(1)業績
当連結会計年度におけるわが国経済は、企業収益の改善や設備投資の持ち直しの動きに足踏みがみられたものの、雇用、所得環境の改善が続く中で、総じて緩やかな回復基調で推移しました。一方で、当社グループを取り巻く事業環境につきましては、鉱山資源、原燃料の価格が不安定な状態にあるとともにアジア地域の景気下振れリスクも懸念される中、依然として先行き不透明な状況で推移しました。
このような状況のもと、当社グループにおきましては、引き続き、基幹製品の拡販、高品質・高付加価値製品の販売強化に努めるとともに事業全般にわたるコストダウンを図り、経営の効率化に一層注力いたしました。
しかしながら、当連結会計年度の売上高は83,938百万円と前連結会計年度に比べ1.8%の減収、営業利益は4,551百万円と前連結会計年度に比べ1.4%の減益、経常利益は4,290百万円と前連結会計年度に比べ3.0%の減益、親会社株主に帰属する当期純利益は2,037百万円と前連結会計年度に比べ13.0%の減益となりました。
セグメントの業績は、以下のとおりです。
(化学)
当社におきましては、酸化チタンは、グラビアインキ用途向けや繊維用途向けへの拡販が実り、亜鉛製品は年度後半に亜鉛建値がやや上昇したことから堅調に推移しました。IT関連向け高機能バリウム製品は、誘電体材料として車載向けが堅調に推移するとともに、アジア等の発展途上市場におけるスマートフォン向けの需要が増加した影響から好調に推移しました。また、樹脂添加剤は海外への積極的な拡販の結果、塩ビ安定剤やハイドロタルサイトの海外向け販売が好調に推移しました。
連結子会社におきましては、SC有機化学株式会社のチオ製品はプラスチックレンズ向けが好調に推移し、共同薬品株式会社は順調に受託を獲得したことや当社製品の一部が移管されたことにより売上を伸ばしました。しかし、レジノカラー工業株式会社は、自動車向け着色剤が堅調に推移しましたものの、OA機器向け機能性インキが受注減となりました。また、株式会社片山製薬所は、医薬品原薬・中間体向け製品が受託先の生産計画変動により出荷が減少し、大崎工業株式会社は電極材料向け製品が原料であるニッケル建値の値下がりの影響を受けました。堺商事株式会社は、衛生材料が顧客の生産拠点再編の影響により落ち込みました。
この結果、当セグメントの売上高は72,683百万円と前連結会計年度に比べ1.7%の減収となりましたが、営業利益は6,327百万円と前連結会計年度に比べ7.7%の増益となりました。
(医療)
カイゲンファーマ株式会社では薬価引き下げ等の影響からX線バリウム造影剤や消化性潰瘍・逆流性食道炎治療薬「アルロイドG」が低調に推移しました。医療機器の販売は好調に推移したものの、仕入原価の上昇の影響から売上総利益が減少しました。また、医療用注射針およびその部材は円高や大口顧客の出荷低調の影響を受けました。
同社のヘルスケア関連製品は、かぜ薬「改源」やその他のOTC(一般用)医薬品、健康食品が低調に推移しました。
この結果、当セグメントの売上高は9,424百万円と前連結会計年度に比べ4.5%の減収となり、営業利益は34百万円と前連結会計年度に比べ90.1%の減益となりました。
(その他)
路面標示・道路標識の設置工事などを行うラインファルト工業株式会社において、首都圏を中心に積極的な営業活動を展開した結果、当セグメントの売上高は1,829百万円と前連結会計年度に比べ6.8%の増収となりましたが、本社および支店建物の修繕等を行ったため営業利益は81百万円と前連結会計年度に比べ5.7%の減益となりました。
(2)キャッシュ・フロー
当連結会計年度のキャッシュ・フローに関しては、以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において、営業活動によるキャッシュ・フローは6,722百万円と前連結会計年度に比べ3,150百万円増加しました。これは、主として減価償却費が増加したことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において、投資活動によるキャッシュ・フローは△4,824百万円と前連結会計年度に比べ2,725百万円増加しました。これは、主として有形固定資産の取得による支出が減少したことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において、財務活動によるキャッシュ・フローは△1,003百万円と前連結会計年度に比べ2,448百万円減少しました。これは、主として短期借入金の純増減額が減少したことによるものです。
以上の結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ838百万円増加し、14,598百万円となりました。
(1)生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前連結会計年度比(%) |
|
化学 |
47,277 |
6.2 |
|
医療 |
3,880 |
41.0 |
|
報告セグメント計 |
51,158 |
8.2 |
|
その他 |
1,037 |
9.1 |
|
合計 |
52,195 |
8.3 |
(注)1 金額は、販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 セグメント別の生産高を正確に把握することは困難なため、概算値で表示しております。
3 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)受注状況
当社グループの主要製品については主に見込み生産を行っております。
(3)販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前連結会計年度比(%) |
|
化学 |
72,683 |
△1.7 |
|
医療 |
9,424 |
△4.5 |
|
報告セグメント計 |
82,108 |
△2.0 |
|
その他 |
1,829 |
6.8 |
|
合計 |
83,938 |
△1.8 |
(注)1 セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、いずれの相手先についても当該割合が100分の10未満のため記載を省略しております。
3 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
(1)経営方針
当社グループは『グループの総合力を最大限に高め、社会のニーズにタイムリーに応える事業活動を展開する。以て盤石な経営基盤を構築し社会的貢献を希求する』ことを経営理念としております。
(2)経営環境
わが国では雇用・所得環境の改善が続く中、景気は緩やかに回復すると期待されますが、欧米やアジア経済の不確実性に加え、鉱山資源、原燃料の価格上昇が懸念されるなど、見通しが困難な状況が続くものと予想されます。
このような環境のもと、当社グループにおいては、平成28年度から平成30年度にかけての中期経営計画 『 共創2018 』-新たなグループ像の創造に挑戦する- に基づき、計画最終年度となる平成30年度に売上高1,000億円、営業利益60億円の達成を目標としております。
(3)対処すべき課題
当社グループにおいては、平成28年度から平成30年度にかけての中期経営計画 『 共創2018 』-新たなグループ像の創造に挑戦する- に基づき、次の項目を中心に課題解決に向けて取り組んでおります。
(1)本業の『稼ぐ力』の早期回復で確実な増益体質を構築
(2)新製品の開発促進と業績への早期貢献
(3)堺化学グループ間の協業や社外との提携強化により、事業の相乗効果を実現
(4)海外を含めた成長市場での事業展開を加速
(5)攻めのガバナンスを採り入れグループ経営の充実を促進
(6)価値観や目指す方向性の共有化で社員の一体感を醸成する風土改革の実行
当社グループの事業その他のリスクについて、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項を以下に記載いたします。但し、これらは当社グループに関する全てのリスクを網羅したものではありません。
また、本項においては、将来に関する事項も含まれておりますが、当該事項は有価証券報告書提出日現在において判断しております。
(1)資材等の調達
重油や非鉄金属などの原燃料や、調達先が限られる特殊な原料、資材等の価格高騰、供給の逼迫、遅延等が生じた場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(2)公的規制
事業活動を行っている国及び地域が多岐にわたることから、それぞれ投資に関する許認可や輸出入規制のほか、商取引、労働、特許、租税、為替等の各種関係法令の適用が異なる場合があります。これらの法令の改変により、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(3)環境規制
化学事業を主とするため、資源やエネルギーの大量消費による環境負荷が大きな問題の1つであります。よって環境負荷低減のための設備や管理体制の整備を図る一方、生産効率すなわち資源やエネルギーの原単位向上など、環境負荷の低減に取り組んでおります。しかし、環境税の導入や、環境関連規制の強化により大規模な設備投資等の必要が生じた場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(4)製造物責任
メーカーであることから、製品については最適な品質を確保するよう、全力を挙げて取り組んでおります。しかし、予期せぬ事情により製造物責任が発生する可能性が皆無ではなく、この場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(5)訴訟
国内及び海外事業に関連して、訴訟の対象となるリスクがあり、多額の損害賠償請求訴訟等が提起された場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(6)自然災害・事故災害の影響
災害による生産活動の中断によって生じる悪影響を最小限に抑えるため、全設備において定期的な防災点検及び設備保守を行っております。しかし、想定外の大規模災害(大地震・津波、停電またはその他の混乱を含む)が発生した場合、その影響を完全に予防または軽減することはできません。
また、製品によっては、代替生産できないものもあり、一時的または長期にわたる生産の中断があった場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(7)システム障害の影響
社内及び当社グループ間のネットワークシステムについては、システムの更新、ウィルスやハッカーの侵入・攻撃に対する防御システムの導入のほか、定期的な保守点検を実施しております。しかし、未知のコンピュータウィルスの侵入や情報への不正アクセス、突発的な事故等により、ハードまたはソフトウエア障害もしくはネットワーク障害等が発生し、長期間にわたり正常に機能しなくなった場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(8)為替レートの変動
当社グループの海外における事業展開に伴い、外貨建取引から発生する資産等の日本円換算額が影響を受ける可能性があり、換算時の為替レートが予想を超えて大幅に変動した場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(9)株式相場の変動
保有有価証券の多くは、市場価格のある有価証券であるため、株式相場が大幅に下落した場合、減損が発生し、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
該当事項はありません。
当社グループの研究開発活動については、当社の研究開発本部が研究・開発各部門を統括し、経営戦略本部と連携してグループ会社との協力体制を深めながら、有望開発品の上市に向けてスピードアップを図っております。また、研究開発本部内に設置した中央研究所は中長期的なテーマの研究開発を、事業部やグループ会社の各々の開発部門は取り扱う各製品の品質向上あるいは新製品上市のための研究開発を行っております。
当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費用は、2,909百万円であります。
セグメントごとの研究開発活動を示すと、次のとおりであります。
(化学)
(1) 機能性無機材料・ナノ材料
中央研究所では、当社グループが得意とする粉体プロセシング技術を核として、また、大学や公設研究機関との産学連携も視野に入れて、機能性材料の開発を進めております。主には、各種蛍光体、燃料電池用電極触媒、機能性超微粒子誘電体材料等の開発に取り組んでおり、パイロットスケールでその商品価値を確認の後、順次事業部へ技術移管しております。
蛍光体は、化粧品用に赤、緑、青の3色ラインアップを化粧品産業技術展などの展示会で発表し、市場開拓に注力しております。また避難誘導表示板等に用いる長時間発光の蓄光体や、太陽電池用の波長変換材料の開発も進めております。応力発光体は、様々な形状の成型物の検査用途などの実用化を目指しております。
燃料電池は水素エネルギー社会での成長が期待されており、当社グループの粉体合成技術、触媒技術を活かせる分野として材料開発に取り組んでおります。
無機材料事業部では、酸化チタン・酸化亜鉛・亜鉛末及びバリウム化合物を中心素材として、触媒用途、電子材料用途などの高機能性材料の開発に取り組んでおります。その他にも高屈折率材料の酸化ジルコニウム、電子材料や歯科材料用途向けなどの球状シリカ、粉体表面処理技術を活かした2次電池向け材料の開発に注力しております。
電子材料事業部では、電子材料用途向けにチタン酸バリウム、エネルギー用途向けに燃料電池材料の開発を行っております。チタン酸バリウムに関しては、電子部品の小型化・高容量化、自動車部品の高信頼性の要求があり、水熱合成法の特長を活かした微粒子・高結晶・粒度均一な材料開発を進めております。燃料電池材料に関しては、粉体合成技術を活かした酸化物材料を中心に、民生用のみならず、今後の市場拡大が期待される業務用・産業用向けにもサンプルワークを進めております。
機能材料部では、従来の日焼け止め分野に加え、用途拡充としてメイクアップ化粧品向けに、肌触りの良化を目指して開発した「六角板状酸化亜鉛XZシリーズ」や「板状集積型球状酸化亜鉛CANDY ZINC」を上市、拡販に鋭意注力しております。加えて、インキやフィルムなどのUV遮蔽用のグレード開発にも着手、更なる用途展開に注力しております。
(2) 触媒
中央研究所では、固体高分子型燃料電池用の電極材料開発に注力しております。環境・エネルギー・化学プロセスを重要な注力分野と決め、触媒事業の拡大を図るべく開発に取り組んでおります。
触媒事業部では、環境負荷の低減に特化した触媒の開発に取り組んでおります。化学プロセス分野では、脱水素反応、水素添加反応用触媒として有害成分であるクロムを含有しないクロムフリー銅系触媒の開発に注力しており、ポリエステル重合用触媒としてはアンチモンのような重金属を含有しないチタン系触媒の開発に取り組んでおります。
(3) 有機化成品
イオウ、リンを含むヘテロ有機化合物合成技術をベースとして、光学材料、電子材料、医薬中間体、自動車向け材料等の有機化成品材料の開発に取り組んでおります。
新規開発したチオール変性マレイミド樹脂は、中央研究所及びSC有機化学㈱は共同でサンプルワークに注力しております。高い耐熱性と柔軟な屈曲性を有する特徴があり、耐熱接着剤用途など市場開拓を進めております。
(4) 機能性インキ・各種分散体
レジノカラー工業㈱では、長年の着色剤ビジネスで培った分散技術や原料選択などの技術力と、ユーザーとの綿密な調色作業で養われたサービス力に基づいて、機能性フィラーの分散に取り組んでおります。近年、多様化する顧客ニーズへの対応分野が広がっており、従来の電子機器向け導電インキや自動車向け機能性インキに加え、光学用高屈折分散体の開発にも取り組んでおります。
また、各種樹脂・エラストマー等に高漆黒性や高輝度性等の機能性を付加するマスターバッチや入浴剤・化粧品などのトイレタリー分野の要求も増えてきており、開発に一層注力しております。
(5) 樹脂添加剤
樹脂添加剤事業部では、Sakai Chemical(Vietnam)Co.,Ltd.をグローバル展開の拠点とし、長年培った塩化ビニル安定剤の技術に基づいて、堅調に成長している海外市場をターゲットとした開発に取り組んでおります。また、当社が得意とする表面処理技術・粒子制御技術を応用した特徴のあるハイドロタルサイトを応用した塩化ビニル安定剤を展開し、性能の差別化に注力しております。同時にハイドロタルサイトを含め、各種配合剤の自社生産化や高効率化により、コストパフォーマンスに優れる製品の開発を進めております。
(6) 道路標示材の開発
大崎工業㈱では、視覚障害者用誘導標示材「点字シート」の増販を目指し、従来タイプよりも設置作業工程が少なく、また防滑効果をより高めた新タイプの「一体型点字シート」の開発に注力しております。また、路面標示用溶着塗料においてスクールゾーンや自転車レーン用のカラー材の拡販にも取り組んでおります。
以上のほかに無機・有機化成品の新製品の開発に取り組んでおります。なお、化学事業に係る研究開発費用は2,659百万円であります。
(医療)
カイゲンファーマ㈱では、既存主力製品のX線検査造影剤関連製品の改良検討を行うとともに、医療機器やヘルスケア領域の新製品開発に取り組んでおります。
医療機器分野では、近年増加している内視鏡下での消化管疾患治療を補助する医療機器について、2019年中の発売をめざし国内で臨床試験(治験)を開始いたしました。これ以外にも、従来から注力している内視鏡関連の医療用製品の新規開発を継続的に行っております。
ヘルスケア分野では、従来からのOTC医薬品、健康食品だけでなく、機能性表示食品を含む各種サプリメントの開発にも積極的に取り組んでおります。
なお、医療事業に係る研究開発費用は249百万円であります。
(その他)
特記すべき事項はありません。
文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 重要な会計方針及び見積もり
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たっては、過去の実績や状況に応じ合理的だと考えられる様々な要因に基づき、見積もり及び判断を行っております。
(2) 当連結会計年度の経営成績の分析
「第2 事業の状況 1 業績等の概要」に記載のとおりであります。
(3) 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの製品に対する需要は、化学業界、電子・電気業界などの市場動向の影響を受けます。また、製品の販売先は、日本国内のほか、東南アジア、北米、ヨーロッパ、中近東など多岐にわたっており、各地域の経済情勢の影響を受けます。
また、生産活動については、重油や原材料の価格の影響を受けます。
(4)資本の財源及び資金の流動性についての分析
「第2 事業の状況 1 業績等の概要」に記載のとおりであります。
(5)経営者の問題認識と今後の方針について
当社グループの経営陣は、現在の事業環境及び入手可能な情報に基づき最善の経営方針を立案するよう努めております。