第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経営方針

当社グループは『グループの総合力を最大限に高め、社会のニーズにタイムリーに応える事業活動を展開する。以て盤石な経営基盤を構築し社会的貢献を希求する』ことを経営理念としております。

当社の創業は、鉛含有の化粧白粉による健康被害が問題視されていた中、無鉛白粉の原料である酸化亜鉛の製造法の改善に成功したことから始まります。以来、思いやりの心と技術革新で社会の快適と安心を支える素材(マテリアル)つくりにこだわってきました。

培った化学技術により生まれる素材(マテリアル)をベースとし、各ステークホルダーと共に持続可能なやさしい未来社会を実現する、この目的に向かって創造を続ける会社であることが私たちのミッションです。

このミッションを実現するために、社員が日々ワクワクして働いてこそ、価値ある創造が継続できるとの考えより、働く社員が能動的で躍動感に溢れる「わくわくカンパニー」を目指しています。

 

(2)経営環境

当社グループは、国内連結子会社8社、国内非連結子会社1社、海外連結子会社8社、海外非連結子会社1社からなります。うち医療セグメントに分類される子会社は1社、その他は全て化学セグメントに属します。また、堺商事および堺商事傘下の海外子会社6社以外は製造子会社です。堺化学および各製造子会社は、各社特徴のある製品・技術ノウハウを保有し、そのビジネスモデル・ビジネス領域も多種多様です。各社の特徴を伸ばして行くとともにグループガバナンスの強化を行い、グループ間シナジーの発現、業務の効率化など最大のパーフォーマンスが発揮できるよう努めています。

新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)の完全収束が見通せない状況でありますが、化学セグメントは、上期に大きな需要減となった自動車関連や建築関連向け製品などを中心に、下期から回復してまいりました。しかし、当初の計画から業績の進展に大きな遅れが生じたため、多額の減損損失による当期純損失を計上し、期末配当を無配とするなど、当社株主をはじめとするステークホルダーの皆様に多大なるご迷惑をおかけしてしまいました。

また、成長分野と見込んで積極的に設備投資した特定グレードの電子材料の拡販が、計画に対して大きく遅延したため減損損失を計上せざるを得ない状況となりましたが、下期以降は斑ながらも全体的に回復が進んでいます。

一方、日焼け止めやメイク関連向けの化粧品材料の需要は低調に推移しており、増販を見込んだ大型増強については上記電子材料と同様に減損損失を計上し、本格的な回復には今暫く時間を要する見込みです。

医薬中間体・原薬、プラスチックレンズ向け原料などの有機化成品はほとんど新型コロナの影響が見られず、順調に推移しました。

医療事業については、新型コロナの影響を大きく受け、下期には挽回を目指し積極的な営業活動を行いましたが、上期の落ち込みを補うまでには至らず、胃検診用バリウム造影剤など医家向け医薬品およびかぜ薬「改源」などの一般用医薬品ともに低調な業績となりました。

グループ全体で見ましても、上期は新型コロナの影響でビジネス環境は著しく悪化しましたが、下期から改善の方向で推移してきました。

今後も新型コロナが収束に向かうことを前提に考えて、当社グループ全体の経営環境も改善の方向で進むものと予測しています。

全グループ会社で新型コロナ予防対策に取り組み、従業員・家族への感染を最小限に抑えることができ、事業活動への影響はございませんでした。今後も状況判断を適切に行い、感染症予防対策に努めてまいります。

 

 

(3)中期的な経営戦略と目標とする経営指標

当社グループは上記経営環境を認識し、2019年4月にスタートさせたグループ中期経営計画『SAKAINNOVATION 2023』の数値目標達成と持続的成長を目指して取り組んでおります。中期経営計画2年目に当たる2021年3月期は想定外の新型コロナに見舞われ、業績の進展に大きな遅れが生じました。中期経営計画につきましては、注力分野等大きな変更なく当初目標を達成すべく努力を続けます。

 

堺化学グループ中期経営計画

 

① 稼ぐ力へ再挑戦し確実な増益体質を実現

5年先の数値目標達成に向けた既存事業を中心とした取組みとして、6つの事業領域を中心に収益向上を図ります。

 

1.電子材料事業

MLCC用材料(チタン酸バリウム、高純度炭酸バリウム等)を中心に開発および拡販に注力します。MLCC用関連へは33億円(当初計画57億円)の投資を実施しました。一部稼働が遅れている製品もありますが、今年度中には当初計画された成長軌道に戻る予定です。

2.酸化チタン・亜鉛製品事業(化粧品材料)

化粧品材料(微粒子酸化チタン、微粒子酸化亜鉛等)を中心に業容拡大を計画します。化粧品関連へは40億円(当初計画55億円)の投資を実施しました。ただし、この分野は新型コロナの影響を最も強く受けている分野であり、本格回復には2~3年を要すると見ています。

3.樹脂添加剤事業

国内の事業基盤を強化しつつ、海外子会社と連携をとりながら、東南アジアを中心に塩ビ樹脂安定剤およびハイドロタルサイトの海外展開を図り、海外売上高比率50%以上を目指します。

4.触媒事業

環境配慮型触媒であるクロムフリーの銅触媒、アンチモンフリーのPET重合触媒への注力と、ニッケル触媒の収益化を目指します。

5.その他の化学事業(高屈折材料)

前中期経営計画の最終年度(2018年度)で需要が増加してきた高屈折材料(酸化ジルコニウム分散液、酸化チタン分散体)は、開発および拡販に注力します。

6.医療事業

積極的に新規事業を伸ばし、医療機器事業(粘膜下注入材、内視鏡洗浄消毒装置、骨充填材)、美容医療機関向け製品、がんスクリーニング検査事業を中心に業容拡大を目指します。

 

② 再構築投資による環境と人にやさしい工場・オフィスの実現

働く人や環境にやさしい、災害に強い工場、本社、技術棟の整備と、将来の工場建設スペースを確保します。

 

③ 10年先の社会を見据えた新事業へ取り組む

1.既存事業を通して、人と環境にやさしい製品づくりで社会的貢献を希求します。

2.研究開発の方向性

持続可能な開発目標(SDGs)における、7「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」9「産業と技術革新の基盤をつくろう」を重視し、それに沿った研究テーマを継続して取り組んでいきます。

3.化学の力で新しい事業創造の可能性を追求

持続可能な開発目標(SDGs)における、2「飢餓をゼロに」6「安全な水とトイレを世界中に」7「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」9「産業と技術革新の基盤をつくろう」13「気候変動に具体的な対策を」14「海の豊かさを守ろう」15「陸の豊かさも守ろう」を重視し、将来に向けた新しいビジネスモデルの可能性を追求します。

 

 

④ 総還元性向30%以上を目標とした安定的・継続的な株主還元を実施

事業活動で得たキャッシュを主に将来の成長に向けた投資に充てるとともに、安定的・継続的な配当を基本とする株主還元を実施し、持続的な成長と企業価値の向上に努めます。

 

目標とする経営指標

 

 

2024年3月期目標

営業利益

80億円以上

ROE

6%以上

 

2021年3月期は新型コロナの影響により、業績は年度計画に対し大幅な未達に終わりましたが、翌期以降の回復を見据え、経営目標は当初目標を堅持することといたしました。「稼ぐ力の向上」は引続きグループ全体での最重要課題であるとし、堺化学ならびにグループ各社において積極的な施策を展開しております。稼ぐ力は営業利益金額で評価し、株主資本に対するリターンを測る指標としてROEを選択しました。ただし、当初掲げておりました営業利益率7%以上という目標は、2022年3月期から適用される新収益基準により売上高の定義が変わるため、目標から削除します。

営業利益は為替差損益、利息・配当等の影響を含まず、製造業を主体とする当社グループの業績、努力の結果を的確に反映する指標と判断しております。また、ROEは株主資本に対してのリターンを反映する指標として、資本市場にて広く認識されている指標です。当社におきましても、ROEが株主資本に対するリターン目標として的確なものと判断しました。ROEの数値目標につきましては、営業利益目標に株主還元目標を加味し設定しました。

 

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

2024年3月期までの5ヵ年においては、設備投資総額400億円、そのうち収益向上に向けた戦略投資として190億円を計画しておりました。戦略投資以外の設備投資案件を延期するなど計画の見直しを行いましたが、2021年3月期までの2年間で設備投資総額189億円、うち戦略投資98億円と前倒しで設備投資を実行し、足元の需要に対して十分な生産体制を構築しました。

しかし、新型コロナの影響による市況の一時的な悪化や拡販活動の遅れにより、設備の減損処理を実施しました。化学事業においては、化粧品材料は本格回復までは時間がかかると見ておりますが、電子材料は市況もほぼ回復し、EV化や自動運転化が進行中の車載用途、5Gが普及しつつある通信用途ではハイエンド製品を中心に拡販が実り始めております。生産能力に対し、それに見合った販売実績を達成することが喫緊の課題です。医療事業においては、薬価改定に影響されない医療機器関連や有望な新規ビジネスの開拓・育成に注力し、稼ぐ力(営業利益率)の向上に向け取り組んでおります。

なお、多額の減損処理、純損失計上後も十分な自己資本を維持しております。加えて、長期借入やコミットメントライン等、金融機関から十分な支援を受けられていることから、今期以降の営業キャッシュ・フローを含め、当面の資金繰りについても盤石な体制を維持してまいります。今期以降も続くであろう新型コロナに起因する非常事態に備えて、全社的なコスト削減、棚卸資産の圧縮、キャッシュ・マネジメント・システムによるグループ資金の運用効率化等の対策を打ち、財務の健全性確保に努めると同時に、今後のビジネス環境の変化を注意深く見極め適切な対応を実施してまいります。

また、戦略投資に要する資金確保と資本効率向上のため、現在保有している政策保有株式を2024年3月末までに株主資本の5%以下に縮減することを目標に掲げ、持合株式の解合いを中心に縮減に努めております。この動きは今期以降も株式市場の動向を注視しつつ、精力的に推進してまいります。

新型コロナの収束がまだ見えない状況ですが、現時点ではグループ会社を含め、操業に影響を与えるような事案は発生しておりません。有機化学品や衛生材料は堅調を維持するものと見ておりますが、新型コロナによって景気低迷が継続する事態となった場合には、2021年3月期の上期同様、幅広い用途に使用されている酸化チタンやバリウム製品等がマイナスの影響を受ける恐れがあります。また、緊急事態宣言等に伴う外出自粛によって、日焼け止め向けの化粧品材料の需要減、集団検診の中止・延期によるバリウム造影剤の販売低下は避けられないものと考えております。事業運営に当たっては、工場や建物への出入管理の厳格化、出張や会議の制限、時差出勤やテレワークの実施など、引き続き顧客、調達先、社員とその家族の安全確保ならびに感染予防と拡大防止に努め、事業継続に向けた取組みを行ってまいります。

 

(化学事業)

 

電子材料

誘電体材料(高純度炭酸バリウム)および誘電体(チタン酸バリウム)に関する設備投資はほぼ計画どおり実施してまいりましたが、販売について投資計画時の見込みとの乖離が大きくなり、減損処理を実施しました。積極的な投資が期待される5Gなど通信基地局向けや自動車向けの回復など、積層セラミックコンデンサの市場環境は改善されてきており、当社の販売も昨年10月以降回復基調にあることから、この回復と今後の市場の伸びに対応すべく、顧客の高度化する品質要求にしっかりと対応できるよう一段の生産技術・品質管理の強化など、より盤石な供給体制構築を図ってまいります。

また、誘電体については、当社の製品特性を活かしたハイエンド分野向け差別化製品の開発と販売に一層注力してまいります。

 

酸化チタン・亜鉛製品

酸化チタンは、新型コロナによる世界的な需要低迷と原料鉱石の値上がりもあり、採算性が厳しくなっておりますが、工場運営、他製品の中間体供給等において重要な役割を担っているため、さらなる事業の効率化、最適な生産体制の検討を進めてまいります。

UVケア化粧品材料として使用される超微粒子酸化チタン・酸化亜鉛は、事業規模拡大を見据え積極的な投資を行いましたが、新型コロナで出荷が大きく落ち込み、減損処理を実施しました。当面、人々の屋外活動が制限されることでマイナスの影響は残ると考えておりますが、引き続き、UVケア化粧品のみならず、メイクアップ、スキンケア化粧品全般に、機能性、意匠性等に優れた無機材料を提供すべく、材料開発、処方開発に取り組みます。

 

 

樹脂添加剤

塩ビ安定剤は、国内市場の縮小傾向は変わらず、当社としては注力する分野を絞り、品種の統合や配合コストの低減に取り組み、競合他社との差別化で安定したシェアおよび利益の維持に努めます。

一方、塩ビ需要の拡大が期待できる海外(特に東南アジア地域)へは、当社の国内で培ってきた配合技術を駆使し、ベトナム、タイの現地法人と協力してシェア拡大に努めます。

その他、金属石鹸やハイドロタルサイト等の機能性添加剤については、それらの特徴・機能をより高め、高付加価値分野への用途展開を図り、利益の確保に努めます。

 

衛生材料

衛生材料製品に使用される通気性フィルムの生産拠点であるPT.S&S HYGIENE SOLUTION(インドネシア)において、品質の安定とコスト競争力向上に取り組み、事業の安定的拡大を目指します。また、紙おむつ、生理用ナプキン、ペットシート等の原材料について信頼できる供給元との関係を一層強化し、グローバルに販売活動を展開します。さらには、今後需要が見込まれる脱プラ素材の開発もメーカーと協力しユーザーへの提案を進めます。

 

有機化学品

チオおよびリン製品は、原価抑制と安定供給に努めるとともに、伸長が予想される用途への積極的な展開、新たなニーズの収集と開発技術力の強化により次の収益の柱になる製品育成に取り組みます。

医薬品原薬・中間体の生産受託は、受託品目、受託数量増加を視野に入れ、生産要員確保、品質管理等の体制整備を進めるとともに、将来の新規案件獲得に向け原薬製造ラインの増強を計画します。

 

触 媒

水添石油樹脂が衛生材料向け部材等の分野で需要拡大が期待できる中で、その製造工程で使用するニッケル触媒は、生産効率を上げるべく準備を進めるとともに、シェア拡大に努めます。

火力発電所やごみ焼却施設で使用される脱硝触媒は、環境対策が進み需要が増えると期待される中国、東南アジア地域等への積極的な営業活動を推進するとともに、生産・供給体制の強化を進めてまいります。

その他、重金属フリーのポリエステル重合用触媒など環境負荷低減やカーボンニュートラルに関連した新規触媒の開発と拡販にも注力してまいります。

 

受託加工

受託加工事業に対する顧客からのニーズは、近年多種多様でより高度なものになり、それらニーズに対して迅速かつ確実に対応できるよう、保有設備の拡充、生産管理の高度化、人材育成等を図り、より信頼される受託体制を構築して発展に努めてまいります。

 

(医療事業)

医療用医薬品、医療機器、一般用医薬品、ならびに健康食品等、これまで培った販路・商流を活用できる商品ラインアップの拡充に注力します。また、産学連携の枠組みを活用した大学との共同研究を積極的に推進するほか、新素材、新技術、新プラットフォームを有するスタートアップ企業を探索し、業務・資本提携を含めたビジネス協業関係の構築を図ります。

 

医療用医薬品

バリウム造影剤は、需要が漸減する国内においては顧客ニーズへの対応力を強化する一方、輸出については韓国、台湾等への拡販に努め、国内・輸出の販売合計で事業規模維持を図っております。新型コロナで集団検診の延期または中止により販売量が減少しましたが、胃がん検診自体は必要なものであるため、減少は一時的なものと予想しております。

 

医療機器

内視鏡洗浄消毒器は、新型コロナで施術数の停滞により関連する消耗品の販売は一時的に減少しましたが、コロナ支援キャンペーンを打つなど営業活動を進めた結果、需要は徐々に回復してきております。

2019年6月に上市した内視鏡治療用粘膜下注入材「リフタルK」および注入材用穿刺針「リフテインニードル」は、大学病院、大規模病院から中小クリニックまで営業強化を図り、早期に30%のシェアを目指して拡販に注力しております。

また、スタートアップ企業が開発した医療機器プログラムである胸部X線診断支援AIシステムの販売を開始しました。当社の顧客である健診施設で一定の需要が見込めるため、販売に注力してまいります。

 

一般用医薬品・その他

一般医薬品の事業拡大・収益力強化のため、ヘルスケア事業の組織体制の見直しを行い、販売ルートおよび商品ラインアップの整理、新商品と新商流の開拓などの活動を積極的に展開します。

新事業領域として取り組んできた美容医療向け事業は、新型コロナにあっても紫外線対策サプリ「ソルプロ」シリーズを中心に順調に売上を伸ばしており、今後も新製品を投入し拡大を図ります。

 

2【事業等のリスク】

当社グループの事業その他のリスクについて、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項を以下に記載いたします。ただし、これらは当社グループに関する全てのリスクを網羅したものではありません。

また、本項においては、将来に関する事項も含まれておりますが、当該事項は当連結会計年度末現在において判断しております。

 

(1)資材等の調達

重油や非鉄金属などの原燃料、カントリーリスクの比較的高い地域からの輸入に頼っている酸化チタンまたはバリウム製品の原料、国内においても調達先が限られる特殊な原料・資材等の価格高騰、供給の逼迫・遅延等が生じた場合、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

これらリスクに対し、特に輸入原料については極力複数の国、調達先を確保するように努めております。また、在庫量についても、仕入れの難易度、必要期間を考慮し、余裕を持った運用を実施しております。

(2)資金の調達

金融危機により金融機関からの調達が困難になる、または、金利高騰で支払い金利が増大することにより当社グループの事業継続に影響を及ぼす可能性があります。

これらリスクに対し、取引金融機関のシンジケーションによるコミットメントラインで金融サポート体制を強固なものにする、長期借り入れについては極力固定金利を採用し将来の支払金利負担を固定化する、キャッシュ・マネジメント・システムによりグループ内の資金効率を高めるなどの対応を実施しております。

(3)公的規制・コンプライアンス

当社グループは事業の遂行にあたって、様々な法令、規制の適用を受けております。加えて、事業活動を行っている国および地域が多岐にわたることから、それぞれ投資に関する許認可や輸出入規制のほか、商取引、労働、特許、租税、為替等の各種関係法令の適用が異なる場合があります。

これらの法令等に違反した場合や社会的要請に反した行動等により、法令による処罰、訴訟の提起、社会的制裁を受けたり、顧客からの信頼を失うことで、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

これらに対し、当社ではコンプライアンスを「当社が行うあらゆる活動の局面において、関連する法令・条例・契約・社内規程等、明確に文書化されたルールを遵守するとともに法令の目的である社会的要請、社会通念および社会倫理等を尊重して行動すること」と定義し、コンプライアンス研修やコンプライアンスハンドブックの配付を通じ従業員の法令違反や社会規範に反した行為等の発生可能性を低減するよう努めています。また、公認会計士、弁護士、弁理士等の専門家とのコミュニケーションを維持することにより、これらリスクへの早期かつ的確な対応を心掛けております。

(4)環境規制

当社グループでは化学セグメントが事業の主体となっていることから、資源やエネルギーの大量消費による環境負荷が大きな問題の1つであります。よって環境負荷低減のための設備や管理体制の整備を図る一方、生産効率すなわち資源やエネルギーの原単位向上など、環境負荷の低減に取り組んでおります。当社グループのすべての製造拠点における排水規制(水質汚濁防止法等)に対して各拠点において専用設備を設置して窒素酸化物、リン等の排出物濃度モニタリングを実施しています。しかし、環境税の導入や、環境関連規制の強化により大規模な設備投資等の必要が生じた場合、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(5)為替レートの変動

当社グループの海外における事業展開に伴い、外貨建取引から発生する資産等の日本円換算額が影響を受ける可能性があり、換算時の為替レートが予想を超えて大幅に変動した場合、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。当社では化学セグメントにおける酸化チタン、バリウム製品の原料となる鉱石購入等の大口ドル建て取引に対し、予算レートに準じた為替予約を一定比率で実施するなど、為替リスクの低減に努めております。

 

(6)株式相場の変動

政策保有株式の多くは、市場価格のある有価証券であるため、株式相場が大幅に下落した場合、減損が発生し、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

これに対し、当社コーポレートガバナンス基本方針において銘柄毎にその保有の目的や保有リスク・時価、配当利回り等を精査の上保有継続の合理性の確認および株式数の見直しを行っております。見直しの結果、継続して保有する必要が無いと判断した株式は売却を進めるなど、政策保有株式の縮減に努めております。

(7)海外における事業

当社グループが事業活動を行う国・地域は広範であり、特に新興国における法令・規制等の変化、テロ・戦争やその他の要因による政治・経済・社会的混乱、文化や習慣の違いに起因するトラブル発生等が予想されますが、こうしたカントリーリスクが顕在化する場合、当社グループの事業活動が制限されたり、一時的な業務停止などの悪影響が発生する可能性があります。

これに対し、比較的カントリーリスクの低い国への進出を選択していること、インドネシア、タイでは現地事情に詳しいパートナーとの合弁事業とすることによりリスクの低減を図っております。

(8)製造物責任

当社グループの製品は、自動車関連部品、電子機器、建材、化粧品、医薬品等の暮らしに身近なものから、社会インフラまで多くの分野で使われています。そのため何らかの原因で製品品質に問題が生じた場合には、販売中止・製品の回収や社会的信頼の喪失などにより、当社グループの業績および財務状況に影響を与える可能性があります。

これらに対し、原料調達から生産、お客様に製品をお届けするまでサプライチェーン全体を管理することで品質を保証し、より一層の顧客満足向上に努めるとともに、万が一に備え製造物責任保険に加入しています。また当社グループでは品質担当部門による「グループ品質連絡会」を実施、品質に関する情報を共有し、製品品質の問題発生の予防に努めています。

(9)訴訟

国内および海外事業に関連して、訴訟の対象となるリスクがあり、多額の損害賠償請求訴訟等が提起された場合、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。当社では契約書を締結する前に必ず法務担当部門が契約審査を行い取引先との協議により当社リスクの低減を図り、社内手続きを経たうえで契約締結を進めております。

(10)自然災害・事故災害の影響

地震・台風・津波・風水害・火災・有害物質の流出等の災害により事業所等の閉鎖や事業活動を停止する可能性があります。

これに対し、当社では事業継続管理システム規程を制定し事業活動の復旧・継続に関する基本方針、基本的事項を定めております。また、安否確認システムにより従業員およびその家族の安否を迅速に確認出来る体制を構築しております。

生産活動の中断によって生じる悪影響を最小限に抑えるため、全設備において定期的な防災点検および設備保守を行っておりますが、想定外の大規模災害(大地震・津波、停電またはその他の混乱を含む)が発生した場合、その影響を完全に予防または軽減することはできません。また、製品によっては、代替生産できないものもあり、一時的または長期にわたる生産の中断があった場合、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(11)システム障害の影響

社内および当社グループ間のネットワークシステムについては、情報セキュリティ規程に則りシステムの更新、EDR等ウィルスやハッカーの侵入・攻撃に対する防御システムの導入のほか、定期的な保守点検を実施しております。しかし、未知のコンピュータウィルスの侵入や情報への不正アクセス、突発的な事故等により、ハードまたはソフトウエア障害もしくはネットワーク障害等が発生し、長期間にわたり正常に機能しなくなった場合、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(12)情報漏洩

営業、技術、研究など事業に関連する機密情報については、情報管理規程に基づき適切な運用に努めるとともに、当社グループ全従業員に対し情報管理についての研修を実施しております。しかし、予期せぬ事態により情報が流失した場合、被害を受けた企業および個人に対して損害賠償責任を負うとともに、社会的信用の失墜を招き、当社グループの事業やイメージに影響を及ぼす可能性があります。

(13)新型コロナウイルス等のパンデミック

新型コロナウイルス等のパンデミックにより、当社グループにおいて工場、事務所閉鎖が生じ、事業継続に影響が出る可能性があります。これに対し検温、マスクの着用、アルコール消毒液の設置、工場や建物への出入管理の厳格化、出張や会議の制限およびWeb会議システム等の活用、時差出勤やテレワークの実施など、顧客、調達先、社員とその家族の安全確保ならびに感染予防と拡大防止に努め、事業継続が可能となる施策を制定し、的確な対応を実施してまいります。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

① 経営成績

当連結会計年度における当社グループの経営成績は次のとおりであります。

 

2021年3月期

前期比

売上高(百万円)

84,918

△2.6%

営業利益(百万円)

4,304

7.2%

経常利益(百万円)

4,012

△4.7%

親会社株主に帰属する当期純損失(△)(百万円)

△2,803

 

当社グループでは、中期経営計画『SAKAINNOVATION 2023』に基づき、当連結会計年度(2021年3月期)は注力分野である電子材料および化粧品材料に積極的な投資を行いましたが、両事業とも販売が投資計画に比べ乖離が生じ、7,041百万円の減損処理を実施した結果、当期純損失を計上することとなりました。

年度前半は新型コロナにより化学事業では自動車関連向け製品、医療事業ではバリウム造影剤などの主力製品の低迷が大きく、一部の製品では在庫調整のため操業休止を実施する厳しい状況にありました。一方、年度を通して堅調に推移した有機化学品や衛生材料などが業績の下支えをするとともに、年度後半からは化粧品材料を除く製品が回復基調で推移しました。

この結果、売上高は前連結会計年度比2.6%減の84,918百万円となりましたが、製造コスト低減や全社にわたる経費節減に努め、また新型コロナの影響で休止した操業休止費用を営業外で計上した結果、営業利益は前連結会計年度比7.2%増の4,304百万円、経常利益は前連結会計年度比4.7%減の4,012百万円となりました。しかし、上記減損損失を含めて7,573百万円の特別損失を計上した結果、親会社株主に帰属する当期純損失が2,803百万円となりました。

セグメントごとの経営成績は、以下のとおりです。

なお、各セグメントの営業利益は全社費用等調整前の金額であります。

 

(化学事業)

売上高は前連結会計年度比2.2%減の76,821百万円となりましたが、営業利益は前連結会計年度比2.1%増の5,731百万円となりました。

 

電子材料

誘電体材料(高純度炭酸バリウム)は、5G基地局やパソコン等通信機器向けが堅調に推移するとともに、上期に低調であった車載向けが10月以降回復しました。誘電体(チタン酸バリウム)についても、下期から自動車向けも回復した結果、売上高は増加しました。しかし、増強した設備に対する販売計画を大きく下回り、減価償却負担が増加し、利益は減少しました。

 

酸化チタン・亜鉛製品

酸化チタンは、巣ごもり需要により食品包装用グラビアインキ向けが伸びたものの、その他工業用途は全般にわたって販売が振るわず、売上高は減少しました。在庫調整のため2ヵ月間工場を休止したことから、操業休止費用を営業外費用に計上しました。

亜鉛製品は、10月以降の自動車生産回復によりタイヤ向けが増加したものの、上期の落ち込みをカバーできず、売上高は減少しました。しかし、8月以降は亜鉛地金建値が上昇に転じたこともあり、利益は前連結会計年度並みまで回復しました。

化粧品材料の超微粒子酸化チタン・酸化亜鉛は、世界的な外出自粛やインバウンド需要の消滅により化粧品や日焼け止めの需要が減少し、売上高・利益とも大幅に減少しました。

 

樹脂添加剤

国内においては、下期からパイプ・継手、IT関連設備用PVC工業板が回復したものの、上期の大きな落ち込みをカバーするには至らず、売上高・利益ともに減少しました。

一方、海外においては、新型コロナで落ち込んだ自動車ワイヤーハーネス向けが下期に回復するとともに、ベトナム、タイの現地法人では灌漑設備への投資が増加したことでパイプ・継手向けが好調に推移し、売上高・利益ともに増加しました。

 

衛生材料

新型コロナでマスク関連製品の需要が拡大したほか、インドネシア現地法人で生産する通気性フィルム等が、紙おむつ向けの堅調さと医療関連向けの特需に支えられて販売が好調に推移した結果、売上高・利益ともに増加しました。

 

有機化学品

チオ製品は主用途のプラスチックレンズ向けなどが新型コロナの影響により、一時的な調整がありましたが、比較的回復の早かった輸出向けの拡販でカバーしました。リン製品は自動車や各種部品製造に使用する潤滑油・工作油添加剤向けが低調に推移した結果、チオおよびリン製品のトータルでは売上高・利益ともに前連結会計年度並みとなりました。

医薬品原薬・中間体の生産受託は、主力中間体が堅調に推移したことに加え、複数原薬の伸びと開発品のスポット生産・販売が業績に寄与し、売上高・利益ともに伸ばしました。

 

触 媒

ニッケル触媒は、将来の需要拡大を見据え水添石油樹脂メーカー各社において設備投資が進められている中、予定していた主要顧客の新工場立ち上げの遅れにより、計画通りに生産と販売が進まず、売上高・利益ともに減少しました。

脱硝触媒は、国内取替需要や韓国向け新規受注を獲得できましたが、納入物件が少なかった上期の減少を補うことはできず、売上高・利益ともに減少しました。

 

受託加工

加工顔料については、入浴剤製品は新規製品への採用と巣ごもり需要もあり好調に推移しましたが、自動車・食品包装用の着色剤製品における上期の低調が響き、売上高・利益ともに減少しました。

焼成、混合、乾燥等の工程受託については、新型コロナの影響で計画を下回る案件もありましたが、売上高・利益ともに前連結会計年度並みとなりました。

 

(医療事業)

売上高は前連結会計年度比6.1%減の8,096百万円となり、営業利益は前連結会計年度比23.8%減の452百万円となりました。

 

医療用医薬品

バリウム造影剤は、2016年度厚生労働省発出の「がん検診実施のためのガイドライン」による受診間隔の延長および受診年齢の引き上げ、胃内視鏡検査への移行等厳しい環境のもと、大口検診機関のニーズ対応を強化し市場シェア拡大に努め、国内販売の縮小を最小限にとどめるとともに、韓国・台湾への輸出を強化してきました。しかしながら、国内外ともに新型コロナで受診者が減少した結果、売上高・利益ともに減少しました。

消化性潰瘍用剤「アルロイドG」も、後発品メーカーの撤退により当社品の需要回復はあったものの、薬価引き下げによる影響が大きく、売上高・利益ともに減少しました。

 

医療機器

新型コロナで営業活動が制約される中、内視鏡洗浄消毒器は、コロナ支援キャンペーンを打つなど積極的な販売促進活動を進め、機器本体の販売台数およびメンテナンス契約数を伸ばしましたが、施術数の停滞により関連する消耗品の販売が低調に推移したため、売上高・利益ともに減少しました。

また、一昨年度からリリースした内視鏡治療用粘膜下注入材「リフタルK」および注入材用穿刺針「リフテインニードル」は計画未達ながらも、新規採用に努め一定の売上増に寄与しました。

 

 

一般用医薬品・その他

かぜ薬「改源」等一般用医薬品は、新型コロナでうがい薬等の売上が伸びましたが、風邪の罹患者減少により主力のかぜ薬が低調に推移したことから、売上高・利益ともに減少しました。

新規事業として位置付けている美容医療機関向けのサプリ事業は拡大基調であり、紫外線対策サプリメント「ソルプロ」シリーズが新型コロナにおいても好調に推移し、売上高・利益ともに伸ばしました。

大手発毛剤メーカー向けのミノキシジル製剤(OEM商品)については、女性向け低濃度製剤を新たに発売し、売上に一部寄与しました。

 

 

② 財政状態

当連結会計年度における当社グループの財政状態は次のとおりであります。

 

当連結会計年度末

2021年3月末

前連結会計年度末 増減

総資産(百万円)

123,007

1,358

負債合計(百万円)

43,742

3,585

純資産合計(百万円)

79,264

△2,227

自己資本比率

61.6%

△2.8ポイント

 

(資産)

当連結会計年度末における総資産は123,007百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,358百万円増加いたしました。

主な増減項目として、流動資産においては、現金及び預金が1,983百万円、受取手形及び売掛金が1,679百万円それぞれ増加し、商品及び製品が970百万円、原材料及び貯蔵品が1,279百万円それぞれ減少いたしました。また、固定資産においては繰延税金資産が699百万円増加したものの、有形固定資産が824百万円減少しました。

・現金及び預金の増加は、大型設備投資の支払いに備えるため、長期借入による資金調達によるものです。

・たな卸資産の減少は、前連結会計年度に新型コロナの拡大を見据えた在庫調整を行ってまいりましたが、現在の社会情勢を見ながら適正な在庫水準に調整していることによります。

・有形固定資産の減少は、減損損失を計上したことによるものです。

・繰延税金資産の増加は、当連結会計年度に償却資産の減損損失を計上したことにより、将来減算一時差異が増加したことによるものです。

 

(負債)

当連結会計年度末における負債合計は43,742百万円となり、前連結会計年度末に比べ3,585百万円増加いたしました。

主な増減項目は長期及び短期借入金の純増額2,282百万円となっております。

・純増額の主要因としては、長期借入金の新規借入4,900百万円及び約定弁済を含む返済2,605百万円の差額2,295百万円です。

 

(純資産)

当連結会計年度末における純資産合計は79,264百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,227百万円減少いたしました。この結果、自己資本比率は61.6%(前連結会計年度末は64.4%)となりました。

主な増減項目として、利益剰余金が3,392百万円減少し、その他有価証券評価差額金が870百万円増加いたしました。

・利益剰余金の減少の要因は、親会社株主に帰属する当期純損失2,803百万円及び剰余金の配当588百万円です。

・その他投資有価証券評価差額金の増加の主要因は、保有している投資有価証券の期末時価が上昇したことによるものであります。

 

 

③ キャッシュ・フロー

当連結会計年度における当社グループのキャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。

 

2021年3月期

前期増減

営業活動によるキャッシュ・フロー(百万円)

7,826

1,372

投資活動によるキャッシュ・フロー(百万円)

△7,422

1,002

財務活動によるキャッシュ・フロー(百万円)

1,667

1,735

現金及び現金同等物の増減額(百万円)

2,004

4,031

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において、営業活動によるキャッシュ・フローの収入は7,826百万円となり、前連結会計年度に比べ1,372百万円増加いたしました。これは、主に税金等調整前当期純利益が6,037百万円減少したことのほか、売上債権の増減額が3,958百万円減少したものの、減損損失が7,023百万円増加したこと、たな卸資産の増減額が4,592百万円増加したことによるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において、投資活動によるキャッシュ・フローの支出は7,422百万円となり、前連結会計年度に比べ1,002百万円減少いたしました。これは、主に有形固定資産取得による支出が1,164百万円増加したものの、投資有価証券の売却による収入が2,000百万円増加したことのほか、投資有価証券の取得による支出が100百万円減少したことによるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において、財務活動によるキャッシュ・フローの収入は1,667百万円(前連結会計年度は68百万円の支出)となりました。これは、主に長期借入金の新規借入れによる収入が3,400百万円増加したものの、長期借入金の返済による支出が1,630百万円増加したことのほか、短期借入金の純増減額が116百万円減少したことによるものです。

 

以上の結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は11,153百万円となりました。

 

 

④ 生産、受注及び販売の実績

(生産実績)

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前連結会計年度比(%)

化学

51,129

0.8

医療

4,813

33.3

合計

55,942

2.9

(注)1 金額は、販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。

2 セグメント別の生産高を正確に把握することは困難なため、概算値で表示しております。

3 上記金額には、消費税等は含まれておりません。

(受注実績)

 当社グループの主要製品については主に見込み生産を行っております。

(販売実績)

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前連結会計年度比(%)

化学

76,821

△2.2

医療

8,096

△6.1

合計

84,918

△2.6

(注)1 セグメント間の取引については相殺消去しております。

2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、いずれの相手先についても当該割合が100分の10未満のため記載を省略しております。

3 上記金額には、消費税等は含まれておりません。

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 経営成績の分析

経営成績の分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績」に記載しています。

 

② 財政状態の分析

財政状態の分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ②財政状態」に記載しています。

 

③ キャッシュ・フローの状況分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

キャッシュ・フローの状況については、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フロー」に記載しています。

グループの資金調達については堺商事及び一部の借り入れを除き、当社にて一括調達し、グループファイナンスにて関係会社へ必要な資金を供与しています。

調達方法は取引金融機関が組成するシンジケート団によるコミットメントラインからの短期運転資金と個別取引金融機関からの長期設備資金融資の2種類であります。近時は旺盛な設備投資によるキャッシュ・フロー不足分を補うための長期借り入れを増やしており、当面この傾向は続くものと考えます。現時点では、安定的な財務基盤を背景に取引金融機関の当社に対する融資姿勢に変化なく、スムーズな資金調達を実施しております。

一方、堺商事及び海外子会社を除く国内関係会社を結んだキャッシュ・マネジメント・システムを導入し、グループ各社の流動預金を当社に集中、グループとしての資金効率アップに取り組んでおります。

また、当連結会計年度末における短期借入金の残高は8,651百万円、長期借入金の残高は11,787百万円、現金及び現金同等物の残高は11,153百万円となっております。

 

④ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。

 

1.たな卸資産の評価

当社グループでは棚卸資産の評価に関して、取得原価を基礎としながら、期末における正味売却価額が取得原価よりも下落している場合には、正味売却価額をもって貸借対照表価額としております。正味売却価額は、直近の販売実績による単価が当面継続すると仮定し、販売単価から販売に要する経費を控除した金額として見積もっております。

また、営業循環過程から外れた滞留たな卸資産については、滞留品の処分・販売状況がこれまでと大きく変わらないと仮定し、過去の処分・販売実績をもとに見込まれる損失額を見積もっております。

新型コロナの影響が想定よりも深刻であった場合でも、随時販売状況を見ながら生産調整を行っておりますので、滞留棚卸資産が急激に増加することはないと考えております。販売単価の下落に関しても、当社グループは多岐にわたる製品を製造販売しており、影響は限定的であると考えております。

2.退職給付引当金

当社では退職給付引当金は、退職金制度ごとに退職給付債務の期末残高から年金資産の期末残高を控除して計算しております。退職給付債務及び費用は、割引率、退職率、予想昇給率などの計算基礎を見積り、年金数理計算により計算しております。割引率は、期末における優良社債の利回りに基づき決定しております。割引率が低下した場合、退職給付債務が増加しますが、数理計算上の差異として発生の翌連結会計年度から一定の年数(5年)による定額法で費用処理されます。また、退職率、予想昇給率は当社の過去の実績をもとに、今後も同様の推移が継続すると仮定して決定しております。

年金資産は期待運用収益率を見積り、退職給付費用の計算に反映させております。期待運用収益率は、金融市場が比較的安定しており、過去の運用実績が今後も継続すると仮定して決定しております。実際の運用実績が期待運用収益率を下回った場合、割引率の低下と同様、数理計算上の差異が発生しますが、発生の翌連結会計年度から一定の年数(5年)による定額法で費用処理されます。

 

(3)経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当連結会計年度における中期経営計画『SAKAINNOVATION 2023』の達成状況は次のとおりであります。

 

2017年3月期

2018年3月期

2019年3月期

2020年3月期

2021年3月期

営業利益(百万円)

4,551

4,690

4,404

4,015

4,304

ROE(%)

2.6

3.0

4.6

3.3

△3.6

 

 

4【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

5【研究開発活動】

当社グループの研究開発活動については、研究開発本部、堺開発部、小名浜開発部、経営企画部が連携してグループ会社との協力体制を深めながら、有望開発品の上市に向けてスピードアップを図っております。また、研究開発本部内の中央研究所は中長期的なテーマを、堺、小名浜開発部は早期上市が見込めるテーマを、グループ会社の各々の開発部門は取り扱う各製品の品質向上あるいは新製品上市やプロセス改善のための研究開発を行っております。

中央研究所では、当社グループが得意とする粉体プロセシング技術を核として、また、大学や公的研究機関との産学連携も視野に入れて、機能性材料の開発を進めております。主には、各種発光材料、燃料電池用電極触媒、二次電池用電極材料等の開発に取り組んでおります。

当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費用は、2,487百万円であります。

セグメントごとの研究開発活動を示すと、次のとおりであります。

(化学)

(1) 電子材料

電子材料事業においては、電子材料用途向けにチタン酸バリウムの開発を行っております。チタン酸バリウムに関しては、電子部品の積層セラミックコンデンサの小型化・高容量化、自動車部品の高信頼性の要求があり、水熱合成法の特長を活かした微粒子・高結晶・粒度均一な材料開発を進めております。

(2) 酸化チタン・亜鉛製品

化粧品材料事業においては、従来の日焼け止め分野に加え、用途拡充としてメイクアップ化粧品向けに、肌触りの良化を目指して開発した「六角板状酸化亜鉛XZシリーズ」や「板状集積型球状酸化亜鉛CANDY ZINC」を上市、拡販に鋭意注力しております。また、高隠蔽力を付与できる「顔料級酸化チタンMKRシリーズ」もラインナップに加え、その顔料級酸化チタンを用いた「顔料分散体DIPシリーズ(酸化鉄顔料含む4色)」も開発し、多種多様な化粧品商材に対応すべく積極的に提案しております。

あわせて、インキやフィルム、電子材料分野へのUV遮蔽、電気特性等機能性を付与するフィラーとしての用途展開にも注力しております。

(3) 樹脂添加剤

樹脂添加剤事業においては、2018年8月にタイ王国で塩ビ樹脂安定剤の製造・販売を行うSIAM STABILIZERS AND CHEMICALS CO., LTD.の株式の90.0%を取得し、Sakai Chemical(Vietnam) Co., Ltd.とのグループシナジーを最大限に発揮すべく、長年培った塩化ビニル安定剤の技術に基づいて、堅調に成長している海外市場をターゲットとした開発に取り組んでおります。また、当社が得意とする表面処理技術・粒子制御技術をハイドロタルサイトや塩化ビニル安定剤原料に応用し、特殊ハイドロタルサイト、独自性の高い塩化ビニル安定剤を展開し、性能の差別化に注力しております。同時にハイドロタルサイトを含め、各種配合剤の自社生産化や高効率化により、コストパフォーマンスに優れる製品の開発を進めております。

(4) 有機化学品

SC有機化学㈱では、イオウ、リンを含むヘテロ有機化合物合成技術をベースとして、中央研究所とも協力し、光学材料、電子材料、自動車向け材料等の有機化成品材料の開発に取り組んでおり、耐水性に優れた新規グレードMulthiolR(マルチオール)シリーズの上市、拡販に注力しております。

 

 

(5) 触媒

中央研究所では、カーボンに替わる無機系の導電性材料としてサブミクロンの低次酸化チタンENETIA(エネティア)の開発を進めています。固体高分子形燃料電池の電極材料や触媒担体向けにサンプルワークを進めています。また、産学連携による人工光合成に用いる光触媒の研究開発も進めております。環境・エネルギー・化学プロセスは当社の重要な研究開発分野であり、これからの水素エネルギー社会が求める技術開発に貢献していくよう取り組んでまいります。

堺開発部では、環境負荷の低減に特化した触媒の開発に取り組んでおります。化学プロセス分野では、脱水素反応、水素添加反応用触媒として有害成分であるクロムを含有しない銅系触媒の開発に注力しており、ポリエステル重合用触媒としてはアンチモンのような重金属を含有しないチタン系触媒の開発に取り組んでおります。

(6) 受託加工

レジノカラー工業㈱では、長年の着色剤ビジネスで培った分散技術や原料選択などの技術力と、ユーザーとの綿密な調色作業で養われたサービス力に基づいて、シングルウォールカーボンナノチューブに加え抗ウイルス剤などの機能性フィラーの分散に取り組んでおります。近年、多様化する顧客ニーズへの対応分野が広がっており、従来の電子機器向け導電インキや自動車向け機能性インキに加え、赤外線遮蔽インキ・マスターバッチなどの環境対応型製品の開発にも取り組んでおります。また、クリーン環境を実現した新工場での入浴剤・化粧品向け製品及び機能性インキ・マスターバッチの開発に一層注力しております。

大崎工業㈱では、顧客との深い信頼関係と長年にわたって培われた製造技術と評価技術を駆使して顧客ニーズに応える品質の最適化に取り組みながら、主にIT関連分野向け、触媒向け素材として供給し、新たな化成品受託製造も堅調に伸ばしています。

(7) その他

中央研究所では、今後の市場拡大が期待される次世代二次電池用電極材料についても、産官学連携を強化しながら開発を進めています。

小名浜開発部では、酸化チタン・酸化亜鉛・亜鉛末およびバリウム化合物を中心素材として、触媒用途、電子材料用途などの高機能性材料の開発や、粉体表面処理技術を活かした2次電池向け材料の開発に取り組んでおります。

堺開発部では高屈折率材料の酸化ジルコニウム、電子材料や歯科材料用途向けなどの球状シリカの開発に注力しております。

大崎工業㈱では、収益源である視覚障がい者誘導用標示(点字ブロック)の販売・改良に注力しております。「凸凹した舗道にも貼り易い」という特長を活かし舗道用に販売してきましたが、拡販のため鉄道用や室内用に進出すべく、仕上がりの綺麗さの改善を進めています。また、景観との調和を大切にしながら、交通安全の向上に貢献するため、スクールゾーンや自転車レーン用のカラー路面標示用溶着塗料の拡販・改良にも取り組んでおります。

以上のほかに無機・有機化成品の新製品の開発に取り組んでおります。なお、化学事業に係る研究開発費用は2,355百万円であります。

(医療)

カイゲンファーマ㈱では、2019年6月に、内視鏡治療用の医療機器2製品(リフタル®K、リフテイン®ニードル)を上市し、拡販に鋭意注力しております。さらに健診領域において、血液ならびに唾液による各種がんリスクスクリーニングのリキッドバイオプシー検査、胸部X線等の医用画像の診断支援AI等、スタートアップ企業との協業により、さらなるラインナップの拡充を進めております。

また、産学連携の枠組みを活用した複数の共同開発を行い、新規事業拡大に積極的に取り組んでおります。

なお、医療事業に係る研究開発費用は131百万円であります。