第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経営方針

当社グループは『グループの総合力を最大限に高め、社会のニーズにタイムリーに応える事業活動を展開する。以て盤石な経営基盤を構築し社会的貢献を希求する』ことを経営理念としております。

当社の創業は、鉛含有の白粉(おしろい)による健康被害が問題視されていた中、無鉛白粉の原料である酸化亜鉛の製造法の開発に成功したことから始まります。以来、思いやりの心と技術革新で社会の快適と安心を支える素材(マテリアル)づくりにこだわってきました。

培った化学技術により生まれる素材(マテリアル)をベースとし、各ステークホルダーとともに持続可能なやさしい未来社会を実現する、この目的に向かって創造を続ける会社であることが私たちのミッションです。

このミッションを実現するために、社員が日々ワクワクして働いてこそ、価値ある創造が継続できるとの考えより、働く社員が能動的で躍動感に溢れる「わくわくカンパニー」を目指しています。

 

(2)経営環境

当社グループは、国内連結子会社8社、国内非連結子会社1社、海外連結子会社8社、海外非連結子会社1社からなります。うち医療セグメントに分類される子会社は1社、その他は全て化学セグメントに属します。また、堺商事および堺商事傘下の海外子会社6社以外は製造子会社です。堺化学および各製造子会社は、特徴のある製品・技術ノウハウを保有し、そのビジネスモデル・ビジネス領域も多種多様です。各社の特徴を伸ばしていくとともにグループガバナンスの強化を行い、グループ間シナジーの発現、業務の効率化など最大のパフォーマンスが発揮できるよう努めています。

化学セグメントは、原燃料高騰、中国ロックダウンによる在庫調整や半導体不足による自動車の減産等による景気後退の影響を受けました。成長事業である電子材料は、中国を中心としたPC、スマートフォンといった民生品の需要が大きく落ち込み、在庫調整も相俟って、誘電体、誘電体材料の販売が低迷しました。また、他の事業においても、景気低迷の影響で販売数量が減少し、製造コストの上昇をもたらしました。

一方の、日焼け止めやメイク関連向けの化粧品材料は、コロナ禍による外出規制が緩むにつれて、少しずつですが回復基調にあります。

また、医薬中間体・原薬、プラスチックレンズ向け製品などの有機化学品は、景気後退の影響を受けにくく、引き続き堅調に推移しました。

医療事業については、昨年度に続き、新型コロナ感染拡大による行動制限の影響に加え薬価改定の影響も受け、昨年同様の厳しい業績となりました。

当社グループ全体では、下半期からの景気後退の影響で販売低迷が続き、利益を大きく引き下げました。

なお、新型コロナ対策については、 全グループ会社で予防対策に取り組み、従業員・家族への感染を最小限に抑えることができ、事業活動への影響はございませんでした。今後も状況判断を適切に行い、感染症予防対策に努めてまいります。

ウィズコロナによる景気回復に加えウクライナ問題により購入資材の調達不安や調達価格高騰を招き、さらに円安により事業環境は一層厳しくなりましたが、諸課題に対して適切に取組み引き続き円滑な事業活動推進に努めてまいります。

 

(3)中期的な経営戦略と目標とする経営指標

当社グループは上記経営環境を認識し、2019年にスタートさせたグループ中期経営計画『SAKAINNOVATION 2023』の数値目標達成と持続的成長を目指して取り組んでおります。中期経営計画4年目に当たる2023年3月期は中国ロックダウンやウクライナ問題に端を発した第2四半期からの電子材料市場の停滞の影響を受け、業績が急速に悪化しました。加えて、輸入を中心とした原料単価アップ、円安影響及び燃料コスト高騰により製造原価が大幅にアップし、広範囲の生産品目において採算が悪化しました。結果、2023年3月期は前期比大幅な減益を余儀なくされました。

中期経営計画最終年度の2024年3月期につきましては、注力分野を中心として当初目標の達成を目指します。

 

堺化学グループ中期経営計画

 

① 稼ぐ力へ再挑戦し確実な増益体質を実現

中期経営計画最終年度の数値目標達成に向け、新たにカテゴリーを設定した成長事業、安定事業、効率化検討事業それぞれにメリハリをつけた方針で臨みます。

 

1. 成長事業(電子材料・化粧品材料)

電子材料についてはMLCC用材料(チタン酸バリウム、高純度炭酸バリウム)を中心に開発及び拡販に注力しましたが、期後半の市況悪化が業績の低迷を招きました。市況の回復時期にも左右されますが、今中計期間に投資をした設備の稼働率アップにより、V字回復を目指します。

化粧品材料についてはほぼコロナ前の業績に回復しました。来期についてはコロナ禍の本格終息、インバウンド需要回復、新工場の本格稼働を背景に大幅な業績伸長を目指します。

 

2. 安定事業(受託加工、有機化学品)

受託加工は加工顔料、工程受託共に減収減益となりましたが、顧客ニーズは根強く且つ益々多種多様で高度なものになっております。今後はそのニーズにお応えすべく、保有設備の拡充、生産管理の高度化、人材育成による技術レベルアップを図ることでビジネスの安定的拡大を実現します。

有機化学品は医薬中間体・原薬の受託とプラスチックレンズ屈折剤を柱としたチオ製品共に堅調な実績を残しました。今期についても引続き高レベルの採算を維持する見込みです。

医薬中間体・原薬の製造受託については研究施設の増強によりCMO(医薬品製造:Contract Manufacturing Organization) からCDMO(Contract Development and Manufacturing Organization)への進化に一層注力します。

プラスチック眼鏡レンズの高屈折材料として引続き強い需要があるチオ製品は安定生産を維持すると共に将来の増設に向けた取組を加速させます。

なお、有機化学品は現状の高収益率を維持しつつ、今後は一層の成長を実現する為積極的な投資を実施する成長事業として位置付ける予定です。

 

3.効率化検討事業(酸化チタン・亜鉛製品・樹脂添加剤・触媒)

個々の事業においてポートフォリオを見直し、メリハリをつけた施策を展開することで収益の改善を目指します。

触媒事業はニッケル触媒、脱硝触媒という既存事業の拡販並びに採算向上を目指すと共に、環境配慮型触媒であるクロムフリーの銅触媒、アンチモンフリーのPET重合触媒等SDGsに資する触媒開発に注力します。

 

4. 医療事業

引続きコロナ禍でX線造影剤事業は本格回復に至らず、事業の柱の一つとなった内視鏡洗浄消毒装置は半導体不足に見舞われ販売活動に一時ブレーキがかかり、全体業績低下の一因となりました。2024年3月期はX線造影剤事業の本格回復に加え美容医療機関向け製品、がんスクリーニング検査事業を中心として新規事業で業績の回復を目指します。

 

② 再構築投資による環境と人にやさしい工場・オフィスの実現

働く人や環境にやさしい、災害に強い工場、本社、技術棟の整備と、将来の工場建設スペースを確保します。

 

③ 10年先の社会を見据えた新事業へ取り組む

1.既存事業を通して、人と環境にやさしい製品づくりで社会的貢献を希求します。

2.研究開発の方向性

持続可能な開発目標(SDGs)における、7「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」9「産業と技術革新の基盤をつくろう」を重視し、それに沿った研究テーマを継続して取り組んでいきます。

3.化学の力で新しい事業創造の可能性を追求

持続可能な開発目標(SDGs)における、2「飢餓をゼロに」6「安全な水とトイレを世界中に」7「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」9「産業と技術革新の基盤をつくろう」13「気候変動に具体的な対策を」14「海の豊かさを守ろう」15「陸の豊かさも守ろう」を重視し、将来に向けた新しいビジネスモデルの可能性を追求します。

 

④ 配当性向30%以上を目標とした安定的・継続的な株主還元を実施

事業活動で得たキャッシュを主に将来の成長に向けた投資に充てると共に、安定的・継続的な配当を基本とする株主還元を実施し、持続的な成長と企業価値の向上に努めます。

 

目標とする経営指標

 

 

2024年3月期目標

営業利益

80億円以上

ROE

6%以上

 

2023年3月期は国内での新型コロナの影響に加え、中国のロックダウン、ロシアのウクライナ侵攻に端を発したサプライチェーンの混乱、原燃料の高騰により、好調であった2022年3月期比で業績が大きく低下しました。特に業績を牽引してきた電子材料の市況は年度後半に大きく後退し、2024年3月期に入っても回復の兆しが見えない状況です。

このような経営環境を鑑み、諸施策の展開を積極的に推進し設定した目標の早期達成を目指して参ります。

 

グループ全体の最重要課題である「稼ぐ力の向上」は引続き営業利益金額で評価し、株主資本に対するリターンを測る指標としてはROEを選択しております。経営環境を鑑みると2024年3月期の目標達成に向け諸施策を展開してまいります。

営業利益は為替差損益、利息・配当等の影響を含まず、製造業を主体とする当社グループの業績、努力の結果を的確に反映する指標と判断しております。また、ROEは株主資本に対してのリターンを反映する指標として、資本市場にて広く認識されている指標です。当社におきましても、ROEが株主資本に対するリターン目標として的確なものと判断しました。ROEの数値目標につきましては、営業利益目標に株主還元目標を加味し設定しました。2023年3月期はROE目標値を下回る結果となってしまいましたが、今後については、現中期経営計画での6%以上はもとより2030年の目標値である12%を達成すべく、努力を続けてまいります。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 2023年3月30日に発生した小名浜事業所酸化チタン工場燃焼排気ガスの集塵機で発生した火災におきまして、近隣住民の皆様、関係当局、お客様をはじめとする多くの皆様にご迷惑、ご心配をお掛けしたことを心よりお詫び申し上げます。当該設備は休止中ですが、酸化チタンの生産及び小名浜事業所内の他製品工場は通常操業に戻っております。なお、本件が業績に与える影響は軽微なものと考えております。

 本件は、2021年5月11日に発生した湯本工場亜鉛末工場の爆発・火災事故に続いての火災事故であることを重く受け止めており、再発防止の徹底に努め、全社一丸となって安全操業に取り組んでまいります。

 2024年3月期までの5ヵ年においては、設備投資総額400億円、そのうち収益向上を目的とした戦略投資として190億円を計画しておりました。コロナ禍の影響により、戦略投資以外の設備投資案件を延期するなど計画の見直しを行いましたが、現在までに総額189億円(うち戦略投資98億円)の設備投資を実行し、足元の需要に対して十分な生産体制を構築しました。特に注力分野である電子材料、化粧品材料においては、業況の回復に伴う需要の増加に対応する十分な生産能力を有しております。

 足元は電子材料市況の悪化、原燃料のコストアップにより業績の低迷を強いられております。ただし、新型コロナウイルスの収束、インバウンド需要の復活により化粧品材料は伸長、有機化学品も堅調な推移を見せております。来期に向けては原燃料高騰による製造コストアップに対処しつつ、増強した生産能力に見合った販売数量を達成することが喫緊の課題です。医療事業においては、薬価改定に影響されない医療機器関連や有望な新規ビジネスの開拓・育成に注力し、稼ぐ力(営業利益)の向上に引き続き取り組んでまいります。

 なお、2023年3月期末時点においても十分な自己資本を維持しております。加えて、長期借入やコミットメントライン等、金融機関から十分な支援を受けられていることから、当事業年度以降の営業キャッシュ・フローを含め、当面の資金繰りについても盤石な体制を維持できると考えております。経営環境の激変に備え全社的なコスト削減、棚卸資産の圧縮、キャッシュ・マネジメント・システムによるグループ資金の運用効率化等の対策を打ち、財務の健全性確保に努めると同時に、今後のビジネス環境の変化を注意深く見極め、適切に対応してまいります。

 また、戦略投資に要する資金確保と資本効率向上のため、保有している政策保有株式を2024年3月末までに株主資本の5%以下に縮減することを目標に掲げ、持合株式の解合いを中心に縮減に努めてまいりました。既に目標は達成しておりますが、更なる縮減に取り組んでまいります。

 新型コロナウイルスの収束を間近に控え、現時点ではグループ会社を含め、操業に影響を与えるような事案は発生しておりません。有機化学品や衛生材料は堅調を維持するものと見ておりますが、中国における大規模なロックダウン、ロシアのウクライナ侵攻によるサプライチェーンの混乱と、それに伴う景気停滞が継続しており、幅広い用途に使用されている酸化チタンやバリウム製品等がマイナスの影響を大きく受けております。加えて、急激に進行している原燃料高騰と円安がもたらす製造コストの上昇は、主要な原料鉱石を輸入している当社にとって免れ得ないものと認識しており、適正な販売価格の設定、収率の改善、製造設備の集約等、更なる製造コスト削減により業績の維持向上に努めてまいります。

 同時に、サステナビリティへの取り組みも喫緊の課題であり、当社は「人々を幸せにする」「地球環境を守る」「ものづくりで社会の課題を解決する」「透明で強固な経営体制を築く」をテーマに11項目のマテリアリティを定めております。2021年9月にはサステナビリティ委員会を設置し、項目別の目標とKPIを設定したほか、TCFDに沿ったシナリオを策定しました。また、TCFD提言並びにGXリーグ基本構想についても賛同を表明致しました。今後はKPI目標達成に向けて取り組んでまいります。

 

(化学事業)

電子材料(成長事業)

 2022年の夏以降急激に市況が悪化しました。中国のゼロコロナ政策による中華系スマートフォンの需要減少および半導体不足による自動車生産量の減少等により、サプライチェーンの各所でMLCCの在庫調整が進み、誘電体材料(高純度炭酸バリウム)と誘電体(チタン酸バリウム)の販売が当初計画より大幅に減少しました。2023年度下期には市場回復が想定されるため、機会を逃さず拡大してまいります。

 また、誘電体は次期ボリュームゾーンとなる製品開発を進め、シェアの拡大を図ってまいります。

 

化粧品材料(成長事業)

 UVケア化粧品材料として使用される超微粒子酸化チタン・酸化亜鉛は、海外向けの復調が先行し、国内出荷も回復し始めました。今後、インバウンド需要の拡大が期待できます。UVケア化粧品のみならず、メイクアップ、スキンケア化粧品全般に、機能性、意匠性等に優れた無機材料を提供すべく、引き続き材料開発、処方開発に取り組んでまいります。

 

酸化チタン・亜鉛製品(効率化検討事業)

  酸化チタンは、チタン鉱石の世界的な産地の一つであるウクライナがロシアからの侵攻を受けました。鉱石の調達には問題は生じませんでしたが、原料全般が前年度同様に高騰しました。併せて燃料価格も急激に上昇した為、採算性がさらに厳しくなりました。事業所の操業バランスや他の自社製品の中間体供給等について重要な役割を担っておりますので、引き続き生産体制の効率化・最適化に努めてまいります。

 

樹脂添加剤(効率化検討事業)

 塩ビ安定剤は、環境に優しい非鉛系安定剤の積極的な展開を図り、売上・利益を維持していきます。また、世界的な原材料供給のタイト化に対応して、より安定した原材料の調達を進め、競合他社との差別化を図ります。

 塩ビ需要の拡大が期待できる海外(特に東南アジア地域)へは、当社の非鉛系安定剤の配合技術を駆使し、ベトナム、タイの現地法人と協力して現地メーカーへの新規採用、シェア拡大に努めてまいります。

 その他、金属石鹸やハイドロタルサイト等の機能性添加剤については、それらの特徴・機能をより高め、高付加価値分野への用途展開を図り、利益の確保に努めます。

 

衛生材料(安定事業)

 堺商事が扱う紙おむつ、生理用ナプキン、ペットシート等の材料について、世界中の信頼できる供給元との関係を一層強化し、グローバルに販売活動を展開しております。

 また、堺商事の子会社であり、昨年、設立10周年を迎えた通気性フィルムを生産するPT.S&S HYGIENE SOLUTION(インドネシア)は、品質、コスト競争力の更なる向上に取り組み、生産活動も行う商社として、お客様の信頼を高めてまいります。

 

有機化学品(安定事業)

 有機イオウ製品およびリン製品は、高品質と安定供給に努めるとともに、伸長が予想される用途への積極的な展開、新たなニーズで付加価値を生み出す開発技術力の強化と生産体制の強化により次の収益の柱になる製品育成に取り組みます。

 医薬品原薬・中間体の生産受託は、受託品目、受託数量増加を視野に入れ、生産要員確保、品質管理等の体制整備を進めるとともに、将来の新規案件獲得に向け、研究設備の拡充ならびに原薬製造ラインの増強を計画中です。

 

触 媒(効率化検討事業)

 衛生材料向け接着剤など粘着性が必要な分野で水添石油樹脂の需要拡大が期待されています。ニッケル触媒はその製造工程で使用されており、顧客の品質要求に応えるべく、性能の改良や生産効率の向上により、他社との差別化を図ってまいります。

 脱硝触媒は、環境対策としてごみ焼却炉施設の普及が進む東南アジア地域や中国等への積極的な営業活動を推進し、それに対応すべく生産・供給体制の強化を進めてまいります。

 その他、低炭素化社会実現のためのカーボンニュートラルに関連した企業との協業で新規触媒の開発と拡販にも注力してまいります。

 

受託加工(安定事業)

 受託加工事業に対する顧客からのニーズは、近年多種多様でより高度なものになり、それらニーズに対して迅速かつ確実に対応できるよう、保有設備の拡充、生産管理の高度化、人材育成等を図り、より信頼される受託体制を構築して発展に努めてまいります。

 

 

(医療事業)

 医療用医薬品、医療機器、一般用医薬品、機能性食品ならびに美容医療向け製品等、これまで培った販路・商流を活用できる商品ラインアップの拡充に注力します。また、産学連携の枠組みを活用した大学との共同研究を積極的に推進するほか、新素材、新技術、新プラットフォームを有するスタートアップ企業を探索し、業務・資本提携を含めたビジネス協業関係の構築を図ります。

 

医療用医薬品

 バリウム造影剤は、需要が漸減する国内においては顧客ニーズへの対応力を強化する一方、輸出については韓国、台湾等への拡販に努め、国内・輸出の販売合計で事業規模維持を図っております。新型コロナウイルスの影響を受け集団検診の延期または受診控えにより販売量が一時減少しましたが、検診自体は早期発見の観点からも必要性が指摘されており、今後検診需要は一定の回復を見込んでおります。

 

医療機器

 内視鏡洗浄消毒器は、世界的な半導体不足の影響で実績は予算を下回りましたが、耳鼻咽喉科領域でのエビデンスを取得し、来期以降への業績貢献に期待します。消耗品の原材料高騰による影響は製品価格転嫁により抑えました。

2019年6月に上市した内視鏡手術用の粘膜下注入材「リフタルK」および注入材用穿刺針「リフテインニードル」は、大学病院、官公立病院からクリニックまで営業強化を図った結果、目標とした30%のシェアに近づいてきており、更に拡販に注力してまいります。

 また、胸部X線診断支援AIシステムと胸部CT診断支援AIシステムに加え、2023年1月より下部消化管内視鏡診断支援AIシステムについても販売を開始しました。当社の得意領域であり、新規需要の開拓に努めてまいります。

 その他に、2022年12月より緑内障検査装置「アイモscan」の健診施設向けに販売を開始しました。緑内障の早期発見に貢献します。

 

一般用医薬品・その他

 一般用医薬品の収益力強化と事業改革のため、販売ルートおよび商品ラインアップの整理、新商品と新商流の開拓などの活動を積極的に展開します。またかぜ薬「改源」が2024年に発売100周年を迎えるのを記念した製品の発売を準備中です。

 新事業領域として取り組んできた美容医療向け事業は、新型コロナウイルスの影響下にあっても紫外線対策サプリ「ソルプロ」シリーズを中心に順調に売上を伸ばしており、今後も新製品を投入し拡大を図ります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 なお、以下に記す指標および目標ならびに実績値は提出会社単体のものです。グループの目標設定と運営ならびに集計については、今後取り組んでまいります。また、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

(1)サステナビリティ

① ガバナンス

 当社はサステナビリティならびにESG(環境・社会・ガバナンス)に関わる経営方針・戦略に関する重要事項について、取締役会による監視体制の下、リスクと機会の大きさを認識し適切な対応を検討し、実行する意思決定を行っています。社会課題に対するステークホルダーからの期待や要請に応えるべく、代表取締役が委員長となりサステナビリティ委員会(年2回以上開催)において事業戦略を鑑みた上で目標や戦略について議論し、進捗管理を実施しています。また、その内容は取締役会に報告しています。

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② 戦略

 当社は「化学でやさしい未来づくり」をミッションに掲げ、ESG経営の推進によって社会課題を解決し経済的価値も創出することを目指しています。それらは幅広いステークホルダーへ積極的に情報開示を行っています。

 

③ リスク管理

 当社は、環境・社会・ガバナンスに関する重要課題(マテリアリティ)を特定し、全社横断的なマテリアリティマネジメントを通じて、リスク管理を実施しています。進捗についてはサステナビリティ委員会において審議しており、企業の存続と活動に必須の要件として主体的に取り組みます。

 

④ 指標と目標

 当社はマテリアリティごとに指標と目標をKPIに設定し、上記ガバナンスにおいて各指標の進捗状況がモニタリングされ、結果に基づき取り組みに反映しています。

 

テーマ

マテリアリティ

(重要課題)

堺化学の主な取組み

KPI

指標

目標

実績

人々を幸せにする

人材を育成し、成長を実感できる風土を醸成する

挑戦する仕組み•能動的に行動する仕組みを整備する

 

ダイバーシティの推進

ストレスチェック実施結果

キャリアへの配慮項目

の偏差値

ストレスチェック実施会社の集計 による化学工業の偏差値を上回り、上位を目指す

化学工業偏差値 2021年度50.4

(当社実績2021年度46.9)

化学工業偏差値2022年度50.5

(当社実績2022年度47.5)

働きやすい環境をつくる

新人事制度の導入

働く環境(場所、時間)を整備する

 

活力のある職場環境づくり

度数率(100万延実労働時間当たりの労働災害による死傷者数)

強度率(1,000延べ実労働時間当たりの延べ労働損失日数)

DX推進

安全を第一に働く職場環境を整備

化学工業度数率2020年度0.93(当社実績2020年度0.70)

化学工業強度率2020年度0.03(当社実績2020年度0.00)

DX推進の継続

 

化学工業度数率2021年度 1.07(当社実績2021年度 0.69)

化学工業強度率2021年度 0.02(当社実績2021年度 0.00)

地域社会に貢献する

地域社会との対話

 

地域団体への協賛加盟

レスポンシブルケアなどによる地域対話

協賛加盟団体での社会貢献活動への参画

年間1件以上

 

年間1件以上

渡辺下町区専門委員会、下川を考える会

泉ふるさと祭り、堺まつり,いわきサンシャインマラソン、堺科学教育フェスタ etc.

地球環境を守る

化学物質を適切に管理し、環境負荷の低減と製品安全性の向上を実現する

燃料転換(重油一LNG)

高効率モーター、LED照明

への更新

太陽光発電パネルの設置

NH3、CO2、H2回収への取組み 公害防止と化学物質管理

レベ ル向上

CO2排出量削減率

(2013年度比)

重大な環境事故発生件数

2030年度30%削減

 

0件/年

2022年度24%削減

 

2022年度 1件/年

産業廃棄物の排出量を削減する

3R (Reduce Reuse Recycle)

推進

原燃料・生産プロセスの見直し

産業廃棄物の再資源化

産業廃棄物削減率

(2021年度比)

2025年度25%削減

 

生物多様性に配慮する

処分場周辺におけるモニタリング活動の継続

CNLのボランタリークレジット により生物多様性に貢献する

環境影響評価の事後評価として、動物、植物、生態系調査を実施

CNL導入

処分場工事に合わせた

調査の実施

CNL導入の継続

2022年度CNL導入の継続

モノづくりで社会の課題を 解決する

環境や社会の課題

解決につながる

製品やサービスを

創造する

全固体電池材 料、アンモニア合成触媒、マイクロプラスチックビーズ代替製品

5G関連(低膨張、放熱、低誘電損失、難燃)材料

カーボンリサイクル触媒、抗菌抗ウイルス材料

「Smart Materia®認定製品」開発件数

2030年度までに5件上市

 

責任ある調達を推進する

調達先への周知•協力依頼、取引先への監査など

取引先への顧客満足度調査の依頼率

100%

2023年度より実施

透明で強固な経営体制を築 <

取締役会の実効性を高める

取締役実効性評価アンケートの

実施(毎年1回)

アンケート結果に基づく改善の

実践

経営人材育成プランを作成

指名報酬委員会の運営

取締役会実効性評価アンケート結果を踏まえ

①抽出した課題の数

②各課題について議論した回数および延べ時間数

③導き出した対策数

④対策の実行数

実効性アンケート結果からの課題抽出と改善の実施

2022年度

実効性アンケート結果からの課題抽出と改善を実施

リスクを把握し対策を講じる

リスクコンプライアンス教育・研修・周知活動の実施

委員会・部会の効果的な運営

重大なコンプライアンス違反件数

全社的リスク管理体制を維持できて いる

0件/年

有効な状態を維持

2022年度 0件/年

2022年度 有効な状態を維持

適時•適切に情報 を開示する

IR•広報活動の活性化、危機管理広報の充実

統合報告書またはそれに準じた内容の情報作成と提供

2022年度分より、統合報告書またはそれに準じた内容の提供

2022年度分の発行は断念し、2023年度分を発行する

 

 

 

(2)気候変動

① ガバナンス

 気候変動など経営上のリスクとなりうる外部環境問題に関しては、取締役会による監視体制の下、リスクと機会の大きさを認識し適切な対応を検討し、実行する意思決定を行っています。

 気候変動など外部環境課題に与える影響や社会的責任などに関しては、影響を緩和し課題解決への寄与を拡大するため、代表取締役が委員長となりサステナビリティ委員会(年2回以上開催)において事業戦略を鑑みた上で気候変動に係る目標や戦略について議論し、進捗管理を実施しています。

 

② 戦略

1)2℃シナリオ:低炭素/脱炭素、カーボンリサイクル技術が普及しサステナブルな製品需要が増加。

項目

環境変化

想定される状況

主な対応策

移行

リスク

CO2排出規制

燃料の脱炭素化必要性の高まり

低炭素排出原料•プロセスへの転換によるコストの増加

•カーボンクレジット付きLNG使用

•エネルギー使用のさらなる高効率化

•再生可能エネルギー導入拡大

•カーボンリサイクル技術導入拡大

•生産工程から排出される環境負荷低減を

見据えた事業構成、生産プロセスの見直し

低炭素排出製品への置換

化石燃料、石化由来製品

(プラスチック関連製品など)の需要減少

顧客行動の変化

サプライチェーンの中で低炭素排出製品の要望の高まり

事業機会

気候変動を緩和する製品の需要 増加

カーボンリサイクル、カーボンフリー燃料、

カーボン吸着、発電・蓄電関連製品の需要拡大

•脱炭素製品の開発

(二次電池材料、水電解材料、カーボン吸着材料、カーボンリサイクル触媒、アンモニア合成触媒)

•電子•エネルギー材料の高機能化

(小型化、耐久性向上のための微粒子、

粒度分布均一材料)

次世代技術の進展

モビリティの電動化

エネルギー源としての水素、アンモニア活用

 

2)4℃シナリオ:低炭素/脱炭素、カーボンリサイクル技術が促進されず、異常気象の激甚化や平均気温の上昇の物理リスクが高まる。

項目

環境変化

想定される状況

主な対応策

物理

リスク

異常気象の激甚 化

生産拠点における風水害被害拡大

夏季の渇水や健康被害等により生産活動の停止、物流の遅延や分断による企業活動全般への被害多発

•シナリオに沿った生産拠点毎のBCPの策定

•最適な生産場所の検討、材料調達先の分散化

•健康被害(熱中症など)低減への対応強化

•ロボット化や自動化の推進など操業の無人化

平均気温の上昇

熱中症対策、冷房コストの増加

適切な対応を実施しない場合の

労働生産性の低下

事業機会

気候変動に適応 する製品の需要 増加

ヘルスケア商品の需要拡大

断熱・遮熱効果を有する製品の需要拡大

テレワークの拡大

抗菌抗ウイルス材料の需要拡大

•日焼け止めなど肌ケア商材の拡販

•断熱、遮熱効果材料の開発

•抗菌抗ウイルス材料の拡販

5G6G対応製品の拡販

•排水•浄化関連材料の開発

原材料調達先の 分散化

BCP対策による代替需要の機会増

 

③ リスク管理

 当社は、環境・社会•ガバナンスに関する重要課題(マテリアリティ)を特定し、全社横断的なマテリアリティマネジメントを通じて、リスク管理を実施しています。気候変動への対応については、ステークホルダーおよび自社の観点から重要度が極めて高い課題としてサステナビリティ委員会において審議しており、企業の存続と活動に必須の要件として主体的に取り組みます。

 

 

④ 指標と目標

 堺化学は、2050年カーボンニュートラル達成に向けて、CO2排出削減の長期目標を設定しています。目標達成に向け、CO2排出目標をKPIに設定し、省エネ活動の推進、再生可能エネルギーの導入などの短・中・長期の時間軸での排出削減施策を進めていきます。

 

堺化学のカーボンニュートラル化に向けた移行イメージ

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脱炭素化をイノベーションの実現に応じて進め、2050年のカーボンニュートラル化にチャレンジしていきます。

 

(3)人的資本

 当社は、思いやりの心と技術革新で社会の快適と安心を支える素材を創造する「化学でやさしい未来づくり」をミッションに掲げています。そのミッションを達成するため、社員がワクワクして働き、様々なステークホルダーが幸せになれる会社、「わくわくカンパニー」を目指しています。

 そのような組織になれるよう、私たちは、働く社員の成長を支援するため、以下のような社内環境を整備しております。

 

① 戦略

<人材育成基本方針>

 私たちが掲げたミッションを実現するには、会社と働く人が成長し続ける必要があります。

そのため、以下の人材育成方針を策定しています。

1.仕事に関係する社内外の関係者とコミュニケーションを活発にして事業化意識力を高める

2.多様な人材が健やかに働ける柔軟な環境を整備する

3.多様性を確保するための雇用・育成を計画的に実施する

4.公的資格取得を奨励し自己啓発を促す

5.サステナブルな社会を実現していくための理解と、行動する社員への支援を実施する

 

<社内環境の整備にかかる具体的施策>

上記方針に基づき、新人事制度の運用とともに、以下の具体的施策を実践しています。

 

1.職種の統合とグローバル・エリア制の導入

 当社は従来、職種を総合職と一般職とに区分していましたが、「基幹職」に統一し、仕事の幅を自ら広げ、新たなことにチャレンジする社員に厚く報いる制度に改めました。また、転居を伴う異動(転勤)を画一的に決めるのではなく、ライフステージに応じて生じる生活環境や価値観の変化に対応できるよう、転勤を自らの意思で選択できるグローバル・エリア制を導入しました。

 

2.ジョブローテーションとキャリア形成支援

 当社は、人材育成の一環としてジョブローテーションを積極的に実施しています。専門性やスキルを磨き上げる一方で、他部署や他分野に対する理解を深めることも大切と考えています。特に経営人材の育成においては、様々な業務を経験して視野を広げ、視座を上げることが重要です。

 また、全社員を対象に毎年自己申告書を提出してもらい、所属長や人事担当とのキャリア面談を通じて成長の支援を行っています。

 

 

3.ダイバーシティの推進

 当社では、社員の誰もが働きやすい環境づくりに努めています。たとえば、家庭と仕事との両立支援として、育児時短勤務期間の延長や、企業支援型保育園との提携、男性育休の推進などに取り組んでいます。自社の取組み度合を測定し、維持向上させるため「くるみん」認定も取得しております。また、D&I促進の一環として、プレ管理職座談会、ママキャリア座談会、パパ育休座談会などを企画・開催し、社員同士で様々な働き方を模索する機会を設けるほか、ダイバーシティ通信を発行して社員の意識向上を図っています。

 

4.対話型講演会「カチラボ」の実施

 「カチラボ」とは、仕事や人生の「価値」と「勝ち(=勝利)」を探求する意味を込めたもので、役員と社員、社員同士の対話集会です。役員のかつての失敗談や苦労話、人生観や仕事にかける思いなどを率直に語り、社員が質問したり意見を述べたりするイベントです。現在は登壇者を社員に広げ、海外での仕事や生活ぶりを紹介して意見交換しています。このような機会を通じて、役員や社員のさらなる成長につなげています。

 

5.経営者人材育成計画

 当社は、次代の経営を担う人材の育成にも注力しています。毎年、執行役員が候補者を選定し、経営者に相応しい社外研修を受講させるとともに、社内では当人にとって負荷の高い「一皮むける経験」をさせる計画を策定・実施しています。人選および計画内容の検討、経過および結果報告については、経営職人材育成審議会ならびに指名報酬委員会にて審議・検証を行っております。

 

 

② 指標及び目標

 1.キャリア採用者数の増強

 迅速な組織レベルと業績向上を果たすには、社内に新しい風を吹き込み、周囲に良い影響を与える、優秀な人材を確保しなければなりません。当社は、新卒者の採用と教育に注力する一方で、経験豊富で即戦力となる経験者の採用も積極的に行っています。当社はキャリア採用者を新規採用の10~30%とすることを目標としています。

 

2022年度

目標値

新規採用者に占めるキャリア採用者の割合

(中途採用比率)

50%

10~30%

 

2.女性活躍の推進

 当社における女性社員数は、現在のところ決して多くはありません。特に製造部門においては、基本的に交替勤務制としていることから、伝統的に男性社員が大勢を占めています。しかし、会社を多様かつ柔軟な組織にし、発展させていくには、女性社員の割合を増やしていく必要があると考えています。

そこで、研究・技術開発部門や管理部門、コーポレート部門などを中心に、積極的に女性を採用して組織レベルを向上させてまいります。

 

2022年度

目標値(2030年)

中核人材に占める女性雇用率

7.9%

20%以上

管理職に占める女性雇用率

1.4%

10%以上

※当社は、管理職等級を5段階、基幹職等級を6段階に分けております。「中核人材」とは、基幹職の上位3等級および全管理職を指します。

 

3.男性育休取得率の向上

 当社は、男性社員に対し、育児休業の取得を促していますが、取得者数は十分に増加しておりません。これは、男性社員における育休取得の認知・理解が不足していること、業務や職場に与える影響を懸念していることなどが原因だと推測しています。

 今後は、管理職をはじめ全社員に対して育休理解を促進するとともに、業務への影響低減に向けた相談・協議等を進めてまいります。

年度

2020年度

2021年度

2022年度

2025年度

(目標数値)

取得率

3.7%

10.5%

32.1%

50%以上

 

4.エンゲージメントの向上

 当社は毎年ストレスチェックを実施しております。しかし、社員のエンゲージメント指標である「キャリアへの配慮項目」の数値が低迷しており、その向上のために前述の諸施策に取り組んでいます。全社員が生き生きと働ける組織づくりを目指してまいります。

年 度

2022年度

当社の偏差値

47.5

化学工業の偏差値

50.4

 

※当社は、株式会社アドバンテッジリスクマネジメントが提供するストレスチェックを利用しています。上記偏差値は、同社が把握・算出したものです。

3【事業等のリスク】

当社グループの事業その他のリスクについて、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項を以下に記載いたします。ただし、これらは当社グループに関する全てのリスクを網羅したものではありません。

また、本項においては、将来に関する事項も含まれておりますが、当該事項は当連結会計年度末現在において判断しております。

 

(1)資材等の調達

重油や非鉄金属などの原燃料、カントリーリスクの比較的高い地域からの輸入に頼っている酸化チタンまたはバリウム製品の原料、国内においても調達先が限られる特殊な原料・資材等の価格高騰、供給の逼迫・遅延等が生じた場合、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

これらリスクに対し、特に輸入原料については極力複数の国、調達先を確保するように努めております。また、在庫量についても、仕入れの難易度、必要期間を考慮し、余裕を持った運用を実施しております。

(2)資金の調達

金融危機により金融機関からの調達が困難になる、または、金利高騰で支払い金利が増大することにより当社グループの事業継続に影響を及ぼす可能性があります。

これらリスクに対し、取引金融機関のシンジケーションによるコミットメントラインで金融サポート体制を強固なものにする、長期借り入れについては極力固定金利を採用し将来の支払金利負担を固定化する、キャッシュ・マネジメント・システムによりグループ内の資金効率を高めるなどの対応を実施しております。

(3)公的規制・コンプライアンス

当社グループは事業の遂行にあたって、様々な法令、規制の適用を受けております。加えて、事業活動を行っている国および地域が多岐にわたることから、それぞれ投資に関する許認可や輸出入規制のほか、商取引、労働、特許、租税、為替等の各種関係法令の適用が異なる場合があります。

これらの法令等に違反した場合や社会的要請に反した行動等により、法令による処罰、訴訟の提起、社会的制裁を受ける、顧客からの信頼を失うことで、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

これらに対し、当社ではコンプライアンスを「当社が行うあらゆる活動の局面において、関連する法令・条例・契約・社内規程等、明確に文書化されたルールを遵守するとともに法令の目的である社会的要請、社会通念および社会倫理等を尊重して行動すること」と定義し、コンプライアンス研修やコンプライアンスハンドブックの配付を通じ従業員の法令違反や社会規範に反した行為等の発生可能性を低減するよう努めています。また、公認会計士、弁護士、弁理士等の専門家とのコミュニケーションを適切に実施することで、これらリスクへの早期かつ的確な対応を心掛けております。

(4)環境規制

当社グループでは化学セグメントが事業の主体となっていることから、資源やエネルギーの大量消費による環境負荷が大きな問題の1つであります。よって環境負荷低減のための設備や管理体制の整備を図る一方、生産効率すなわち資源やエネルギーの原単位向上など、環境負荷の低減に取り組んでおります。当社グループのすべての製造拠点における排水規制(水質汚濁防止法等)に対して各拠点において専用設備を設置して窒素酸化物、リン等の排出物濃度モニタリングを実施し適切な管理を実施していますが、今後、環境税の導入や、環境関連規制の強化により大規模な設備投資等の必要が生じた場合、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(5)為替レートの変動

当社グループの海外における事業展開に伴い、外貨建取引から発生する資産等の日本円換算額が影響を受ける可能性があり、換算時の為替レートが予想を超えて大幅に変動した場合、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。当社では化学セグメントにおける酸化チタン、バリウム製品の原料となる鉱石購入等の大口ドル建て取引に対し、予算レートに準じた為替予約を一定比率で実施するなど、為替変動リスクの低減に努めております。

 

(6)株式相場の変動

政策保有株式の多くは、市場価格のある有価証券であるため、株式相場が大幅に下落した場合、減損が発生し、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

これに対し、当社コーポレートガバナンス基本方針において銘柄毎にその保有の目的や保有リスク・時価、配当利回り等を精査の上保有継続の合理性の確認および株式数の見直しを行っております。見直しの結果、継続して保有する必要が無いと判断した株式は売却を進めるなど、政策保有株式の縮減に努めております。

(7)海外における事業

当社グループが事業活動を行う国・地域は広範であり、特に新興国における法令・規制等の変化、テロ・戦争やその他の要因による政治・経済・社会的混乱、文化や習慣の違いに起因するトラブル発生等が予想されますが、こうしたカントリーリスクが顕在化する場合、当社グループの事業活動が制限される、一時的な業務停止などの悪影響が発生する可能性があります。

これに対し、比較的カントリーリスクの低い国への進出を選択していること、インドネシア、タイでは現地事情に詳しいパートナーとの合弁事業とすることによりリスクの低減を図っております。

(8)製造物責任

当社グループの製品は、自動車関連部品、電子機器、建材、化粧品、医薬品等の暮らしに身近なものから、社会インフラまで多くの分野で使われています。そのため何らかの原因で製品品質に問題が生じた場合、特に医薬品等においてはGQP、GМPにおいて不正逸脱等の問題が発生した場合には、販売中止・製品の回収や社会的信頼の喪失などにより、当社グループの業績および財務状況に影響を与える可能性があります。

これらに対し、原料調達から生産、お客様に製品をお届けするまでサプライチェーン全体を管理することで品質を保証し、より一層の顧客満足向上に努めるとともに、万が一に備え製造物責任保険に加入しています。また当社グループでは品質担当部門による「グループ品質連絡会」を実施、品質に関する情報を共有し、製品品質の問題発生の予防に努めています。

(9)訴訟

国内および海外事業に関連して、訴訟の対象となるリスクがあり、多額の損害賠償請求訴訟等が提起された場合、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。当社では契約書を締結する前に必ず法務担当部門が契約審査を行い取引先との協議により当社リスクの低減を図り、社内手続きを経たうえで契約締結を進めております。

(10)自然災害・事故災害の影響

地震・台風・津波・風水害・火災・有害物質の流出等の災害により事業所等の閉鎖や事業活動を停止する可能性があります。

これに対し、当社では事業継続管理システム規程を制定し事業活動の復旧・継続に関する基本方針、基本的事項を定めております。また、安否確認システムにより従業員およびその家族の安否を迅速に確認出来る体制を構築しております。さらに、過去に起こした湯本工場爆発火災事故を教訓に、5月11日を「安全への誓い」として毎年講演会や安全教育を実施し啓発活動に取り組んでいます。

生産活動の中断によって生じる悪影響を最小限に抑えるため、全設備において定期的な防災点検および設備保守を行っておりますが、想定外の大規模災害(大地震・津波、停電またはその他の混乱を含む)が発生した場合、その影響を完全に予防または軽減することはできません。また、製品によっては、代替生産できないものもあり、一時的または長期にわたる生産の中断があった場合、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(11)システム障害の影響

社内および当社グループ間のネットワークシステムについては、情報セキュリティ規程に則りシステムの更新、EDR(Endpoint Detection and Response)等ウイルスやハッカーの侵入・攻撃に対する防御システムの導入のほか、定期的な保守点検を実施しております。しかし、未知のコンピュータウィルスの侵入や情報への不正アクセス、突発的な事故等により、ハードまたはソフトウエア障害もしくはネットワーク障害等が発生し、長期間にわたり正常に機能しなくなった場合、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(12)情報漏洩

営業、技術、研究など事業に関連する機密情報については、情報管理規程に基づき適切な運用に努めるとともに、当社グループ全従業員に対し情報管理についての研修を実施しております。しかし、予期せぬ事態により情報が流失した場合、被害を受けた企業および個人に対して損害賠償責任を負うとともに、社会的信用の失墜を招き、当社グループの事業やイメージに影響を及ぼす可能性があります。

(13)新型コロナウイルス等のパンデミック

新型コロナウイルス等のパンデミックにより、当社グループにおいて工場、事務所閉鎖が生じ、事業継続に影響が出る可能性があります。これに対し検温、マスクの着用、アルコール消毒液の設置、工場や建物への出入管理の厳格化、出張や会議の制限およびWeb会議システム等の活用、時差出勤やテレワークの実施など、顧客、調達先、社員とその家族の安全確保ならびに感染予防と拡大防止に努め、事業継続が可能となる施策を制定し、的確な対応を実施してまいります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

① 経営成績

当連結会計年度における当社グループの経営成績は次のとおりであります。

 

2023年3月期

前連結会計年度比

売上高(百万円)

83,861

4.6%

営業利益(百万円)

4,407

△41.2%

経常利益(百万円)

4,854

△45.1%

親会社株主に帰属する当期純利益(百万円)

2,344

△65.2%

 

当社グループは、中期経営計画『SAKAINNOVATION 2023』の数値目標達成と持続的成長を目指して取り組んでおります。4年目にあたる当連結会計年度(2023年3月期)は、下半期からの景気後退の影響で販売低迷が続き、利益を大きく引き下げました。

化学事業では、原燃料高騰、中国ロックダウンによる在庫調整や半導体不足による自動車の減産等による景気後退の影響を受けました。成長事業である電子材料は、中国を中心としたPC、スマートフォンといった民生品の需要が大きく落ち込み、在庫調整も相俟って、誘電体、誘電体材料の販売が低迷しました。また、他の事業においても、景気低迷の影響で販売数量が減少し、製造コストの上昇をもたらしました。

一方の、日焼け止めやメイク関連向けの化粧品材料は、コロナ禍による外出規制が緩むにつれて、少しずつですが回復基調にあります。

また、医薬中間体・原薬、プラスチックレンズ向け製品などの有機化学品は、景気後退の影響を受けにくく、引き続き堅調に推移しました。

医療事業については、昨年度に続き、新型コロナ感染拡大による行動制限の影響に加え薬価改定の影響も受け、厳しい業績となりました。

この結果、売上高は前連結会計年度比4.6%増の83,861百万円となりましたが、営業利益は前連結会計年度比41.2%減の4,407百万円、経常利益は前連結会計年度比45.1%減の4,854百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度比65.2%減の2,344百万円となりました。

セグメントの業績は以下のとおりです。

なお、各セグメントの営業利益は全社費用等調整前の金額であります。

 

(化学事業)

売上高は前連結会計年度比5.2%増の75,992百万円となりましたが、営業利益は前連結会計年度比30.7%減の6,372百万円となりました。

 

電子材料(成長事業)

誘電体材料(高純度炭酸バリウム)と誘電体(チタン酸バリウム)は市況の悪化に伴う積層セラミックコンデンサ(MLCC)の在庫調整に伴い、売上高は減少しました。

 

化粧品材料(成長事業)

化粧品材料の超微粒子酸化チタン・酸化亜鉛は、世界的な経済活動の再開に伴う需要回復により、売上高・利益ともに増加しました。

 

酸化チタン・亜鉛製品(効率化検討事業)

酸化チタンは、景気不透明のため、販売数量は減少したものの、値上げを実施した結果、売上高は増加しました。

亜鉛製品は、販売数量は減少したものの一部製品で採算是正をした結果、売上高は増加しました。

 

 

樹脂添加剤(効率化検討事業)

国内向けにおいては、上期は原材料高騰懸念による先取り需要もあり、塩ビ用安定剤も堅調に推移し、売上・利益は前年並みの水準を維持しました。しかし下期に入り、IT関連設備の建設遅れから需要が停滞し、販売数量が減少しました。原材料高騰に対応すべく値上げを実施した結果、売上高は前年同水準を維持したものの、原材料高騰分の一部は価格転嫁できず、利益は減少しました。

海外においては、中国向け製品は上期堅調でしたが、下期は失速しました。一方、東南アジア向け製品は、下期から回復基調で出荷量増となりました。また値上げ実施効果もあり、売上高・利益ともに前年並みの水準を維持しました。

 

衛生材料(安定事業)

コロナ禍による大幅な需要の増加は一段落したものの、引き続き販売は堅調に推移しました。しかし、原材料の高騰分を製品価格に転嫁し遅れたことや海上運賃高騰等により、利益は減少しました。

 

有機化学品(安定事業)

有機イオウおよびリン製品は、電子材料分野や自動車関連分野向け売り上げが低調でしたが、原材料高騰による価格改定や円安効果から販売価格が上昇し、売上高は若干増加しました。しかし原燃料高騰の影響は、販売価格の上昇、生産効率の向上による原価低減効果を大きく上回り、利益は減少しました。

医薬品原薬・中間体の生産受託は、主力中間体が堅調に推移したこと、開発品のスポット生産・販売により売上高は伸長しましたが、受託製品の原価率の違いや、原燃料の高騰により利益は微増となりました。

 

触 媒(効率化検討事業)

ニッケル触媒は、大手顧客の大規模定期修繕による工場停止期間がなかったため、売上高は増加しました。しかし昨年度から続く主要顧客の新工場の立ち上げ遅延により、計画通りの販売とはなりませんでした。

脱硝触媒は、引き続き海外のごみ焼却場向け案件を受注したこともあり、昨年度より売上高は減少したものの、利益は横ばいとなりました。

 

受託加工(安定事業)

受託加工は、電子材料関連の需要は減少しましたが、OA機器関連で需要が増加しました。

着色剤製品は、海外PVC関連が好調に推移しましたが、電子通信機器関連や自動車関連が低調でした。しかし、原材料高騰の製品価格への転嫁を進め、売上高は増加しました。

混合、濾過水洗、乾燥、焼成等の工程受託については、電子材料向けの需要が減速し、売上・利益ともに減少しました。

 

(医療事業)

売上高は前連結会計年度比0.3%減の7,868百万円となり、営業利益は前連結会計年度比34.9%減の272百万円となりました。

 

医療用医薬品

バリウム造影剤は、2016年度厚生労働省発出の「がん検診実施のためのガイドライン」による受診間隔の延長および受診年齢の引き上げ、胃内視鏡検査への移行等厳しい環境のもと、大口検診機関のニーズ対応を強化して市場シェア拡大に努め、国内販売の減少を最小限にとどめるとともに、韓国・台湾への輸出を強化しましたが、新型コロナウイルスの影響はなお大きく残り、売上高・利益ともに減少しました。

消化性潰瘍用剤「アルロイドG」は堅調な需要により販売数量は維持しましたが、薬価引き下げによる影響が大きく、売上高・利益ともに減少しました。

 

医療機器

世界的な半導体不足で部品が調達できず、本体の生産が滞りました。その後半導体の調達が可能になり、生産が再開されましたが、納入実績は前年を下回り、売上高・利益ともに減少しました。

また、2019年からリリースした内視鏡手術用の粘膜下注入材「リフタルK」および注入材用穿刺針「リフテインニードル」は新規採用が進み、一定の売上増に寄与しました。「リフタルK」はタイでも承認を取得し販売を開始しました。

 

一般用医薬品・その他

かぜ薬「改源」等アセトアミノフェンを含む一般用医薬品は、外国人による大量購入により、売上高・利益ともに増加しました。

新規事業として位置付けている美容医療機関向けのサプリ事業は引き続き好調で、売上高・利益ともに増加しました。

認知症予防の機能性表示食品素材である「タモギ茸エキス(エルゴチオネイン)」の製造は順調に受託数量を伸ばしました。また、エルゴチオネイン配合の自社のNB製品である認知症予防サプリメント「メモエル」は自社ECサイトでの販売に加え、B to Bでの提供も開始しました。

 

② 財政状態

当連結会計年度における当社グループの財政状態は次のとおりであります。

 

当連結会計年度末

2023年3月末

前連結会計年度末 増減

総資産(百万円)

128,021

4,102

負債合計(百万円)

43,304

2,092

純資産合計(百万円)

84,717

2,009

自己資本比率

62.9%

△0.7ポイント

 

(資産)

当連結会計年度末における総資産は128,021百万円となり、前連結会計年度末に比べ4,102百万円増加いたしました。

主な増減項目として、流動資産においては、商品及び製品が3,328百万円、原材料及び貯蔵品が3,074百万円、現金及び預金が1,609百万円それぞれ増加し、受取手形及び売掛金が2,352百万円減少いたしました。また、固定資産においては繰延税金資産が1,049百万円減少しました。

・棚卸資産の増加は、電子材料関連製品の販売が停滞したこと、原燃料の高騰により製造コストが増加したことに加え、世界情勢を鑑み原燃料の安定的な調達が困難になる恐れがあるため在庫を確保していることによります。

・現金及び預金の増加は、運転資金の借入を行ったことによるものです。

・売上債権の減少は、期末にかけて主に電子材料の販売が失速し、売上が減少したことによるものです。

・繰延税金資産の減少は、今後の業績等を総合的に勘案し、繰延税金資産の回収可能性を慎重に判断した結果、取り崩すこととしたためです。

 

(負債)

当連結会計年度末における負債合計は43,304百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,092百万円増加いたしました。

主な増減項目として、短期借入金が4,972百万円増加し、未払法人税等が1,037百万円、支払手形及び買掛金が842百万円それぞれ減少しました。

・短期借入金の増加は、運転資金の借入によるものです。

・未払法人税等の減少は、課税所得の減少によるものです。

・支払手形及び買掛金の減少は、期末にかけて主に電子材料向け製品の原材料の購入を買い控えたことによるものです。

 

(純資産)

当連結会計年度末における純資産合計は84,717百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,009百万円増加いたしました。この結果、自己資本比率は62.9%(前連結会計年度末は63.6%)となりました。

主な増減項目として、利益剰余金が1,049百万円、為替換算調整勘定が402百万円それぞれ増加いたしました。

・利益剰余金の増減内訳は、親会社株主に帰属する当期純利益2,344百万円及び剰余金の配当1,294百万円です。

 

 

③ キャッシュ・フロー

当連結会計年度における当社グループのキャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。

 

2023年3月期

前連結会計年度

増減

営業活動によるキャッシュ・フロー(百万円)

773

△5,794

投資活動によるキャッシュ・フロー(百万円)

△2,620

△965

財務活動によるキャッシュ・フロー(百万円)

3,283

8,938

現金及び現金同等物の増減額(百万円)

1,638

2,241

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において、営業活動によるキャッシュ・フローの収入は773百万円となり、前連結会計年度に比べ5,794百万円減少いたしました。これは、主に税金等調整前当期純利益が4,245百万円、棚卸資産の増減額が4,664百万円、仕入債務の増減額が2,401百万円それぞれ減少したことのほか、売上債権の増減額の5,134百万円増加したことによるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において、投資活動によるキャッシュ・フローの支出は2,620百万円となり、前連結会計年度に比べ支出額は965百万円増加いたしました。これは、主に有形固定資産取得による支出が2,406百万円、投資有価証券の売却による収入が3,398百万円それぞれ減少したことによるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において、財務活動によるキャッシュ・フローの収入は3,283百万円(前連結会計年度は5,654百万円の支出)となりました。これは、主に短期借入金の実行による収入が5,669百万円、長期借入金の実行による収入が2,000百万円それぞれ増加したことによるものです。

 

以上の結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は12,188百万円となりました。

 

 

④ 生産、受注及び販売の実績

(生産実績)

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前連結会計年度比(%)

化学

54,106

1.2

医療

6,043

△0.3

合計

60,149

1.0

(注)1 金額は、販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。

2 セグメント別の生産高を正確に把握することは困難なため、概算値で表示しております。

(受注実績)

 当社グループの主要製品については主に見込み生産を行っております。

(販売実績)

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前連結会計年度比(%)

化学

75,992

5.2

医療

7,868

△0.3

合計

83,861

4.6

(注)1 セグメント間の取引については相殺消去しております。

2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、いずれの相手先についても当該割合が100分の10未満のため記載を省略しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 経営成績の分析

経営成績の分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績」に記載しています。

 

② 財政状態の分析

財政状態の分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ②財政状態」に記載しています。

 

③ キャッシュ・フローの状況分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

キャッシュ・フローの状況については、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フロー」に記載しています。

グループの資金調達については堺商事及び一部の借り入れを除き、当社にて一括調達し、グループファイナンスにて関係会社へ必要な資金を供与しています。

調達方法は取引金融機関が組成するシンジケート団によるコミットメントラインからの短期運転資金と個別取引金融機関からの長期設備資金融資の2種類であります。近時は旺盛な設備投資によるキャッシュ・フロー不足分を補うための長期借り入れを増やしており、当面この傾向は続くものと考えます。現時点では、安定的な財務基盤を背景に取引金融機関の当社に対する融資姿勢に変化なく、スムーズな資金調達を実施しております。

一方、堺商事及び海外子会社を除く国内関係会社を結んだキャッシュ・マネジメント・システムを導入し、グループ各社の流動預金を当社に集中、グループとしての資金効率アップに取り組んでおります。

また、当連結会計年度末における短期借入金の残高は13,175百万円、長期借入金の残高は8,467百万円、現金及び現金同等物の残高は12,188百万円となっております。

 

④ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。

1.棚卸資産の評価

当社グループでは棚卸資産の評価に関して、取得原価を基礎としながら、期末における正味売却価額が取得原価よりも下落している場合には、正味売却価額をもって貸借対照表価額としております。正味売却価額は、直近の販売実績による単価が当面継続すると仮定し、販売単価から販売に要する経費を控除した金額として見積もっております。

また、営業循環過程から外れた滞留棚卸資産については、滞留品の処分・販売状況がこれまでと大きく変わらないと仮定し、過去の処分・販売実績をもとに見込まれる損失額を見積もっております。

随時販売状況を見ながら生産調整を行っておりますので、滞留棚卸資産が急激に増加することはないと考えております。販売単価の下落に関しても、当社グループは多岐にわたる製品を製造販売しており、影響は限定的であると考えております。

 

2.固定資産の減損会計

当社グループでは資産又は資産グループの収益性が低下し、帳簿価額が回収不能となるような兆候がある場合に、当該資産又は資産グループの回収可能価額(正味売却価額と使用価値のいずれか高い方)を見積り、回収可能価額が帳簿価額を下回っていた場合は、減損損失を計上しております。

回収可能価額は、事業計画や市場環境の変化により、その見積り金額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、追加の減損処理が必要になる可能性があります。

 

3.退職給付引当金

当社では退職給付引当金は、退職金制度ごとに退職給付債務の期末残高から年金資産の期末残高を控除して計算しております。退職給付債務及び費用は、割引率、退職率、予想昇給率などの計算基礎を見積り、年金数理計算により計算しております。割引率は、期末における優良社債の利回りに基づき決定しております。割引率が低下した場合、退職給付債務が増加しますが、数理計算上の差異として発生の翌連結会計年度から一定の年数(5年)による定額法で費用処理されます。また、退職率、予想昇給率は当社の過去の実績をもとに、今後も同様の推移が継続すると仮定して決定しております。

年金資産は期待運用収益率を見積り、退職給付費用の計算に反映させております。期待運用収益率は、金融市場が比較的安定しており、過去の運用実績が今後も継続すると仮定して決定しております。実際の運用実績が期待運用収益率を下回った場合、割引率の低下と同様、数理計算上の差異が発生しますが、発生の翌連結会計年度から一定の年数(5年)による定額法で費用処理されます。

 

(3)経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当連結会計年度における中期経営計画『SAKAINNOVATION 2023』の達成状況は次のとおりであります。

 

2019年3月期

2020年3月期

2021年3月期

2022年3月期

2023年3月期

営業利益(百万円)

4,404

4,015

4,304

7,494

4,407

ROE(%)

4.6

3.3

△3.6

8.7

2.9

 

 

5【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

6【研究開発活動】

当社グループの研究開発活動については、研究開発本部、経営企画部、営業本部が連携してグループ会社との協力体制を深め、有望開発品の上市に向けてスピードアップを図っております。2021年9月に研究開発体制を変更し、新規テーマの探索と初期検討を強化するとともに、有望なテーマについて柔軟かつ迅速にリソースの最適配分を行い、早期上市を目指す体制としました。また、各グループ会社の開発部門でも取り扱い製品の品質向上あるいは新製品上市やプロセス改善のための研究開発を行っております。

中央研究所では、当社グループが得意とする粉体プロセシング技術を核として、また、大学や公的研究機関との産学連携も視野に入れて、機能性材料の開発を進めております。主には、各種発光材料、水電解触媒、二次電池用電極材料等の開発に取り組んでおります。

当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費用は、2,674百万円であります。

セグメントごとの研究開発活動は次のとおりです。

(化学)

(1) 電子材料

電子材料事業においては、電子材料用途向けに誘電体の開発を行っております。特に高周波伝送向け誘電体の開発に注力しており、粒子合成技術と表面処理技術を核として、低誘電率から高誘電率の材料開発をおこなっています。チタン酸バリウムに関しては、積層セラミックコンデンサの小型化・高容量化、自動車部品の高信頼性要求に水熱合成法の特長である微粒子・高結晶・粒度均一な製品を積極的に提案しています。より一層、信頼性が求められる分野にはCaを所定の比率で含む微細かつ粒度均一性の高いチタン酸バリウムカルシウムの開発を進めています。また、誘電体材料についてもさらなる高純度化および微粒子化を進めています。

(2) 酸化チタン・亜鉛製品

化粧品材料事業においては、従来の日焼け止め分野に加え、用途拡大としてメイクアップ化粧品向けにも注力しています。肌触りの良化を目指して開発した「六角板状酸化亜鉛XZシリーズ」や「板状集積型球状酸化亜鉛CANDY ZINC」の他、肌を鮮やかに見せる新機能性酸化亜鉛「化粧品用無機蛍光材料Lumate G」を新たに上市しました。また、感染症対策市場が拡大している中、酸化亜鉛の抗菌、抗ウイルス効果に着目し、「FighZinc™シリーズ」を立ち上げた他、新規開発を進めている高分散性微粒子酸化亜鉛「REAROUZ」は高い透明性とUV遮蔽能を合わせ持ち、低い亜鉛溶出量により生態系への影響を抑えるなどの特徴的な品質を有しています。

海洋環境、生態系への悪影響が懸念されるマイクロプラスチックスビーズの代替品としては、天然鉱物由来の安全で環境負荷の少ない硫酸バリウム「ばりまる」、炭酸カルシウム「かるまる」を提案しています。粒子径5μmの球状品で肌感触を重視した設計になっています。

一方、5Gネットワークの拡大や自動車のEV化による電子基板等の熱マネジメントに対する需要増大に伴い、放熱フィラーとして「大粒子酸化亜鉛LPZINCシリーズ」の開発も進めております。

(3) 樹脂添加剤

当社が得意とする表面処理技術・粒子制御技術をハイドロタルサイトや塩化ビニル安定剤原料に応用し、特殊ハイドロタルサイト、独自性の高い塩化ビニル安定剤を展開し、性能の差別化に注力しております。同時にハイドロタルサイトを含め、各種配合剤の自社生産化や高効率化により、コストパフォーマンスに優れる製品の開発を進めております。

(4) 有機化学品

イオウ、リンを含むヘテロ有機化合物合成技術をベースとして、光学材料、電子材料、自動車向け材料等の開発に取り組んでおり、耐水性・柔軟性に優れた新規グレードMulthiol(マルチオール)シリーズや多官能チオール製品群の開発を進めております。

 

(5) 触媒

水素社会を目指した、水電解触媒の開発に注力しています。一例である固体高分子形水電解触媒では、希少なイリジウム触媒の使用量を低減可能な触媒を開発し、サンプルワークを進めています。環境・エネルギー・化学プロセスは当社の重要な研究開発分野であり、これからの水素エネルギー社会が求める技術開発に貢献できるように取り組んでまいります。

一方、環境負荷の低減に特化した触媒の開発にも取り組んでおります。化学プロセス分野では、脱水素反応、水素添加反応用触媒として有害成分であるクロムを含有しない銅系触媒の開発に注力しており、ポリエステル重合用触媒としてはアンチモンのような重金属を含有しないチタン系触媒の開発を進めております。

(6) 受託加工

現代社会に求められる機能性を付与した分散加工製品開発として、機能性フィラーの分散に取組んでいます。コロナ禍で注目された抗ウイルス性能を持った材料やIT・IoT技術の発展に伴い利用される電子材料、地球温暖化に対応する遮熱性能を持った製品や脱炭素に貢献するバイオマス原料を利用したマスターバッチなどの開発案件に取り組んでいます。分散加工のスペシャリストとして、従来のやり方に囚われない新たな技術ノウハウや加工設備の導入も検討しています。

なお、化学事業に係る研究開発費用は2,450百万円であります。

(医療)

健診領域において、スタートアップ企業との協業により、胸部X線・CTに加え、下部内視鏡の診断支援AIの販売を開始するなど、さらなるラインナップの拡充を進め、画像診断の精度向上に貢献します。別の協業先による膵臓癌検査薬が薬事承認され、発売準備中です。早期発見が難しい膵臓癌の検査への貢献が期待されます。

また別の協業先において膵臓癌検査薬が新たに薬事承認され、発売準備段階に入り早期発見が難しい膵臓癌の検査への貢献が期待されます。

ヘルスケア分野では、フレグランスサプリメント「アプローラ」のシリーズ品を新規ラインナップとして発売準備中です。

また、産学連携の枠組みを活用した複数の共同開発を行い、新規事業拡大に積極的に取り組んでおります。

 

なお、医療事業に係る研究開発費用は223百万円であります。