文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは『グループの総合力を最大限に高め、社会のニーズにタイムリーに応える事業活動を展開する。以て盤石な経営基盤を構築し社会的貢献を希求する』ことを経営理念としております。
当社の創業は、鉛含有の化粧白粉による健康被害が問題視されていた中、無鉛白粉の原料である酸化亜鉛の製造法の改善に成功したことから始まります。以来、思いやりの心と技術革新で社会の快適と安心を支える素材づくりにこだわってきました。
化学素材、化学技術で未来を切り開き、ステークホルダーや地球環境に寄り添って持続可能な社会を実現する「化学でやさしい未来づくり」。そこに向かって創造を続ける会社であることが私たちのミッションです。
このミッションを実現するために、社員が日々ワクワクして働いてこそ、価値のある創造が生まれると考えており、働く社員が能動的で躍動感に溢れる「わくわくカンパニー」を目指しています。
(2)経営環境
当社グループは、国内連結子会社8社、国内非連結子会社1社、海外連結子会社9社、海外非連結子会社1社からなります。内、医療セグメントに分類される子会社は1社、その他は全て化学セグメントに属します。堺商事及び堺商事傘下の海外子会社7社は販売会社ですが、その他は製造会社です。堺化学及び製造子会社は、各社で固有の製品・技術・顧客を有しており、そのビジネスモデルも多種多様です。事業領域も多種多様にわたりますが、電子材料に関連する事業は、5G(第5世代移動通信システム)やIoT(モノのインターネット)の普及等により、中長期的には伸長することが見込まれる分野と考えております。一方、医療事業は、過去数年低迷しておりましたが、近時新規事業が立ち上がってきたこと、医療用医薬品で後発品メーカーが撤退したこと、一部で海外売り上げが増加したこと等で収益力が回復しております。また、化粧品材料では数年来需給が逼迫するなか、新興国においてもUVケア化粧品の需要が拡大したことに加え、一部の国及び地域での有機系紫外線吸収剤の規制の動きにより、無機素材である酸化チタン、酸化亜鉛が注目されていること等が追い風となっております。海外展開についても、今後はアジア地域を中心に、製造及び販売両面での積極的な事業展開の可能性を探っていきます。
(3)中期的な経営戦略と目標とする経営指標
当社グループは上記経営環境を認識し、2019年4月にスタートさせたグループ中期経営計画『SAKAINNOVATION 2023』の数値目標達成と持続的成長を目指して取り組んでおります。
堺化学グループ中期経営計画
① 稼ぐ力へ再挑戦し確実な増益体質を実現
5年先の数値目標達成に向けた既存事業を中心とした取組みとして、6つの事業領域を中心に収益向上を図ります。
1.電子材料事業
MLCC用材料(チタン酸バリウム、高純度炭酸バリウム等)を中心に開発及び拡販に注力します。MLCC用関連へは53億円(当初計画57億円)の投資を計画します。
2.酸化チタン・亜鉛製品事業(化粧品材料)
化粧品材料(微粒子酸化チタン、微粒子酸化亜鉛等)を中心に業容拡大を計画します。化粧品関連へは61億円(当初計画55億円)の投資を計画します。
3.樹脂添加剤事業
国内の事業基盤を強化しつつ、海外子会社と連携をとりながら、東南アジアを中心に塩ビ樹脂安定剤及びハイドロタルサイトの海外展開を図り、海外売上高比率50%以上を目指します。
4.触媒事業
環境配慮型触媒であるクロムフリーの銅触媒、アンチモンフリーのPET重合触媒への注力と、ニッケル触媒の増設等、触媒関連へは13億円の投資を計画しています。
5.その他の化学事業(高屈折材料)
前中期経営計画の最終年度(2018年度)で需要が増加してきた高屈折材料(酸化ジルコニウム分散液、酸化チタン分散体)は、開発及び拡販に注力し、21億円の投資を計画しています。
6.医療事業
積極的に新規事業を伸ばし、医療機器事業(粘膜下注入材、内視鏡洗浄消毒装置、骨充填材)、美容医療機関向け製品、がんスクリーニング検査事業を中心に業容拡大を目指します。
② 再構築投資による環境と人にやさしい工場・オフィスの実現
働く人や環境にやさしい、災害に強い工場、本社、技術棟の整備と、将来の工場建設スペースを確保します。
③ 10年先の社会を見据えた新事業へ取り組む
1.既存事業を通して、人と環境にやさしい製品づくりで社会的貢献を希求します。
2.研究開発の方向性
持続可能な開発目標(SDGs)における、7「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」9「産業と技術革新の基盤をつくろう」を重視し、それに沿った研究テーマを継続して取り組んでいきます。
3.化学の力で新しい事業創造の可能性を追求
持続可能な開発目標(SDGs)における、2「飢餓をゼロに」6「安全な水とトイレを世界中に」7「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」9「産業と技術革新の基盤をつくろう」13「気候変動に具体的な対策を」14「海の豊かさを守ろう」15「陸の豊かさも守ろう」を重視し、将来に向けた新しいビジネスモデルの可能性を追求します。
④ 総還元性向30%以上を目標とした安定的・継続的な株主還元を実施
事業活動で得たキャッシュを主に将来の成長に向けた投資に充てるとともに、安定的・継続的な配当を基本とする株主還元を実施し、持続的な成長と企業価値の向上に努めます。
目標とする経営指標
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2024年3月期目標 |
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営業利益 |
80億円以上 |
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営業利益率 |
7%以上 |
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ROE |
6%以上 |
グループ全体での最重要課題を「稼ぐ力の向上」とし、堺化学並びにグループ各社において積極的な施策を展開しております。稼ぐ力は営業利益金額及び営業利益率で評価し、株主資本に対するリターンを測る指標としてROEを選択しました。
営業利益は為替差損益、利息・配当等の影響を含まず、製造業を主体とする当グループの業績、努力の結果を的確に反映する指標と判断しております。又、ROEは株主資本に対してのリターンを反映する指標として、資本市場にて広く認識されている指標です。弊社におきましても、ROEが株主資本に対するリターン目標として的確なものと判断しました。ROEの数値目標につきましては、営業利益目標に株主還元目標を加味し設定しました。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
2024年3月期までの5ヵ年においては、設備投資総額400億円、そのうち収益向上に向けた戦略投資として190億円を計画しております。売上高の約90%を占める化学事業においては、特に市場拡大が期待できる電子材料、化粧品材料向け等の高機能材料を成長戦略の中核とし、生産設備増強等の戦略投資をほぼ計画どおり進めております。また、残り約10%の医療事業では、薬価改定に影響されない医療機器関連や有望な新規ビジネスの開拓・育成に注力し、稼ぐ力(営業利益率)の向上に向け取り組んでおります。
また、戦略投資に要する資金確保と資本効率向上のため、現在保有している政策保有株式を、2024年3月末までに株主資本の5%以下に縮減することを目標に掲げております。なお、縮減実行にあたりましては、株式市場の動向を見極めながら、慎重かつ着実に進めてまいる所存です。
さて、当連結会計年度においては、米中貿易摩擦に端を発する中国景気の減速等により、電子材料等で販売計画との乖離が大きくなっていますが、将来の需要増を見据え盤石な生産体制の構築に注力してまいります。また、新たなリスクとして新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて、工場や建物への出入管理の厳格化、出張や会議の制限、時差出勤やテレワークの実施など、顧客、調達先、社員とその家族の安全確保ならびに感染予防と拡大防止に努め、事業継続に向けた取組みを行っております。ちなみに現在までのところ工場の操業については関係会社を含め定常操業を行っております。
かつてない非常事態に備えて全社的なコスト削減、戦略投資以外の設備投資案件の計画見直し、棚卸資産の圧縮、キャッシュ・マネジメント・サービス導入によるグループ資金の運用効率化等の対策を打ち、財務の健全性確保に努めてまいります。同時に新型コロナウイルス感染症収束の時期も見えない状況ですが、今後のビジネス環境の変化を注意深く見極め適切な対応を実施してまいります。
なお、今年度業績見込みについては、現時点では業績予測が困難な状況であり、一定の見通しが立った時点で開示させていただくことにいたしました。
(*新型コロナウイルス感染症が各事業に及ぼす影響に関する定性的な予想:以下セグメント別に記載しておりますのでご参照願います)
(化学事業)
電子材料
誘電体(チタン酸バリウム)及び誘電体材料(高純度炭酸バリウム)に関する設備投資はほぼ計画どおり実施してまいりましたが、販売についてはセラミックコンデンサのビジネス環境悪化により投資計画時の見込みとの乖離が大きくなりました。セラミックコンデンサの主要向け先(スマートフォン、自動車、通信基地局等)のグローバル市場での需要回復が待たれる状況であります。当社としては需要回復を見据え、顧客の高度化する品質要求に確りと対応できるよう一段の生産技術・品質管理の強化など、より盤石な供給体制構築を図ってまいります。
また誘電体については、当社の製品特性を活かしたハイエンド分野向け差別化製品の開発と本格的な上市に向け一層注力してまいります。
*積極的な投資が期待される5Gなど通信基地局向けや、テレワークの整備・普及などによる需要が期待される機器分野向けについては軽微な影響と予想されますが、自動車向けについては世界的に生産台数の大幅な減少が予測されることから、当社製品の消費も大きな影響を受ける恐れがあります。
酸化チタン・亜鉛製品
顔料用酸化チタンは、国内市場の需給軟化を受け販売数量も減少し、採算性も厳しくなっておりますが、工場運営、他製品の中間体供給等において重要な役割を担っており、さらなる事業の効率化のため、最適な生産体制の検討を進めてまいります。
UVケア化粧品の紫外線遮蔽材料として使用される超微粒子酸化チタン・酸化亜鉛は、需要の拡大に対応した安定供給に努め、販売を拡大するとともに、数年先の事業規模を見据え、積極的な投資を行います。また、UVケア化粧品のみならず、メイクアップ、スキンケア化粧品全般に、機能性、意匠性等に優れた無機材料を提供すべく、材料開発、処方開発に取り組みます。
*顔料用酸化チタンは主用途の塗料、インキ、製紙、繊維などの産業で停滞することが予測され、またUVケア化粧品用途では人々の屋外活動が制限されることによりマイナスの影響を受ける恐れがあります。
樹脂添加剤
国内においては、コスト低減に取り組むとともに、注力分野を絞った上で、技術力に一層磨きをかけ、競合他社との差異化を図ります。
海外については、成長力が高い東南アジア市場を主戦場と位置づけ、当社グループが保有する高い技術力を背景にベトナム・タイの現地法人をフル活用しシェア拡大を図ります。
*日本国内、アジア市場ともに顧客の生産活動が制限されること、主要エンドユーザーである住宅、自動車業界の停滞が予測されることから、マイナス影響を受ける恐れがあります。
衛生材料
紙おむつやその他衛生材料製品に使用される原材料の生産拠点であるPT.S&S HYGIENE SOLUTION(インドネシア)において技術力の向上に取り組み、事業の安定的拡大を目指します。また、アジアを中心に拡大する市場において紙おむつ、生理ナプキン、ペットシート等の原材料のグローバル展開を加速します。
*原料確保に不透明な点はあるものの、日用品としての消費は必要とされることから、大きな落ち込みは想定しておりません。
有機化学品
チオ製品は、原価抑制に引き続き注力するほか、主力であるプラスチックレンズ用途向けの安定供給に努めるとともに、新たなニーズの収集と開発技術力の強化により次の収益の柱になる製品育成に取り組みます。
医薬品原薬・中間体の生産受託は、受託品目、受託数量増加を視野に入れ、生産要員確保、品質管理等の体制整備を進めるとともに、将来の新規案件獲得に向け原薬製造ラインの増設を計画します。
*チオ製品、医薬品原薬・中間体受託のいずれも末端製品の需要の大きな落ち込みはないものと見込まれ、当社製品への影響は軽微なものと予想されます。
触 媒
樹脂の水素添加工程等で使用されるニッケル触媒は、生産効率向上のため、設備増強とともに販売を拡大します。
火力発電所やごみ焼却施設で使用される脱硝触媒は、外部委託先を新たに確保して供給能力を増やし、環境対策が進むと考えられる中国、東南アジア地域等で積極的な展開を図ります。
また、開発においては、重金属フリーのポリエステル重合用触媒など環境負荷低減やエネルギー問題に対応した新規触媒の開発にも注力しております。
*ニッケル触媒の主用途は食油関連、衛生材料向け部材、特殊フィルム等ですが大きな需要減はないと見込まれ、また脱硝触媒は触媒のライフサイクルから取り換え需要が必ず発生することから大きな影響はないものと予想されますが、海外の新規物件は遅れ等が発生する恐れがあります。
受託加工
受託加工事業に対する顧客からのニーズは、近年多種多様で高度なものとなっており、設備投資も含め積極的に対応していきます。また、安定的な受託案件の獲得に向け、人材の充実を図るとともに、工場の整備を進め、より強固な生産体制を構築します。
*顧客の試作、開発活動の停滞が予想されることから、新規案件の進捗が滞る恐れがあります。
(医療事業)
医療用医薬品、医療機器、一般用医薬品、美容医療向けの健康食品等、既存の販路・商流を活用できるラインアップの拡充に注力します。また、産学連携の枠組みを活用した大学との共同研究を積極的に推進するほか、新素材、新技術、新プラットフォームを有するスタートアップ企業の探索と、業務・資本提携を含めたビジネス協業関係の構築を図ります。
医療用医薬品
バリウム造影剤は、需要が漸減する国内においては顧客ニーズへの対応力を強化し、一方、輸出については韓国、台湾等への拡販に努め、国内・輸出の販売合計で事業規模維持を図ります。
*集団検診の延期または中止により、バリウム造影剤の販売低下の恐れがあります。
医療機器
内視鏡洗浄消毒器は、販売台数はほぼ横這いで推移する一方、メンテナンス契約獲得や消耗品の販売は伸長しており、今後、洗浄消毒器未使用機関の開拓に取り組みます。
アルギン酸ナトリウムを原料とする内視鏡手術用粘膜下注入材「リフタルK」及び注入材用穿刺針「リフテインニードル」は、大学病院、大規模病院から中小クリニックまで営業強化を図り、早期に30%のシェアを目指して拡販に注力していきます。
*短期的には内視鏡検査、または手術数の減少が予測されるものの、一定期間で需要が回復するものと予想されます。
一般用医薬品・その他
事業拡大・収益力強化のため、一般用医薬品事業の組織体制の見直し、販路・商品整理、新商品・新商流開拓等の活動を展開します。また、台湾での一般用医薬品の販売が軌道に乗りつつあり、新商品を投入していきます。
新事業領域として取り組んできた美容医療向け事業は、紫外線対策サプリ「ソルプロ」シリーズを中心に順調に売上が伸長しており、今後も新製品を投入し、拡大を図ります。
*かぜ薬「改源」等一般医薬品の一時的な増販は見られるものの、美容医療向け紫外線対策サプリ「ソルプロ」シリーズにおいては、消費者の外出機会減少等により需要減の恐れがあります。
当社グループの事業その他のリスクについて、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項を以下に記載いたします。但し、これらは当社グループに関する全てのリスクを網羅したものではありません。
また、本項においては、将来に関する事項も含まれておりますが、当該事項は当連結会計年度末現在において判断しております。
(1)資材等の調達
重油や非鉄金属などの原燃料、カントリーリスクの比較的高い地域からの輸入に頼っている酸化チタン又はバリウム製品の原料、国内においても調達先が限られる特殊な原料・資材等の価格高騰、供給の逼迫・遅延等が生じた場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
これらリスクに対し、特に輸入原料については極力複数の国、調達先を確保するように努めております。又、在庫量についても、仕入れの難易度、必要期間を考慮し、余裕を持った運用を実施しております。
(2)資金の調達
金融危機により金融機関からの調達が困難になる、又は、金利高騰で支払い金利が増大することにより当社グループの事業継続に影響を及ぼす可能性があります。
これらリスクに対し、取引金融機関のシンジケーションによるコミットメントラインで金融サポート体制を強固なものにする、長期借り入れについては極力固定金利を採用し将来の支払金利負担を固定化する、グループキャッシュマネジメントシステムによりグループ内の資金効率を高める等の対応を実施しております。
(3)公的規制・コンプライアンス
当社グループは事業の遂行にあたって、様々な法令、規制の適用を受けております。加えて、事業活動を行っている国及び地域が多岐にわたることから、それぞれ投資に関する許認可や輸出入規制のほか、商取引、労働、特許、租税、為替等の各種関係法令の適用が異なる場合があります。
これらの法令等に違反した場合や社会的要請に反した行動等により、法令による処罰、訴訟の提起、社会的制裁を受けたり、顧客からの信頼を失うことで、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
これらに対し、当社ではコンプライアンスを「当社が行うあらゆる活動の局面において、関連する法令・条例・契約・社内規定等、明確に文書化されたルールを遵守するとともに法令の目的である社会的要請、社会通念及び社会倫理等を尊重して行動すること」と定義し、コンプライアンス研修やコンプライアンスハンドブックの配付を通じ従業員の法令違反や社会規範に反した行為等の発生可能性を低減するよう努めています。又、公認会計士、弁護士、弁理士等の専門家とのコミュニケーションを維持することにより、これらリスクへの早期且つ的確な対応を心掛けております。
(4)環境規制
当社グループでは化学セグメントが事業の主体となっていることから、資源やエネルギーの大量消費による環境負荷が大きな問題の1つであります。よって環境負荷低減のための設備や管理体制の整備を図る一方、生産効率すなわち資源やエネルギーの原単位向上など、環境負荷の低減に取り組んでおります。当社グループのすべての製造拠点における排水規制(水質汚濁防止法等)に対して各拠点において専用設備を設置して窒素酸化物、リン等の排出物濃度モニタリングを実施しています。しかし、環境税の導入や、環境関連規制の強化により大規模な設備投資等の必要が生じた場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(5)製造物責任
メーカーであることから、製品については最適な品質を確保するよう、全力を挙げて取り組んでおります。しかし、予期せぬ事情により製造物責任が発生する可能性が皆無ではなく、この場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(6)訴訟
国内及び海外事業に関連して、訴訟の対象となるリスクがあり、多額の損害賠償請求訴訟等が提起された場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。当社では契約書に関連する訴訟リスクに対応する為、コンプライアンス・リスク管理推進部が社内の契約書を一元管理する体制を取っており、リスクの極小化を図っております。
(7)自然災害・事故災害の影響
地震・台風・津波・風水害・火災・有害物質の流出等の災害により事業所等の閉鎖や事業活動を停止する可能性があります。
これに対し、当社では事業継続管理システム規程を制定し事業活動の復旧・継続に関する基本方針、基本的事項を定めております。又、安否確認システムにより従業員及びその家族の安否を迅速に確認出来る体制を構築しております。
生産活動の中断によって生じる悪影響を最小限に抑えるため、全設備において定期的な防災点検及び設備保守を行っておりますが、想定外の大規模災害(大地震・津波、停電またはその他の混乱を含む)が発生した場合、その影響を完全に予防または軽減することはできません。又、製品によっては、代替生産できないものもあり、一時的または長期にわたる生産の中断があった場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(8)システム障害の影響
社内及び当社グループ間のネットワークシステムについては、情報セキュリティー規程に則りシステムの更新、EDR等ウィルスやハッカーの侵入・攻撃に対する防御システムの導入のほか、定期的な保守点検を実施しております。しかし、未知のコンピュータウィルスの侵入や情報への不正アクセス、突発的な事故等により、ハードまたはソフトウエア障害もしくはネットワーク障害等が発生し、長期間にわたり正常に機能しなくなった場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(9)為替レートの変動
当社グループの海外における事業展開に伴い、外貨建取引から発生する資産等の日本円換算額が影響を受ける可能性があり、換算時の為替レートが予想を超えて大幅に変動した場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。当社では化学セグメントにおける酸化チタン、バリウム製品の原料となる鉱石購入等の大口ドル建て取引に対し、予算レートに準じた為替予約を一定比率で実施する等、為替リスクの低減に努めております。
(10)株式相場の変動
政策保有株式の多くは、市場価格のある有価証券であるため、株式相場が大幅に下落した場合、減損が発生し、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
これに対し、当社コーポレートガバナンス基本方針において銘柄毎にその保有の目的や保有リスク・時価、配当利回り等を精査の上保有継続の合理性の確認及び株式数の見直しを行っております。見直しの結果、継続して保有する必要が無いと判断した株式は売却を進めるなど、政策保有株式の縮減に努めております。
(11)情報漏洩
営業、技術、研究など事業に関連する機密情報については、情報管理規程に基づき適切な運用に努めると共に、当社グループ全従業員に対し情報管理についての研修を実施しております。しかし、予期せぬ事態により情報が流失した場合、被害を受けた企業および個人に対して損害賠償責任を負うとともに、社会的信用の失墜を招き、当社グループの事業やイメージに影響を及ぼす可能性があります。
(12)海外における事業
当社グループが事業活動を行う国・地域は広範であり、特に新興国における法令・規制等の変化、テロ・戦争やその他の要因による政治・経済・社会的混乱、文化や習慣の違いに起因するトラブル発生等が予想されますが、こうしたカントリーリスクが顕在化する場合、当社グループの事業活動が制限されたり、一時的な業務停止などの悪影響が発生する可能性があります。
これに対し、比較的カントリーリスクの低い国への進出を選択していること、インドネシア、タイでは現地事情に詳しいパートナーとの合弁事業とすることによりリスクの低減を図っております。
(13)新型コロナウイルス等のパンデミック
新型コロナウイルス等のパンデミックにより、当社グループにおいて工場、事務所閉鎖が生じ、事業継続に影響がでる可能性があります。これに対し検温、マスクの着用、アルコール消毒液の設置、工場や建物への出入管理の厳格化、出張や会議の制限およびWeb会議システム等の活用、時差出勤やテレワークの実施など、顧客、調達先、社員とその家族の安全確保ならびに感染予防と拡大防止に努め、事業継続が可能となる施策を制定し、的確な対応を実施してまいります。
(1)経営成績等の状況の概要
① 経営成績
当連結会計年度における当社グループの経営成績は次のとおりであります。
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2020年3月期 |
前期比 |
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売上高(百万円) |
87,177 |
△2.6% |
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営業利益(百万円) |
4,015 |
△8.9% |
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経常利益(百万円) |
4,208 |
△7.6% |
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親会社株主に帰属する当期純利益(百万円) |
2,535 |
△29.7% |
当社グループでは、中期経営計画『SAKAINNOVATION 2023』の経営戦略に基づき、当連結会計年度(2020年3月期)は注力分野の一つである電子材料に積極的な投資を行いました。しかしながら、当社の電子材料は米中貿易摩擦に端を発する中国景気減速により販売が低迷したほか、一部開発品においては上市時期の遅れにより減価償却負担が増加したため、利益を悪化させました。また、生産・販売数量の大きい酸化チタン、樹脂添加剤等工業製品用途についても低調に推移し、操業度低下による単位当たりの固定費上昇も利益悪化の要因となりました。
一方、米中貿易摩擦の影響の小さかった化粧品材料が好調に推移し、医療事業が復調したものの、前年並みまで利益を回復させるには至りませんでした。
また、新型コロナウイルス感染症が当連結会計年度における当社グループの経営成績に与える顕著な影響はありませんでした。
この結果、売上高は前連結会計年度比2.6%減の87,177百万円、営業利益は前連結会計年度比8.9%減の4,015百万円、経常利益は前連結会計年度比7.6%減の4,208百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度比29.7%減の2,535百万円となりました。
セグメントごとの経営成績は、以下のとおりです。
(化学事業)
売上高は前連結会計年度比3.3%減の78,555百万円となり、営業利益は前連結会計年度比11.3%減の5,614百万円となりました。
電子材料
5G時代の到来、自動車業界の先進運転支援システム(ADAS)の標準装備化とその先の自動運転の実現による電子部品の需要増加を見越し、積層セラミックコンデンサ向け誘電体(チタン酸バリウム)及び誘電体材料(高純度炭酸バリウム)の設備増強を行いました。しかし、米中貿易摩擦や中国景気減速等を背景とした在庫・生産調整の影響を受けたほか、一部開発品においては上市時期が遅れたことから、当年度の販売計画を大きく下回る結果となり、減価償却負担が増加し、売上・利益ともに減少しました。
酸化チタン・亜鉛製品
酸化チタンは、需給バランスが緩み、工業用途全般で販売が低調に推移しました。操業度低下による単位当たりの固定費が上昇したほか、当年度の修繕計画に対して費用が嵩み、売上・利益ともに減少しました。
一方、化粧品材料の超微粒子酸化チタン・酸化亜鉛は、夏季の日照不足等市場に影響を及ぼす環境変化が著しい中で、先進国に加えて新興国でのUVケア化粧品の需要増加により販売が好調に推移し、売上・利益ともに伸ばしました。
樹脂添加剤
国内においては、主力である塩ビ安定剤は成熟市場であり、管材用途及びIT関連設備用工業板用途への販売が低調に推移するとともに、製造コスト削減の体制整備に遅れも生じ、売上・利益ともに減少しました。
海外においては、当社グループの位置する東南アジアは高い成長率が見込める中で、タイ現地法人の本格稼働の遅れ等により売上は減少しましたが、コスト削減に努め利益は改善しました。
衛生材料
紙おむつ市場の競争が激化する中、売上は前年並みとなりましたが、歩留まり悪化により利益は減少しました。
有機化学品
チオ製品は、高屈折率メガネレンズが各国の経済成長に伴い伸長していることを背景に、プラスチックレンズ用途の販売が好調に推移するとともに、生産の効率化施策の効果も現れ、売上・利益ともに伸ばしました。
医薬品原薬・中間体の生産受託は、収益の大半を支えてきた主力中間体の減少を、2014年以降に立ち上がった複数原薬の伸びと顧客要望に応えたスポット生産・販売でカバーし、売上・利益ともに伸ばしました。
触 媒
ニッケル触媒は、石油樹脂の水素添加用途が供給過多で数量及び価格等厳しい状況が継続する中で、主要顧客の定期修繕に伴う在庫調整が影響するとともに、効率的な生産体制の構築が遅れていることにより、売上・利益ともに減少しました。
脱硝触媒は、国内取替需要や韓国向け新規受注を獲得できましたが、前年度好調であった中国向け販売の大幅な減少を補えず、売上・利益ともに減少しました。
受託加工
加工顔料については、生産の効率化を目的に2019年にマスターバッチ工場棟を建設しました。しかし、新工場での生産品が伸び悩むとともに、浴用剤向けが低調に推移し、生産調整を行ったため、売上・利益ともに減少しました。
焼成、混合、乾燥等の工程受託については、生産工場及び保管倉庫の建設を進めましたが、収益性の高い受託品が減少したことにより、売上・利益ともに減少しました。
(医療事業)
売上高は前連結会計年度比4.1%増の8,621百万円となり、営業利益は前連結会計年度比57.8%増の594百万円となりました。
医療用医薬品
バリウム造影剤は、2016年度厚生労働省発出の「がん検診実施のためのガイドライン」による受診間隔の延長及び受診年齢の引き上げ、胃内視鏡検査への移行等厳しい環境のもと、大口検診機関のニーズ対応を強化して市場シェア拡大に努めました。その結果、国内販売の縮小を最小限にとどめるとともに、韓国・台湾への輸出を増加させ、売上・利益ともに前年並みとなりました。
消化性潰瘍・逆流性食道炎治療薬「アルロイドG」は、薬価引き下げの影響はあるものの、後発品メーカーの撤退により需要が戻り、売上・利益ともに伸ばしました。
医療機器
内視鏡洗浄消毒器は、機器本体の販売台数は伸び悩みましたが、メンテナンス契約獲得や消耗品販売が堅調に推移し、売上・利益ともに伸ばしました。
また、新規製品としてアルギン酸ナトリウムを原料とする内視鏡手術用粘膜下注入材「リフタルK」、及び注入材用穿刺針「リフテインニードル」を2019年6月に上市し、売上に一部寄与しました。
一般用医薬品・その他
かぜ薬「改源」等一般用医薬品は、量販店主導の国内市場は伸びが止まった状況である中、組織体制の見直し、不採算品目の整理により、売上は減少しましたが、利益は改善しました。
新規事業として位置付けている美容医療機関向けのサプリ事業は拡大基調であり、2019年3月にリニューアルした紫外線対策サプリメント「ソルプロ」シリーズが好調に推移しました。加えて、12月には、アートネイチャー株式会社向けのミノキシジル製剤(OEM商品)を発売開始したことも、売上に一部寄与しました。
② 財政状態
当連結会計年度における当社グループの財政状態は次のとおりであります。
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当連結会計年度末 2020年3月末 |
前連結会計年度末 増減 |
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総資産(百万円) |
121,648 |
1,566 |
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負債合計(百万円) |
40,156 |
365 |
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純資産合計(百万円) |
81,492 |
1,201 |
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自己資本比率 |
64.4% |
0.1ポイント |
(資産)
当連結会計年度末における総資産は121,648百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,566百万円増加いたしました。
主な増減項目として、流動資産においては、現金及び預金が2,084百万円、受取手形及び売掛金が2,463百万円それぞれ減少し、商品及び製品が1,673百万円、原材料及び貯蔵品が694百万円それぞれ増加いたしました。また、固定資産においては有形固定資産が5,398百万円増加、投資有価証券が1,311百万円減少いたしました。
・現金及び預金の減少の主要因は、グループ内キャッシュマネージメントシステム導入によるグループ内資金の効率的な運用の結果によるものです。
・増加しているたな卸資産水準につきましては、それぞれの事業における適正在庫水準だけでなく新型コロナウイルスの影響による不安定な社会情勢等を考慮しながら、引き続き管理を徹底してまいります。
・有形固定資産の大幅な増加は電子材料事業関連設備増強を中心とした旺盛な設備投資によるものです。
・投資有価証券の減少の主要因は期末時価の下落によるものです。
(負債)
当連結会計年度末における負債合計は40,156百万円となり、前連結会計年度末に比べ365百万円増加いたしました。
主な増減項目は長期及び短期借入金の純増額629百万円となっております。
・純増額の主要因としては、長期借入金の新規借入1,500百万円及び約定弁済を含む返済1,031百万円の差額468百万円です。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は81,492百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,201百万円増加いたしました。この結果、自己資本比率は64.4%(前連結会計年度末は64.3%)となりました。
主な増減項目として、利益剰余金が1,863百万円増加し、その他有価証券評価差額金が912百万円減少いたしました。
・利益剰余金の増加の要因は、親会社株主に帰属する当期純利益2,535百万円から剰余金の配当672百万円を控除したものです。
・その他投資有価証券評価差額金の減少の主要因は、保有している投資有価証券の期末時価が下落したことによるものであります。
③ キャッシュ・フロー
当連結会計年度における当社グループの財政状態は次のとおりであります。
|
|
2020年3月期 |
前期増減 |
|
営業活動によるキャッシュ・フロー(百万円) |
6,454 |
3,698 |
|
投資活動によるキャッシュ・フロー(百万円) |
△8,424 |
△2,966 |
|
財務活動によるキャッシュ・フロー(百万円) |
△68 |
△132 |
|
現金及び現金同等物の増減額(百万円) |
△2,026 |
646 |
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において、営業活動によるキャッシュ・フローは6,454百万円と前連結会計年度に比べ3,698百万円増加いたしました。これは、主に税金等調整前当期純利益が1,239百万円減少したものの、売上債権の増減額による要因で2,446百万円、法人税等の支払額による要因で1,141百万円及びその他の要因で1,701百万円それぞれ増加したことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において、投資活動によるキャッシュ・フローは△8,424百万円と前連結会計年度に比べ2,966百万円減少いたしました。これは、主に有形固定資産取得による要因で1,511百万円、前連結会計年度にあった有形固定資産売却がなくなった要因で1,499百万円それぞれ減少したことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において、財務活動によるキャッシュ・フローは△68百万円と前連結会計年度に比べ132百万円減少しました。これは、主に長期及び短期借入れが減少したことによる要因で2,318百万円減少したものの、前連結会計年度にあった自己株式取得がなくなった要因で2,000百万円増加したことによるものです。
以上の結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は9,148百万円となりました。
④ 生産、受注及び販売の実績
(生産実績)
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前連結会計年度比(%) |
|
化学 |
50,743 |
△4.0 |
|
医療 |
3,611 |
△8.8 |
|
合計 |
54,354 |
△4.3 |
(注)1 金額は、販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 セグメント別の生産高を正確に把握することは困難なため、概算値で表示しております。
3 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
(受注実績)
当社グループの主要製品については主に見込み生産を行っております。
(販売実績)
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前連結会計年度比(%) |
|
化学 |
78,555 |
△3.3 |
|
医療 |
8,621 |
4.1 |
|
合計 |
87,177 |
△2.6 |
(注)1 セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、いずれの相手先についても当該割合が100分の10未満のため記載を省略しております。
3 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 経営成績の分析
経営成績の分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績」に記載しています。
② 財政状態の分析
財政状態の分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ②財政状態」に記載しています。
③ キャッシュ・フローの状況分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
キャッシュ・フローの状況については、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フロー」に記載しています。
グループの資金調達については堺商事及び一部の借り入れを除き、当社にて一括調達し、グループファイナンスにて関係会社へ必要な資金を供与しています。
調達方法は取引金融機関が組成するシンジケート団によるコミットメントラインからの短期運転資金と個別取引金融機関からの長期設備資金融資の2種類であります。近時は旺盛な設備投資によるキャッシュ・フロー不足分を補うための長期借り入れを増やしており、当面この傾向は続くものと考えます。現時点では、安定的な財務基盤を背景に取引金融機関の当社に対する融資姿勢に変化なく、スムーズな資金調達を実施しております。
一方、本年2月に堺商事及び海外子会社を除く国内関係会社を結んだグループキャッシュマネジメントサービスを導入し、グループ各社の流動預金を当社に集中、グループとしての資金効率アップに取り組んでおります。
また、当連結会計年度末における短期借入金の残高は9,238百万円、長期借入金の残高は8,918百万円、現金及び現金同等物の残高は9,148百万円となっております。
④ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成しております。この連結財務諸表の作成にあたって、様々な会計上の見積りを行っており、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を考慮しております。当該事象はわが国経済に与える影響は大きいものの、当社グループは多様な用途に使用される製品を製造販売しており、また、主要得意先で全面的な営業停止など深刻な事態に陥っている得意先もないことから、当社グループに与える影響は限定的であり、半年から1年程度停滞した後、緩やかに回復すると仮定して、会計上の見積りを行っております。
当社グループの財政状態及び経営成績に重要な影響を与える会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は以下のとおりです。
1.棚卸資産の評価
当社グループでは棚卸資産の評価に関して、取得原価を基礎としながら、期末における正味売却価額が取得原価よりも下落している場合には、正味売却価額をもって貸借対照表価額としております。正味売却価額は、直近の販売実績による単価が当面継続すると仮定し、販売単価から販売に要する経費を控除した金額として見積もっております。
また、営業循環過程から外れた滞留棚卸資産については、滞留品の処分・販売状況がこれまでと大きく変わらないと仮定し、過去の処分・販売実績をもとに見込まれる損失額を見積もっております。
新型コロナウイルスの影響が想定よりも深刻であった場合でも、随時販売状況を見ながら生産調整を行っておりますので、滞留棚卸資産が急激に増加することはないと考えております。販売単価の下落に関しても、当社グループは多岐にわたる製品を製造販売しており、影響は限定的であると考えております。
2.固定資産の減損会計
当社グループでは資産又は資産グループの収益性が低下し、帳簿価額が回収不能となるような兆候がある場合に、当該資産又は資産グループの回収可能額(正味売却価額と使用価値のいずれか高い方)を見積り、回収可能額が帳簿価額を下回っていた場合は、減損損失を計上しております。
減損の兆候の有無については、上述した新型コロナウイルスの影響に関する仮定のもとで判断しております。また、回収可能額に関する見積りで、当連結会計年度において重要なものはありませんでした。
新型コロナウイルスの影響が想定よりも深刻であった場合、事業の一部を休止又は廃止するような事態になれば、重要な減損損失が発生する可能性があります。
3.有価証券の減損処理
有価証券の減損にあたっては、回復可能性があると認められる場合を除き、連結会計年度末の時価が取得価額より50%以上下落した場合に行うこととしております。
また、連結会計年度末における時価が取得価額より30%以上50%未満下落した場合にも、対象銘柄の過去の株価推移等を検討し総合的に判断した上で、減損処理を行うこととしております。
回復可能性の判定にあたっては、上述した新型コロナウイルスの影響に関する仮定のもと、急激な景気後退や市況の変動がなく、株価は緩やかに推移すると仮定して判断しております。
新型コロナウイルスの影響が想定よりも深刻であった場合でも、回収可能性の判定を行った有価証券は金額的に重要ではありませんので、当社グループの経営成績に与える影響は限定的であります。
4.退職給付引当金
当社では退職給付引当金は、退職金制度ごとに退職給付債務の期末残高から年金資産の期末残高を控除して計算しております。退職給付債務及び費用は、割引率、退職率、予想昇給率などの計算基礎を見積り、年金数理計算により計算しております。割引率は、期末における優良社債の利回りに基づき決定しております。割引率が低下した場合、退職給付債務が増加しますが、数理計算上の差異として発生の翌連結会計年度から一定の年数(5年)による定額法で費用処理されます。また、退職率、予想昇給率は当社の過去の実績をもとに、今後も同様の推移が継続すると仮定して決定しております。
年金資産は期待運用収益率を見積り、退職給付費用の計算に反映させております。期待運用収益率は、金融市場が比較的安定しており、過去の運用実績が今後も継続すると仮定して決定しております。実際の運用実績が期待運用収益率を下回った場合、割引率の低下と同様、数理計算上の差異が発生しますが、発生の翌連結会計年度から一定の年数(5年)による定額法で費用処理されます。
新型コロナウイルスの影響が想定よりも深刻であった場合でも、上述のとおり数理計算上の差異は5年で費用処理されますので、当社グループの経営成績に与える影響は限定的であります。
5.繰延税金資産の回収可能性
当社グループでは将来減算一時差異及び税務上の繰越欠損金のうち、将来の税金負担額を軽減する可能性が高い部分について繰延税金資産を計上しております。
繰延税金資産の回収可能性の見積りは、毎連結会計年度見直しておりますが、当連結会計年度末においては、上述した新型コロナウイルスの影響に関する仮定のもとで判断しております。将来に関する予測であるため、予期しえない事象が生じた場合は、繰延税金資産を取崩す可能性があります。
新型コロナウイルスの影響が想定よりも深刻であった場合、他の会計上の見積りと相まって繰延税金資産の回収可能性に疑義が生じ、多額の繰延税金資産を取崩すことになれば、当社グループの経営成績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(3)経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当連結会計年度における中期経営計画『SAKAINNOVATION 2023』の達成状況は次のとおりであります。
|
|
第121期 |
第122期 |
第123期 |
第124期 |
第125期 |
|
営業利益(百万円) |
4,615 |
4,551 |
4,690 |
4,404 |
4,015 |
|
営業利益率(%) |
5.4 |
5.4 |
5.4 |
4.9 |
4.6 |
|
ROE(%) |
3.0 |
2.6 |
3.0 |
4.6 |
3.3 |
該当事項はありません。
当社グループの研究開発活動については、研究開発本部、堺開発部、小名浜開発部、経営企画部が連携してグループ会社との協力体制を深めながら、有望開発品の上市に向けてスピードアップを図っております。また、研究開発本部内の中央研究所は中長期的なテーマを、堺、小名浜開発部は早期上市が見込めるテーマを、グループ会社の各々の開発部門は取り扱う各製品の品質向上あるいは新製品上市やプロセス改善のための研究開発を行っております。
中央研究所では、当社グループが得意とする粉体プロセシング技術を核として、また、大学や公的研究機関との産学連携も視野に入れて、機能性材料の開発を進めております。主には、各種発光材料、燃料電池用電極触媒、機能性超微粒子誘電体材料、二次電池用電極材料等の開発に取り組んでおります。
当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費用は、
セグメントごとの研究開発活動を示すと、次のとおりであります。
(化学)
(1) 電子材料
電子材料事業においては、電子材料用途向けにチタン酸バリウムの開発を行っております。チタン酸バリウムに関しては、電子部品の小型化・高容量化、自動車部品の高信頼性の要求があり、水熱合成法の特長を活かした微粒子・高結晶・粒度均一な材料開発を進めております。
(2) 酸化チタン・亜鉛製品
化粧品材料事業においては、従来の日焼け止め分野に加え、用途拡充としてメイクアップ化粧品向けに、肌触りの良化を目指して開発した「六角板状酸化亜鉛XZシリーズ」や「板状集積型球状酸化亜鉛CANDY ZINC」を上市、拡販に鋭意注力しております。また、高隠蔽力を付与できる「顔料級酸化チタンMKRシリーズ」もラインナップに加え、その顔料級酸化チタンを用いた「顔料分散体DIPシリーズ(酸化鉄顔料含む4色)」も開発し、多種多様な化粧品商材に対応すべく積極的に提案しております。
あわせて、インキやフィルム、電子材料分野へのUV遮蔽、電気特性等機能性を付与するフィラーとしての用途展開にも注力しております。
(3) 樹脂添加剤
樹脂添加剤事業においては、2018年8月にタイ王国で塩ビ樹脂安定剤の製造・販売を行うSIAM STABILIZERS AND CHEMICALS CO., LTD.の株式の90.0%を取得し、Sakai Chemical(Vietnam) Co., Ltd.とのグループシナジーを最大限に発揮すべく、長年培った塩化ビニル安定剤の技術に基づいて、堅調に成長している海外市場をターゲットとした開発に取り組んでおります。また、当社が得意とする表面処理技術・粒子制御技術をハイドロタルサイトや塩化ビニル安定剤原料に応用し、特殊ハイドロタルサイト、独自性の高い塩化ビニル安定剤を展開し、性能の差別化に注力しております。同時にハイドロタルサイトを含め、各種配合剤の自社生産化や高効率化により、コストパフォーマンスに優れる製品の開発を進めております。
(4) 有機化学品
SC有機化学㈱では、イオウ、リンを含むヘテロ有機化合物合成技術をベースとして、光学材料、電子材料、自動車向け材料等の有機化成品材料の開発に取り組んでおり、耐水性に優れた新規グレードMulthiolR(マルチオール)シリーズの上市、拡販に注力しております。
中央研究所では有機系機能性材料として、チオール変性マレイミド樹脂の市場開拓に注力しています。この開発品は高い耐熱性と柔軟な屈曲性という特徴を生かす用途として炭素繊維強化プラスチックスや耐熱接着剤に向けて顧客へのサンプルワークを進めております。
(5) 触媒
中央研究所では、カーボンに替わる無機系の導電性材料としてサブミクロンの低次酸化チタンENETIA(エネティア)の開発を進めています。固体高分子型燃料電池の電極材料や触媒担体向けにサンプルワークを進めています。また、産学連携による人工光合成に用いる光触媒の研究開発も進めております。環境・エネルギー・化学プロセスは当社の重要な研究開発分野であり、これからの水素エネルギー社会が求める技術開発に貢献していくよう取り組んでまいります。
堺開発部では、環境負荷の低減に特化した触媒の開発に取り組んでおります。化学プロセス分野では、脱水素反応、水素添加反応用触媒として有害成分であるクロムを含有しないクロムフリー銅系触媒の開発に注力しており、ポリエステル重合用触媒としてはアンチモンのような重金属を含有しないチタン系触媒の開発に取り組んでおります。
(6) 受託加工
レジノカラー工業㈱では、長年の着色剤ビジネスで培った分散技術や原料選択などの技術力と、ユーザーとの綿密な調色作業で養われたサービス力に基づいて、シングルウォールカーボンナノチューブなどの機能性フィラーの分散に取り組んでおります。近年、多様化する顧客ニーズへの対応分野が広がっており、従来の電子機器向け導電インキや自動車向け機能性インキに加え、赤外線遮蔽インキ・マスターバッチなどの環境対応型製品の開発にも取り組んでおります。また、クリーン環境を実現した新工場での入浴剤・化粧品向け製品及び機能性インキ・マスターバッチの開発に一層注力しております。
大崎工業㈱では、無機系、有機系の新規受託化成品の検討を強化しています。顧客との深い信頼関係と長年に亘って培われた製造技術と評価技術を駆使して、主にIT関連分野向け、触媒向けを用途とする素材として供給しております。
(7) その他
中央研究所では、発光材料の中でも応力発光体の実用化展開に注力しております。現状、機能性重視の高発光型、汎用性に優れる従来型とラインアップを拡充し、意匠性付与や検査用途等へのサンプルワークを進めております。また、今後の市場拡大が期待される次世代二次電池用電極材料についても、産官学連携を強化しながら開発を進めています。
小名浜開発部では、酸化チタン・酸化亜鉛・亜鉛末及びバリウム化合物を中心素材として、触媒用途、電子材料用途などの高機能性材料の開発や、粉体表面処理技術を活かした2次電池向け材料の開発に取り組んでおります。
堺開発部では高屈折率材料の酸化ジルコニウム、電子材料や歯科材料用途向けなどの球状シリカの開発に注力しております。
大崎工業㈱では、視覚障がい者用誘導標示点字シート「セグリダ®」の開発・販売に注力しております。「セグリダ®」は、二色化による輝度比向上などの特長を生かした、顧客(発注者、施工者、利用者)の要求に幅広く応えられる新製品です。また、景観との調和を大切にしながら、交通安全の向上に貢献するため、スクールゾーンや自転車レーン用のカラー路面標示用溶着塗料の拡販・改良にも取り組んでおります。
以上のほかに無機・有機化成品の新製品の開発に取り組んでおります。なお、化学事業に係る研究開発費用は
(医療)
カイゲンファーマ㈱では、2019年6月に、内視鏡治療用の医療機器2製品(リフタル®K、リフテイン®ニードル)を上市し、拡販に鋭意注力しております。さらに検診領域において、既存のX線検査造影剤、血液によるがんリスク検査に加え、新たに唾液によるがんリスク検査の受託業務を開始し、更なるラインナップの拡充を進めております。
またこれら以外にも、従来から注力している医療用医薬品、医療機器分野の製品に加え、美容医療向けの製品開発にも、産学連携の枠組みも活用しながら積極的に取り組んでおります。
なお、医療事業に係る研究開発費用は