第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

 当社グループのミッションは「技術力で価値を創造し、より豊かな社会の発展に貢献する。」であり、この精神をベースに「キラリと光る、価値ある企業グループ」となることを目指しています。

このビジョンを実現するために、「私たちが大切にする価値観」として、

・誠実であること Sincerity

・奉仕すること Service

・協力すること One-NCI

・創造すること Innovation

を掲げています。

 

(2)中長期的な会社の経営戦略と目標とする経営指標

 中期経営計画「NCIキラリ2025」の進捗状況

 当社グループは、長期的な視点から2030年のありたい姿を「サステナブルな社会に貢献する、キラリと光る企業グループ」と定め、中期経営計画「NCIキラリ2025」を策定しています。基本方針を「キラリ=One&Only」の追求とし、キラリと光る技術を究め、キラリと光る製品を提供することで、サステナブルな社会に貢献し、サステナブルな成長を目指します。

 

<財務目標>

 2025年度業績目標の達成については、半導体市況の回復の遅れに米国追加関税措置の影響も加わり、1年以上遅延する見込みです。関税の影響等を見極めた上で、次期中期経営計画期間内での達成を目指してまいります。

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<戦略市場分野業績>

(進捗状況 戦略市場分野 売上高)

 2024年度の「エレクトロニクス」戦略市場での売上高は前期比プラス28.8%となる40億円、「セーフティ」戦略市場の売上高は前期比プラス38.2%となる126億円、戦略市場全体での売上高は前期比プラス35.6%となる166億円と伸長いたしました。総売上高に占める戦略市場全体での売上高比率は34%となります。

 2025年度においては、「エレクトロニクス」戦略市場での売上高は前期比プラス9.6%となる44億円、「セーフティ」戦略市場での売上高は為替の影響もあり前期比マイナス4.2%となる120億円、戦略市場全体での売上高は前期比マイナス0.9%となる164億円、総売上高に占める戦略市場全体での売上高比率は34%と予想しています。

 戦略市場分野「エレクトロニクス」「セーフティ」共に、次期中期経営計画期間内での売上目標達成を目指してまいります。

 

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(進捗状況 戦略市場分野 営業利益)

 2024年度の戦略市場分野での営業利益は34億円となりました。

 2025年度の戦略市場分野の営業利益は前期比横ばいの34億円と予想しております。なお、その他分野で1億円の営業損失が見込まれるため、当期営業利益予想は33億円となります。

 戦略市場分野における営業利益目標につきましても、次期中期経営計画期間内での目標達成を目指してまいります。

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<戦略市場分野新製品比率>

 当社グループでは、戦略市場分野を中心とした新製品開発を進めています。

 戦略市場分野での新製品売上高比率は、2024年度は28%となる45億円、2025年度は当初目標35%に対し31%となる51億円を計画しています。

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<主要課題と施策>

 「NCIキラリ2025」最終年度における主要課題と施策については以下の通りです。

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<SDGs経営の推進>

 当社グループでは、中期経営計画「NCIキラリ2025」の中で、SDGs経営を重要な経営課題と捉え、当社ミッション「技術力で価値を創造し、より豊かな社会の発展に貢献する」の実現と関わりが深く、SDGs貢献へ繋がる以下の5つのマテリアリティを設定しております。

 下記マテリアリティの実現により持続的な企業価値の向上と、持続可能な社会の実現を目指しています。

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 SDGs推進委員会で協議した内容を、定期的に取締役会へ報告を行い、議論、進捗管理を行っています。また、同委員会の下部組織である分科会において、各マテリアリティの実現に向けた取組み強化を図っています。

 

カーボンニュートラルの実現に向けた取組み

 当社グループでは、地球温暖化防止の取組みとしてGHG(※)排出量を削減し、カーボンニュートラルの実現を目指します。太陽光発電などによる再生可能エネルギーの利用や、プロセス効率改革の推進、排熱の回収・再利用、燃料の転換、省エネ機器への切替え、グリーン電力への転換などの取組みを推進し、カーボンニュートラルの目標として2030年度にGHG排出量を2013年度比46%削減、2050年度にカーボンニュートラルを目指しています。

 2024年度は当社富山地区事業所の使用電力の一部と、ブラジル事業所の使用電力の全量をグリーン電力へ転換しました。また、中国事業所では昨年12月に完成しました太陽光発電での電力使用を開始いたしました。

2025年度も引き続きグリーン電力や太陽光発電での再生可能エネルギーの導入を図るとともに、プロセス効率化での排出量削減によりカーボンニュートラルを目指していきます。

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※Greenhouse Gasの略。CO₂を含む温室効果ガスの総称。

 

従業員のやりがいと満足度の向上に向けた取組み

 当社グループでは、人材が全ての事業活動の礎であるとの考えのもと、多様な人材の確保に努めております。その上で、その一人ひとりが、自分の仕事に自信と誇りを持ち、互いに協力しあって能力を最大限発揮することでシナジー創出につながるような環境の整備を図ります。また、人材育成、キャリア開発などに積極的に取り組み、社員が自身の成長を実感しながら活躍できるよう進めていきます。

 2024年度より女性、外国人、障害者、高齢者など、あらゆる社員が働きやすく、より能力を発揮できるよう、新設のDE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)推進チームが中心となってその実現に取り組んでおります。

 

<DX推進の取組み>

 当社グループでは、中期経営計画「NCIキラリ2025」の中で DXグランドデザインとそのロードマップを開示しております。2024年度は、2023年度に設置したDX推進の専門組織の取組みによりデジタル活用の基盤構築が実現し、業務の効率化と革新が進みました。

 DXグランドデザインとして「マネジメント」「セールス」「プロダクション」「R&D」「バックオフィス」というカテゴリを設定しており、それぞれのカテゴリでデジタル活用を進めています。

 引き続き、DXの推進により競争力強化を図り、中期経営計画目標達成に向けた取組みを進めてまいります。

DXグランドデザイン

実績

マネジメント

経営スピードアップ

●経営分析のため、NCIグループのデータ集計とBIツールによる可視化を推進

セールス

ビジネスインテリジェンスに

よる営業力強化

●営業支援ツールによる状況の可視化とタイムリーな情報共有実現

●業績情報を自動に作成し、業況分析や営業活動に活用

プロダクション

スマートファクトリー

●操業データ可視化や自動化による工数削減

●協業ロボットの導入、職場安全対策の実施

R&D

R&Dスピードアップ

●研究情報を一元化と利活用するための研究プラットフォームの稼働

●MI(マテリアルズインフォマティクス)による研究開発期間短縮の推進

バックオフィス

業務変革

●NCIグループの情報活用と効率化、高いセキュリティ確保のため、クラウド系のグループウェアやオンラインストレージなどを採用し、情報系システムの大幅改変を実施

●生成AIやRPAの全社活用による業務の自動化や業務効率アップを推進

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 当社グループでは、長期的な視点から2030年のありたい姿を「サステナブルな社会に貢献する、キラリと光る企業グループ」と定め、中期経営計画「NCIキラリ2025」を策定いたしました。その中で、SDGsを重要な目標と捉え、当社ミッション「技術力で価値を創造し、より豊かな社会の発展に貢献する」の実現と関わりが深く、SDGs貢献へ繋がる以下の5つのマテリアリティを設定しております。

・社会、産業のデジタルインフラ整備

・健康な生活、安心安全な社会の実現

・カーボンニュートラルの実現

・地域社会との共存共栄

・従業員のやりがいと満足度向上

 これまで培ってきた技術を究め、融合させることで、価値ある製品を広く提供し、マテリアリティの実現により持続的な企業価値の向上を図るとともに、持続可能な社会の実現を目指していきます。

 

(1)ガバナンス

 マテリアリティの推進に向けては、2023年度に代表取締役社長を委員長とし、全執行役員、主要グループ会社社長をメンバーとするSDGs推進委員会を設置し、委員会の下部組織として各マテリアリティの実現に向けた検討を行う分科会を設け、SDGs経営に取組んでいます。

 分科会は、グループ会社を含み組織横断的に各マテリアリティに関係する組織の幹部クラスを中心とするメンバーで構成しており、活動は基本2ヶ月ごとに会議を開催し、各メンバーにおけるテーマ達成に向けた課題とその進捗を管理しPDCAを回しています。

 同分科会での活動状況はSDGs推進委員会へ年2回報告を行い、活動の方向性や進捗状況について協議しております。

 SDGs推進委員会で協議した内容は、取締役会へ報告を行い、議論、進捗管理を行います。

 

(2)リスク管理

 サステナビリティ全般のリスク重要課題は、経営企画部を事務局とするリスク管理委員会にて適切に対処する体制を整備しております。

 リスク管理委員会において、毎年重要なリスクを特定し、対処すべき担当部門を決定します。リスク管理委員会は年4回開催し、各課題について、担当部門より対策、行動計画、進捗等の報告を受け、全執行役員が出席する会議等での審議を経てリスクの低減を図っております。

 取締役会は、リスク管理委員会から年2回報告を受ける等、リスク管理委員会を監督する立場にあり、リスク管理の基本方針、重要リスクの特定、重要施策の決定、施策のモニタリングや改善指示などリスク全般についての活動に関与しております。

 

(3)気候変動対応について

 当社グループでは、サステナブルな社会の実現に向け、5つのマテリアリティを設定しておりますが、その中でも気候変動への対応(カーボンニュートラルの実現)が最も重要であると認識しており、TCFDに則り開示しております。

 

① ガバナンス

 気候変動関連の課題については、リスク管理委員会にて議論の上、取締役会へ定期的に報告を行います。

 リスク管理委員会では、気候変動対応の実務レベルでの協議・対応組織としてTCFD推進チームを設置し、適切に対処する体制を整備しております。

 TCFD推進チームは、SDGs推進委員会分科会にて検討、協議した気候変動関連リスクを取りまとめ、リスク管理委員会へ報告しております。

 取締役会では、報告を受けモニタリングを行い、気候変動対応及びGHG排出量削減目標の設定、達成に向けた活動を継続的に監督しております。

 

② リスク管理

 上記サステナビリティに関する考え方及び取組 (2)リスク管理をご参照ください。

 

③ 戦略

 当社グループは、気候変動の影響と緩和や気候変動関連の課題解決に貢献することを通じて社会とともに持続的に成長することを目指しており、気候変動対応を重要なサステナビリティ課題と認識しております。

 気候変動による影響については、平均気温上昇「4℃」と「2℃未満」のシナリオにてリスクと機会を検討しました。

 その結果、リスクとして、炭素税の導入、エネルギーコストの増加、再エネ・省エネ設備への投資の増加、自然災害の激甚化による設備への損害等を認識しました。また、機会として、脱炭素化設備やゼロカーボンスチールの需要増加、EV関連需要の拡大、水素燃料製造設備の需要増加等を認識し、影響度の継続的な検証や対策の検討を実施しております。

 当社グループでは、今後も温暖化施策の変化などに適時に対応してリスクの軽減を図るとともに、さらなる気候変動の影響緩和に貢献する取組みを通じて、持続的成長と企業価値向上を目指します。

 なお、識別したリスクと機会の概要については、以下をご参照ください。

種別

内容

影響度

対応

移行

リスク

政策・規制

・炭素税の導入によるエネルギーコスト、原材料コストの増加

・省エネ活動の積極的推進

・太陽光発電の導入

・再生可能エネルギーへの転換

・サプライヤーとの協働によるScope3の削減

・価格への転嫁

・GHG排出量削減目標達成のための設備投資等の対応コストの増加

・投資計画の策定

市場

・主要製品に関する新製法の確立に向けた先発メーカーとの技術面、コスト面での競争激化

・エネルギー価格上昇による物流コストの増加

・左記リスクを念頭に置いた新製法の検討、確立

・配送業者へのEV車導入働きかけ、

配送方法の見直し

技術

・新技術への研究開発等の遅れによる競争力低下

・気候変動に対応する新技術の研究開発等推進

評判

・取引先企業の意識向上に伴い、GHG排出量削減の遅れによる製品需要の減少

・GHG排出量削減目標の達成

物理的

リスク

慢性

・平均気温上昇による冷房コストの増加

・冷房効率のアップ(機器の切替等)

急性

・異常気象が激甚化し、洪水発生による生産拠点の浸水、サプライチェーンの寸断

・各拠点の災害レベル想定

・各レベルに即した防災対策の検討、強化

機会

資源効率

・新たな省エネ・再エネ技術の導入によるエネルギーコストの減少

・積極的な導入による競争力アップの実現

評判

・環境側面での付加価値の高い製品ラインナップへの切替えによる販売増

・タイムリーな製品開発

・需要に対応できる生産能力の準備

製品・

サービス等

・EV関連需要増加

・全個体電池の需要増加

・脱炭素化設備やゼロカーボンスチールの需要増加

・水素燃料製造設備の需要増加

・タイムリーな製品開発

・需要に対応できる生産能力の準備

 

④ 指標及び目標

 当社グループはGHG排出量削減目標を以下のとおり定めております。

2030年度 2013年度比46%削減 (Scope1,2)

2050年度 カーボンニュートラルの達成 (Scope1,2)

<Scope1,2実績> (tCO2)

2013年度   111,170

2021年度    88,779

2022年度    78,905

2023年度    71,193

2024年度    67,057

2030年度    60,000以下 (目標)

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(※)2030年度は現状認識しているScope1,2

 

 上記排出量は、連結各社の決算対象期間における算定量の合算です。

 2022年度、2023年度算定については、第三者として㈱日本環境認証機構(JACO)による限定的保証を受けております。

 

(GHG排出量削減の取組みについて)

・GHG排出量削減のための取組みとして、当社の主要工場である魚津・早月工場(富山県)や、海外生産拠点のタイ(ELECTRO CERAMICS(THAILAND)CO.,LTD.)や中国(恩希愛(杭州)薄膜有限公司)に太陽光発電設備を設置し、各工場の電力の一部を太陽光発電で賄っています。

・この他、ベトナム(NCI(VIETNAM)CO., LTD.)、タイ(NIPPON CARBIDE INDUSTRIES(THAILAND)CO., LTD.)、インドネシア(PT NIPPON CARBIDE INDUSTRIES INDONESIA)においても新たに太陽光発電設備の設置を計画しており、当該計画の実行により、年間800トンのGHG排出量削減が見込まれます。また、ブラジルや富山県内のグループ4社において、グリーン電力への一部転換を実施しており、年間7,000トンのGHG排出量削減を見込んでいます。

 

(4)人的資本

 当社グループでは、人材が全ての事業活動の礎であるとの考えのもと、多様な人材の確保に努めております。その上で、その一人ひとりが、自分の仕事に自信と誇りを持ち、互いに協力しあって能力を最大限発揮することでシナジー創出につながるような職場環境の整備を図ります。また、人材育成、キャリア開発などに積極的に取り組み、社員が自身の成長を実感しながら活躍できるよう進めていきます。2024年度より、女性、外国人、障害者、高齢者など、あらゆる社員が働きやすく、より能力を発揮できるよう、新設のDE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)推進チームが中心となってその実現に取り組んでおります。

 

① ガバナンス

 SDGs経営を推進するためのマテリアリティの一つに「従業員のやりがいと満足度の向上」を掲げており、人的資本に関する取組みは、SDGs推進委員会の活動を通じて、経営がモニタリング等を行っています。ガバナンスの詳細は、上記、サステナビリティに関する考え方及び取組 (1)ガバナンスをご参照ください。

 

② リスク管理

 上記、サステナビリティに関する考え方及び取組 (2)リスク管理をご参照ください。

 

③ 戦略

 当社グループは、2030年のありたい姿の実現、本格的な成長を成し遂げるため、中期経営計画の基本方針を「キラリ=One&Only」の追求とし、キラリと光る技術を究め、キラリと光る製品を提供することで、サステナブルな社会に貢献し、サステナブルな成長を実現します。

 そのために、技術レベル向上、製品の高付加価値化を成し遂げ、設備投資により供給能力を拡充するとともに、注力領域の戦略市場において、新市場開拓と新製品創出を成し遂げていくことが重要であり、グローバル拠点を活用した市場開拓にも注力していきます。

 これらの事業戦略を実現するため、「事業リーダーやグローバルリーダーの計画的な育成」、「優秀な人材確保と確実な人材育成」、「新たな取組みに挑戦し、OneNCIでやり遂げる組織風土の醸成」、「従業員が十分に能力を発揮できる働きやすい職場環境の整備」を着実に実行していきます。

 

1) 事業リーダーやグローバルリーダーの計画的な育成

 当社グループの事業拡大のため、新市場開拓や新製品創出を実現できる事業リーダー、グローバルリーダーの育成が不可欠です。次世代経営者育成制度やグローバル人材育成制度を通じ、事業リーダー、グローバルリーダーを育成しています。

 

(次世代経営者育成プログラム)

 将来、経営者として活躍できる人材、多様性ある人材を育成することを目的として、次世代経営者育成プログラムを実施しています。4段階の階層別の研修等により、計画的に人材育成・選抜を行っており、最終的に企業経営のできる人材を育成します。このプログラムでは、座学だけでなく、職場実践と連動させることで、有効な経験から学びを得ることを重視しています。例えば、最終段階(STEP4)の次世代経営者層に対するプログラムにおいては、選抜されたメンバーが経営視点で変革課題に取組み、社長執行役員による個別メンタリング、取締役会メンバーへの報告会などを実施しながら、3年間で経営人材を育成することを目指しています。

 

(グローバル人材育成制度)

 働いている国に関係なく、国を跨いだグローバルな視野に立って、異なる言語、文化、価値観を乗り越えて関係を構築するためのコミュニケーション能力と協調性、新しい価値を創造する能力、次世代までも視野に入れた社会貢献の意識などを持った人材を育成することを企図したプログラムとしています。若手育成制度に続く形で、若手から中堅社員を対象にして実施する他、語学習得のため自己啓発を行う社員に対して、補助制度も導入しています。

 

(サクセッションプラン)

 NCIグループの重要なポジション(約40ポジション)について、計画的な人材育成・配置を行うことを目的にサクセッションプランを策定しています。また、取締役、及び、CxO(CEO、CFO、CTO)を含む執行役員候補者については、社外取締役2名、社長執行役員で構成される指名・報酬委員会にて議論の上、選定を行い、その状況を取締役会にも報告をしています。

 

2) 優秀な人材確保と確実な人材育成

 人材獲得競争が激しく、人材の流動化が益々進む中ですが、当社は、多様な人材、優秀な人材が集まる会社にしていきたいと考えています。新卒採用やキャリア採用を実施する際には、就職希望者に個々が知りたい情報を丁寧に提供することにより、納得感を持って入社していただくことを継続していきます。また、多様な経験、知識、知見を有する人材を採用するため、キャリア採用を強化しており、更には、2022年度には「ジョブ・リターン制度」を導入しました。複数社を経験し、その上で長く働ける会社を選びたいというニーズに対応できるように制度整備をしていきます。また、入社後は、一流の技術者をはじめとした優秀な人材を育成することを目的とした若手社員育成制度の運用等により、教育責任者から執行役員まで一体となり、若手社員を育成しています。

 

(若手社員育成制度)

 若手社員が一流人材に成長することを支援するため、若手社員育成制度を実施しています。個別に中長期的な育成の将来像(アウトライン)を設定、毎年1年間の育成計画を作成し、教育責任者により日常の業務指導を行っています。また、経営も含め、会社全体で責任を持って若手社員を育成していく方針に基づき、年に1回、若手社員には1年間の成果を、教育責任者には育成方針や育成計画の進捗状況を全執行役員参加の報告会で発表させています。執行役員は若手社員の成長を確認するとともに、若手社員、教育責任者に対して、必要な助言指導を行い、育成力の強化に取り組んでいます。また、キラリと光る技術を究めるため、研究開発センターにおける人材育成の取組みとして、研究開発討論会、技術勉強会、特許教育、CI活動といった技術力向上に向けた取組みを行っています。

 

(新入社員定着率)

 大学院卒・大学卒の新入社員が当社に入社すると、若手社員育成制度(前述)により、教育責任者、チューターが任命され、一流人材への成長を目指した教育が始まります。また、人事部担当者は、新入社員が仕事や職場環境、人間関係、新しい生活などで悩みを抱えることのないように定期的にヒアリングを行います。問題が生じた場合には所属部署と協力して、問題解決に取り組んでいます。このように所属部署や人事部によりきめ細かく、新入社員をケアしており、新入社員が会社に定着しやすくしています。

[大学院卒・大学卒の入社3年後在籍率]

・2022年新卒入社 69% 2021年新卒入社 88% 2020年新卒入社 100%

 

3) 新たな取組みに挑戦し、OneNCIでやり遂げる組織風土の醸成

[多様性の確保]

 イノベーションを起こし、企業価値を高め、サステナブルな成長を達成するためには、社員一人ひとりの個性が尊重され、多様な経験、知識、知見を有する人材が、性別、国籍、年代関係なく、その考えを自由に発信して活躍できること、更には、社員一人ひとりの違いやその状況に配慮した支援、公平な機会提供により、最大限に能力を発揮できることが重要であると考えています。それらを実現できるよう組織風土の醸成、組織体制の強化に取り組んでいきます。

 

(DE&I推進チームの活動)

 2024年度より、DE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)を推進することを目的に、DE&I推進チームで活動を開始しています。

 女性、外国人、障害者、高齢者など、あらゆる社員が働きやすく、より能力を発揮できる職場を目指した活動の中で、2025年度からは、法改正に追加する形で、看護等休暇の取得期間を小学校修了まで延長、在宅勤務制限の緩和などを実施しています。

 

(多様性確保に向けたKPIの設定)

 当社グループでは中期経営計画の重要課題の1つとして、「多様性の推進」を掲げており、女性、外国人、中途採用者の人材活躍について、KPIを設定して取り組んでいます。(具体的な数値は後述。)

 

(育児・介護休業制度の運用状況)

 出産や育児・介護により、キャリア断絶の生じないよう、育児・介護休業制度を実施しています。また、2022年、2024年の育児・介護休業法の改正に伴い、育児・介護と仕事の両立を目指して、法改正に留まらない社内制度の改定を行っています。2024年度の育児休業取得率は次のとおりです。

当社:女性100%、男性69% 当社グループ:女性100%、男性61%

 

 

(高齢者雇用の取組み)

 60歳定年退職以降、65歳までの再雇用制度を実施しています。長年の経験を活かせる職場で再雇用し、現役世代と同様に、人事考課を実施し、その成果を処遇に反映します。また、世代交代を前提としながらも、適材適所の考えのもとで、60歳以上であっても部長等の要職に任命しており、年代に捉われない人材活用を実施しています。なお、2024年4月からは、会社の事業運営に必要であり、特別に会社が認めたものについて、65歳以降、70歳まで再雇用できるように制度変更し、高年齢者の人材活用を強化しています。

 

[チャレンジを重視した人事制度]

 従業員一人ひとりがやりがいを感じて、活き活きと働くことのできる、チャレンジする意欲を高める人事制度により適正な人事処遇を行い、社内公募制度や社内エントリー制度、自己申告シートにより、適材適所でやりたい仕事にチャレンジすることのできるようにしています。

 

(社内エントリー制度、社内公募制度の導入)

 2023年度より、社内エントリー制度、社内公募制度を開始し、2024年度には、利用できる対象を拡大することで、社員が希望する仕事に就けるようにし、仕事に対する納得感を高め、やりがい向上や適材適所の人材配置を実現することを目指しています。

 

4) 従業員が十分に能力を発揮できる働きやすい職場環境の整備

[働きやすい職場環境の整備]

 従業員が十分に能力を発揮できるよう働きやすい職場環境の整備を進めていきます。エンゲージメント調査を定期的に実施し、その結果に基づいて職場改善活動を行い、より良い職場になるように取り組んでいます。また、自律的、効率的な働き方やメリハリのある働き方を推進することや育児等の事情のある社員の支援を通じて、ワーク・ライフバランスの実現を目指しています。

 

(エンゲージメント調査、職場改善活動)

 エンゲージメント調査を3年に1回実施し、従業員がどれだけ自分の組織や職場環境、仕事内容などに満足しているのか、また、やりがいや成長実感などを確認しています。結果については、取締役会に対して報告会を開催し、従業員に対してもその概要を社内報などで情報共有しています。また、前述の調査を実施しない年は、スポット調査を行っています。これらの結果を踏まえ、職場をより良くしていくこと、チャレンジする風土に変えていくこと、職場のコンプライアンスや安全に対する意識を向上させること等を目的に、職場改善活動を実施しています。職場単位のミーティングを開催し、職場が抱える課題の整理と対策の検討を行い、行動計画に則って、取組みを実施しています。

 

(自律的、効率的な働き方の推進)

 社員が自律的に「働く時間帯」や「働く場所」を決めて、より効率的に働くことのできるように、フレックスタイム制度や在宅勤務制度を導入しています。また、2025年度から、DE&I推進チームの答申を踏まえて、在宅勤務の上限緩和も実施しています。自律的、効率的な働き方を推進することで、社員の生産性を高めることにより、組織全体の生産性向上を目指すとともに、プライベートで様々な課題を抱える社員も柔軟な働き方を行うことでワーク・ライフバランスの実現を推進しています。

 

[安心・安全な職場環境の整備]

 安全・品質・環境・コンプライアンスは事業活動の大前提であり、安全がなければ操業することができません。当社グループにおいては、労働基準法等の労働関連法規遵守のみならず、全従業員の安全の確保に取り組んでおります。

 

(安全文化の構築)

 当社グループでは、発生した労働災害や事故については、「なぜなぜ分析」を通して、本音の対話を行って、トリガー要因を特定・対策するとともに、更にそのトリガー要因の原因まで深掘りし、対策を樹立しています。また、労働災害や事故の事例や対策はグループ全体で共有、横展開し、類似の労働災害や事故の再発防止を図っています。

 

(労災ゼロに向けた取組み)

 人が間違えても、機械が壊れても、技術によって、事故を起こさないという「機械安全」の考え方に基づいて、2023年度より、国内グループ生産拠点で機械安全活動を行っています。また、2024年度より、海外グループ生産拠点にも運用を開始いたしました。

 

[健康経営に関する取組み]

 従業員一人ひとりが心身ともに健康であること、いきいきとやりがいを持って働くことができる組織風土を醸成すること、多様な人材が安心・安全に働ける職場環境をつくることを目的として、健康経営に取り組んでおります。

 

(健康優良法人認定に向けた取組み)

 健康経営の取組みをより充実させていくために、国内グループ会社を含む5社で、健康経営優良法人の認定を取得しています。

 

(なんでも相談サービス)

 メンタル不調が顕在化する前の予防対策として、外部相談窓口を設置しています。従業員とその家族が、職場の悩み、家族問題、人間関係、健康問題など、どのようなものでも幅広く、いつでも、カウンセラーなどの専門家に相談できるようにしています。

 

(就業不能保障保険)

 病気やけがにより働けなくなると、健康保険の傷病手当が支給されますが、収入は減少することになり、生活費に治療費も加わることで家計の負担は重くなります。当社では、就業不能となった期間の収入の減少を就業不能保障保険により補完し、安心して病気やけがの治療に専念できるようにしています。

 

[人権方針の策定]

(人権についての考え方)

 当社グループは、キラリと光る技術力により価値を創造し、社会のサステナブルな発展に貢献していくことを目指しており、人権尊重は、そのためには欠くことのできない要素であることを理解しています。当社グループは、事業活動に関係する全ての人の人権を理解し、人権尊重の責任を果たすことができるよう、「人権方針」を定めています。

(サイトの「人権方針」 https://www.carbide.co.jp/corporate/csr/)

 

 当社グループは、人権を尊重するために、特定した人権課題に対し、人権デューデリジェンスを実施し、自らが人権侵害をしないことに加え、サプライヤーなどのビジネスパートナーを含むステークホルダーによる人権侵害リスクの低減に努めます。

 また、当社グループが人権侵害を引き起こし、あるいはこれを助長したことが明らかになった場合には、その是正・救済に取り組みます。人権啓発に取り組み、役員・従業員が人権及び人権に関わる諸問題について正しく理解するよう努め、必要な教育及び能力開発を行います。

 

④ 指標と目標

1) 多様性の確保

 当社グループでは中期経営計画の重要課題の1つとして、「多様性の推進」を掲げており、女性、外国人、中途採用者の活躍に関連したKPIを設定して取り組んでいます。

 

・女性社員の管理職への登用

 当社グループの社員に占める女性比率は40%(前年40%)、管理職に占める女性比率は13%(前年13%)です。(注)また、当社の女性比率は15%(前年15%)、管理職に占める女性比率は3.7%(前年2.2%)です。

(注)管理職の女性比率の向上を図るべく、以下の目標とアクションプランを策定し、取り組んでいきます。

(注)本年は2024年12月末時点、前年は2023年12月末時点の比率をそれぞれ記載しております。

 

(女性管理職比率(目標))

-2025年度当社グループは15%以上、当社は5%以上

-2030年度当社グループは20%以上、当社は10%以上

 

(アクションプラン)

-新規採用時の女性社員比率を高め、国内は30%以上を維持し、また、経験豊富な女性のキャリア採用を積極的に推進することで、管理職や管理職候補者の拡大を図ります。

-産休・育休、介護休業や時短勤務などの既存制度の利用促進や改善、男性の育児休業推進により、更なるワーク・ライフバランスの向上を図ります。

-2022年度、当社を退職された方にもう一度当社で活躍していただく「ジョブ・リターン制度」を導入しました。結婚や育児、介護などのやむを得ない事由で退職した社員を再採用することなどにより、女性社員のキャリア支援の充実を図ります。

 

・外国人社員の管理職への登用

 当社グループには12の海外関連会社があり、各社で日本人以外の外国人を中核人材に登用することで、多様性を確保しております。当社グループの管理職に占める日本人以外の外国人比率は34%(前年33%)です。引き続き、2021年度の水準(当社グループ36%)を維持・向上できるよう取組みを継続していきます。

 

・中途採用者の管理職への登用

 当社グループの管理職に占める中途採用者の比率は49%(前年48%)です。(注)また、当社の管理職に占める中途採用者の比率は29%(前年26%)です。(注)現在も中途採用者を積極的に中核人材に登用しており、今後も中途採用をより強化することにより、2021年度の中途採用者の管理職比率(当社グループ50%、当社23%)を維持・向上できるよう取組みを継続していきます。

(注)本年は2024年12月末時点、前年は2023年12月末時点の比率をそれぞれ記載しております。

 

2) 事業リーダーやグローバルリーダーの計画的な育成

 当社グループの事業拡大のため、新市場開拓や新製品創出を実現できる事業リーダー、グローバルリーダーの育成が不可欠です。事業リーダー、グローバルリーダーを計画的に育成することを目的に、2021年度より次世代経営者育成制度は実施しております。次世代経営者育成制度の参加者数の実績及び目標は以下のとおりです。(人数はいずれも累積。)

 

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3【事業等のリスク】

 当社グループでは、当社リスク管理委員会が当社グループを取り巻く環境変化やそれに伴う新たなリスクの発生等を所管部署から集約する体制を構築しており、それに基づいてリスクマネジメントを推進するとともに日々の事業活動におけるリスクの低減に取組み、収益機会の拡大に努めております。

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

① 注力領域における市場環境の急変

 当社グループの注力領域は「エレクトロニクス」並びに「セーフティ」と位置付けておりますが、「エレクトロニクス」では半導体、電子デバイス向け市場、「セーフティ」では環境、医薬・化粧品、自動車向け市場と関連があります。これらの関連市場における販売数量の減少や価格の下落を通じて、当社グループの経営成績、財政状態及び将来の業績に影響を与える可能性があります。

 当社グループは中期経営計画「NCIキラリ2025」の成長戦略に基づき、製品の付加価値を高め、事業環境の変化に影響されにくい収益体質づくりを進めております。

 

② 原材料価格の変動

 当社グループ製品の原材料は、ナフサ価格やアルミ地金価格の変動の影響を受けることがあり、特に粘・接着剤、電子素材、建材関連、エンジニアリング等の事業で、原材料価格の変動をタイムリーに製品価格に転嫁できず、これらがコスト削減額を上回った場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。当社グループでは、国内外を含め新たな調達先からの購入、グループ内での購買情報を共有化することで、原材料価格の変動に対応するよう努めております。

 

③ 為替レートの変動

 当社グループは、電子素材、フィルム・シート製品を中心として海外で大きく事業を展開しております。為替レートの変動は、ストック面では連結財務諸表の換算において、フロー面では販売価格の設定や仕入価格において、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与えます。

 当社グループでは、一部取引で為替予約を行いリスクの低減に努めております。

 

④ 固定資産の価値下落

 当社グループが保有している固定資産について、時価の下落・収益性の低下等や遊休資産化に伴い資産価値が低下した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 地政学に係るリスク

 当社グループは、連結子会社の過半が在外子会社であり、世界各地で生産・販売活動を展開しております。これらの海外拠点や事業展開している国及び地域では、予期できない法令の変更、輸出入・外資の規制、治安の悪化、関税措置等国家間の経済制裁、テロ・戦争・感染症の発生その他の要因による社会的、政治的混乱等のリスクが存在します。

 これらのリスクに対しては、グループ内での情報収集、外部コンサルタントの起用等を通じて、その予防・回避に努めていますが、これらが顕在化した場合は、グローバルな事業活動に支障をきたし、当社グループの経営成績、財政状態及び将来の業績に影響を与える可能性があります。

 

⑥ 事故災害

 当社グループの各工場においては、事故や災害による損害防止のため、日常において設備の点検や各種安全活動等を継続的かつ確実に実施しております。しかし、これらの活動等にもかかわらず、万一、火災・爆発等の事故災害が発生し、当社グループの業務や地域社会に大きな影響を及ぼした場合、生産活動による機会損失や補償等を含む事故対応費用等が、当社グループの経営成績、財政状態及び将来の業績に影響を与える可能性があります。

 

⑦ 自然災害

 当社グループは、自然災害の発生に備えて、リスク管理マニュアルや事業継続計画の策定、社員安否確認システムの構築、耐震対策、防災訓練などの対策を講じていますが、事業継続計画の想定を超えた大規模な自然災害により、事業活動の中断、生産設備の被災、交通遮断による製品輸送停止、原材料の仕入れ先又は製品の販売先等の被災・操業停止、経済活動の停滞、電力不足に伴う工場稼働への制約等、不測の事態が発生することが考えられます。

 当社グループ又は当社グループのサプライチェーンにおいて、これらの不測の事態の発生により、長期にわたる生産の中断があった場合は、売上高の減少等により、当社グループの経営成績、財政状態及び将来の業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

⑧ 訴訟等

 当社グループでは、コンプライアンスの重要性を認識し、法令及び社会規範の遵守の徹底を図っております。当連結会計年度末において、当社グループの事業に重大な影響を及ぼす訴訟は提起されていませんが、国内及び海外事業においては常に訴訟の対象となるリスクが存在しているものと考えております。将来、重要な訴訟が提起された場合には、当社グループの経営成績、財政状態及び将来の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループでは、コンプライアンスは事業活動の大前提であると認識し、リスク管理や従業員啓発の研修等を通じて、従業員の法令違反や社会規範に反した行為等の発生可能性の低減に努めております。

 

⑨ 知的財産権

 当社グループは、知的財産の重要性を認識し、事業活動に有用な知的財産権の取得に努めておりますが、当社の技術を十分に保護できなかった場合や、当社権利が違法に侵害された場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループは、他者の知的財産権に対して細心の注意を払っておりますが、万一、他者の知的財産権を侵害したと認定され損害賠償の責任を負う場合には、当社グループの経営成績、財政状態及び将来の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑩ 製造物責任

 当社グループは、国際的な品質マネジメントシステム(ISO9001)に従って、各々の製品の特性に応じて最適な品質・性能の確保に万全を期しておりますが、予期せぬ事象により大規模な製品事故が発生する可能性があります。万一の場合に備えて賠償責任保険を付保しておりますが、そのカバーを超えて費用が発生するリスクがあります。この場合、当社グループの経営成績、財政状態及び将来の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑪ 環境規制・気候変動対応

 主に製造業を営む当社グループは、生産効率向上による環境負荷の低減と省資源・省エネルギーに取組んでおります。しかしながら、環境関連規制は年々強化・見直しされる方向にあり、規制の内容によっては製造、保管、処分等に関連する費用が発生し、当社グループの経営成績、財政状態及び将来の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 また、気候変動に係るリスクとして、炭素税の導入、エネルギーコストの増加、自然災害の激甚化による設備への損害等を認識し、機会としては、脱炭素化設備やゼロカーボンスチールの需要増加、EV関連需要の拡大化等を認識しておりますが、今後も温暖化施策の変化などに適時に対応してリスクの軽減を図ってまいります。

 

⑫ システムリスク

 当社グループは、基幹システムを導入して業務運営を行っておりますが、サイバー攻撃やコンピューターウイルスの感染・攻撃、天災、その他の不測の事態が発生し、システムの復旧等に時間を要した場合、当社グループの経営成績、財政状態及び将来の業績に影響を与える可能性があります。

 当社グループでは、データのバックアップ、システムのクラウド化など、不測の事態による業務停止からの早期復旧に関して継続的に対策を講じております。また、サイバー攻撃やコンピューターウイルスへの防御や検知といったシステム的な対策により、ネットワークやシステムセキュリティの強化に努めております。

 

⑬ 人材確保

 当社グループが更なる成長へ向け企業基盤を確立するためには、優秀な人材の確保が不可欠であります。しかしながら、生産年齢人口が大きく減少していく中で、必要な人材を確保できない場合には、当社グループの事業展開、業績に影響を与える可能性があります。

 当社グループでは、人材が全ての事業活動の礎であるとの考えのもと、多様な人材が集まり、一人ひとりが能力を最大限発揮して当社グループとともに成長して活躍できるように、職場環境の整備、多様な人材の確保、人材育成、キャリア開発などに積極的に取組んでおります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概況は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度における世界経済は、先進国におけるインフレ抑制のための利上げ政策の継続や、ロシアのウクライナ侵攻の長期化、原燃料価格の高止まり等もあり、依然として先行き不透明な状況が続きました。

当社グループの事業では、電子・機能製品は、エレクトロニクス市況の緩やかな回復に伴い、半導体及び電子部品向け製品の出荷が増加しました。フィルム・シート製品は、二輪車向け製品やナンバープレート向け製品の出荷が増加しました。建材関連は、アルミ地金価格高騰による原材料価格の上昇により収益性が悪化しました。エンジニアリングは、製鉄分野向けカーボンニュートラルトランジション設備の受注増により売上が増加しました。

このような状況のもと、当社グループの当連結会計年度の経営成績は、売上高は前連結会計年度比5,495百万円(12.7%)増の48,727百万円、営業利益は前連結会計年度比2,644百万円(311.4%)増の3,493百万円、経常利益は前連結会計年度比2,188百万円(139.1%)増の3,761百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度比1,211百万円(121.2%)増の2,211百万円となりました。

 

 セグメント別の経営成績は次のとおりであります。

 

(電子・機能製品)

当該事業の主な取扱製品は、ファインケミカル製品や医薬品原薬、医農薬中間体などの機能化学品、粘・接着剤などの機能樹脂、半導体用金型クリーニング材やセラミック基板などの電子素材であります。

機能化学品は、エレクトロニクス市況の緩やかな回復に伴い、半導体及び電子部品向け製品の出荷が増加し、前連結会計年度比増収増益となりました。機能樹脂は、原材料価格の上昇に応じた製品価格の改定により損益へプラスに影響しましたが、中国及び国内市場向け次世代製品への切替遅延により、光学関連分野向け粘・接着剤の出荷が減少し、前連結会計年度比減収減益となりました。電子素材は、エレクトロニクス市況の緩やかな回復に伴い、半導体及び電子部品向け製品の出荷が増加しましたが、在庫削減により損益へマイナスに影響し、前連結会計年度比増収減益となりました。

以上により、当セグメントの売上高は前連結会計年度比868百万円(5.3%)増の17,414百万円、セグメント利益は前連結会計年度比292百万円(45.5%)増の936百万円となりました。

 

(フィルム・シート製品)

当該事業の主な取扱製品は、フィルム、ステッカー、再帰反射シートなどであります。

フィルムは、中国での拡販により、レーザーマーキングラベルの出荷が増加し、前連結会計年度比増収増益となりました。ステッカーは、ベトナムやインドネシア、ブラジルでの二輪車生産台数の増加により、二輪車関連製品の出荷が増加し、前連結会計年度比増収増益となりました。再帰反射シートは、欧州での販売シェア拡大によりナンバープレート向け製品の出荷が増加し、前連結会計年度比増収増益となりました。

以上により、当セグメントの売上高は前連結会計年度比3,456百万円(19.8%)増の20,955百万円、セグメント利益は前連結会計年度比1,912百万円(291.6%)増の2,568百万円となりました。

 

(建材関連)

当該事業の主な取扱製品は、住設用樹脂押出成形品や戸建住宅用アルミ手すり、マンション向け高強度・高機能アルミ手すりなどのアルミ建材であります。

省エネ補助金制度による住宅リフォーム需要増により住設用樹脂押出成形品の出荷が増加したものの、住宅着工戸数の減少によるアルミ建材の売上が減少したことに加え、アルミ地金価格高騰による原材料価格の上昇により当セグメントの売上高は前連結会計年度比108百万円(1.5%)減の7,004百万円、セグメント利益は前連結会計年度比197百万円(72.5%)減の75百万円となりました。

 

(エンジニアリング)

当該事業の主な内容は、鉄鋼・化学・電力・環境分野の産業プラントの設計・施工・設備やカーボンニュートラルトランジション設備などであります。

製鉄分野向けカーボンニュートラルトランジション設備の受注増により売上が増加したことに加え、調達効率化等のコストダウンが損益へプラスに影響し、当セグメントの売上高は前連結会計年度比1,107百万円(44.5%)増の3,598百万円、セグメント利益は433百万円(前連結会計年度は136百万円のセグメント損失)となりました。

 

 また、当連結会計年度末における財政状態は次のとおりであります。

 

(資産の部)

当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末比2,340百万円増加し、63,360百万円となりました。

このうち、流動資産は、売上債権の増加などにより、前連結会計年度末比2,732百万円増加し、38,453百万円となりました。固定資産は、有形固定資産の減価償却による減少などにより、前連結会計年度末比391百万円減少し、24,907百万円となりました。

 

(負債の部)

当連結会計年度末における負債は、前連結会計年度末比941百万円減少し、25,454百万円となりました。

このうち、流動負債は、短期借入金の返済による減少はあったものの、仕入債務の増加などにより、前連結会計年度末比349百万円増加し、15,030百万円となりました。固定負債は、長期借入金の返済などにより、前連結会計年度末比1,291百万円減少し、10,423百万円となりました。

なお、当連結会計年度末における有利子負債残高は、前連結会計年度末比1,589百万円減少し、9,902百万円となりました。

 

(純資産の部)

当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末比3,282百万円増加し、37,906百万円となりました。

このうち、株主資本は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上などにより、前連結会計年度末比1,391百万円増加し、25,388百万円となりました。その他の包括利益累計額は、円安に伴う為替換算調整勘定の増加などにより、前連結会計年度末比1,698百万円増加し、10,333百万円となりました。

なお、当社は、当連結会計年度において、取締役会決議に基づき、自己株式17百万円を処分しております。

以上の結果、自己資本比率は前連結会計年度末比プラス2.9ポイントの56.4%となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

税金等調整前当期純利益が増加したものの、増収に伴う売上債権の増加など運転収支の悪化により、前連結会計年度比1,267百万円収入が減少し、4,105百万円の収入となりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

有形固定資産の取得による支出の減少などにより、前連結会計年度比1,225百万円支出が減少し、1,212百万円の支出となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

長期借入れによる収入が減少したことなどにより、前連結会計年度比1,278百万円支出が増加し、2,543百万円の支出となりました。

 

以上の結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は前連結会計年度末比1,006百万円増加して13,063百万円となりました。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

電子・機能製品

16,184

11.9

フィルム・シート製品

15,752

△0.2

建材関連

2,607

△10.3

エンジニアリング

合計

34,545

4.2

(注) 生産金額は、平均販売価格により算出したものであります。

 

b.受注実績

 当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前期比(%)

受注残(百万円)

前期比(%)

電子・機能製品

5,354

2.8

402

3.3

フィルム・シート製品

建材関連

エンジニアリング

4,394

2.1

3,718

27.3

合計

9,749

2.5

4,121

24.5

(注) 一部の子会社を除き、受注生産は行っておりません。

 

c.販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

電子・機能製品

17,414

5.3

フィルム・シート製品

20,955

19.8

建材関連

7,004

△1.5

エンジニアリング

3,598

44.5

調整額

△245

合計

48,727

12.7

(注) 調整額の内容については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に記載のとおりであります。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

① 当連結会計年度の財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.経営成績の分析

(売上高)

 「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 

(営業利益)

 「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 

(経常利益)

 当連結会計年度は半導体及び電子部品向けの電子・機能製品や、二輪車向けやナンバープレート向けのフィルム、シート製品の出荷が増加したことなどにより、売上高が増加し、経常利益は、3,761百万円と前連結会計年度比2,188百万円(139.1%)の増益となり、経常利益率は7.7%と前連結会計年度(3.6%)から上昇しました。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

 親会社株主に帰属する当期純利益は、2,211百万円と前連結会計年度比1,211百万円(121.2%)の増益となりました。

 

b.財政状態の分析

「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 

c.経営方針、経営戦略及び経営上の目標の達成状況を判断するための客観的指標等

「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)中長期的な会社の経営戦略と目標とする経営指標」に記載のとおりであります。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

a.キャッシュ・フローの状況の分析

「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

b.資本の財源及び資金の流動性

当社グループの資金需要のうち主なものは、設備の更新や合理化などを目的とした設備投資であり、その資金については、自己資金及び金融機関からの借入れにより調達しております。

また、資金運用の柔軟性を保つため、一定の手元資金を確保するとともに、メインバンクとコミットメントライン契約を締結し、機動的な資金調達を実現しております。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

5【重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

当社グループの研究開発活動につきましては、高付加価値化への展開を図り、お客様から見て特徴と魅力のある製品を創出し続けるために、コア事業及びコア技術に重点を置く当社の基本方針を踏まえ、グループ各社とも研究開発のテーマを厳選し、早期に事業化を図るべく注力しております。

 特に新規製品開発に関しましては、当社のコア技術である有機合成技術、フィルム・シート技術、樹脂重合技術、セラミックス焼成技術を融和させて、エレクトロニクス関連、モビリティ関連、セーフティ関連の分野に向けて積極的に取り組んでおります。

 

 セグメントごとの研究開発活動は、次に示すとおりであります。

 なお、新製品・新事業の創出を加速させるため、2024年4月1日付で、研究開発センターの組織体制を開発ステップで分類したチーム編成から要素技術の近い製品で分類したチーム編成に変更しております。

 

(電子・機能製品)

機能化学品については、医薬・農薬品や電子材料分野向けにシアナミド誘導体、アセチレン誘導体の開発、また、 脱金属化技術によりメタルフリーな高純度化製品の開発にも取り組んでおります。

 機能樹脂製品では、光学・電子材料分野向けを始めとして、医療・化粧品向けの粘・接着剤製品の開発、また、環境対応樹脂の開発にも注力しております。

 電子素材製品ではチップ抵抗用基板をはじめ、より高性能な薄膜抵抗用セラミック基板の開発、また、環境対応型半導体用金型クリーニング材の開発に取り組んでおります。

 研究開発費の総額は808百万円であります。

 

(フィルム・シート製品)

 マーキングフィルムやステッカー製品では、自動二輪車や自動車向けを中心とした機能性フィルムや加飾成形フィルム及びレーザー光により高い機能が発現される特殊識別ラベル等の新製品開発に取り組んでおります。

 再帰反射シートについては、車両用ナンバープレート、道路標識、グラフィック市場向けに高品質、機能付与による使用範囲の拡大等を重点とした研究開発を行っております。

 研究開発費の総額は711百万円であります。

 

(建材関連)

 住宅用建材では、豊富なデザインやカラーを取り揃えた手すりやカーポート、ビル・マンション用建材では高強度で高意匠の手すりや外装ルーバーの開発に取り組んでおります。また、樹脂事業とのコラボ製品など、環境や機能性を重視した製品開発にも取り組んでおります。

 研究開発費の総額は168百万円であります。

 

(エンジニアリング)

 産業プラント分野では、石炭ガス化複合発電における高圧下での安定的な微粉炭吹込技術の開発及び製鉄業界や電力業界向けカーボンニュートラルトランジション設備の開発に取り組んでおります。また、特殊構造バルブの開発も行っております。

 研究開発費の総額は2百万円であります。

 

なお、当連結会計年度における研究開発費の総額は2,020百万円であり、これには上記の各セグメントに含まれないコーポレート研究費用のほか、改良研究や技術サービスなど現行製品に係る研究費330百万円が含まれております。