当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末(2023年3月31日)現在において当社グループが判断したものです。
(1)会社の経営の基本方針
当社の目指すところは、素材と技術によって他の追随できない価値を社会と産業のために生み出し、株主の皆さまのご期待にお応えしていくことです。そのために、顧客や産業の課題解決に資する製品を数多く開発しています。同時に、世界最高水準の技術や品質の追求とともに生産性の向上に絶え間なく努めながら、世界中の顧客に安定的に製品供給を行っています。その持続のため、経済情勢や市況の変化に迅速かつ的確に対応できる経営に努めています。人間社会の持続的な発展とその質の向上を、環境負荷を抑えつつ実現する必要性の高まる今日、効率を極めることが必須です。そのために当社が担い、果たせる役割は大きいと信じています。自らによる温室効果ガス排出の削減に加え、脱炭素に役立つ技術と素材の提供に注力していきます。当社の多くの製品がこうした目的に資するように、そして当社製品が用いられれば用いられるほど産業と人々の暮らしに貢献できるというように取り組み、世界の産業と人々の生活を支えるエッセンシャルサプライヤーとしての役割を果たしていきます。
(2)目標とする経営指標、中長期的な会社の経営戦略
目標とする経営指標は、年次ごとの増収、増益です。当社の主要製品の中には、市況をはじめとした事業環境の変化の影響を受ける製品があります。短期間で急変しうる市況の中で各事業の経営を行うためには、外部環境の変化に速やかに対応していくことが必要です。当期再び最高益を大きく更新しました。新たな高みを目指して、事業の成長に取組みます。そのためにも、当社製品がより広くより多く社会と産業に用いられるよう、注力していきます。
(3)経営環境及び優先的に対処すべき課題
顧客の需要に確実に応えていくためにサプライチェーンを含む供給態勢を常時点検し、拡充の手立てを前広に施します。経済事情の揺れ幅が従前の領域を超えてきており、それに対する適応と耐性の向上を図ります。供給能力の新・増設につき、立地のしかたを見直していきます。いわゆる想定外の事態を勘案して、事業の点検を行います。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次の通りです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが合理的な一定の前提に基づいて判断したものであり、その実現を約束する趣旨のものではありません。実際の結果は不確実性により変更される可能性があります。
(1)サステナビリティ全般に関するガバナンス及びリスク管理
①ガバナンス
当社グループは、1990年より持続的な成長により企業価値を高めることに取り組んでいます。安全を常に最優先すること、環境への配慮と適切な施策、社会への貢献、そして企業統治を適切に行うことを当社の経営と事業活動の根幹としています。これらをグループ内で共有し実行していくために、サステナビリティの基本方針と各種社内規程を定めています。
具体的には、当社の社長を委員長とし、取締役、執行役員、部門長、グループ会社のサステナビリティ担当者により構成される約60名からなるサステナビリティ委員会が、部門を横断する活動に取り組んでいます。サステナビリティ委員会は、当社グループのコーポレートガバナンスにおける「重要な経営課題ごとの委員会」の一つです。なお、コーポレートガバナンスの状況については本報告書の第一部「
図:サステナビリティの取り組みの体制図
②リスク管理
リスクマネジメント委員会が気候変動によるリスクも含め事業を取り巻くさまざまなリスクに備え、リスクを排除、低減することや発生しうる損害を最小化することに取り組んでいます。 同委員会は常務執行役員が委員長を務め、信越化学の取締役や執行役員、部門長など、約20名で構成されています。当社グループは事業活動に伴い想定されるリスクを洗い出し、それらに適切に対処するためのリスク管理規程を定めています。同規程では、具体的なリスク、リスク管理の体制、発生したリスクへの対応等を明記しています。リスク管理で重要な事項については、リスクマネジメント委員会が取締役会、常務委員会、監査役会、関係者に適時報告し、適切に対処をすべく取り組んでいます。近年重要性の高まってきた気候変動に関するリスクについては、同委員会とサステナビリティ委員会が連携し、シナリオ分析を通じてリスクの把握を行っています。また、当社グループは、サステナビリティ委員会内に設置した人権デューデリジェンス分科会と人権啓発推進委員会が中心となり、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」に基づいて、人権デューデリジェンス全般を進めています。分科会では人権方針の策定や当社グループの人権リスク調査の実施、人権リスクの優先課題の特定、人権に関する相談や通報への対応の仕組みの構築、整備などを関係部署と協力して行っています。
(2)重要なサステナビリティ項目
(1)に記載の、ガバナンス及びリスク管理を通して識別された当社グループにおける重要なサステナビリティ項目は以下の通りです。
①気候変動への取り組み
イ. 戦略
当社グループは2050年カーボンニュートラルに向け、温室効果ガス排出量(スコープ1、スコープ2)を実質ゼロとするための計画を策定しました。2050年カーボンニュートラル実現に向けた計画の推進を、重要な経営課題と位置づけています。2019年5月にTCFDの提言への支持を表明し情報開示を進めると同時に、気候変動に関するシナリオ分析を行い、この分析を通じ事業に影響をおよぼす重要なリスクと機会を特定し、経営に反映させています。
<シナリオ分析>
気候変動による事業機会:1.5℃シナリオ
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用途 |
詳細 |
収益への 影響度 |
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樹脂窓 |
塩化ビニル樹脂は断熱性に優れているため樹脂窓に使用されている。省エネ住宅の普及とともに樹脂窓の需要増加が見込まれる。 |
大 |
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電気自動車、 ハイブリッド車、 燃料電池車 |
半導体シリコンは、モーターの回転数を制御するインバーターなどのパワー半導体デバイス、自動運転、AI向けロジック半導体デバイス等に使用される。 高性能で小型のレア・アースマグネットは、車両全体の重量を軽くし、燃費性能を上げられることから、電気自動車やハイブリッド車、燃料電池車の駆動モーターや車両のさまざまなモーターへの利用が広がる。シリコーンの放熱材料は、リチウムイオン電池や各種電子制御装置などの熱対策に使用されている。熱による動作不良や故障の防止に役立ち、需要の拡大が見込まれる。 |
大 |
|
風力発電機 |
レア・アースマグネットは、洋上風力発電機の高効率化および発電機のメンテナンスコストの削減に寄与するため、需要の拡大が見込まれる。 送電網の整備、拡充により、電線被覆に使用される塩ビの需要拡大も見込まれる。 |
大 |
|
エアコン |
半導体シリコンはコンプレッサーモーターのインバーター制御デバイスに使用され、モーターを適切な回転数に調節することで省電力に貢献することから、需要が拡大している。 レア・アースマグネットは、エアコンのコンプレッサーモーターのエネルギー効率を高め消費電力量を削減するため、需要の拡大が見込まれる。 |
中 |
|
航空機 |
レア・アースマグネットは小型航空機の電動化やハイブリッド化、大型航空機の油圧駆動部の電動化に不可欠である。小型で強力なレア・アースマグネットは機体の重量を軽減し、燃費の向上に寄与するため、需要の拡大が見込まれる。 |
中 |
|
産業用モーター |
レア・アースマグネットは、産業用モーターの効率を上げ、消費電力量を削減するため、需要の拡大が見込まれる。 |
中 |
|
サービスロボット |
半導体シリコンは、製造、物流、農業用などの省エネ対応ロボット制御モーター用半導体への使用や、医療用、災害対策用ロボットへの採用が広がっている。 |
中 |
|
植物由来の代替肉の結着剤 |
植物性食品を中心にした食生活は、CO2排出量を年間1.6ギガトンも削減することができる可能性がある。(※)セルロース誘導体の製品のひとつである「メトローズMCE-100TS」は、植物由来の代替肉の結着剤として使用されている。代替肉の世界市場は年率2ケタの成長が見込まれており、今後もさらなる市場の拡大が期待される。 |
中 |
※ポール・ホーケン編著「DRAWDOWN–The Most Comprehensive Plan Ever Proposed to Reverse Global Warming」より
気候変動による事業リスクと対応策:1.5℃シナリオ(移行リスク)
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事象 |
当社へのリスク |
収益への 影響度 |
対応策 |
|
世界各国での炭素税の導入、炭素排出枠の設定 |
・炭素税の支払い ・炭素排出枠の達成のための排出権の購入費用の発生 ・温室効果ガスの排出削減のための対策費用の増加 |
大 |
・スコープ1排出量の削減 ・生産工程の効率化や高効率な機器の導入などの さらなる推進 ・水素やアンモニアなどの二酸化炭素を排出しない エネルギーの使用 ・CCUSの活用 ・カーボンニュートラル天然ガス(排出権付き天然 ガス)の熱源としての利用 ・水素還元鉄の材料への利用 ・温室効果ガスの絶対量での削減目標の達成 ・各国の炭素税等の環境規制に関する情報を収集し、対策を施す |
|
温室効果ガス排出の規制強化による再生可能エネルギー由来の電力の普及と電力価格の上昇 |
・電力コストの増大 |
大 |
・スコープ2排出量の削減 ・電力の使用量が少ない生産工程や高効率な機器の 導入などのさらなる推進 ・カーボンニュートラル天然ガス(排出権付き天然 ガス)を使用したコージェネレーションシステムの 導入 |
気候変動による事業リスクと対応策:4℃シナリオ(物理的リスク)
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事象 |
当社へのリスク |
収益への 影響度 |
対応策 |
|
異常気象の発生頻度の上昇 |
・生産拠点の浸水 ・サプライチェーンの寸断 |
大 |
・生産拠点の嵩上げや重要な設備の周辺への防水壁の設置、冠水リスクが低い場所への計器室の設置、港湾に近い生産拠点での防潮堤の設置 ・生産拠点の複数化 ・原材料の調達先の多様化 ・製品在庫の確保 ・損害保険への加入 |
|
降水パターンの変化などによる洪水の発生頻度の上昇 |
|||
|
一部の国での炭素税の導入や炭素排出枠の設定 |
・当該国の生産拠点から排出される温室効果ガスに課税される炭素税の支払い ・当該国の炭素排出目標を達成できない場合、排出権の購入費用や課徴金の支払いの発生 |
小 |
・スコープ1排出量の削減 ・生産工程の効率化や高効率な機器の導入などの さらなる推進 ・水素やアンモニアなどの二酸化炭素を排出しな いエネルギーの使用 ・CCUSの活用 ・カーボンニュートラル天然ガス(排出権付き天 然ガス)の熱源としての利用 ・水素還元鉄の材料への利用 ・温室効果ガスの絶対量での削減目標の達成 ・各国の炭素税等の環境規制に関する情報を収集し、対策を施する |
|
電力価格 |
・IEAのシナリオ分析(現行施策シナリオ)によると、電力価格は上昇しない。このため、当社へのリスクはない |
- |
- |
ロ. 指標と目標
当社グループは、2050年に温室効果ガス排出量(スコープ1、2)の実質ゼロを目指します。
さらに、引き続き、生産量原単位での温室効果ガス排出量の削減も推進します。2016年度に掲げた新たな中期目標「2025年度に1990年度比で温室効果ガス排出の生産量原単位を45%にする」の達成に向けて、取り組んでいきます。
<2050年カーボンニュートラル達成策>
当社グループはこれまで生産量原単位での温室効果ガス排出量の削減を進めてきました。これまで取り組んできた生産量原単位での削減に加えて、絶対量での温室効果ガス排出量の削減により、カーボンニュートラルを達成するための計画を策定しました。
1) 現在取り組んでいる削減策
当社グループは資源、エネルギーの利用の効率を極めることに加え、現在、以下の削減策に取り組んでいます。また、新たな削減策の検討にも注力していきます。
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削減策 |
詳細 |
|
①電力における排出量の低減 |
・CO2排出係数の低減 ・再生可能エネルギーの購入 ・太陽光発電設備の設置 |
|
②製法、製造の改善と革新など |
・熱回収能力の向上 ・エネルギー効率の高い設備の導入 ・ボイラーからヒートポンプへの切換え ・木炭還元剤の増産のための増設 |
|
③カーボンニュートラル天然ガス、水素などの活用 |
・コージェネレーションシステムでの混焼 |
|
④リサイクルの推進 |
・すでに実施している塩ビ製品やレアアース・マグネットのリサイクルをさらに推進 |
2) 2050年に向けた取組
現時点で想定している削減策は以下の通りです。
|
削減策 |
詳細 |
|
①電力における排出量の削減 |
・電力のカーボンニュートラル化 |
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②グリーン水素とブルー水素の活用 |
・コージェネレーションシステムでの専焼 ・ボイラー燃料としての使用 |
|
③製法、製造の改善などの継続 |
・徹底した合理化、効率化を継続 |
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④CO2の分離回収および活用 |
・分離回収設備の本格導入とメタネーション技術の利用 |
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⑤バイオマス燃料の活用 |
・バイオマスコージェネレーションシステムの導入による電力やスチームの供給など |
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⑥リサイクルの推進 |
・すでにリサイクルを実施している塩ビとマグネット以外の製品のリサイクルシステムの構築 |
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⑦カーボンオフセット |
・植林によるものも含め幅広く検討 |
<カーボンニュートラル社会の実現に貢献するためのその他の取組>
1)温室効果ガス排出量の削減に貢献する製品の製造販売の拡大
当社グループの製品は住宅やインフラストラクチャー、電気自動車、DX、GXをはじめとした幅広い分野に利用され、生活や産業の基盤を支えています。これらの製品の多くは、温室効果ガスの削減にも寄与しています。日本政府が、2050年カーボンニュートラルを目指す上で不可欠な14の分野を定めました。当社グループの2022年度の連結売上高に占める当該14分野への売上比率(※1)は約7割です。今後とも、こうした製品の開発、製造、販売の拡大に注力することで、社会全体のカーボンニュートラルに貢献していきます。
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目標 |
実績 |
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単位 |
2020年度 |
2021年度 |
2022年度 |
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2050年にカーボンニュートラルを達成(スコープ1、2) |
スコープ1 排出量 ※1 |
千CO2-t |
2,111 |
2,077 |
2,246 |
|
スコープ2 排出量 ※1 |
千CO2-t |
4,163 |
4,003 |
4,367 |
|
|
2025年度に1990年度比で温室効果ガス排出の生産量原単位を45%にする |
1990年度比生産量 原単位指数 ※2 |
% |
53.6 |
52.9 |
54.2 |
※ 1.当社および連結子会社を対象としています。
2.1990年度比生産量原単位指数については対象範囲に非連結会社を含めています。また、この指数の算定にあたり、電力のCO2排出係数は電力の削減努力が明確になるよう、2000年から2009年迄の平均値を使用しています。
②人的資本、多様性への取り組み
イ. 戦略
当社が創業以来の事業活動の中で連綿と続けてきた生産性向上と歩留まり向上、品質改善をはじめとした改善活動、また、開発活動による知恵や技術こそが競争力の源であると認識しています。当社グループが持続的に成長を続けていくためには、これまで培ってきたこの知恵や技術を確実に受け継ぎ、個々人の成長とともに、活動の領域をグループ全社に一層拡大し、深耕していくことが不可欠です。こうしたことを実践していくことができる人材を確保し、育成するための社内制度及び職場環境づくりが、当社グループにおける人的資本、多様性への取り組みです。
人材の育成
当社グループでは、画一的な人事異動を廃し、柔軟かつ長期的な視点で適材適所を実行しながら、OJTを中心とした教育に重点を置いて取り組みます。また、全社員が入社や昇格などに合わせて組織運営に必要な知識を得るため、安全教育、基礎教育、階層別教育及び専門教育を行い、計画的かつ積極的な人材育成に取り組みます。
人材の多様性の確保
人種、性別、宗教、障害などにとらわれず、個々の多様な価値観を尊重することを基本理念とし、採用時の多様性の確保に努めるとともに、入社後における仕事と生活の両立を支援する制度の整備や、自己実現とキャリア形成が可能となる働きやすい職場環境作りに取り組みます。とりわけ、日本国内では、現状分析を踏まえ、女性の活躍推進に向けた目標を定め、女性管理職の育成を促進していきます。
健康・安全
当社は2010年より「国連グローバル・コンパクト」に参加し、人権、労働基準、環境、腐敗防止の4分野にわたる10原則 の実践に取り組んでいます。また2018年2月には、グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパンが定めた「腐敗防止強化のための東京原則」に賛同する第一号の会社として署名しました。2021年度は、国内外の全グループ会社の腐敗防止への取り組みを確認するとともに、贈収賄防止規定を整備するなど必要な対策を完了しました。当社はレスポンシブル・ケア世界憲章に従い、環境保全や保安防災、労働安全衛生などに取り組んでいます。2021年度には、国内延べ24事業所 で環境保安監査を実施するなど、同憲章を踏まえた活動を実行しました。
労働慣行
当社グループは世界人権宣言を支持するとともに、国際労働機関(ILO)による中核的労働基準にのっとり、基本的人権を尊重しています。全世界の事業所で人権を常に尊重することを礎として事業に取り組み、その方針を2019年5月に「人権方針」としてとりまとめ、当社グループ内で徹底するとともに、社外に発信しました。
エンゲージメント
当社グループの成長には、働く個々人の成長が不可欠です。より働きがいを持てる人事制度と職場づくりに注力し、個々人と会社の持続的な成長の実現に取り組みます。こうした考えのもと、当社では、労働組合との協議においては、いわゆる「働き方改革」に資する諸施策をテーマにしながら常に人事諸施策の拡充と充実に取り組んできています。加えて、2022年に当社で働く社員と出向者を対象に、社員意識調査を実施し、コンプライアンス、お客様志向、経営理念の浸透、会社の将来性、人事制度、キャリア展望、業務負荷、職場環境、上司との関係などの項目について質問しました。今後も必要に応じて現状を把握、分析をしつつ、良いところをさらに伸ばし、改善すべき点は改善していきながら、より多くの社員が働きがいを持てるよう、取り組みを続けていきます。
ロ. 指標と目標
当社グループは、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針および社内環境整備に関する方針について、次の目標を用いています。当該指標に関する目標および実績は次の通りです。
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指標の内容 |
目標 |
実績 (当連結会計年度) |
対象範囲 |
|
採用時の男女比率 |
性別にかかわらない採用 |
女性44%、男性56% |
当社及び連結子会社 |
|
課長級以上の管理職に占める女性比率 |
30% |
12.6% |
当社及び連結子会社 |
|
障がい者雇用率 |
2.30% |
2.23% |
当社及び国内連結子会社 |
|
重大事故件数 |
0 |
0 |
当社及び国内連結子会社 |
|
休業災害人数 |
0 |
0 |
当社及び国内連結子会社 |
|
不休以上の災害度数率 |
0.5以下 |
0.37 |
当社及び国内連結子会社 |
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりです。
当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)においては、これらのリスクの発生を防止、分散、あるいはヘッジすることによりリスクの軽減を図っています。しかし、予想を超える事態が生じた場合には、当社グループの業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
なお、記載した事項は、当連結会計年度末(2023年3月31日)現在において当社グループが判断したものですが、当社グループに関する全てのリスクを網羅したものではありません。
① 経済動向および製品市況による影響
当社グループ製品の主要な市場がある国および地域の経済環境の動向は、当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。また、主要製品の中には、世界的な需給環境により大きな価格変動が起きるものもあります。当社グループは事業の多角化・グローバル化等によってそのリスクをヘッジしていますが、製品の需要が減少あるいは価格競争が激化した場合、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
② 為替相場の変動による影響
2023年3月期の当社グループ連結売上高の海外売上高比率は81%となっており、今後も高い水準で推移するものと思われます。在外連結子会社等の財務諸表項目の円換算額は、為替相場に左右され、大幅な変動が生じた場合、当社グループ全体の業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。また、外国通貨建て取引についても、為替予約等によりリスクを軽減させる措置を講じていますが、これにより当該リスクを完全に回避できる保証はなく、同様な可能性があります。
③ 自然災害・事故災害、感染症等の影響
当社グループは、生産活動の中断により生じる損害を最小限に抑えるため、製造設備に対し定期的な防災点検及び設備保守、また、安全のための設備投資等を行うとともに、生産拠点の複数化に努めています。しかしながら、突発的に発生する災害や天災、不慮の事故等の影響で、製造設備等が損害を被ったり、サプライチェーンの分断が発生した場合は、当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループの事業拠点では安全衛生対策を徹底しています。しかしながら、今後発生しうる感染症等の蔓延や、それを受けた各国における経済活動抑制の方針が当社製品に対する需要の大幅な減少や当社事業拠点を含むサプライチェーンに損害を生じさせた場合、当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
④ 公的規制
当社グループが事業活動を行っている国及び地域では、投資に関する許認可や輸出入規制のほか、商取引、労働、特許、租税、為替等の各種関係法令の適用を受けています。これらの法令の改変は、当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 資材等の調達
当社グループの生産活動には、種々の原材料を使用しており、原材料ソースの多様化により安定的な調達に努めていますが、これらについて供給の逼迫や遅延、供給国の通商政策の変更、また、それらに伴う価格上昇等が生じた場合、当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 急速な技術革新
当社グループの主要販売先の一つであるエレクトロニクス業界は、技術的な進歩が急速で、当社では常に技術革新に対応できる最先端の材料開発に努めています。しかしながら、当社グループが業界と市場の変化に的確に対応できなかった場合、当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。また、上記以外の業界向け製品についても、競争力の高い代替製品の出現により、同様の影響を及ぼす可能性があります。
⑦ 環境問題について
各種の化学物質を取り扱う当社グループは、環境に関する各種法律、規制を遵守するとともに、効率を極めることにより、地球温暖化防止に向けた省エネルギーや環境影響物質の排出抑制に積極的に取り組んでいます。しかしながら、環境に関する規制が予測を超えて厳しくなり、技術的に対応が難しくなったり、大きな新たな設備投資等の必要が生じた場合、当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
⑧ 製造物責任
当社グループでは、製品の特性に応じた最適な品質の確保に全力を挙げて取り組んでいますが、予期せぬ事情により品質問題が発生した場合、当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の経営成績、財政状態及びキャッ
シュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度の業績は、売上高は、前期に比べ35.4%(7,343億9千6百万円)増加し、2兆8,088億2千4百万円となりました。営業利益は、前期に比べ47.6%(3,218億8千万円)増加し、9,982億2百万円となり、経常利益は、前期に比べ46.9%(3,257億7千7百万円)増加し、1兆202億1千1百万円となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益は、前期に比べ41.6%(2,081億2千1百万円)増加し、7,082億3千8百万円となりました。
セグメントごとの経営成績の概要及びその分析等は、次のとおりです。
生活環境基盤材料事業
塩化ビニルに関しては、世界的な景気後退の様相が市況に表れましたが、2022年末に底打ちしました。か性ソーダ市況は塩化ビニルの市況軟化局面で底堅さを維持したものの、年明けから軟化が起こりました。
その結果、当セグメントの売上高は、前期に比べ52.6%(4,509億1千万円)増加し、1兆3,080億9千9百万円となり、営業利益は、前期に比べ70.3%(2,235億5千2百万円)増加し、5,413億4千4百万円となりました。
電子材料事業
半導体市場は昨年秋以降調整局面に入り、状況は年度末時点でも同様でしたが、半導体材料は全体として年度前半の業績に支えられました。希土類磁石も、顧客の生産に対する半導体不足の影響やデータセンター投資の調整の影響が見られましたが、他市場向けの出荷で補いました。
その結果、当セグメントの売上高は、前期に比べ23.5%(1,666億6千7百万円)増加し、8,756億4千6百万円となり、営業利益は、前期に比べ23.1%(566億2千2百万円)増加し、3,014億円となりました。
機能材料事業
一部の製品群で在庫調整や市況下落の影響を受けましたが、機能性の高い製品群で補い、収益性の維持を図りました。
その結果、当セグメントの売上高は、前期に比べ24.7%(977億6千万円)増加し、4,933億8千6百万円となり、営業利益は、前期に比べ37.8%(358億3千4百万円)増加し、1,306億8百万円となりました。
加工・商事・技術サービス事業
半導体ウエハー関連容器は300mm用を中心に販売好調で、自動車用入力デバイスも販売が順調に伸びました。食品包装用塩ビラッピングフィルムや建設材料など塩ビ関連製品は、改定価格の浸透により販売が伸びました。
その結果、当セグメントの売上高は、前期に比べ16.9%(190億5千9百万円)増加し、1,316億9千1百万円となり、営業利益は、前期に比べ26.1%(54億5千5百万円)増加し、263億6千5百万円となりました。
また、財政状態ですが、当連結会計年度末(以下「当期末」という。)の総資産は、前連結会計年度末(以下「前期末」という。)に比べて6,769億8千2百万円増加し、4兆7,303億9千4百万円となりました。主に、現金及び預金、棚卸資産、並びに有形固定資産が増加しました。
当期末負債合計額は、前期末に比べ799億8千1百万円増加し、7,041億8千5百万円となりました。
当期末純資産は、自己株式の取得2,067億8千8百万円(当連結会計年度に1,954億9千7百万円を消却)、剰余金の配当1,953億6千5百万円等により減少した一方、堅調な業績により親会社株主に帰属する当期純利益が過去最高の7,082億3千8百万円となったこと、円安に伴い為替換算調整勘定が2,224億8千万円増加したこと等により、4兆262億9百万円となりました。
この結果、自己資本比率は82.1%から0.3ポイント減少し、81.8%となり、1株当たり純資産額(会計基準に基づき、2023年4月1日付の株式分割後の株式数により算出)は、前期に比べ316円92銭増加し、1,918円37銭となりました。
投下資本利益率(ROIC)は27.2%から6.4ポイント増加し、33.6%となり、自己資本利益率(ROE)は、16.3%から3.4ポイント増加し、19.7%となりました。分割前の株式を対象とする年間配当金は、前期に比べ100円増配し、1株当たり500円としました。
②キャッシュ・フローの状況
当期末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前期末に対して23.6%(2,384億1千9百万円)増加し、1兆2,473億4千4百万円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度の営業活動の結果得られた資金は7,880億1千3百万円(前期比2,344億8千5百万円増加)となりました。これは、税金等調整前当期純利益1兆202億1千1百万円、減価償却費2,136億3千2百万円などにより資金が増加した一方、棚卸資産の増加額2,109億5千9百万円、法人税等の支払額2,669億3千7百万円などで資金が減少したものです。
投資活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度の投資活動の結果使用した資金は1,864億8千8百万円(前期比672億3千5百万円減少)となりました。これは、有形固定資産の取得による支出2,955億1千7百万円などにより資金が減少した一方、有価証券の償還による収入1,113億9千4百万円などにより資金が増加したものです。
財務活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度の財務活動の結果使用した資金は4,235億5千9百万円(前期比3,010億5千5百万円増加)となりました。その内容は、自己株式の取得による支出2,067億8千8百万円、配当金の支払額1,953億6千5百万円などです。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
|
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前期比(%) |
|
生活環境基盤材料事業 |
1,345,664 |
56.8 |
|
電子材料事業 |
904,941 |
24.8 |
|
機能材料事業 |
521,479 |
26.9 |
|
加工・商事・技術サービス事業 |
95,325 |
21.2 |
|
合計 |
2,867,411 |
38.3 |
(注)生産金額は期中販売価格により算出したものです。
b.受注実績
当社グループ(当社及び連結子会社)は主として見込み生産を行っているため、受注実績を記載していません。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
|
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前期比(%) |
|
生活環境基盤材料事業 |
1,308,099 |
52.6 |
|
電子材料事業 |
875,646 |
23.5 |
|
機能材料事業 |
493,386 |
24.7 |
|
加工・商事・技術サービス事業 |
131,691 |
16.9 |
|
合計 |
2,808,824 |
35.4 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。なお、文
中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度は、年度前半と後半で経済情勢が大きく異なる様相を呈しました。インフレーションの沈静化を目指す金融政策が景気を下押しする一方で、3月には欧米で銀行不安の事態に発展しました。欧米での銀行不安が、貸出抑制姿勢を通じて実体経済に悪影響を及ぼしうることも指摘されています。地政学上の問題も引き続き世界経済を揺り動かしています。アジアを中心とする新興国の復調があるものの、産業や企業が受ける逆風はこれからしばらく強まることがあっても、弱まることはないと見込まれます。その中にあって当社は、顧客との意思疎通を密に保ち、顧客にとって価値ある製品の開発を急ぐとともに、揺るぎない品質の製品を安定供給し続けます。逆風を巧みに乗切り、業績の伸張に注力していきます。顧客と市場からの要望・需要に適時に応えられるよう、中長期の展望を持って、投資と開発を継続します。
セグメントごとの経営成績及び財政状態の状況に関する認識及び分析・検討内容は、「(1)経営成績等の状況の概要①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりです。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況は「(1)経営成績等の状況の概要②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
当社の連結会計年度末の現・預金及び譲渡性預金を含む有価証券(流動資産)の合計額は1兆6,006億4千8百万円(期間が3カ月を超える分を含む)と流動性を十分に確保しています。また、「1.主要な経営指標等の推移(1)連結経営指標等」に記載のとおり、安定的に「営業活動によるキャッシュ・フロー」を獲得していることから、当面の間は運転資金や設備投資への対応も自己資金で賄えると考えています。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5.経理の状況 (重要な会計上の見積り)」に記載しています。
技術提携契約
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契約会社名 |
契約相手先 |
契約発効日 |
契約の内容 |
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信越化学工業株式会社(当社) |
株式会社プロテリアル(日本) |
2022年7月9日 |
希土類磁石の製造・使用・販売に関する特許の実施権を相互に許諾している。 |
(注)日立金属株式会社は株式会社プロテリアルに商号を変更しました。
当社グループ(当社及び連結子会社)は、現有事業分野の研究では国際競争力を強化し、技術・品質・コストでトップを目指すこと、新規事業分野では独自技術を追求し、早期事業化を目指すことを研究開発の基本方針として、計画的、効率的かつ迅速な研究開発を行っています。特に新規分野では、エネルギー関連、半導体関連材料、光・通信関連、ヘルスケアー関連、SDGs及びCNに貢献する素材・材料の研究開発を推進しています。
当社グループの主な研究拠点は、当社の6研究所即ち塩ビ・高分子材料研究所(茨城県)、シリコーン電子材料技術研究所(群馬県)、精密機能材料研究所(群馬県)、合成技術研究所(新潟県)、新機能材料技術研究所(新潟県)および磁性材料研究所(福井県)、ならびに信越ポリマー(株)の研究開発センター(埼玉県)、信越半導体(株)の半導体磯部研究所(群馬県)と半導体白河研究所(福島県)、ドイツのSEタイローズ社などです。
(1)生活環境基盤材料事業
塩化ビニルに関する研究は塩ビ・高分子材料研究所で行っています。同研究所は、米国、欧州にも展開する塩化ビニル事業での世界の研究センターとしての役割を担っています。
(2)電子材料事業
半導体シリコンに関する研究は信越半導体(株)の2つの研究所で実施され、シリコンウエハーの生産技術の向上、更なる品質の向上、デバイスの微細化進展に対応する最先端の技術開発に取り組んでいます。また、デバイスの更なる低消費電力、高速化に対応する薄膜SOIウエハー及びFZウエハーなど将来有望視される次世代向け技術開発にも取り組んでいます。化合物半導体では、超高輝度4元系(AlInGaP)の赤色LED用エピタキシャルウエハー及びチップの製品化において高い評価を得ており、更なる高輝度化、高信頼性、多色化等の高機能を目指した新製品の開発を進めています。また、一般用LED照明の色調改善へも注力していきます。
電子産業用有機材料、5G関連材料はシリコーン電子材料技術研究所で、電子産業用希土類磁石は磁性材料研究所で研究が行われています。また、半導体製造プロセスで使用されるKrF、ArFエキシマ用およびEUV用フォトレジストは新機能材料技術研究所で開発されました。フォトレジストは、デバイスの微細化に対応するため、EUVレジストや多層材料の性能改善が継続されており、3nm世代は既に量産へ移行しています。現在は、2nm以細のEUV用プロセス材料を中心に開発を強化しています。同じく半導体製造プロセスで使用されるマスクブランクスも新機能材料技術研究所で開発しており、耐照射性に優れたArFハーフトーンブランクス及び7nmデザインルール用新構造ブランクスの主要顧客への認定が終了し量産出荷を開始、現在は5nmから3nm以細向けのEUV用ブランクスの開発に注力しています。合成石英製品のうち、光ファイバー用プリフォームは精密機能材料研究所、半導体用マスク基板や液晶用大型マスク基板は合成技術研究所が担当しています。光ファイバー用プリフォームでは、世界トップレベルの品質を維持向上すべく、光通信分野での積極的な研究開発を進めています。レア・アース、一般用希土類磁石は磁性材料研究所で研究を実施しています。希土類磁石は、環境に優しいハイブリッドカーや風力発電のモーター用として採用され、需要の伸びが期待されます。また、液状フッ素ゴムの開発はシリコーン電子材料技術研究所で行われており、自動車や電子部品、事務機での需要が伸びています。
(3)機能材料事業
シリコーンに関する研究は、シリコーン電子材料技術研究所が海外も含めた総合的な機能を担い、一部合成技術研究所でも研究を実施しています。セルロース誘導体に関する研究は合成技術研究所及びドイツのSEタイローズ社で行っています。
(4)加工・商事・技術サービス事業
信越ポリマー(株)では、塩化ビニル、シリコーンなどの加工技術の開発を行っています。
当連結会計年度における当社グループ全体の研究開発費は