。在外連結子会社等の財務諸表項目の円換算額は、為替相場に左右され、大幅な変動が生じた場合、当社グループ全体の業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。また、外国通貨建て取引についても、為替予約等によりリスクを軽減させる措置を講じておりますが、同様な可能性があります。

③ 自然災害・事故災害の影響

当社グループは、生産活動の中断により生じる損害を最小限に抑えるため、製造設備に対し定期的な防災点検及び設備保守、また、安全のための設備投資等を行うとともに、生産拠点の複数化に努めております。しかしながら、突発的に発生する災害や天災、不慮の事故等の影響で、製造設備等が損害を被った場合は、当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

④ 公的規制

当社グループが事業活動を行っている国及び地域では、投資に関する許認可や輸出入規制のほか、商取引、労働、特許、租税、為替等の各種関係法令の適用を受けています。これらの法令の改変は、当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

⑤ 資材等の調達

 当社グループの生産活動には、種々の原材料を使用しており、原材料ソースの多様化により安定的な調達に努めておりますが、これらについて供給の逼迫や遅延、また、それに伴う価格上昇等が生じた場合、当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

⑥ 新製品の開発

 当社グループの主要販売先の一つであるエレクトロニクス業界は、技術的な進歩が急速であり、当社では常に技術革新に対応できる最先端の材料開発に努めております。しかしながら、当社グループが業界と市場の変化に的確に対応できなかった場合、当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

⑦ 環境問題について

 各種の化学物質を取り扱う当社グループは、環境に関する各種法律、規制を遵守するとともに、地球温暖化防止に向けた省エネルギーや環境影響物質の排出抑制に積極的に取り組んでおります。しかしながら、環境に関する規制が予測を超えて厳しくなり、大きな新たな設備投資等の必要が生じた場合、当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

⑧ 製造物責任

当社グループでは、製品の特性に応じた最適な品質の確保に全力を挙げて取り組んでいますが、予期せぬ事情により品質問題が発生した場合、当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

5【経営上の重要な契約等】

技術提携契約

契約会社名

契約相手先

契約発効日

契約の内容

信越化学工業株式会社(当社)

日立金属株式会社(日本)

平成26年7月9日

希土類磁石の製造・使用・販売に関する特許の実施権を相互に許諾している。

 

 

 

6【研究開発活動】

 当社グループ(当社及び連結子会社)は、現有事業分野の研究では国際競争力を強化し、技術・品質・コストでトップを目指すこと、新規事業分野では独自技術を追求し、早期事業化を目指すことを研究開発の基本方針として、計画的、効率的かつ迅速な研究開発を行っております。特に新規分野では、エネルギー関連、半導体周辺材料、光・通信関連、ヘルスケアー関連、ワイドギャップ材料等5分野の研究開発を推進しております。
 当社グループの主な研究拠点は、当社の6研究所即ち塩ビ・高分子材料研究所(茨城県)、シリコーン電子材料技術研究所(群馬県)、精密機能材料研究所(群馬県)、合成技術研究所(新潟県)、新機能材料技術研究所(新潟県)および磁性材料研究所(福井県)、ならびに信越ポリマー(株)の研究開発センター(埼玉県)、信越半導体(株)の半導体磯部研究所(群馬県)と半導体白河研究所(福島県)、ドイツのSEタイローズ社などであります。

 

(1)塩ビ・化成品事業

 塩化ビニルに関する研究は塩ビ・高分子材料研究所で行っております。同研究所は、米国、欧州にも展開する塩化ビニル事業での世界の研究センターとしての役割を担っております。

 

(2)シリコーン事業

  シリコーンに関する研究はシリコーン電子材料技術研究所を主に一部合成技術研究所でも実施しております。

 

(3)機能性化学品事業

 セルロース誘導体に関する研究は合成技術研究所及びドイツSEタイローズ社で行っております。

 

(4)半導体シリコン事業

半導体シリコンに関する研究は信越半導体(株)の2つの研究所で実施され、シリコンウエハーの生産技術の向上、更なる品質の向上、デバイスの微細化進展に対応する最先端の技術開発に取り組んでおります。また、デバイスの更なる低消費電力、高速化に対応する薄膜SOIウエハー及びFZウエハーなど将来有望視される次世代向け技術開発にも取り組んでおります。化合物半導体では、超高輝度4元系(AlInGaP)の赤色LED用エピタキシャルウエハー及びチップの製品化において高い評価を得ており、更なる高輝度化、高信頼性、多色化等の高機能を目指した新製品の開発を進めております。また、一般用LED照明の色調改善や植物育成用照明用途への赤色LED採用が進められており、この分野へも注力していきます。

 

(5)電子・機能材料事業

電子産業用有機材料はシリコーン電子材料技術研究所で、電子産業用希土類磁石は磁性材料研究所で研究が行われております。また、半導体製造プロセスで使用されるKrFおよびArFエキシマ用フォトレジストは新機能材料技術研究所で開発されました。フォトレジストは、ネガ現像のArF液浸レジスト、多層材料の性能改善を実施し、10nm世代の開発が最終段階を迎えております。また、7nmの基礎検討が開始され、7nm以細の候補リソ技術のEUV用レジスト開発にも取り組んでおります。同じく半導体製造プロセスで使用されるマスクブランクスも新機能材料技術研究所で開発しており、耐照射性に優れたArFハーフトーンブランクス及び10nmデザインルール用新構造ブランクスの主要顧客へのサンプル出荷が始まり顧客認定作業は最終段階、今後は7nm世代向けの開発に注力していきます。合成石英製品のうち、光ファイバー用プリフォームは精密機能材料研究所、半導体用マスク基板や液晶用大型マスク基板は合成技術研究所が担当しております。酸化物単結晶及び超高純度窒化ホウ素に関する研究は精密機能材料研究所が担当しております。光ファイバー用プリフォームでは、世界トップレベルの品質を維持向上すべく、光通信分野での積極的な研究開発を進めております。レア・アース、一般用希土類磁石は磁性材料研究所で研究を実施しております。希土類磁石は、環境に優しいハイブリッドカーや風力発電のモーター用として採用され、需要の伸びが期待されます。また、液状フッ素ゴムの開発はシリコーン電子材料技術研究所で行われており、自動車や電子部品、事務機での需要が伸びております。

 

(6)加工・商事・技術サービス事業

 信越ポリマー(株)では、塩化ビニル、シリコーンなどの加工技術の開発を行っております。

  当連結会計年度における当社グループ全体の研究開発費は49,020百万円であります。このなかには、複数事業部門に関する研究および現有事業に関連を持たない研究も多数含まれていることから、セグメント別の研究開発費は記載しておりません。

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績の分析

当連結会計年度(平成28年4月1日~平成29年3月31日)の当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の売上高は1兆2,374億円、営業利益2,386億円、経常利益2,421億円、親会社株主に帰属する当期純利益1,759億円となりました。

売上高及び営業利益につきましては、「第2〔事業の状況〕1〔業績等の概要〕(1)業績」に記載した通りです。円高の影響を受けて、在外子会社の売上の換算差などが生じ、減収となった一方、出荷が堅調に推移したことなどにより、増益を達成することができました。

純営業外損益につきましては、円高の進行により為替差損が生じましたが、受取利息47億円、持分法による投資利益27億円などにより、35億円の純利益となりました。

 

(2)財政状態の分析

① 資産、負債及び純資産の状況

当連結会計年度末(以下「当期末」という。)の総資産は、前連結会計年度末(以下「前期末」という。)に比べて1,455億円増加し、2兆6,556億円となりました。主に現金及び預金並びに有形固定資産が増加したことによるものです。

当期末負債合計額は、前期末に比べ359億円増加し、4,655億円となりました。

また、当期末純資産は、円高の影響により為替換算調整勘定が減少したものの、親会社株主に帰属する当期純利益1,759億円により利益剰余金が増加した結果、2兆1,900億円となりました。
  この結果、自己資本比率は80.8%から0.5ポイント減少し、80.3%となり、1株当たり純資産額は、前期に比べ240円68銭増加し、5,002円16銭となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

当期末の現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は7,333億円となり、前期末に比べ2,457億円増加しました。

税金等調整前当期純利益、減価償却費など、営業活動による資金の増加は、2,908億円となりました。また、設備投資に伴う支出があった一方、有価証券の償還などがあった為、投資活動による資金の増加は12億円となりました。一方、配当金の支払など、財務活動による資金の減少は371億円となりました。