(1)業績
当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用情勢に改善の動きがあったものの、個人消費の回復に遅れが見られ、また中国をはじめとするアジア新興国や原油・鉱山資源の価格下落による資源国の景気減速もあり、依然として先行き不透明な状況で推移した。
このような状況のもと、当社グループにおいては、引き続き、基幹製品の拡販、高品質・高付加価値製品の販売強化に努めるとともに事業全般にわたるコストダウンを図り、経営の効率化に一層注力した。
この結果、当連結会計年度の売上高は85,520百万円と前連結会計年度に比べ1.7%の減収となった。損益面においては、売上原価の減少により営業利益は4,615百万円と前連結会計年度に比べ10.8%の増益、経常利益は4,421百万円と前連結会計年度に比べ4.8%の増益、親会社株主に帰属する当期純利益は2,340百万円と前連結会計年度に比べ2.9%の増益となった。
セグメントの業績は、以下のとおりである。
(化学)
当社においては、酸化チタンが新規用途で需要が増加したほか、海外品からの切替えなどの拡販により、また樹脂添加剤は積極的な海外展開により、堅調に推移した。一方、IT関連向け高機能バリウム製品が、パソコンやテレビなどの需要低迷や液晶ディスプレイ向けの材料変更の影響を受けて振るわず、誘電体材料もスマートフォンなど電子機器の売れ行きが伸びなかったことから停滞した。また、亜鉛製品については、当連結会計年度半ばからの亜鉛相場の大幅な値下がりに伴い販売価格が下落した。
また、連結子会社においては、株式会社片山製薬所の医薬品原薬・中間体が好調、またレジノカラー工業株式会社の着色剤、機能性インキも堅調に推移した。一方、大崎工業株式会社では電極材料向け製品の需要が落ち込み、堺商事株式会社においても北米向け化成品や電子材料全般が伸び悩み、SC有機化学株式会社は輸出向けの有機化成品が為替および中国経済の減速の影響を受けた。
これらの結果、当セグメントの売上高は73,940百万円と前連結会計年度に比べ3.3%の減収となったが、営業利益は5,874百万円と前連結会計年度に比べ14.7%の増益となった。
(医療)
医療用では、ジェネリック医薬品(後発医薬品)使用促進策の強化などの影響を受け、消化性潰瘍・逆流性食道炎治療薬「アルロイドG」は振るわなかったものの、医療機器やX線バリウム造影剤が堅調に推移した。また、医療用注射針およびその部材の輸出を主業とする松岡メディテック株式会社をカイゲンファーマ株式会社が子会社としたことから、その売上が加わった。
ヘルスケア関連製品は、かぜ薬「改源」やその他のOTC(一般用)医薬品は伸び悩んだが、足のむくみ改善薬「ムクトレール」を発売するとともに、健康食品が堅調に推移した。
この結果、当セグメントの売上高は9,866百万円と前連結会計年度に比べ12.1%の増収となったが、営業利益は352百万円と前連結会計年度に比べ28.8%の減益となった。
(その他)
路面標示・道路標識の設置工事などにおいて積極的な営業活動を展開した結果、当セグメントの売上高は1,713百万円と前連結会計年度に比べ0.8%の増収となったが、営業利益は86百万円と前連結会計年度に比べ3.2%の減益となった。
なお、当連結会計年度より、「企業結合に関する会計基準」(企業会計基準第21号 平成25年9月13日)等を適用し、「当期純利益」を「親会社株主に帰属する当期純利益」としている。
(2)キャッシュ・フロー
当連結会計年度のキャッシュ・フローに関しては、以下のとおりである。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において、営業活動によるキャッシュ・フローは3,572百万円と前連結会計年度に比べ1,752百万円減少した。これは、主として法人税等の支払額が増加したことによるものである。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において、投資活動によるキャッシュ・フローは△7,550百万円と前連結会計年度に比べ2,873百万円減少した。これは、主として有形固定資産の取得による支出が増加したことによるものである。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において、財務活動によるキャッシュ・フローは1,445百万円と前連結会計年度に比べ2,933百万円増加した。これは、主として短期借入金の純増減額及び長期借入れによる収入が増加したことによるものである。
以上の結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ2,584百万円減少し、13,759百万円となった。
(1)生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりである。
|
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前連結会計年度比(%) |
|
化学 |
44,507 |
△1.6 |
|
医療 |
2,751 |
3.4 |
|
報告セグメント計 |
47,259 |
△1.3 |
|
その他 |
950 |
2.8 |
|
合計 |
48,210 |
△1.2 |
(注)1 金額は、販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去している。
2 セグメント別の生産高を正確に把握することは困難なため、概算値で表示している。
3 上記金額には、消費税等は含まれていない。
(2)受注状況
当社グループの主要製品については主に見込み生産を行っている。
(3)販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりである。
|
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前連結会計年度比(%) |
|
化学 |
73,940 |
△3.3 |
|
医療 |
9,866 |
12.1 |
|
報告セグメント計 |
83,806 |
△1.7 |
|
その他 |
1,713 |
0.8 |
|
合計 |
85,520 |
△1.7 |
(注)1 セグメント間の取引については相殺消去している。
2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、いずれの相手先についても当該割合が100分の10未満のため記載を省略している。
3 上記金額には、消費税等は含まれていない。
当社グループにおいては、平成28年度から平成30年度にかけての新中期経営計画 『 共創2018 』 に基づき、次の項目を中心に課題解決に向けて取り組んでいる。
(1)本業の『稼ぐ力』の早期回復で確実な増益体質を構築
(2)新製品の開発促進と業績への早期貢献
(3)堺化学グループ間の協業や社外との提携強化により、事業の相乗効果を実現
(4)海外を含めた成長市場での事業展開を加速
(5)攻めのガバナンスを採り入れグループ経営の充実を促進
(6)価値観や目指す方向性の共有化で社員の一体感を醸成する風土改革の実行
当社グループの事業その他のリスクについて、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項を以下に記載する。但し、これらは当社グループに関する全てのリスクを網羅したものではない。
また、本項においては、将来に関する事項も含まれているが、当該事項は有価証券報告書提出日現在において判断した。
(1)資材等の調達
重油や非鉄金属などの原燃料や、調達先が限られる特殊な原料、資材等の価格高騰、供給の逼迫、遅延等が生じた場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性がある。
(2)公的規制
事業活動を行っている国及び地域が多岐にわたることから、それぞれ投資に関する許認可や輸出入規制のほか、商取引、労働、特許、租税、為替等の各種関係法令の適用が異なる場合がある。これらの法令の改変により、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性がある。
(3)環境規制
化学事業を主とするため、資源やエネルギーの大量消費による環境負荷が大きな問題の1つである。よって環境負荷低減のための設備や管理体制の整備を図る一方、生産効率すなわち資源やエネルギーの原単位向上など、環境負荷の低減に取り組んでいる。しかし、環境税の導入や、環境関連規制の強化により大規模な設備投資等の必要が生じた場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性がある。
(4)製造物責任
メーカーであることから、製品については最適な品質を確保するよう、全力を挙げて取り組んでいる。しかし、予期せぬ事情により製造物責任が発生する可能性が皆無ではなく、この場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性がある。
(5)訴訟
国内及び海外事業に関連して、訴訟の対象となるリスクがあり、多額の損害賠償請求訴訟等が提起された場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性がある。
(6)自然災害・事故災害の影響
災害による生産活動の中断によって生じる悪影響を最小限に抑えるため、全設備において定期的な防災点検及び設備保守を行っている。しかし、想定外の大規模災害(大地震・津波、停電またはその他の混乱を含む)が発生した場合、その影響を完全に予防または軽減し得ない。
また、製品によっては、代替生産できないものもあり、一時的または長期にわたる生産の中断があった場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性がある。
(7)システム障害の影響
社内及び当社グループ間のネットワークシステムについては、システムの更新、ウィルスやハッカーの侵入・攻撃に対する防御システムの導入のほか、定期的な保守点検を実施している。しかし、未知のコンピュータウィルスの侵入や情報への不正アクセス、突発的な事故等により、ハードまたはソフトウェア障害もしくはネットワーク障害等が発生し、長期間にわたり正常に機能しなくなった場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性がある。
(8)為替レートの変動
当社グループの海外における事業展開に伴い、外貨建取引から発生する資産等の日本円換算額が影響を受ける可能性があり、換算時の為替レートが予想を超えて大幅に変動した場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性がある。
(9)株式相場の変動
保有有価証券の多くは、市場価格のある有価証券であるため、株式相場が大幅に下落した場合、減損が発生し、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性がある。
該当事項なし。
当社グループの研究開発活動については、当社の研究開発本部が研究・開発各部門を統括し、その傘下にある開発企画部がグループ会社との連携も深めながら、顧客ニーズに逸早く応え、有望開発品の上市のスピードアップを図っている。また、研究開発本部内に設置された中央研究所が中長期的な開発テーマを、事業部やグループ会社は取り扱う各製品の品質向上あるいは新製品開発のための研究を各々の部門において行っている。
当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費用は、2,773百万円である。
セグメントごとの研究開発活動を示すと、次のとおりである。
(化学)
(1) 機能性無機材料・ナノ材料
中央研究所では、当社グループが得意とする粉体プロセシング技術を核に、電子材料用途向けとして機能性超微粒子誘電体材料、蛍光体等、エネルギー用途向けとして燃料電池材料、太陽電池材料等の開発に取り組み、パイロットスケールでその商品価値を確認の後、順次事業部へ技術移管している。
燃料電池は水素エネルギー社会での成長が期待されており、当社グループの粉体合成技術、触媒技術を活かせる分野として特に開発に注力している。
蛍光体は、大学あるいは公設研究機関との共同開発を進め、化粧品用蛍光体、太陽電池用蛍光体、応力発光体の市場開拓に注力している。中でも化粧品用蛍光体は、赤、緑に加え青をラインアップし市場拡大を目指す。応力発光体は、トンネルや橋梁などのコンクリート構造物の劣化検査を含めた用途開発に注力している。
また、樹脂添加材用ハイドロタルサイトの技術展開として開発した亜鉛置換型ハイドロタルサイトは脱臭剤用途に向けてサンプルワークを進めている。
無機材料事業部では、酸化チタン・酸化亜鉛及びバリウム化合物を中心とした高機能性商品の開発に取り組んでいる。特に当社の粉体表面処理技術を活かして、2次電池向け材料開発に注力している。
電子材料事業部では、電子材料用途向けにチタン酸バリウム、エネルギー用途向けに燃料電池材料の開発を行っている。チタン酸バリウムに関しては、電子部品の小型化・高容量化といった高度な要求に適した材料開発を進めている。燃料電池材料に関しては、粉体合成技術を生かした酸化物材料を中心に、民生用のみならず、今後伸びると期待される業務用・産業用向けにも範囲を拡大しサンプルワークを進めている。
機能材料部では、日焼け止め化粧品分野での用途拡充として、UV遮蔽性の向上や、肌触りの良化を目指して開発した「六角板状酸化亜鉛XZ」や「板状集積型球状酸化亜鉛CANDY ZINC」を上市、拡販に鋭意注力している。加えて、インキやフィルムなどのUV遮蔽用のグレード開発にも着手、更なる用途展開に注力している。
(2) 触媒
中央研究所では、注力すべき分野を環境・エネルギー・化学プロセスとし、触媒事業の拡大を図るべく開発に取り組んでいる。現在は、固体高分子型燃料電池用の電極材料開発に注力している。
触媒事業部では、環境負荷の小さい触媒の開発に特化している。化学プロセス分野にて、脱水素反応、水素添加反応用触媒として有害成分であるクロムを含まない銅系触媒を、ポリエステル重合用触媒として重金属であるアンチモンを含有しないチタン系触媒の開発に取り組んでいる。また、環境分野にて自動車排ガス処理触媒用の担体の開発に注力している。
(3) 有機化成品
中央研究所及びSC有機化学㈱は共同で、イオウ、リンを含むヘテロ有機化合物合成技術をベースとして、光学材料、電子材料、医薬中間体、自動車向け材料等の有機化成品材料の開発に取り組んでいる。電子材料では、特に電子部品の高温化に対応できる高耐熱性樹脂の開発を進め、今般、チオール変性マレイミド樹脂を新規開発した。高い耐熱性と柔軟な屈曲性を有する特徴があり、展示会等も活用してユーザー紹介に注力している。
(4) 機能性インキ・各種分散体
レジノカラー工業㈱では、長年の着色剤ビジネスで培った分散技術や原料選択などの技術力と、ユーザーとの綿密な調色作業で養われたサービス力に基づいて、機能性フィラーの分散に取り組んでいる。近年、多様化する顧客ニーズへの対応分野が広がっており、従来の電子機器向け導電インキや自動車向け機能性インキに加え、光学用高屈折分散体の開発にも取り組んでいる。
また、各種樹脂・エラストマー等に機能性を付加するマスターバッチや入浴剤・化粧品などのトイレタリー分野の要求も増えてきており、開発に一層注力している。
(5) 樹脂添加剤
樹脂添加剤事業部では、Sakai Chemical(Vietnam)Co.,Ltd.をグローバル展開の拠点とし、長年培った塩化ビニル安定剤の技術に基づいて、堅調に成長している海外市場をターゲットとした開発に取り組んでいる。また、当社が得意とする表面処理技術・粒子制御技術を応用したハイドロタルサイト、金属石鹸等にも注力しており、特徴のある原料を使用した樹脂添加剤の開発に取り組んでいる。
(6) 道路標示材の開発
大崎工業㈱では、視覚障害者用誘導標示材「点字シート」の増販を目指し、防滑仕様タイプの開発に注力している。また、路面標示用溶着塗料においてスクールゾーンや自転車レーン用のカラー材の拡販にも取り組んでいる。
以上のほかに無機・有機化成品の新製品の開発に取り組んでいる。なお、化学事業に係る研究開発費用は2,571百万円である。
(医療)
カイゲンファーマ㈱では、既存主力製品のX線検査造影剤関連製品の改良検討を行うとともに、OTC医薬品、医療機器、健康食品の新製品開発に取り組んでいる。
OTC医薬品分野では、かぜ薬を中心とした改源ブランド製品に続き、かぜ以外の領域においても、足のむくみに飲んで効く「ムクトレール」を昨年上市し、その後も引き続き新製品の開発に取り組んでいる。
医療機器分野では、内視鏡用洗浄消毒器の改良製品である「クリーントップ KD-1」、大腸内視鏡専用検査食「ダルムスペースファイン」を上市するなど、内視鏡関連の医療用製品の新規開発を継続的に行っている。
健康食品分野では、カイゲンファーマ㈱の独自素材である「ソルギン」や「ガニアシ」の応用製品の開発を進めるほか、機能性表示食品分野での新商品開発にも取り組んでいる。
なお、医療事業に係る研究開発費用は202百万円である。
(その他)
特記すべき事項はない。
文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において、当社グループが判断したものである。
(1) 重要な会計方針及び見積もり
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されている。この連結財務諸表の作成に当たっては、過去の実績や状況に応じ合理的だと考えられる様々な要因に基づき、見積もり及び判断を行っている。
(2) 当連結会計年度の経営成績の分析
「第2 事業の状況 1 業績等の概要」に記載のとおりである。
(3) 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの製品に対する需要は、化学業界、電子・電気業界などの市場動向の影響を受ける。また、製品の販売先は、日本国内のほか、東南アジア、北米、ヨーロッパ、中近東など多岐にわたっており、各地域の経済情勢の影響を受ける。
また、生産活動については、重油や原材料の価格の影響を受ける。
(4)資本の財源及び資金の流動性についての分析
「第2 事業の状況 1 業績等の概要」に記載のとおりである。
(5)経営者の問題認識と今後の方針について
当社グループの経営陣は、現在の事業環境及び入手可能な情報に基づき最善の経営方針を立案するよう努めている。