文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは『グループの総合力を最大限に高め、社会のニーズにタイムリーに応える事業活動を展開する。以て盤石な経営基盤を構築し社会的貢献を希求する』ことを経営理念としております。
当社の創業は、鉛含有の白粉(おしろい)による健康被害が問題視されていた中、無鉛白粉の原料である酸化亜鉛の製造法の開発に成功したことから始まります。以来、思いやりの心と技術革新で社会の快適と安心を支える素材(マテリアル)づくりにこだわってきました。
培った化学技術により生まれる素材(マテリアル)をベースとし、各ステークホルダーとともに持続可能なやさしい未来社会を実現する、この目的に向かって創造を続ける会社であることが私たちのミッションです。
このミッションを実現するために、社員が日々ワクワクして働いてこそ、価値ある創造が継続できるとの考えより、働く社員が能動的で躍動感に溢れる「わくわくカンパニー」を目指しています。
(2)経営環境
当社グループは、国内連結子会社8社、国内非連結子会社1社、海外連結子会社8社、海外非連結子会社1社からなります。うち医療セグメントに分類される子会社は1社、その他は全て化学セグメントに属します。また、堺商事および堺商事傘下の海外子会社6社以外は製造子会社です。堺化学および各製造子会社は、特徴のある製品・技術ノウハウを保有し、そのビジネスモデル・ビジネス領域も多種多様です。各社の特徴を伸ばしていくとともにグループガバナンスの強化を行い、グループ間シナジーの発現、業務の効率化など最大のパフォーマンスが発揮できるよう努めています。
化学セグメントは、昨年度下期からの景気回復により、自動車関連やIT関連向け製品を中心に出荷が堅調に推移し、また回復が遅れていた化粧品材料も今年度下期から顕著に出荷が回復しました。一部製品では調達不安による実需以上の在庫確保の動きも加わり、全業種で販売は好調に推移しました。ウイズコロナのニューノーマルの中、急激な経済活動回復、カーボンニュートラルに向けた化石燃料の制限、期末にはロシアのウクライナ侵攻など、原燃料高騰に拍車がかかり、製造コストを押し上げる厳しい状況でありますが、適正販売価格への是正や経費節減など固定費削減に鋭意取り組んだ結果、今年度においては一定の業績を確保することができました。
また、成長分野と見込んで積極的に設備投資した電子材料については誘電体材料、誘電体ともに顧客への出荷が始まりました。さらに承認製品数を増やすべく進め、また今年度下期から需要が回復してきた化粧品材料についても新プラント製品の顧客承認を速やかに取得し、安定操業開始できるよう取り組みを進めています。
医薬中間体・原薬、プラスチックレンズ向け製品などの有機化学品は引き続き堅調に推移し、特に顧客製品の販売が好調であったプラスチックレンズ向け製品は例年より大きく伸長しました。
医療事業については、昨年度に続き、新型コロナ感染拡大による行動制限の影響に加え薬価改定の影響も受け、昨年同様の厳しい業績となりました。
当社グループ全体では景気の回復が追い風となり、昨年度の低迷からV字回復の一年となりました。
尚、新型コロナ対策については、 全グループ会社で予防対策に取り組み、従業員・家族への感染を最小限に抑えることができ、事業活動への影響はございませんでした。今後も状況判断を適切に行い、感染症予防対策に努めてまいります。
ウイズコロナによる景気回復に加えウクライナ問題により購入資材の調達不安や調達価格高騰を招き、さらに円安により事業環境は一層厳しくなりましたが、諸課題に対して適切に取組み引き続き円滑な事業活動推進に努めてまいります。
(3)中期的な経営戦略と目標とする経営指標
当社グループは上記経営環境を認識し、2019年4月にスタートさせたグループ中期経営計画『SAKAINNOVATION 2023』の数値目標達成と持続的成長を目指して取り組んでおります。中期経営計画3年目に当たる2022年3月期は引続きコロナ下にありましたが、電子材料業界の好況というフォローの風もあり、業績は大きく好転しました。中期経営計画につきましては、注力分野等大きな変更なく当初目標を達成すべく努力を続けます。
堺化学グループ中期経営計画
① 稼ぐ力へ再挑戦し確実な増益体質を実現
中期経営計画最終年度の数値目標達成に向けた既存事業を中心とした取組みとして、6つの事業領域を中心に収益向上を図ります。
1.電子材料事業
MLCC用材料(チタン酸バリウム、高純度炭酸バリウム等)を中心に開発および拡販に注力します。MLCC用関連へは33億円(当初計画57億円)の投資を実施しました。前年度後半からの市況回復が今年度も継続し、V字回復を果たしました。
2.酸化チタン・亜鉛製品事業(化粧品材料)
化粧品材料(微粒子酸化チタン、微粒子酸化亜鉛等)を中心に業容拡大を計画します。化粧品関連へは40億円(当初計画55億円)の投資を実施しました。ただし、この分野は新型コロナの影響を最も強く受けている分野ですが、年度後半には海外市場を中心に回復の兆しが見えました。来期以降の本格回復を見据えます。
3.樹脂添加剤事業
国内の事業基盤を強化しつつ、海外子会社と連携をとりながら、東南アジアを中心に塩ビ樹脂安定剤およびハイドロタルサイトの海外展開を図り、海外売上高比率50%以上を目指します。
4.触媒事業
環境配慮型触媒であるクロムフリーの銅触媒、アンチモンフリーのPET重合触媒への注力と、ニッケル触媒の収益化を目指します。
5.有機化学品
プラスチック眼鏡レンズの高屈折材料として需要が高まっているチオ製品は安定生産を維持するとともに、将来の増産に向けた検討を開始。医薬品原薬・中間体の製造受託も品質管理強化と原薬製造体制強化に向けた取組を加速するとともに、CMO(医薬品製造:Contract Manufacturing Organization)から、開発面へのサービスも提供できるCDMO(Contract Development and Manufacturing Organization)への進化を模索します。
6.医療事業
期を通じコロナ禍でX線造影剤事業を中心に苦戦を強いられましたが、医療機器事業(粘膜下注入材、内
視鏡洗浄消毒装置、骨充填材)、美容医療機関向け製品、がんスクリーニング検査事業を中心とした新規事
業で業容拡大を目指します。
② 再構築投資による環境と人にやさしい工場・オフィスの実現
働く人や環境にやさしい、災害に強い工場、本社、技術棟の整備と、将来の工場建設スペースを確保します。
③ 10年先の社会を見据えた新事業へ取り組む
1.既存事業を通して、人と環境にやさしい製品づくりで社会的貢献を希求します。
2.研究開発の方向性
持続可能な開発目標(SDGs)における、7「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」9「産業と技術
革新の基盤をつくろう」を重視し、それに沿った研究テーマを継続して取り組んでいきます。
3.化学の力で新しい事業創造の可能性を追求
持続可能な開発目標(SDGs)における、2「飢餓をゼロに」6「安全な水とトイレを世界中に」7「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」9「産業と技術革新の基盤をつくろう」13「気候変動に具体的な対策を」14「海の豊かさを守ろう」15「陸の豊かさも守ろう」を重視し、将来に向けた新しいビジネスモデルの可能性を追求します。
④ 総還元性向30%以上を目標とした安定的・継続的な株主還元を実施
事業活動で得たキャッシュを主に将来の成長に向けた投資に充てるとともに、安定的・継続的な配当を基本とする株主還元を実施し、持続的な成長と企業価値の向上に努めます。
目標とする経営指標
|
|
2024年3月期目標 |
|
営業利益 |
80億円以上 |
|
ROE |
6%以上 |
2022年3月期は新型コロナの影響が色濃く残りましたが、業績は電子材料を中心に大きく回復し、利益目標は中期経営計画最終年度目標にあと一歩のところまで伸長しました。また、大半のグループ会社においても前年度比で大きく業績を回復させております。「稼ぐ力の向上」を引続きグループ全体の最重要課題とし、堺化学ならびにグループ各社において積極的な施策を展開していきます。稼ぐ力は営業利益金額で評価し、株主資本に対するリターンを測る指標としてROEを選択しました。ただし、当初掲げておりました営業利益率7%以上という目標は、2022年3月期から適用される新収益基準により売上高の定義が変わるため、目標から削除しました。
営業利益は為替差損益、利息・配当等の影響を含まず、製造業を主体とする当社グループの業績、努力の結果を的確に反映する指標と判断しております。また、ROEは株主資本に対してのリターンを反映する指標として、資本市場にて広く認識されている指標です。当社におきましても、ROEが株主資本に対するリターン目標として的確なものと判断しました。ROEの数値目標につきましては、営業利益目標に株主還元目標を加味し設定しました。2022年3月期はROE目標値をクリアしましたが、一過性である有価証券売却益等の多額の特別利益が計上されているため、今後については、安定的に6%以上の目標値を達成すべく、努力を続けて参ります。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
2021年5月11日に発生した湯本工場亜鉛末工場における爆発・火災事故におきまして、負傷された方をはじめ、近隣住民および企業、関係当局、株主、お客様など数多くの方々に多大なるご迷惑、ご心配をお掛けしましたことを衷心よりお詫び申しあげます。
このたびの事故を受け、社外の学識経験者および専門家を招聘し、事故調査委員会を立ち上げました。同委員会においては現場検証や再現実験を行い、事故原因および再発防止策について議論が重ねられ、2021年12月に事故調査報告書が取りまとめられました。
当社は同委員会による提言を重く受け止め、再発防止策の徹底と安全文化の醸成に取り組んでおります。
また、当該事故を風化させぬよう、毎年5月11日を「安全を誓う日」と定めてトップメッセージを全社員に伝えるとともに、多方面の外部専門家に工場視察や安全講習をしていただくなど、安全な事業場の構築に努めてまいります。
2024年3月期までの5ヵ年においては、設備投資総額400億円、そのうち収益向上を目的とした戦略投資として190億円を計画しておりました。コロナ禍の影響により、戦略投資以外の設備投資案件を延期するなど計画の見直しを行いましたが、2021年3月期までの2年間で総額189億円(うち戦略投資98億円)の設備投資を前倒しで実行し、足元の需要に対して十分な生産体制を構築しました。一部の設備はまだ稼働しておりませんが、業況の回復に伴い、新規設備も順次稼働を開始しております。
2021年3月期末には新型コロナウイルスの影響による市況の一時的な悪化や拡販活動の遅れにより、設備の減損処理を実施しました。化学事業においては、化粧品材料は海外を中心とした市況の回復は見られるものの、本格回復までは時間がかかると見ております。他方、電子材料は期を通じ活況を呈しており、EV化や自動運転化が進行中の車載用途、5Gが普及しつつある通信用途ではハイエンド製品を中心に拡販が実り始めております。来期に向けては原燃料の高騰による製造コストアップに対処しつつ、増強した生産能力に見合った販売数量を達成することが喫緊の課題です。医療事業においては、薬価改定に影響されない医療機器関連や有望な新規ビジネスの開拓・育成に注力し、稼ぐ力(営業利益率)の向上に引き続き取り組んでまいります。
なお、2021年3月期末の多額の減損処理、純損失計上後も十分な自己資本を維持しております。加えて、長期借入やコミットメントライン等、金融機関から十分な支援を受けられていることから、当事業年度以降の営業キャッシュ・フローを含め、当面の資金繰りについても盤石な体制を維持できると考えております。これからも続くであろう新型コロナウイルスに起因する非常事態に備えて、全社的なコスト削減、棚卸資産の圧縮、キャッシュ・マネジメント・システムによるグループ資金の運用効率化等の対策を打ち、財務の健全性確保に努めると同時に、今後のビジネス環境の変化を注意深く見極め、適切に対応してまいります。
また、戦略投資に要する資金確保と資本効率向上のため、現在保有している政策保有株式を2024年3月末までに株主資本の5%以下に縮減することを目標に掲げ、持合株式の解合いを中心に縮減に努めております。この動きは当事業年度の35億円をピークに以降も株式市場の動向を注視しつつ、精力的に推進してまいります。
新型コロナウイルスの収束がまだ見えない状況ですが、現時点ではグループ会社を含め、操業に影響を与えるような事案は発生しておりません。有機化学品や衛生材料は堅調を維持するものと見ておりますが、中国における大規模なロックダウンによるサプライチェーンの混乱と、それに伴う景気の停滞が懸念されます。景気停滞が到来した場合は、2021年3月期の上期同様、幅広い用途に使用されている酸化チタンやバリウム製品等がマイナスの影響を受ける恐れがあります。加えて、ウクライナ問題を機に急激に進行している原燃料価格高騰と円安がもたらす製造コストの上昇は、主要な原料鉱石を輸入している当社にとって免れ得ないものと認識しており、適正な販売価格の設定、収率の改善、製造設備の集約等の更なる製造コスト削減により業績の維持向上に努めてまいります。
同時に、サステナビリティへの取り組みも喫緊の課題であり、当社は「人々を幸せにする」「地球環境を守る」「ものづくりで社会の課題を解決する」「透明で強固な経営体制を築く」をテーマに11項目のマテリアリティを定めております。2021年9月にはサステナビリティ委員会を設置し、項目別の目標とKPIを設定したほか、TCFDに沿ったシナリオを策定しました。今後は目標達成に向けて取り組んでまいります。
(化学事業)
電子材料
誘電体材料(高純度炭酸バリウム)および誘電体(チタン酸バリウム)に関する設備投資はほぼ計画どおり実施してまいりました。販売については5Gなど通信基地局向けや自動車向けが回復してきました。一部のグレードでは今後大幅に成長するとの予測も顧客から出ており、この予測に対応できるよう盤石な供給体制の構築を図ってまいります。
また、誘電体については、当社の製品特性を活かしたハイエンド分野向け製品の開発と販売に一層注力し、差別化を図ってまいります。
酸化チタン・亜鉛製品
酸化チタンは、世界的に需要が回復してきましたが、前期から上昇基調にあった原料鉱石価格だけでなく燃料価格も異常な高騰が続いています。複数の鉱石を最適なバランスで使用し、製品の安定供給に努めてまいります。採算性が厳しくなっておりますが、事業所の操業バランスや他の自社製品の中間体供給等において重要な役割を担っているため、生産体制の更なる効率化・最適化を進めてまいります。
UVケア化粧品材料として使用される超微粒子酸化チタン・酸化亜鉛は、海外向けの復調が先行し、年明けからは国内出荷も回復し始めました。UVケア化粧品のみならず、メイクアップ、スキンケア化粧品全般に、機能性、意匠性等に優れた無機材料を提供すべく、引き続き材料開発、処方開発に取り組んでまいります。
樹脂添加剤
塩ビ安定剤は、環境に優しい非鉛系安定剤の積極的な展開を図り、売上・利益を維持していきます。また、世界的な原材料供給のタイト化に対応して、より安定した原材料の調達を進め、競合他社との差別化を図ります。
塩ビ需要の拡大が期待できる海外(特に東南アジア地域)へは、当社の非鉛系安定剤の配合技術を駆使し、ベトナム、タイの現地法人と協力して現地メーカーへの新規採用、シェア拡大に努めてまいります。
その他、金属石鹸やハイドロタルサイト等の機能性添加剤については、それらの特徴・機能をより高め、高付加価値分野への用途展開を図り、利益の確保に努めます。
衛生材料
衛生材料製品に使用される通気性フィルムの生産拠点であるPT.S&S HYGIENE SOLUTION(インドネシア)において、品質の安定とコスト競争力向上に取り組み、事業の安定的拡大を目指します。また、紙おむつ、生理用ナプキン、ペットシート等の原材料について信頼できる供給元との関係を一層強化し、グローバルに販売活動を展開します。さらには、今後需要が見込まれる生分解性プラスチック素材もメーカーと協力しユーザーへの提案を進めます。
有機化学品
有機イオウ製品およびリン製品は、高品質と安定供給に努めるとともに、伸長が予想される用途への積極的な展開、新たなニーズで付加価値を生み出す開発技術力の強化により次の収益の柱になる製品育成に取り組みます。
医薬品原薬・中間体の生産受託は、受託品目、受託数量増加を視野に入れ、生産要員確保、品質管理等の体制整備を進めるとともに、将来の新規案件獲得に向け原薬製造ラインの増強を計画中です。
触 媒
衛生材料向け部材等の分野で水添石油樹脂の需要拡大が期待されています。ニッケル触媒はその製造工程で使用されており、顧客の品質要求に応えるべく、性能の改良や生産効率の向上により、他社との差別化を図ってまいります。
脱硝触媒は、環境対策としてごみ焼却炉施設の普及が進む東南アジア地域や中国等への積極的な営業活動を推進し、それに対応すべく生産・供給体制の強化を進めてまいります。
その他、低炭素化社会実現のためのカーボンニュートラルに関連した企業との協業で新規触媒の開発と拡販にも注力してまいります。
受託加工
受託加工事業に対する顧客からのニーズは、近年多種多様でより高度なものになり、それらニーズに対して迅速かつ確実に対応できるよう、保有設備の拡充、生産管理の高度化、人材育成等を図り、より信頼される受託体制を構築して発展に努めてまいります。
(医療事業)
医療用医薬品、医療機器、一般用医薬品、機能性食品ならびに美容医療向け製品等、これまで培った販路・商流を活用できる商品ラインアップの拡充に注力します。また、産学連携の枠組みを活用した大学との共同研究を積極的に推進するほか、新素材、新技術、新プラットフォームを有するスタートアップ企業を探索し、業務・資本提携を含めたビジネス協業関係の構築を図ります。
医療用医薬品
バリウム造影剤は、需要が漸減する国内においては顧客ニーズへの対応力を強化する一方、輸出については韓国、台湾等への拡販に努め、国内・輸出の販売合計で事業規模維持を図っております。新型コロナウイルスの影響を受け集団検診の延期または受診控えにより販売量が一時減少しましたが、検診自体は早期発見の観点からも必要性が指摘されており、今後検診需要は回復すると見込んでおります。
医療機器
内視鏡洗浄消毒器は、新型コロナウイルスの影響を受け購入需要が一時的に減少しましたが、各種キャンペーンを打つなど営業活動を進めた結果、需要は徐々に回復しております。
2019年6月に上市した内視鏡手術用の粘膜下注入材「リフタルK」および注入材用穿刺針「リフテインニードル」は、大学病院、官公立病院からクリニックまで営業強化を図った結果、目標とした30%のシェアに近づいてきており、更に拡販に注力してまいります。
また、スタートアップ企業が開発した医療機器プログラムである胸部X線診断支援AIシステムの販売にも注力し、当社の顧客である健診施設での新規需要の開拓に努めてまいります。
一般用医薬品・その他
一般医薬品の収益力強化と事業改革のため、販売ルートおよび商品ラインアップの整理、新商品と新商流の開拓などの活動を積極的に展開します。
新事業領域として取り組んできた美容医療向け事業は、新型コロナウイルスの影響下にあっても紫外線対策サプリ「ソルプロ」シリーズを中心に順調に売上を伸ばしており、今後も新製品を投入し拡大を図ります。
(サステナビリティへの取り組み)
社会課題解決と企業価値向上の両立に向けてミッション、組織ビジョン、社会課題に基づいて特定したマテリアリティについて、KPI指標と目標を設定することでPDCAサイクルを回し目標達成に努めます。
|
|
|
|
|
|
|
テーマ |
マテリアリティ(重要課題) |
堺化学の主な取組み |
KPI |
|
|
指標 |
目標 |
|||
|
人々を幸せにする |
人材を育成し、成長を実感できる風土を醸成する |
挑戦する仕組み・能動的に行動する仕組みを整備する ダイバーシティの推進 |
ストレスチェック指標 キャリアへの配慮項目の偏差値 |
ストレスチェック実施会社の集計による化学工業の偏差値を上回り、上位を目指す 化学工業偏差値 2021年度 49(当社実績2021年度 46.9)
|
|
働きやすい環境をつくる |
新人事制度の導入 働く環境(場所、時間)を整備する 活力のある職場環境づくり |
度数率(100万延実労働時間当たりの労働災害による死傷者数) 強度率(1,000延べ実労働時間当たりの延べ労働損失日数) DX推進 |
安全を第一に働く職場環境を整備 化学工業度数率 2020年度 0.93 (当社実績2020年度 0.70) 化学工業強度率 2020年度 0.03 (当社実績2020年度 0.00) 働き方を楽にするDX推進
|
|
|
地域社会に貢献する |
レスポンシブルケアへの取り組み 地域団体への協賛加盟 |
レスポンシブルケアでの地域対話 協賛加盟団体での社会貢献活動への参画 |
年間1件以上 年間1件以上
|
|
|
地球環境を守る |
化学物質を適切に管理し、環境負荷の低減と製品安全性の向上を実現する |
燃料転換(重油→LNG) 高効率モーター、LED照明への更新 太陽光発電パネルの設置 NH3、CO2、H2回収への取組み 公害防止と化学物質管理レベル向上 |
CO2排出量削減率(2013年比) 重大な環境事故発生件数 |
2030年度30%削減 0件/年 |
|
|
産業廃棄物の排出量を削減する |
3R(Reduce、Reuse、Recycle)推進 原燃料・生産プロセスの見直し 産業廃棄物の再資源化 |
産業廃棄物削減率(2021年比) |
2025年度25%削減 |
|
|
生物多様性に配慮する |
処分場周辺におけるモニタリング活動の継続 CNLのボランタリークレジットにより生物多様性に貢献する |
環境影響評価の事後評価として、動物、植物、生態系調査を実施 CNL導入 |
調査の実施 CNL導入の継続 |
|
モノづくりで社会の課題を解決する |
環境や社会の課題解決につながる製品やサービスを創造する |
燃料電池材料、全固体電池材料、アンモニア合成触媒 マイクロプラスチックビーズ代替製品 5G関連(低膨張、放熱、低誘電損失、難燃)材料 カーボンリサイクル触媒、抗菌抗ウイルス材料 |
「Smart Material®認定製品」開発件数 |
2030年度までに5件上市 |
|
責任ある調達を推進する |
資材部:調達方針の策定と調達先への周知・協力依頼、取引先への監査など |
取引先への顧客満足度調査の依頼率 |
100% |
|
|
透明で強固な経営体制を築く |
取締役会の実効性を高める |
取締役実効性評価アンケートの実施(毎年1回) アンケート結果の報告アンケートに基づく改善の実践 経営人材育成プランを作成 指名報酬委員会の運営 |
取締役会実効性評価アンケート結果を踏まえ ①抽出した課題の数 ②各課題について議論した回数および延べ時間数 ③導き出した対策数 ④対策の実行数 |
実効性アンケート結果からの課題抽出と改善の実施 |
|
リスクを把握し対策を講じる |
コンプライアンス教育、周知等の活動、独立したCR部の設置と委員会・部会の立上げと運営、各種リスクコンプラ研修 |
重大なコンプライアンス違反件数 全社的リスク管理体制を維持できている |
0件/年 有効な状態を維持 |
|
|
適時・適切に情報を開示する |
IR・広報活動の活性化、危機管理広報の充実 |
統合報告書またはそれに準じた内容の情報作成と提供 |
2022年度分より、統合報告書またはそれに準じた内容の提供 |
気候変動への対応(TCFD提言に基づく開示)
気候変動への対応は、持続可能な社会の実現のために、地球規模で取り組みが求められる大きな課題です。
堺化学はESG経営への取組みにおいて、①「化学物質を適切に管理し、環境負荷の低減と製品安全性の向上を実現する」、②「産業廃棄物の排出量を削減する」、③「生物多様性に配慮する」、④「環境や社会の課題解決につながる製品やサービスを創造する」を環境項目のマテリアリティ(重要課題)とし、気候変動問題の解決に取り組んで参ります。
具体的には省エネ、3Rの推進やエネルギーの有効利用、再生可能エネルギーの導入、CO2排出削減目標の達成に向けた施策の推進、カーボンリサイクルや脱炭素製品の開発による当社製品の提供を通じた社会でのCO2排出削減への貢献など、気候変動の緩和と気候変動への適応の両面から課題解決に取り組むとともに、情報開示を充実し企業価値の向上に努めていきます。
製品・事業を通じた気候変動問題への取り組み(年表)
|
年代 |
取り組み事項 |
内容 |
|
1970s |
脱硝触媒工場稼働 |
光化学スモッグや酸性雨の原因となる窒素酸化物の無害化に貢献 |
|
1990s |
電子材料工場稼働 |
電子部品の高効率化により省エネルギーに貢献 |
|
化粧品材料工場稼働 |
増加する紫外線から皮膚の保護に貢献 |
|
|
2000s |
レスポンシブルケア協議会加盟 |
|
|
環境基本方針を制定 |
大剣工場にてISO14001を認証取得 |
|
|
重油からLNGへ転換 |
堺事業所・泉北工場にて実施 |
|
|
2010s |
重油からLNGへ転換 |
小名浜事業所にて実施 |
|
マイクロプラスチックビーズ(MPB)代替製品開発 |
球状シリカ Sciqasシリーズ、球状大粒子酸化亜鉛「LPZINC-S」、 球状炭酸カルシウム「かるまる」、球状硫酸バリウム「ばりまる」 |
|
|
2020s |
調達基本方針を制定 カーボンニュートラルLNGバイヤーズアライアンス設立 |
|
1.ガバナンス
気候変動関連のガバナンス体制
気候変動など経営上のリスクとなりうる外部環境問題に関しては、取締役会による監視体制の下、リスクと機会の大きさを認識し適切な対応を検討し、実行する意思決定を行っています。
気候変動など外部環境課題に与える影響や社会的責任などに関しては、影響を緩和し課題解決への寄与を拡大するため、代表取締役が委員長となりサステナビリティ委員会(年2回以上開催)において事業戦略を鑑みた上で気候変動に係る目標や戦略について議論し、進捗管理を実施しています。
取締役会 :気候変動対応の基本方針の決定、監督
サステナビリティ委員会:気候変動が事業に与えるリスクと機会の把握、シミュレーションと対応策の審議
2.戦略
シナリオ分析にあたっては国連のIPCC(気候変動に関する政府間パネル)の第6次報告書(2021年)による地球温暖化シナリオ(SSP1-2.6, SSP5-8.5)を参考とし、気候変動がもたらすと考えられるリスクと機会についてインパクト分析を行いました。
①2℃シナリオ:低炭素/脱炭素、カーボンリサイクル技術が普及しサステナブルな製品需要が増加。
|
項目 |
環境変化 |
想定される状況 |
主な対応策 |
|
移行 リスク |
CO2排出規制 |
燃料の脱炭素化必要性の高まり 低炭素排出原料・プロセスへの転換によるコストの増加 |
・カーボンクレジット付きLNG使用 ・エネルギー使用のさらなる高効率化 ・再生可能エネルギー導入拡大 ・カーボンリサイクル技術導入拡大 ・生産工程から排出される環境負荷低減を見据えた事業構成、生産プロセスの見直し
|
|
低炭素排出製品への置換 |
化石燃料、石化由来製品(プラスチック関連製品など)の需要減少 |
||
|
顧客行動の変化 |
サプライチェーンの中で低炭素排出製品の供給要望の高まり |
||
|
事業機会 |
気候変動を緩和する製品の需要増加 |
カーボンリサイクル、カーボンフリー燃料、カーボン吸着、発電・蓄電関連製品の需要拡大
|
・脱炭素製品の開発 (燃料電池材料、二次電池材料、水電解材料、カーボン吸着材料、カーボンリサイクル触媒、アンモニア合成触媒) ・電子・エネルギー材料の高機能化 (小型化、耐久性向上のための微粒子、粒度分布均一材料)
|
|
次世代技術の進展 |
モビリティの電動化 エネルギー源としての水素、アンモニア活用 |
②4℃シナリオ:低炭素/脱炭素、カーボンリサイクル技術が促進されず、異常気象の激甚化や平均気温の上昇の物理リスクが高まる。
|
項目 |
環境変化 |
想定される状況 |
主な対応策 |
|
物理 リスク |
異常気象の激甚化 |
生産拠点における風水害被害拡大 夏季の渇水や健康被害等により生産活動の停止、物流の遅延や分断による企業活動全般への被害多発 |
・シナリオに沿った生産拠点毎のBCPの策定 ・最適な生産場所の検討、材料調達先の分散化 ・健康被害(熱中症など)低減への対応強化 ・ロボット化や自動化の推進など操業の無人化
|
|
平均気温の上昇 |
熱中症対策、冷房コストの増加 適切な対応を実施しない場合の労働生産性の低下
|
||
|
事業機会 |
気候変動に適応する製品の需要増加 |
ヘルスケア商品の需要拡大 断熱・遮熱効果を有する製品の需要拡大 テレワークの拡大 抗菌抗ウイルス材料の需要拡大 |
・日焼け止めなど肌ケア商材の拡販 ・断熱、遮熱効果材料の開発 ・抗菌抗ウイルス材料の拡販 ・5G、6G対応製品の拡販 ・排水・浄化関連材料の開発 |
|
原材料調達先の分散化 |
BCP対策による代替需要の機会増 |
<堺化学のシナリオ分析総括>
堺化学のシナリオ分析において気候変動の緩和に努めた2℃シナリオにおいては、創エネルギー技術、脱炭素に寄与することが出来る材料、プロセス技術を有していることで課題解決に貢献し、ビジネスの機会が拡大すると考えています。脱炭素への過程で、化石燃料の使用を制限し技術革新を促す政策としての炭素税や、カーボンニュートラルLNGや再生可能エネルギー電力などエネルギー調達コストが増加するリスクがあります。
また、気候変動の緩和が促進されない4℃シナリオにおいても、化粧品材料や、断熱・遮熱効果を有する製品の開発などによって、課題解決に寄与し、ビジネス機会を獲得することができると考えます。しかしながら、異常気象による工場操業への影響やサプライチェーンの寸断、熱中症などによる労働生産性の低下などのリスクがあることが分かりました。これらのリスクに対し今後、シナリオに沿った生産拠点毎のBCPの策定の中で、最適な生産場所の選定、IT・AIを活用したより高度な自動化、原材料調達先の分散化なども考慮した対応策について検討を進めて参ります。
気候変動に加えた変動因子として、様々な業界の技術発展の不確定因子がありますが、いずれにおいても備えやリスクを、機会に転換する準備があることが確認できました。
3.リスク管理
当社は、環境・社会・ガバナンスに関する重要課題(マテリアリティ)を特定し、全社横断的なマテリアリティマネジメントを通じて、リスク管理を実施しています。気候変動への対応については、ステークホルダーおよび自社の観点から重要度が極めて高い課題としてサステナビリティ委員会において審議しており、企業の存続と活動に必須の要件として主体的に取り組みます。
4.指標と目標
堺化学は、2050年カーボンニュートラル達成に向けて、CO2排出削減の長期目標を設定しています。目標達成に向け、CO2排出目標をKPIに設定し、省エネ活動の推進、再生可能エネルギーの導入などの短・中・長期の時間軸での排出削減施策を進めていきます。
▼堺化学のカーボンニュートラル化に向けた移行イメージ
脱炭素化をイノベーションの実現に応じて進め、2050年のカーボンニュートラル化にチャレンジしていきます。
当社グループの事業その他のリスクについて、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項を以下に記載いたします。ただし、これらは当社グループに関する全てのリスクを網羅したものではありません。
また、本項においては、将来に関する事項も含まれておりますが、当該事項は当連結会計年度末現在において判断しております。
(1)資材等の調達
重油や非鉄金属などの原燃料、カントリーリスクの比較的高い地域からの輸入に頼っている酸化チタンまたはバリウム製品の原料、国内においても調達先が限られる特殊な原料・資材等の価格高騰、供給の逼迫・遅延等が生じた場合、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
これらリスクに対し、特に輸入原料については極力複数の国、調達先を確保するように努めております。また、在庫量についても、仕入れの難易度、必要期間を考慮し、余裕を持った運用を実施しております。
(2)資金の調達
金融危機により金融機関からの調達が困難になる、または、金利高騰で支払い金利が増大することにより当社グループの事業継続に影響を及ぼす可能性があります。
これらリスクに対し、取引金融機関のシンジケーションによるコミットメントラインで金融サポート体制を強固なものにする、長期借り入れについては極力固定金利を採用し将来の支払金利負担を固定化する、キャッシュ・マネジメント・システムによりグループ内の資金効率を高めるなどの対応を実施しております。
(3)公的規制・コンプライアンス
当社グループは事業の遂行にあたって、様々な法令、規制の適用を受けております。加えて、事業活動を行っている国および地域が多岐にわたることから、それぞれ投資に関する許認可や輸出入規制のほか、商取引、労働、特許、租税、為替等の各種関係法令の適用が異なる場合があります。
これらの法令等に違反した場合や社会的要請に反した行動等により、法令による処罰、訴訟の提起、社会的制裁を受ける、顧客からの信頼を失うことで、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
これらに対し、当社ではコンプライアンスを「当社が行うあらゆる活動の局面において、関連する法令・条例・契約・社内規程等、明確に文書化されたルールを遵守するとともに法令の目的である社会的要請、社会通念および社会倫理等を尊重して行動すること」と定義し、コンプライアンス研修やコンプライアンスハンドブックの配付を通じ従業員の法令違反や社会規範に反した行為等の発生可能性を低減するよう努めています。また、公認会計士、弁護士、弁理士等の専門家とのコミュニケーションを維持することにより、これらリスクへの早期かつ的確な対応を心掛けております。
(4)環境規制
当社グループでは化学セグメントが事業の主体となっていることから、資源やエネルギーの大量消費による環境負荷が大きな問題の1つであります。よって環境負荷低減のための設備や管理体制の整備を図る一方、生産効率すなわち資源やエネルギーの原単位向上など、環境負荷の低減に取り組んでおります。当社グループのすべての製造拠点における排水規制(水質汚濁防止法等)に対して各拠点において専用設備を設置して窒素酸化物、リン等の排出物濃度モニタリングを実施しています。しかし、環境税の導入や、環境関連規制の強化により大規模な設備投資等の必要が生じた場合、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(5)為替レートの変動
当社グループの海外における事業展開に伴い、外貨建取引から発生する資産等の日本円換算額が影響を受ける可能性があり、換算時の為替レートが予想を超えて大幅に変動した場合、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。当社では化学セグメントにおける酸化チタン、バリウム製品の原料となる鉱石購入等の大口ドル建て取引に対し、予算レートに準じた為替予約を一定比率で実施するなど、為替リスクの低減に努めております。
(6)株式相場の変動
政策保有株式の多くは、市場価格のある有価証券であるため、株式相場が大幅に下落した場合、減損が発生し、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
これに対し、当社コーポレートガバナンス基本方針において銘柄毎にその保有の目的や保有リスク・時価、配当利回り等を精査の上保有継続の合理性の確認および株式数の見直しを行っております。見直しの結果、継続して保有する必要が無いと判断した株式は売却を進めるなど、政策保有株式の縮減に努めております。
(7)海外における事業
当社グループが事業活動を行う国・地域は広範であり、特に新興国における法令・規制等の変化、テロ・戦争やその他の要因による政治・経済・社会的混乱、文化や習慣の違いに起因するトラブル発生等が予想されますが、こうしたカントリーリスクが顕在化する場合、当社グループの事業活動が制限される、一時的な業務停止などの悪影響が発生する可能性があります。
これに対し、比較的カントリーリスクの低い国への進出を選択していること、インドネシア、タイでは現地事情に詳しいパートナーとの合弁事業とすることによりリスクの低減を図っております。
(8)製造物責任
当社グループの製品は、自動車関連部品、電子機器、建材、化粧品、医薬品等の暮らしに身近なものから、社会インフラまで多くの分野で使われています。そのため何らかの原因で製品品質に問題が生じた場合には、販売中止・製品の回収や社会的信頼の喪失などにより、当社グループの業績および財務状況に影響を与える可能性があります。
これらに対し、原料調達から生産、お客様に製品をお届けするまでサプライチェーン全体を管理することで品質を保証し、より一層の顧客満足向上に努めるとともに、万が一に備え製造物責任保険に加入しています。また当社グループでは品質担当部門による「グループ品質連絡会」を実施、品質に関する情報を共有し、製品品質の問題発生の予防に努めています。
(9)訴訟
国内および海外事業に関連して、訴訟の対象となるリスクがあり、多額の損害賠償請求訴訟等が提起された場合、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。当社では契約書を締結する前に必ず法務担当部門が契約審査を行い取引先との協議により当社リスクの低減を図り、社内手続きを経たうえで契約締結を進めております。
(10)自然災害・事故災害の影響
地震・台風・津波・風水害・火災・有害物質の流出等の災害により事業所等の閉鎖や事業活動を停止する可能性があります。
これに対し、当社では事業継続管理システム規程を制定し事業活動の復旧・継続に関する基本方針、基本的事項を定めております。また、安否確認システムにより従業員およびその家族の安否を迅速に確認出来る体制を構築しております。
生産活動の中断によって生じる悪影響を最小限に抑えるため、全設備において定期的な防災点検および設備保守を行っておりますが、想定外の大規模災害(大地震・津波、停電またはその他の混乱を含む)が発生した場合、その影響を完全に予防または軽減することはできません。また、製品によっては、代替生産できないものもあり、一時的または長期にわたる生産の中断があった場合、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(11)システム障害の影響
社内および当社グループ間のネットワークシステムについては、情報セキュリティ規程に則りシステムの更新、EDR(Endpoint Detection and Response)等ウイルスやハッカーの侵入・攻撃に対する防御システムの導入のほか、定期的な保守点検を実施しております。しかし、未知のコンピュータウィルスの侵入や情報への不正アクセス、突発的な事故等により、ハードまたはソフトウエア障害もしくはネットワーク障害等が発生し、長期間にわたり正常に機能しなくなった場合、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(12)情報漏洩
営業、技術、研究など事業に関連する機密情報については、情報管理規程に基づき適切な運用に努めるとともに、当社グループ全従業員に対し情報管理についての研修を実施しております。しかし、予期せぬ事態により情報が流失した場合、被害を受けた企業および個人に対して損害賠償責任を負うとともに、社会的信用の失墜を招き、当社グループの事業やイメージに影響を及ぼす可能性があります。
(13)新型コロナウイルス等のパンデミック
新型コロナウイルス等のパンデミックにより、当社グループにおいて工場、事務所閉鎖が生じ、事業継続に影響が出る可能性があります。これに対し検温、マスクの着用、アルコール消毒液の設置、工場や建物への出入管理の厳格化、出張や会議の制限およびWeb会議システム等の活用、時差出勤やテレワークの実施など、顧客、調達先、社員とその家族の安全確保ならびに感染予防と拡大防止に努め、事業継続が可能となる施策を制定し、的確な対応を実施してまいります。
(1)経営成績等の状況の概要
① 経営成績
当連結会計年度における当社グループの経営成績は次のとおりであります。
|
|
2022年3月期 |
前連結会計年度比 |
|
売上高(百万円) |
80,135 |
△5.6% |
|
営業利益(百万円) |
7,494 |
74.1% |
|
経常利益(百万円) |
8,840 |
120.3% |
|
親会社株主に帰属する当期純利益(百万円) |
6,747 |
- |
当社グループは、当連結会計年度(2022年3月期)で中期経営計画『SAKAINNOVATION 2023』の3年目を迎え、医療事業を除き、注力分野である電子材料を中心として、好調に推移しました。
化学事業では、上期は電子材料が好調だったうえ、酸化チタンや樹脂添加剤での採算是正も早くに浸透し、有機化学品の医薬品原薬・中間体の主力中間体の出荷が集中したことから、売上・利益ともに伸長しました。下期からは原材料・燃料の高騰が大きく影響しましたが、低迷していた化粧品材料が回復し、堅調に推移しました。
医療事業では、新型コロナウイルスや薬価切り下げによる影響を受け、既存事業が低調に推移し、減収・減益となりました。
この結果、売上高は「収益認識に関する会計基準」等の適用によって前連結会計年度比5.6%減の80,135百万円となりましたが、営業利益は前連結会計年度比74.1%増の7,494百万円、経常利益は前連結会計年度比120.3%増の8,840百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は6,747百万円となりました。
セグメントの業績は以下のとおりです。
なお、各セグメントの営業利益は全社費用等調整前の金額であります。
(化学事業)
売上高は前連結会計年度比6.0%減の72,243百万円となりましたが、営業利益は前連結会計年度比60.3%増の9,190百万円となりました。
電子材料
誘電体材料(高純度炭酸バリウム)は、5G基地局やパソコン等通信機器向けを中心に堅調に推移しました。誘電体(チタン酸バリウム)についても、顧客の業績回復とともに売上高は増加しました。
酸化チタン・亜鉛製品
酸化チタンは、経済活動の回復と、貨物輸送の混乱等による海外品の品薄を背景に、販売は好調でした。原材料の高騰が顕著であったため、価格是正を実施した結果、売上高も大幅に増加しました。
亜鉛製品は、販売数量と売上高は当初計画より減少しましたが、景気の回復と亜鉛地金建値の高騰に支えられ、2021年5月に発生した湯本工場火災事故に起因する亜鉛末事業撤退の影響は軽微なものとなりました。
化粧品材料の超微粒子酸化チタン・酸化亜鉛は、世界的な経済活動の再開に伴う需要回復により、売上高・利益ともに増加しました。
樹脂添加剤
国内向けにおいては、景気回復に合わせて、主用途のパイプ・継手向けPVC安定剤が好調に推移しました。更にIT関連設備用PVC工業板が大きく伸長しました。また、金属石鹸等の機能性添加剤の出荷も堅調であり、売上高・利益ともに大きく改善しました。
海外においては、上期は非鉛系安定剤や中国向けハイドロタルサイトが堅調であり、下期は中国の景気減退により出荷が減少しましたが、対前年度比では回復しました。
衛生材料
コロナ禍による大幅な需要増は一段落しましたが、引き続き販売は堅調に推移しました。しかし、原材料の高騰を製品価格に転嫁し遅れたこと等により、利益は減少しました。
有機化学品
有機イオウ製品は、主用途のプラスチックレンズ向けなどの伸長、新型コロナウイルスの影響による日本製品への回帰、開発チオール製品の増販等があったうえ、コストダウンと生産効率の向上が実現し、原材料高騰の影響を最小限に抑制できました。また、有機リン製品等も回復したことから、売上高・利益ともに大きく伸長しました。
医薬品原薬・中間体の生産受託は、主力中間体が堅調に推移し、開発品のスポット生産・販売が業績に寄与して売上高は微増しましたが、受託製品の原価率の違いにより減益となりました。
触 媒
ニッケル触媒は、水添石油樹脂向けに予定していた主要顧客の新工場立ち上げが大きく遅れ、売上高・利益ともに伸びませんでした。
脱硝触媒は、海外でごみ焼却炉向け大型案件がまとまったことで、年間を通して低コスト・安定生産が可能となり、売上高・利益ともに増加しました。
受託加工
加工顔料については、入浴剤製品は巣ごもり需要が継続し、好調に推移しました。着色剤製品につきましては自動車・日用品関連は需要がコロナ前の水準にまで回復したことにより売上高・利益ともに増加し、特に利益は大幅に改善しました。
焼成、混合、乾燥等の工程受託については、電子材料向けが好調に推移した結果、売上高・利益ともに増加しました。
(医療事業)
売上高は前連結会計年度比2.5%減の7,892百万円となり、営業利益は前連結会計年度比7.6%減の418百万円となりました。
医療用医薬品
バリウム造影剤は、2016年度厚生労働省発出の「がん検診実施のためのガイドライン」による受診間隔の延長および受診年齢の引き上げ、胃内視鏡検査への移行等厳しい環境のもと、大口検診機関のニーズ対応を強化して市場シェア拡大に努め、国内販売の減少を最小限にとどめるとともに、韓国・台湾への輸出を強化しました。その結果、新型コロナウイルスの影響はなお大きく残りつつも、国内・海外ともに売上高は増加しました。
消化性潰瘍用剤「アルロイドG」は堅調な需要により販売数量は維持しましたが、薬価引き下げによる影響が大きく、売上高・利益ともに減少しました。
医療機器
新型コロナウイルスの影響で営業活動が制約される中、内視鏡洗浄消毒器はキャンペーンを打つなど積極的な販売促進活動を進めて販売台数を維持し、メンテナンス契約数および関連する消耗品の販売も好調に推移しました。
また、2019年からリリースした内視鏡手術用の粘膜下注入材「リフタルK」および注入材用穿刺針「リフテインニードル」は新規採用が進み、一定の売上増に寄与しました。「リフタルK」はタイでも承認を取得し販売を開始しました。
一般用医薬品・その他
かぜ薬「改源」等一般用医薬品は、新型コロナウイルスの影響を大きく受け、風邪の罹患者減少により主力のかぜ薬が低調に推移したことから、売上高・利益ともに減少しました。
新規事業として位置付けている美容医療機関向けのサプリ事業は拡大基調であり、紫外線対策サプリメント「ソルプロ」シリーズに続き、体臭予防サプリメント「アプローラ」を投入し売上に大きく寄与しました。
認知症予防の機能性表示食品素材である「タモギ茸エキス(エルゴチオネイン)」の製造は順調に受託数量を伸ばしました。併せてエルゴチオネイン配合の自社のNB製品である認知症予防サプリメント「メモエル」の開発が完了し、自社ECサイトを構築し販売を開始しました。
② 財政状態
当連結会計年度における当社グループの財政状態は次のとおりであります。
|
|
当連結会計年度末 2022年3月末 |
前連結会計年度末 増減 |
|
総資産(百万円) |
123,919 |
912 |
|
負債合計(百万円) |
41,211 |
△2,530 |
|
純資産合計(百万円) |
82,708 |
3,443 |
|
自己資本比率 |
63.6% |
2.0ポイント |
(資産)
当連結会計年度末における総資産は123,919百万円となり、前連結会計年度末に比べ912百万円増加いたしました。
主な増減項目として、流動資産においては、受取手形及び売掛金が2,738百万円、商品及び製品が924百万円、原材料及び貯蔵品が956百万円それぞれ増加し、現金及び預金が293百万円減少いたしました。また、固定資産においては繰延税金資産が878百万円増加したものの、投資有価証券が4,518百万円減少しました。
・売上債権の増加は、グループ全体として販売が好調に推移したことにより売上が増加したことによるものです。
・棚卸資産の増加は、原燃料の高騰に加え、世界情勢を鑑み原燃料の安定的な調達が困難になる恐れがあるため在庫を確保していることによります。
・投資有価証券の減少は、コーポレート・ガバナンスに関する基本方針における政策保有株式に関する方針に従い、政策保有株式の売却を進めたことによるものです。
・繰延税金資産の増加は、投資有価証券を売却したことにより投資有価証券の評価差額金に係る繰延税金負債の金額が減少したことで、相殺後の繰延税金資産に影響を与えたことによります。
(負債)
当連結会計年度末における負債合計は41,211百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,530百万円減少いたしました。
主な増減項目は長期及び短期借入金の純減少額3,479百万円となっております。
・減少額の主要因としては、長期借入金の新規借入300百万円及び約定弁済を含む返済3,330百万円の差額3,030百万円です。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は82,708百万円となり、前連結会計年度末に比べ3,443百万円増加いたしました。この結果、自己資本比率は63.6%(前連結会計年度末は61.6%)となりました。
主な増減項目として、利益剰余金が6,001百万円増加し、自己株式が1,462百万円増加いたしました。
・利益剰余金の増減内訳は、親会社株主に帰属する当期純利益6,747百万円及び剰余金の配当589百万円です。
・自己株式の増加の主な要因は、自己株式の取得1,500百万円によるものです。
③ キャッシュ・フロー
当連結会計年度における当社グループのキャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
|
|
2022年3月期 |
前連結会計年度 増減 |
|
営業活動によるキャッシュ・フロー(百万円) |
6,567 |
△1,258 |
|
投資活動によるキャッシュ・フロー(百万円) |
△1,654 |
5,767 |
|
財務活動によるキャッシュ・フロー(百万円) |
△5,654 |
△7,321 |
|
現金及び現金同等物の増減額(百万円) |
△603 |
△2,608 |
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において、営業活動によるキャッシュ・フローの収入は6,567百万円となり、前連結会計年度に比べ1,258百万円減少いたしました。これは、主に税金等調整前当期純利益が11,261百万円増加したものの、前連結会計年度に計上していた減損損失7,041百万円が減少したことのほか、仕入債務の増減額の1,341百万円の増加、売上債権の増減額の1,354百万円の減少および、棚卸資産の増減額の4,394百万円の減少の影響によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において、投資活動によるキャッシュ・フローの支出は1,654百万円となり、前連結会計年度に比べ支出額は5,767百万円減少いたしました。これは、主に有形固定資産取得による支出が4,502百万円減少したことのほか、投資有価証券の売却による収入が1,178百万円増加したことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において、財務活動によるキャッシュ・フローの支出は5,654百万円(前連結会計年度は1,667百万円の収入)となりました。これは、主に短期借入金の純増減額による支出が1,451百万円増加したことのほか、自己株式の取得による支出が1,499百万円増加したことによるものです。
以上の結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は10,549百万円となりました。
④ 生産、受注及び販売の実績
(生産実績)
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前連結会計年度比(%) |
|
化学 |
53,488 |
4.6 |
|
医療 |
6,063 |
26.0 |
|
合計 |
59,552 |
6.5 |
(注)1 金額は、販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 セグメント別の生産高を正確に把握することは困難なため、概算値で表示しております。
(受注実績)
当社グループの主要製品については主に見込み生産を行っております。
(販売実績)
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前連結会計年度比(%) |
|
化学 |
72,243 |
△6.0 |
|
医療 |
7,892 |
△2.5 |
|
合計 |
80,135 |
△5.6 |
(注)1 セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、いずれの相手先についても当該割合が100分の10未満のため記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 経営成績の分析
経営成績の分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績」に記載しています。
② 財政状態の分析
財政状態の分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ②財政状態」に記載しています。
③ キャッシュ・フローの状況分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
キャッシュ・フローの状況については、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フロー」に記載しています。
グループの資金調達については堺商事及び一部の借り入れを除き、当社にて一括調達し、グループファイナンスにて関係会社へ必要な資金を供与しています。
調達方法は取引金融機関が組成するシンジケート団によるコミットメントラインからの短期運転資金と個別取引金融機関からの長期設備資金融資の2種類であります。近時は旺盛な設備投資によるキャッシュ・フロー不足分を補うための長期借り入れを増やしており、当面この傾向は続くものと考えます。現時点では、安定的な財務基盤を背景に取引金融機関の当社に対する融資姿勢に変化なく、スムーズな資金調達を実施しております。
一方、堺商事及び海外子会社を除く国内関係会社を結んだキャッシュ・マネジメント・システムを導入し、グループ各社の流動預金を当社に集中、グループとしての資金効率アップに取り組んでおります。
また、当連結会計年度末における短期借入金の残高は8,202百万円、長期借入金の残高は8,756百万円、現金及び現金同等物の残高は10,549百万円となっております。
④ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。
1.棚卸資産の評価
当社グループでは棚卸資産の評価に関して、取得原価を基礎としながら、期末における正味売却価額が取得原価よりも下落している場合には、正味売却価額をもって貸借対照表価額としております。正味売却価額は、直近の販売実績による単価が当面継続すると仮定し、販売単価から販売に要する経費を控除した金額として見積もっております。
また、営業循環過程から外れた滞留棚卸資産については、滞留品の処分・販売状況がこれまでと大きく変わらないと仮定し、過去の処分・販売実績をもとに見込まれる損失額を見積もっております。
随時販売状況を見ながら生産調整を行っておりますので、滞留棚卸資産が急激に増加することはないと考えております。販売単価の下落に関しても、当社グループは多岐にわたる製品を製造販売しており、影響は限定的であると考えております。
2.退職給付引当金
当社では退職給付引当金は、退職金制度ごとに退職給付債務の期末残高から年金資産の期末残高を控除して計算しております。退職給付債務及び費用は、割引率、退職率、予想昇給率などの計算基礎を見積り、年金数理計算により計算しております。割引率は、期末における優良社債の利回りに基づき決定しております。割引率が低下した場合、退職給付債務が増加しますが、数理計算上の差異として発生の翌連結会計年度から一定の年数(5年)による定額法で費用処理されます。また、退職率、予想昇給率は当社の過去の実績をもとに、今後も同様の推移が継続すると仮定して決定しております。
年金資産は期待運用収益率を見積り、退職給付費用の計算に反映させております。期待運用収益率は、金融市場が比較的安定しており、過去の運用実績が今後も継続すると仮定して決定しております。実際の運用実績が期待運用収益率を下回った場合、割引率の低下と同様、数理計算上の差異が発生しますが、発生の翌連結会計年度から一定の年数(5年)による定額法で費用処理されます。
(3)経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当連結会計年度における中期経営計画『SAKAINNOVATION 2023』の達成状況は次のとおりであります。
|
|
2018年3月期 |
2019年3月期 |
2020年3月期 |
2021年3月期 |
2022年3月期 |
|
営業利益(百万円) |
4,690 |
4,404 |
4,015 |
4,304 |
7,494 |
|
ROE(%) |
3.0 |
4.6 |
3.3 |
△3.6 |
8.7 |
該当事項はありません。
当社グループの研究開発活動については、研究開発本部、経営企画部、営業本部が連携してグループ会社との協力体制を深め、有望開発品の上市に向けてスピードアップを図っております。2021年9月に研究開発体制を変更し、新規テーマの探索と初期検討を強化するとともに、有望なテーマについて柔軟かつ迅速にリソースの最適配分を行い、早期上市を目指す体制としました。また、各グループ会社の開発部門でも取り扱い製品の品質向上あるいは新製品上市やプロセス改善のための研究開発を行っております。
中央研究所では、当社グループが得意とする粉体プロセシング技術を核として、また、大学や公的研究機関との産学連携も視野に入れて、機能性材料の開発を進めております。主には、各種発光材料、燃料電池用電極触媒、二次電池用電極材料等の開発に取り組んでおります。
当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費用は、
セグメントごとの研究開発活動は次のとおりです。
(化学)
(1) 電子材料
電子材料事業においては、電子材料用途向けに誘電体の開発を行っております。チタン酸バリウムに関しては、積層セラミックコンデンサの小型化・高容量化、自動車部品の高信頼性要求に水熱合成法の特長である微粒子・高結晶・粒度均一な製品を積極的に提案しております。また、誘電体材料についてもさらなる高純度化および微粒子化を進めています。
(2) 酸化チタン・亜鉛製品
化粧品材料事業においては、従来の日焼け止め分野に加え、用途拡充としてメイクアップ化粧品向けにも注力しています。肌触りの良化を目指して開発した「六角板状酸化亜鉛XZシリーズ」や「板状集積型球状酸化亜鉛CANDY ZINC」のほか、肌を鮮やかに見せる新機能性酸化亜鉛「化粧品用無機蛍光材料Lumate G」を新たに上市しました。また、感染症対策市場が拡大している中、酸化亜鉛の抗菌、抗ウイルス効果に着目し、「FighZinc™シリーズ」を立ち上げたほか、多様化する顧客ニーズに対応すべく表面処理や分散体の開発を進めております。
一方、5Gネットワークの拡大や自動車のEV化による熱マネジメントに対する需要増大に伴い、放熱フィラーとして「大粒子酸化亜鉛LPZINCシリーズ」の開発も進めております。
(3) 樹脂添加剤
当社が得意とする表面処理技術・粒子制御技術をハイドロタルサイトや塩化ビニル安定剤原料に応用し、特殊ハイドロタルサイト、独自性の高い塩化ビニル安定剤を展開し、性能の差別化に注力しております。同時にハイドロタルサイトを含め、各種配合剤の自社生産化や高効率化により、コストパフォーマンスに優れる製品の開発を進めております。
(4) 有機化学品
イオウ、リンを含むヘテロ有機化合物合成技術をベースとして、光学材料、電子材料、自動車向け材料等の開発に取り組んでおり、耐水性に優れた新規グレードMulthiol(マルチオール)シリーズや多官能チオール製品群の開発を進めております。
(5) 触媒
カーボンに代わる無機系の導電性材料としてサブミクロンの低次酸化チタンENETIA(エネティア)の開発を進めており、固体高分子形燃料電池の電極材料や触媒担体向けにサンプルワークを進めています。また、産学連携による人工光合成に用いる光触媒の研究開発も進めております。環境・エネルギー・化学プロセスは当社の重要な研究開発分野であり、これからの水素エネルギー社会が求める技術開発に貢献していくよう取り組んでまいります。
一方、環境負荷の低減に特化した触媒の開発にも取り組んでおります。化学プロセス分野では、脱水素反応、水素添加反応用触媒として有害成分であるクロムを含有しない銅系触媒の開発に注力しており、ポリエステル重合用触媒としてはアンチモンのような重金属を含有しないチタン系触媒の開発を進めております。
(6) 受託加工
導電材としてのシングルウォールカーボンナノチューブ(SWCNT)に加え、抗ウイルス剤などの機能性フィラーの分散に取り組んでおります。近年、顧客ニーズは多様化しており、高級志向の高まりから一段と高漆黒化を進めたマスターバッチや、環境対応型製品として赤外線遮蔽インキ・マスターバッチ、入浴剤・化粧品向け製品および機能性インキ・マスターバッチの開発に注力しております。
なお、化学事業に係る研究開発費用は
(医療)
健診領域において、血液ならびに唾液による各種がんリスクスクリーニングのリキッドバイオプシー検査、胸部X線や消化器内視鏡の医用画像の診断支援AI等、スタートアップ企業との協業により、さらなるラインナップの拡充を進めております。ヘルスケア分野では、紫外線対策サプリメント「ソルプロ」のリニューアルに加え、記憶力・注意力維持食品「メモエル」、フレグランスサプリメント「アプローラ」等の新規ラインナップの拡充も進めております。
また、産学連携の枠組みを活用した複数の共同開発を行い、新規事業拡大に積極的に取り組んでおります。
なお、医療事業に係る研究開発費用は